「1741市町村すべてを紹介する」という壮大なプロジェクトの、最初の一歩が北海道です。面積も市町村数も日本最大のこの地を、14の振興局に沿って少しずつ歩いていきます。
有名な観光地はもちろん、名前を聞いたことのない小さな町にも、必ずその土地ならではの物語があります。このページを入り口に、あなたの知らない北海道と出会っていただけたら嬉しいです。
以下、振興局別に市町村をご紹介します。
現在の進捗:179市町村中50市町村が完成
道南エリア
新幹線を降りて、津軽海峡を越えた先に広がるのが道南エリアです。函館の夜景や朝市といった定番の魅力はもちろんですが、少し足を延ばしてみると江戸時代から続く港町や、日本海を静かに望む漁村にもたどり着けます。本州から来た場合、北海道の旅はここから始まります。
渡島総合振興局
函館を起点に、ぐるりと渡島半島をめぐる旅。それが渡島総合振興局の楽しみ方かもしれません。朝は函館の市場でいかを味わい、昼には松前の桜を見上げ、夕方には大沼の静かな湖面に向き合う——そんな一日が成り立ってしまう場所です。見どころが詰まりすぎていて、何度訪れても新しい発見があります。
檜山振興局
渡島半島の日本海側に、南北に細長く伸びているのが檜山振興局です。北海道最古の歴史を持つ江差の町並みや、フェリーで渡る奥尻島、全国に名を馳せる「今金男爵」の畑——派手さはないけれど、訪ねるほどに深みが増していく、そんな静かな魅力が詰まった地域です。渡島エリアとは飛び地になっているのも、このエリアならではの特徴です。
道央エリア
道央エリアは、北海道の人口の6割以上が暮らす、この島のいちばん賑やかな地域です。でも、札幌の街を一歩出れば、そこにはもう豊かな自然が広がっています。羊蹄山のふもとの温泉、空知の地平線まで続く田んぼ、太平洋を望む港町、そしてサラブレッドが駆ける日高の牧場。都市と自然がすぐ隣り合わせにあるのが、この道央エリアならではの面白さです。
石狩振興局
石狩振興局は、札幌を中心に広がる8つの市町村のエリアです。南西には支笏湖や定山渓の山並み、中央には石狩平野、北には石狩湾に面した海岸線。ひとつの振興局の中に、山も平野も海もそろっています。札幌の街歩きだけで終わらせてしまうのはもったいない、懐の深さがこのエリアの魅力です。
後志総合振興局
小樽市を含む1市13町6村、合わせて20の市町村が集まるのが後志総合振興局です。運河の街・小樽、羊蹄山を望むニセコやリゾートで賑わう倶知安、ウイスキーの余市、ウニで名高い積丹、静かな漁村の島牧や寿都——日本海に沿って北から南へ、ぐるりと個性豊かな町が並んでいます。市・町・村のすべてが揃う、バラエティ豊かな顔ぶれのエリアです。
空知総合振興局
空知総合振興局は、10市14町が南北に連なる24市町のエリアです。かつて日本の近代化を支えた炭鉱のまち——夕張、三笠、歌志内、赤平——が並び、石狩川沿いには地平線まで続く米どころの田園風景が広がります。賑わいを終えた旧産炭地の物語と、今もなお米づくりで全国に名を馳せる豊かな大地。ひとつの振興局の中に、北海道の「昔」と「今」が静かに同居しているエリアです。
胆振総合振興局
太平洋と噴火湾に沿って、ゆるやかな弧を描くように広がるのが胆振総合振興局です。鉄のまち室蘭の重たい夕焼け、苫小牧港に漂う紙と潮の匂い、登別の湯けむり——働く街の表情と、湯に身をゆだねる時間が、同じエリアの中で隣り合っています。ふと西へ向かえば、有珠山と昭和新山の荒々しい山肌、その向こうに静かに水をたたえる洞爺湖。大地がまだ動いている場所で暮らすということを、この地はそっと教えてくれるような気がします。
日高振興局
日高山脈が海へと落ちていく、その南麓に細長く広がるのが日高振興局です。国内で生まれるサラブレッドの、およそ8割がこの地の生まれ——新冠や新ひだかの丘の牧草地では、生まれたばかりの仔馬が母馬に寄り添って歩いています。海沿いを東へ走れば、えりも岬の強い風が頬を撫で、昆布の匂いがする漁村に出会う。馬と海と風、どれを切り取ってもこの土地のかたちが見えてくる、そんなエリアです。
道北エリア
旭川から北へ進むにつれて、空がどんどん広くなっていくのが道北エリアです。大雪山の雄大な山並み、富良野や美瑛のゆるやかな丘、ニシンで栄えた日本海沿いの古い港、そして最北端の宗谷岬。北へ向かうほど人の気配は薄くなっていきますが、そのぶん自然の息づかいがくっきりと迫ってきます。冬にはマイナス30度を下回る日もあり、国内でもっとも厳しい寒さに包まれるこの地ですが、春の雪解けや夏の澄んだ光、初秋の黄金色の稲穂には、ここでしか出会えない表情があります。旅の地図をぐっと北に伸ばしてみると、北海道がまだまだ広いことに気づかされるエリアです。
上川総合振興局
旭川を真ん中に、大雪山の麓から天塩川の源流域まで、南北にすらりと長く伸びているのが上川総合振興局です。23もの市町村が連なるこのエリアは、表情の幅がとにかく広いんです。南に向かえば、富良野のラベンダー畑や美瑛のパッチワークの丘、大雪山系を映す旭岳の鏡のような水面。北へ塩狩峠を越えれば、音威子府の深い森や幌加内のそば畑、朱鞠内湖のほとりには国内最低気温を記録したこともある凍てつく空気が流れています。夏には汗ばむほど暑くなり、冬には息が白く凍る(まつ毛も余裕で凍る)。内陸の振れ幅の大きさを、そのまま旅の記憶にできる場所です。
留萌振興局
日本海に沿って南北に細長く伸びているのが留萌振興局です。かつてはニシンで賑わった港町が連なり、蔵から蔵へと歌声が響いたというこの地には、今も海辺の古い漁村や、日本最北の酒蔵・国稀のある増毛の街並みが残されています。羽幌の沖には海鳥の楽園・天売島と焼尻島が浮かび、夕暮れには海岸沿いに並ぶ風車がゆっくりと回って、沈む夕日を切り取っていきます。振興局の中に鉄道はもう一本も通っていません。車窓の代わりに、車のハンドルを握りながら、日本海の風と波の音を道連れに走る(個人的な話ですが、つい先月(2026年3月)走ったばかりです)。——そんな旅の時間がよく似合うエリアです。
宗谷総合振興局
日本の一番北にたどり着くエリアが、宗谷総合振興局です。稚内の港から見上げる星空(なんとなく星が大きく感じます)は澄みきり、宗谷岬の「日本最北端の地」の碑の向こうには、晴れた日にはサハリンの島影がうっすらと浮かびます。内陸に入れば、サロベツ原野の地平線、利尻富士を映す沼、夏でも冷たい風に揺れる花々——そして海峡を渡れば、花の浮島と呼ばれる礼文島と、海にそびえる利尻富士の利尻島。人口は道内の14振興局でもっとも少なく、全市町村が過疎地域に指定されていますが、そのぶん夜は闇が深く、冬の風は容赦なく、夏の陽は淡く長い。「最果て」という言葉が、観光パンフレットの飾りではなく、そのまま暮らしの手ざわりとして感じられる場所です。
道東エリア
道東エリアは、北海道全体の面積のおよそ4割を占めながら、人口はおよそ2割という、北海道でもっとも広大で、もっとも人の気配が薄いエリアです。知床の原生林、釧路湿原の地平線まで続く緑、十勝平野の広い畑、根釧台地の牧場——どこを切り取っても、スケールが人間の尺度を軽々と超えてきます。知床に釣りにいくと(完全に私の主観ですが)、自分がちっぽけな存在に感じ、日々のストレスが広大な大地に溶けていく雰囲気をいつも感じます。冬には流氷がオホーツク海を埋めつくし、タンチョウが雪原に舞い降り、納沙布岬の向こうには北方領土の島影が静かに浮かぶ。「最果て」や「手つかず」という言葉が、観光のコピーではなく、そのまま目の前の景色として立ちあらわれる地域です。訪れるには時間も距離もかかりますが、そのぶん、ここでしか出会えない光と風と生きものの気配が、深く記憶に残るはずです。行ってみればわかります。その価値が。
オホーツク総合振興局
オホーツク海に沿って、北はサロマ湖や紋別の流氷岸壁から、南は知床半島の斜里・羅臼の山並みまで、長く長く続く海岸線を抱え込んでいるのがオホーツク総合振興局です。北海道でただひとつ、外国由来の名前を冠した振興局でもあります。冬になるとシベリアから流氷がやってきて、網走や紋別の港を白く埋めつくし、その氷の下ではプランクトンが育ち、やがて帰ってくる鮭や、空を舞うオオワシたちの命を支えていく。内陸に目を向ければ、北見の畑では全道一の玉ねぎが育ち、美幌峠からは屈斜路湖を見下ろす大パノラマが広がります。斜里町と羅臼町にまたがる知床は、日本で3番目に登録された世界自然遺産。海と氷と森と生きもの、ひとつの振興局の中に、地球のダイナミズムがそのまま詰まっているようなエリアです。
十勝総合振興局
十勝総合振興局は、帯広市を中心に1市16町2村、合わせて19の市町村が広がるエリアです。地平線の向こうまで続く畑、サイロの立つ牧場、豆やじゃがいもや小麦が実る大地__「食の王国」と呼ばれる風景は、まさにこの十勝のものです。
北には大雪山系と然別湖の静かな水面、西には日高山脈の険しい稜線、南には襟裳の強い潮風と広尾の海岸線、そして東には太平洋に向かってなだらかに落ちていく畑の波。足寄町は日本一広い町として知られ、陸別町の冬は氷点下30度を下回る日もある__スケールの振れ幅も、この地ならではです。
帯広の夜に豚丼やスイーツを味わったあと、翌朝には朝霧の立ちのぼる牧場に立っている、そんな一日が成り立ってしまう場所。大地の豊かさと、開拓の歴史と、冬の厳しさが分かちがたく重なって、十勝という土地のかたちを作っています。
釧路総合振興局
釧路総合振興局は、釧路市を中心に1市6町1村、8つの市町村が広がるエリアです。夏になっても海からの霧が街に流れ込み、幣舞橋の向こうに沈む夕日がにじむように見える__そんな「霧の街」釧路が、このエリアの玄関口。霧が濃いと車の目の前すら見えずめっちゃ怖いんですよ。
少し内陸へ入れば、タンチョウが舞う釧路湿原の広大な水平線、摩周湖の底なしの青、屈斜路湖のほとりに立つ砂湯の湯けむり、そして阿寒湖畔にはマリモの棲む静かな湖面が広がります。
標茶や鶴居、白糠の奥には、地平線まで続く根釧台地の牧草地。乳牛たちがのんびりと草を食み、サイロが点々と立つ風景は、北海道らしさの象徴のような眺めです。厚岸の牡蠣、浜中の昆布、そして釧路港に水揚げされる魚介__海の恵みもこのエリアの大きな魅力です。湿原と湖と海と牧場、そして霧。自然の持つ何種類もの表情が、ひとつの振興局の中に静かに重なっている、そんな場所です。
根室振興局
根室振興局は、根室市を中心に1市4町、合わせて5つの市町が並ぶエリアです。北海道の最東端__日本で一番早く朝日がのぼる納沙布岬では、晴れた日には歯舞群島や貝殻島が目の前にくっきりと浮かび、その向こうに広がる海の先が、今も返らないままの島々であることをそっと思い出させてくれます。
羅臼からは知床の険しい山々が海へと落ちていき、クジラやシャチに出会える航路が走り、野付半島ではトドワラの立ち枯れた風景がまるで地の果てのような静けさをまとっています。別海や中標津、標津の内陸に広がるのは、日本最大級の酪農地帯。乳牛の数が人の数を大きく上回るこの土地では、早朝の搾乳舎から立ちのぼる湯気と、放牧地に差す朝日が、毎日のように見られる暮らしの風景です。
さんま、花咲がに、鮭、いくら__海の幸も惜しみなく、ここでしか味わえない新鮮さがあります(想像を絶する新鮮さです)。最果てと呼ぶにはあまりに生活の匂いが濃く、でも確かに「その先の海」を見つめ続けている、そんなエリアです。
