小樽市(おたるし)は、北海道の西海岸ほぼ中央、後志地方の東側に位置する人口10万人ほどの港町です。後志総合振興局管内で唯一の市で、札幌市から約40km、JR快速で約30分の距離にあります。
小樽市の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 小樽運河──大正時代の石造倉庫とガス灯が並ぶ、北海道を代表する景観
- ✅ 寿司の街──市内に100店以上の寿司店、名物はシャコとニシン
- ✅ 小樽ガラス──ニシン漁の浮き玉づくりから生まれた工芸の街
- ✅ かつての金融街──昔の道内最大の金融街、レトロな銀行建築が今も残る
- ✅ 小樽雪あかりの路──毎冬2月、街じゅうをろうそくの灯りが包む
「歴史的な街並みを歩きたい人」「海鮮や寿司を目当てに来る人」「冬の幻想的な景色を見たい人」に特におすすめの町です。この記事では、観光・歴史・文化・特産から、坂の街ならではの暮らしまで、序盤から終盤にかけて地元目線で紹介します。
| 人口 | 101,666 人 ※2026年4月30日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 243.87 km² |
| 人口密度 | 417 人/km² |
地理的には、東は札幌市(手稲区・南区)と石狩市、西は余市町、南は赤井川村と接しています(出典:小樽市公式サイト)。市街地の一方が日本海に面し、残る三方を山に囲まれた、坂の多い町です。
かつてはニシン漁と港で栄え、「北のウォール街」という愛称が生まれるほど小樽は北海道経済の中心でした。その繁栄の名残が運河や石造倉庫、銀行建築として今も街に残っています。歴史・景観・食・工芸と見どころの多い町を、ひとつずつ見ていきましょう。
小樽市の推しポイント

小樽の魅力は、ひとことで言えば「港町の歴史がそのまま観光資源になっている」ことです。運河沿いの倉庫街、銀行建築が並ぶ目抜き通り、ニシン漁から生まれたガラス工芸、そして100店以上が集まる寿司の街。さらに冬は雪あかりの路、天狗山の夜景と、季節ごとに表情が変わります。ここからは代表的な6つを少し掘り下げて紹介します。
推しポイント1:小樽運河──大正の倉庫街とガス灯
小樽のシンボルといえば、やはり小樽運河です。1914年(大正3年)に埋立事業が起工され、第1期工事は1923年(大正12年)に完成しました。港湾荷役のための運河でしたが、役目を終えたあと「運河論争」を経て保存され、今では石造倉庫とガス灯が並ぶ散策路として親しまれています。夕暮れから夜にかけて灯りがともる時間帯が、いちばん絵になりますよ。
推しポイント2:寿司の街・小樽
小樽は「寿司の街」として知られ、市内には100店以上の寿司店が集まっています。なかでも「寿司屋通り」と呼ばれる一画は名店が並ぶエリアです。名物は地元・小樽近海で揚がるシャコやニシン。観光で訪れたら、まずは一軒入ってみてほしいところです。
推しポイント3:小樽ガラス──浮き玉から生まれた工芸
小樽のガラス工芸は、もともとニシン漁や北洋漁業で使う浮き玉(うきだま)と、電気の普及前に使われた石油ランプの製造から始まりました(出典:小樽観光協会)。漁業の衰退後、その技術が観光向けの工芸へと姿を変え、今の「ガラスの街・小樽」につながっています。実用品が芸術品になった、面白い歴史を持つ産業なんです。
推しポイント4:かつての金融街と歴史的建造物
明治後期から昭和初期にかけて、小樽には銀行や商社が集まり、北海道最大の金融街として「北のウォール街」と愛称がつくほどでした。日本銀行旧小樽支店をはじめ、当時の重厚な銀行建築が今も街並みに残っています。1908年(明治41年)に完成した小樽港北防波堤は、日本で初めての本格的なコンクリート製防波堤としても知られています(出典:土木学会選奨土木遺産)。
推しポイント5:天狗山と小樽の夜景
市街地の南側にそびえる天狗山は、ロープウェイで山頂まで上がれる展望スポットです。眼下に港町と日本海が広がる夜景は、小樽を代表する眺めのひとつ。冬はスキー場としても賑わいます。運河とあわせて、昼と夜で違う小樽を楽しんでみてください。
推しポイント6:北運河・第3号ふ頭エリア
にぎわう運河散策の先に広がる北運河エリア。石造倉庫や係留船が並ぶ風景は、今も港町・小樽の面影を色濃く残しています。周辺には、重要文化財の旧日本郵船小樽支店や北運河のシンボル・旧北海製罐第3倉庫があり、歴史を感じながら散策を楽しめます。
さらに第3号ふ頭には、小樽国際インフォメーションセンターや観光船ターミナル、おたるポートスクエアが整備され、海を身近に感じられる新たな観光スポットとして注目を集めています。
小樽市の歴史

小樽の歴史は、大きく三段階に分けられます。古代の縄文文化や場所請負制の時代、明治の鉄道開通と開港で一気に発展した「商都」の時代、そして戦後の衰退から観光都市として生まれ変わった現代です。地名「おたる」はアイヌ語の「オタ・オㇽ・ナイ」(砂浜の中の川)に由来します。坂の町に刻まれた繁栄と衰退の跡が、今の景観をつくっています。
古代〜近世──環状列石と「場所」の時代
市域では縄文文化・続縄文文化が栄え、郊外の忍路(おしょろ)には忍路環状列石(ストーンサークル)が残っています。手宮洞窟の岩壁には古代文字とも呼ばれる彫刻があります。江戸時代には松前藩によってオタルナイなどの「場所」が開かれ、北前船の航路で本州とも結ばれていました。1869年(明治2年)、蝦夷地が北海道と改称された際に「オタルナイ」も「小樽」と改められました。
近代の開拓と発展──鉄道・開港・金融街
1880年(明治13年)、手宮〜札幌間に北海道で最初の鉄道が開通し、小樽港は開拓民の上陸や物資陸揚げの拠点となりました。1899年(明治32年)に開港場に指定され、金融機関や船舶会社、商社が次々と進出。昭和初期にかけて北海道経済の中心都市として発展し、「北のウォール街」と愛称がつくほどの金融街が形成されました。1922年(大正11年)には市制が施行され、小樽市が誕生しています。
現代──衰退、そして観光都市へ
現代──衰退、そして観光都市へ
戦後はニシン漁の不漁、樺太との交易の喪失、石炭需要の減少などが重なり、札幌が道都として伸びる一方で小樽は衰退していきました。人口は1964年(昭和39年)に約20万7千人のピークを記録した後、減少が続き、2022年(令和4年)には103年ぶりに10万人台となりました。そうしたなか、運河論争を機に歴史的建造物が観光資源として見直され、小樽は観光都市として再び脚光を浴びるようになりました。
観光入込客数はコロナ禍で一時大きく落ち込みましたが、2024年度(令和6年度)には7年ぶりに800万人を超え、806万8,800人まで回復しています(出典:小樽市)。
小樽市の文化・風習

方言と話し方の特徴
小樽で話されるのは北海道弁です。北海道の言葉は、東北由来の海岸部の言葉(浜言葉)と、なまりの少ない内陸部の言葉に分かれると言われ、港町・小樽は海岸部の文化圏にあたります。代表的な言葉をいくつか紹介すると、なまら(とても・すごく)、したっけ(それじゃあ/またね)、めんこい(かわいい)、しばれる(厳しく冷え込む)などがあります。
標準語と形が同じなのに意味が違う言葉もあって、たとえばなげる(捨てる)、こわい(疲れた)は要注意です。語尾に〜しょ(〜でしょ)や〜だべさ(〜だよね)が付くのも特徴で、聞いていると親しみのある響きですよ。
食卓と季節の暮らし
海に面した町だけあって、食卓には魚介がよく上がります。シャコやニシン、ホッケといった近海の魚も旬の時期は食べられます。秋には新巻鮭やいくら、冬は鍋ものと、季節がそのまま食卓に出すことが可能な環境といえます。みなさんも小樽に泊まったら、夜は地元の魚で一杯やってみてください。
人の気質と坂の街の暮らし
小樽は市街地の三方を山に囲まれた「坂の町」です。家が山裾の傾斜地まで広がっていて、買い物や通学で坂を上り下りするのが日常の風景。冬は積雪が多く、雪かきが暮らしの一部になります。寒暖の差が比較的小さい海洋性気候で、北海道のなかでは住みやすいと言われる土地でもあります。港町らしく人の出入りが多かった歴史もあり、よそから来た人にも比較的さばけた距離感で接してくれる空気があります。
小樽市の特産品・食

特産品1:寿司とシャコ
小樽の食といえば、まずは寿司です。市内には100店以上の寿司店があり、ネタは小樽近海で揚がる新鮮な魚介が中心。なかでも名物はシャコで、エビにもカニにも似た独特の食感と甘みがあります。旬は晩秋から冬にかけてで、握りはもちろん、子持ちのシャコも人気。ニシンやウニと合わせて、寿司屋通りでじっくり味わってほしい一品です。
特産品2:小樽ガラス(工芸品)
食べ物ではありませんが、小樽を代表する特産品がガラス工芸です。前述のとおり、もとはニシン漁の浮き玉や石油ランプづくりから始まった産業で、今は色や形に凝った装飾ガラスがお土産の定番になっています。堺町通りには工房やギャラリーが並び、吹きガラスやとんぼ玉づくりの体験もできます。旅の記念に、自分だけの一品を作ってみるのも楽しいですよ。
特産品3:洋菓子・スイーツ
小樽は菓子の町でもあります。チーズケーキで全国に知られるルタオをはじめ、北菓楼、地元の老舗あまとうなど、名店がそろっています。観光のあいまに食べ歩きしたり、お土産に買って帰ったりと、甘いもの好きにはたまらないラインナップ。運河や堺町通りを歩きながら、気になった店に立ち寄ってみてください。
特産品4:地酒・ワイン・かまぼこ
港町らしく、酒の肴になる加工品も豊富です。明治からの酒蔵である田中酒造の日本酒、北海道ワインのワイン、そして老舗かま栄のかまぼこ(揚げかまぼこ)など、地元で長く愛されてきた味が並びます。海鮮と合わせれば、小樽の食卓がそのまま再現できます。
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小樽市の観光スポット

小樽の見どころは、歩いて回れる中心部にぎゅっと集まっています。小樽運河を起点に、金融街の銀行建築、堺町通りのガラスやお菓子の店、そして寿司屋通り。少し足を延ばせば、祝津の水族館や天狗山の夜景も待っています。序盤で触れた運河・ガラス・金融街・天狗山を、ここで実際の見どころとして掘り下げていきますね。
運河と歴史的建造物(中心部)
- 小樽運河 – 1914年(大正3年)に埋立事業が起工され、第1期工事は1923年(大正12年)に完成した運河です。石造倉庫とガス灯が水面に映る夕暮れどきは、いちばん絵になる時間帯。後述する冬のイルミネーション「青の運河」の舞台にもなります。ゆっくり歩いて15分ほどの散策路です。
- 旧国鉄手宮線跡地 – 1880年(明治13年)に開通した北海道初の鉄道の一部を、線路を残したまま遊歩道にした場所です。運河からほど近く、レールの上を歩ける開放感があります。冬は雪あかりの路の会場のひとつにもなりますよ。
- 日本銀行旧小樽支店金融資料館 – 東京駅で知られる辰野金吾らが設計し1912年(明治45年)に完成した、小樽市指定有形文化財の建物を使った資料館です。入館無料で、開館時間は夏季(4〜11月)9:30〜17:00、冬季(12〜3月)10:00〜17:00、水曜休館です(出典:日本銀行旧小樽支店金融資料館)。金庫室で1億円(模擬)の重さを持ち上げられるコーナーが人気なんですよ。
- 小樽芸術村 – 旧三井銀行小樽支店(重要文化財)や旧北海道拓殖銀行小樽支店など、20世紀前半の歴史的建造物などを活用した5館のミュージアム群です。開館時間は5〜10月9:30〜17:00、11〜4月10:00〜17:00、入館料は単館券が一般500円〜1,400円、5館共通券が一般3,500円です(出典:小樽芸術村)。重厚な空間で美術を鑑賞できる、かつての金融街ならではのスポットです。
ガラスとお菓子の街歩き(堺町通り)
- 堺町通り – ガラス工房、オルゴール店、お菓子屋が軒を連ねる、小樽でいちばん賑やかな通りです。食べ歩きをしながらお土産を探すのにぴったり。歩いているだけで気分が上がる、観光の中心エリアなんですよね。
- 北一硝子 – 序盤で触れたとおり、小樽ガラスの歴史を象徴する存在です。漁業用倉庫を改装した北一硝子三号館では、ランプや浮き玉から現代の装飾ガラスまで並びます。サンドブラスト(砂の噴射によるガラス加工)やとんぼ玉アレンジ体験もできるので、旅の記念に一つ作ってみてください。
- 小樽オルゴール堂 – 堺町通りの突き当たり、メルヘン交差点に建つレトロな館です。館内には数千点のオルゴールが並び、好きな曲を選んで聴き比べできます。やさしい音色に包まれる空間は、子どもから大人まで楽しめますよ。
- メルヘン交差点 – 常夜灯と蒸気時計が目印の交差点で、堺町通りのフォトスポットです。蒸気時計が時間ごとに蒸気を上げる瞬間は、思わず足を止めて見入ってしまいます。夕方の灯りがともる時間帯がとくにきれいです。
海と眺望
- おたる水族館 – 中心部の北、祝津エリアの海沿いにある水族館です。通常営業は例年3月中旬〜11月下旬で、入館料は大人1,800円、小・中学生700円、幼児350円です(出典:おたる水族館)。トドの豪快なダイブやペンギンのじかん、海をそのまま仕切ったプールのアザラシなど、海の生きものを間近で楽しめます。
- 天狗山ロープウエイ – 標高約530mの天狗山へ、ロープウェイで約4〜5分の空中散歩です。夏期営業は例年4月下旬〜11月上旬、冬期営業は例年11月下旬〜3月末です(出典:小樽天狗山ロープウエイ・スキー場)。函館山・藻岩山と並ぶ「北海道三大夜景」のひとつで、宝石を散りばめたような夜景は格別ですよ。
市場と寿司
- 三角市場 – 小樽駅のすぐそば、急な坂と三角屋根が名前の由来の市場です。鮮魚店が並び、市場内の食堂では海鮮丼を味わえます。駅に着いてすぐ、新鮮なネタで朝食という贅沢ができる場所なんですよ。
- 寿司屋通り – 序盤で紹介した「寿司の街・小樽」の中心が、この寿司屋通りです。市内には100店以上の寿司店があり、名物のシャコやニシン、ウニを握りで楽しめます。一軒入って、大将との会話とともに味わうのがおすすめです。
小樽市の観光ルート

小樽は中心部が歩いて回れるので、徒歩の半日さんぽから、車で祝津や天狗山まで足を延ばす1日コース、さらに隣町の余市町へ抜ける広域コースまで、いろいろな組み方ができます。滞在時間に合わせて選んでみてくださいね。
【徒歩・半日】小樽駅〜運河〜堺町 王道さんぽ
9:30 小樽駅 → 9:45 三角市場 → 10:30 小樽運河 → 11:00 日本銀行旧小樽支店金融資料館 → 12:00 堺町通り → 13:00 メルヘン交差点
①三角市場(45分)
→ 駅を出てすぐの市場で、海鮮丼の朝ごはん。朝のうちは比較的すいていて、ゆっくり選べます。
②小樽運河(30分)
→ 倉庫街を眺めながら散策路を歩きます。午前は逆光になりにくく、写真が撮りやすい時間帯です。
③日本銀行旧小樽支店金融資料館(45分)
→ かつての金融街の中心で、銀行建築と金融の歴史にふれます。入館無料なので気軽に立ち寄れます。
④堺町通り〜メルヘン交差点(1〜2時間)
→ ガラスやお菓子の店を食べ歩き。締めはメルヘン交差点の蒸気時計を眺めて、のんびり終えるのがちょうどいいですよ。
【車・1日】祝津と夜景を巡るルート
9:00 中心部 → 9:20 おたる水族館(祝津) → 11:30 祝津パノラマ展望台 → 13:00 中心部で昼食・街歩き → 17:00 天狗山ロープウエイ
①おたる水族館(2時間)
→ 朝いちばんで祝津へ。いきもののじかんの時間に合わせて入ると、効率よく回れます。
②祝津パノラマ展望台(30分)
→ ニシン漁で栄えた祝津の高台から、日本海を一望。海の青さが気持ちいいスポットです。
③中心部で昼食・街歩き(3時間)
→ 寿司屋通りや運河周辺へ戻って、ランチと買い物。歩き疲れたらカフェでひと休みを。
④天狗山ロープウエイ(1〜2時間)
→ 日没前に上がって、明るいうちの眺めと夜景の両方を。夕暮れから夜への移り変わりがハイライトです。
【車・1日】広域ルート:小樽〜余市
9:00 小樽中心部 → 9:40 余市町(蒸溜所・フルーツ街道方面) → 14:00 小樽へ戻り運河周辺
①小樽中心部(午前)
→ 運河や堺町通りをさっと押さえてから、西へ向かいます。
②余市町方面(昼)
→ 国道5号や後志自動車道で約40分。ウイスキーの蒸溜所や、果樹園が並ぶ「フルーツ街道」で知られる町です。果物狩りやワイナリーめぐりも楽しめます。
③小樽へ戻る(夕方)
→ 帰りに小樽運河の夕景やガス灯を眺めて締めくくり。海沿いのドライブも気持ちいい区間です。
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小樽市の年間イベント

小樽は一年を通して、港町らしいお祭りやイルミネーションが続きます。初夏はニシンの記憶をたどる浜の祭り、夏は街をあげての大祭、秋から冬は運河を青く染める光、そして真冬はろうそくの灯り。季節ごとに街の表情が変わるんですよ。
初夏〜夏:海の恵みを祝う祭り
初夏に訪れるなら、ぜひ知っておいてほしいのが、祝津の前浜で毎年6月に開かれるおたる祝津にしん・おタテ祭りです(出典:小樽観光協会)。炭火で焼くニシンや、小樽産ホタテ「おタテ」の香ばしい匂いが会場いっぱいに広がります。
夏の主役は、毎年7月に小樽市内で開かれるおたる潮まつりです(出典:おたる潮まつり公式サイト)。市民が踊り歩く「潮ねりこみ」や、フィナーレを飾る大花火大会が見どころ。斜陽の街を元気づけようと始まった祭りが、今や小樽を代表する夏の風物詩になっています。
秋〜冬:運河を青く染める光
秋が深まると、小樽運河が青いイルミネーションに包まれる青の運河が始まります。例年11月から翌年1月にかけて、浅草橋〜中央橋の区間が約1万個の青色LEDで彩られます(出典:小樽観光協会)。日没後のブルーアワーは、空の青と灯りの青が重なって本当に幻想的。青く装飾した船で巡るナイトクルーズもおすすめです。
冬:ろうそくの灯りに包まれる街
真冬の小樽でいちばん知ってほしいのが、毎年2月に開かれる小樽雪あかりの路です(出典:小樽雪あかりの路)。小樽運河や旧手宮線跡地、天狗山などの会場に、ボランティアの手でろうそくが一つひとつ灯されます。運河の水面に浮かぶガラスの浮き玉キャンドルは、ガラスの街・小樽らしい光景。雪と炎のやわらかな灯りに包まれる、静かであたたかい時間ですよ。
小樽市のエリア別の顔

ひとくちに小樽と言っても、海に面した市街地から山あいの温泉地まで、エリアごとに表情がまるで違います。観光のメインになる中心部、ニシンの歴史が残る祝津、夜景の天狗山、温泉の朝里川、海レジャーの銭函や塩谷。旅の目的に合わせて、どのエリアを軸にするか考えてみてくださいね(参考:小樽市公式サイト)。
中心部エリア──運河とかつての金融街、観光の主役
小樽運河、堺町通り、かつての金融街の街並みがぎゅっと集まる、観光のいちばんの中心です。歴史的建造物の街並みを歩き、ガラスやお菓子を楽しめます。徒歩で周りたい街歩き派、初めての小樽という人にまず向いているエリアですよ。
祝津(しゅくつ)エリア──ニシンの歴史と海
市街地の北に位置する、かつてニシン漁で栄えた漁村エリアです。おたる水族館やにしん御殿があり、高台からは日本海が一望できます。海と歴史をセットで味わいたい人、家族連れでの観光に向いています。
天狗山エリア──小樽を見下ろす夜景
市街地の南側にそびえる天狗山は、ロープウェイで上がる夜景スポットです。昼は港と海のパノラマ、夜は宝石のような夜景と、時間帯で違う顔を見せます。夕方から夜に訪れたいロマンチック派におすすめのエリアです。
朝里川温泉エリア──山あいの湯とスキー
中心部から少し内陸に入った、温泉とスキー場のあるエリアです。観光で歩き回ったあと、ゆっくり湯につかって体を休めるのにぴったり。冬はスキー、それ以外の季節は静かな滞在を楽しみたい人に向いています。
銭函(ぜにばこ)・塩谷・蘭島エリア──夏の海レジャー
札幌市寄りの銭函から、西側の塩谷・蘭島にかけては、海水浴場が点在する海レジャーのエリアです。夏は海水浴やサーフィンで賑わいます。中心部の観光とは違う、海辺の小樽を味わいたい人におすすめですよ。
小樽市の気候・季節の暮らし

小樽市は、北海道のなかでは寒暖の差が小さい海洋性気候です。気象庁の平年値(1991〜2020年)では、年平均気温は8.8℃、年間の降雪量の合計は556cm、最深積雪の平年値は118cmです(出典:気象庁)。日本海側らしく冬は雪が多い一方、夏は本州ほどの猛暑になりにくいのが特徴です。坂の多い街なので、冬の暮らしは雪との付き合いが中心になりますよ。
夏──6月〜8月の暮らし
もっとも暖かい8月でも平均気温は21.7℃で、本州のような厳しい暑さにはなりにくい土地です(出典:気象庁)。海水浴やマリンレジャーが楽しめる季節で、潮まつりの賑わいもこの時期。朝晩は涼しく、寝苦しい夜が少ないのは助かりますよね。
秋──9月〜11月の暮らし
秋は紅葉が美しく、天狗山や毛無山の展望が映える季節です。9月を過ぎると一気に空気が澄んで、朝晩の冷え込みが始まります。11月に入ると、小樽運河を青いイルミネーションで彩る冬のイベント「青の運河」がともり、街は冬支度へと移っていきます。
冬──12月〜3月の暮らし
冬は日本海側の気候そのもので、曇りや雪の日が多くなります。各年の最深積雪はおおむね90〜150cm、1日の最高気温が0℃未満の真冬日は冬期間でおよそ50日に達します(出典:小樽市「雪対策基本計画 資料編」)。
春──4月〜5月の暮らし
春は雪解けとともに訪れ、桜の見頃は本州より遅く4月~5月ごろになります。この時期はフェーン現象で空気が乾燥し、火災が起きやすい季節でもあります。雪が消えて街歩きが気持ちよくなる、待ち遠しい季節なんですよ。
小樽市の移住・暮らし情報

小樽市は、札幌市まで電車で30分前後という近さから、札幌のベッドタウンとしての顔も持っています。観光地として知られる一方、坂の街ならではの暮らしや雪との付き合いなど、住むとなると押さえておきたいポイントがあります。ここでは「暮らす視点」で見ていきますね。
通勤・通学
札幌市へ通勤・通学する人が多いのが特徴です。JR函館本線で札幌駅まで快速なら30分前後なので、札幌勤務で小樽暮らしという選択も現実的。市内は坂が多いので、通勤の足はバスや車が中心になります。
住宅環境
賃貸物件は小樽駅周辺の稲穂・花園・緑エリアに集中しています。家賃はワンルームや1Kの単身向けでおよそ4万円台から、全体としては4万〜6万円台が中心の価格帯です(出典:SUUMO)。坂の街なので、同じ家賃でも「平地か坂の上か」で暮らしやすさが変わってくるのは知っておきたいところです。
買い物環境
日常の買い物は、イオンやスーパーアークス、コープさっぽろ、北雄ラッキーなどが市内各所にそろっています。小樽築港エリアには大型商業施設のウイングベイ小樽があり、まとめ買いにも便利。三角市場や南樽市場など、鮮魚を安く買える市場文化が残っているのも港町ならではです。
子育て・教育
子育て支援では、中学校3年生までの子どもの医療費の一部を助成する制度があります(出典:小樽市)。市内には国立の小樽商科大学があり、商業都市の伝統を受け継いでいます。一方で少子化により小中学校の統廃合が進んでいるため、通学区域は事前に確認しておくと安心です。
医療環境
医療面では、小樽市立病院をはじめ、北海道済生会小樽病院、小樽協会病院、小樽掖済会病院など複数の総合病院が市内にあります。後志地方で唯一の市として、地域の医療拠点の役割も担っています。日常の通院から入院まで、市内で対応しやすい環境と考えられます。
エリア別の暮らし視点
中心部は買い物・通勤に便利で、初めての小樽暮らしに向いています。札幌市寄りの銭函エリアは札幌通勤に最も近く、ベッドタウン色が濃いエリア。朝里エリアは自然が豊かで静かな住環境、祝津や塩谷は海に近いのんびりした暮らしが楽しめます。移住の相談は「おたる移住・起業『ひと旗』サポートセンター」など専用窓口があるので、活用してみてください(出典:小樽市)。
小樽市へのアクセス

小樽市は札幌市から約40kmと近く、鉄道・バス・車のいずれでもアクセスしやすい街です。新千歳空港からも直通の鉄道があるので、道外から訪れる人にも便利。目的に合わせて手段を選べます。
車でのアクセス
札幌市中心部からは札樽自動車道で小樽ICまで向かい、降りてから中心部まで約10分です。全体ではおよそ40分前後で、運河や堺町通りのある中心地までスムーズに行けます。冬は路面が滑りやすいので、時間に余裕を持っての運転がおすすめです。
鉄道+バスでのアクセス
鉄道は、札幌市からJR函館本線の快速エアポートで約30〜35分、運賃は大人800円です(出典:JR北海道)。高速バス「高速おたる号」もあり、札幌駅前から約1時間、片道730円・往復1,360円で利用できます(出典:ジェイ・アール北海道バス)。安く行くならバス、速さと本数ならJR、という使い分けが便利ですよ。
飛行機でのアクセス
道外からは新千歳空港が玄関口です。空港からはJR快速エアポートが小樽まで直通しており、最速で約73分、自由席で2,040円です(出典:JR北海道)。乗り換えなしで小樽駅まで着けるので、大きな荷物があっても移動が楽なんですよね。
町内移動の現実的アドバイス
中心部の観光だけなら、小樽駅から運河・堺町通りは徒歩で回れます。ただし市域は東西に約36kmと広く、見どころは中心部の外にも点在しています。北側の祝津(水族館)や市街を見下ろす天狗山に加え、東端の銭函、西側の塩谷方面まで足を延ばすなら、車かバスが現実的です。坂が多いので、歩く範囲は中心部に絞り、郊外は車という組み合わせが効率的です。
交通手段ごとに見てきましたが、「結局いちばん安く行くにはどうすれば?」と迷う方も多いはず。飛行機で向かうなら、航空券は予約のタイミングや会社によって料金が大きく変わります。複数の航空会社・LCCをまとめて比較できるサイトで、いちど最安値をチェックしておくと安心ですよ。
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【地元住民に直撃!】小樽市の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
標準語に直しました。 えーっと、29歳で、堺町のほうの雑貨屋で働いています。観光客の方が毎日とてもたくさん来るところなんですけど、地元で生まれて、ずっと小樽です。
坂の上の家で育ったので、冬の朝は登校が大変でした(笑)。札幌に行こうかなと何度も思いましたが、結局この街の空気が好きで残っている感じです。
Q2.この街に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
運河はやっぱり外せないですよ。ただ昼は中国や韓国の観光客でごった返しているので、地元の人間としては朝7時頃の北運河側がおすすめです。
誰もいない水面にカモメが浮いていて、倉庫の影が伸びている感じ、とても絵になるんです。あと天狗山の夜景は北海道三大夜景のひとつで、小樽の人間の自慢です。船見坂は事故もあって正直複雑な気持ちですが、坂の上から海が見える景色は本物です。
Q3.この市町村でお土産を買うとしたらなんですか?
定番ならルタオのドゥーブルフロマージュですね、間違いないです。あとかま栄のパンロール、これは揚げたてを食べるのが小樽の人間の特権なんです。
意外と知られていないのが田中酒造の宝川。試飲させてくれるので自分の好きな一本を選べます。あと地元の人間しか買わないものだと、鱗友朝市で売っているニシンの甘露煮。おばあちゃんの味という感じで、これがあると白いご飯が止まりません。
Q4.外から人が来たときにまず連れていく店はどこですか?
絶対「なると」の若鶏半身揚げです。塩コショウだけで揚げたものをガブッといく、あれが小樽の正解です。あと都通りの「桂苑」のあんかけ焼きそば。観光客は寿司だ海鮮丼だとなりますが、市民の社員食堂のような店なんです。
三角市場の奥の「味処たけだ」も連れて行きます。市場のおじさんと喋りながら食べる海鮮丼、あれが一番おいしいです。観光より市場の方が小樽の素の顔という気がします。
Q5.この市町村はどんな気質だと思いますか?
港町だからですね、外から来る人を受け入れる気質はあると思います。ヤン衆文化の名残というか、人懐っこいおじさんおばさんが多いです。
ただ商売っ気はあまりなくて、「俺の味がわかる人だけ来ればいい」というような職人気質の店主も多いです。雪あかりの路もボランティアが支えていますし、表向きは地味ですが内側でつながっている、そういう街です。
Q6.昔に比べて、街の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直、人が減ったなあと毎日感じます。同級生もほとんど札幌に行ってしまいましたし、商店街もシャッターが増えました。逆に観光客は増えすぎて、Love Letterの聖地巡礼でバスに乗れない日もあるんです。
市場も昔は20軒以上あったのが今は数えるほどです。でもですね、雪あかりの路の夜だけは、昔の活気が戻った気がするんです。あの灯りの中を歩いていると、まだこの街はいけるなと思えます。
Q7.これから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
北運河のYummy市が年々盛り上がっていて、地元の人間もちゃんと楽しめるイベントになっているのが嬉しいです。船見坂に「坂と線路とバゲットと」というパン屋カフェが今年オープンして、若い人がまた小樽で店を出し始めている流れがあります。
あと「ひと旗サポートセンター」で移住・起業の支援を強化しているので、新しい人が入ってきて街がかき混ぜられるといいなと思っています。観光と暮らしのバランスがちゃんと取れる街になってほしいです。

