中標津町(なかしべつちょう)は、北海道東部・根室振興局管内の内陸に位置する人口21,779人の町です。標津川の中流域にあることが地名の由来で、知床半島の付け根と根釧台地が出会う酪農のまちです。
中標津町の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 開陽台──視界330度、地球の丸さを体感できる標高約270mの丘
- ✅ 格子状防風林──宇宙からも見える碁盤の目(北海道遺産・日本の風景百選)
- ✅ 乳牛約39,000頭の酪農王国──全国でも「牛乳で乾杯条例」の町
- ✅ 道東の空の玄関口中標津空港──知床・摩周湖・阿寒への観光拠点
- ✅ 養老牛温泉とライダーの聖地「ミルクロード」
「広い風景の中をのんびり旅したい人」「火山や開拓の地形に興味がある人」「ゆったり暮らせる移住先を探している人」に特におすすめの町。序盤では開陽台や格子状防風林といった町の顔から、酪農文化、歴史、暮らしの空気感まで地元目線で紹介します。
| 人口 | 21,779 人 ※2026年4月30日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 684.87 km² |
| 人口密度 | 31.8 人/km² |
地理的には、東と北は標津町、南は別海町、南西は標茶町、西は摩周湖側で弟子屈町、北西は知床火山群の山を境に清里町に接しています(出典:中標津町公式サイト)。町域は東西約42km・南北約27km、南部は根釧台地の丘陵、北部は知床半島から連なる山岳地帯です。
鉄道は通っていませんが、町内には中標津空港があり、知床・摩周湖・阿寒湖への玄関口になっています。火山・台地・酪農・温泉と、この小さな町には道東ならではの要素がぎゅっと詰まっています。ひとつずつ見ていきましょう。
中標津町の推しポイント

中標津町の顔は、なんといっても「広さ」を体感できる風景です。視界330度の開陽台、宇宙からも見えるという格子状防風林、約39,000頭の乳牛が支える酪農、そして道東観光の起点になる中標津空港。ここからは、その一つひとつを少し掘り下げて紹介していきます。
推しポイント1:開陽台──地球が丸く見える丘
標高約270mの丘の上に立つ開陽台からは、視界330度の大パノラマが広がります。眼下には根釧台地の牧草地がどこまでも続き、地平線がゆるやかな弧を描くので、本当に地球の丸さを体で感じられるんですよ。晴れた日には知床連山や国後島まで望めます。夜は満天の星が降り、ライダーの「聖地」としても親しまれています。
推しポイント2:格子状防風林──大地に刻まれた碁盤の目
開拓使顧問ホーレス・ケプロンが提唱した殖民区画にもとづき、平野部には防風林が格子状に植えられています。この「根釧台地の格子状防風林」は北海道遺産に認定され(出典:北海道遺産協議会)、「人と自然が織りなす日本の風景百選」にも選ばれています。緑のラインが大地に碁盤の目を描く光景は、開陽台から一望できます。
推しポイント3:酪農王国と「牛乳で乾杯条例」
中標津の基幹産業は酪農です。乳牛は約39,000頭を数え、生乳の乳質は日本トップクラスとされています(出典:中標津町公式サイト)。2014年には「1杯目の乾杯は地場産牛乳で」を合言葉に牛乳消費拡大応援条例(牛乳で乾杯条例)を施行。牛乳が暮らしに溶け込んだ町なんです。
推しポイント4:道東の空の玄関口・中標津空港
町の東部には中標津空港があり、札幌や東京を結ぶ定期便が就航しています。知床半島・摩周湖・阿寒湖・釧路湿原といった道東の名所への観光拠点になっているほか、周辺の町から買い物客が集まる商業の中心地でもあります。鉄道のない町ながら、道東の交通と経済のハブとして機能しています。
推しポイント5:養老牛温泉とミルクロード
町の北西、標津川の支流沿いには大正期に開発された養老牛温泉があります。山あいの静かな湯の里で、道東をめぐる旅の拠点にぴったり。開陽台へ向かう町道は牛乳のタンクローリーが行き交うことから「ミルクロード」と呼ばれ、まっすぐ伸びる道とアップダウンがライダーやドライバーを惹きつけています。
中標津町の歴史

中標津の歴史は、アイヌの踏み分け道に始まり、明治の殖民区画開放による開拓、そして冷害を乗り越えての「酪農のまち」への転換という流れで読み解けます。縄文時代の遺跡から現代の空港まで、人と大地のつながりが積み重なってきた町です。
古代〜近世──アイヌの道と斜里山道
町内からは縄文時代前期ごろの遺跡やチャシ跡が多数出土しており、古くから人が暮らしていたとみられています。19世紀初頭には、もとアイヌが使っていた踏み分け道を整備した「斜里山道」が標津川沿いに通り、1810年(文化7年)に開通しました。タワラマップ川など町内数か所に小休所が置かれたと記録されています。
近代の開拓と酪農への転換
1901年(明治34年)に殖民区画が開放されると、道外からの移住者が増えていきました。しかし大正から昭和にかけての経済不況と冷害・凶作で離農者が続出し、1931年・1932年の大凶作は開拓農民に大きな打撃を与えました。そこで北海道庁は「根釧原野農業開発5カ年計画」を立て、穀物中心から畜産中心への転換を進めます。1937年(昭和12年)に国鉄標津線が開通すると、中標津は交通の要衝として発展しました(出典:中標津町公式サイト)。
現代──分村・町制から「酪農のまち」へ
中標津はもともと標津村に属していましたが、人口増加と産業の振興にともない分村運動が起こり、1946年(昭和21年)に標津村から分村して中標津村となりました。1950年(昭和25年)には町制を施行し、中標津町が誕生します。1965年には中標津空港が開港。鉄道の標津線は1989年(平成元年)に廃止されましたが、空港と道路網を軸に道東の拠点として歩みを続けています。
中標津町の文化・風習

方言と話し方の特徴
中標津で耳にするのは、いわゆる北海道弁・道東の言葉づかいです。たとえば寒さの厳しいこの町ではしばれる(厳しく冷え込む)がよく使われ、「今朝はしばれたねえ」と挨拶代わりに交わされます。ほかにもなまら(とても・すごく)、したっけ(それじゃあ/そうしたら)、ゴミを投げる(ゴミを捨てる)、手袋をはく(手袋をつける)など、標準語と少し違う言い回しが日常に溶け込んでいます。やわらかいイントネーションで、初対面でも距離が縮まりやすい話し方ですよ。
牛乳とともにある食卓
酪農のまちらしく、暮らしのそばにはいつも牛乳があります。会合や歓送迎会で「牛乳で乾杯」をするのは、まさにこの町ならでは。新鮮な生乳から作られるソフトクリームやチーズ、アイスクリームは地元の人にも観光客にも人気です。冬は鍋を囲み、夏は牧草地の風を感じながら、季節の移ろいとともに食卓の風景も変わっていきます。
厳しい冬と暮らしの工夫
中標津は冬季に氷点下20度を下回ることも珍しくなく、特別豪雪地帯に指定されています。雪自体はそれほど多くないものの、強い風による地吹雪が起こりやすいのが特徴です。だからこそ住民は天候の急変に敏感で、車の運転や外出のタイミングを上手に見きわめながら暮らしています。寒さが厳しいぶん、春の訪れや短い夏の明るさをいっそう大切にする土地柄です。
人の気質と地域のつながり
広い大地で大規模な酪農を営む土地だけあって、おおらかで実直な人が多いと言われます。近隣の町から買い物や通勤で人が集まる「拠点の町」でもあるため、よそから来た人にも開かれた雰囲気があります。移住体験事業「お試し暮らし」の受け入れ実績が北海道内でもトップクラスというのも、その風通しのよさを物語っています。
中標津町の特産品・食

特産品1:牛乳・乳製品
中標津といえば、やっぱり牛乳と乳製品。乳牛約39,000頭が育まれ、生乳生産量は国内トップクラスとされています(出典:中標津町公式サイト)。しぼりたてに近い牛乳はコクが濃く、後味はすっきり。そのままごくごく飲むのはもちろん、ナチュラルチーズやアイスクリーム、ジェラートに姿を変えて一年中楽しめます。旅の途中、開陽台のカフェで濃厚なソフトクリームを味わう時間は格別ですよ。
特産品2:じゃがいも・畑作物
牧草地のかたわらでは、約1,100haの畑で馬鈴しょ(じゃがいも)、てんさい、大根などが作付けされています(出典:中標津町公式サイト)。火山灰地で育つじゃがいもはほくほくとして甘みがあり、収穫期の秋がいちばんの旬。蒸かして塩とバターだけ、あるいは地元の牛乳と合わせてポタージュにしても、素材の力が伝わってきます。9月には「じゃがいも伯爵まつり」も開かれます。
特産品3:養老牛温泉の山の幸と湯
食とあわせて味わいたいのが、養老牛温泉での滞在です。大正期から続く山あいの湯の里で、温泉につかったあとに地元の乳製品や山の幸を味わう――そんな過ごし方ができます。冬の寒さが厳しい土地だからこそ、温かい湯と濃厚なミルクの組み合わせが体にしみます。道東をめぐる旅の締めくくりに、立ち寄ってみてください。
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中標津町の観光スポット

序盤で町の顔として挙げた開陽台や格子状防風林、養老牛温泉を、ここでは一つずつ掘り下げていきます。中標津町の観光は「広い空と大地を感じる場所」「開拓の歴史を学べる場所」「湯と公園でくつろぐ場所」の3つに分けると回りやすいですよ。どれも車があれば気軽に立ち寄れます。
大地と空を感じるスポット
- 開陽台 – 標高約270mの丘に立つ展望スポットで、視界330度の大パノラマが広がります。開館はおおむね4月下旬から10月末まで、屋上と駐車場は通年開放されています(出典:中標津町公式サイト)。地平線がゆるく弧を描き、晴れた日は知床連山や国後島まで見渡せます。夜は満天の星に包まれ、ライダーの聖地としても親しまれています。
- 格子状防風林 – 開陽台から一望できる、大地に刻まれた緑の碁盤の目です。幅約180m、総延長648kmにおよぶ人工林で、2000年にスペースシャトルから宇宙飛行士の毛利衛さんが撮影したことを機に北海道遺産へ認定されました(出典:北海道遺産協議会)。開拓の歴史がそのまま風景になった、ここでしか見られない眺めです。
- ミルクロード – 開陽台へ向かう町道で、牧草地のあいだをまっすぐ伸びる道です。牛乳を運ぶタンクローリーが行き交うことからこの名がつきました。ゆるやかなアップダウンと地平線まで続く直線は、ドライブやツーリングで走ると爽快ですよ。
歴史と文化を学べるスポット
- 中標津町郷土館 – 昭和46年(1971年)に開館した博物館類似施設で、開拓期の生活道具や町の歩みを伝える郷土資料を展示しています。敷地内の緑ヶ丘分館(旧北海道農事試験場根室支場陳列館)は、2009年に国の登録有形文化財に登録されました(出典:中標津町公式サイト)。観光の前に立ち寄ると、開陽台や防風林の見え方が変わってきます。
湯と公園でくつろぐスポット
- 養老牛温泉 – 市街地から約27km、標津川の支流沿いにたたずむ静かな温泉地です。1916年(大正5年)に西村武重氏が発見・開発したとされ、2016年に開湯100周年を迎えました。泉質は含石膏食塩泉、泉温は約85度です(出典:中標津町公式サイト)。野鳥や野生動物が顔を出す自然のなか、道東めぐりの拠点にぴったりの秘湯です。
- 北海道立ゆめの森公園 – 中標津空港のすぐ前に広がる広大な公園で、遊具のある屋外ゾーンと屋内施設を備えています。秋の「じゃがいも伯爵まつり」の会場にもなる、家族連れに人気のスポットです。芝生に寝転んで空を見上げるだけでも、この町の広さを感じられますよ。
中標津町の観光ルート

中標津は鉄道がないぶん、車があると一気に世界が広がります。空港を起点に絶景を巡る1日コース、市街地でゆったり過ごす半日コース、そして知床・摩周湖まで足を延ばす広域コースの3つを組んでみました。旅のスタイルに合わせて選んでみてください。
【車・1日】開陽台と酪農絶景ルート
9:30 中標津空港 → 10:00 開陽台(車25分)→ 11:30 ミルクロード → 13:30 養老牛温泉(車50分)
①開陽台(約90分)
→ まずは午前の澄んだ空気のうちに丘へ。視界330度の眺めを楽しんだら、カフェで地元産牛乳のソフトクリームをひと休みに。
②ミルクロード(約60分)
→ 開陽台からの帰り道、牧草地を貫く直線をのんびり走ります。窓を開けると牧場の風が入ってきて気持ちいいんですよ。
③養老牛温泉(滞在自由)
→ 締めくくりは山あいの秘湯へ。日帰り入浴で旅の疲れを流せば、道東の1日が体にしみわたります。
【車・半日】市街地と歴史ルート
13:00 中標津市街 → 13:20 中標津町郷土館 → 14:30 北海道立ゆめの森公園 → 16:00 市街地温泉
①中標津町郷土館(約60分)
→ 開拓の暮らしや町の歩みを学べる場所。屋外を歩く前に、土地の成り立ちを頭に入れておくと旅が深まります。
②北海道立ゆめの森公園(約60分)
→ 空港前の広い公園で深呼吸。子ども連れなら遊具で、大人なら芝生でのんびりするのがおすすめです。
③市街地温泉(滞在自由)
→ 中標津は市街地にも日帰り入浴できる温泉が複数あります。買い物や食事のあと、気軽に立ち寄れるのが嬉しいところ。
【車・1日】広域ルート:知床・摩周湖へ
9:00 中標津 → 10:00 裏摩周展望台(弟子屈町・車60分)→ 午後 知床・羅臼方面
①裏摩周展望台(約60分)
→ 隣の弟子屈町側から望む摩周湖は、観光客が少なめで静か。霧が晴れた瞬間の湖面は息をのむ美しさです。
②知床・羅臼方面(滞在自由)
→ 中標津は知床や摩周湖、阿寒湖への玄関口。空港を拠点に、世界自然遺産の知床まで足を延ばす旅も組めます。
中標津町の年間イベント

中標津のイベントは、短い夏に熱気が集まり、秋は実りを祝い、冬は雪と光を楽しむ――そんなメリハリが魅力です。酪農のまちらしく、どの行事にも地元の牛乳や農産物が顔を出すのも見どころですよ。
夏:なかしべつ夏祭り
毎年8月に市街地中心部のしるべっと広場で開かれる、町いちばんのお祭りです(出典:中標津町公式サイト)。約6,000個の提灯が会場を包み、夜には協賛の大平原花火大会が夏の夜空を彩ります。盆踊りや音頭踊りのパレードもあり、短い北海道の夏を惜しむように人が集まります。
秋:じゃがいも伯爵まつり&ふれあい広場
毎年9月上旬の日曜に、中標津空港前の北海道立ゆめの森公園で開かれる収穫祭です(出典:JA中標津)。目玉は広い畑での「伯爵いも」掘り体験。自分の手で掘り上げたほくほくのじゃがいもは格別ですよ。塩煮の無料配布やグルメ屋台も並び、家族連れでにぎわいます。
冬:なかしべつ冬まつり
毎年2月の第2土・日曜に、しるべっと広場で開かれる雪と氷の祭典です(出典:なかしべつ観光協会)。趣向を凝らした雪像や氷像が並び、子どもに大人気のジャンボすべり台や、初日夜の花火大会で盛り上がります。氷点下の夜空に咲く大輪の花火は、冬の中標津ならではの光景です。
中標津町のエリア別の顔

東西約42km・南北約27kmと広い中標津町は、エリアごとに表情がはっきり違います(出典:中標津町公式サイト)。買い物に便利な市街地、絶景の北部丘陵、秘湯の養老牛、農業の計根別――旅の目的に合わせてエリアを選ぶと、町の懐の深さが見えてきます。
中標津市街エリア──道東屈指の商業の顔
条丁目で区画された市街地は、近隣の町からも買い物客が集まる道東屈指の商業拠点です。ロードサイドには大型店が並び、飲食店も豊富。観光の前後に補給や食事をするなら、まずこのエリアが頼りになります。日帰り温泉も点在しているので、移動の合間にひと風呂浴びるのにも向いています。
開陽台・俣落エリア──絶景と星空の顔
市街地の北に広がる丘陵地帯は、開陽台やミルクロードを擁する町いちばんの絶景エリアです。昼は地平線まで続く牧草地、夜は降るような星空。写真を撮りたい人やドライブ・ツーリングを楽しみたい人は、このエリアを目当てに訪れるのがおすすめですよ。
養老牛エリア──秘湯と自然の顔
町の北西、標津川の支流沿いに位置する養老牛は、静かな温泉地としての顔を持ちます。野鳥や野生動物が暮らす自然林に囲まれ、湯けむりがゆったりと漂う一帯。喧騒を離れてのんびり過ごしたい人、秘湯めぐりが好きな人にぴったりの場所です。
計根別エリア──農と学びの顔
町の西部に広がる計根別は、農業高校や計根別学園のある、農と学びの色が濃いエリアです。かつて標津線が通っていた歴史も持ちます。広大な牧草地と防風林が織りなす農村風景の中を走ると、酪農王国・中標津の土台を体で感じられます。
中標津町の気候・季節の暮らし

中標津町の年平均気温は5.8℃で、最も寒い1月は平均-6.6℃、最も暖かい8月でも平均18.3℃です。年間降雪量(降雪の深さ合計)は433cm、年間降水量は1,183.8mmです(出典:気象庁)。寒暖差が大きい内陸性の気候で、夏は涼しく冬は厳しく冷え込みます。雪の量は北海道内では多いほうではありませんが、強い風による地吹雪に注意が必要な土地です。
夏(6〜8月)──涼しく過ごしやすい季節
8月の平均最高気温は22.9℃と、本州の蒸し暑さとは無縁の爽やかな夏です(出典:気象庁)。朝晩は半袖だと肌寒いこともあり、薄手の上着が手放せません。短い夏を惜しむように、夏祭りや開陽台の絶景を楽しむ人で町がにぎわう季節ですよ。
秋(9〜10月)──実りと紅葉の季節
秋は伯爵じゃがいもをはじめ収穫が本格化し、町に実りの空気が漂います。9月でも朝夕は冷え込み、10月には初雪の便りが届く年もあります。養老牛温泉まわりの山々が色づくころ、湯につかりながら紅葉を眺める時間は格別です。日が短くなるのも早いので、ドライブは早めの時間が安心ですよ。
冬(11〜3月)──厳しい寒さと地吹雪の季節
1月の平均最低気温は-13.2℃で、氷点下20度を下回る日も珍しくありません(出典:気象庁)。雪そのものより、強風が雪を巻き上げる地吹雪が暮らしに影響します。住宅は二重窓と灯油暖房が基本で、車の運転は視界に注意が必要です。寒さは厳しいぶん、晴れた夜の星空はこの季節ならではの澄んだ美しさになります。
春(4〜5月)──遅い雪どけと芽吹きの季節
4月でも雪が残ることがあり、本州より春の訪れはゆっくりです。雪がとけて牧草地が緑づき始めると、開陽台展望館もおおむね4月下旬に開館して観光シーズンが始まります。風の強い日が多い時期なので、防風になる上着があると安心。長い冬を越えた町に、ようやく光が満ちてくる季節です。
中標津町の移住・暮らし情報

中標津町は人口21,779人ながら、近隣の町から買い物客が集まる道東屈指の商業拠点です。空港や中核病院、商業施設がそろい、「田舎暮らしの自然」と「生活の便利さ」を両立できるのが大きな特徴。移住体験の「お試し暮らし」受入実績は北海道内でもトップクラスとされています。ここでは暮らしの現実を項目ごとに見ていきましょう。
通勤・通学
町は道東の交通の結節点で、近隣の標津町・別海町などから中標津へ通勤・通学する人が多いエリアです。市街地はコンパクトで、車があれば町内移動は10〜15分程度。冬の通勤は早朝の除雪や地吹雪を見込んで、時間に余裕を持つのが地元の常識です。
住宅環境
賃貸はワンルーム〜1DKで3万円台、1LDK〜2DKでおよそ4〜5万円前後の物件が見られます(出典:SUUMO)。条丁目で区画された市街地は道路が広く、駐車場付きの物件が中心。冬の寒さに備えた断熱や暖房設備の整った住宅が多いのも、この地域ならではです。
買い物環境
中標津は商業の充実度が際立つ町で、市街地のロードサイドには大型スーパーやショッピングセンターが並びます。長崎屋やフレスポ中標津などがそろい、日用品から食料品までこの町でほぼ完結します。近隣の町からも買い物に訪れるほどで、生活のしやすさは道東でも屈指と考えられます。
子育て・教育
町内には小・中学校に加え、義務教育学校の計根別学園、高校は中標津高校と中標津農業高校の2校があります。祝日も開館する児童センター「みらいる」など、子育て世代を支える施設も整っています(出典:中標津町公式サイト)。進学後に地元で就職する若い世代も増えていると考えられます。
医療環境
地域の中核を担うのが町立中標津病院で、周辺町村も含めた医療拠点になっています。ほかにも脳神経外科や内科、眼科、こどもクリニックなど複数の医療機関があり、町の規模に対して医療の選択肢が比較的そろっています(出典:中標津町公式サイト)。道東で安心して暮らせる土台のひとつです。
エリア別の暮らし視点
暮らす視点で見ると、利便性重視なら中標津市街エリア、静けさと自然を求めるなら養老牛エリア、農業に関わるなら計根別エリアが向いています。開陽台・俣落エリアは絶景が日常になる一方、市街地から少し離れるため車が前提です。生活導線をどこに置くかで、住み心地が変わってきますよ。
中標津町へのアクセス

中標津町には鉄道が通っていないため、空港と車・バスが移動の主役です。町には中標津空港(根室中標津空港)があり、道外や札幌からは飛行機が最短ルート。道内の近隣都市からは車や路線バスでアクセスします。それぞれの行き方を見ていきましょう。
飛行機でのアクセス
中標津空港(根室中標津空港)には、東京(羽田)からおよそ1時間40分、札幌(新千歳)からおよそ45分の便が就航しています(出典:ANA)。道外からは羽田からの直行便が最も速く、知床・摩周湖観光の起点としても便利です。空港から市街地は車で約5分と近いのも魅力です。
空港から市街地へ
空港と中標津町交通センターの間は、根室交通の中標津空港線が約10分・300円で結んでいます(出典:中標津町公式サイト)。タクシーなら約10分・1,900円ほど。便数が限られるので、飛行機の時刻に合わせて事前に確認しておくと安心です。
車・バスでのアクセス
道内の近隣都市からは車が基本です。鉄道利用の場合、最寄り駅はJR釧網本線の標茶駅で、そこからは路線バスや車での移動になります。釧路方面からは阿寒バスが中標津バスターミナルまで運行しており、所要はおよそ2時間以上かかります(出典:阿寒バス)。
町内移動の現実的アドバイス
町内のスポットは点在しているため、現実的には車(レンタカー)があると一気に動きやすくなります。開陽台や養老牛温泉は市街地から離れているので、給油は市街地で済ませておくのがおすすめ。冬季は地吹雪で視界が落ちる日があるので、無理せず天候を見て動くのが安心ですよ。
【地元住民に直撃!】中標津町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
酪農をやっています。家は代々この土地で牛を飼ってきて、僕で何代目かになりますね。朝晩の搾乳に追われる毎日ですけど、性に合ってます。
中標津は乳牛が約3万9千頭もいる町で、生乳の質は全国でもトップクラスと言われています。この広い大地と気候があるから成り立つ仕事なんですよ。
Q2.中標津町に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
定番はやっぱり開陽台です。視界330度の眺めは観光客にも人気ですけど、僕ら地元の人間が好きなのは、人のいない平日の夕方なんですよね。
あとは格子状防風林を見渡せるミルクロード。牛乳のタンクローリーが走る道を、夕日を浴びながらゆっくり流すと、ああこの町に住んでるなって実感します。
Q3.中標津町でお土産を買うとしたらなんですか?
無難なのは、やっぱり地元産の牛乳やチーズ、アイスクリームですね。中標津観光のお土産としては鉄板で、味は間違いないです。
地元の人間が推すなら、開陽台のカフェで採れたはちみつを使ったソフトや、中標津農業高校の生徒さんが作る鹿肉ジャーキー。あれは知る人ぞ知る一品ですよ。
Q4.外から人が来たときに、中標津町でまず連れていく店はどこですか?
まずは市街地の飲食店ですね。中標津は近隣の町から買い物客が集まるくらい店が充実してるので、選択肢が多いんです。
そのあと締めに連れていくのは、市街地にある日帰り温泉。観光地っぽさはないですけど、町の人の生活の一部って感じが伝わって、かえって喜ばれますね。
Q5.中標津町はどんな気質だと思いますか?
大規模に農業をやってる土地柄もあって、おおらかで実直な人が多いと思います。細かいことをぐちぐち言わない、さっぱりした気質ですね。
近隣の町から人が集まる中標津観光の拠点でもあるので、よそから来た人にも壁がない。移住者を受け入れる空気があるのは、この町の強みだと感じます。
Q6.昔に比べて、中標津町の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直なところ、若い世代が減ったなとは感じます。働く場所はあるのに、遊ぶ場所を求めて札幌や道外へ出ていく子が多いんですよ。これは町の課題です。
ただ、町民センターや運動公園は今もにぎわっていて、夏祭りや冬まつりには人が戻ってくる。活気の芯みたいなものは、ちゃんと残っていると思います。
Q7.中標津町のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
大きな箱物より、酪農を続けていける仕組みづくりに期待しています。後継者不足は深刻なので、新規就農を支える流れがもっと太くなってほしいですね。
町長や役場には、若い人が「ここで暮らしたい」と思える町づくりを進めてほしい。水源も自然も豊かなこの町の有名なもの、つまり牛乳を、次の世代に残していきたいんです。

