標茶町(しべちゃちょう)は、北海道東部・釧路総合振興局のほぼ中央に位置する人口6,618人の町です。釧路市中心部から北東へ約40km、町を釧路川が南北に貫きます。
標茶町の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 釧路湿原──国立公園の総面積の4割以上を町が占める、日本最大級の湿原
- ✅ 北海道標茶高等学校──敷地255ha、高校としては日本一広い(東京ドーム約55個分)
- ✅ 酪農のまち──乳牛・肉牛あわせておよそ6万頭、牛が人口の8倍以上
- ✅ SL冬の湿原号──冬の釧網本線を走る蒸気機関車の終着駅
- ✅ 全国の町村で6番目に広い総面積1,099.37km²(東京都の約半分)
「雄大な自然や湿原に触れたい旅行者」「鉄道や酪農に興味がある人」「広い大地でゆったり暮らしたい移住希望者」に向いた町です。記事の序盤では推しポイント、中盤では歴史と文化、終盤では特産品と食を、公的資料と一次情報をもとに紹介します。
| 人口 | 6,618 人 ※2026年4月30日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 1,099.37 km² |
| 人口密度 | 6.02 人/km² |
地理的には、東は厚岸町・別海町・中標津町、西は鶴居村、南は釧路町、北は弟子屈町と接します(出典:標茶町)。たんちょう釧路空港から車で約1時間15分、JR釧網本線の標茶駅が町の玄関口です。
南部には釧路湿原、北部には阿寒摩周国立公園の一部が広がり、その間を釧路川と広大な牧草地が埋めます。湿原・鉄道・酪農・歴史と見どころが詰まった町を、順に見ていきましょう。
標茶町の推しポイント

標茶町の魅力は、手つかずの自然と、それを生かした産業にあります。町の南に広がる釧路湿原は、国立公園を構成する市町村の中でいちばん広い面積を町が占めています。その大地を生かした酪農では牛が人口を大きく上回り、冬には湿原を蒸気機関車が走り抜けます。さらに、日本一広い高校まであるんですよ。ひとつずつ見ていきましょう。
推しポイント1:釧路湿原──町がもっとも広く抱える大湿原
日本最大級の湿原として知られる釧路湿原。その国立公園の総面積の4割以上が標茶町に属し、湿原を構成する市町村の中でもっとも広い面積を占めています(出典:標茶町)。コッタロ湿原展望台からは、地平線まで続く湿原と蛇行する釧路川を一望できます。手つかずの原野がこれほど身近にある町は、そう多くありません。
推しポイント2:北海道標茶高等学校──日本一広い高校
町にある道立北海道標茶高等学校は、敷地面積255ha(東京ドーム約55個分)と、高校としては日本一の広さです(出典:日本記録認定協会)。この広さは、敷地がかつての釧路集治監・軍馬補充部の跡地だった歴史に由来します。校内には牛舎やミニ湿原まであり、酪農を学べる総合学科として知られています。
推しポイント3:牛が人を上回る酪農のまち
標茶町の基幹産業は酪農と畜産です。乳牛と肉牛をあわせておよそ6万頭が飼われ、牛の数は町の人口の8倍以上にのぼります(出典:標茶町)。生乳は首都圏へ送られるほか、町内の雪印メグミルク磯分内工場でバターや生クリームに加工されます。どこまでも続く牧草地と牛の群れは、この町を象徴する風景なんですよ。
推しポイント4:SL冬の湿原号とくしろ湿原ノロッコ号
冬の標茶を語るうえで外せないのがSL冬の湿原号です。釧路駅から標茶駅まで、雪原と凍てつく釧路湿原を蒸気機関車が黒い煙をあげて走ります。2000年の運行開始以来、ひがし北海道の冬の風物詩となっています(出典:JR北海道)。春から秋には、釧路駅〜塘路駅をゆっくり走るトロッコ列車「くしろ湿原ノロッコ号」が湿原の風を運んでくれます。
標茶町の歴史

標茶の歴史は、釧路川がつくった交通の要衝という地の利から始まります。先史時代から人が暮らし、アイヌの集落が築かれ、明治には囚人と軍馬の町として一時は釧路に匹敵する規模を持ちました。その後、広大な土地は酪農へと姿を変え、今日の酪農のまちが形づくられていきます。三つの時代を追って見ていきます。
古代〜中世
町内では金子遺跡や二ツ山遺跡など、先史時代の遺跡が200か所以上確認されており、古くから人が暮らしていたことがわかっています。江戸時代にはトウロ(塘路)やニシベツ(虹別)にアイヌの集落があったと、松浦武四郎らの記録に残されています。地名はアイヌ語の「シペッチャ」(大きな川のほとり)に由来し、釧路と標津・斜里を結ぶ交通の要衝だったことを物語っています。
近代の開拓と発展
1885年(明治18年)、網走刑務所の前身である釧路集治監が開設されました。郡役場や日本銀行の出張所も置かれ、一時は釧路に匹敵する規模の町となりました。1887年には硫黄山の硫黄を運ぶため、標茶と硫黄山の間に北海道で2番目の鉄道が敷かれています。1908年(明治41年)には軍馬補充部川上支部が置かれ、軍馬の生産地として再び活気づきました。1929年(昭和4年)、熊牛村から標茶村へと改称しています。
現代──町の今を作った出来事
1950年(昭和25年)に町制を施行し、標茶町が誕生しました。戦後は富山県や長野県からの満蒙開拓団の引揚者が多数移住し、開拓を進めます。酪農が本格化したのは昭和に入ってからで、1959年(昭和34年)に磯分内へ雪印乳業の工場ができると、町中に生乳を運ぶ「ミルクロード」が整備されていきました(出典:標茶町)。軍馬補充部の跡地は、日本一広い標茶高校へと受け継がれています。
標茶町の文化・風習

方言と話し方の特徴
標茶を含む道東では、北海道弁が日常的に使われています。なかでも冬によく耳にするのがしばれる(厳しく冷え込む・凍えるほど寒い)です。標茶は全国の最低気温のニュースに名前が出るほど冷え込む土地なので、まさにこの言葉がぴったりなんですよ。会話の締めにはしたっけ(それじゃあ・またね)、強調したいときはなまら(とても・すごく)、応援するときはけっぱれ(がんばれ)。心配して声をかけるときのなした?(どうしたの?)も、温かみのある言い回しです。
食卓と季節の暮らし
酪農のまちだけあって、食卓には牛乳や乳製品が欠かせません。地元の牛乳でつくるソフトクリームやバターは濃厚で、冬には体を温めるジンギスカンを囲みます。南部の塘路湖ではわかさぎが獲れ、佃煮などで親しまれてきました。冬は氷点下25度前後まで冷え込む厳しい寒さですが、その分、空気は澄みわたり、夜には満天の星空が広がります。
人の気質と地域のつながり
標茶の人の気質には、開拓のまちらしい大らかさと粘り強さがあります。戦後、富山や長野から移り住んだ人々が、広大な原野を一から牧場に変えてきました。大規模な酪農は一軒では成り立たないため、地域で助け合う文化が今も根づいています。人より牛や自然に触れる時間が長い——そんな暮らしが性に合う人には、きっと居心地のよい町ですよ。
標茶町の特産品・食

特産品1:しべちゃ牛乳・乳製品
標茶といえば、まずは牛乳と乳製品。広い牧草地でのびのび育った牛から搾られた生乳は、すっきりと飲みやすいのが特徴です。町内の雪印メグミルク磯分内工場では、この生乳がバターや生クリームに加工され、全国へ届けられます(出典:標茶町)。旅の途中で味わうソフトクリームの濃さに、きっと驚くはずです。
特産品2:星空の黒牛
標茶発のブランド牛が星空の黒牛です。ホルスタインと和牛を交配させた交雑牛で、摩周湖の伏流水と、無農薬・無化学肥料の牧草で育てられています。約5,500頭が飼育され、ふるさと納税の返礼品でも人気を集めています(出典:星空の黒牛)。赤身のうまみと程よい脂が魅力で、焼肉やステーキにすると満足感がありますよ。
特産品3:塘路湖のわかさぎ
南部の塘路湖は、わかさぎの漁場として知られています。冬には結氷した湖上での氷上釣りが風物詩で、釣りたてを天ぷらにすればふっくらと甘く、佃煮にすれば保存もきいてご飯がすすみます。釧路湿原の海跡湖が育む小さな恵みは、寒さの厳しいこの町ならではの味覚と言えそうです。
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標茶町の観光スポット

標茶町の観光は、釧路湿原と湖、そして広大な牧場が主役です。町の南には日本最大級の湿原が広がり、それを見渡す展望台が点在します。北へ向かえば、地平線まで牛が放たれる育成牧場。さらに塘路湖のほとりには、町の自然と歴史を学べる博物館もあります。まずは押さえておきたいスポットを、タイプごとに見ていきましょう。
釧路湿原を見渡す展望スポット
- コッタロ湿原展望台 – 釧路湿原のなかでも特別保護地区に指定されたコッタロ湿原を見渡せる展望台で、見学は自由、JR塘路駅から車で約11分です(出典:標茶町観光協会)。砂利道の道道1060号沿いにあり、冬期は通行止めになります。階段を上ると、湧き水をたたえた原始のままの湿原が一面に広がり、運がよければタンチョウに出会えますよ。
- 多和平 – 標茶町育成牧場のなかにある、地平線を360度見渡せる展望台です(出典:標茶町)。放牧された牛や羊の向こうに、阿寒や摩周の山並みが連なります。夜は街明かりがほとんどなく、天の川まで見えるほどの星空が広がるので、晴れた日の日暮れから夜にかけてが狙い目です。
- サルボ展望台・サルルン展望台 – 塘路湖の北側、登山道を少し上ったところにある展望台です。眼下には釧路湿原最大の湖・塘路湖と、点在する沼が一望できます。朝もやが立つ早朝や、夕日が湖面を染める時間帯がとくに美しく、写真好きに人気のスポットなんですよ。
湿原の水辺で遊ぶスポット
- 塘路湖 – 釧路湿原のなかで最大の湖で、カヌーの発着地として知られています。ハクチョウやオジロワシ、タンチョウなど水鳥の宝庫で、ガイドと一緒に釧路川へ漕ぎ出すツアーが人気です。水面ぎりぎりの目線で見る湿原は、展望台からとはまた違った迫力がありますよ。
- シラルトロ湖 – 塘路湖の近くにある海跡湖で、こちらも水鳥が多く集まります。湖を望む高台には温泉宿もあり、ゆっくり湿原の景色を楽しめます。早朝は霧に包まれ、幻想的な雰囲気に。静かに自然と向き合いたい人に向いた場所です。
歴史と自然を学ぶスポット
- 標茶町博物館 ニタイ・ト – 塘路湖畔にある町立博物館で、開館は9:30〜16:30、観覧料は一般220円(高校生以下・70歳以上・障がいのある方は無料)です。休館日は月曜(祝日の場合は翌日)と年末年始で、7〜8月は無休です(出典:HOKKAIDO LOVE!)。アイヌ語で「森と湖」を意味する館内には、ヒグマやシマフクロウの剥製、アイヌ文化の資料が並びます。
- 北海道集治監釧路分監 本館 – 博物館の隣に建つ明治時代の洋館で、2018年まで郷土館として使われていました。標茶町指定の有形文化財で、建物の内部も見学できます。ただし冬期は閉鎖されるので、訪れる前に開館状況を確認しておくと安心です。囚人の町として栄えた標茶の歴史を、肌で感じられる場所です。
- 標茶駅 – 冬にSL冬の湿原号が釧路駅から到着する終着駅です(出典:JR北海道)。汽笛とともに白い蒸気をあげて入線するSLは、鉄道ファンならずとも見惚れる迫力。到着にあわせて、駅前で特産品の販売が行われることもあります。
標茶町の観光ルート

標茶町は鉄道も道路も南北に細長く延びています。観光の中心は、南部の塘路エリアと北部の多和エリア。車があれば1日で湿原と牧場を一気に回れますし、列車なら釧路から名物のSL・トロッコ列車に揺られて訪れるのも楽しいですよ。いくつかモデルルートを紹介します。
【車・1日】湿原と牧場をめぐる町内ルート
9:00 標茶駅 → 9:25 多和平 → 11:00 塘路湖 → 12:30 昼食 → 14:00 コッタロ湿原展望台 → 15:30 標茶町博物館ニタイ・ト
①多和平(60分)→ まずは360度の地平線で旅をスタート。朝は空気が澄み、放牧の牛が草を食む風景に出会えます。
②塘路湖(90分)→ カヌーで釧路川へ。水面からの目線で、湿原と野鳥を間近に感じられます。
③コッタロ湿原展望台(60分)→ 砂利道の先にある展望台へ。午後のやわらかな光のなか、原始のままの湿原を見渡せます。
④標茶町博物館ニタイ・ト(60分)→ 締めくくりに町の自然と歴史をおさらい。閉館の16:30前に入りましょう。
【鉄道・半日】名物列車で行く塘路ルート
釧路駅 →(くしろ湿原ノロッコ号 約45分)→ 塘路駅 → サルボ展望台 → 塘路湖 → 標茶町博物館ニタイ・ト
①くしろ湿原ノロッコ号(約45分)→ 春から秋はこの列車での移動そのものが目的。窓のない車両で、湿原を渡る風を浴びながら塘路へ向かいます。
②サルボ展望台(40分)→ 塘路駅から歩いて登り、塘路湖と湿原を一望。坂を上りきった瞬間の眺めが格別です。
③塘路湖(40分)→ 湖畔をのんびり散策。野鳥の声に耳を澄ませてみてください。
④標茶町博物館ニタイ・ト(60分)→ 徒歩圏の博物館でしめくくり。雨の日でもじっくり楽しめます。
【車・1日】広域ルート:標茶と摩周・川湯
9:00 多和平 → 11:00 摩周湖(弟子屈町) → 12:30 硫黄山(弟子屈町) → 14:00 川湯温泉(弟子屈町) → 16:00 標茶へ戻る
①多和平(60分)→ 北の高原で朝の絶景を楽しんでから、隣町弟子屈町へ北上します。
②摩周湖(40分)→ 透明度で名高い湖。その伏流水は、標茶の名水や名牛を育てる水でもあります。
③硫黄山(40分)→ かつて標茶と鉄道で結ばれ、硫黄を運んだ歴史の地。今も噴気が立ちのぼります。
④川湯温泉(90分)→ 酸性泉で知られる温泉地でひと休み。標茶の自然と地続きの火山の恵みを体感できます。
標茶町の年間イベント

標茶町のイベントは、季節の自然や酪農と結びついているのが特徴です。冬は雪原を走るSL、秋は収穫を祝う産業まつり。派手さよりも、町の暮らしがそのまま表れたような催しが多いんですよ。季節ごとに見ていきましょう。
春〜夏:くしろ湿原ノロッコ号と湿原のシーズン
春から秋にかけて、釧路駅と塘路駅を結ぶトロッコ列車「くしろ湿原ノロッコ号」が運行されます(出典:JR北海道)。窓のないオープンな車両で湿原の風を浴びながら走る、初夏から夏の風物詩です。この時期は塘路湖のカヌーや多和平のキャンプも本格シーズンに入ります。多和平キャンプ場は例年5月から10月の営業です(出典:標茶町)。
秋:標茶町産業まつり
秋の一番の楽しみが、毎年9月ごろに開かれる「標茶町産業まつり」です(出典:標茶町観光協会)。半世紀以上の歴史を持つイベントで、その場で焼いて味わう焼肉コーナーや、地場野菜・生牡蠣が並ぶ標茶マルシェが人気。酪農のまちらしく、牛乳や乳製品もずらりと揃います。お笑いライブや大抽選会もあって、家族連れで一日中にぎわうんですよ。
冬:SL冬の湿原号と多和平の初日の出
冬の主役は、釧路駅から標茶駅まで雪の釧路湿原を走る「SL冬の湿原号」です。例年1月から3月ごろに運行され、黒い煙をあげて雪原を進む姿は、この季節だけの絶景なんですよ(出典:JR北海道)。元日の早朝には、多和平で初日の出を迎える催しもあり、会場ではホット牛乳が振る舞われます。凍てつく寒さのなかで飲む一杯は格別です。
標茶町のエリア別の顔

標茶町は南北に約60km、東京都の半分ほどの広さがあり、エリアごとに表情が大きく異なります(出典:標茶町)。南部は釧路湿原と湖の観光エリア、中央は釧路川沿いの市街地、北部から東部は牧場と開拓地が広がる酪農エリア。旅の目的に合わせて訪れるエリアを選ぶのがおすすめです。主なエリアを紹介します。
標茶市街エリア──町の玄関口とSLの終着駅
釧路川沿いに広がる中心市街地で、役場や標茶駅、商店が集まります。冬はSL冬の湿原号の終着駅としてにぎわい、汽笛が町に響きます。日本一広い標茶高校もこのエリアです。旅の拠点として食事や買い物をするのに便利な場所なので、まずはここで町の空気をつかむといいですよ。
塘路エリア──釧路湿原と湖の観光拠点
南部の塘路は、塘路湖やシラルトロ湖、コッタロ湿原が集まる観光の中心エリアです。カヌーや展望台めぐり、博物館見学と、湿原の自然をいちばん濃く味わえます。野鳥や朝もやの風景を狙うなら、早朝に訪れるのがおすすめ。自然好きにはたまらないエリアなんですよ。
多和エリア──地平線の牧場と星空
北部の多和は、広大な育成牧場と多和平が広がる高原エリアです。放牧の牛、なだらかな丘、遮るもののない地平線──北海道らしい風景を求める人にぴったり。夜は街明かりが届かず、満天の星が楽しめます。キャンプやツーリングの拠点としても人気のエリアです。
虹別エリア──開拓の面影が残る東部の酪農地帯
東部の虹別は、西別川の源流域に広がる酪農地帯です。大正期から本格的な開拓が始まった土地で、今も大規模な牧場が点在します。観光地化されていないぶん、働く牧場と暮らしのリアルな風景に出会えるエリア。ドライブの途中に立ち寄って、酪農のまちの素顔を感じてみてください。
標茶町の気候・季節の暮らし

標茶町は、夏が短く涼しく、冬は厳しく冷え込む内陸的な気候です。気象庁の平年値(1991〜2020年)では、年平均気温5.4℃、最も暖かい8月でも平均18.4℃、最も寒い1月は平均-7.9℃と、一年を通して涼やかです(出典:気象庁)。積雪は多くないものの寒さは厳しく、全国の最低気温ニュースに町の名前が出ることもあります。季節ごとの暮らしを見ていきましょう。
夏──6〜8月の暮らし
夏は短く、平均気温が最も高い8月でも18.4℃ほどです。日中に30℃近くまで上がる日もありますが、朝晩はひんやりとして過ごしやすいんですよ。湿度が低く本州のような蒸し暑さがないので、夜は窓を開けて眠れる日が多い。湿原の緑がいちばん濃くなる、観光にも暮らしにも気持ちのいい季節です。
秋──9〜10月の暮らし
秋は晴天が多く、空気が澄んでいきます。10月の平均気温は8.9℃まで下がり、晩秋の早朝はぐっと冷え込みます。紅葉と刈り取り後の牧草地が金色に染まる時期で、朝もやが湿原を包む幻想的な風景に出会えます。ストーブの準備を始めるのも、だいたいこのころなんですよ。
冬──11〜3月の暮らし
冬が標茶のいちばんの試練です。1月は日中の最高気温の平年値も-1.4℃で、昼でも氷点下が続く真冬日が当たり前。朝の最低気温の平年値は-15.2℃、過去には-29.5℃まで下がった記録もあります(気象庁平年値)。一方で年間の降雪量は338cm、最深積雪は59cmほどと、豪雪地帯ほどは積もりません。寒さ対策は必須ですが、雪かきの負担は比較的軽いほうです。
春──4〜5月の暮らし
春の訪れはゆっくりで、4月の平均気温は3.6℃。雪が解けきるのも本州よりずっと遅めです。5月になってようやく牧草が芽吹き、放牧が始まります。気温の上下が大きい時期なので、薄手の上着が手放せません。長い冬を越えた分、芽吹きの季節のうれしさはひとしおですよ。
標茶町の移住・暮らし情報

標茶町での暮らしは、酪農を中心とした地方の町ならではの落ち着いたリズムです。買い物や病院は市街地に集まり、車があれば日常はほぼ完結します。光回線も全地域で使え、テレワークもしやすい環境です(出典:標茶町)。移住者向けの「お試し暮らし」など、受け入れの仕組みも整っているんですよ。住む視点で見ていきましょう。
通勤・通学
町内の酪農・畜産関係や役場、農協、病院などに勤める人が中心です。釧路市まで車で40分ほどなので、釧路へ通う人もいます。町有バスが6路線運行され、釧網本線には塘路・茅沼・標茶・磯分内の4駅があります(出典:標茶町)。通学は町内の小中学校と、日本一広い敷地の標茶高校が基本です。
住宅環境
賃貸物件の数は多くなく、戸建てや町営住宅が暮らしの中心です。物件があまり出回らないため家賃相場を一概には示しにくいのですが、都市部に比べて住居費はかなり抑えられると考えられます。移住を考える人には、家具家電付きの「お試し暮らし住宅」が用意され、まずは生活を体験できます(出典:標茶町)。
買い物環境
日常の買い物は、標茶市街のスーパーや商店でそろいます。まとまった買い物や専門店は、車で40分ほどの釧路市まで足を延ばすのが現実的です。新鮮な牛乳や乳製品、地場野菜が手に入るのは酪農のまちならでは。冷凍庫を大きめにして、まとめ買いをする家庭が多いと考えられます。
子育て・教育
町内には小・中学校のほか、道立の標茶高校があり、酪農教育に力を入れているのが特徴です。高校には全国でも珍しい搾乳ロボットが導入され、牛舎での実習もできます。自然のなかでのびのび子育てしたい家庭に向いた環境ですよ。詳しい支援制度は町の窓口で確認できます(出典:標茶町)。
医療環境
町の中心には町立の標茶町立病院があり、内科・外科・小児科・産婦人科・リハビリテーション科などを診療、急患は24時間受け入れています(出典:標茶町立病院)。ほかに歯科医院が2か所、動物病院が1か所あります(出典:標茶町)。高度な医療が必要なときは、釧路市の総合病院が受け皿になります。
エリア別の暮らし視点
暮らしの拠点になるのは、役場や病院、学校が集まる標茶市街エリアです。塘路エリアは湿原に近く静かですが、買い物は市街地まで出る前提に。多和や虹別など北部・東部は、酪農を生業にする人や、広い土地でのびのび暮らしたい人に向いています。生活の便を取るなら、市街地中心が安心ですよ。
標茶町へのアクセス

標茶町へは、釧路を玄関口にして向かうのが基本です。最寄りの空港はたんちょう釧路空港、最寄りのターミナル駅はJR釧路駅。そこから車かJR釧網本線で北上します。札幌からはかなり距離があるので、道外からなら飛行機+レンタカーが現実的ですよ。
車でのアクセス
釧路市の中心部から国道391号で約40km、車でおよそ50分です。札幌からは約345km、車で約5時間が目安で、最寄りインターは道東自動車道の阿寒ICになります(出典:くらしごと(北海道移住情報サイト))。町内は広く移動距離も長いので、車があるととても便利です。
鉄道+バスでのアクセス
JR釧網本線が町を南北に通り、釧路駅から標茶駅まで普通列車でおよそ50分から1時間です(出典:JR北海道)。冬はSL冬の湿原号、春から秋はくしろ湿原ノロッコ号も走るので、移動そのものを楽しめます。釧路空港と釧路駅の間は、阿寒バスの空港連絡バスで結ばれています(出典:阿寒バス)。
飛行機でのアクセス
道外からは飛行機が便利です。羽田空港からたんちょう釧路空港までおよそ1時間40分、空港から標茶町までは車で1時間10分ほどです(出典:標茶町)。釧路駅まで出ればJRも使えます。レンタカーを借りて、そのまま観光へ向かう人が多いですよ。
町内移動の現実的アドバイス
町は南北に約60kmと広く、観光地も点在しているため、しっかり回るなら車が前提です。鉄道は本数が限られるので、時刻表は事前に確認を。冬季は路面の凍結や一部道路の通行止めもあるので、スタッドレスタイヤと、時間に余裕を持った計画が安心です。
【地元住民に直撃!】標茶町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
酪農をしています。実家の牛を継いで、毎日朝と夕方の搾乳に追われる暮らしです。乳牛が中心ですが、肉牛も少し見ています。
標茶は牛の数が人の何倍もいる町ですから、酪農家として生きるには本当に恵まれた場所だと思っています。広い牧草地と、夏でも涼しい気候。牛にとっても人にとっても、ちょうどいい土地なんですよ。
Q2.標茶町に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
有名どころなら、やっぱりコッタロ湿原展望台です。階段を上った先に、手つかずの釧路湿原がどこまでも広がっていて、運がよければタンチョウにも会えます。標茶観光の入口ですね。
地元の人間として推したいのは多和平です。早朝、霧が晴れて地平線まで牛が見えてくる瞬間の空気は、観光客には知られていない標茶のおすすめスポット。夜は星が降ってきそうなほどなんですよ。
Q3.標茶町でお土産を買うとしたらなんですか?
無難なのは、地元の牛乳や乳製品ですね。標茶の有名なものといえばやっぱり牛乳で、飲んでもらえば味の濃さですぐ分かると思います。ブランド牛の星空の黒牛も喜ばれます。
地元の人がこっそり買うのは、塘路の湖でとれたわかさぎの佃煮です。スーパーの片隅に置いてあることもあって、ご飯のお供に最高なんですよ。観光の人はなかなか気づかないですね。
Q4.外から人が来たときに、標茶町でまず連れていく店はどこですか?
多和平のグリーンヒル多和に連れていくことが多いです。地元のラム肉や標茶の牛肉が食べられて、景色も含めて「これが標茶だよ」と一度で伝わる場所なんですよ。
あとは標茶観光の流れで、市街地の食堂で焼肉を囲むことも多いです。酪農の町なので、肉をみんなで焼いて食べるのがいちばんのもてなし。気取らない店ばかりですけど、それが標茶らしさだと思います。
Q5.標茶町はどんな気質だと思いますか?
大らかで、粘り強い人が多いです。富山や長野から開拓に入った人たちが、原野を一から牧場に変えてきた土地なので、根っこに「自分でなんとかする」という気質があるんですよ。
そのぶん、人との距離は近すぎず遠すぎず。大規模な酪農は一軒では回らないので、いざというときは黙って手を貸し合う。そういう助け合いが、今も普通に残っている町だと感じています。
Q6.昔に比べて、標茶町の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言うと、人は減りました。子どものころにあった学校もいくつか閉校しましたし、町民センターに集まる顔ぶれも、年々高齢になってきているのを感じます。
ただ、酪農そのものは大規模になって元気です。SL冬の湿原号やノロッコ号で外から来てくれる人も増えましたし、町長をはじめ町ぐるみで移住や観光に力を入れていて、寂れていく一方ではないと思っています。
Q7.標茶町のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
引退した馬を受け入れる「ホースタウン」の取り組みには期待しています。軍馬で栄えた歴史のある町なので、また馬と人がつながる場所になればいいなと思うんですよ。
大きな施設より、標茶運動公園のような今ある場所が長く使われ続けることや、摩周湖からの水源に支えられたきれいな水と牛乳を、次の世代にちゃんと残していけたら。それがいちばんの願いですね。

