現在岩手県の33市町村中0市町村を執筆済み
「1741市町村すべてを紹介する」という壮大なプロジェクト。青森県を歩き終えて、次の一歩に選んだのが岩手県です。北海道に次いで全国で2番目に広く、東は太平洋(三陸海岸)に長く面し、西を奥羽山脈に区切られたこの地を、4つの広域振興局に沿って少しずつ歩いていきます。
14市10町9村、あわせて33の市町村。有名な観光地はもちろん、名前を聞いたことのない小さな町や村にも、必ずその土地ならではの物語があります。このページを入り口に、あなたの知らない岩手と出会っていただけたら嬉しいです。
以下、広域振興局別に市町村をご紹介します。
盛岡広域振興局
新幹線を降りて、盛岡駅の改札を抜けた先に広がるのが盛岡広域振興局のエリアです。県都・盛岡市を中心に、八幡平の裾野へ伸びる八幡平市・岩手町・葛巻町、姫神山と岩手山に見守られた滝沢市・雫石町、そして北上川沿いに南へ続く紫波町・矢巾町まで、内陸の北上盆地と奥羽の山並みに抱かれた、米どころにも温泉にも恵まれた土地。北は青森、西は秋田へと、北東北の交通が一点に集まる場所でもあります。
楽しみ方は、二つの名峰を仰ぎながら盆地をぐるりとめぐる旅。朝は盛岡の街でわんこそばや冷麺に挑み、昼は小岩井農場や雫石の高原で岩手山を一望、夕方には八幡平や繋温泉でひと風呂——乳白色の湯と山の夕映えはこの一帯の名物です。城下町の風情と高原リゾートで食も湯も山遊びも欲張れて、車でもIGRいわて銀河鉄道でも、たどり方しだいで何度でも新しい一日が成り立つ地域です。
県南広域振興局
盛岡を抜けてさらに南へ下ると、ここもまた海をいっさい持たない、内陸の県南エリアが広がります。花巻・北上・奥州・一関と、城下町や宿場の面影を残す街が北上川沿いに連なる、岩手でも指折りの穀倉地帯。西は奥羽山脈、東は北上高地に挟まれ、霊峰・早池峰山が旅人の道行きを静かに見守ります。
そのぶん土地は山と川に磨かれ、北上盆地を潤す北上川が県を代表する米どころを育て、世界遺産・平泉の黄金文化や、宮沢賢治・遠野物語といった物語の数々をこの地に残してきました。
楽しみ方は、歴史・桜・牛・温泉を一筆書きでめぐる旅。まずは平泉へ、中尊寺金色堂の黄金と毛越寺の浄土庭園に、奥州藤原氏の栄華をしのびます。
前沢牛やわんこそばで腹ごしらえをしたら、北上展勝地のみちのく三大桜並木をくぐり、遠野でカッパと民話の世界に遊ぶ。締めは花巻温泉郷でひと風呂——賢治が愛した山あいの湯に浸かれば、海なし地域ならではの満ち足りた一日が静かに暮れていきます。
沿岸広域振興局
県南の山あいを東へ抜けると、視界がふいに開けて、岩手で初めての海——太平洋が広がります。それが沿岸エリア。宮古・釜石・大船渡を背骨に、北は山田・岩泉・田野畑、南は大槌・陸前高田・住田まで、複雑に入り組んだリアス海岸が南北に長く連なります。湾ごとに表情の違う入り江が、わかめ・牡蠣・うに・ほたてと、四季の海の幸を惜しみなく育ててきました。
そのぶん土地は波と潮に磨かれ、黒潮と親潮がぶつかる三陸の海が世界有数の漁場を育て、浄土ヶ浜の白い岩肌や北山崎の断崖といった、荒々しくも美しい景観をこの海岸線に刻んできました。震災を越えて歩み続ける、復興と祈りの地でもあります。
楽しみ方は、海岸線をひと筆書きで南北にたどる旅。まずは宮古・浄土ヶ浜へ、青い入り江に浮かぶ白い岩と、さっぱ船でめぐる海のいろどりに見とれます。
海鮮丼やうに弁当で腹ごしらえをしたら、三陸鉄道に揺られて車窓いっぱいの大海原を眺め、釜石で「鉄と魚とラグビー」の物語に触れる。締めは浜辺の湯でひと風呂——潮騒を聞きながら湯に浸かれば、海とともに生きる一日が静かに暮れていきます。
県北広域振興局
岩手をさらに北へ、青森との県境に近づくにつれ広がるのが県北エリアです。内陸の二戸を中心に、軽米・九戸・一戸が北上高地の北のはずれに連なり、海側では久慈・洋野・野田・普代が、三陸最北のリアス海岸沿いに並びます。馬淵川が刻んだ谷あいの畑と、黒潮の北限に近い磯場。山と海の二つの表情を、ひとつの圏域のなかに併せ持つ土地です。
冷涼な高原は短角牛やブロイラーを育み、漆かきの伝統が息づく浄法寺の漆や、雑穀の畑が山あいに広がります。海では「北限の海女」が今も素潜りでうにを採り、久慈の琥珀は数千万年の時を閉じ込めて、訪れる人を悠久の物語へといざないます。
朝は二戸・浄法寺で日本一の漆の里と天台寺を訪ね、昼は久慈で海女さん直送のうに丼に舌鼓——夕方は小袖海岸の磯を歩き、三陸鉄道に揺られて北の終着・久慈の港町に灯がともるのを眺める。山の幸と海の幸、そのどちらも欲張りに味わえる、岩手のいちばん奥深い北のはての地域です。
