佐井村(さいむら)は、青森県下北半島の西岸、津軽海峡に面した人口1,402人の小さな村です。下北半島を「まさかり」に見立てると、ちょうど刃の部分にあたります。晴れた日には海の向こうに北海道・函館を望めます。
佐井村の見どころを5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 仏ヶ浦──約2kmにわたり白緑色の奇岩が連なる国の名勝・天然記念物
- ✅ 北限のサル──世界で最も北に暮らすニホンザルの生息地(国の天然記念物)
- ✅ 福浦歌舞伎──漁師が120年以上演じ継ぐ全国的に珍しい「漁村歌舞伎」
- ✅ 縫道石山──氷河期の地衣類オオウラヒダイワタケが育つ国の天然記念物の岩峰
- ✅ 旬は6月、濃厚なキタムラサキウニ──毎年「佐井村うに祭り」を開催
「秘境の絶景を見たい旅行者」「地学や自然史に興味がある人」「人混みを避けて静かな漁村に身を置きたい人」に特におすすめの村です。本記事では、観光・歴史・文化・特産まで、下北半島の最果ての村の素顔を順に紹介します。
| 人口 | 1,402 人 ※2026年5月1日時点(推計人口) |
|---|---|
| 面積 | 135.05 km² |
| 人口密度 | 10.4 人/km² |
地理的には、北は本州最北端の大間町に、東から南にかけてはむつ市(旧川内町・旧脇野沢村方面)に接しています(出典:青森県庁)。集落は海岸線に沿って原田・古佐井・大佐井・矢越・磯谷・長後・福浦・牛滝の8地区が点在し、山間部に川目地区があります。村内に鉄道は通っておらず、最寄りはJR大湊線の下北駅で、そこから国道338号を北上します。
名勝・天然記念物・伝統芸能と、海と山に挟まれたこの村には「ここにしかないもの」がぎゅっと詰まっています。ひとつずつ見ていきましょう。
佐井村の推しポイント

佐井村の魅力は、海岸の絶景と、半島の最果てだからこそ守られてきた自然・文化に集約されます。海上から眺める仏ヶ浦の奇岩群、世界最北のサル、漁師が演じ継ぐ歌舞伎、氷河期の植物が残る岩山──どれも他の場所では味わえないものばかり。ここからは、その代表格を5つ深掘りしていきます。
推しポイント1:仏ヶ浦──海から見上げる白緑の奇岩群
村の南部、津軽海峡に面した海岸に約2kmにわたって奇岩・断崖が連なる景勝地が仏ヶ浦です。国の名勝および天然記念物に指定されています(出典:佐井村公式サイト)。白緑色の凝灰岩でできた奇岩は「如来の首」「五百羅漢」「極楽浜」など仏にちなんだ名で呼ばれ、まるで石の仏像が並んでいるかのよう。90mを超える断崖もあり陸からは近づきにくいので、佐井港から出る観光船で海上から見上げるのが一番のおすすめなんですよ。年間20万人ほどが訪れる、村の一番の顔です。
推しポイント2:北限のサル──世界で一番北に暮らすニホンザル
下北半島は、ヒトを除く霊長類が地球上で最も北に生息する地として知られています。この「北限のサル」は国の天然記念物(指定名称「下北半島のサルおよびサル生息北限地」)で、佐井村の山間部もその生息域に含まれます(出典:青森県庁)。運がよければ仏ヶ浦への道中などで群れに出会えることもあります。
推しポイント3:福浦歌舞伎──漁師が継ぐ漁村歌舞伎
村南部の福浦地区には、明治時代から漁師たちが演じ継いできた福浦歌舞伎があります。全国的にも珍しい「漁村歌舞伎」で、青森県の無形民俗文化財に指定されています(出典:佐井村公式サイト)。福浦地区は「にほんの里100選」にも選ばれています。120年以上、娯楽の少ない冬の楽しみとして受け継がれてきた、生活に根ざした芸能なんです。
推しポイント4:縫道石山──氷河期の植物が残る岩峰
福浦の山側にそびえる標高626mの岩山が縫道石山(ぬいどういしやま)です。山頂の岩には、北米アパラチア山脈などに分布する珍しい地衣類オオウラヒダイワタケが育ち、「縫道石山・縫道石の特殊植物群落」として1976年に国の天然記念物に指定されました(出典:文化遺産オンライン(文化庁))。氷河期の名残をとどめる、植物地理学的にも貴重な山です。
推しポイント5:海の幸とうに祭り
津軽海峡の荒波で育った魚介は佐井村の自慢。とりわけ6月が旬のキタムラサキウニは絶品で、毎年初夏には「佐井村うに祭り」が開かれ、限定のうに丼を求めて行列ができます。詳しくは特産品セクションで紹介しますね。
佐井村の歴史

佐井村の歴史は、海とともにあります。古くは蝦夷の定住集落があったとみられ、江戸時代には南部藩領としてヒバと海産物の積出し港、そして蝦夷地への渡し場として栄えました。明治の町村制施行で現在の村のかたちが生まれ、平成の大合併では単独村として残る道を選び、今に至ります。
古代〜江戸時代──海峡の要港として
下北半島は藩政時代に南部藩(盛岡藩)に属し、佐井村は青森ヒバ(南部ひば)の産地および積出し港として、また蝦夷地へ渡る船の港として賑わいました。佐井は「下北七湊」の一つに数えられ、北前船も寄港しています(出典:青森県庁)。享和3年(1803年)には、江戸幕府が佐井と函館(箱館)を結ぶ航路を、海峡を渡るメインルートと定めました。
明治の村制施行
1889年(明治22年)4月1日、町村制の施行により下北郡佐井村および長後村が廃され、その区域をもって下北郡佐井村が設置されました。海岸沿いの集落が一つの村にまとまり、現在の行政区域の原型ができあがります。
現代──単独の村として歩む
2005年(平成17年)には、大間町・風間浦村とともに「北通り三町村合併協議会」が設置され、平成の大合併に向けた話し合いが行われました。最終的に合併は実現せず、佐井村は単独の村として歩む道を選びます。人口減少が続くなか、仏ヶ浦観光や漁業、伝統芸能の継承を支えに、村は今も独自の歩みを続けています。
佐井村の文化・風習

方言と話し方の特徴
みなさん、青森県の方言というと津軽弁を思い浮かべるかもしれませんが、下北半島には「下北弁(下北方言)」という独自の言葉があります。旧南部藩域なので南部弁がベースですが、海上交通を通じて津軽弁や北海道方言の影響も受けた、開放的で味のある方言なんですよ(出典:下北弁(Wikipedia))。
とくに佐井村や脇野沢方面では、丁寧な言い回しや相づちの語尾にぬす/ぬし(〜ですね、にあたる丁寧な語尾)が使われるのが特徴です。たとえば「そうですね」はほんだにし(そうですね)、「どうでしょうか」はどうだべがにし(どうでしょうか)のように言います。同じ青森でも津軽弁とはまた違う響きで、漁師町ならではの言葉が今も生きています。
食卓と季節の暮らし
海に面した村なので、食卓には津軽海峡の幸が並びます。初夏はうに、季節ごとにイカやタコ、たらなど、その日の漁で揚がったものが当たり前のように食卓にのぼる暮らし。冬は津軽海峡からの強い風が吹きつけ、山間部は深い雪に覆われますが、海沿いの平地は強風のおかげで意外と雪が積もりにくい、というのも漁村ならではの風景です。
人の気質と地域のつながり
かつて北前船や蝦夷地への航路で外の世界とつながってきた港町だけあって、よそから来た人を受け入れる開放的な空気があります。福浦歌舞伎が度重なる存続の危機を乗り越えて受け継がれてきたように、小さな集落だからこそ、人と人とのつながりや「みんなで支える」という意識が今も色濃く残っています。
佐井村の特産品・食

特産品1:キタムラサキウニ
佐井村の初夏を代表する味覚といえば、なんといってもうにです。津軽海峡の冷たい海で育ったキタムラサキウニは、甘みが濃く、口の中でとろけるような味わい。旬は6月。毎年この時期に開かれる「佐井村うに祭り」では、2026年(令和8年)は6月21日に津軽海峡文化館「アルサス」で開催され、しじみ汁付きのうに丼が先着1,000食限定(1食2,500円)で振る舞われます(出典:青森県庁)。獲れたてを炊きたてのご飯にのせて食べるうに丼は、行列ができるのも納得の一杯ですよ。
特産品2:津軽海峡の魚介
うに以外にも、佐井村には7つの漁港があり、イカやタコ、たらなど四季折々の海の幸が水揚げされます。村南部・福浦地区は「ウニ、タコなどの漁を山が迫る港で営む漁村」として、暮らしの風景そのものが評価され「にほんの里100選」に選ばれました(出典:佐井村公式サイト)。鮮度がいいので、刺身でも煮ても、その日のうちに味わうのが一番です。
特産品3:青森ヒバ(南部ひば)
海の幸だけでなく、佐井村は古くから青森ヒバ(南部ひば)の産地としても知られてきました。江戸時代には南部藩の重要な積出し港として栄えた歴史があり、村の面積の多くを占める恐山山地の森が、その背景にあります。独特の香りと耐久性をもつヒバは、今も下北を代表する木材として受け継がれています。
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佐井村の観光スポット

佐井村の観光は、海と山にくっきり分かれます。まず外せないのが海の絶景・仏ヶ浦。そして山側には国の天然記念物を抱く岩山や、漁師が継ぐ歌舞伎の舞台があります。どこも村の中心・佐井港から動き出すと回りやすいので、まずは港のランドマーク施設を起点に考えてみてくださいね。
海の絶景を味わうスポット
- 仏ヶ浦 – 約2kmにわたり白緑色の凝灰岩の奇岩が連なる、国の名勝・天然記念物です。陸路では標高差100mの急な坂を下る必要があるため、佐井港から出る高速観光船で海上から見上げるのがおすすめ。仏ヶ浦行きの定期便は5月1日〜10月末日まで運航し、佐井港から片道およそ30分です(出典:仏ヶ浦海上観光株式会社)。桟橋に着いて奇岩の足元を歩くと、ときどき岩が崩れ落ちる音が聞こえてきて、自然がまだ動いていることを肌で感じられるんですよ。
- 願掛岩 – 佐井港から仏ヶ浦へ向かう航路の途中、津軽海峡に突き出してそびえる海抜100m級の巨岩です。見ようによっては男女が寄り添っているように見えることから、古くより縁結びの岩として信仰されてきました(出典:下北ジオパーク)。船からしか見られない角度なので、遊覧船に乗ったらぜひ見上げてみてください。
山と地学を楽しむスポット
- 縫道石山(ぬいどういしやま) – 福浦の山側に標高626mの岩峰がそそり立ちます。山頂の岩には氷河期の名残とされる地衣類オオウラヒダイワタケが育ち、「縫道石山・縫道石の特殊植物群落」として1976年に国の天然記念物に指定されました(出典:文化遺産オンライン(文化庁))。登山口から山頂までは1時間半ほど。クライミングの対象としても知られる、迫力ある一枚岩です。
- 佐井村は下北ジオパークの構成エリアでもあります。北前船で栄えた港町の歴史と、海底火山がつくった奇岩の地形を合わせて学べるのが、この村を歩く面白さなんですよね。
文化・拠点となるスポット
- 津軽海峡文化館アルサス – 佐井港のすぐそばに立つ、村の観光拠点です。1階は観光案内所と特産品・海産物の売店、2階は本州最北限の博物館「佐井村海峡ミュウジアム」と食事処、3階は津軽海峡を見渡す展望室という構成。仏ヶ浦遊覧船の乗船手続きもここで行います(出典:青森県観光情報サイト Amazing AOMORI)。天気がよければ展望室から函館や松前半島まで見え、運がよければ望遠鏡でイルカを探せることもあるんですよ。
- 歌舞伎の館 – 福浦地区にある、福浦歌舞伎の拠点施設です。300人収容の観劇スペースと、長年使われてきた貴重な衣装・道具の展示コーナーがあります(出典:佐井村観光協会)。上演時のみ開館する不定期運営なので、訪れる前に上演スケジュールを確認しておくと安心です。
佐井村の観光ルート

佐井村は鉄道が通っていないので、旅の基本は車です。最寄りのJR下北駅から国道338号を北上し、大間町を経由して入るのが定番ルート。村に着いたら港のアルサスを起点に動くと、仏ヶ浦も山側のスポットもきれいにつながりますよ。
【車・1日】仏ヶ浦と佐井満喫ルート
9:00 JR下北駅 → 10:30 アルサス(佐井港・車約1時間10分)
①津軽海峡文化館アルサス(30分)
→ まずは観光案内所で情報収集し、遊覧船のチケットを確保。展望室から海の向こうの北海道を眺めて旅の気分を高めましょう。
②仏ヶ浦(遊覧船往復+散策で約1時間30分)
→ 高速観光船で海上から奇岩群へ。午前中は光が海に差し込んで、白緑色の岩がいっそう際立ちます。
③願掛岩(航路上)
→ 仏ヶ浦への行き帰り、船から見上げる巨岩。縁結びを願うならここでひと祈り。
④縫道石山(眺めるだけなら15分)
→ 福浦方面へ向かう道中、圧倒的な存在感の岩峰を車窓から。時間と体力があれば登山も。午後の斜光で岩肌の陰影が深まります。
【車・半日】佐井中心部さんぽルート
13:00 アルサス → 13:20 願掛岩・公園 → 14:30 佐井の町並み
①津軽海峡文化館アルサス(40分)
→ 海峡ミュウジアムで村の歴史をさらっと予習。北前船で栄えた港町の背景がわかると、その後の散策が深まります。
②願掛岩・公園(30分)
→ 陸側からも岩の全景を望めます。海風に吹かれながらのんびり過ごすのにちょうどいい時間帯です。
③佐井(古佐井・大佐井)地区の町並み(40分)
→ 村の人口の6割近くが集まる中心部。漁師町らしい路地を歩くと、暮らしの空気がそのまま残っているのを感じられますよ。
【車・1日】大間経由の広域ルート
9:00 大間崎 → 10:00 佐井・アルサス(車約1時間)→ 午後 仏ヶ浦
①大間崎(30分)
→ 本州最北端の大間町からスタート。大間まぐろの町で腹ごしらえしてから南下するのが王道です。
②津軽海峡文化館アルサス(30分)
→ 佐井港に到着したら遊覧船の手続きを。海産物のお土産もここで揃います。
③仏ヶ浦(約1時間30分)
→ 下北半島の最果てで見る奇岩の絶景は、わざわざ足を延ばす価値あり。1日かけてゆっくり巡りたいルートです。
ここまで見てきたとおり、見どころが少し離れた場所に点在していることもあります。気になるスポットをまとめて回るなら、レンタカーがあると一気に動きやすくなりますよ。料金は会社や時期でけっこう変わるので、まとめて比較できるサイトでサッと見ておくのがおすすめです。
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佐井村の年間イベント

佐井村のお祭りは、海の恵みと信仰に根ざしたものばかり。春は伝統芸能、初夏は旬のうに、秋は村最大の例大祭と、季節ごとに村の表情が変わります。小さな村だからこそ、住民総出のあたたかい熱気を間近で感じられるんですよ。
春:福浦歌舞伎 春の特別上演
毎年4月、福浦地区の「歌舞伎の館」で、漁師たちが演じ継いできた福浦歌舞伎の特別上演が一般公開されます(出典:佐井村観光協会)。県の無形民俗文化財に指定された本格的な舞台で、セリフに地元の言葉が混じるのも漁村歌舞伎ならでは。津軽三味線などのゲスト演奏が加わる年もあり、春の村がいちばん華やぐ日です。
初夏:佐井村うに祭り
毎年6月、津軽海峡文化館「アルサス」で開かれるのが、村いちばんの人気イベント「佐井村うに祭り」です。2026年は6月開催で、しじみ汁付きの特製うに丼が先着1,000食限定(1食2,500円)で振る舞われます(出典:青森県庁)。旬のキタムラサキウニを目当てに朝早くから行列ができ、殻付きの活うにや鮮魚の販売も。獲れたてのうにの濃厚な甘さは、ここでしか味わえません。
秋:箭根森八幡宮例大祭
毎年9月、村中心部で行われるのが佐井村最大の祭り「箭根森(やのねもり)八幡宮例大祭」です。元禄9年(1696年)に始まったと伝えられ、京都・祇園祭の流れを汲むとされます。「佐井の山車行事」として青森県の無形民俗文化財に指定されています(出典:しもきたツーリズム)。神楽・神輿・山車の長い行列が古佐井・大佐井地区を練り歩き、交差点では威勢のいい掛け声とともに山車を方向転換させる場面が見どころ。秋晴れの空の下、村が一年でいちばん活気づく3日間です。
佐井村のエリア別の顔

佐井村は南北に細長く、海岸線に沿って集落が点々と連なる形をしています。中心部の佐井地区、伝統文化が息づく福浦地区、最南端の牛滝地区と、同じ村でも表情はさまざま。旅の目的に合わせてエリアを選ぶと、村の奥行きをより楽しめますよ。
佐井(古佐井・大佐井)地区──村の玄関口
村の人口の6割近くが集まる中心エリアです。観光拠点のアルサス、箭根森八幡宮、商店や役場が集まり、旅の起点として一番動きやすい場所。仏ヶ浦遊覧船もここから出るので、まずこの地区を押さえるのが旅の基本です。漁師町らしいにぎわいと路地の風情を味わいたい人に向いています。
福浦地区──伝統文化と自然が濃いエリア
「にほんの里100選」に選ばれた、村南部の漁村です。福浦歌舞伎の「歌舞伎の館」があり、山側には縫道石山がそびえます。鎧張りの平屋が並ぶ町並みと、山が海に迫る地形が一体になった景観は、ここならでは。伝統芸能や登山に興味がある人がじっくり過ごすのに向いたエリアなんですよ。
牛滝地区──最果ての漁村
佐井村のいちばん南にある小さな集落です。仏ヶ浦にも近く、かつては牛滝港から仏ヶ浦への観光船も出ていました(現在は運航終了)。大漁や無病息災を願う「おこもり」など、漁村ならではの素朴な行事が今も残ります。観光地化されすぎていない、静かな最果ての空気を求める人にぴったりです。
佐井村の気候・季節の暮らし

佐井村は青森県下北半島の西岸、津軽海峡に面しています。気候を一言でいうと「夏は短く涼しく、冬は風の村」。村のほとんどを恐山山地の山々が占め、集落は海岸線沿いの細長い平地に並びます。海と山が近いぶん、同じ村でも山間部と海沿いで雪の量がまるで違うのが特徴なんですよ。
夏──短くて過ごしやすい
下北半島の夏は短く、本州のなかでは涼しい部類です。海から吹く風があるので、真夏でも夜は涼しく感じられます。6月にはうにが旬を迎え、海も穏やかになって、仏ヶ浦の遊覧船がいちばん気持ちよく走る季節。旅にも暮らしにも、いちばん心地よい時期と考えられます。
冬──雪より「風」が主役
冬になると、津軽海峡から強い季節風が吹きつけます。山間部は深い雪に覆われますが、海沿いの平野部は強風で雪が飛ばされ、意外と積もりにくいのが佐井村ならでは。とはいえ風はかなり厳しいので、防寒は雪国仕様でしっかり備えるのが暮らしの基本です。鉄道がないぶん、冬場の移動は車が頼りになります。
春・秋──風が和らぐ移ろいの季節
春は4月に福浦歌舞伎の特別上演があり、村がふっと華やぐ時期。秋は9月の箭根森八幡宮例大祭で一年の活気が頂点に達します。春先はまだ風が残りますが、季節が進むにつれて海も穏やかになり、暮らしのリズムもゆるやかになっていくのを感じられますよ。
佐井村の移住・暮らし情報

佐井村で暮らすということは、海とともに生きるということ。コンビニや大型店が並ぶ便利さとは違う一方で、目の前に津軽海峡が広がり、新鮮な魚介が日常にある暮らしです。村は移住者向けの補助制度も用意しているので、「静かな漁村で暮らしたい」人にとっては現実的な選択肢になりますよ。
通勤・通学
村内の主な仕事は、漁業や水産加工、役場、観光、福祉施設などです。村の中心は佐井(古佐井・大佐井)地区で、人口の6割近くがここに集まっています。高校は村内にないため、高校生はむつ市方面へ通うことになります。車社会なので、通勤・通学も自家用車が基本と考えておくと安心です。
住宅環境
佐井村は小さな村のため、賃貸物件の流通はとても限られます。空き家を活用したり、住宅を取得して住むケースが中心になると考えられます。村では、村外からの移住者を対象にした「移住者応援事業補助金」や「住宅取得支援事業補助金」などの制度を設けています(出典:あおもり移住・交流ポータルサイト)。
買い物・医療環境
日常の買い物は村内の商店でこなせますが、まとまった買い物や専門的な通院は、むつ市方面まで出るのが現実的です。村内には佐井村が運営に関わる佐井地区診療所があり、日常の医療を支えています(出典:佐井村公式サイト)。より高度な医療は、大間病院やむつ総合病院などが受け皿になります。
子育て・教育
村の小中学校は、中心部の佐井小学校・佐井中学校に統合されています。かつての福浦小中学校は2019年に閉校し、牛滝小中学校は休校となりました(出典:佐井村公式サイト)。少人数できめ細かい教育が受けられる一方、進学先や習い事の選択肢は都市部より限られる点は押さえておきたいところです。
エリア別の暮らし視点
暮らしの拠点としては、役場・診療所・学校・商店が集まる佐井地区がいちばん便利です。福浦地区は伝統文化と自然が濃い静かなエリア、牛滝地区は最南端の素朴な漁村で、どちらも生活の利便性より「静けさ」を重視する人に向いています。中盤で旅の視点から紹介したエリアごとの個性は、そのまま暮らしの色合いにもつながっているんですよ。
佐井村へのアクセス

佐井村は下北半島の最果てにあり、鉄道は通っていません。基本は車での移動になります。最寄りはJR大湊線の下北駅(むつ市内)で、ここを起点に大間町経由で村へ入るのが定番ルートです。函館からフェリーで大間港へ渡って入る海路もあります。
車でのアクセス
JR下北駅から国道338号を北上し、大間町を経由して佐井村へ向かいます。所要はおよそ1時間半前後。下北半島の海岸線を走る景色のよいドライブルートなので、レンタカーでの移動が現実的です。佐井地区からむつ市川内方面まではガソリンスタンドがない区間があるため、給油は早めにしておくと安心ですよ。
バスでのアクセス
むつ市内(下北駅・むつバスターミナルなど)から、下北交通の路線バス「佐井線」が運行しています。所要時間はおよそ3時間ほどです(出典:佐井村観光協会)。時刻は令和8年4月1日にダイヤ改正されているので、最新の時刻表で確認してから動くのがおすすめです(出典:下北交通株式会社)。
フェリー・飛行機でのアクセス
北海道方面からは、函館港から津軽海峡フェリー「大函丸」で大間港へ渡り、大間町からバス・タクシー・レンタカーで20〜30分というルートが便利です(出典:佐井村観光協会)。外ヶ浜町の蟹田港からむつ市脇野沢港へ渡るむつ湾フェリーもありますが、冬期は休業します。飛行機なら青森空港や三沢空港からレンタカー利用になりますが、いずれも3時間前後はかかると考えられます。
町内移動の現実的アドバイス
村内には鉄道がなく、路線バスも本数が限られるため、滞在中の移動は車があると圧倒的に動きやすいです。村のコミュニティバスは土日・祝日が運休で、一部路線は曜日が限られています(出典:佐井村公式サイト)。観光で訪れるなら、下北駅か大間でレンタカーを借りて回るのが一番確実ですよ。
交通手段ごとに見てきましたが、「結局いちばん安く行くにはどうすれば?」と迷う方も多いはず。飛行機で向かうなら、航空券は予約のタイミングや会社によって料金が大きく変わります。複数の航空会社・LCCをまとめて比較できるサイトで、いちど最安値をチェックしておくと安心ですよ。
【トラベリスト】
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【地元住民に直撃!】佐井村の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
仏ヶ浦へ向かう観光の遊覧船で、お客さんのご案内をしています。佐井村に長く住んでいて、季節になると毎日のように海へ出ているんですよ。
海の向こうに北海道が見える日もあって、こんな景色の中で働けるのは、この村ならではだなと思っています。
Q2.佐井村に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
やっぱり仏ヶ浦ですね。白緑色の奇岩が約2キロも続いていて、船から見上げると本当に圧倒されます。ときどき岩の崩れる音が聞こえて、自然がまだ動いているんだと肌で感じます。
地元の人間としては、福浦の集落から見上げる縫道石山の岩肌も好きです。観光客はあまり足を止めない場所ですが、夕方の光で陰影が深まる時間が一番きれいなんですよ。
Q3.佐井村でお土産を買うとしたらなんですか?
定番はやっぱり海産物ですね。うにや岩のりは、佐井村の海の濃さがそのまま出ていて喜ばれます。観光の拠点になっている文化施設の売店で手に入りますよ。
地元の人間だからこそ薦めたいのは、塩うにを使った素朴なおにぎりです。派手さはないんですが、この村の味そのものだと思います。
Q4.外から人が来たときに、佐井村でまず連れていく店はどこですか?
まずは港のそばにある文化施設の食事処に連れていきます。獲れたての海の幸を出してくれて、津軽海峡を眺めながら食べられるんです。
3階の展望室からは海の向こうまで見渡せて、運がよければイルカを探せることもあります。村の空気を一度に味わってもらえる場所なんですよ。
Q5.佐井村はどんな気質だと思いますか?
昔から北前船で外とつながってきた港町なので、よそから来た人を素直に受け入れる、開けた気質だと思います。
小さな村だからこそ、お祭りも歌舞伎も「みんなで支える」という意識が強くて、人と人の距離がとても近いんです。困ったときに自然と手が伸びる、そんなあたたかさがありますよ。
Q6.昔に比べて、佐井村の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言うと、人は減りました。学校が統合されたり、子どもの声が聞こえる場所が少なくなったのは寂しいですね。
それでも、秋の例大祭になると村の外に出た人も戻ってきて、山車を一緒に引いてくれます。少ない人数でも祭りや漁の暮らしを絶やさずにいる、その粘り強さは昔から変わっていないと感じます。
Q7.佐井村のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
大きな施設がどんどん増える村ではないので、今あるものをどう活かすかが大事だと思っています。仏ヶ浦の遊覧や福浦歌舞伎を、もっと多くの人に知ってもらえたら嬉しいです。
村長をはじめ、みんなで観光や伝統をつなごうと動いているので、村民が集まれる場や運動公園のような場所も、これからの暮らしを支える拠点として大事にしていきたいですね。

