増毛町(ましけちょう)は、北海道の北西部・留萌振興局管内の南部、日本海に面する人口3,472人の港町です。札幌から国道231号で約2時間。
増毛町の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 國稀酒造──1882年創業、日本最北の造り酒屋(暑寒別岳の伏流水仕込み)
- ✅ 甘エビの一大産地──北海道日本海側は国内屈指の水揚げ量、増毛町はその中心
- ✅ 映画「駅 STATION」の舞台──高倉健主演、旧増毛駅・風待食堂が今も残る
- ✅ 日本最北のフルーツの里──120haの果樹園でサクランボ・ブドウ・リンゴ狩り
- ✅ 旧商家丸一本間家(国の重要文化財)など明治・大正のレトロ建築群が北海道遺産
「海の幸と日本酒が好きな旅行者」「昭和レトロな町並みを歩きたい人」「ゆっくり暮らせる海辺の小さな町を探している人」に特におすすめの町。本記事では、観光・特産・歴史から、地元の声を交えた暮らしぶりまで、地元目線で紹介します。
| 人口 | 3,472 人 ※2026年4月30日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 369.72 km² |
| 人口密度 | 9.39 人/km² |
地理的には、北東で留萌市、東で空知総合振興局の雨竜郡北竜町・雨竜町、樺戸郡新十津川町、南で石狩振興局の石狩市と接しています。町の西は日本海、南東には標高1,491mの暑寒別岳がそびえ、海と山に挟まれた細長い地形が特徴です。
札幌から車で約2時間、新千歳空港からは約2時間30分。2016年にJR留萌本線の留萌~増毛間が廃止され、現在は鉄道のない町となりました。
日本酒・海の幸・果樹・映画ロケ地・北海道遺産と、人口3,472人の小さな町に「日本最北」のキーワードがいくつも詰まっています。順番に見ていきましょう。
増毛町の推しポイント

増毛町の魅力は、「海・山・酒・歴史」がコンパクトに集まっていることです。徒歩で回れる旧駅前エリアには明治・大正のレトロ建築と日本最北の酒蔵が並び、港では春と秋に甘エビが水揚げされる。山側に登れば日本最北の果樹園が広がり、南端の雄冬岬では断崖の絶景が待っています。「町ぜんぶがフォトジェニック」と言いたくなる密度の濃さが、この町の最大の特徴です。
推しポイント1:國稀酒造──日本最北の造り酒屋
1882年(明治15年)創業の國稀酒造は、日本で最も北にある酒蔵です。仕込み水は暑寒別岳の伏流水。代表銘柄「國稀」「北海鬼ころし」は道内の酒蔵ランキングでも常連で、辛口でキレのある味わいが特徴です。蔵見学は無料で、試飲もできます。
推しポイント2:甘エビ・ボタンエビの水揚げ港
北海道の日本海側は、甘エビ(ホッコクアカエビ)の水揚げ量で国内屈指。増毛町はその中心地のひとつで、漁の最盛期は3月~春先と10月下旬~11月。地元では「刺身なら甘エビ、焼きならボタンエビ、ボイルはシマエビ」と言い分けるほどエビの種類が豊富なんですよ。
推しポイント3:映画「駅 STATION」の舞台
1981年公開の高倉健主演映画『駅 STATION』のメインロケ地が増毛町です。旧増毛駅、風待食堂(旧多田商店)、國稀酒造の奥座敷など、当時のセットや建物が今も残っており、ファンの聖地となっています。観光案内所内には映画の小道具やスチール写真も展示されています。
推しポイント4:日本最北のフルーツの里
暑寒別岳のすそ野に約120haの果樹園が広がり、北緯43度線以北では日本最北のフルーツ産地。7月のサクランボに始まり、プラム、ナシ、ブドウ、リンゴまで秋まで途切れず収穫が続きます。果物狩りができる観光農園も複数あって、夏から秋にかけてはなまら(とても)にぎわうんですよ。
推しポイント5:雄冬岬と陸の孤島の歴史
町の南端にある雄冬地区は、1981年に国道231号が開通するまで「陸の孤島」と呼ばれ、船以外でたどり着けない場所でした。標高135mの雄冬岬展望台からは、断崖絶壁の海岸線と、晴れた日には積丹半島や天売・焼尻島まで望めます。日本海に沈む夕日が絶景です。
増毛町の歴史

増毛町の歴史は、江戸時代の松前藩による商場開設に始まり、明治のニシン漁全盛期に最盛期を迎え、戦後の漁業転換と2016年の鉄道廃線で現代へとつながります。北前船の寄港地として東北・北陸からの入植者が文化を持ち込み、明治・大正の豪商建築が今も町並みに残っているのが特徴です。
江戸期──松前藩の商場と秋田藩の元陣屋
1706年(宝永3年)、松前藩士・下国氏の商場知行地として増毛町の歴史が始まりました。1751年(宝暦元年)には松前の商人・村山伝兵衛が箱館奉行所から増毛場所を請け負い、本格的な漁場が開かれます。1856年(安政3年)、ロシアの南下に備えて久保田藩(秋田藩)が元陣屋を設置。北方警備の最前線となりました。
明治~大正──ニシン漁と「千石場所」の繁栄
明治時代に入ると増毛町はニシン漁の好漁場「千石場所」として全盛期を迎えました。1897年(明治30年)には増毛支庁が設置され、留萌地域の行政中心地に。1900年(明治33年)には町制が施行され、増毛郡増毛町が誕生しました。1921年(大正10年)11月5日には留萠線(後の留萌本線)が増毛まで開通し、人と物資の集積地として大いに栄えました。
戦後~現代──ニシン消滅と鉄道廃線
昭和30年ごろからニシンの資源枯渇により漁獲量が激減。太平洋戦争後は近海漁業・水産加工が中心となりました。1981年(昭和56年)11月10日、断崖絶壁により長らく未開通だった雄冬地区までの国道231号がようやく開通。一方、2016年(平成28年)12月5日にはJR留萌本線の留萌~増毛間が廃止され、町から鉄道が消えました。旧駅舎と「風待食堂」は今も復元保存され、町の象徴として残っています。
増毛町の文化・風習

増毛町の暮らしには、漁師町ならではの直球な人付き合いと、北前船で運ばれてきた東北・北陸の文化がブレンドされた独特の空気があります。冬は雪深く日照が極端に少ないですが、夏は北海道にしては温和。果樹園のオーナーや漁師さんと立ち話していると、いつのまにか1時間経っていた、なんてこともあるんですよ。
方言と話し方──北海道弁+浜言葉
町で使われているのは北海道方言、特に漁師町らしい「浜言葉」の色が濃いめです。「なまら」(とても・すごく)や「したっけ」(それじゃあ/さようなら)は日常会話に普通に出てきます。「今朝はしばれるね」(とても寒いね)は冬の挨拶代わり。お酒を飲みながら漁師さんが「この甘エビ、なまらうまいべさ」と言うのを聞くと、ああ増毛に来たな、と実感しますよね。
食卓と季節の暮らし
食卓には地元で揚がった魚介がしょっちゅう並びます。春は甘エビと山菜、夏はサクランボとプラム、秋は鮭が遡上する暑寒別川の鮭やナシ・ブドウ、冬はタコやカレイ。「うちの近所の漁師さんから直接もらった」というルートが普通にあって、スーパーで買うより港や農園で直接、という生活感です。めんこい(かわいい)孫に食わせるんだ、と果物を箱で買っていく地元のおじいちゃんもよく見かけます。
人の気質と地域のつながり
人口3,472人の小さな町なので、顔と名前がだいたい一致する関係性。漁師、酒蔵、果樹園、商店主が世代を超えてつながっていて、「○○さんの息子さんね」で話が通じる距離感です。映画「駅 STATION」のロケがあった1981年から40年以上経った今も、当時の話を語れる住民が多いのも、町の濃さを感じる部分です。
四季と暮らし
冬は日本海からの雪が大量に降り、日照時間が極端に短くなります。一方で夏は最高気温の平均が24℃前後と過ごしやすく、寒暖差が果物の甘味を引き出す。したっけ(それじゃあ)、夏の夕方に港でビールを飲みながら甘エビをつまむ──地元の人がうらやましがる過ごし方が、ここにはあります。
増毛町の特産品・食

甘エビ(ホッコクアカエビ)
増毛町といえばまず甘エビ。北海道の日本海岸地域は甘エビの水揚げ量で国内トップクラス、その中で増毛は屈指の産地です。旬は3月~春先と10月下旬~11月の年2回。獲れたての甘エビは身が引き締まっていてプリプリ、噛むと濃厚な甘みがじゅわっと広がります。刺身、丼、天ぷらが定番で、地元では「刺身なら甘エビ」と即答。地酒の國稀と合わせるとなまら(すごく)たまらないんですわ。
ボタンエビ・シマエビ
甘エビ漁の籠には、ボタンエビ(実際にはトヤマエビ)やホッカイシマエビも一緒に入ります。地元では「焼きならボタンエビ、ボイルはシマエビ」と使い分けるのが定番。ボタンエビは甘エビより一回り大きく、焼くと身がふっくらしてエビ味噌の旨味が濃厚です。シマエビはボイルすると赤と白の縞模様が美しく、秋の味覚として人気。
國稀(日本酒)
1882年創業の國稀酒造が造る地酒「國稀」「北海鬼ころし」は、増毛町を代表する特産品です。仕込み水は暑寒別岳の伏流水。辛口でキレのある「鬼ころし」、まろやかな口当たりの「佳選」が定番で、本店限定酒や季節限定酒も豊富。蔵見学のあとに試飲できるのが楽しみで、お土産にしてもよし、その場で甘エビと合わせるもよし、なんですよ。
サクランボ・リンゴ・ブドウ(日本最北のフルーツ)
暑寒別岳のすそ野に広がる120haの果樹園は、北緯43度線以北では日本最北のフルーツ産地。7月のサクランボに始まり、8月のプラム、9月の梨・ぶどう、10月のリンゴと、夏から秋まで途切れず楽しめます。暑寒別川の清流と扇状地、大きな寒暖差が、水分と甘味のバランスが申し分ない果物を作り出すんです。観光果樹園では果物狩りも体験できます。
水産加工品(カズノコ・タコ・タラコなど)
かつてのニシン漁の名残で、水産加工が今も主要産業のひとつ。タコ、カレイ、サケ、イカ、ホタテなど多彩な魚介が水揚げされ、加工品として全国へ出荷されます。秋には暑寒別川にサケが遡上するので、川魚としての鮭料理も町の食卓に並びます。
増毛町の観光スポット

増毛町の観光は、徒歩で回れる旧駅前のレトロ建築群と、車で巡る雄冬岬・果樹園・暑寒別岳のダイナミックな自然景観の2軸で楽しめます。日本最北の酒蔵で試飲して、港で甘エビを買って、夕方は雄冬岬で日本海に沈む夕日を眺める──小さな町だからこそ、1日でこれだけの体験を詰め込めるんですよ。
旧駅前のレトロ建築・映画ロケ地
- 旧増毛駅 – 1921年(大正10年)開業、2016年に廃線となったJR留萌本線の終着駅。開通当時の駅舎に復元され、映画『駅 STATION』の舞台となった姿が今も残っています。鉄道ファンと映画ファンの聖地で、駅前に立つと昭和の汽笛が聞こえてきそうな雰囲気です。
- 風待食堂(旧多田商店) – 高倉健主演『駅 STATION』で「風待食堂」として登場した木造の建物。現在は観光案内所として活用され、映画のスチール写真や「居酒屋桐子」の復元セットが展示されています。営業は5月~9月。
- 旧商家丸一本間家 – 「天塩國随一の豪商」と呼ばれた佐渡出身の本間泰蔵が約20年かけて建てた国の重要文化財。明治のニシン御殿そのもので、内部見学ができます。重厚な石造倉庫と木造母屋の対比がなまら(とても)見応えあるんですよ。
- 総合交流促進施設 元陣屋 – 1855年(安政2年)に秋田藩がロシアに備えて築いた元陣屋跡に建つ文化交流施設。鎧の試着体験ができ、武士気分を味わえます。
日本最北の酒蔵・グルメ拠点
- 國稀酒造 – 1882年(明治15年)創業の日本最北の造り酒屋。暑寒別岳の伏流水で仕込まれた「國稀」「北海鬼ころし」を試飲・購入できます。蔵見学は無料で、店頭には水汲み場もあります。映画『駅 STATION』では奥座敷が雄冬の実家のシーンに使われました。
- 増毛厳島神社 – 1706年に勧請されたと伝わる町の総鎮守。本殿は町指定有形文化財。海の安全と豊漁を願う漁師町らしい神社で、毎年7月12日~14日に例大祭が行われます。
自然景観と展望スポット
- 雄冬岬展望台 – 標高135mの展望台から、断崖絶壁が30km以上続く雄冬海岸、晴れた日には積丹半島や天売・焼尻島まで見渡せます。日本海に沈む夕日はまさに絶景。1981年の国道231号開通までは「陸の孤島」だった歴史的な場所です。
- 暑寒別岳 – 標高1,491mの増毛山地の主峰。暑寒別天売焼尻国定公園の一部で、夏山登山シーズンには高山植物が一面に咲きます。山開きは毎年6月下旬。
- 岩尾温泉 – 雄冬と市街地の中間、岩尾地区にある日帰り温泉。日本海を見下ろしながら入る露天風呂が人気で、海岸線ドライブの休憩にぴったりです。
日本最北のフルーツの里
- マルゼン佐藤果樹園 – 北緯43度線以北で日本最北のフルーツ産地・暑寒沢地区にある観光果樹園。7月のサクランボから始まり、ブルーベリー、ブドウ、ナシ、プルーン、リンゴまで果物狩りが楽しめます。アップルパイも人気。
- 暑寒沢の果樹地帯 – 暑寒別岳のすそ野に約120haの果樹園が広がるエリア。暑寒別川の清流と扇状地、大きな寒暖差が甘味の濃い果物を育てます。7月~10月のドライブが特におすすめなんですよ。
増毛町の観光ルート

増毛町は鉄道がなく、観光は基本的に車での移動が中心です。札幌からオロロンライン(国道231号)で北上し、雄冬岬→市街地→果樹園と回るのが王道。半日コースなら旧駅前のレトロ散策+國稀酒造で完結、1日あれば暑寒別岳のふもとや雄冬岬の夕日まで楽しめます。
【車・1日】札幌出発オロロンライン王道ルート
8:00 札幌駅 → 10:00 雄冬岬展望台(国道231号経由、約2時間)
①雄冬岬展望台(滞在40分)
→ まずは町の南端、かつての「陸の孤島」雄冬から町に入ります。断崖絶壁の海岸線を見下ろしながら、午前中の澄んだ空気で積丹半島まで一望。海風がしゃっこい(冷たい)ですが、写真映えする時間帯です。
10:40 雄冬岬展望台 → 11:30 岩尾温泉(車50分)
②岩尾温泉(滞在60分・入浴と昼食)
→ 海を見ながら日帰り温泉でひと風呂。海岸線ドライブで固まった体をほぐします。
12:30 岩尾温泉 → 13:30 増毛駅前(車1時間)
③旧増毛駅~風待食堂~旧本間家(滞在2時間)
→ 駅前を徒歩で散策。明治・大正の木造建築と石造倉庫が並ぶ「ふるさと歴史通り」で、昭和の映画世界にタイムスリップ。旧本間家の内部見学はガイド付きがなまら(とても)楽しいんですよ。
15:30 旧本間家 → 15:35 國稀酒造(徒歩5分)
④國稀酒造(滞在60分)
→ 日本最北の酒蔵で試飲とお土産選び。北海鬼ころしと甘エビは持ち帰ってからのお楽しみ。蔵見学は無料です。
16:30 國稀酒造 → 18:00 札幌方面(車約2時間)
【車・半日】旧駅前レトロ散策ルート
10:00 旧増毛駅出発
①旧増毛駅・風待食堂(滞在40分)
→ 駅舎と『駅 STATION』のロケ地を歩く。観光案内所で町の地図とパンフレットを入手。
10:40 旧増毛駅 → 10:45 旧商家丸一本間家(徒歩5分)
②旧商家丸一本間家(滞在60分)
→ 国指定重要文化財のニシン御殿。漆喰と木造の豪邸を内部見学。
11:45 旧本間家 → 11:50 國稀酒造(徒歩5分)
③國稀酒造(滞在45分)
→ 試飲+お土産。本店限定酒と季節限定酒もチェック。
12:35 國稀酒造 → 12:40 増毛港エリア(徒歩5分)
④港の海鮮ランチ(滞在60分)
→ 旬の時期なら甘エビ丼が定番。地酒「國稀」と合わせれば言うことなしです。
【車・1日】広域ルート:果樹園+暑寒別岳ふもと
9:00 増毛市街地出発 → 9:20 暑寒沢の果樹地帯(車20分)
①マルゼン佐藤果樹園など暑寒沢の果樹園めぐり(滞在2時間)
→ 7月~10月の旬時期に。サクランボ、ブドウ、ナシ、リンゴの食べ放題プランが楽しめます。日本最北のフルーツの里の空気は、暑寒別川のせせらぎと果樹の甘い香りで満たされています。
11:20 果樹園 → 11:40 暑寒別岳ふもと(車20分)
②暑寒荘・登山口エリア(滞在60分・散策)
→ 1,491mの主峰を見上げながら散策。森林公園「渓流の森」もあります。
12:40 暑寒別岳ふもと → 13:00 増毛市街地(車20分・昼食)
③市街地で海鮮ランチ(滞在90分)
14:30 市街地 → 14:35 國稀酒造(徒歩)
④國稀酒造(滞在60分)
→ 暑寒別岳の伏流水で造られた酒を、山を見たあとに味わうと格別。
15:30 國稀酒造 → 16:30 雄冬岬展望台(車1時間)
⑤雄冬岬展望台(夕日待ち・滞在60分)
→ 日本海に沈む夕日を見て1日を締めくくります。したっけ(それじゃあ)、夕日が見えたら帰路へ。
増毛町の年間イベント

増毛町の年間イベントは「海の幸+地酒」が軸です。春の甘エビ、夏の花火、秋の鮭・ホタテと、季節ごとに港と駅前広場が賑わいます。地元の漁師さんと観光客が肩を並べて炭火焼を楽しむ光景は、漁師町ならではのフラットな雰囲気で、参加するとすぐに溶け込めるんですよ。
春:増毛春の味まつり(5月下旬)
毎年5月下旬に駅前歴史通り周辺で開催される、町を代表する春のお祭り。増毛港で水揚げされたばかりの甘エビ、タコ、ホタテなどが浜値で並び、地酒「國稀」のまつり限定酒も登場します。屋台街と音楽ライブで会場全体がにぎわい、入場無料で気軽に楽しめます。甘エビの旬を狙うなら、この時期がベストです。
初夏:暑寒別岳山開き(6月下旬)
毎年6月下旬に行われる暑寒別岳の夏山登山シーズン開幕イベント。前日に安全祈願祭を行い、当日は希望者の自由登山となります。標高1,491mの山頂を目指すルートでは、高山植物の群落と日本海を見下ろす絶景が待っています。本格登山なので装備はしっかり整えてから。
夏:増毛厳島神社例大祭(7月12日~14日)
町の総鎮守・増毛厳島神社の例大祭は、毎年7月12日~14日に開催される伝統行事。本祭の13日には神輿行列が町内を巡回し、行列終盤には露店が並ぶ通りで餅まきも。漁師町らしい威勢のいい掛け声が町に響きます。
夏:増毛町港まつり(7月下旬)
毎年7月下旬に増毛港で開催される、漁業のまちの夏祭り。花火大会と「大漁お楽しみ会ビアパーティー」が同時開催され、夜空に上がる花火と港の屋台の煙が混ざる夏の夜は格別です。ビアパーティーには抽選会付きの「お楽しみ券」もあり、地元の人と観光客が一緒に盛り上がります。
秋:増毛秋の味まつり(9月下旬)
毎年9月下旬に開催される秋の食の祭典。サケ、ホタテなど秋の海の幸と、ブドウ、洋ナシなど果樹園のフルーツが浜値で並びます。会場には無料で使える炭焼きコーナーが設置され、買った食材をその場で焼いて食べるスタイルが楽しい。特産品が当たる大抽選会も恒例です。
増毛町のエリア別の顔

増毛町は南北に細長い地形で、エリアごとに見える顔がはっきり違います。観光の中心は旧駅前の市街地エリアですが、山側の暑寒沢、南端の雄冬、北の別苅・舎熊、それぞれに別の旅の楽しみがあります。1泊以上滞在できるなら、エリアを変えて移動しながら回るのがおすすめなんですよ。
市街地エリア──レトロ建築と酒蔵が並ぶ町の顔
旧増毛駅、風待食堂、旧本間家、國稀酒造、増毛厳島神社が徒歩圏内に集まる、観光の中心エリア。明治・大正の木造建築と石造倉庫が並ぶ「ふるさと歴史通り」を歩くと、ノスタルジックな空気に包まれます。海鮮丼の店や土産物屋もここに集まっているので、半日散策派にはなまら(とても)使い勝手のよいエリアです。
暑寒沢エリア──日本最北のフルーツの里
市街地から車で20分ほど内陸に入ったエリア。120haの果樹園が暑寒別岳のすそ野に広がり、7月~10月は果物狩りで賑わいます。暑寒別川のせせらぎと果樹の甘い香りが漂う扇状地で、フルーツ好きや家族連れにぴったりです。
雄冬エリア──断崖絶壁とかつての陸の孤島
町の南端、石狩市浜益区との境界に位置するエリア。1981年に国道231号が開通するまで船以外の交通手段がなかった、北海道の中でも特に険しい地形です。雄冬岬展望台からの夕日は天下一級。途中に商店がほぼないので、ドライブ前に水と食料を準備してから向かうのが鉄則です。
岩尾・別苅エリア──海岸線ドライブと温泉
市街地と雄冬の中間に位置し、岩尾温泉がある海岸エリア。日本海を見下ろす露天風呂で旅の疲れを癒すには絶好の場所です。別苅以南は急峻な断崖が続くので、運転に集中しつつ、ところどころで止まって海を眺めるのがおすすめです。
舎熊・阿分エリア──旧鉄道沿いの静かな漁村集落
市街地から留萌方面に向かう海岸沿いの集落エリア。かつて留萌本線の朱文別駅、舎熊駅、信砂駅、阿分駅があった場所で、廃線跡をたどりながらドライブできます。観光地化されていない素朴な漁村の風景が好きな人に向いた、静かなエリアです。したっけ(それじゃあ)、北上して留萌方面へ抜けるルートに最適です。
増毛町の気候・季節の暮らし

気象庁の増毛アメダス平年値(1991-2020年)によると、増毛町の年平均気温は8.4℃、1月の日平均気温は-3.3℃、8月の日平均気温は20.9℃です。日本海側気候で冬は雪が多く日照が少ない一方、夏冬の寒暖差は北海道内では小さく、比較的温和。まれに南風が吹くとフェーン現象で気温が上がるのも特徴です。
夏──6月〜8月の暮らし
夏の平均最高気温は7月で23.0℃、8月で24.7℃。最高気温記録は34.2℃(8月)ですが、湿度の高い本州の夏とは違いカラッとしています。海から吹く風があるので、エアコンがなくても扇風機で過ごせる日が多いですね。サクランボやプラムの収穫が始まり、果樹園が一年で最も忙しい時期です。
夕方の海岸線ドライブが気持ちよく、雄冬岬の夕日や港の夕涼みは夏の定番。7月には増毛厳島神社例大祭や港まつりがあり、町が一年で最も活気づきます。
秋──9月〜11月の暮らし
9月の日平均気温は17.4℃、10月で11.5℃、11月で4.9℃と、駆け足で冬に向かいます。秋は果樹園のリンゴ・ブドウ・梨が次々と収穫期を迎え、暑寒別川にはサケが遡上。9月下旬の「増毛秋の味まつり」で炭火焼を囲む人々の姿は、漁師町の秋の風物詩です。
11月に入ると初雪が降り始め、家庭ではタイヤ交換と灯油タンクの確認が暮らしの定例行事。冬支度の早さは内地から来た人が一番驚くポイントなんですよ。
冬──12月〜3月の暮らし
12月の日平均気温は-1.0℃、1月-3.3℃、2月-3.0℃。日本海側気候のため雪が多く、日照時間が極端に短くなります。最低気温記録は-17.4℃(1月)。地元では「今朝はしばれる(厳しく冷え込む)ね」が冬の挨拶代わり。
暖房はストーブと灯油が必須で、住宅は二重サッシ・断熱仕様が基本。雪かきは日常の作業で、屋根の雪下ろしも必要です。一方、冬の海産物は脂が乗って一番おいしい時期。タラやカレイ、ホタテを鍋にして地酒「國稀」を熱燗で合わせる──これが増毛の冬の楽しみ方です。
春──4月〜5月の暮らし
4月の日平均気温は6.0℃、5月で11.4℃。3月末から雪解けが進み、4月後半には桜が咲き始めます。春は甘エビ漁の最盛期で、5月下旬の「増毛春の味まつり」では水揚げされたばかりの甘エビが町を埋めます。
果樹園では花が咲き始め、暑寒別岳の残雪と桜と海のコントラストがなまら(とても)美しい季節。山開きが6月下旬なので、登山好きはこの頃から装備を整え始めます。
増毛町の移住・暮らし情報

人口3,472人、面積369.72km²の小さな町で暮らすということは、車中心の生活と濃い人間関係の中で過ごすことを意味します。増毛町は鉄道がなく、買い物や通勤は車が前提。一方、町役場・小学校・診療所・スーパー・郵便局はコンパクトに市街地に集まっているので、いざ住んでみると意外と暮らしやすい、という声が多いんですよ。
通勤・通学
町内の主な勤務先は、町役場、増毛漁業協同組合、JAるもい増毛支所、國稀酒造、観光宿泊施設、果樹園、水産加工場、社会福祉法人の介護施設(町立明和園など)です。町外通勤は北東の留萌市(車約30分)が中心。札幌や旭川まで通うのは現実的でないため、地元雇用+テレワークの組み合わせが移住者には合うと考えられます。
通学は町内に小中学校がありますが、高校は留萌市内まで通うのが基本です。沿岸バスでの通学になります。
住宅環境
町内には戸建てを中心とした住宅が多く、空き家バンクの掲載物件も時期によってあります。家賃相場の公式統計は乏しいですが、人口3,472人の小規模自治体では、賃貸物件の数自体が限られていると考えられます。移住希望者は町の移住計画ページや空き家バンクをまず確認するのが現実的です。
住宅は冬の積雪と断熱を前提とした仕様が必須。中古住宅を購入する場合も、断熱性能と屋根の雪対応は要チェックです。
買い物環境
日常の買い物は市街地の地元商店、JAるもい増毛支所の直売所、町内のセイコーマートなどが中心。大型スーパーで一括買い物をするなら、車で約30分の留萌市まで出るのが定番ルートです。新鮮な海産物や果物は地元で直接手に入るので、内地のスーパー慣れした感覚とは違う買い物文化が新鮮ですよ。
子育て・教育
町内には小学校・中学校があり、子ども支援・福祉サービスは町役場が窓口です。少人数学級なので、目が行き届いた教育環境と考えられます。一方、高校進学以降は留萌市内や深川・札幌方面への通学・下宿が必要になります。
町を挙げた移住推進をしており、子育て世帯向けの情報は町の「増毛町移住計画」ページに集約されています。
医療環境
町内には診療所と社会福祉法人運営の介護施設(町立明和園)があります。専門医療や入院が必要な場合は、車で約30分の留萌市にある留萌記念病院などが頼りになる選択肢。救急時のアクセスを考えると、市街地寄りに住む方が安心と考えられます。
エリア別の暮らし視点
市街地エリアは役場・学校・スーパー・診療所が徒歩圏で、車を持たない高齢者でも生活しやすいエリアです。暑寒沢エリアは果樹園との二拠点生活や農業移住向き。雄冬・岩尾・別苅エリアは住戸が少なく、海と崖に挟まれた静かな暮らしを求める人向き。舎熊・阿分エリアは留萌市方面への通勤がしやすく、海辺の暮らしを通勤利便性とバランスさせたい人に向いています。
増毛町へのアクセス

増毛町は2016年に留萌本線の留萌~増毛間が廃止されたため、現在は鉄道がない町です。アクセスは車かバスの二択。札幌から国道231号オロロンラインを北上するルートと、JR深川駅・留萌市経由のルートが現実的な選択肢になります。
車でのアクセス
札幌から増毛市街地までは、国道231号(オロロンライン)経由で約2時間。海岸線沿いの絶景ドライブが楽しめますが、雄冬地区は断崖絶壁の細い道なので冬期の運転は注意が必要です。
もう一方のルートは、道央自動車道で深川JCTから深川留萌自動車道経由で留萌市内へ。留萌市街地から国道231号を南下して約30分で増毛市街地に到着します。冬期はこちらの内陸経由が安全です。
新千歳空港からは札幌経由で約2時間30分~3時間と考えてください。
鉄道+バスでのアクセス
札幌駅からJR函館本線特急ライラックで深川駅まで約1時間20分、深川駅から留萌方面の代替バスで留萌駅前バスターミナルへ、そこから沿岸バスに乗り換えて増毛駅前バス停まで、というのが公共交通の基本ルートです。
留萌~増毛間は沿岸バスが運行しています。乗り換えごとに待ち時間が発生するので、車に比べると2倍以上の所要時間がかかると考えられます。
飛行機でのアクセス
東京・関西方面からは新千歳空港または旭川空港が玄関口。新千歳空港からは札幌経由で国道231号を北上、旭川空港からは深川経由で留萌へ向かうルートが現実的です。レンタカー利用が前提と考えてください。
町内移動の現実的アドバイス
町内は南北に細長く、市街地から雄冬岬までは車で約1時間。観光で町内を回るならレンタカーが必須です。旧駅前のレトロ建築群と國稀酒造だけなら徒歩圏ですが、果樹園や雄冬岬・暑寒別岳までは車がないと現実的に厳しい。
冬期はオロロンライン雄冬区間が通行止めになることもあるので、出発前に北海道開発局や沿岸バスの運行情報を確認してから向かうのが安心です。
【地元住民に直撃!】増毛町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
甘エビ漁師やってます。増毛の港で船出してて、もう20年以上海に出てるかな。3月から春先と、10月下旬から11月の年2回が勝負どきで、籠漁で甘エビ獲ってます。
船には2000個くらい籠積んで、スケソウと鰊を餌に仕込んで沈めるんだわ。深夜に選別終わったらすぐまた出港。なまら(とても)忙しいけど、これがオレらの生活だから。
Q2.増毛町に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
行くなら増毛町の駅前歴史通り。旧増毛駅と風待食堂、旧本間家に國稀酒造が徒歩圏に固まってるから、半日でレトロな街並みを満喫できる。映画「駅 STATION」のロケ地で、健さんの空気感がまだ残ってる場所だよ。
地元目線で言うと、雄冬岬の夕日と、暑寒別岳のふもとにある増毛町水源──暑寒別川の伏流水の水汲み場。國稀の酒を仕込む水で、町民は今もここに水汲みに来るんだ。
Q3.増毛町でお土産を買うとしたらなんですか?
やっぱり國稀の地酒だな。「鬼ころし」の辛口は増毛町の有名なもので、酒蔵で試飲して気に入ったやつ買って帰るのが王道。増毛町観光で来た人はなまら(みんな)これ持って帰るよ。
地元民しか買わないやつなら、港の水産加工場で売ってる甘エビの干物とエビ味噌、それと丸一本間の前にある古い菓子屋の生菓子。観光ガイドに載ってないけど、町民は普通に手土産にしてる。
Q4.外から人が来たときに、増毛町でまず連れていく店はどこですか?
港の近くの海鮮丼の店だな。獲れたての甘エビ丼を食わせて、「ああ、これが本物の甘エビか」って顔されるのが嬉しいんだわ。スーパーで売ってる輸入物とは別物だべさ。
そのあと國稀酒造の本店に連れてって試飲させる。エビと地酒の組み合わせで、だいたいみんな増毛町のおすすめスポット巡りに満足してくれる。
Q5.増毛町はどんな気質だと思いますか?
漁師町だから、口は悪いけど中身はあったかい人が多い。最初はぶっきらぼうに見えても、一回酒飲んだら距離が一気に縮まるタイプ。増毛町民センターの集まりとか祭りでも、よそ者かどうかであんま線引きしないんだわ。
あと秋田や富山から渡ってきた入植者の子孫が多いから、北陸っぽい律儀さも残ってる。「もらいっぱなしは嫌」って気質だね。
Q6.昔に比べて、増毛町の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言うと、活気は減ったよ。2016年に留萌本線の増毛町区間が廃止になってから、駅前の人通りが目に見えて変わった。昔は汽笛と漁師の声で町が動いてたんだけど、今は静かだね。
ただ、悪いことばっかでもない。映画ロケ地としての観光客と、果物狩りに来るファミリー層は安定してる。増毛町長も移住推進に力入れてて、空き家バンクとか若い人を呼ぶ動きも出てきてるよ。
Q7.増毛町のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
最近で一番デカいニュースは、國稀酒造がクラフトビールの醸造所とビアホールを始めたこと。日本酒だけだったのが、若い世代にも届くようになってなまら(とても)期待してるんだわ。
あとは増毛町運動公園や暑寒沢の果樹地帯を絡めたグリーンツーリズム、移住者向けの体験ツアーとかね。漁師としても、若い後継者が増えてくれたら、増毛の甘エビをもっと長く守っていけると思ってる。

