浦河町(うらかわちょう)は、北海道日高振興局南部・太平洋沿岸に位置する人口10,882人の町。日高振興局の所在地であり、サラブレッドの主産地として知られています。札幌から車で約2時間10分。
浦河町の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ サラブレッドの主産地──町内に約200の牧場、3,000頭以上のサラブレッドが駆ける馬のまち
- ✅ JRA日高育成牧場──東洋一の広さを誇るJRA直轄の競走馬育成施設が町内に
- ✅ 五冠馬シンザンの生誕地──1961年、町内の松橋牧場で生まれた伝説の名馬
- ✅ 日高昆布の特上浜「井寒台」──「煮てよし出汁よし」の万能昆布の最高ランク産地
- ✅ 「北海道の湘南」──夏涼しく冬は雪が少ない海洋性気候の暮らしやすい町
「競馬・馬が好きな旅行者」「のんびり乗馬体験をしたい人」「雪の少ない北海道で暮らしたい移住希望者」に特におすすめの町。本記事では、観光・特産・歴史から、地元目線で見えてくる日常の風景まで紹介します。
| 人口 | 10,882 人 ※2026年4月30日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 694.30 km² |
| 人口密度 | 15.7 人/km² |
地理的には、東は様似郡様似町、西は日高郡新ひだか町、南は太平洋に面しています。北は日高山脈を境に、十勝総合振興局広尾郡の広尾町・大樹町と接しています。新千歳空港からは車で約2時間10分、札幌からは約180km。2021年4月にJR日高本線が廃止されたため、現在は鉄道は通っておらず、移動の中心は車とバスです。
面積694.30km²の8割以上が山林という雄大な町でありながら、暮らしの実感は意外と穏やか。馬と海と山が同居するこの町を、ひとつずつ見ていきましょう。
浦河町の推しポイント

浦河町を語るうえで外せないのは、やはり「馬」と「海」と「気候」です。日本の競走馬の約8割を生む日高地方の中でも、浦河は古くからの馬産の中心地。町内を走れば牧柵が地平線まで続き、振り返れば太平洋。そして冬でも雪が少なく、北海道のなかでは抜群に暮らしやすい気候。それぞれの顔を、ここから少し肉付けして見ていきます。
推しポイント1:サラブレッドの主産地──約200の牧場が広がる町
浦河町には生産・育成あわせて約200の牧場があり、町内には3,000頭以上のサラブレッドがいます。年間の生産頭数は約1,800頭。日本のサラブレッドのおよそ2割が、この町で生まれている計算になります。牧柵越しに馬を眺めながら走る天馬街道沿いの景色は、他では見られない郷土風景です。
推しポイント2:JRA日高育成牧場と乗馬リゾートAERU
町の西舎地区には、JRA(日本中央競馬会)が運営する日高育成牧場があります。さらに、約107ヘクタールの敷地を誇る乗馬リゾートうらかわ優駿ビレッジAERUでは、初心者から上級者まで楽しめる乗馬コースが整備されています。冬の雪上乗馬ができる施設はなまら(とても)珍しいんですよ。
推しポイント3:五冠馬シンザンのふるさと
1961年、町内の松橋牧場で生まれたシンザンは、1964年の日本クラシック三冠を達成。翌年には天皇賞(秋)・有馬記念も制し、日本競馬史上初の「五冠馬」となりました。町内にはシンザン像も建てられ、今もファンが訪れる聖地です。
推しポイント4:日高昆布の特上浜「井寒台」
「煮てよし出汁よし」と呼ばれる万能昆布、日高昆布(標準和名:ミツイシコンブ)。その品質は浜ごとに格付けされており、浦河町の井寒台(いかんたい)浜は最高ランクの「特上浜」に指定されています。柔らかく、肉厚で、煮物にすると味が染みる──関東・関西の料亭が好んで使う逸品です。
推しポイント5:「北海道の湘南」と呼ばれる暮らしやすさ
太平洋に面しているため、浦河町の気候は北海道としては非常に穏やか。夏は涼しく真夏日はまれ、冬は道内屈指の少雪地帯。市街地では冬中ずっと路面が雪に覆われることもなく、降雪が一度に20cmを超えることもめったにありません。「北海道の湘南」と呼ばれる所以です。
浦河町の歴史

浦河町の歴史は、縄文時代までさかのぼります。江戸時代には松前藩、のち天領として開かれ、明治期には軍馬生産の拠点が置かれ、戦後は日本中央競馬会の発足とともにサラブレッド生産地として大きく発展しました。馬と人の関わりが、この町の歴史の背骨を貫いています。
古代〜江戸時代──松前藩から幕府牧場へ
縄文時代から人々が暮らした地で、装飾品や石器が発掘されています。1669年(寛文9年)、松前藩の佐藤権左衛門が現在の浦河神社社務所付近に金刀比羅宮の御分霊を奉斎。1799年(寛政11年)に浦河郡域は天領となりました。馬産との関わりは深く、1858年(安政5年)には幕府牧場掛の新家鉄作によって、元浦川東岸に馬牧が開設されています。
明治〜大正──軽種馬生産の礎が築かれる
1902年(明治35年)、二級町村制を施行し、浦河村が即日町制施行で浦河町となりました。1907年(明治40年)には西舎地区に日高種馬牧場(後の日高種畜牧場)が設置され、軽種馬生産が本格的に始まります。当初は軍馬の乗用馬を生産していましたが、これが現在の馬産地としての基盤となりました。1915年(大正4年)には西舎村・杵臼村と合併し、一級町村制の浦河町となります。
昭和〜現代──競走馬の町へ
1954年(昭和29年)の日本中央競馬会発足を契機に、サラブレッド生産地として牧場経営が普及。1961年に町内の松橋牧場で生まれたシンザンは、後に日本初の五冠馬として名を残しました。一方で、2021年4月1日にはJR日高本線(鵡川駅以南)が廃止され、町内から鉄道が消えました。それでも約200の牧場が現在も稼働し、馬とともに歩む町としてのアイデンティティは健在です。
浦河町の文化・風習

浦河町の暮らしは、馬と海と「北の湘南」と呼ばれる穏やかな気候が織りなしています。朝、牧場で放牧される馬の蹄音が聞こえ、昼は海風が市街地を抜け、夜は満点の星空が広がる──そんな日常が普通にある町です。
方言と話し方の特徴
浦河町では、いわゆる北海道弁が日常的に使われています。「すごく」を意味するなまら、別れ際の「それじゃあ」を意味するしたっけ、寒さを表すしばれる、可愛いを意味するめんこいなどがその代表。ただし若い世代は標準語寄りで、年配の方ほどこうした言葉を自然に使う傾向があります。「したっけね〜」と手を振って別れる場面は、町のあちこちで見られる光景です。
馬と暮らす日常
町内に約3,000頭以上のサラブレッドがいるという土地柄、馬は観光資源であると同時に生活の一部です。朝、子どもが学校に行く道すがら牧場の馬と目が合う、というのもこの町では普通の風景。馬産家の方々は早朝から働き、放牧地の見回り、繁殖、育成と、季節と馬のリズムに合わせた暮らしを送っています。
食卓と季節の暮らし
夏から秋にかけてはスルメイカ、秋にはサケが食卓に並びます。日高昆布は出汁にも、煮物にも、おにぎりの具にも使える万能選手。冬は雪が少ないので、家庭の食卓では海の幸が主役になりやすい土地柄です。「なまら(とても)美味しい昆布が、当たり前に家にあるんですわ」──浦河の人たちが昆布を語るときの口ぶりは、どこか誇らしげですよね。
人の気質と地域のつながり
太平洋を望む開放的な土地で育まれたためか、人の気質も穏やか。馬産家どうし、漁業者どうしの横のつながりが強く、新参者にも比較的オープンな雰囲気があります。移住者向けの「ちょっと暮らし」プログラムが用意されているのも、町ぐるみで人を受け入れようという姿勢の表れと考えられます。
浦河町の特産品・食

浦河町の食を語るときに外せないのは、やっぱり海の幸。基幹産業のひとつである漁業からは、日高昆布、サケ、マス、スルメイカといった豊かな海産物がもたらされます。太平洋と日高山脈に挟まれた地形が、独特の食文化を育ててきました。
特産品1:日高昆布(井寒台浜の特上品)
標準和名「ミツイシコンブ」、通称日高昆布は、肉厚で柔らかく、煮ても出汁を取っても美味しい万能昆布。浦河町の井寒台浜は「特上浜」に格付けされる最高品質の産地です。旬は7〜9月で、この時期に採取されたものが浜辺で天日干しされます。煮物に使えば味が芯まで染み込み、出汁にすれば磯の香りが立つ。なまら(とても)使い勝手のいい、台所の頼れる相棒です。
特産品2:スルメイカ
夏から秋にかけて旬を迎えるスルメイカは、浦河港の主役のひとつ。獲れたてを刺身で食べると、身が透き通っていてコリコリの食感。塩辛、イカ飯、焼きイカと、調理法を選ばないのが嬉しいところです。地元の食堂や居酒屋で味わうのが一番ですよね。
特産品3:サケ・マス
秋になると、浦河町沿岸ではサケ漁が本格化します。脂ののったサケは塩焼き、ちゃんちゃん焼き、石狩鍋などで楽しまれ、北海道らしい食卓を彩ります。マスはやや早い時期に獲れるため、季節の移ろいを魚で感じる暮らしがここにはあります。
特産品4:軽種馬産業に支えられた地域文化
食材ではないものの、浦河町の経済と文化を語るうえで欠かせないのが軽種馬(サラブレッド)。年間の市場販売は日高地域全体で大きな金額にのぼり、関連産業(牧草、装蹄、診療、運送など)が町を支えています。馬産が町の人々の生活を直接・間接に潤しているという意味で、これも立派な「特産」と言えます。
浦河町の観光スポット

浦河町の観光は、「馬」と「桜」と「海」のキーワードでだいたい説明がつきます。約200の牧場、3kmにわたる桜並木、日高山脈を望む展望台、そして太平洋。馬産地ならではの体験スポットも揃っています。1日では回りきれないほどの見どころがあるので、テーマを決めて巡るのがおすすめですよ。
馬と出会えるスポット
- うらかわ優駿ビレッジAERU – 約107ヘクタールの敷地に、乗馬コース・宿泊施設・大浴場・パークゴルフ場・カヌー体験などが揃う乗馬リゾート。初心者向けの直線コースから林間コース、小川を歩くコースまで多彩で、冬にはなまら(とても)珍しい雪上乗馬も体験できます。所在地は浦河町西舎141-40。
- JRA日高育成牧場 – 日本中央競馬会(JRA)が運営する直轄の育成牧場で、敷地面積は約15万平米と東洋一の規模。広大なグラス馬場や坂路、屋内トラックを備え、競走馬の育成と研究が行われています。馬たちが緑の中を駆ける姿は圧巻ですよ。
- 浦河町立馬事資料館 – 八角形の建物が目印の、日本でも珍しい「馬」をテーマにした博物館。明治31年製作の迎賓馬車や、五冠馬シンザンの父・ヒンドスタンの心臓・剥製などが展示されています。入館料は無料。郷土博物館も隣接していて、合わせて半日楽しめます。
- シンザン馬像 – 日本初の五冠馬シンザンを称えるブロンズ像。馬産地・浦河を象徴するモニュメントで、競馬ファンには聖地のひとつです。
桜・自然・展望スポット
- 優駿さくらロード(西舎桜並木) – うらかわ優駿ビレッジAERUへ続く約3kmの道沿いに、約1,000本のエゾヤマザクラが立ち並ぶ桜の名所。例年5月上旬が見頃で、桜まつり期間中は夜間ライトアップも実施され、幻想的な桜のトンネルが現れます。
- うらかわオバケ桜 – JRA日高育成牧場敷地内にある、北海道最大級の幹周(4.8m)を誇るエゾヤマザクラ。枝張りは四方に10m。私有地のため公開は桜まつり期間中のみと貴重で、その姿はまさにモンスター級です。
- オロマップ展望台 – サラブレッド牧場と日高山脈、晴れた日には太平洋まで一望できる絶景スポット。夕景の名所としても知られ、丘陵地に広がる牧場群を眺めながらの夕暮れはなまら(とても)気持ちがいいんですよ。日高幌別駅から車で約10分。
- JRA展望台 – 国道236号(天馬街道)沿いの展望スポット。日高山脈・JRA日高育成牧場・太平洋までの大パノラマが広がり、ドライブ途中に立ち寄りやすい立地です。
- 浦河町ピスカリの森 – シャクナゲ、トドマツ、カラマツなど約50種類の樹木が植栽された公園。春は桜のトンネル、初夏はツツジが楽しめます。
歴史・文化・町歩きスポット
- 大黒座 – 大正7年(1918年)創業の、町に1館だけ残る老舗映画館。手書きのタイムテーブルや温かな雰囲気が魅力で、地元のジャズライブが行われることもあります。地方都市で映画文化が生きている、不思議で愛おしい空間ですよね。
- 赤心社記念館 – 北海道開拓を会社組織で成功させた稀有な例、赤心社の旧事務所(明治21年築)。クリスチャン開拓団の歴史を伝える貴重な建物です。
- 浦河町立郷土博物館 – 浦河の自然・歴史・産業を紹介する博物館。動植物の剥製、漁業の暮らし、競走馬関連資料など、町の全体像を学べます。馬事資料館と隣接しており、セットで訪れるのが便利です。
- 元浦河教会 – 赤心社の入植にともない建てられた、北海道のキリスト教史を伝える教会。荻伏地区の落ち着いた町並みに佇む建築です。
浦河町の観光ルート

浦河町は南北に細長く、見どころが市街地・西舎地区・荻伏地区などに分散しているため、移動手段は車が基本です。鉄道は2021年4月のJR日高本線廃止以降ないため、レンタカーまたはマイカーでのプランをご紹介します。テーマ別に組み立てると効率よく回れますよ。
【車・1日】馬と桜を満喫するルート(春)
春の浦河町を堪能する定番コース。桜の見頃である5月上旬がベストシーズンです。
9:00 浦河町中心部出発 → 9:15 浦河町立馬事資料館 → 10:30 シンザン馬像 → 11:00 うらかわ優駿ビレッジAERU(乗馬体験+昼食)→ 14:30 優駿さくらロード散策 → 15:30 うらかわオバケ桜(桜まつり期間中のみ)→ 16:30 オロマップ展望台で夕景
①浦河町立馬事資料館(60分)
→ 馬の歴史と浦河の馬産文化を概観して、旅のテーマをインプット。シンザンの父の心臓まで見られる、ここでしか味わえないスポットです。
②うらかわ優駿ビレッジAERU(昼食含め3時間)
→ 初心者でも安心の乗馬体験。乗ってみるとわかるんですが、馬の歩む速さは人と車のちょうど中間。なまら(とても)気持ちのいいテンポなんですよ。館内レストランで昼食も。
③優駿さくらロード(60分)
→ 桜のトンネルを徒歩でゆっくり。約3kmすべて歩くのは大変なので、入口付近〜長寿桜・百年桜周辺を中心に。
④オロマップ展望台(60分)
→ 締めくくりは展望台からの夕景。牧場と日高山脈と太平洋が一望できる、浦河ならではの絶景です。
【車・半日】海と歴史を巡るルート
市街地〜荻伏方面を巡る、コンパクトな半日コース。雨の日や時間が限られている方におすすめです。
13:00 浦河町中心部出発 → 13:15 大黒座(外観見学)→ 13:45 赤心社記念館 → 14:30 元浦河教会 → 15:30 浦河町立郷土博物館 → 16:30 浦河港周辺で海を眺めて解散
①大黒座(30分)
→ 大正7年創業の老舗映画館。手書きのタイムテーブルが郷愁を誘います。映画を観られたらしたっけ(それじゃあ)旅の思い出に1本観てから次へ。
②赤心社記念館&元浦河教会(90分)
→ 北海道開拓史のなかでも稀有な「会社組織での成功例」を伝える施設。荻伏の静かな町並みを散策しながら巡ると、町の歴史が立体的に見えてきます。
③浦河町立郷土博物館(60分)
→ 浦河の自然・歴史・産業をまとめて学べる施設。馬事資料館も隣接しているので、時間があればハシゴできます。
【車・1日】広域ルート:日高・えりも周遊
浦河町を起点に、隣接する様似町・新ひだか町まで足を伸ばす広域ルート。馬産地から日高山脈の前山、太平洋の絶景までを1日で味わうコースです。
8:30 新ひだか町・二十間道路桜並木(隣町) → 10:30 浦河町・浦河町立馬事資料館 → 12:00 うらかわ優駿ビレッジAERU(昼食) → 14:00 オロマップ展望台 → 15:30 様似町・アポイ岳ジオパークビジターセンター → 17:00 様似町・親子岩
①新ひだか町・二十間道路桜並木(90分)
→ 桜の名所100選にも選ばれた日本屈指の桜並木でスタート。浦河の桜と合わせて、日高の春を満喫できます。
②浦河町立馬事資料館+AERU(合計3時間)
→ 馬の歴史を学んでから、実際に乗ってみる流れ。知識と体験が結びつくと、旅の満足度が一段上がります。
③様似町・アポイ岳ジオパーク(90分)
→ 浦河からさらに東へ。世界的にも珍しい「かんらん岩」が露出する山で、ユネスコ世界ジオパーク認定。隣町ならではの寄り道スポットです。
浦河町の年間イベント

浦河町のイベントは、桜・馬・港・収穫といった町の「顔」と直結しています。春の桜まつりから夏の港まつり、秋の産業まつりまで、季節の節目ごとに住民と観光客が集まる催しが用意されています。馬産地らしく「馬」が主役のイベントが多いのも特徴ですよ。
春:優駿の里 浦河桜まつり(4月下旬〜5月上旬)
毎年4月下旬から5月上旬にかけて、うらかわ優駿ビレッジAERU特設会場で開催される町最大の春のイベント。約3km・1,000本のエゾヤマザクラのライトアップ、カニ汁の無料提供(1人1杯)、ステージショー、ワークショップ、特産品抽選会など盛りだくさんです。
桜まつり期間中の数日間だけ、JRA日高育成牧場敷地内の「うらかわオバケ桜」も特別公開されます。北海道最大級の巨樹を見られる貴重な機会なので、桜好きには見逃せませんよ。
夏:うらかわ馬フェスタ&浦河港まつり(7月〜8月)
7月下旬にはうらかわ馬フェスタがJRA日高育成牧場特設会場で開催されます。馬上結婚式、ポニー馬車、引き馬乗馬体験、ホースショー、ジョッキーベイビーズなど、馬産地ならではのプログラムが2日間にわたって繰り広げられます。お笑いライブやふわふわ遊具もあり、家族連れにも人気です。
8月上旬から中旬にかけては、町最大の夏祭り浦河港まつり。築地の港まつり特設会場で、大花火大会・歌謡ショー・町民盆踊り・カラオケ大会などが2日間開催されます。日高一とも言われる花火大会は、北海道の短い夏を約400発の花火で締めくくる風物詩です。
秋:うらかわ産業まつり(9月下旬)
毎年9月下旬、浦河町役場前庭で開催される秋の収穫祭。新鮮な地元の農水産物の即売会、玉ねぎ・にんじん・じゃがいもの詰め放題、漁の状況によっては鮭のつかみ取りなどが楽しめます。日高昆布や秋サケといった浦河の海の幸を、産地価格で手に入れられる絶好の機会ですよね。
冬:年末特売イベント(12月)
12月第1週の日曜日には、浦河第一中学校体育館で水産品を中心とした年末恒例の特売イベントが開催されます。年末年始の食卓を浦河の海の幸で彩りたい人にぴったり。しばれる(とても寒い)季節の楽しみとして地元に根付いています。
浦河町のエリア別の顔

浦河町は面積694.30km²の広い町で、エリアごとに表情がはっきり分かれています。海沿いの市街地に行政・商業機能が集中し、北側の山間部・西舎には馬産と観光の中心が広がり、町の西端の荻伏地区には開拓の歴史が息づく──そんな分布です。それぞれのエリアの「顔」を旅人目線でご紹介します。
市街地(築地・大通)──行政と港の町
町役場、日高振興局、商店街、浦河港が集まる浦河町の中心エリア。築地は港まつりの会場でもあり、夏は花火、屋台、盆踊りで一気に賑わいます。大正創業の映画館「大黒座」がここにあり、レトロな商店街歩きを楽しめます。観光の起点として宿泊するならまずこのエリアが便利ですよ。
西舎エリア──馬産と桜のメッカ
うらかわ優駿ビレッジAERU、JRA日高育成牧場、優駿さくらロード、オロマップ展望台が集中する、観光の中心エリア。空気は澄み、視界には牧場と日高山脈の稜線、そして馬。なまら(とても)非日常感が味わえる地区です。乗馬・桜・展望と、浦河らしさを凝縮した時間を過ごしたい人はここを目指しましょう。
荻伏エリア──開拓と海の集落
町の西端、新ひだか町に接するエリア。1881年に赤心社が入植した北海道開拓の重要拠点で、赤心社記念館・元浦河教会など歴史的建造物が点在します。海沿いの静かな集落歩きを楽しみたい方や、開拓史に興味がある方にぴったり。観光客の数も少なく、静謐な時間が流れています。
堺町・東町エリア──昔の鉄道沿線と日々の暮らし
かつてJR日高本線が走っていた沿線エリアで、堺町小学校・町営住宅などが立地する暮らしの町。観光地的なきらびやかさはありませんが、日高昆布の特上浜「井寒台浜」もこの方面に位置します。海沿いを車で流しながら、地元の漁業集落の素顔に触れたい人におすすめのエリアです。
杵臼・上杵臼──山あいの牧場地帯
町の北部、日高山脈の前山にあたる山間エリア。中杵臼の気候観測点では冬の最低気温が-26℃を記録するなど、沿岸部とはまったく違う「北海道らしい寒さ」が広がります。深い森と牧場が点在し、四季のコントラストが鮮やかな地域。秘境感のあるドライブを楽しみたい方向けです。
浦河町の気候・季節の暮らし

浦河町(潮見町・標高37m)の年平均気温は8.2℃、年降水量は約1,118mm、年降雪量は50.4cm(気象庁・浦河特別地域気象観測所)。北海道としては夏涼しく冬温暖な海洋性気候で、ケッペンの気候区分では西岸海洋性気候に分類されることもあります。「北海道の湘南」と呼ばれるなまら(とても)穏やかな気候が、暮らしの基盤になっているんですよ。
夏──6月〜8月の暮らし
夏は8月の平均最高気温が23.0℃と、北海道の中でも涼しい部類。真夏日(30℃以上)はまれで、熱帯夜は1971年(昭和46年)以降30年間で一度も観測されていません。エアコンなしで過ごせる家も多く、寝苦しさとは無縁の夏が広がります。
ただし、6〜8月はやませ(東寄りの冷たく湿った風)の影響で曇りや霧の日があり、気温が思ったより上がらないことも。海沿いをドライブすれば潮風が心地よく、内陸の牧場地帯に行けば澄んだ空気と緑が広がります。
秋──9月〜11月の暮らし
9月の平均最高気温は21.4℃、10月は16.2℃。日中は過ごしやすく、朝晩はぐっと冷え込むのが秋らしい気温の動きです。サケ漁が本格化し、スーパーや産業まつりで地元産の秋サケが並びます。
10月以降は紅葉が日高山脈の方から徐々に下りてきて、11月上旬には初雪が観測されることもあります。秋から冬への切り替わりが早いので、衣替えのタイミングは早めに見ておきたいですね。
冬──12月〜3月の暮らし
1月の平均気温は-2.4℃、平均最低気温は-5.7℃。北海道としては明らかに温暖で、根雪になるのは12月下旬以降。年降雪量は50.4cmと、札幌や旭川と比較してもかなり少ない数字です。
市街地では冬期間中ずっと路面が雪に覆われることはなく、一度の降雪が20cmを超えることもめったにありません。雪かきの負担が軽く、日照時間も比較的長いため、北海道らしい厳しさをしばれる(厳しく冷え込む)程度に抑えられた冬を過ごせます。
ただし、中杵臼など標高のある内陸エリアは別世界。中杵臼観測点の1月の平均最低気温は-13.6℃、過去には-26.7℃を記録するなど、沿岸部とは気候が大きく異なる点には注意が必要です。
春──4月〜5月の暮らし
4月の平均気温は5.2℃、5月は9.7℃と一気に春らしくなります。5月上旬には優駿さくらロードのエゾヤマザクラが見頃を迎え、町全体が桜色に染まる季節。海風はまだ冷たいですが、日差しは確実に春のものに変わります。
地震が比較的多い地域でもあり、防災意識は地元では当たり前。住むなら一度、自治体の防災ハザード情報をチェックしておくと安心です。
浦河町の移住・暮らし情報

人口10,882人の浦河町は、「ちょっと暮らし」体験プログラムを用意するなど、移住希望者の受け入れに積極的な町です。雪が少なく夏が涼しい気候、馬とふれあえる日常、町の中心部に医療・買い物・行政機能がコンパクトにまとまっているのが特徴。鉄道がなくなった分、車生活が前提になりますが、その代わり都市部にはない時間の流れがあります。
通勤・通学
町内に大きな雇用先となるのは、町役場・日高振興局・浦河赤十字病院・JRA日高育成牧場・各牧場・漁業関係。約200の牧場があるため、馬産業や関連サービス業に就く人も多く見られます。日高振興局の所在地ということで、行政機関の出先も比較的揃っています。
通勤は車が中心。鉄道は2021年に廃止されているため、町内移動も近隣の様似町・新ひだか町方面への通勤も、自家用車かバスが基本になります。
住宅環境
町内には町営住宅(荻伏A団地、荻伏B団地)や道営住宅(まきば団地)も整備されています。賃貸物件はSUUMOなど大手ポータルでの掲載数が限られており、地元の不動産会社経由で探すケースも多いと考えられます。一戸建てを取得しやすい地価帯と考えられますが、具体的な家賃相場は時期や物件によって変動するため、現地の不動産会社へ直接問い合わせるのが確実です。
買い物環境
町の中心部である築地・大通エリアには、スーパーやドラッグストア、コンビニ、商店街(浜町通り)が集まっています。日常の買い物はこのエリアでほぼ完結すると考えられます。大規模ショッピングモールは町内にないため、まとめ買いや専門店利用は隣の新ひだか町(静内市街地)や、車で2時間ほどの苫小牧市・札幌市まで足を伸ばす人もいるそうです。
子育て・教育
町内には町立の小学校4校(浦河、浦河東部、堺町、荻伏)、中学校3校(浦河第一、浦河第二、荻伏)、北海道立の高校(浦河高校)があります。さらに、町立ながら全国的にも珍しい馬産地ならではの教育環境として、馬と触れあう機会が自然と日常にあるのも特徴です。
サラブレッドが牧柵越しに見える通学路──そんな景色が普通にある町で、子どもがのびのびと育つ環境が整っていると考えられます。
医療環境
町の医療の中心は浦河赤十字病院。病床数146床、災害拠点病院・地域センター病院の指定を受けた管内唯一の総合病院です。一次・二次救急、急性期医療、療養病棟、精神科医療(地域ケア)、リハビリ、血液透析、健診、在宅医療、看護学校の運営まで担う、過疎地域としては類を見ない充実度。日高地方の医療を支える要の存在です。
診療所としては浦河ひがし町診療所(精神科)など複数の医療機関があり、日常的な通院は町内でほぼ対応可能。専門医療が必要な場合は札幌方面に出ることになります。
エリア別の暮らし視点
暮らす視点でエリアを見ると、市街地(築地・大通・東町)が買い物・医療・通勤のしやすさで最もバランスが良いエリア。賃貸物件も比較的このエリアに集中しています。西舎は牧場関係者・馬好きにとっての理想郷で、自然のなかで暮らしたい人向け。荻伏や堺町は静かな漁村集落の暮らしを楽しめ、車があれば不便はないと考えられます。山間部の杵臼方面は冬の寒さが厳しいため、寒冷地仕様の住宅と除雪の覚悟が必要です。
浦河町へのアクセス

浦河町は札幌市から約180km、新千歳空港から車で約2時間10分の距離にあります。2021年4月にJR日高本線が廃止されて以降、町内に鉄道は通っていません。アクセスは「車」または「高速バス」が基本になります。
車でのアクセス
札幌市中心部から国道235号・道央自動車道経由で約3時間〜3時間30分。新千歳空港からは約2時間10分。帯広市からは国道236号(天馬街道)経由で約2時間〜2時間30分が目安です。
沿岸ルート(国道235号)は太平洋を眺めながら走れる気持ちのいいドライブコース。内陸ルート(天馬街道)は日高山脈を貫く峠道で、季節によって景色が大きく変わります。
高速バスでのアクセス
札幌〜浦河を結ぶ主要な高速バスは2路線あります。
高速ペガサス号(道南バス):札幌駅前〜浦河ターミナル間を1日数便運行、所要時間約3時間45分、運賃は浦河ターミナル〜札幌駅前で3,280円。
高速えりも号(ジェイ・アール北海道バス):札幌〜えりも間を運行し、浦河を経由する予約制路線。札幌〜えりも間の運賃は3,670円です。
このほか、苫小牧市方面への「特急とまも号」、広尾方面への「高速ひろおサンタ号」もあり、目的地によって使い分けられます。
飛行機でのアクセス
最寄り空港は新千歳空港。東京方面から来る場合は、羽田・成田から新千歳空港まで飛び、レンタカーまたは高速バスで浦河へ向かうのが一般的です。新千歳空港から浦河までは車で約2時間10分、苫小牧経由の高速バスでは約2時間50分。
町内移動の現実的アドバイス
町内は南北に広く、観光スポットも市街地・西舎・荻伏に分散しています。観光・暮らしいずれの場合も、レンタカーまたはマイカーがあるとなまら(とても)行動範囲が広がります。日高地域広域公共バス(町内バス)も運行されていますが、本数が限られるため、ピンポイントで時刻を確認して使うのがコツです。
町内タクシーは日交ハイヤーがあり、短距離の移動には便利。札幌方面から1泊2日で訪れるなら「往復高速バス+現地レンタカー」の組み合わせも実用的だと考えられます。
【地元住民に直撃!】浦河町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
うちはサラブレッドの生産牧場をやってましてね、もう親父の代から数えたら50年以上になりますわ。繁殖の牝馬を何頭か預かって、種付けして、当歳から1歳の秋まで育てて市場に出すっていう、いわゆるマーケットブリーダーってやつです。
朝は3時半起きですよ。馬の世話は365日休みなしで、お産の時期はなまら(とても)寝れない。浦河町でこの仕事してる仲間は減ってきたけど、馬産は浦河の魂みたいなもんだから、なんとか続けていきたいんですわ。
Q2.この街に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
まずはやっぱり「うらかわ優駿ビレッジAERU」と「JRA日高育成牧場」ですね。浦河観光といったらここを外すわけにはいかん。乗馬体験して、桜の時期なら優駿さくらロードも歩いてみてほしい。あの桜のトンネルは、写真じゃ伝わらんから。
地元の人間がよく行くのは「オロマップ展望台」。夕方に登ると牧場と日高山脈と太平洋が一望できてね、馬産家にとっちゃ仕事終わりに一服する場所なんですわ。風の匂いが浦河水源の元浦川あたりの山の匂いと混ざって、これがまた良い。
Q3.この市町村でお土産を買うとしたらなんですか?
オーソドックスなとこなら浦河の有名なもので言えば日高昆布ですね。特に井寒台浜の特上品はね、関西の料亭が買い付けに来るほどの代物。煮物に使ってもらえば一発でわかりますよ。あとはスルメイカの一夜干しも夏はなまらうまい。
地元の人間がこっそり買うのは「うまんじゅう」って馬の形のおまんじゅう。それと、JA直売所に並ぶ秋サケの加工品。観光客向けじゃない、漁師さんが自分とこで食う用の塩加減のやつを狙うんですわ。
Q4.外から人が来たときにまず連れていく店はどこですか?
蕎麦食わせたい時は大通の「味よし」っていう老舗の蕎麦屋に連れてきますね。布海苔みたいな「まつも」って海藻が乗った蕎麦があってね、よその土地じゃまず食えん。これは浦河のおすすめスポットとして地元じゃ鉄板です。
昼飯がっつり食わせたい若いお客さんなら「かど天」とか「ぱんぱかぱん」。量がね、本当に道民でも驚くレベル。夜は港町らしく刺身の旨い居酒屋に連れてって、日高昆布の出汁の鍋で締める。これでだいたいみんな浦河のファンになりますわ。
Q5.この市町村はどんな気質だと思いますか?
太平洋と日高山脈に挟まれた土地柄か、わりとあっさりした気質ですね。馬産家どうし、漁師どうしの横のつながりは強いけど、よそ者を排除するような閉鎖性はあんまり感じない。むしろ「馬好きならウェルカム」みたいな空気がありますわ。
これは町長も移住政策に力入れてるのが大きい。浦河町の市町村長のもとで「ちょっと暮らし」みたいな制度を続けてくれてるおかげで、新しく入ってくる人にも馴染みやすい土壌ができてると思いますよ。
Q6.昔に比べて、街の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか
バブルの頃に400〜500あった牧場が今は200くらいまで減りました。日高本線も2021年に廃止になってね、駅前から人が消えたのは寂しい。商店街もシャッター閉まってる店が増えたのが現実です。
ただね、悪いことばっかりじゃない。浦河町市民センターでやってる文化イベントには若い移住者が顔出すようになったし、大黒座って大正からの映画館も若いサポーターが支えてる。浦河町運動公園のファミリースポーツセンターも町民の交流の場として元気にやってますよ。
Q7.これから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
一番期待してるのは日高自動車道が将来こっちまで延びてくることですね。今は静内まで来てるけど、これが浦河まで繋がれば、札幌や新千歳がぐっと近くなる。馬の輸送にも観光客誘致にもなまら効く話なんですわ。
あとは引退馬の余生を支える活動。競走馬として走り終わった馬たちをどうするかは馬産地全体の課題でね、町内でもNPOやふれあいファームが頑張ってる。これが定着すれば、浦河町はただ走らせるだけじゃない、馬と一生付き合う町になれると思ってます。

