新ひだか町(しんひだかちょう)は、北海道日高振興局管内の中央に位置し、太平洋と日高山脈に挟まれた人口約1.9万人の町です。2006年に静内町と三石町が合併して誕生し、日高管内で最も人口の多い中核都市として知られています。
新ひだか町の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 二十間道路桜並木──直線7kmに約2,000本のエゾヤマザクラが咲く日本屈指の桜名所(日本さくら名所100選・北海道遺産)
- ✅ サラブレッド生産の中心地──日高地区は全国の約79%を生産、その中でも新ひだか町は最大級の馬産地
- ✅ シャクシャインの戦い(1669年)の舞台──近世最大のアイヌ蜂起、首長シャクシャインの拠点シベチャリ
- ✅ 三石昆布(日高昆布)の主産地──柔らかく煮上がりが早い、出汁にも食用にも使える銘品
- ✅ みついし牛・太陽の瞳・デルフィニウム──馬糞堆肥を活かしたブランド農畜産物の宝庫
「桜が好きな旅行者」「競馬・サラブレッドに興味がある人」「アイヌ史や開拓史を辿りたい人」「雪が少なく温暖な北海道の町に移住したい人」に特におすすめの町。本記事では、観光・特産・歴史から、地元目線の暮らしぶり、アクセス情報まで紹介します。
| 人口 | 19,559 人 ※2026年4月30日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 1,147.55 km² |
| 人口密度 | 17 人/km² |
地理的には、北と西は新冠町、東は浦河町、北東部の日高山脈で十勝管内の大樹町と接しています。南西部は太平洋に面し、町域の8割を森林が占める広大な町です。札幌からは道央道・日高道経由で車約2時間30分、新千歳空港からは約2時間。JR日高本線は2021年4月に廃止されており、現在は道南バス・ジェイ・アール北海道バスでアクセスします。
桜・馬・昆布・アイヌ史・開拓史と、日高地方のあらゆる「顔」がこの一町に詰まっています。ひとつずつ見ていきましょう。
新ひだか町の推しポイント

新ひだか町の魅力は、5月の二十間道路桜並木に代表される圧倒的な景観と、サラブレッドが牧草を食む牧歌的な風景、そして昆布漁や黒毛和牛など海と陸の食の豊かさが交差している点にあります。さらに、シベチャリ(現・静内)のチャシ跡や稲田家家臣団の移住跡など、アイヌ史と開拓史が同居する歴史の厚みもこの町ならではです。観光と暮らしの両面から、見どころを順に深掘りしていきましょう。
推しポイント1:二十間道路桜並木──直線7kmの桜のトンネル
大正5年(1916年)から3年かけて、近隣の山々からエゾヤマザクラなどを移植して整備された並木道。左右の道幅がちょうど二十間(約36m)あることから「二十間道路」と呼ばれています。直線7kmにわたって2,000本超の桜が咲き誇る規模は日本屈指で、見頃は例年4月下旬〜5月上旬。「しずない桜まつり」もこの時期に開催されます。
推しポイント2:サラブレッドのふるさと
新ひだか町を含む日高地区は、2024年に全国のサラブレッド生産頭数の約79%を占める日本一の馬産地。町内にはオグリキャップ、トウショウボーイ、ロードカナロア、ダノンプレミアムなどG1優勝馬を輩出した牧場が点在します。乗馬体験施設「ライディングヒルズ静内」もあり、馬と触れ合う体験ができますよ。
推しポイント3:シャクシャインの舞台・真歌公園
1669年(寛文9年)、シベチャリ(現・静内)のアイヌ首長シャクシャインが松前藩に対して蜂起した「シャクシャインの戦い」。その拠点シベチャリチャシ跡は国の史跡に指定され、現在は真歌公園内にシャクシャイン像と新ひだか町アイヌ民俗資料館があります。アイヌ民族史を学ぶ重要なスポットです。
推しポイント4:三石昆布とみついし牛
三石地区の沿岸で採れる三石昆布は、一般には「日高昆布」として知られる銘品。出汁にも煮物にも使える万能さが特徴です。陸では黒毛和牛みついし牛が育てられ、柔らかな食感と甘みのある脂で全国にファンを持っています。海と陸、両方のブランドが揃う町なんです。
推しポイント5:北海道遺産と「北の零年」の舞台
二十間道路桜並木は北海道遺産・日本の道100選にも選定されています。さらに明治4年(1871年)、淡路島から徳島藩稲田家の家臣団約540人が静内に上陸し開拓を始めた史実は、吉永小百合主演の映画「北の零年」(2005年)で描かれました。町内には開拓者上陸地の碑なども残されています。
新ひだか町の歴史

新ひだか町の歴史は、アイヌ民族の暮らしと、明治以降の開拓・牧畜の歩みが折り重なっています。シャクシャインの戦いの拠点として近世史に名を刻み、明治期には稲田家家臣団の集団移住、御料牧場の設置を経て、現代に至るまで日高地方の中核として発展してきました。2006年の静内町・三石町合併によって誕生した比較的新しい町でもあります。
古代〜近世──アイヌのシベチャリとシャクシャインの戦い
静内川下流の台地には、アイヌの砦であるチャシが複数築かれていました。シベチャリチャシ跡をはじめとする「シベチャリ川流域チャシ跡群」は国の史跡に指定されています。1669年(寛文9年)、シベチャリのアイヌ首長シャクシャインが松前藩の収奪に抵抗して蜂起し、東は白糠から西は増毛にいたるアイヌが一斉に立ち上がりました。これは近世最大のアイヌ民族の蜂起であり、新ひだか町はその主要舞台です。シャクシャインは同年10月、和睦の席で松前藩に謀殺され、戦いは終息しました。
近代の開拓と御料牧場
明治3年(1870年)の庚午事変(稲田騒動)の結果、徳島藩家老・稲田邦植とその家臣団は北海道静内郡の開拓を命じられました。明治4年5月、第一陣546人が静内に上陸し、苦難の末に開拓を進めます。明治5年には宮内省の御料牧場(現・家畜改良センター新冠牧場)が静内川上流に設けられ、馬産地としての基礎が築かれました。御料牧場を視察する皇族の行啓道路として整備されたのが、現在の二十間道路です。1916年(大正5年)から3年かけて桜が移植され、今日まで続く名所となりました。
現代──静内町・三石町の合併と新ひだか町誕生
当初、静内町・三石町・新冠町の3町合併で「ひだか市」となる計画が進められていましたが、財政試算の問題から新冠町が離脱。静内町・三石町の2町合併が改めて決まり、2006年(平成18年)3月31日に新ひだか町が発足しました。新たに日高郡が新設され、現在に至ります。基幹産業は軽種馬生産・漁業(コンブ)・農業で、町内には全国唯一の軽種馬生産を学べる北海道静内農業高等学校もあります。
新ひだか町の文化・風習

方言と話し方の特徴
新ひだか町で使われているのは、いわゆる北海道弁。語尾に「〜だべ」「〜だべさ」がつくのが特徴で、強調したいときにはなまら(とても・すごく)、別れ際にはしたっけね(それじゃあね)と声をかけ合います。お礼を言われたら「なんもなんも」(どういたしまして・気にしないで)と返すのも、北海道らしいやわらかな響きなんですよ。
道内でも比較的温暖な海洋性気候のため、東北弁ほど強く訛ることは少なく、聞き取りやすい言葉づかいです。それでも牧場や漁港の年配の方と話すと、独特のイントネーションを感じることがあります。
食卓と季節の暮らし
春は太陽の瞳(ミニトマト)の出荷が4月下旬から始まり、サクラマスも食卓に並びます。夏は7月の昆布漁解禁とともに浜が一気に賑やかに。秋は鮭・イクラ、冬は毛ガニ、と海の幸が途切れません。家庭でジンギスカンを焼く文化も健在で、「ジンギスカンはお店じゃなくて家で食べるもの」というのは、北海道らしい風習ですよね。
桜まつりと蓬莱山まつり
4月下旬〜5月上旬の「しずない桜まつり」は、二十間道路桜並木とともに新ひだか町を代表するイベント。三石地区では夏に「みついし蓬莱山まつり」「三石港祭り」が開催され、海と山、両方の祭りを楽しめるのもこの町ならではです。アイヌ古式舞踊は国の重要無形民俗文化財に指定されており、静内民族文化保存会・三石民族文化保存会によって今も継承されています。
人の気質と地域のつながり
開拓時代から「協力しなければ生きていけない」風土で育ってきた町なので、人と人との距離感が近いのが特徴。牧場関係者・漁業者・農家が混在する産業構造のため、「したっけ(それじゃあ)、今度馬見せてやるわ」みたいな声が自然に飛び交います。馬主と生産者が朝の同じ喫茶店で顔を合わせるような濃密さも、馬産地ならではの空気感です。
新ひだか町の特産品・食

三石昆布(みついし昆布/日高昆布)
三石地区の沿岸一帯を主産地とする昆布で、学術名は「みついし昆布」、一般には「日高昆布」と呼ばれています。繊維質が柔らかく煮上がりが早いため、出汁を取ったあとそのまま昆布巻きやおでんの具にも使える万能選手。漁の解禁は毎年7月1日で、収穫した昆布は当日のうちに浜辺に敷き詰めて天日干しにします。砂利浜の通気と浜風によって、独特の風味が凝縮されるんです。
道の駅みついしや「みついしどっとこむ」で購入できます。出汁を取ったらそのままごはんに乗せて醤油を垂らすだけで、なまら(すごく)美味しい一品になりますよ。
みついし牛
新ひだか町三石地区で生産される黒毛和牛のブランド。仔牛から出荷まで一貫生産にこだわり、柔らかな食感とあっさりしながら甘みのある脂が特徴です。すき焼き・しゃぶしゃぶはもちろん、地元の精肉店ではA5ランクのもも肉やハンバーグなどとして販売されています。馬産地ならではの良質な堆肥が農業を支え、その農業が和牛の飼料を支えるという循環の中で生まれているお肉です。
食べ頃は通年。地元の道の駅みついしや、ふゆさわ精肉店などで入手できます。脂の質が上品で、口の中でふっとほどける感じがクセになるんですよね。
太陽の瞳(ミニトマト)
JAしずないが扱うミニトマトのブランド名。新ひだか町は仁木町・余市町・富良野市と並ぶ道内屈指のミニトマト産地で、年間生産量は約1,200トンに達します。出荷は北海道産ミニトマトの先陣を切る4月下旬から始まり、11月下旬まで続きます。馬糞堆肥を活かした土づくりと環境保全型農業によって、糖度と酸味のバランスが取れた粒よりのミニトマトが育つんです。エコファーマー認定産地でもあります。
夏の食卓で冷やしてそのままかじると、わや(めちゃくちゃ)甘くて、宝石のような輝きにも見惚れます。
デルフィニウムと「みついし花だより」
新ひだか町三石地区は、デルフィニウム(花卉)の全国最大の産地です。約60戸の農家が「みついし花だより」のブランド名で関東・関西の市場へ出荷しており、出荷額は5億円を超えています。爽やかな青や紫の花が並ぶハウスの景色は壮観で、結婚式の装花などでもよく使われる花です。
こぶ黒・万馬券(しずない産米)
日高昆布を食べて育った黒毛和牛こぶ黒は、新ひだか町のまつもと牧場だけで生産されている極上和牛。さらに、馬糞堆肥と日高山脈のミネラル豊富な水で育てたななつぼしを、馬産地らしい遊び心で万馬券(しずない産)、トキノミノル(みついし産)と名付けて販売しています。お土産にすると会話が弾むこと間違いなしですよ。
新ひだか町の観光スポット

新ひだか町の観光は、大きく「桜と馬」「アイヌ史と開拓史」「海と昆布」「温泉とキャンプ」の4つの軸で組み立てると分かりやすいです。市街地は静内地区に集中していますが、見どころは町域全体に点在しています。車での移動が基本になるので、行き先を絞って巡るのがおすすめですよ。
桜と馬産地のスポット
- 二十間道路桜並木 – 直線約7km、約2,000本のエゾヤマザクラが咲き誇る日本屈指の桜並木。日本の道100選・日本さくら名所100選・北海道遺産に選定されています。見頃は4月下旬〜5月上旬で、桜のトンネルの先には日高山脈と牧場が広がる絶景が待っています。なまら(とても)スケールが大きくて、写真を撮る手が止まらないんですよ。
- ライディングヒルズ静内 – 引き馬体験660円、初心者レッスン、太平洋を望むトレッキングまで揃う乗馬施設。営業時間は火〜日・祝祭日10:00〜16:30(乗馬受付16:00まで)、月曜定休。馬の温かさを直接感じられる体験スポットで、サラブレッドのふるさとに来た実感が湧きます。
- 競走馬のふるさと日高案内所 – 牧場見学のマナーや見学可能な期間・時間を教えてくれる案内所(入館無料)。営業時間は9:00〜17:00。馬の墓参り情報まで揃っていて、競馬ファンには宝の山ですよ。牧場を巡る前に必ず立ち寄っておきたい場所です。
- 龍雲閣(旧御料牧場貴賓舎) – 二十間道路の終点にある、御料牧場時代の御殿造りの建物。皇族が宿泊した御座所として使われた歴史的建造物で、桜まつり期間中のみ一般公開されます。中の展示は国宝級と言われるほど見応えがあります。
アイヌ史・開拓史を学ぶスポット
- 真歌公園 – シベチャリチャシ跡(国の史跡)を含む丘の上の公園。シャクシャイン像が静内川と市街地を見下ろしています。市街地と太平洋が一望できる展望台もあり、ドライブの締めくくりになまら(すごく)映える夜景スポットでもあります。
- シャクシャイン記念館・新ひだか町アイヌ民俗資料館 – 真歌公園内にあり、1669年のシャクシャインの戦いやアイヌ民族の暮らしを学べる施設。アイヌ民俗資料館は4月〜11月は9:00〜17:30、12月〜3月は9:30〜16:30、月曜休館です。歴史好きなら半日かけてじっくり見て回りたい場所です。
- シベチャリチャシ跡 – シャクシャインの拠点とされたアイヌの砦跡。1997年に「シベチャリ川流域チャシ跡群及びアッペツチャシ跡」として国の史跡に指定されました。今は静かな丘ですが、ここで近世最大のアイヌ蜂起が始まったと思うと背筋が伸びます。
海と温泉のスポット
- 道の駅みついし – 国道235号沿い、三石海浜公園内にある道の駅。営業時間は4月〜9月8:45〜22:00、10月〜3月8:45〜17:30、年末年始休(12/31〜1/5)。三石昆布や三石羊羹、揚げたてのさつ揚げなど、ここでしか買えないお土産がずらり並んでいます。
- みついし昆布温泉 蔵三 – 道の駅みついしに隣接する町営温泉宿泊施設。船の形をした「海舟露天風呂」と、三石昆布を浴槽に浮かべた「昆布湯」が名物。露天からは太平洋が一望でき、夕日に沈む水平線を眺めながらの入浴はわや(めちゃくちゃ)気持ちいいんですよ。日帰り入浴も可能です。
- 静内温泉 – 1899年(明治32年)発見の歴史ある天然温泉。「美肌の湯」と呼ばれる茶褐色のナトリウム炭酸水素塩泉(pH8.45)で、湯上がりもポカポカが続きます。営業時間10:00〜22:00、大人550円・小学生160円。森に囲まれた静かな環境で、町の喧騒から離れたい時にぴったりです。
- 三石海浜公園・みついしふれあいビーチ – 海水浴や磯遊びが楽しめる夏の拠点。オートキャンプ場と16棟のバンガローも併設され、夜は星空観察もできます。家族連れにも一人旅にも、夏の三石を満喫する一日が過ごせる場所ですよ。
- 蓬莱山(三石蓬莱山公園) – 三石川を挟む雄蓬莱と雌蓬莱の2つの岩山。アイヌの伝説が残るパワースポットで、毎年7月の「みついし蓬莱山まつり」の舞台にもなります。岩肌に咲くツツジや紅葉の季節も見どころです。
新ひだか町の観光ルート

新ひだか町は東西に細長く、静内地区と三石地区の2つの市街地に見どころが分かれています。鉄道は廃線になっているため車での移動が基本。桜の時期に来るなら静内中心、夏ならビーチと温泉のある三石中心、と季節で軸を変えるのが賢い回り方ですよ。
【車・1日】桜と馬産地を満喫する静内ルート(4月下旬〜5月上旬)
9:00 静内市街出発 → 9:15 二十間道路桜並木(90分) → 11:00 龍雲閣(30分) → 11:45 ライディングヒルズ静内(90分・乗馬体験+ランチ) → 14:00 真歌公園・シャクシャイン記念館(90分) → 15:30 競走馬のふるさと日高案内所(60分) → 17:00 静内温泉でひと風呂(90分) → 19:00 静内市街で夕食
①二十間道路桜並木(90分)
→ まずはこの町の代名詞である桜のトンネルを歩く。朝の柔らかい光が桜と日高山脈を照らす時間帯が美しいです。
②ライディングヒルズ静内(90分)
→ 引き馬体験でなまら(とても)温かい馬の背に触れる。施設内のレストランで軽食もとれます。
③真歌公園・シャクシャイン記念館(90分)
→ 桜並木の華やかさから一転、近世最大のアイヌ蜂起の歴史へ。展望台から静内の街を見下ろすと、町の全体像が掴めます。
④静内温泉(90分)
→ 1日の歩き疲れを「美肌の湯」で流す。茶褐色のお湯で湯上がりはツルツル、すぐ晩ごはんに向かえます。
【車・半日】三石の海と昆布を味わうルート
10:00 静内市街出発 → 10:45 道の駅みついし(60分・買い物) → 12:00 みついし昆布温泉 蔵三でランチ(90分・みついし牛料理) → 13:30 三石海浜公園・ふれあいビーチ(60分) → 14:30 蓬莱山公園(30分) → 15:00 蔵三で温泉(90分) → 16:30 三石出発
①道の駅みついし(60分)
→ 三石昆布・三石羊羹・揚げたてさつ揚げを物色。お土産はここで一気に揃います。
②みついし昆布温泉 蔵三(90分)
→ ランチにみついし牛のすき焼き御膳。脂の甘みが口の中でほどけて、思わず「うまい!」と声が出ます。
③三石海浜公園(60分)
→ 夏なら海水浴・磯遊び、それ以外の季節は浜辺を散歩。太平洋の波音が町歩きの締めくくりにぴったりです。
④蓬莱山公園(30分)
→ アイヌ伝説が残る雄蓬莱・雌蓬莱の岩山。短時間で立ち寄れて、雰囲気だけでも味わう価値があります。
【車・1日】広域ルート:日高地方の馬産地横断(新冠〜新ひだか〜浦河)
9:00 新冠町・サラブレッド銀座出発 → 10:00 新ひだか町・北海道市場(軽種馬せり)外観見学(30分) → 10:30 競走馬のふるさと日高案内所(60分) → 11:45 二十間道路桜並木(60分) → 13:00 静内市街でランチ(60分) → 14:00 道の駅みついし(60分) → 15:30 浦河町・優駿ビレッジAERU(90分) → 17:30 浦河市街
①新冠町・サラブレッド銀座(出発地)
→ 牧場が連なる絶景ロードで馬産地の空気を吸う。隣町から旅は始まります。
②北海道市場(30分)
→ 日高軽種馬農業協同組合が運営する全国有数のサラブレッド競りの会場。せり開催日でなくても外観と雰囲気を見るだけで圧倒されます。
③二十間道路桜並木+競走馬のふるさと案内所(合計2時間)
→ 新ひだか町のハイライト2連発。桜のシーズンならここだけで半日かけてもいいくらい充実しています。
④道の駅みついし(60分)
→ 三石地区の土産を仕入れて、隣町・浦河へ。海岸ドライブのまま国道235号を東へ進みます。
新ひだか町の年間イベント

新ひだか町の年中行事は、桜(春)・蓬莱山(初夏)・夏まつり(盛夏)・冬のイルミネーション、と季節ごとに分かれています。特に春の「しずない桜まつり」と夏の「新ひだか夏まつり」は町外からも観光客が押し寄せる大型イベント。馬産地らしく、せり市の季節も町の風景を変える隠れた見どころなんですよ。
春:しずない桜まつり(4月下旬〜5月上旬)
二十間道路桜並木で開催される町を代表する祭り。期間中は屋台が並び、ライトアップや馬車運行も行われます。直線7kmにわたる桜のトンネルの下を歩くと、ピンクの花びらと馬産地の牧歌的風景が交互に視界に入ってきて、なまら(とても)贅沢な気分になります。例年4月下旬から5月上旬にかけて、桜の開花状況に合わせて期間が決まります。
初夏:みついし蓬莱山まつり(7月上旬)
三石蓬莱山公園で開かれる三石地区最大の夏イベント。例年7月上旬の日曜日に開催され、雄蓬莱・雌蓬莱の岩山を背景に、みついし牛のバーベキューコーナー、ステージライブ、巨大エアー滑り台などが楽しめます。地元シンガーソングライターのライブもあり、町民と観光客がごちゃまぜになって盛り上がる、家族向けのお祭りです。
夏:新ひだか夏まつり(7月下旬〜8月中旬)
静内地区の御幸通り・静宝通りを歩行者天国にして開催される町を挙げての夏祭り。例年7月下旬に「本まつり」として和太鼓フェスティバルや阿波踊りパレードが行われます。「阿波踊り」は、明治期に淡路島(旧徳島藩領)から移住した稲田家家臣団の歴史に由来する伝統で、本場さながらの熱量で通りを練り歩く光景は圧巻ですよ。さらに8月中旬には静内川右岸緑地公園と三石漁港でそれぞれ花火大会が開催されます。
秋:北海道市場のせり(秋セール)
新ひだか町静内の日高軽種馬農業協同組合「北海道市場」で開かれる、全国のオーナーや調教師が集まるサラブレッドのせり市。9月の「セプテンバーセール」、10月の「オータムセール」など、秋には数百頭の馬が落札されます。一般見学も可能で、馬産地ならではの空気を肌で感じられる隠れたイベントです。
冬:ウインターデ・ライト(12月〜2月頃)
新ひだか町商工会青年部が主催する冬のイルミネーションイベント。静内中心部が幻想的な光に包まれ、雪が少ない新ひだか町の冬を温かく彩ります。寒さに身を縮めながら歩く街路樹のライトアップは、冬の静内の風物詩ですよ。
新ひだか町のエリア別の顔

新ひだか町は2006年に静内町と三石町が合併してできた町なので、「静内地区」と「三石地区」の2大エリアに大きく分かれます。さらに静内地区は中心市街、御料牧場跡周辺、海岸沿い、と顔が変わります。三石地区も国道沿いの商業エリアと内陸の農村エリアでは雰囲気が違うんですよ。旅の目的に合わせてエリアを選ぶと、効率よく町の魅力を味わえます。
静内中心市街エリア──日高地方の中核都市
静内駅跡周辺〜御幸町〜本町にかけてのエリアで、日高管内で最も人口が多い商業の中心地です。スーパー、飲食店、銀行、ホテルが揃い、ふらっと町歩きをしても困りません。静内駅跡(バスターミナル)を起点に、徒歩圏で買い物・食事・休憩が完結する便利さがあります。「日高エリアでまず一泊するなら静内」と言われる理由が分かるエリアです。
真歌・二十間道路エリア──桜と馬と歴史の核心
静内川左岸の丘陵地から二十間道路桜並木にかけてのエリア。真歌公園のアイヌ史跡、ライディングヒルズ静内の馬体験、二十間道路の桜と、新ひだか町の3大コンテンツが密集しています。観光で来るなら、まずこのエリアを攻めるのが王道。したっけ(それじゃあ)、観光客にとって最も「写真を撮りたい」「歩きたい」と感じるエリアでしょうね。
静内浦和・温泉の森エリア──森と湯の癒し
静内川を遡った内陸側、静内温泉のある森林公園エリア。アウトドアの拠点として、キャンプ場・森林公園・天然温泉が揃っています。週末にゆっくり過ごしたい人や、町の喧騒から離れて読書したい人にぴったりですよ。秋の紅葉、春の新緑も見事です。
三石本町・道の駅エリア──海と昆布の玄関口
国道235号沿い、道の駅みついし・みついし昆布温泉 蔵三・三石海浜公園が集まる三石地区の観光拠点です。ドライブで町を訪れる人の大半がここで休憩・買い物・入浴を済ませます。海風と昆布の干物の香りが混ざる独特の空気感は、この町ならではの体験ですよ。夏は海水浴客で賑わいます。
三石本桐・蓬莱山エリア──農村と伝説の里
三石川流域の内陸部、本桐・蓬莱を中心としたエリア。みついし牛の牧場、デルフィニウムのハウス、稲作地帯が広がる、北海道らしい田園風景が広がります。蓬莱山のパワースポット巡りや、産直野菜の買い出し、農家民泊などにおすすめ。観光地化されていないぶん、なまら(とても)素朴な北海道の暮らしが残っているエリアです。
新ひだか町の気候・季節の暮らし

新ひだか町は太平洋に面した海洋性気候のため、北海道の中では比較的温暖で、降雪量も少ないのが特徴です。静内のアメダス観測値(1991〜2020年平均)では、年平均気温は8.2℃、日平均気温は1月で-3.4℃、8月で20.7℃。一方、三石は内陸寄りのため冬は静内より2〜3℃低くなります。町の公式案内では「涼夏少雪の郷」と呼ばれており、夏は涼しく冬の雪かきもほとんど必要ない暮らしが営まれています。
春──4月〜5月の暮らし
春は新ひだか町が最も華やぐ季節です。4月下旬から二十間道路桜並木が開花し、町外からの観光客で街がにわかに賑やかになります。4月の平均最高気温は9.9℃で、まだ薄手のコートが手放せませんが、5月になると牧場で生まれたばかりの仔馬が放牧地に姿を見せ、町全体が春の色に染まります。ミニトマト「太陽の瞳」も4月下旬から出荷が始まり、農家の朝が早くなる時期ですよ。
夏──6月〜8月の暮らし
夏は道内でも涼しく過ごしやすいエリア。8月の平均最高気温は静内で24.0℃、月平均気温は20.7℃で、本州のような熱帯夜はほとんどありません。7月1日には三石地区で昆布漁が解禁され、浜辺は早朝3時から漁師さんが動き出します。海開きとともに三石海浜公園のオートキャンプ場が大盛況になり、家庭ではジンギスカンを焼く煙があちこちで上がる、北海道らしい夏の風景が広がります。
秋──9月〜11月の暮らし
秋は新ひだか町の食欲が爆発する季節。9月の月平均気温は17.8℃と過ごしやすく、北海道市場のサラブレッド「セプテンバーセール」「オータムセール」で町に全国からバイヤーが集まります。サケ漁が始まり、家庭の食卓にイクラの醤油漬けが並びます。日高山脈の麓は10月中旬から紅葉が見頃を迎え、ドライブが心地よい時期ですよ。11月になると朝晩の冷え込みが強まり、薪ストーブを準備し始める家もあります。
冬──12月〜3月の暮らし
冬は北海道の中ではかなり穏やか。静内の1月の月平均気温は-3.4℃、平均最低気温も-7.8℃で、内陸部の旭川や帯広に比べるとずっと暖かいです。降雪量も少なく、町の公式情報では「寒いときでも月平均-5℃くらい、降雪量も少なく、雪が積もっても日中の気温がプラスになりすぐ融けてしまうため雪かきの心配もほぼ無用」と紹介されています。しばれる(厳しく冷え込む)日でも、道路の凍結や雪かきの負担が札幌や旭川よりなまら(とても)軽いんですよ。ただし三石地区は内陸寄りで、1月の最低気温記録は-25.9℃と冷え込むため、ストーブと住宅断熱は必須です。
新ひだか町の移住・暮らし情報

新ひだか町は日高振興局管内で最も人口が多く、商業・医療・教育の機能が一通り揃った中核都市です。スーパー、病院、高校、ホームセンターまでが静内中心市街に集中していて、車1台あれば日々の生活はほぼ完結します。雪が少なく夏は涼しい「涼夏少雪」の気候は、北海道移住を考える人にとってかなり有利な条件ですよね。
通勤・通学
町内通勤が圧倒的多数で、軽種馬牧場、JAしずない・JAみついし、漁協、町立病院、町役場などへ車で15〜30分というのが一般的です。新冠町・浦河町への通勤者もおり、国道235号での移動が日常的。JRは2021年に廃線になっているため、通勤手段は基本的にマイカーです。北海道静内農業高等学校は全国唯一の軽種馬生産専攻があり、町内外から生徒が集まります。
住宅環境
家賃相場は道内の中でも安めです。ニフティ不動産の集計(2025年3月31日時点)では、町内の平均家賃は5.89万円、2LDK以上のファミリー向けは平均6.86万円。1LDKは5.5万円前後、2LDK・3LDK帯でも7万円前後で見つかります。新築一戸建ても土地代が安いため、子育て世帯にとって手が届きやすい住宅環境と考えられます。中心市街地から少し外れれば、馬の放牧地が見える庭付きの一軒家も珍しくありません。
買い物環境
静内地区にはイオン静内店、ホーマック、ツルハドラッグなど主要なロードサイド店が揃っています。さらに北洋銀行・日高信用金庫・北海道労働金庫・郵便局など金融機関も静内に集中していて、町内で日々の用は足ります。三石地区にも商店街・スーパー・道の駅みついしがあり、二拠点での暮らしも可能。ただし衣料品やブランド品の専門店は限られるので、本格的に揃えたい時は札幌へ足を伸ばすのが現実的です。
子育て・教育
小学校4校(高静・静内・桜丘・三石)、中学校3校(静内・静内第三・三石)、高校2校(北海道静内高等学校・北海道静内農業高等学校)と、町内で高校まで通えます。乗馬施設「ライディングヒルズ静内」では子ども向けのプログラムも実施されており、馬と触れ合う情操教育が日常にあるのは新ひだか町ならではの環境です。北海道大学の研究牧場や北海道平取養護学校の分校もあり、教育インフラは町の規模の割に厚いと言えます。
医療環境
町立病院として「新ひだか町立病院(静内緑町)」、民間では「日高徳洲会病院(静内こうせい町)」があり、二次救急まで対応できる体制が町内で整っています。日高徳洲会病院では救急・外科・内科・整形外科・消化器内科などを診療。高度な医療や大学病院レベルの治療が必要な場合は札幌・苫小牧の医療機関を利用する形になります。
エリア別の暮らし視点
静内中心市街(御幸町・本町・末広町・青柳町・吉野町など)は買い物・通勤・通学のすべてが徒歩・自転車圏で完結する、町で最も便利なエリア。ファミリー向け1LDK〜2LDKが揃っています。真歌・浦和エリアは静かで自然が近く、家庭菜園や子育てを楽しみたい人に向いています。三石本町・本桐エリアは家賃がさらに安く、海と山に囲まれたスローライフが叶うエリアで、リモートワーク移住者にも人気が出てきていると考えられます。
新ひだか町へのアクセス

新ひだか町へのアクセスは、車・高速バス・新千歳空港経由の3パターンが基本です。JR日高本線は2021年4月に鵡川駅以南が廃止されたため、現在は鉄道では到達できません。札幌から車で約2時間30分、新千歳空港から約2時間の距離です。
車でのアクセス
札幌方面からは、道央自動車道〜日高自動車道経由で「日高厚賀IC」が最寄り。日高厚賀ICから静内市街まで国道235号で約30分、所要時間は札幌駅から約2時間30分です。新千歳空港からは日高自動車道経由で約2時間。新冠ICが今後開通すれば、さらにアクセスが改善する見込みです。
高速バスでのアクセス
札幌〜静内・浦河を結ぶ道南バス「高速ペガサス号」が運行しています。札幌駅前〜静内の運賃は片道2,700円、所要時間は約2時間25分。要予約。札幌大谷地ターミナル経由便もあり、新さっぽろ方面からのアクセスも便利です。さらに、ジェイ・アール北海道バス「高速えりも号」も札幌〜静内〜浦河〜えりもを結んでいます。
飛行機+バスでのアクセス
新千歳空港からの直通バス「特急ひだか優駿号」は2022年3月で廃止されており、現在は乗り換えが必要です。新千歳空港から道南バスでJR沼ノ端駅北口へ行き、そこから道南バスまたはジェイ・アール北海道バス「特急とまも号」に乗り換えて静内まで約2時間。レンタカーを借りて日高自動車道経由で来るほうが時間も読めるためおすすめです。
町内移動の現実的アドバイス
町内移動は車が前提です。鉄道がなく、路線バスは道南バスの新ひだか町内循環線が静内地区を中心に運行していますが、本数は限られます。観光協会の「新ひだか町観光情報センター ぽっぽ」(旧静内駅併設)では電動アシスト自転車のレンタサイクルが2026年4月から始まっており、二十間道路桜並木や真歌公園へは自転車でも行けます。冬季はレンタカー利用が現実的ですよ。
【地元住民に直撃!】新ひだか町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
うちはこの新ひだか町で代々続くサラブレッドの生産牧場をやってます。親父の代から数えりゃ70年近いかな。種付けから当歳の管理、北海道市場のセリに出すまでが仕事です。
朝は4時半から馬の世話で、夜も見回りでなかなか眠れんですわ。ただ、自分が育てた馬が中央で勝った時の喜びはなまら(とても)格別でね。これがあるから辞められんのよ。
Q2.この街に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
そりゃまず新ひだか町観光の代名詞「二十間道路桜並木」だね。5月の連休あたりに7kmの桜トンネルを車で抜けると、奥に龍雲閣と日高山脈が見えてくる。あれは何回見ても鳥肌立つよ。
あとは地元民しか行かんけど、町の水源にもなってる静内川上流の双川ダム周辺。早朝に霧が立つ景色はなまらきれいでね。新ひだか町のおすすめスポットを聞かれたら、必ずこの2つを挙げてます。
Q3.この市町村でお土産を買うとしたらなんですか?
通常なら三石昆布と三石羊羹。これは道の駅みついしで買えるし、外れがないからね。新ひだか町の有名なものといえば、まずこの2つが鉄板ですわ。
地元の人間しか知らんやつだと、JAしずないの「万馬券」って米。馬糞堆肥で育てたななつぼしで、競馬好きには名前だけで喜ばれる。あと八木菓子舗の「やわらか」って和菓子も、お茶請けに最高だよ。
Q4.外から人が来たときにまず連れていく店はどこですか?
馬主さんが来た時はまず御幸町あたりの寿司屋に連れていくね。日高沖のサクラマスや三石のホタテ、地元のマツカワが揃ってて、東京の人はびっくりするわ。値段も札幌の半分くらいだしね。
もうちょっとカジュアルなら、道の駅みついし隣の「蔵三」でみついし牛のすき焼き御膳。海見ながら昆布湯入って、肉食って帰る。これがうちの定番コースですわ。
Q5.この市町村はどんな気質だと思いますか?
馬の町だから、よそ者にも案外オープンよ。明治期に淡路島から稲田家家臣団が入って、戦後も全国から馬関係者が集まってきたから、「混ざる」ことに慣れてる土地柄なんだわ。
ただ朝が早い人間が多いから、夜の街は静か。漁師と馬産関係者と農家が朝5時の喫茶店で顔合わせて、夜8時には家に帰ってる、そんな町です。新ひだか町民センターの集まりでも、終わるの早いもんね。
Q6.昔に比べて、街の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか
正直に言うと、人口は減ったね。2010年に2万5千人いたのが、いまは2万切ったから。日高本線が廃線になった2021年は、ほんとに寂しかったですわ。静内駅前の風景も変わったし。
ただ馬産だけは元気でね。日高地区のサラブレッド生産は9年連続で増えてる。新ひだか町長も馬産地ブランドの発信に力入れてくれてて、町外からの牧場研修生や移住者もちょいちょい来るようになりました。
Q7.これから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
一番大きいのは日高自動車道の延伸ね。新冠ICが開通すれば札幌からの新ひだか町観光のお客さんがもっと来てくれるはず。馬主さんの牧場訪問もぐっと楽になるしね。
あとは静内川河川敷の新ひだか町運動公園で、子どもたちが乗馬体験できるイベントが少しずつ増えてる。次の世代に馬の町を残していく仕掛けが動き出してて、これはなまら楽しみにしてますわ。

