弘前市(ひろさきし)は、青森県西部・津軽平野の南部に位置する都市です。弘前藩の城下町として発展した津軽地方の中心都市で、人口は約15万5千人。日本で最初に市制を施行した都市のひとつです。
弘前市の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 弘前城──東北で唯一の現存天守。天守など9棟が国の重要文化財(国指定史跡・弘前公園)
- ✅ 弘前さくらまつり──「日本三大夜桜」のひとつ。52品種・約2,600本の桜が咲く
- ✅ りんご生産量が全国一──市町村別の農業産出額も全国トップの504億円
- ✅ 弘前ねぷたまつり──国の重要無形民俗文化財。毎年8月1〜7日に開催
- ✅ 明治の洋館と学園都市──青森県唯一の国立大学・弘前大学を擁する
「お城や桜が好きな人」「りんごやシードル(りんごのお酒)に興味がある人」「歴史ある町並みを歩いてみたい人」に向いた町です。序盤で観光の見どころ、中盤で城下町の歴史と暮らし、終盤で特産品とりんご文化を紹介します。
| 人口 | 155,697 人 ※2026年5月1日時点(推計人口) |
|---|---|
| 面積 | 524.20 km² |
| 人口密度 | 297 人/km² |
地理的には、弘前市は北東から西にかけて藤崎町・板柳町・鶴田町・鰺ヶ沢町、東に田舎館村・平川市、南東に大鰐町、南西に西目屋村、そして南は秋田県の大館市と接しています(出典:全国観光資源台帳(日本交通公社))。西には「津軽富士」と呼ばれる岩木山がそびえ、南には世界自然遺産・白神山地が広がります。
JR奥羽本線と弘南鉄道(弘南線・大鰐線)が通り、車では東北自動車道の大鰐弘前ICが最寄りです。城・桜・りんご・ねぷたと、この町には「全国一」や「日本最初」の要素が詰まっています。ひとつずつ見ていきましょう。
弘前市の推しポイント

弘前市の見どころは、城下町だからこその「歴史の厚み」に集約されます。中心にあるのは弘前城と弘前公園。そこに、りんご生産量日本一という産業の顔、夏のねぷた、そして明治の洋館が重なります。城・桜・りんご・祭り・建築──異なる5つの方向から町の魅力を見ていきましょう。
弘前城と弘前公園──現存天守と日本三大夜桜
弘前市のシンボル、弘前城は国の史跡で、天守など9棟が国の重要文化財に指定されています。天守は東北で唯一現存するもので、東京・上野、新潟・高田と並ぶ「日本三大夜桜」のひとつとしても知られています。園内には52品種・約2,600本の桜が植えられ、満開の頃は本当に見事なんですよ。なお弘前城天守は石垣の修理にともない本丸内へ一時移動しており、2026年7月から元の天守台へ戻す「曳き戻し」が始まる計画です(出典:弘前市観光情報サイト)。
りんご生産量が全国一──農業産出額もトップ
弘前市はりんごの生産量が全国一で、全国収穫量のおよそ4分の1を占める一大産地です(出典:全国観光資源台帳(日本交通公社))。市町村別の農業産出額でも全国一で、令和4年は504億円と日本の市町村でもっとも多い数字でした(出典:農林水産省東北農政局)。市の木が「りんご」、市の花が「さくら」というのも、この町らしさを表しています。
弘前ねぷたまつり──夏を彩る重要無形民俗文化財
毎年8月1日から7日まで開かれる弘前ねぷたまつりは、武者絵を描いた大小約80台のねぷたが「ヤーヤドー」の掛け声とともに城下町を練り歩く夏祭りです。1980年に国の重要無形民俗文化財に指定されており(出典:弘前観光コンベンション協会)、観客数は例年160万人以上にのぼります(出典:Amazing AOMORI(青森県観光情報サイト))。扇形の「扇ねぷた」が弘前らしさで、青森市の「ねぶた」とは形も呼び名も違うのが面白いところです。
明治の洋館が残る城下町/弘前大学の学園都市
弘前は、明治期に陸軍第八師団が置かれた「軍都」、旧制弘前高校が置かれた「学都」としての歴史を持つ町です。市内には旧第五十九銀行本店本館(青森銀行記念館)など、棟梁・堀江佐吉らが手がけた洋館が点在しています。現在も青森県唯一の国立大学である弘前大学を中心に、学園都市の性格を保ち続けているまちなんですよ。
弘前市の歴史

弘前の歴史は、おおきく3つの段階で見ると分かりやすくなります。江戸時代に築かれた弘前藩の城下町という土台、明治以降の軍都・学都としての近代、そして平成の大合併を経た現在です。城下町の町割りは今も市街地の骨格として残り、地名や寺社、洋館にその記憶が刻まれています。
弘前城の築城と城下町の誕生
慶長8年(1603年)、堀越城主の津軽為信が鷹岡(現在の弘前)への築城を計画しました。為信の死後、2代藩主・津軽信枚が計画を継ぎ、慶長16年(1611年)に城が完成します。寛永5年(1628年)には地名が「弘前」と改められました。以後、明治維新までの約260年間、弘前は津軽地方の政治・経済・文化の中心として栄えました。
軍都・学都としての近代
明治22年(1889年)、弘前は全国30市とともに市制を施行し、青森県内で最初の市となりました。明治27年(1894年)に奥羽本線の弘前駅が開業、明治31年(1898年)には陸軍第八師団が置かれ、町は軍都として南へと拡大していきます。一方で大正期には旧制弘前高校が開校し、学問の町としての性格も帯びていきました。
平成の大合併と今の弘前
平成18年(2006年)、旧弘前市は中津軽郡の岩木町・相馬村と新設合併し、現在の弘前市が発足しました。これにより、岩木山麓の嶽高原や相馬地区が市域に加わっています。平成23年(2011年)には弘前城の築城400年を迎え、年間を通じて記念の祭りが開催されました。城下町としての歴史が、今も町の暮らしと観光の核になっています。
弘前市の文化・風習

方言と話し方の特徴
弘前を含む津軽地方では「津軽弁」が話されています。全国でも難解な方言として知られていて、初めて聞くと外国語のように感じる人もいるんですよ。たとえばまいね(だめ)、せばだば(それじゃあ)、めやぐだ(ありがとう・恐縮です)、めごい(かわいい)、どんだば(どうした・なんてことだ)といった具合です。なかでもあずましい(心が落ち着いて気持ちがいい)は標準語にぴったり置き換える言葉がなく、津軽の人の感覚をよく表しています。濁点が多く、短い言葉でぐっと気持ちを伝えるのが特徴です。
食卓と季節の暮らし
津軽の食卓は、りんごとともにあります。冬には雪が積もり、最深積雪の平年値は88cmにもなる雪国。だからこそ、漬物や干したものを使った保存の知恵が暮らしに根づいています。秋になればりんごの収穫で町がいっせいに動き出し、夏はねぷたの囃子が町に響く。季節のメリハリがはっきりしているのが、ここでの暮らしの肌ざわりです。
人の気質「じょっぱり」
津軽の人の気質を表す言葉にじょっぱり(強情っ張り・頑固)があります。これは決して悪い意味だけではなく、まじめで負けず嫌い、一度決めたらやり抜くという粘り強さでもあります。りんご栽培で全国一の産地を築き上げてきた背景にも、この気質があると言われています。口数は多くなくても芯のある人柄、と言えばイメージしやすいかもしれません。
弘前市の特産品・食

りんご
やっぱり弘前といえば、りんごです。生産量は全国一で、全国収穫量のおよそ4分の1を占めています(出典:全国観光資源台帳(日本交通公社))。昼夜の寒暖差が大きい気候が栽培に向いていて、蜜の入った甘いりんごが育ちます。秋から冬にかけてが本番で、「ふじ」をはじめ品種ごとに食感も甘酸っぱさも違うので、食べ比べが楽しいんですよ。市内のりんご公園では約80種・2,300本の木を見ることができます。
アップルパイとシードル
りんごの町だけあって、加工品の世界も奥深いです。弘前市はアップルパイの名物化に取り組んでいて、市内の名店をめぐる食べ歩きが定番になっています。お店ごとに生地や甘さ、シナモンの効かせ方が違うので、はしごしたくなりますよ。さらに、りんごの発泡酒「シードル」も弘前ならでは。すっきりした酸味のあるお酒で、食事にもよく合います。甘口から辛口まであるので、好みのものを探してみてください。
嶽きみ(だけきみ)
夏に旬を迎えるのが、岩木山麓の嶽高原(標高400〜500m)で育つブランドとうもろこし「嶽きみ」です。昼夜の寒暖差が大きい高原で育つため糖度が高く、生でも食べられるほどの甘さが自慢。糖度は18度以上にもなり、旬は8月中旬から9月下旬ごろです(出典:青森のうまいものたち(青森県観光連盟))。茹でても焼いても甘く、夏に岩木山方面へ向かうと、道沿いのテントで採れたてが買えます。冷めても甘いので、おやつにもぴったりです。
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弘前市の観光スポット

まず押さえたいのは、やっぱり弘前城と弘前公園です。そこから一歩外へ出ると、明治の洋館や武家屋敷が残る城下町の町並み、そしてりんごや津軽文化に触れられる体験施設が広がっています。お城・洋館・りんごという3つの方向で、見どころを紹介しますね。
お城と桜を楽しむスポット
- 弘前城・弘前公園 – 弘前城跡を公園にしたもので、国指定史跡です。天守・3棟の隅櫓・5棟の城門の計9棟が国の重要文化財に指定されています(出典:弘前市)。公園は基本的に入園無料で、本丸・北の郭と弘前城植物園のみ有料区域です。現在、天守は石垣修理のため本丸内へ移動しており、2026年度中に元の天守台へ戻す「曳き戻し」が予定されています(出典:弘前市観光情報サイト)。広い濠端を歩くだけでも気持ちよく、岩木山を背に天守を望める今だけの構図は、写真好きにはたまらないですよ。
- 藤田記念庭園 – 大正8年(1919年)に実業家・藤田謙一が別邸として造らせた日本庭園で、岩木山を借景にした高台部と、池を中心とした低地部に分かれています。開園は9:00〜17:00で、洋館のみの利用は無料、毎年6月最終日曜日は無料開放日です(出典:弘前市)。洋館の大正浪漫喫茶室で、庭を眺めながらひと息つく時間がなんとも贅沢なんですよ。
城下町の洋館と武家屋敷
- 旧弘前市立図書館 – 明治39年(1906年)に名工・堀江佐吉らによって建てられた洋館で、青森県重宝に指定されています。八角形の双塔と赤いドーム屋根が目を引くルネサンス様式で、内部は無料で見学できます(出典:弘前市観光情報サイト)。追手門広場に建っていて、弘前城のすぐそば。レトロ建築が好きな人にはぐっとくる一棟です。
- 旧第五十九銀行本店本館(青森銀行記念館) – 明治37年(1904年)に堀江佐吉が手がけた建物で、国の重要文化財です。開館時間は9:30〜16:30で、白とミントグリーンの外観や当時のロビーが見学できます(出典:Amazing AOMORI(青森県観光情報サイト))。同じ堀江佐吉が太宰治の生家「斜陽館」も手がけたと聞くと、見る目が変わりますよね。
- 仲町伝統的建造物群保存地区 – 弘前公園の北側に広がる、藩政時代の侍町の面影を残すエリアです。サワラの生垣や板塀が続き、旧伊東家など複数の武家住宅が公開されています。静かな通りをゆっくり歩くと、城下町の時間に迷い込んだような感覚になります。
- 弘前れんが倉庫美術館 – 明治・大正期の煉瓦倉庫を改修した現代美術館で、国内外の先進的なアートを紹介しています。休館は火曜(祝日の場合は翌日)ですが、さくらまつり・ねぷたまつり期間は全日開館します(出典:Amazing AOMORI(青森県観光情報サイト))。産業遺産と最新アートが同居する空間で、城下町とはまた違う弘前の顔に出会えますよ。
りんごと津軽文化に触れるスポット
- 弘前市りんご公園 – 約9.7haの敷地に80種・約2,300本のりんごの木が植えられた公園です。入園無料・年中無休で、りんごの家と旧小山内家住宅は9:00〜17:00。8月上旬から11月中旬まで、りんごの収穫体験(有料)も楽しめます(出典:弘前市りんご公園)。すり鉢山展望台から岩木山とりんご畑を一望すると、ここが「日本一の産地」だと実感できます。
- 津軽藩ねぷた村 – 弘前公園のすぐ近くにある、津軽をまるごと体感できる体験型観光施設です。営業は9:00〜17:00(最終入場17:00)で、お食事・お買い物のフリーエリアは入村料無料、ねぷた展示や体験の見学エリアは有料です(出典:津軽藩ねぷた村公式サイト)。実物大の弘前ねぷたや、マイクを通さない津軽三味線の生演奏は、一年中ここで祭りの熱気を味わえる贅沢な空間なんですよ。
- 嶽温泉 – 岩木山の南麓、標高約450mの嶽高原にある温泉地です。乳白色の硫黄泉で、登山やドライブの帰りに立ち寄るのにぴったり。夏には旬の「嶽きみ」を売るテントが道沿いに並び、湯あがりに甘いとうもろこしを頬張るのが、この界隈ならではの楽しみ方です。
弘前市の観光ルート

弘前は、中心部がコンパクトにまとまっているので、徒歩でも十分に楽しめる町です。城下町をのんびり歩く半日コースから、車で岩木山ろくや白神山地まで足をのばす1日コースまで、目的に合わせて組み立ててみましょう。
【徒歩・半日】弘前公園と城下町さんぽルート
9:00 弘前駅 → 9:15 弘前公園(バス約15分、または土手町経由の徒歩)
①弘前公園・弘前城(90分)
→ まずは広大な公園を散策。濠端を歩き、岩木山と天守の構図を写真におさめましょう。朝の澄んだ空気の中が気持ちいいです。
②旧弘前市立図書館・追手門広場の洋館群(40分)
→ 公園のすぐ南、追手門広場へ。無料で入れる洋館をめぐると、明治の弘前にタイムスリップした気分になります。
③仲町伝統的建造物群保存地区(40分)
→ 公園の北側へ抜けて武家屋敷の通りへ。生垣の続く静かな道は、人混みを離れてほっとできる時間です。
④津軽藩ねぷた村(60分)
→ 仕上げに、実物大ねぷたと津軽三味線の生演奏を。お土産もここで揃うので、半日コースの締めにぴったりです。
【車・1日】岩木山ろくとりんごの里ルート
9:00 弘前駅前 → 9:20 弘前市りんご公園(車約20分)
①弘前市りんご公園(60分)
→ りんご畑と岩木山の景色を楽しみ、りんごの家でシードルやりんごスイーツを味わいます。秋なら収穫体験もどうぞ。
②岩木山神社(40分)
→ 「奥日光」とも称される荘厳な社殿へ。本殿や楼門は国の重要文化財で、岩木山を御神体とする津軽の信仰の中心です。
③嶽温泉(90分)
→ 岩木山ろくの温泉でひと風呂。夏は道沿いの嶽きみも忘れずに。山の空気とお湯でリフレッシュできます。
④藤田記念庭園(60分)
→ 市街地に戻り、庭園の喫茶室で休憩。夕方の柔らかい光に包まれた庭が、1日の締めくくりにぴったりです。
【車・1日】広域ルート:白神山地と津軽の自然
8:30 弘前駅前 → 9:15 西目屋村方面(車約45分)
①白神山地ビジターセンター(西目屋村)(60分)
→ 弘前と接する西目屋村へ。世界自然遺産・白神山地の魅力を映像や展示で予習してから、自然の中へ向かいましょう。
②暗門の滝エリア(120分)
→ ブナの原生林に抱かれた渓谷を歩きます。夏でもひんやりとした空気と、water音が心地よいトレッキングです。
③弘前市りんご公園(45分)
→ 弘前市街へ戻る途中で立ち寄り、岩木山を眺めながらりんごのお土産を選びます。
④弘前公園(60分)
→ 最後は夕暮れの弘前公園へ。ライトアップの時季なら、濠に映る城のシルエットがロマンチックです。
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弘前市の年間イベント

弘前市は、四季それぞれに大きな祭りがある町です。春は桜、夏はねぷた、秋は紅葉と菊、冬は雪燈籠。どの季節に訪れても、弘前公園を舞台にした「町ぐるみのお祭り」に出会えます。季節ごとに見ていきましょう。
春〜夏:弘前さくらまつりと弘前ねぷたまつり
春の主役は弘前さくらまつり。例年4月下旬から5月上旬にかけて(近年は早咲きで前倒しの年もあります)、弘前公園が52品種・約2,600本の桜で埋め尽くされます(出典:弘前市観光情報サイト)。「日本三大夜桜」のひとつで、濠に散った花びらが水面を覆う「花筏(はないかだ)」は、ぜひ見てほしい光景です。
夏は、毎年8月上旬に開かれる弘前ねぷたまつり。国の重要無形民俗文化財で、武者絵を描いた大小約80台のねぷたが「ヤーヤドー」の掛け声とともに城下町を練り歩きます(出典:弘前観光コンベンション協会)。笛と太鼓の囃子が体に響き、夏の夜の熱気に飲み込まれる感覚は格別ですよ。
秋:弘前城菊と紅葉まつり
秋は、例年10月下旬から11月上旬にかけて弘前城菊と紅葉まつりが開かれます(出典:弘前公園総合情報(弘前市みどりの協会))。園内の1,000本を超えるカエデが赤や黄に色づき、菊人形やフラワーアートが会場を彩ります。桜のシーズンとはまた違う、しっとりと落ち着いた弘前公園を歩けるのがこの時季の魅力です。
冬:弘前城雪燈籠まつりとエレクトリカルファンタジー
冬の弘前公園は、例年2月に開かれる弘前城雪燈籠まつりの舞台になります。「みちのく五大雪まつり」のひとつで、大小の雪燈籠や雪像、ろうそくを灯したミニカマクラ約300基が園内に並びます(出典:Amazing AOMORI(青森県観光情報サイト))。雪化粧した天守と老松がライトアップされ、しんと静まった雪の夜に灯りが浮かぶ光景は、思わず息をのむ美しさなんですよ。
同じ冬の時季には、市役所や追手門広場、土手町周辺をイルミネーションで彩る「弘前エレクトリカルファンタジー」も行われます(出典:弘前観光コンベンション協会)。洋館のライトアップとあわせて、雪の城下町をあたたかい光が包みます。
弘前市のエリア別の顔

弘前市の市街地は、弘前城を中心とした半径2.5kmほどの範囲にまとまっています。お城まわりの官公庁街、商店街の土手町、玄関口の弘前駅前という3つのエリアを軸に、郊外には岩木山ろくの自然が広がります。旅の目的別に、それぞれの顔を見ていきましょう。
弘前公園・官公庁街エリア──城下町の中心
弘前城と弘前公園を中心に、市役所や裁判所などが集まるエリアです。洋館や武家屋敷、寺社が徒歩圏に点在し、城下町の歴史がもっとも濃く残っています。じっくり歩いて建築や庭園をめぐりたい人、写真を撮りたい人に向いた、弘前観光の核となるエリアです。
土手町エリア──商店街と現代アート
藩政時代から商業で栄え、明治期に商店街化した土手町は、今も弘前の中心商店街です。喫茶店や老舗が並び、煉瓦倉庫を改修した弘前れんが倉庫美術館もこの近く。城下町の歴史とまちなかの暮らし、現代アートが交わるエリアなので、街歩きやカフェめぐりを楽しみたい人におすすめですよ。
弘前駅前エリア──交通と買い物の玄関口
JR弘前駅を中心とする駅前は、ホテルや商業施設が集まる交通の玄関口です。土手町や官公庁街へは「土手町循環100円バス」で結ばれていて、観光の拠点にしやすいエリア。到着してすぐ食事や買い物を済ませたい人、ここを起点に各地へ動きたい人に便利な場所です。
岩木・相馬エリア──岩木山ろくの自然と温泉
2006年に弘前市と合併した旧岩木町・旧相馬村にあたる、市西部の郊外エリアです。岩木山神社や嶽温泉、嶽高原など、自然と信仰、温泉が集まっています。市街地の喧騒から離れて、山と高原の景色をゆっくり味わいたい人にぴったり。ドライブやトレッキングと組み合わせると、弘前のもうひとつの魅力に出会えます。
弘前市の気候・季節の暮らし

弘前市の年平均気温は10.6℃、年間の降雪量(降雪の深さ合計)は679cm、最深積雪の平年値は88cmです(出典:気象庁)。寒暖の差が大きい内陸性の気候で、夏は蒸し暑く、冬は雪が多いのが特徴です。四季がはっきりしているぶん、季節ごとの暮らしの表情がとても豊かなんですよ。
夏──6月〜8月の暮らし
8月の平均気温は23.5℃、日中の平均最高は28.8℃ほどです(出典:気象庁)。盆地特有の蒸し暑さはありますが、夜はねぷたの囃子が町に響き、岩木山ろくの嶽高原では涼しい風に当たれます。夏の終わりに出回る嶽きみを頬張るのが、この時季ならではの楽しみです。
秋──9月〜11月の暮らし
秋は、りんごの収穫で町全体が忙しくなる季節です。朝晩の冷え込みが日に日に増し、弘前公園のカエデが色づきます。空気が澄んで岩木山がくっきり見える日が増え、散歩が気持ちいい時季。11月の下旬になると初雪の便りが届き、冬支度が始まります。
冬──12月〜3月の暮らし
冬は雪国らしい厳しさがあります。最低気温が0℃を下回る「冬日」は年100日以上にのぼり、1月の平均気温は-1.5℃です(出典:気象庁)。雪かきは生活の一部で、車のスタッドレスタイヤや冬靴は必需品。それでも、雪燈籠まつりの灯りや、雪化粧した弘前城の静けさには、この土地でしか味わえない美しさがありますよ。
春──4月〜5月の暮らし
長い冬が明ける春は、町じゅうが浮き立つ季節です。雪が解けると弘前公園の桜が一気にほころび、さくらまつりで賑わいます。桜が散るころには、今度はりんごの白い花が咲き始めます。厚手のコートを脱げる解放感と、花の彩りが重なる、弘前でいちばん華やかな時季です。
弘前市の移住・暮らし情報

弘前市は、人口約15万5千人の津軽地方の中心都市です。市街地に生活機能がコンパクトにまとまり、少し車を走らせれば岩木山ろくの自然に届く──「街の便利さ」と「自然の近さ」を両立できるのが、この町で暮らす魅力です。住む視点での実情を見ていきましょう。
通勤・通学
市内の通勤・通学は、車が主役です。弘前駅を中心にJR奥羽本線と弘南鉄道(弘南線・大鰐線)が通り、市街地は弘南バスでも移動できます。青森市や黒石市、平川市など近隣都市への通勤も多く、弘前を拠点に津軽一帯へ動く暮らしがイメージしやすい町です。
住宅環境
家賃は都市部と比べてかなり抑えめです。1K・1DKなど単身者向けは家賃4万円前後の物件が中心で、ファミリー向けの2LDK・3LDKでもおよそ6〜8万円前後が目安です(出典:SUUMO)。弘前駅周辺に賃貸が多く、郊外には一戸建ても豊富。弘前市には空き家・空き地バンクもあり、中古住宅を探す選択肢もあります(出典:弘前ぐらし(弘前市公式移住サイト))。
買い物環境
日常の買い物は、市街地とロードサイドの両方で完結します。弘前駅前のバスターミナル直結ビルは、旧イトーヨーカドー弘前店の後継として「CiiNA CiiNA 弘前(シーナシーナ弘前)」が営業しており、食品スーパーも入っています。城東エリアのさくら野弘前店や、郊外の大型ロードサイド店も使い勝手がよく、車があれば不便は感じにくいですよ。
子育て・教育
弘前市は教育機関が集まる学園都市で、青森県唯一の国立大学である弘前大学のほか、複数の私立大学が立地しています。小・中・高校もそろい、移住・子育て世帯向けの支援制度も用意されています(出典:弘前ぐらし(弘前市公式移住サイト))。学びの選択肢が地元で完結しやすいのは、子育て世帯にとって心強いところです。
医療環境
医療面では、弘前大学医学部附属病院をはじめ、国立病院機構弘前病院、弘前市立病院などが市内にあります。弘前市は津軽地域の医療拠点となっていて、大学病院があることで高度な医療にもアクセスしやすい環境です。郊外で暮らす場合も、市街地の病院まで車で出られる距離感が安心材料になります。
エリア別の暮らし視点
住む場所としては、弘前駅前は交通と買い物に便利で単身者やはじめての移住に向いています。土手町や官公庁街の周辺は落ち着いた住環境。郊外の城東や郊外ロードサイド沿いはファミリー向けの住宅が多く、岩木・相馬エリアはより自然に近い暮らしができます。生活導線と家賃のバランスで選ぶとよいでしょう。
弘前市へのアクセス

弘前市へは、新幹線・飛行機・車のいずれでもアクセスできます。首都圏からは新幹線か飛行機が現実的で、どちらを選んでも玄関口は新青森駅か青森空港。そこから弘前までは30分〜1時間ほどです。ルートごとに見ていきましょう。
鉄道でのアクセス
東京駅から東北新幹線「はやぶさ」で新青森駅まで約3時間10分、新青森駅からJR奥羽本線(特急つがる等)に乗り換えて弘前駅まで約30分です(出典:弘前市観光情報サイト)。合計でおよそ3時間40分〜4時間。乗り換えは新青森の1回だけなので、シンプルで分かりやすいルートです。
飛行機でのアクセス
空路の玄関口は青森空港で、東京(羽田)から約1時間15分前後です(出典:青森空港)。青森空港から弘前バスターミナルへは、弘南バスの空港連絡バスが乗り換えなしで運行しており、所要時間は約55分、運賃は片道1,400円前後です(出典:弘南バス)。関西や中部など遠方からは、飛行機のほうが早く着けることが多いですよ。
車でのアクセス
車の場合は、東北自動車道の大鰐弘前ICが最寄りインターチェンジです。市街地まではICから20分ほどで、市内観光や岩木山ろくへのドライブにも便利。雪のある時季は冬装備が欠かせないので、冬に来るなら時間に余裕を持った計画がおすすめです。
町内移動の現実的アドバイス
弘前公園・土手町・弘前駅前の中心3エリアは、「土手町循環100円バス」で結ばれていて、観光ならこれが便利です。一方、岩木山ろくや郊外まで足をのばすなら車が安心。市街地観光はバスと徒歩、郊外はレンタカー、と使い分けると動きやすいですよ。
交通手段ごとに見てきましたが、「結局いちばん安く行くにはどうすれば?」と迷う方も多いはず。飛行機で向かうなら、航空券は予約のタイミングや会社によって料金が大きく変わります。複数の航空会社・LCCをまとめて比較できるサイトで、いちど最安値をチェックしておくと安心ですよ。
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【地元住民に直撃!】弘前市の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
りんご農家をやっています。この土地で代々受け継いできた畑で、津軽の寒暖差を生かしたりんごを育てる仕事です。摘果から葉取り、収穫まで一年中手がかかりますが、岩木山を眺めながらの作業は性に合っているんですよ。
弘前市は生産量が全国一の産地ですから、りんごに携われることに誇りを持っています。秋に蜜の入った実を収穫する瞬間は、何年やっても格別ですね。
Q2.弘前市に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
やっぱり弘前公園と弘前城ですね。桜の時季はもちろんですが、地元の人間としては雪に覆われた冬の静けさも捨てがたい。濠端を歩くと、城下町の時間がそのまま残っているのを感じます。
あとはりんご公園のすり鉢山展望台。岩木山と一面のりんご畑を同時に見渡せて、ここに暮らす実感が湧く場所です。市民の憩いの運動公園も、地元の空気を知るにはいい所ですよ。
Q3.弘前市でお土産を買うとしたらなんですか?
定番はやっぱりりんごと、りんごを使ったお菓子でしょう。アップルパイは市内でも名物にしようと力を入れていて、店ごとに味が違うので食べ比べが楽しいです。
地元の人間としておすすめしたいのは、りんごの発泡酒のシードルですね。すっきりした酸味で食事にも合います。夏なら岩木山ろくの高原で採れる甘いとうもろこしも、知る人ぞ知る土産になりますよ。
Q4.外から人が来たときに、弘前市でまず連れていく店はどこですか?
まずは津軽の郷土料理を出す店に連れていきますね。大きな釜で炊いたご飯や、津軽の家庭の味が並ぶような所で、この土地の食を知ってもらいたいんです。
そのあとは城下町の界隈を歩いて、昔ながらの喫茶店に。出汁や珈琲の匂いが染みついた古い建物で一服すると、弘前らしい時間の流れが伝わると思いますよ。
Q5.弘前市はどんな気質だと思いますか?
津軽の人間は「じょっぱり」とよく言われます。強情で頑固という意味ですが、裏を返せば、まじめで一度決めたらやり抜く粘り強さなんですよ。
口数は多くないし、最初はとっつきにくく見えるかもしれません。でも一度懐に入れば情に厚い。りんご作りで全国一の産地を守ってきたのも、この気質あってこそだと思っています。
Q6.昔に比べて、弘前市の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言うと、昔の賑わいと比べると寂しくなった部分はあります。中心の商店街も、長く親しまれた大きな店が役目を終えたりして、人の流れが変わってきました。
それでも、祭りの時季になると町は一気に息を吹き返します。桜やねぷたに集まる人の多さを見ると、この町の底力はまだ衰えていないと感じますね。市の旗振りにも期待しています。
Q7.弘前市のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
一番楽しみにしているのは、修理のために動かしていた弘前城の天守が、元の石垣の上へ戻ってくることですね。岩木山と桜と天守がそろった、本来の姿がまた見られる。
あとは煉瓦倉庫を生かした美術館のように、古い建物を残しながら新しい使い方をする流れですね。市民が集える場が増えて、若い世代がこの町を面白がってくれるといいなと思っています。

