湧別町(ゆうべつちょう)は、北海道のオホーツク海沿岸ほぼ中央に位置する人口7,716人の町です。町の東には北海道最大の湖・サロマ湖が広がり、旭川から車で約2時間、最寄りのJR遠軽駅からは約15分の距離にあります。
湧別町の見どころを5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ かみゆうべつチューリップ公園──約200品種70万本が咲く道内最大級の花の名所
- ✅ サロマ湖──北海道最大の湖で、ホタテ養殖発祥の地
- ✅ 冬はオホーツク海の流氷が接岸する町
- ✅ 日本最北のりんご産地として知られる果樹の町
- ✅ 屯田兵が拓いた開拓の歴史と「湧別機雷事故」の記憶を伝える町
「花や自然を目当てに旅したい人」「海の幸を味わいたい人」「流氷など北国の冬を体験したい人」に向いた町です。記事の序盤では観光と推しポイント、中盤では開拓から合併までの歴史、終盤では地元の方言・暮らし・特産品の食べ方まで、地元目線で紹介していきます。
| 人口 | 7,716 人 ※2026年4月30日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 505.79 km²(境界未定部分あり) |
| 人口密度 | 15.3 人/km² |
地理的には、東は北見市常呂地区と佐呂間町に、南は遠軽町に、西は紋別市に接し、北はオホーツク海に面しています(出典:湧別町公式サイト)。町内を鉄道は通っておらず、最寄りはJR石北本線の遠軽町・遠軽駅です。車では北見市から約1時間10分、札幌市からは約3時間30分かかります(出典:湧別町観光協会)。
花・湖・海・りんご・開拓の歴史と、ひとつの町にいくつもの顔が詰まっています。ひとつずつ見ていきましょう。
湧別町の推しポイント

湧別町の魅力は、大きく「花」「湖と海」「冬」「果樹」「歴史」の5方向に分かれます。5月に約200品種70万本のチューリップが咲くかみゆうべつチューリップ公園、ホタテ養殖発祥の地として知られるサロマ湖、冬に接岸する流氷、日本最北とされるりんご産地、そして屯田兵が切り拓いた開拓の歴史です。ここからは、その5つを少しずつ掘り下げていきます。
推しポイント1:かみゆうべつチューリップ公園──70万本の花畑
町を代表する花の名所が、かみゆうべつチューリップ公園です。約7ヘクタールの畑に、およそ200品種70万本のチューリップが咲き誇ります(出典:湧別町公式サイト)。見頃は5月中旬から下旬で、毎年5月には「ゆうべつチューリップフェア」が開かれ、オランダ風車型の展望台から花のじゅうたんを一望できます。
推しポイント2:サロマ湖──北海道最大の湖とホタテ養殖発祥の地
町の東に広がるサロマ湖は、北海道で最も大きい湖です。砂州でオホーツク海と隔てられた汽水湖で、ここはホタテ養殖が始まった発祥の地としても知られています。1952年(昭和27年)に佐呂間町・湧別町・常呂の3漁協が出資してサロマ湖養殖漁業協同組合が設立され、養殖が本格化しました(出典:佐呂間町公式サイト)。
推しポイント3:オホーツク海の流氷
冬になると、湧別町の海岸にはオホーツク海の流氷が接岸します。サロマ湖の龍宮台展望台からは、白く埋め尽くされた海を眺めることができます。流氷は単なる景色ではなく、栄養を運び込み、春からの豊かな漁につながる「海の恵み」でもあるんですよ。
推しポイント4:日本最北のりんご産地
意外に思われるかもしれませんが、湧別町は日本最北のりんごの産地として知られています。寒暖差の大きいオホーツクの気候の中で、上湧別地区を中心に果樹栽培が続けられてきました。チューリップ畑のすぐ近くに、りんご畑が広がる風景は湧別町ならではです。
推しポイント5:屯田兵が拓いた町と「湧別機雷事故」の記憶
町内には今も北兵村・南兵村といった地名が残り、屯田兵が入植して開拓した歴史を伝えています。一方で、1942年(昭和17年)5月26日には海岸に漂着した機雷の処理中に大爆発が起き、100人を超える犠牲者を出した「湧別機雷事故」が起きた地でもあります。郷土館には機雷の一部が展示され、戦時下の悲劇が今も語り継がれています。
湧別町の歴史

湧別町の歴史は、大きく3つの時代に分けられます。アイヌの人々が暮らした時代、明治に始まった屯田兵による開拓の時代、そして分村と合併を経て現在の町ができあがった現代です。オホーツク海と湧別川の恵みを背景に、漁業と農業を軸に発展してきました。
アイヌの時代と地名の由来
「湧別」の地名は、アイヌ語のユウペッ(湯の川の意)やユベ(サメの意)に由来するとされています(出典:日本交通公社 全国観光資源台帳)。江戸期の記録「松前島郷帳」では、ユウベチ地区が北見沿岸を代表する主要地として記され、探検家の松浦武四郎も紀行文「由宇辺都誌」に記しています。
近代の開拓と発展
本格的な生産活動は、1871年(明治4年)に藤野四郎兵衛が湧別で漁業を始めたことに始まります。その後、1897年(明治30年)に屯田兵の第一陣が入植し、兵村を中心に開拓が進みました。明治末から大正期にかけては、湧別川河口の港がハッカ(薄荷)取引の要地として栄えました。
現代──分村・合併が作った町
1910年(明治43年)に湧別村が上湧別村と下湧別村に分かれ、1953年(昭和28年)にそれぞれ上湧別町・湧別町として町制を施行しました。その後、2009年(平成21年)10月5日に両町が新設合併し、現在の湧別町が誕生しました。なお1998年(平成10年)には、東芭露の沢から約3万年前のナウマンゾウの臼歯化石が見つかっています。
湧別町の文化・風習

方言と話し方の特徴
湧別町で耳にするのは、北海道弁です。「とても美味しい」をなまら(とても・すごく)うまい、と言ったり、話の切り替えでしたっけ(それじゃあ/そうしたら)と挟んだりします。ゴミを「捨てる」ことを「投げる」と言うのも北海道らしい言い回しなんですよ。
流氷とともにある冬の暮らし
冬の湧別町は、オホーツク海の流氷とともにあります。朝、玄関を開けると顔がしばれる(凍るように冷える)寒さで、海の向こうには白い氷原が広がります。夜に近所の人と会えば「おばんです(こんばんは)」とあいさつを交わす、そんな静かな冬の暮らしがここにはあります。
人の気質と地域のつながり
屯田兵の入植から続く開拓の町だけあって、助け合いの気質が今も根づいています。長く作業をして「こわい(疲れた)」と言いながらも、近所同士で海の幸や畑の野菜をおすそ分けし合う。みなさんが想像する「北国のあたたかい人づきあい」が、ここでは日常として残っています。
湧別町の特産品・食

特産品1:サロマ湖のホタテ
湧別町の食といえば、まずサロマ湖のホタテです。サロマ湖周辺で水揚げされるホタテ成貝は、全国の約2割を占めるとされています(出典:水産庁)。粒が大きく甘みが強いのが特徴で、刺身ならとろりとした濃厚な甘さ、焼けば香ばしさが立ちます。なまら(すごく)うまいんですわ。
特産品2:北海しまえび・カキなどオホーツクの海の幸
サロマ湖ではホタテのほか、カキの養殖や北海しまえび漁も行われています。北海しまえびは塩ゆでにすると殻ごとしゃぶりつきたくなる濃い旨みがあり、旬は夏から秋にかけてです。冬の毛がにも加えれば、食卓は一年を通してオホーツクの幸でにぎわいます。
特産品3:日本最北のりんご
果樹では、日本最北とされるりんごが湧別町の顔のひとつです。昼夜の寒暖差が大きいオホーツクの気候で育つため、実が締まり、甘みと酸味のバランスがしっかりしています。旬は秋で、もぎたてをそのままかじると、皮ごとパリッとした食感を楽しめますよ。
特産品4:酪農が育む乳製品
河口域や山間部では大型酪農が盛んで、チーズやアイスクリーム、牛肉も湧別町の特産として知られています。広い牧草地で育った牛のミルクから作る乳製品は、コクがありながらすっきりとした後味。海の幸のあとに、こうした濃厚なデザートで締めるのもおすすめです。
湧別町の観光スポット

湧別町の観光は、大きく「花と湖」「道の駅とグルメ」「歴史と鉄道遺産」の3方向に分かれます。序盤で触れたチューリップ公園やサロマ湖、流氷、屯田兵の歴史は、ここからが本番です。まずはどこを押さえるべきか、ジャンルごとに見ていきましょう。
花と湖を楽しむスポット
- かみゆうべつチューリップ公園 – 約7ヘクタールの畑に、およそ200品種70万本のチューリップが咲く花の名所です。チューリップフェアは毎年5月1日〜5月31日、開園は午前8時〜午後6時(最終入園17:30)、入園料は大人600円・小中学生300円です(出典:湧別町公式サイト)。オランダ風車型の展望台から見下ろす花のじゅうたんは、なまら(とても)見ごたえがありますよ。
- 龍宮台展望台 – サロマ湖に突き出た砂州の先にある展望スポットです。文人・大町桂月が砂州を「龍宮へ続く道」と表現したことから、湖へ伸びる道道656号線は「龍宮街道」と呼ばれています。冬には目の前まで流氷が押し寄せ、白く埋まった湖と海を一度に見渡せる絶好のポイントです。
- 鶴沼原生花園・サンゴ草群落 – サロマ湖の南岸に広がる原生花園です。夏はハマナスなどの花が、秋にはサンゴ草(アッケシソウ)が一面を赤く染めます。観光客の少ない静かな湖畔で、あずましい(落ち着く・居心地がよい)時間が流れています。
道の駅とグルメスポット
- 道の駅 愛ランド湧別・ファミリー愛ランドYOU – サロマ湖を見下ろす高台にある道の駅で、遊園地が併設されています。海抜100mの「日本最北の観覧車」やゴーカートなど18種類の遊具があり、物産店は午前9時30分〜午後5時、レストラン彩湖は午前11時〜午後4時の営業です(出典:湧別町公式サイト)。観覧車から見るサロマ湖は、晴れた日には水平線まで見渡せます。
- 道の駅 かみゆうべつ温泉チューリップの湯 – 中湧別中町にある、日帰り温泉を備えた道の駅です(出典:湧別町公式サイト)。ナトリウム炭酸水素塩泉の「美人の湯」で、露天風呂やサウナも完備。食事処では、地元ブランド牛のゆうべつ牛ステーキやホタテフライ定食が味わえます。ドライブで冷えた体を温めるのにぴったりなんですよ。
歴史と鉄道遺産にふれるスポット
- ふるさと館JRY(ジェリー) – チューリップ公園に隣接する、開拓の歴史を学べる博物館です。1階には北海道遺産に認定された屯田兵屋の実物があり、入植当時の暮らしを知ることができます。公園の土地はもともと屯田兵の集会場・訓練場だった場所で、序盤で触れた屯田兵の足跡をここでたどれます。
- 文化センターTOM(漫画美術館)・中湧別鉄道資料館 – 漫画美術館では、著名な漫画家の原画やオホーツク国際漫画大賞の受賞作を入場無料で楽しめます。隣接する鉄道資料館は、廃線となった旧中湧別駅の跨線橋などを保存・展示しており、昭和の鉄道の雰囲気が残っています。
- 計呂地交通公園 – 廃止された国鉄湧網線・旧計呂地駅を保存した公園です。当時の客車や駅長の家がそのまま残され、客車に宿泊することもできます。鉄道好きはもちろん、昭和の旅情にひたりたい人にもおすすめのスポットです。
- 湧別郷土館 – 1942年の「湧別機雷事故」で爆発した機雷の一部が展示されている資料館です。序盤で触れた、100人を超える犠牲者を出した悲劇の記憶を、実物を通して静かに伝えています。
湧別町の観光ルート

鉄道が通っていない湧別町は、車での移動が基本です。チューリップ公園からサロマ湖までは車で30分ほど。町内でまとめて回るルートも、サロマ湖をぐるりと囲む広域ルートも組めます。代表的な3コースを紹介します。
【車・1日】チューリップと湖をめぐる湧別満喫ルート
9:30 中湧別 → 9:40 かみゆうべつチューリップ公園(車10分)
①かみゆうべつチューリップ公園(90分)
→ 5月なら70万本の花畑を、まずは展望台から一望しましょう。朝のうちは光がやわらかく、写真もきれいに撮れます。
②ふるさと館JRY(40分・公園に隣接)
→ 屯田兵屋を見て、この土地を拓いた人たちの暮らしを感じます。花畑とのギャップが面白いところです。
12:30 道の駅かみゆうべつ温泉チューリップの湯(車15分・昼食)
③道の駅 かみゆうべつ温泉チューリップの湯(60分)
→ お昼はゆうべつ牛のステーキで。午後の運転に備えて、ここでしっかり腹ごしらえしておきましょう。
14:00 道の駅 愛ランド湧別(車30分)
④道の駅 愛ランド湧別(90分)
→ 観覧車からサロマ湖を見下ろします。家族連れなら遊園地でひと遊びするのもいいですね。
16:00 龍宮台展望台(車25分)
⑤龍宮台展望台(30分)
→ 締めはサロマ湖の夕景。湖面が金色に染まる時間帯をねらうのがおすすめです。
【車・半日】中湧別の鉄道とまんがさんぽルート
13:00 中湧別 → 文化センターTOM(徒歩すぐ)
①文化センターTOM(漫画美術館)(60分)
→ 入場無料で原画を楽しめます。雨の日や、夏の暑い日の避難先にもちょうどいいんですよ。
②中湧別鉄道資料館(30分・隣接)
→ 旧中湧別駅の跨線橋を歩いて、廃線の歴史にふれます。したっけ(それじゃあ)、温泉でひと休みしましょう。
14:30 道の駅かみゆうべつ温泉チューリップの湯(徒歩すぐ)
③道の駅 かみゆうべつ温泉チューリップの湯(60分)
→ 美人の湯でさっぱり。半日コースの締めにぴったりです。
16:00 計呂地交通公園(車20分)
④計呂地交通公園(40分)
→ 旧計呂地駅の客車を見学。鉄道好きなら、ここで時間を忘れてしまうかもしれません。
【車・1日】広域ルート:サロマ湖ぐるりと海の幸
9:00 湧別 → 9:25 龍宮台展望台(車25分)
①龍宮台展望台(30分)
→ サロマ湖の朝の景色からスタート。砂州の先まで歩いて、湖と海を同時に眺めます。
10:30 道の駅 愛ランド湧別(車30分)
②道の駅 愛ランド湧別(60分)
→ 高台からサロマ湖を見渡し、ホタテ丼で早めの昼食。海の幸を味わいます。
12:30 サロマ湖展望台(佐呂間町・車40分)
③サロマ湖展望台(40分)
→ ここは隣の佐呂間町。湖の全景を高い位置から望める人気のビューポイントです。
14:30 ワッカ原生花園(北見市常呂・車50分)
④ワッカ原生花園(90分)
→ 北見市常呂側の砂州に広がる花の原野。レンタサイクルで風を切るのが気持ちいいんですよ。
湧別町の年間イベント

湧別町のイベントは、花・海・雪と季節がはっきり分かれているのが特徴です。春はチューリップ、初夏は湖畔を走るランナー、夏は海の幸、そして冬は雪原を駆けるスキー大会。一年を通して、町の自然がそのまま舞台になります。
春〜夏:花とランナー、海の幸でにぎわう季節
春の主役は、やはりゆうべつチューリップフェアです。毎年5月1日から5月31日まで開かれ、2026年で40周年を迎えます(出典:湧別町観光協会)。風車を背景に咲き乱れる花畑は、まるで絵本の中のようです。
初夏の名物はサロマ湖100kmウルトラマラソン。毎年6月下旬に開催され、100kmの部は湧別町の総合体育館を午前5時にスタートします(出典:サロマ湖100kmウルトラマラソン公式サイト)。10回完走者に贈られる「サロマンブルー」の称号は、ランナーの憧れなんですよ。
夏は湧別サロマ湖龍宮えびホタテまつりが、毎年7月に三里浜キャンプ場で開かれます(出典:湧別町公式サイト)。北海シマエビの早食い競争や、活ホタテの浜値販売など、海の町ならではの催しでにぎわいます。
8月には屯田・七夕まつりが開かれ、屯田兵の隊列行進がオープニングを飾り、花火大会で夜空を彩ります(出典:同上)。
秋:実りと海の恵みを祝う季節
秋は湧別町産業まつりが9月ごろに開かれ、豊穣を祝います。「鮭のつかみどり大会」や「人間ホタテ引き大会」など、農産物・海産物の即売とあわせて家族で楽しめる催しが並びます。
さらに11月には、漁協が主催する牡蠣のお祭りが、全国牡蠣の日(11月23日)に合わせて開かれます。牡蠣やホタテが浜値で並ぶので、海の幸好きは見逃せません。
冬:雪原と流氷が主役の季節
冬の一大イベントが湧別原野オホーツククロスカントリースキー大会です。毎年2月に開催され、遠軽町側から湧別町へ抜ける国内最長80kmのワンウェイコースが用意されています(出典:湧別町公式サイト)。白銀の原野を駆け抜ける選手の吐く息まで凍りつくような、北国らしい大会です。
同じ冬には、龍宮台展望台の沖に流氷が接岸します。きしむ氷の音を聞きながら眺める白い海は、この時期だけの特別な景色です。
湧別町のエリア別の顔

湧別町は2009年に旧湧別町と旧上湧別町が合併してできた町で、現在も上湧別・湧別・中湧別・芭露などの地区に庁舎や出張所が置かれています(出典:湧別町公式サイト)。旅する視点で、それぞれの顔を見ていきましょう。
湧別エリア──オホーツクの海と漁港の顔
オホーツク海とサロマ湖に挟まれた、海の幸の本場です。湧別漁港やオホーツク湧鮮館があり、ホタテや北海シマエビが水揚げされます。龍宮台展望台や三里浜もこのエリア。海沿いの景色と新鮮な魚介を目当てに訪れるのに向いています。
上湧別エリア──花と開拓の顔
かみゆうべつチューリップ公園とふるさと館JRYがある、花と歴史のエリアです。屯田兵が拓いた田園地帯で、日本最北とされるりんごの畑も広がります。5月のチューリップを軸に、開拓の歴史までセットで楽しみたい人にぴったりです。
中湧別エリア──温泉と鉄道遺産の顔
町の交通と商業の中心で、道の駅かみゆうべつ温泉チューリップの湯や文化センターTOMが集まります。旧中湧別駅の鉄道遺産も残り、温泉・グルメ・まんが・鉄道とコンパクトに回れます。半日でいろいろ味わいたい旅行者向けのエリアです。
芭露エリア──サロマ湖南西の静かな自然の顔
サロマ湖の南西に位置する、酪農と原生花園のエリアです。鶴沼原生花園やサンゴ草群落があり、観光客の少ない湖畔で静かな時間が流れています。人混みを避けて、あずましい(落ち着く)景色をのんびり眺めたい人におすすめですよ。
湧別町の気候・季節の暮らし

湧別町の年平均気温は6.1℃で、最も寒い1月は平均-6.6℃、日最低気温の平均は-11.7℃まで下がります。一方、最も暑い8月でも平均19.3℃、日最高気温の平均は23.7℃と、夏は涼しく過ごしやすい気候です(出典:気象庁)。寒暖差が大きい大陸性の気候で、四季の表情がはっきりしています。
夏──6月〜8月の暮らし
夏は本州のような蒸し暑さがなく、朝晩は涼しいほどです。8月の日最高気温の平均が23.7℃なので、熱帯夜とは無縁。クーラーがなくても扇風機で乗り切れる家庭が多いと考えられます。
ただ、年間の降水量は750.7mmで、雨は夏に集中します(出典:気象庁)。7〜9月はまとまった雨が降る日もあるので、外仕事や旅行は天気予報をこまめにチェックしておくと安心です。
冬──12月〜3月の暮らし
冬は厳しく、12月から3月まで平均気温が氷点下の月が続きます。1月・2月は朝にしばれる(厳しく冷え込む)日が多く、玄関のドアノブまで冷たくなります。
同じ北海道でも、オホーツク海沿岸の湧別町は山あいの内陸部に比べると降雪量は控えめとされます。ただし冷え込みは強く、暖房と防寒着、車の冬装備は冬の必需品です。
そして冬ならではの景色が、序盤・中盤でも触れた流氷です。2月ごろにはオホーツク海から流氷が接岸し、龍宮台展望台の沖が真っ白に埋まります。寒さの中にしか見られない、この町の冬の宝物なんですよ。
春・秋──短くも鮮やかな季節
春の訪れはゆっくりで、5月でも日最低気温の平均は4.8℃と肌寒い日があります(出典:気象庁)。それでも5月になればチューリップ公園が一気に花開き、町に色が戻ります。
秋は短く、10月には平均気温が9.8℃まで下がります。サンゴ草が赤く色づき、りんごやホタテが旬を迎える、味覚の濃い季節です。あっという間に冬支度が始まります。
湧別町の移住・暮らし情報

人口7,716人の湧別町は、海と農地に囲まれたコンパクトな町です。買い物や通院は車があれば町内でおおむね完結し、子育て支援や住宅補助も整っています。「のんびり暮らしたいけれど、不便すぎるのは困る」という人にちょうどいい規模感と考えられます。
通勤・通学
町内には漁業・酪農・農業の仕事が多く、役場や学校、JAなどへ町内通勤する人が中心です。隣の遠軽町や北見市へ車で通う人もいて、北見市までは車で約1時間10分です(出典:湧別町観光協会)。
住宅環境
持ち家の一戸建てが多い町ですが、賃貸を希望する人向けに町営住宅や特定公共賃貸住宅が用意されています。新婚・子育て世帯は入居条件が緩和される場合があります(出典:湧別町公式サイト)。
さらに空き家等情報バンクや定住住宅取得奨励の補助、移住体験住宅もあり、いきなり引っ越す前に暮らしを試せます(出典:同上)。
買い物環境
中湧別エリアを中心に、スーパーやドラッグストア、コンビニがそろっています。日常の買い物は町内で足りますが、専門店やまとめ買いは遠軽町や北見市へ出る人も多いと考えられます。
子育て・教育
子育て支援センターが月曜から土曜まで開放され、保健師への育児相談もできます(出典:湧別町公式サイト)。
教育では、町内の小中学校を小中一貫の「義務教育学校」へ移行する取り組みが進んでいます(出典:湧別町公式サイト)。高校は道立の北海道湧別高等学校があり、学生寮も整備されています。
医療環境
町内には曽我病院やJA北海道厚生連ゆうゆう厚生クリニックがあり、日常的な診療を受けられます。より専門的・救急の医療は、近隣の遠軽町や北見市の病院が担うと考えられます。
エリア別の暮らし視点
中盤では旅の視点でエリアを見ましたが、暮らす視点だと顔が変わります。中湧別エリアは買い物・温泉・病院が近く、生活の便がいちばん良いエリアです。
上湧別エリアは田園と花の町で、農業や子育て世帯向き。湧別エリアは漁港と海が近く、海の幸とともに暮らせます。芭露エリアは静かな酪農地帯で、なまら(とても)のんびりした環境を求める人に向いています。
湧別町へのアクセス

湧別町には鉄道が通っていないため、移動の主役は車と飛行機です。最寄りの空港はオホーツク紋別空港で、町から車で約30分。札幌や旭川からは高速道路を乗り継いでアクセスします。主要ルートを整理します。
車でのアクセス
札幌市からは約270km・約3時間30分、旭川市からは約140km・約2時間です(出典:湧別町観光協会)。札幌・旭川方面からは、旭川紋別自動車道(通行無料区間あり)を使うのが便利です。
女満別空港からは約90km・約1時間30分、北見市からは約65km・約1時間10分です(出典:同上)。道東をドライブで周遊する旅程に組み込みやすい位置にあります。
鉄道+バスでのアクセス
鉄道を使う場合の最寄り駅は、JR石北本線の遠軽駅です。湧別町から遠軽駅までは約15km・車で約15分です(出典:同上)。
遠軽駅からは路線バスが出ており、かみゆうべつチューリップ公園まではバスで約20分ほど。鉄道とバスを乗り継ぐ場合は、本数が限られるので時刻の事前確認をおすすめします。
飛行機でのアクセス
オホーツク紋別空港は東京(羽田空港)との直行便が運航しています(出典:湧別町公式サイト)。首都圏からは、紋別空港経由が最短ルートになります。
女満別空港は、札幌(新千歳・丘珠)や東京(羽田)との直行便があります(出典:同上)。レンタカーを借りて、サロマ湖沿いを走って町入りするのが現実的なルートです。
町内移動の現実的アドバイス
町内は公共交通の本数が多くないため、観光でも移住でも車があると安心です。空港でレンタカーを借りておけば、チューリップ公園・サロマ湖・道の駅を効率よく回れます。
冬に運転するなら、スタッドレスタイヤと余裕を持ったスケジュールを。雪道に慣れていない人は、日没前の明るい時間に移動を終えておくのが無難ですよ。
【地元住民に直撃!】湧別町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
サロマ湖でホタテの養殖をやってます。稚貝を育てて、オホーツクの海に放したり湖で大きくしたりね。朝は暗いうちから船出すから、冬のしばれる(厳しく冷える)日はほんとに体にこたえるんだわ。
でも自分の育てた貝が大きくなって出荷されるときは、やっぱり嬉しいですよ。湧別町の海の仕事は、きついけど誇りに思ってます。
Q2.湧別町に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
まずはかみゆうべつチューリップ公園。5月の70万本はやっぱり圧巻で、観光で来たら見てほしいですね。風車の展望台から見下ろすと、色のじゅうたんみたいなんですわ。
あと地元の人間が好きなのは龍宮台展望台。観光地っていうより、夕方に湖と海を独り占めできる場所でね。冬は流氷が目の前まで来て、しんと静まりかえるんですよ。
Q3.湧別町でお土産を買うとしたらなんですか?
定番はやっぱりサロマ湖のホタテ。貝柱の干したやつは日持ちするし、湧別の有名なものとして喜ばれますよ。道の駅で買えます。
地元の人しか知らないのだと、チューリップを原料にしたお菓子。チューリップの湯の売店にあってね、見た目もかわいいし、話のタネになるからおすすめです。
Q4.外から人が来たときに、湧別町でまず連れていく店はどこですか?
道の駅愛ランド湧別の彩湖ってレストランかな。サロマ湖を見下ろしながらホタテ丼を食べられて、観光案内にちょうどいいんですわ。
そのあとは、かみゆうべつ温泉チューリップの湯。ゆうべつ牛のステーキ食べて温泉入って、っていう流れが鉄板。遠くから来た人はみんな喜んでくれますよ。
Q5.湧別町はどんな気質だと思いますか?
屯田兵が拓いた町だからか、助け合いの気持ちが今も強いです。漁師も農家も、海と畑の恵みをおすそ分けし合うのが当たり前でね。
口数は多くないけど、根はあずましい(居心地のいい)人ばっかり。困ってる人を放っておけない、そういうあったかさがある町だと思いますよ。
Q6.昔に比べて、湧別町の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直、人は減りました。私が子どものころよりお店も学校も少なくなって、漁師や農家の後継ぎ不足も町の本音の課題です。
ただ、地域おこし協力隊の若い子が来たり、コインランドリーみたいな新しいお店ができたりして、町民センターの催しにも少しずつ活気は戻ってきてる気がします。町長さんも移住に力入れてますしね。
Q7.湧別町のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
役場が中湧別の小学校跡に新しい庁舎を作る構想を進めてて、町の真ん中がどう変わるか楽しみにしてます。買い物も病院も近いエリアだから、便利になるといいなと。
あとはサロマ湖の水源やオホーツクの自然を生かした体験を、運動公園や観光と組み合わせて、若い人がもっと来てくれる町になればって願ってますよ。

