【北海道士別市】ってどんなとこ?サフォーク羊日本一と最後の屯田兵村

北海道士別市のサフォーク羊:北海道士別市は、顔と足が黒い「サフォーク羊」のまち。ブランド羊肉として人気で、観光牧場でも触れ合えます。

士別市(しべつし)は、北海道上川地方北部・名寄盆地の南に位置する人口1万5,870人のまちです。旭川から車で約1時間。同じ読みの「標津町(しべつちょう)」と区別するため、地元では「サムライ士別」とも呼ばれています。

士別市の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:

  • サフォーク羊飼育数日本一──顔の黒い羊「サフォーク」のブランド羊肉の本場
  • 最後の屯田兵村──1899年(明治32年)、屯田兵制度最後の入植地のひとつ
  • 「合宿の里」──1977年から続く実業団・大学陸上の聖地。延べ50万人以上を受け入れ
  • ミシュランが認めた「スタッドレスの聖地」──冬の極寒気候を活かした寒冷地タイヤ試験場
  • ✅ 国道40号沿いの新スポット 「道の駅 羊のまち 侍・しべつ」(2021年5月開業)

「羊肉グルメに興味がある人」「マラソン・陸上競技ファン」「北の開拓史や屯田兵に興味がある人」「夏の涼しい北海道で過ごしたい旅行者」に特におすすめの町。本記事では、観光・特産・歴史から、暮らしの空気感、移住・アクセス情報まで地元目線で紹介します。

人口15,870 人 ※2026年4月30日時点(住民基本台帳)
面積1,119.22 km²
人口密度14.2 人/km²

地理的には上川総合振興局管内に属し、北は名寄市、東は下川町上川町と滝上町(オホーツク総合振興局管内)、南は愛別町比布町、西は和寒町剣淵町、さらに西は幌加内町に接しています。市の中心は天塩川と剣淵川の合流点付近に広がり、東部には天塩川最上流の岩尾内湖、西部には名物の丘陵風景「かわにしの丘」が広がります。

旭川空港から車で約1時間半、JR宗谷本線の士別駅が中心市街地にあります。鉄道・国道40号・道央自動車道(士別剣淵IC)と交通の要所でもあるんですよ。羊・屯田兵・マラソン・タイヤ──小さな町にこれだけのテーマが詰まっているのは、なかなか珍しい。ひとつずつ見ていきましょう。

目次

士別市の推しポイント

士別市は、観光地としての派手さよりも「テーマで深掘りできるまち」です。顔の黒いサフォーク羊が放牧される丘、最後の屯田兵が切り拓いた農地、夏になると駅伝強豪が走り込む合宿地、そして極寒を逆手にとった世界的タイヤメーカーの試験場。それぞれが独立した産業として今も動いているのが、この町の面白いところ。代表的な推しポイントを5つ取り上げます。

推しポイント1:羊と雲の丘──サフォーク飼育数日本一

市西部の小高い丘にある観光施設で、顔が黒い羊「サフォーク種」が放牧されています。士別市はこのサフォーク種の飼育数が日本一。隣接する「世界のめん羊館」では世界各地の約20種の羊と触れ合うことができ、頂上の「羊飼いの家」レストランからは市街地が一望できます。

推しポイント2:最後の屯田兵村が切り拓いた農の町

1899年(明治32年)、屯田兵制度最後の兵村のひとつとして約100戸が入植したのが士別市の始まりです。屯田兵制度はこの士別と剣淵への入植で終わり、1904年に制度自体が廃止されました。士別駅付近に残るレンガ造りの農業倉庫群が、開拓農業の集散地として栄えた歴史を今に伝えています。

推しポイント3:合宿の里・士別ハーフマラソン

夏の冷涼な気候を活かしたスポーツ合宿の聖地で、1977年に順天堂大学陸上競技部を受け入れて以来、延べ50万人以上のアスリートが訪れています。毎年7月には「サフォークランド士別ハーフマラソン」が開催され、実業団・大学トップランナーと市民ランナーが同じコースを走るのが恒例。

推しポイント4:ミシュランが認めた「スタッドレスの聖地」

冬は氷点下30℃前後まで下がる極寒気候を活かし、自動車メーカーやタイヤメーカーの寒冷地試験場が市内に設置されています。ミシュランのスタッドレスタイヤ「X-ICE」が当地で開発されたことから、ミシュランからは「スタッドレスの聖地」と呼ばれています。

推しポイント5:岩尾内湖と天塩川源流の自然

市の東部にある岩尾内湖は、天塩川をせき止めて造られたダム湖で、釣り・キャンプ・カヌーなどが楽しめます。天塩川の最上流域にあたり、夏でも涼しく、湖畔のキャンプ場は道北のアウトドアファンに知られた穴場。秋には紅葉に包まれます。

士別市の歴史

士別市の歴史は、アイヌ民族の生活の場としての時代、明治後期の屯田兵入植による「最後の開拓地」としての時代、そして昭和以降のサフォーク導入と農業・畜産・タイヤ産業による発展期、と大きく3段階に分けることができます。地名は、アイヌ語の「シ・ペッ(大いなる川)」に由来します。

古代〜松浦武四郎の調査

市内の上士別遺跡からは、約6,000年前の縄文時代の竪穴建物跡が発掘されており、古くから人々が暮らしていたことが分かっています。1857年(安政4年)には松浦武四郎が天塩川流域を調査し、その記録を『天塩日誌』にまとめました。「北海道」の名付け親でもある武四郎は、当時のアイヌ民族との交流を詳細に書き残しています。

最後の屯田兵村と農業の発展

1899年(明治32年)、屯田兵制度最後の兵村のひとつとして約100戸が入植し、士別の開拓が本格的に始まりました。屯田兵制度はこの士別と隣の剣淵への入植をもって新規募集が打ち切られ、1904年(明治37年)に制度自体が廃止されています。1902年に士別村、1915年に町制施行で士別町となり、大正期には澱粉製造、昭和初期には製糖(甜菜糖)が盛んになりました。

現代──合併・サフォーク導入・道の駅オープン

1954年(昭和29年)に士別町・上士別村・多寄村・温根別村が合併して士別市が誕生。1966年には学田地区に市営めん羊牧場が開設され、翌1967年にオーストラリアから100頭のサフォーク種が輸入されたことが、今日の「羊のまち」の原点となりました。2005年には朝日町と合併して新「士別市」が誕生。2021年5月には道内129番目の道の駅「羊のまち 侍・しべつ」が中心市街地にオープンしています。

士別市の文化・風習

方言と話し方の特徴

士別市を含む道北エリアの言葉は、いわゆる「北海道弁」の流れに乗ったもの。特に有名なのが「しばれる」(厳しく冷え込むこと)で、士別では1月の朝に氷点下30℃近くまで下がることもあり、まさにこの言葉がぴったり当てはまる土地なんですよね。

なまら」(とても・すごく)や「したっけ」(それじゃあ/そしたら)も、年配の方を中心に日常会話に登場します。「したっけまた来週ね」と言って別れる感じは、道民同士のあいさつとして親しまれています。

食卓と季節の暮らし

冬は12月から3月まで日平均気温が氷点下、雪は1〜2mほど積もる特別豪雪地帯。夜に「しばれるね〜」と言いながら、ストーブの前でジンギスカン鍋を囲む光景は、士別の冬の定番。

夏は一転して内陸性気候で日中30℃近くまで上がる日もありますが、朝夕は涼しいため、トップアスリートが合宿に集まるのも納得。寒暖差が大きいぶん、農産物の味が濃いと地元では言われています。

羊文化が街に溶け込んでいる

商店や個人宅のシャッター、企業の看板、街路灯、マンホールにまでサフォーク羊のイラストが描かれているのが、ほかの町にはなまら(とても)ない士別市の特徴。市のイメージキャラクター「さほっち」もサフォーク羊がモチーフです。羊が街の景観の一部になっています。

瑞穂獅子舞と屯田兵の系譜

屯田兵やその後の入植者が本州各地から持ち込んだ文化が、地域行事として今も残っています。市の文化財に登録されている「瑞穂獅子舞」は保存会と伝習館によって継承されており、地域の祭りに登場します。屯田兵屋は西士別町のふどう公園に保存されていて、開拓当時の暮らしぶりを見ることができます。

士別市の特産品・食

士別サフォークラム──流通量1%未満の超希少羊肉

日本で流通する食用羊肉の99%はオーストラリアやニュージーランドからの輸入で、国産サフォーク種はそのなかでも極めて希少。士別市はそのサフォーク飼育数日本一で、市内では「サフォークラム」のブランドで提供されています。

味の特徴は、適度なサシと柔らかさ、そして羊独特の臭みが少ないこと。世界的には牧草飼育(グラスフェッド)が主流ですが、士別ではトウモロコシなど穀物に加え、地元産小麦・大豆、市内製糖所のビートパルプを与えて育てているのが旨みの秘訣です。旬は秋〜冬。「羊と雲の丘」の羊飼いの家で焼きたてを食べると、なまら(すごく)柔らかくて驚きますよ。

士別サフォークラム・スープカレー&カレー

市内飲食店が連携して提供している、士別のご当地グルメ。サフォークラム肉をベースに、各店が独自のスープ・カレーを仕立てています。羊肉特有のコクとスパイスの相性がよく、冬の冷えた身体に染みる一杯。羊肉が苦手だった人でも「臭くなくて食べやすい」と評判です。

甜菜糖(てんさいとう)と農産物

大正時代の澱粉製造に続き、昭和初期から製糖が盛んになり、現在も市内に甜菜糖の工場があります。寒暖差の大きい気候が甜菜(ビート)の生育に合っているためで、ここで採れた糖分が一部、サフォーク羊の飼料(ビートパルプ)にも回るという地域内循環ができています。米・小麦・大豆・じゃがいもなど畑作も盛んです。

サフォークせんべい・つくもダックなど銘菓

市内のトリタ製菓が手がける「サフォークせんべい」は、サフォーク羊をモチーフにした士別土産の定番。また、道の駅限定の「つくもダック」は、士別産大豆「つくも四号」とフランス菓子のダックワーズをかけ合わせたお菓子で、地元・北の菓子工房もり屋との共同開発品。お土産選びに迷ったら、まずはこのあたりが手堅いところです。

士別市の観光スポット

士別市の観光は、市街地のすぐ西にある「羊と雲の丘」と中心地の「道の駅」を起点に、東部の岩尾内湖・天塩岳方面へと広がっていきます。羊・屯田兵・天塩川・北見山地と、テーマがはっきり分かれているので、半日でも1日でもプランが組みやすいんですよ。まずは押さえておきたいスポットを、4つのカテゴリで紹介します。

羊と触れ合う「羊と雲の丘」エリア

  • 羊と雲の丘 – 市西部にある37haの観光牧場で、サフォーク種を中心に100頭以上の羊が放牧されています。入園無料で、放牧期間は4月下旬〜10月中旬。晴れた日は大雪山系まで一望できて、夕方の逆光に羊のシルエットが浮かぶ時間帯がなまら(とても)絵になります。
  • 世界のめん羊館 – 羊と雲の丘に隣接。世界各地の珍しい羊が約30種飼育されていて、餌やり体験もできます。営業は4〜9月9:00〜18:00、10〜3月は16:00まで(入館料200円)。雨の日や冬場でも楽しめる、家族連れに人気の屋内施設です。
  • 羊飼いの家 – 「羊と雲の丘」頂上のレストラン。1階は売店、2階のレストランでは士別産サフォークラムのジンギスカン定食が看板メニュー。窓の外の放牧地を眺めながら羊肉を食べる、というちょっと不思議な体験ができます。
  • めん羊工芸館くるるん – 世界のめん羊館内にあるニット製品工房。フェルト工芸やマフラー作りなど、20種類以上の体験メニューから選べます。雨の日や寒い日の予備プランとして覚えておくと便利です(水曜休館)。

歴史と開拓を学ぶスポット

  • 士別市立博物館 – 1981年開館。上士別遺跡の出土品、アイヌ民族の衣装、屯田兵入植時の生活用具、士別軌道の資料まで、士別の歴史をテーマごとに展示しています。屯田兵が「最後の入植地」をどう拓いていったのか、その手触りが伝わってくる場所です。
  • 士別屯田兵屋(西士別町ふどう公園) – 1899年(明治32年)に入植した屯田兵が実際に住んでいた住居を保存・公開。簡素な造りに、当時の暮らしの厳しさがそのまま残っています。博物館とセットで回ると理解が深まります。
  • 士別神社(九十九山) – 市の中央にある小高い丘・九十九山に鎮座する士別の鎮守。境内地は10万平方mを超え、北海道神宮に次ぐ道内2番目の広さ。屯田兵99戸が入植したことが「九十九山」の名の由来です。北海道自然百選にも選ばれた桜の名所。

自然・湖・山のスポット

  • 岩尾内湖 – 市の東部、天塩川最上流にあるダム湖。湖を横切る岩尾内大橋が湖面に映る景色がきれいで、9月中旬〜下旬の紅葉シーズンは特におすすめ。釣り(ヤマベ)、カヌー、ボートも楽しめます。
  • 岩尾内湖白樺キャンプ場 – 岩尾内湖畔のキャンプ場。利用期間は4月29日〜10月15日で、フリーサイトは無料、バンガローも1棟3,000円というリーズナブルさ。湖を眺めながら焚き火ができる穴場で、夜はしばれる(厳しく冷え込む)日もあるので装備は厚めに。
  • 天塩岳 – 北見山地の最高峰(標高1,558m)。1978年に北海道立自然公園に指定。高山植物が豊富で、ナキウサギに出会えることもあります。毎年6月初旬に「天塩岳山開き」が行われ、登山シーズンが開幕します。
  • つくも水郷公園 – 天塩川河畔の総合公園。開園期間は4月下旬〜10月下旬で、園内にはボート池、ゴーカート、アスレチック、パークゴルフ場、キャンプ場、D51機関車展示まで揃っています。冬は「冬のつくも」としてスケートリンクに変身。すべて無料で遊べます。

食と買い物のスポット

  • 道の駅 羊のまち 侍・しべつ – 国道40号と239号の交差点、中心市街地にある2021年5月開業の道の駅。地域ブランド「士別サフォークラム」をはじめ、市内の特産品やお土産がそろい、レストランでは地元食材を使った料理が味わえます。市内観光の起点としてなまら(とても)便利な場所。
  • 羊と雲の丘 バーベキューハウス – 「羊と雲の丘」内のバーベキュー施設。サフォークラムのジンギスカンを、放牧地の景色を眺めながら炭火で焼いて食べられます。羊肉が苦手だった人も「これは別物」と感想を漏らすほど。
  • あさひサンライズホール – 旧朝日町中心部にある文化ホール(士別市朝日町中央4038)。コンサートや市民演劇などが開催されます。岩尾内湖や天塩岳方面に向かう道中、朝日エリアの拠点として立ち寄りやすいスポット。

士別市の観光ルート

士別市は東西に長く、見どころが市街地〜西の丘陵地〜東の山岳エリアに分散しています。半日なら市街地+羊と雲の丘、1日あれば岩尾内湖や天塩岳方面まで足を延ばすのがおすすめ。広域では旭川や名寄と組み合わせると、道北の縦軸が一気に楽しめます。

【車・半日】羊づくし士別ハイライトルート

9:30 士別駅 → 9:40 道の駅 羊のまち 侍・しべつ(車5分) → 10:30 羊と雲の丘・世界のめん羊館(車15分) → 12:00 羊飼いの家でランチ → 13:30 士別市立博物館(車20分) → 14:30 士別駅

①道の駅 羊のまち 侍・しべつ(滞在40分)
→ 中心市街地の道の駅で観光情報を仕入れつつ、サフォークラム関連商品を物色。お土産はここに戻ってから買えばOKです。

②世界のめん羊館+羊と雲の丘(滞在90分)
→ 30種の羊と触れ合えて、放牧地で写真も撮れる。羊たちが活発に動く午前中〜お昼前がベスト。

③羊飼いの家でサフォークラム定食(滞在60分)
→ ここでなまら(すごく)柔らかいサフォークラムのジンギスカンを。窓の外に羊が見えるという、贅沢かつちょっと申し訳ない時間。

④士別市立博物館(滞在60分)
→ 食後に屯田兵の歴史を学んで、「ここを拓いた人たちがいたから今のサフォークがある」とつなげて理解できる構成です。

【車・1日】岩尾内湖と東部の自然満喫ルート

9:00 士別駅 → 9:20 つくも水郷公園(車10分) → 10:30 道の駅 羊のまち 侍・しべつでお弁当購入(車10分) → 11:30 岩尾内湖・白樺キャンプ場(車50分) → 14:00 あさひサンライズホール周辺散策(車25分) → 15:00 朝日三望台シャンツェ(車5分) → 16:30 士別駅

①つくも水郷公園(滞在60分)
→ アスレチック・ボート・D51展示で午前中をゆったり。家族連れなら半日いても飽きません。

②岩尾内湖(滞在120分)
→ 湖畔でランチピクニック。9月中旬〜下旬の紅葉時期は湖面に色が映って、なまら(とても)美しい。釣りやカヌーは事前準備を。

③朝日三望台シャンツェ(滞在30分)
→ 旧朝日町のジャンプ競技場。夏でも合宿や大会が行われ、ジャンプ台の足元から見上げると迫力満点です。

④あさひサンライズホール周辺(滞在30分)
→ 朝日エリアの中心部を散策。市街地より一段静かで、北海道らしい田舎町の空気が感じられます。

【車・1日】広域ルート:旭川〜士別〜名寄の道北縦断

9:00 旭川駅 → 10:30 士別剣淵IC(道央道75分) → 10:50 道の駅 羊のまち 侍・しべつ → 12:00 羊飼いの家でランチ → 14:00 士別神社・九十九山(車15分) → 15:30 名寄市方面へ北上(車40分) → 17:00 名寄市内で温泉

①士別剣淵ICで下車(移動)
→ 道央自動車道の終点近く。ICからすぐ「かわにしの丘」の景色が広がります。

②道の駅+羊飼いの家(滞在120分)
→ 士別での「食」と「お土産」をまとめて押さえる定番コース。

③士別神社・九十九山(滞在60分)
→ 道内2番目の広さの境内で、士別の歴史と桜の名所を体感。5月の開花期なら桜まつりと重なることも。

④名寄市方面へ(移動)
→ 士別を出て国道40号を北上。道北の縦軸を1日でつなぐ贅沢な広域ルートです。

士別市の年間イベント

士別市のイベントは「春の桜まつり」「7月の士別神社例大祭」「7月の士別ハーフマラソン」「8月の天塩川まつり」「2月の雪まつり」が年間の柱です。羊・川・雪・桜と、地理的特性をそのまま行事に落とし込んだラインナップなんですよ。

春〜夏:桜と神社と羊と川

5月開花前後には、士別観光協会主催の九十九山の桜まつりが開催されます。エゾヤマザクラとエゾカスミザクラを含む約2,000本が士別神社の境内地一帯に咲き、参道を歩くだけでも気分が華やぐイベント。屯田兵が植え継いできた桜が、開拓百年以上を経て今の姿になっています。

6月初旬には天塩岳山開き。北見山地最高峰の登山シーズンが幕を開ける行事で、地元山岳会のサポートのもと、初心者でも参加しやすい雰囲気です。

7月14〜16日に開催されるのが士別神社例大祭(士別まつり)。屯田兵99戸が入植した7月15日が士別開基の日とされ、神輿渡御・つくも太鼓・剣道・柔道・相撲・弓道などの奉納行事が3日間にわたって繰り広げられます。中央通には露店が並び、町中がお祭り一色に。

7月中旬にはサフォークランド士別ハーフマラソン。1977年の順大合宿に始まる「合宿の里」の集大成として位置づけられ、実業団・大学トップ選手と市民ランナーが同じコースを走ります。沿道の応援が熱いので、走らない人も見に行く価値あり。

8月中旬の士別天塩川まつりは、河川敷の特設会場で開かれる夏の風物詩。川舟みこし、ステージショー、しべつグルメストリート、そして約1,600発の納涼花火大会と続きます。天塩川のすぐそばで上がる尺玉はなまら(とても)近くて、お腹に響きますよ。

秋:紅葉と収穫の季節

9月中旬〜下旬は、岩尾内湖周辺の紅葉が見ごろ。湖面に紅葉が映る景色は、士別の秋を代表するワンシーン。湖畔の白樺キャンプ場でテントを張れば、寒くなる前のシーズン終盤の静けさが味わえます。

秋には市内各地で農産物の収穫祭・物産展も開かれ、米・小麦・甜菜・じゃがいもなど畑作の恵みが並びます。羊と農、両方を支えるこの町らしい季節の行事です。

冬:雪と羊と寒さを楽しむイベント

2月初旬の土日に開催されるのがしべつ雪まつり。士別市中央公園周辺を会場に、雪像、巨大滑り台、ステージ、グルメ広場が並びます。名物は国際雪ハネ選手権──雪国の「雪かき」を競技に変えた一風変わった大会で、日本テレビ系『イッテQ』でも紹介されたことがあります。

3月初旬には旧朝日町であさひベタ雪まつり。朝日三望台シャンツェを舞台に「国際ジャンピングヒルクライム選手権」(ジャンプ台を駆け上がる競技)が行われ、雪像コンテストやキッチンカーも出店します。

冬期間はつくも水郷公園が「冬のつくも」としてスケートリンクに変身。スケート靴の貸出も無料で、そり・カーリング・雪上パークゴルフが体験できます。氷点下の朝に外で滑ると、まさに「しばれる」(極寒)を全身で感じられる、ある意味贅沢な体験です。

士別市のエリア別の顔

士別市は2005年に旧士別市と朝日町が合併してできた市で、面積は1,119km²と東京23区の約1.8倍。市内は大きく分けて「中心市街地」「西の丘陵(学田・かわにし)」「北部(多寄・上士別)」「東部(朝日・温根別・岩尾内)」の4ブロックに分かれます。旅する目的によって、訪れるエリアが変わってくるのが面白いところ。

中心市街地エリア──士別の玄関口

JR士別駅と道の駅 羊のまち 侍・しべつを中心に、市役所・商店街・士別神社・つくも水郷公園が徒歩〜車5分圏内にまとまっています。屯田兵入植から続く格子状の街割りで、駅前にはレンガ造りの旧農業倉庫が今も残っていて、開拓農業のまちらしい風情が漂います。観光の起点と買い物にはこのエリアが便利です。

西部・学田/かわにしエリア──羊と丘陵風景の顔

「羊と雲の丘」「世界のめん羊館」「かわにしの丘」が集まる、士別観光のハイライトエリア。なだらかな丘陵地帯が広がり、夏は緑、秋は黄金色の畑、冬は雪原と、季節ごとに表情が変わります。サフォーク羊を見るならここ一択。羊と一緒に丘の上で過ごす数時間が、士別旅のメインディッシュになります。

北部・多寄/上士別エリア──農の原風景

市の北側に広がる農業地帯で、JR宗谷本線の多寄駅周辺と、上士別の山あいに分かれます。約6,000年前の竪穴建物跡が見つかった上士別遺跡、542haの広大な市営「大和牧場」(牛・馬の放牧)など、農と歴史のスポットが点在。じっくり走るドライブ向きのエリアです。

東部・朝日/温根別/岩尾内エリア──山と湖の顔

2005年に合併した旧朝日町を含む、市の東半分。天塩川最上流の岩尾内湖、岩尾内湖白樺キャンプ場、朝日三望台シャンツェ、北見山地の天塩岳、温根別ダムなど、自然系のスポットが集中。あさひサンライズホールを拠点に、登山・キャンプ・釣りを目当てに訪れる人が多いエリアです。市街地とは違う「山あいの北海道」の空気感が味わえるのが魅力。

士別市の気候・季節の暮らし

士別市は亜寒帯湿潤気候(Dfb)に属し、寒暖差の大きい大陸性気候が特徴です。気象庁の平年値によれば年平均気温は6.1℃、真冬日が年間84.9日、冬日(最低気温0℃未満)は164.4日と、1年の半分近くが氷点下の世界。年降水量は1,117.6mmで、特別豪雪地帯に指定されています。夏は短いですが日中は30℃近くまで上がる日もあり、寒暖差が農作物の味を濃くしている、そんな土地です。

夏──6月〜8月の暮らし

夏は短いながらも内陸性気候で日中は30℃近くまで上がる日があります。一方で朝晩は涼しく、夜は窓を開けるとしゃっこい(ひんやり冷たい)風が入ってくることも。エアコンなしで過ごせる家庭も多く、これがマラソン合宿の聖地として選ばれる理由のひとつです。

6月初旬の天塩岳山開きを皮切りに、登山・キャンプ・川遊びと外で過ごす時間が一気に増えます。7月の士別ハーフマラソン士別神社例大祭、8月の天塩川まつりと、夏のイベントもこの時期に集中。半袖で過ごせる期間は実質3か月ほどなので、住民は夏をなまら(とても)大事に過ごします。

秋──9月〜10月の暮らし

9月に入ると朝晩は10℃を切る日が出始め、9月中旬〜下旬には岩尾内湖周辺の紅葉が見ごろに。畑では米・小麦・大豆・甜菜の収穫が進み、町全体が「実りの色」に染まる季節です。

10月中旬を過ぎると初雪の便りが届くこともあり、住民は11月の本格的な冬支度に入ります。タイヤ交換、ストーブ清掃、屋根の雪止め確認──このあたりが秋の終わりの定番作業。寒冷地仕様の生活がここから半年続きます。

冬──11月〜3月の暮らし

士別の冬は本州とは別物の厳しさです。12月〜3月の日平均気温は氷点下が当たり前で、過去には2014年2月8日に-31.2℃、2020年2月9日には-31.7℃を記録しています。窓には霜の結晶が張り付き、朝起きると車のドアが凍りついて開かない──そんな日がしばれる(厳しく冷え込む)日の典型です。

降雪量が多く特別豪雪地帯に指定されているため、各家庭にはスコップが必須。屋根の雪下ろし、玄関前の除雪、車の屋根の雪払いが毎朝のルーティンです。一方で、冷涼な気候はミシュランがスタッドレスタイヤを開発する試験場を置くほどで、寒さが「資源」になっているのも士別ならでは。

1月末〜2月初旬のしべつ雪まつり、3月初旬のあさひベタ雪まつりと、雪を遊びに変えるイベントも盛ん。「つくも水郷公園」は冬になるとスケートリンクに変身し、スケート靴が無料で借りられます。

春──4月〜5月の暮らし

4月下旬まで雪が残ることも珍しくなく、桜の開花は本州よりかなり遅い5月の連休前後。九十九山のエゾヤマザクラが咲き始めると、ようやく「冬が終わった」という空気になります。

4月29日にはつくも水郷公園と岩尾内湖白樺キャンプ場が開園。半年閉ざされていた屋外の遊び場が一気に解禁され、住民の表情が明らかに明るくなる、そんな季節です。

士別市の移住・暮らし情報

士別市での暮らしは「車があれば不自由はないが、徒歩生活は厳しい」典型的な道北の地方都市スタイル。中心市街地に商業・行政・医療がコンパクトに集まり、車で5〜10分の範囲で生活が完結します。冬の除雪と寒さへの覚悟さえできれば、家賃・物価面ではなまら(とても)暮らしやすい町ですよ。

通勤・通学

市内勤務がメインですが、隣接する名寄市(車約30分)や和寒町・剣淵町への通勤者もいます。鉄道はJR宗谷本線が走り、士別駅から名寄駅まで普通列車で約30分、特急なら15分。旭川市まで通勤するには特急で約40分という距離感です。

市内の小中学校は士別市立で、市内中心部に士別小学校・士別南小学校・士別中学校・士別南中学校が集中。朝日・温根別・上士別・多寄など周辺地区にも各小中学校が配置されています。高校は道立士別翔雲高校が市内にあります。

住宅環境

SUUMOの掲載情報を見ると、士別駅周辺の西2〜3条エリアに賃貸物件が集中しており、駅徒歩5〜10分圏で2LDK・60㎡前後が5万円台、ワンルームが4万円台前後、3LDK・79㎡で7万円台というのが目安です(2026年時点)。駐車場付きの物件が主流で、自家用車前提の住環境と言えます。

戸建ては中古市場が中心で、屯田兵入植時代から続く格子状の街割りに、平屋〜2階建ての住宅が並びます。雪に備えた急勾配の屋根や、玄関前の風除室(フードや「ホーロ」と呼ばれる前室)は道北標準仕様です。

買い物環境

中心市街地には食品スーパー・ドラッグストア・ホームセンターがそろい、日常の買い物は車で5〜10分以内で完結します。2021年5月に開業した道の駅 羊のまち 侍・しべつは、地元食材や特産品を買える生活拠点としても活用されています。

大型ショッピングモールはなく、衣料品など大きな買い物は隣接の名寄市または旭川市まで車で出ることになります。旭川までは道央自動車道で約1時間、これが「日帰り買い物圏」の感覚です。

子育て・教育

市内には公立認可保育所が3つ、僻地保育所が5つ、認可外保育所が複数あり、人口規模に対して保育リソースは厚めに整備されています。市は「士別の子育てサイト」を独立して運営しており、子育て支援情報を集約しています。

大学・短大は市内にはなく、進学者は旭川市や札幌市へ出るのが一般的です。一方で「合宿の里」として培われたスポーツ環境(陸上競技場・ジャンプ台・ゴルフ場・スキー場など)は、子どもがスポーツに親しむ環境としては全国有数のレベルだと考えられます。

医療環境

中核となる士別市立病院が市内にあり、内科・外科・小児科・産婦人科などの基本診療科がそろっています。市内には個人クリニックや歯科医院も複数あり、日常の医療には困らないレベル。高度医療が必要な場合は名寄市の名寄市立総合病院、または旭川市の医療機関にアクセスすることになります。救急の場合は士別地方消防事務組合の消防署が市内中心部にあり、対応体制が整っています。

エリア別の暮らし視点

中心市街地エリアは生活インフラがそろう「住むなら王道」のエリア。徒歩圏でスーパー・病院・市役所・士別駅まで行けます。家賃相場は市内では高めですが、それでも5〜7万円台に収まる物件が多いです。

西部の学田・かわにしエリアは、丘陵地帯の景色が広がる戸建て向きエリア。中心部へ車5〜10分でアクセスでき、自然との距離感が魅力。北部の多寄・上士別エリアと東部の朝日・温根別エリアは、農業従事者や自然の中で暮らしたい人向き。市街地よりさらに静かで、家賃・土地相場も下がります。冬の除雪負担は中心部より重くなる点だけ覚悟が必要です。

士別市へのアクセス

士別市へは札幌から特急JRで約2時間、車で約2時間。旭川からはJR特急で約40分、車で約1時間と、道北の入口に位置する都市らしいアクセス感です。鉄道・高速道路・空港の3軸が揃っているので、目的に応じて選びやすいのが利点。

車でのアクセス

道央自動車道(士別剣淵IC)が最寄りです。札幌ICから士別剣淵ICまで約2時間、千歳ICから約2時間30分、旭川北ICから約30分、旭川鷹栖ICから約40分。士別剣淵ICから市内中心部までは車で約5分とアクセス良好です。

一般国道では国道40号が市内を縦断していて、旭川から約1時間、名寄から約30分。空港からは旭川空港〜士別が国道経由で約1時間という距離感です。

鉄道+バスでのアクセス

JR宗谷本線の士別駅が玄関口です。札幌駅〜士別駅は特急で約2時間(営業キロ190.7km)、旭川駅〜士別駅は特急で約40分(同53.9km)、名寄駅〜士別駅は特急で約15分(同22.3km)、稚内駅〜士別駅は特急で約3時間(同205.5km)。特急「サロベツ」「宗谷」が停車します。

バス利用なら、札幌〜士別の都市間バス(高速道路経由)で約3時間。旭川〜士別の路線バスで約1時間30分、名寄〜士別の路線バスで約35分です。冬の鉄道遅延に備える代替手段としても覚えておくと安心。

飛行機でのアクセス

最寄り空港は旭川空港で、空港から旭川駅まで空港バスで約35分、そこからJR特急で士別駅まで約40分というルートが基本。空港から直接レンタカーで国道40号を北上する場合は約1時間で士別中心部に到着します。

羽田・成田・関西・中部などの主要空港から旭川空港への直行便があり、東京方面からなら「飛行機+特急」で半日ほどで到着できる距離感です。

町内移動の現実的アドバイス

市内観光は車が基本です。羊と雲の丘は士別駅から車で約10分、岩尾内湖までは中心市街地から約50分、朝日エリアまでは約25分と、東西に長い市域なのでレンタカー利用がおすすめ。

車がない場合は、道の駅 羊のまち 侍・しべつを発着するデマンド型タクシー(さほっちタクシー)や市内循環バスが利用できます。観光協会で予約・相談ができるので、JR利用の旅行者は道の駅をまず訪れて行程を組み立てるとスムーズです。

【地元住民に直撃!】士別市の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。

士別でサフォーク羊の牧場やってます。もう20年以上になるかな。親父の代から羊飼ってて、俺で二代目。

うちは100頭ちょっとの規模だけど、士別はサフォーク飼育数日本一だから、市内に同業者が何軒もいてね。情報交換しながらやってます。冬場の出産シーズンは寝る暇なくて、なまら(とても)大変なんだわ。

Q2.この街に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?

「羊と雲の丘」だね。士別の観光と言ったらまずここ。100頭以上のサフォークが放牧されてる景色は、晴れた日だと大雪山系まで見えて、空気が透き通ってるんだわ。

あと地元の人間しか行かんけど、岩尾内湖の朝。霧が湖面から立ち上る景色は、士別のおすすめスポットとして声を大にして言いたい。9月の紅葉時期も最高だよ。観光客は意外と知らんのよね。

Q3.この市町村でお土産を買うとしたらなんですか?

無難なとこだと「サフォークせんべい」と「士別サフォークラム」のジンギスカン。士別市の有名なものとして全国に通じるのはやっぱりこの二つだね。道の駅で買えるから手軽だし。

地元目線で言うと、「天サイダー」って甜菜糖で作った地サイダーがあってね。あと「つくもダック」っていう士別産大豆のフランス菓子。これは知る人ぞ知る。

Q4.外から人が来たときにまず連れていく店はどこですか?

うちの場合、まず「羊と雲の丘」の頂上にある羊飼いの家に連れてくね。窓の外に放牧地が見えて、そこで士別産のサフォークラム焼いて食べるってのは、外の人にはなまら(すごく)刺さるみたい。

二次会的に道の駅 羊のまち 侍・しべつのレストランにも行く。地元食材の料理がそろってて、ここで甜菜糖のスイーツも食べさせると喜ばれるね。

Q5.この市町村はどんな気質だと思いますか?

士別人は地味だけど芯が強いって言われるね。最後の屯田兵が拓いた土地だから、開拓者気質っていうか、寡黙だけど一度信用したらとことん面倒見てくれる人が多いんだわ。

羊飼い同士も、若い牧場が困ってると20年やってる先輩がアスパラやらかぼちゃの切れ端持ってきてくれる。市町村長さんも含めて、距離が近い町だと思うよ。

Q6.昔に比べて、街の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか

人口は減ったね。俺が子供の頃は2万人以上いたのが、今はもう1万5千人台。商店街も昔は映画館が7軒もあったらしいけど、今は1軒もない。

でも逆に羊のブランド化は進んだし、合宿の里として実業団や大学陸上の選手が夏には士別運動公園や市町村民センターに毎年来てくれる。マラソン大会の沿道は今でもなまら熱いよ。

Q7.これから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?

2021年にできた道の駅 羊のまち 侍・しべつが、思った以上に町の顔になってきてね。あそこを起点にもっとサフォーク関連の体験ができる場所が増えてほしいなと。

あと若い羊飼いがここ数年で何軒か新規参入してきてるんだわ。士別市 水源でもある天塩川の上流域の自然があってこその羊だから、この環境を守りつつ、サフォークレザーとか羊毛工芸とか、羊の可能性をもっと広げたいね。

士別市の関連リンク

【この町を愛する皆様へ】
この記事は、どのサイトよりも詳しく、正確に、そして魂を込めて執筆しています。町の魅力を最大限に引き出すため、今後も肉付けを続けていきます。ご期待ください。

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