礼文町(れぶんちょう)は、北海道宗谷地方、日本海に浮かぶ礼文島の全域を占める人口2,131人の町です。稚内市の西およそ60kmにあり、有人の「町」としては日本最北に位置します。
礼文町の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 花の浮島──海抜0mから約300種の高山植物が咲く、利尻礼文サロベツ国立公園の島
- ✅ レブンアツモリソウ──ここだけに咲くクリーム色の野生ラン(特定国内希少野生動植物種)
- ✅ ウニ丼発祥の地とも言われる海の町──夏のエゾバフンウニと利尻昆布
- ✅ 日本最北端の岬スコトン岬と、日本最北の湖久種湖(くしゅこ)
- ✅ 船泊遺跡──縄文人のDNA解析で世界を驚かせた、国重要文化財1,616点の島
「高山植物や花が好きな人」「離島やトレッキングに惹かれる人」「最北の地に立ってみたい人」に特におすすめの町です。本記事では、自然・食・歴史・文化からアクセスまで、礼文町の素顔を地元目線で紹介していきます。
| 人口 | 2,131 人 ※2026年4月30日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 81.64 km² |
| 人口密度 | 26.1 人/km² |
礼文島は南北に約29km、東西に約8kmと細長く、北部を船泊(ふなどまり)、南部を香深(かふか)と呼びます。島であるため陸続きで隣接する市町村はありませんが、香深港からフェリーで稚内市、利尻町(沓形港)、利尻富士町(鴛泊港)と結ばれています(出典:ハートランドフェリー)。
島内に鉄道はなく、定期空路もありません。稚内市の稚内港からフェリーで約2時間、それがこの町への基本ルートです。花も食も歴史も、ひとつずつ見ていきましょう。
礼文町の推しポイント

標高490mの島なのに高山植物が咲き乱れる「花の浮島」、夏のウニと利尻昆布、最北端のスコトン岬、そして縄文人のDNA解析で注目された船泊遺跡。礼文町には、自然・食・歴史がぎゅっと詰まっています。ここからは、その5つを少しずつ深掘りしていきますね。
推しポイント1:花の浮島──約300種の高山植物
礼文島は、約300種の高山植物が咲くことから「花の浮島」と呼ばれています(出典:礼文島観光協会)。本州なら標高2,000m級でしか見られない花が、ここでは海抜0mの道端でも咲きます。島の西部は利尻礼文サロベツ国立公園に含まれています。
推しポイント2:レブンアツモリソウ──ここだけの野生ラン
礼文島固有のレブンアツモリソウは、淡いクリーム色の花をつける野生のランです。盗掘などで激減し、1994年に「特定国内希少野生動植物種」に指定されました(出典:北海道)。見頃は5月下旬から6月中旬のごく短い期間だけ。礼文町のマスコット「あつもん」も、この花がモデルです。
推しポイント3:日本最北の町とスコトン岬
礼文島の北端にあるスコトン岬は、礼文島最北端の地。沖には無人のトド島が浮かびます。島の中央には日本最北の湖・久種湖(くしゅこ)もあり、最北端の地に立ったという実感が味わえます。
推しポイント4:船泊遺跡──縄文人ゲノムの島
北部の船泊遺跡からは縄文時代後期の遺物が大量に出土し、そのうち1,616点が2013年に国の重要文化財に指定されています(出典:文化遺産オンライン)。2019年には墓から出た人骨のゲノム解析で「縄文人の顔」が復元され、大きな話題になりました。
推しポイント5:7つのトレイルと愛とロマンの8時間コース
島には桃岩展望台コースや岬めぐりコースなど7つの散策路があり、花を眺めながら歩けます。なかでも西海岸をたどる「愛とロマンの8時間コース」は健脚者あこがれのロングコース。標高490mの礼文岳は、片道3時間ほどで登れる低山ながら山頂は360度の絶景です。
礼文町の歴史

礼文島の歴史は、縄文時代の海の民にさかのぼります。やがて松前藩の交易の場となり、本州からの漁民が住みつき、ニシンと漁業の島として発展しました。二つの村が合併して礼文村となり、町制施行で現在の礼文町が誕生しています。時代ごとに見ていきます。
縄文の記憶──船泊遺跡と最北の縄文人
北部の船泊遺跡からは、竪穴住居跡や墓、骨角器や貝製品が出土しました。出土品1,616点は2013年に国の重要文化財に指定されています(出典:文化遺産オンライン)。墓からは本州産のヒスイなども見つかり、海を越えた交易があったことを示しています。
場所請負とニシンの時代
近世には、この一帯が松前藩のソウヤ場所に組み込まれました。1846年(弘化3年)には、陸奥国三厩村(現在の青森県)から移り住んだ柳谷万之助が、尺忍(香深)に漁場を開いたと記されています。本州、特に青森方面から渡ってきた漁民が、島の暮らしの基礎を築きました。
二村合併から礼文町へ
1878年(明治11年)には香深に戸長役場が置かれ、1892年には船泊村が分かれました。その後、1956年(昭和31年)に船泊村と香深村が合併して礼文村が誕生します。1959年(昭和34年)に町制を施行し、現在の礼文町となりました。
礼文町の文化・風習

方言と話し方の特徴
島で話されるのは北海道弁です。たとえばなまら(とても・すごく)、別れぎわのしたっけ(それじゃあ・またね)などをみなさんも耳にするかもしれません。
面白いのが「投げる」という言葉。北海道では投げる(捨てる)の意味で使うので、「ゴミ投げといて」と言われても、放り投げないでくださいね。
礼文島はもともと青森方面からの漁民が拓いた島。漁師町ならではの、津軽弁の名残を感じる「浜言葉」のイントネーションが、お年寄りの会話に今も残っていると考えられます。
食卓と季節の暮らし
食卓に並ぶのは、夏のウニ、脂ののったホッケ、出汁の効いた昆布など、海の幸が中心です。とれたての魚介をシンプルに味わうのが、この島の流儀なんですよね。
冬は氷点下まで冷え込み、地元では極端な寒さを「しばれる」(厳しく冷え込む)と言います。一方で宗谷暖流の影響もあり、緯度のわりに夏は涼しく過ごしやすいのが特徴です。
島の気質とつながり
礼文島にはヒグマもヘビもいません。だから散策のときも安心して歩けるんですよ(出典:礼文島観光協会)。
厳しい自然と漁を相手に暮らしてきた島だけあって、人と人との距離は近く、助け合いの空気があると考えられます。小さな港町ならではの温かさが、訪れた人にも伝わってくるはずです。
礼文町の特産品・食

特産品1:エゾバフンウニとウニ丼
夏の礼文町の主役は、なんといってもエゾバフンウニ。旬は6〜8月ごろで、濃厚な甘みととろける口当たりが特徴です。
このウニ、上質な利尻昆布をたっぷり食べて育つから甘くなると言われています。醤油をかけずにそのまま頬張るとなまら(すごく)美味しいんですよ。礼文島はウニ丼発祥の地とも言われています。
特産品2:利尻昆布
礼文島周辺の海でとれる利尻昆布は、澄んだ上品な出汁が出る高級昆布として知られています。京料理の出汁にも使われるほどで、味の決め手は雑味のなさ。
ウニを育てるのもこの昆布なら、食卓の出汁を支えるのもこの昆布。島の海の恵みが循環していると考えられます。
特産品3:生ホッケのちゃんちゃん焼き
礼文島はホッケの産地としても有名です。なかでも鮮度のいい生ホッケに味噌とネギをのせて炭火で炙る「ホッケのちゃんちゃん焼き」は、島ならではのご当地グルメ。
脂ののった身に甘い味噌がからんで、ご飯がすすむんですわ。冷凍では味わえない、産地ならではの一品っしょ。
礼文町の観光スポット

「花の浮島」と呼ばれる礼文島の見どころは、花・岬・縄文の三本柱です。海抜0mの道端に高山植物が咲き、日本最北端の岬が断崖の先に広がり、縄文人の暮らしを伝える資料館もあります。まずは押さえておきたいスポットを、カテゴリーごとに見ていきましょう。
花と高山植物を楽しむスポット
- 礼文町高山植物園 – 島の北部・船泊にある見本園で、レブンウスユキソウなど約50種・約2万株を栽培しています。営業時間は9時〜17時、5〜8月は無休、9月は日曜休館で、入園料は大人310円・小人160円(5月20日〜8月)です(出典:HOKKAIDO LOVE!(北海道観光振興機構))。自然界では6月で花期を終えるレブンアツモリソウを、温度調整で8月初旬まで見られるのがここの強み。歩くたびに草花が風で揺れて、なまら(とても)涼やかな空気に包まれます。
- レブンアツモリソウ群生地 – 北部・北鉄府地区にある保護区で、ここだけに咲くクリーム色の野生ランを間近で見られます。盗掘防止のため監視員が常駐し、遊歩道が開くのは花の咲く5月下旬から1か月ほどだけ。観光バスが着くと一気ににぎわう、期間限定の特別な場所なんですよ。
最北の岬と絶景スポット
- スコトン岬 – 礼文島最北端の岬で、正面に無人島のトド島が浮かび、晴れた日には遠くサハリンの島影まで望めます(出典:北海道礼文町)。断崖に立つと強い海風が吹きつけて、まさに「北の果てに来た」という実感がわいてきます。「日本最北限のトイレ」があるのもここ。
- 澄海岬(すかいみさき) – 島の北西部にある、その名のとおり澄み切った青い海と断崖が美しい岬。晴れた日は海の透明度がぐっと増し、初夏にはエゾカンゾウやエゾスカシユリが斜面を彩ります。湾を見下ろす展望台からの眺めは、思わず息をのむめんこい(かわいらしい)景色です。
- 桃岩展望台 – 南部にある展望台で、桃の形をした巨岩・桃岩や、対岸の利尻富士を望めます。ここから元地灯台へ続く「桃岩展望台コース」は7つあるトレイルの中でも一番人気。6〜7月は足元に高山植物のお花畑が広がります。
- 地蔵岩 – 西海岸の元地(もとち)にそびえる、高さのある巨岩。荒々しい西海岸の波打ち際に立つ姿は迫力満点で、日本海の厳しさをそのまま映したような景色が広がります。
縄文と映画の島を感じるスポット
- 礼文町郷土資料館 – 香深港フェリーターミナルから徒歩1分、町民活動総合センターの1階にあります。展示の主役は、国の重要文化財に指定された船泊遺跡の出土品1,616点(出典:文化遺産オンライン)。ガラス越しに見る縄文人の骨角器や貝の装身具からは、海を越えた交易の痕跡が伝わってきます。
- 北のカナリアパーク – 2012年公開の映画「北のカナリアたち」のロケ地で、撮影用に建てられた「麗端小学校岬分校」の赤い屋根の校舎が残ります(出典:北海道礼文町)。香深港から車で約5分、開園は5〜10月の日中です。校舎ごしに利尻富士を望む構図は、まるで一枚の絵のようですよ。
- 久種湖(くしゅこ) – 北部にある日本最北の湖で、春にはミズバショウの群生が湖畔を白く彩ります。周囲には散策路とキャンプ場が整い、鳥のさえずりを聞きながらのんびり歩けるのが魅力です。
歩いて出会う・湯で癒すスポット
- 礼文島トレイル – 桃岩展望台コースや岬めぐりコースなど7つのフットパスが島を縦断します。なかでも西海岸をたどる「愛とロマンの8時間コース」は健脚者あこがれの道。島にはヒグマもヘビもいないので、花を眺めながら安心して歩けます(出典:礼文島観光協会)。
- 礼文島温泉 うすゆきの湯 – 香深港から徒歩3分の日帰り温泉で、源泉かけ流しの湯と、利尻富士を望む露天風呂が自慢です。入浴料は大人600円、小学生まで無料(出典:北海道礼文町)。トレッキングやフェリー待ちの時間に、冷えた体をじんわり温めるのにぴったりです。
礼文町の観光ルート

礼文島は道路が島の東岸に1本通っているだけのシンプルな地形。香深港を起点に、レンタカーやバスで南北をつなぐと効率よく回れます。花だけ、岬だけ、トレッキング中心など、滞在時間に合わせてルートを組んでみましょう。
【車・1日】香深港から最北・スコトン岬をめざす縦断ルート
9:00 香深港 → 9:05 北のカナリアパーク(車5分) → 9:40 桃岩展望台 → 12:00 香深で昼食 → 13:00 久種湖(車40分)→ 高山植物園 → 14:30 スコトン岬 → 15:30 澄海岬 → 17:00 うすゆきの湯 → 香深港
①北のカナリアパーク(40分)
→ 朝いちばんは人が少なく、赤い校舎と利尻富士をゆっくり撮れます。
②桃岩展望台(40分)
→ 桃の形の巨岩と花畑を一望。午前の光で海の青がいちばん映える時間帯です。
③久種湖と高山植物園(90分)
→ 北部へ移動して湖畔を散策し、植物園で花の名前を覚えると午後の岬がもっと楽しめます。
④スコトン岬・澄海岬(90分)
→ 最北端と透明な海をはしごし、しめはうすゆきの湯で温まって港へ。歩き疲れた体になまら(とても)効きます。
【車・半日】南部の絶景と花の入門ルート
13:00 香深港 → 13:05 北のカナリアパーク → 13:45 桃岩展望台 → 14:30 地蔵岩(元地)→ 15:30 香深でウニ丼 → 16:30 うすゆきの湯 → 香深港
①北のカナリアパーク(30分)
→ 港から近く、短時間でも映画の世界と利尻富士の眺めを味わえます。
②桃岩展望台と地蔵岩(90分)
→ 展望台で花畑を眺めたあと、西海岸の元地へ下りて荒々しい巨岩を見るのが定番の流れです。
③香深でウニ丼(60分)
→ フェリー待ちの前に、発祥の地とも言われる名物のウニ丼で締めくくりましょう。
【徒歩・1日】花を歩いて楽しむトレッキングルート
8:00 香深港 → バスで桃岩登山口 → 桃岩展望台コース(約2時間半)→ 元地 → 知床 → バスで香深へ
①桃岩展望台コース(2時間半〜3時間)
→ 尾根を歩きながら、6〜7月は足元いっぱいの高山植物に出会えます。海と花を同時に味わえる、島で一番人気の道です。
②元地・知床方面(休憩含む)
→ 下り道の景色を楽しみつつ、無理のないペースで。雲海に出会えたら最高の一日になります。
【車+フェリー・1日】利尻島とあわせて回る広域ルート
礼文島だけでなく、フェリーで隣の利尻富士町・利尻町がある利尻島と組み合わせると、二つの島を一度に楽しめます。
①午前:礼文島
→ スコトン岬や桃岩展望台で「花の浮島」の景色を満喫します。
②フェリーで利尻島へ
→ 香深港からフェリーで移動。船上から海越しに利尻富士を眺める時間も旅の醍醐味です。
③午後:利尻島
→ 円すい形の利尻山を間近に望む島をドライブ。礼文島とはまた違う、山の迫力が味わえます。
礼文町の年間イベント

礼文町のイベントは、花が咲き、ウニが旬を迎える初夏から夏に集中します。短い夏を惜しむように、島民と観光客が一緒に盛り上がるのが特徴です。季節ごとに見ていきましょう。
春〜初夏:レブンアツモリソウとアツモリ感謝祭
5月下旬から6月にかけては、レブンアツモリソウが見頃を迎える特別な季節です。この時期に群生地前で開かれる「アツモリ感謝祭」では、島のマスコット「あつもん」が観光客を迎えてくれます(出典:きた・北海道(稚内・利尻・礼文の観光WEBサイト))。
群生地までは岬めぐりコースの途中にあり、花を見ながら歩いて向かうのもおすすめ。咲く花は気まぐれで、去年と同じ場所に咲くとは限らないんですよ。
夏:礼文ふるさとまつり(海峡まつり・花火大会)
島最大の夏祭りが「礼文ふるさとまつり」で、毎年8月に開催されます(出典:北海道礼文町)。香深港の防波堤から上がる花火は、島で唯一の花火大会です。
あわせて開かれる海峡まつりでは、フードコーナーやビアガーデンが並び、礼文太鼓やよさこいでステージが盛り上がります。海の幸を片手に、去りゆく夏を島ぐるみで惜しむ熱気に包まれます。
秋〜冬:静かな花の浮島と最北の雪
観光のピークが過ぎる秋以降は、人も少なく落ち着いた島の素顔に出会えます。トレイルの草紅葉や、澄んだ空気の中での岬めぐりは、この季節ならでは。
冬は氷点下までしばれ(厳しく冷え込み)ますが、島内には地元の人が滑る久種湖畔のスキー場もあり、最果ての雪景色を静かに楽しめます。
礼文町のエリア別の顔

礼文町は、もともと南の香深村と北の船泊村という二つの村が合併して生まれた町です(出典:北海道礼文町)。今もその名残で、島は南の香深、北の船泊という大きな二つの顔に分かれます。それぞれの個性を旅の視点から見ていきましょう。
香深エリア──島の玄関口でグルメと温泉の拠点
フェリーが発着する香深は、島でいちばんにぎやかな中心地です。ターミナル周辺に宿や飲食店、ウニ丼の店、郷土資料館、うすゆきの湯が集まっています。
到着してすぐ食事や温泉に向かえるので、旅の起点にぴったり。「まずはウニ丼を食べたい」という人は、ここに着いてすぐ味わえますよ。
元地エリア──西海岸の荒々しい絶景
香深から峠を越えた西側の元地(もとち)は、断崖と巨岩が続くダイナミックなエリアです。地蔵岩や桃岩を望むこの一帯は、東海岸とはまるで表情が違います。
霧が出やすく風も強い西海岸ですが、それがこの土地ならではの迫力を生んでいます。絶景写真を狙う人や、トレッキング好きにおすすめのエリアです。
船泊・北部エリア──花と縄文の里
北部の船泊は、久種湖、高山植物園、レブンアツモリソウ群生地、そして船泊遺跡が集まる自然と歴史のエリアです。漁業が盛んな静かな集落でもあります。
花をじっくり見たい人、縄文の島の歴史に触れたい人は、ぜひ足を延ばしてみてください。香深から車で30分以上かかるので、時間に余裕をもって回るのがおすすめです。
スコトン・最北エリア──北の果てを実感する
島の最北にあるスコトン岬や澄海岬の周辺は、人家もまばらになり、ガードレールのない一本道が続きます。余計なものがない景色は、まさに「最果て」そのもの。
無人のトド島を眺めながら、日本最北端に立つ達成感を味わえます。北の果てまで来たという実感を求める人に、いちばん向いたエリアです。
礼文町の気候・季節の暮らし

礼文町は北緯45度の高緯度にありながら、年平均気温が7℃を上回ることのない冷涼な気候です(出典:政府広報オンライン(Highlighting Japan))。海に囲まれ、宗谷暖流の影響を受けるため、緯度のわりに気温の振れ幅は穏やかです。とはいえ冬は雪と強風が厳しく、季節ごとの表情がはっきり分かれます。
夏〜秋──涼しくて短い、観光のピーク
夏でも涼しく、本州のような猛暑とは無縁です。クーラーいらずで過ごせる代わりに、海から霧が流れ込み、西海岸では真夏でも肌寒く感じることがあります。
湿度は高めで、トレッキングには薄手の上着が一枚あると安心。花とウニの最盛期と重なるこの時期が、島がいちばんにぎわう季節です。
冬──雪と風、そしてフェリーとの付き合い
冬は氷点下までしばれ(厳しく冷え込み)ますが、海洋性の気候のため、内陸の北海道ほど極端には下がりにくいと考えられます。それでも日本海から吹きつける風と雪は強烈です。
暮らしで意識したいのが、悪天候によるフェリーの欠航です。冬は本土との行き来が止まることもあるので、食料の備えや予定の余裕が、島で暮らす知恵になります。
春──桜のあとに花の季節がやってくる
春の訪れは遅く、桜前線が届くのは5月に入ってから。その桜が終わるころ、入れ替わるようにレブンアツモリソウが咲き始めます。
長い冬が明けて花がほころぶ瞬間は、島の人にとっても待ちわびた季節。短い夏に向けて、島全体がゆっくり動き出します。
礼文町の移住・暮らし情報

人口2,131人の礼文町での暮らしは、漁業と観光を中心に島の中で完結するのが基本です。コンビニも病院も学校もそろっていますが、本土とはフェリーで結ばれた離島ならではの工夫も必要です。なまら(とても)静かな環境で暮らしたい人には魅力的な町ですよ。
通勤・通学
働く場所は漁業、観光、宿泊業、役場など島内が中心です。車での移動が基本で、香深から船泊まではおよそ20kmほど離れています。
通学は、後述する学校に通えば高校まで島内で完結します。大学や専門学校に進む場合は、本土へ出るのが一般的です。
住宅環境
民間の賃貸物件は数が限られており、移住者は町営住宅や空き家を活用するケースが中心になると考えられます。具体的な空き状況や移住の相談は、町の窓口で確認するのが確実です(出典:北海道礼文町)。
住むなら、フェリーや店が近い香深が便利。静かな漁村の暮らしを求めるなら船泊側も選択肢になります。
買い物環境
島内にはセイコーマートや地元の商店があり、日常の買い物はここで賄えます。北海道のコンビニ・セイコーマートがあるのは、道民にとって心強い存在です。
まとまった買い物や専門店での用事は、フェリーで稚内市へ出るのが現実的。「島で揃うもの」と「本土で買うもの」を分けて考える暮らしになります。
子育て・教育
島内には礼文・香深井・船泊の3つの小学校、香深・船泊の2つの中学校、そして礼文高校があります(出典:北海道礼文町)。
礼文高校は日本でいちばん北にある高校で、高山植物や島の自然を学ぶ独自の授業が特徴です。全国から生徒を募る「最北れぶん留学」も行っています(出典:北海道礼文高等学校)。
医療環境
島の医療の中心は、船泊地区にある礼文町国民健康保険船泊診療所です。内科・外科・産婦人科・眼科などに対応し、入院も受け入れています(出典:厚生労働省 医療情報ネット)。
一方で、本格的な総合病院は島内になく、最寄りは稚内市でフェリーを使うことになります。急病時はフェリーやドクターヘリでの搬送になる点は、離島で暮らす現実として知っておきたいところです。
エリア別の暮らし視点
香深エリアは港・役場・店・温泉が集まる生活の拠点で、買い物や通院の動線が短いのが利点です。移住の入り口としては、いちばん暮らしやすいエリアと考えられます。
船泊エリアは診療所や学校がある北部の漁村で、静かでのどかな環境。元地など西海岸の集落は規模が小さく、自然と向き合う暮らしを求める人に向いています。
礼文町へのアクセス

礼文町へは、まず稚内市か隣の利尻島まで行き、そこからフェリーで渡るのが基本です。島内に鉄道や定期空路はないので、フェリーが本土との生命線になります。主要ルートを整理します。
車+フェリーでのアクセス
マイカーやレンタカーの場合、稚内港まで陸路で向かい、フェリーに車ごと乗船します。香深港までの所要時間はおよそ1時間55分です(出典:ハートランドフェリー)。
車を載せる自動車航送は便数も限られるので、繁忙期は予約必須。WEB予約だと車輌運賃が割引になります。
鉄道+フェリーでのアクセス
鉄道なら、JRで稚内駅まで行き、駅から稚内フェリーターミナルへ移動してフェリーに乗り換えます。徒歩や路線バス、タクシーでターミナルへ向かう流れです。
稚内~香深の2等自由席は片道4,000円前後(2026年時点)で、最新の運賃は運賃表で確認できます(出典:ハートランドフェリー)。フェリーの最終便は午後の早い時間なので、当日着には乗り継ぎの余裕を見ておくと安心です。
飛行機でのアクセス
遠方からは空路が早く、新千歳空港や羽田空港から稚内空港へ飛び、稚内港からフェリーに乗り継ぎます。新千歳~稚内はおよそ1時間です。
もう一つ、利尻空港まで飛んで利尻島からフェリーで礼文島へ渡るルートもあります。利尻富士町・利尻町とあわせて旅したい人に向いた行き方です。
町内移動の現実的アドバイス
島内は東岸を1本の道が南北に走り、宗谷バスやレンタカー、レンタサイクルで移動します。バスは季節で本数が変わるので、時刻の確認は早めに。
スコトン岬や澄海岬まで足を延ばすなら、自由に動ける車があるとあずましい(気が楽で快適)ですよ。日程に余裕をもって回るのがおすすめです。
【地元住民に直撃!】礼文町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
長いこと、うにの口開けがある日は朝暗いうちから海さ出てたのさ。バフンうにを獲って、その場でむいて、利尻昆布で育った甘いやつを出荷する仕事だったね。
今は体もあちこちガタがきたから漁は引退して、香深の民宿でちょこちょこ手伝いしてるよ。お客さんに礼文島の話するのが、なんも楽しくてねぇ。
Q2.礼文町に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
やっぱりスコトン岬だべさ。トド島がぽつんと浮かんでて、晴れた日はサハリンまで見える。風がびゅうびゅうで、ここが日本のてっぺんだって体で分かる場所だよ。
あとは地元の者が好きなのが澄海岬の朝。観光バスが来る前の、霧がすうっと晴れていく時間がいっとう礼文ブルーがきれいでね。礼文町観光の本当の宝はそこさ。
Q3.礼文町でお土産を買うとしたらなんですか?
礼文町の有名なものといえば、やっぱり利尻昆布とうにの瓶詰めだね。これは間違いなく喜ばれる。家でだし取ると味が違うってみんな言うのさ。
地元の者がこっそり買うのは、礼文産の塩水うにと、干したホッケの開き。あと礼文町民センターの近くの店で売ってる昆布醤油がね、隠れた当たりなんだわ。
Q4.外から人が来たときに、礼文町でまず連れていく店はどこですか?
まずは香深の港まわりの食事処さ連れてくよ。とれたての生うに丼を食べさせたいからね。礼文島はうに丼発祥の地ともいわれてるんだもの。
うにの時季を外したら、生ホッケのちゃんちゃん焼きを出す店だね。脂がのってて、ご飯がいくらでも進む。よその人はみんなびっくりするよ。
Q5.礼文町はどんな気質だと思いますか?
漁師町だから、口は少々荒いけど根はあったかい人ばっかりさ。困ってる人がいたら、ほっとけないんだわ。ヒグマもヘビもいない島だから、気持ちものんびりしててね。
町長さんから漁協の若い衆まで、顔の見える距離で暮らしてる。それが窮屈なときもあるけど、いざってときは島ぐるみで助け合うのが礼文の人だよ。
Q6.昔に比べて、礼文町の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直さみしくなったよ。私が若いころは二千人なんてもんじゃなかった。漁師も子どもも、もっとわんさかいたのさ。今は静かになってねぇ。
でも観光のお客さんが花の浮島を目当てに来てくれるし、礼文運動公園で子どもが走り回ってるのを見ると、まだまだこの島は終わってないなって思うんだわ。
Q7.礼文町のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
礼文町水源は限られてるし、冬はフェリーも止まる島だから、暮らしを支える地味な整備こそ大事だと思ってるよ。派手じゃなくていいのさ。
あとは高校の「最北れぶん留学」に期待してるね。よその子が島に来て、礼文町のおすすめスポットや海の仕事を覚えていく。あの子らが島の未来を運んでくると思うんだわ。

