中頓別町(なかとんべつちょう)は、北海道の最北・宗谷地方南部にある人口1,414人の小さな町です。宗谷地方で唯一、海に面していない自治体でもあります。札幌から車で約5時間、旭川からは約3時間の道のりです。
中頓別町の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ ゴールドラッシュの町──明治の砂金ブームで一時8千人超の集落ができた「東洋のクロンダイク」
- ✅ ペーチャン川で今も砂金掘り体験──夏限定、道具一式500円で本物の砂金が採れる
- ✅ 中頓別鍾乳洞──日本最北のカルスト地形、貝殻由来の石灰岩でできた珍しい鍾乳洞(北海道天然記念物)
- ✅ 軍艦岩と芝桜──貝の堆積が隆起してできた奇岩と、6月のピンクのじゅうたん
- ✅ 幻の「なかとん牛乳」とチシマアザミのはちみつ──酪農と道北の花が育む特産品
「歴史やロマンを感じたい旅行者」「火山や地学・地形に興味がある人」「川遊びやアウトドアで家族と過ごしたい人」に特におすすめの町です。本記事では、観光・歴史・特産から、町の暮らしの空気感、アクセス情報まで地元目線で紹介します。
| 人口 | 1,414 人 ※2026年4月30日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 398.51 km² |
| 人口密度 | 3.55 人/km² |
地理的には、北は浜頓別町、東南は枝幸町(旧歌登町)、南は音威子府村、南西は中川町、西は天塩山脈をへだてて幌延町に接しています。町の中央を頓別川が北流し、その流域に平坦な農業地帯が広がります。
町域の約8割を森林が占め、中央には標高704mのピンネシリ岳(敏音知岳)がそびえる山岳の町です。鉄道は通っておらず、国道275号が町の中央を縦断しています。冬は氷点下30℃を下回る日も珍しくない、特別豪雪地帯です。
砂金・鍾乳洞・酪農と、この小さな町には他では出会えない歴史と地形が詰まっています。ひとつずつ見ていきましょう。
中頓別町の推しポイント

中頓別町の見どころは、なんといっても「金」と「地形」です。明治のゴールドラッシュで沸いた歴史を今に伝えるペーチャン川では、今も砂金掘りが体験できます。そして日本最北のカルスト地形にできた中頓別鍾乳洞や軍艦岩は、かつてここが海だったことを物語る貴重な地質遺産。さらに酪農の町ならではの「なかとん牛乳」や、道北の花から採れるはちみつも見逃せません。順番に紹介していきますね。
推しポイント1:砂金掘り体験──東洋のクロンダイク
1898年(明治31年)、近隣のウソタンナイ川上流で砂金が発見されると、噂は瞬く間に広がり、中頓別のペーチャン川にも一攫千金を夢見た人々が殺到しました。一時は8千人を超える集落ができたと伝えられています(出典:中頓別町公式サイト)。今でもペーチャン川砂金掘体験場では、夏場の約1か月、道具一式500円で本物の砂金掘りが楽しめます。
推しポイント2:中頓別鍾乳洞──日本最北のカルスト
1933年に発見された中頓別鍾乳洞は、日本最北のカルスト地形に位置します。約2,300万年前、海底に堆積した二枚貝やフジツボの貝殻が石灰岩となり、その中にできた鍾乳洞という、国内では極めて珍しい成り立ちです。1958年に北海道指定天然記念物に指定されています(出典:中頓別鍾乳洞)。なお記録的大雨の被害により、現在は閉園しています。
推しポイント3:軍艦岩と芝桜
鍾乳洞のある自然ふれあい公園には、貝殻石灰岩が浸食されてできた「軍艦岩」がそびえます。海底の堆積物が地殻変動で隆起した奇岩で、岩の上に登ることもできます。基部の斜面には芝桜が植えられ、例年6月下旬にはピンクのじゅうたんが一帯を染めます。
推しポイント4:道の駅ピンネシリと特産品
標高704mのピンネシリ岳の麓にある道の駅ピンネシリは、町の旅の拠点。町内で搾乳・製造する「なかとん牛乳」や、道北の花から採れたはちみつなど、ここでしか買えない特産品が並びます。温泉やオートキャンプ場も併設されていて、ゆっくり過ごせるんですよ。
中頓別町の歴史

中頓別町の歴史は、明治末期の砂金発見に始まり、鉄道開通による開拓、そして酪農の町への転換という3つの時代で語ることができます。一攫千金の夢に沸いた町が、やがて森と牧草地の静かな町へと姿を変えていきました。地名はアイヌ語の「トー・ウン・ペッ(湖から出る川)」に由来し、頓別川の中流に位置することから「中」が付けられました。
近代──ゴールドラッシュと鉄道の開通
1898年(明治31年)の砂金発見をきっかけに、全国から採掘者が押し寄せました。しかしゴールドラッシュは長く続かず、1900年には収量が減少、翌1901年にはほぼ採れなくなりました。一方、1916年には中頓別駅が開業し、鉄道の開通とともに本格的な開拓が進みました(出典:中頓別町)。
近代の村制と発展
1916年に枝幸村から頓別川流域が分村して頓別村が成立し、1921年(大正10年)にはその上・中流域がさらに分立して中頓別村が発足しました。村の中心となったのが、すでに中頓別駅が設置されていた中頓別市街であったことが、村名の由来とされています。
現代──酪農の町へ
1949年(昭和24年)11月、町制を施行して中頓別町となりました。砂金が尽きた後は頓別川流域の牧草地造成が進み、酪農が町の基幹産業となりました。1988年(昭和63年)にはペーチャン川に砂金掘体験場がオープンし、かつてのゴールドラッシュの記憶は観光資源として今に受け継がれています。
中頓別町の文化・風習

方言と話し方の特徴
中頓別町でも話されるのは、おなじみの北海道弁。とても・すごくを意味するなまら(とても・すごく)や、別れぎわのしたっけ(それじゃあ・またね)は日常の言葉です。寒さの厳しい土地だけに「今朝はしばれる(ひどく冷え込む)ね」なんて会話も冬の定番。鉄道のない町では、列車のことを今でも「汽車」と呼ぶ人もいるんですよ。
食卓と季節の暮らし
町の8割が森林で、平野部から雪が消えるのは4月中旬。春の訪れはゆっくりです。夏は砂金掘りやヤマベ釣り、秋にはエノキ茸や落葉きのこが食卓を彩ります。そして冬は氷点下30℃を下回る日もある厳しい寒さ。めんこい(かわいい)子どもたちも、雪と上手につきあいながら暮らしています。
人の気質と地域のつながり
人口1,414人の小さな町だからこそ、顔の見えるつながりが残っています。道の駅やピンネシリ温泉は、地域の人たちが「ここの湯がいいんだよなぁ」と通う憩いの場。困ったときに「なんも、なんも(気にしないで・大丈夫)」と笑ってくれる、そんな温かさが息づく町です。
中頓別町の特産品・食

特産品1:なかとん牛乳
町内で搾乳し、町内で製造している「なかとん牛乳」は、生産量が限られていることから“幻の牛乳”とも呼ばれています(出典:中頓別町公式サイト)。酪農の町ならではの濃厚でやさしい味わいで、これを使ったプリンやフィナンシェも人気。道の駅ピンネシリで買えますよ。一口飲めばなまら(すごく)おいしいのが分かるはずです。
特産品2:はちみつ「彩北の滴」
北緯45度の町で初夏に採れる純粋はちみつ「彩北の滴」も看板特産品です。シナノキのほか、道北ならではのチシマアザミの花から採れるはちみつは、なかでも一番人気。さらりとした甘さで、パンやヨーグルトにかけると食卓が華やぎます。短い夏の恵みが詰まった、この町だからこその味です。
特産品3:砂金ラーメン
砂金の町らしいユニークなお土産が「砂金ラーメン」。黒い麺に金粉をあしらった見た目のインパクトで、人に渡すと話題になること間違いなし。道の駅ピンネシリで手に入る、遊び心たっぷりの一品です。きのこ類や新鮮な野菜と一緒に、町の味をまるごと持ち帰ってみてください。
中頓別町の観光スポット

中頓別町の観光は「金(砂金)」「地形(鍾乳洞・奇岩)」「山と温泉」の3本柱で楽しめます。明治のゴールドラッシュを今に伝える川、日本最北のカルスト地形、そして登山と湯。海のない山あいの町だからこその、ちょっと珍しい体験が待っているんですよ。まずは外せないスポットから順に紹介していきますね。
金と地形を体感するスポット
- ペーチャン川砂金掘体験場 – 明治のゴールドラッシュを起源とする、今も天然の砂金が採れる体験場。営業期間は7月下旬〜8月下旬の9:00〜16:00で、スコップ・ゴールドパン・長靴の道具一式が500円で借りられます(出典:ぐうたび北海道)。川底の砂利をすくってザルで洗うと、底にキラリと光る本物の砂金。見つけた瞬間の「あった!」という歓声が、川辺のあちこちで上がるんですよ。指導員が洗い方のコツを教えてくれるので、子どもでもなまら(とても)楽しめます。
- 中頓別鍾乳洞 – 1933年に発見された日本最北の鍾乳洞で、約2,300万年前の貝殻由来の石灰岩にできた珍しい地形。1958年に北海道指定天然記念物に指定されています(出典:中頓別町公式サイト)。第一洞の入口に立つと、中からひんやりした空気が流れ出してきます。身をかがめて進む狭い通路は、まさに探検気分。なお記録的大雨の被害で、現在は閉園しています。
- 軍艦岩 – 鍾乳洞のある自然ふれあい公園のシンボル。貝殻石灰岩が浸食されて残った卓状の奇岩で、その姿が軍艦に似ていることが名の由来です。岩の上に登ることもでき、水平な層理を間近で観察できます。基部の斜面では例年6月下旬に芝桜が見頃を迎え、ピンクのじゅうたんが奇岩を彩ります。
歴史にふれるスポット
- 中頓別町郷土資料館 – ゴールドラッシュの歴史を再現展示している資料館。1900年(明治33年)にウソタンナイ川支流で採取された、重さ約768gの天然金塊のレプリカが展示されています。これは天然物としては日本一の大きさとされ、間近で見るとその迫力に驚かされます。砂金掘りの道具や当時の暮らしの資料も並び、町の成り立ちを学べる場所です。
山と湯を楽しむスポット
- 敏音知岳(ピンネシリ岳) – 町の中央にそびえる標高704mの秀峰。山頂までは約4km、休憩を入れても2時間ほどで登れる、初心者にも優しい山です。山頂からはオホーツク海、サハリン、利尻富士まで360度の眺望が広がります(出典:ふるなび)。山頂の三吉神社に手を合わせて、遠くの海を眺める時間は格別ですよ。
- ピンネシリ温泉 ホテル望岳荘 – 敏音知岳の麓にある一軒宿の温泉。ナトリウム・マグネシウムを含む炭酸水素塩・塩化物泉で、肌がなめらかになると評判です。道の駅ピンネシリやキャンプ場、コテージが隣接し、旅の拠点にぴったり。なおリニューアルに伴う休業の情報があるため、訪問前に最新の営業状況を確認するのがおすすめです(出典:中頓別町公式サイト)。
- 道の駅ピンネシリ – 敏音知岳の麓にある旅の拠点。営業時間は9:00〜17:30、閉館日は年末年始(12/30〜1/3)です(出典:中頓別町公式サイト)。なかとん牛乳やはちみつ、それを使ったスイーツが並び、お土産探しが楽しい場所。砂金ラーメンなど遊び心のある一品も見つかります。
中頓別町の観光ルート

海のない山あいの町だからこそ、車でのんびり巡るのが中頓別町の正解です。砂金・鍾乳洞・温泉と、ぎゅっと凝縮された見どころを1日でまわるルートも、隣町まで足を延ばす広域ルートも組めます。鉄道は通っていないので、移動はすべて車が前提ですよ。
【車・1日】砂金と地形をめぐる町内満喫ルート
9:00 道の駅ピンネシリ → 9:20 中頓別鍾乳洞自然ふれあい公園 → 11:00 ペーチャン川砂金掘体験場 → 13:30 中頓別町郷土資料館 → 15:00 ピンネシリ温泉(車での移動を想定)
①道の駅ピンネシリ(30分)
→ まずは旅の拠点で情報収集とコーヒーブレイク。朝のうちに立ち寄って一日の計画を整えましょう。
②中頓別鍾乳洞・軍艦岩(90分)
→ ひんやりした洞内と奇岩を散策。午前の涼しい時間帯がおすすめです(※閉園状況は事前確認を)。
③ペーチャン川砂金掘体験場(120分)
→ 夏ならここで砂金掘りに挑戦。川の水がぬるむ昼前後が体験にちょうどいいんですよ。
④郷土資料館(60分)
→ 砂金体験のあとに歴史を学ぶと、日本一の金塊レプリカの見え方が変わります。
⑤ピンネシリ温泉(60分)
→ したっけ(それじゃあ)、一日の締めは温泉でゆっくり。なめらかな湯で旅の疲れを流しましょう。
【車・半日】山と道の駅の癒しルート
9:00 道の駅ピンネシリ → 9:15 敏音知岳登山口 → 13:00 道の駅ピンネシリ(昼食・お土産)
①敏音知岳(往復約3〜4時間)
→ 標高704mの山頂を目指します。眺望が開ける晴れた午前中が狙い目です。
②道の駅ピンネシリ(60分)
→ 下山後はなかとん牛乳やはちみつスイーツで一息。歩いたあとの一杯は格別です。
【車・1日】広域ルート:宗谷南部の自然をつなぐ旅
9:00 中頓別町(道の駅ピンネシリ) → 9:40 浜頓別町クッチャロ湖 → 午後 中頓別町に戻り鍾乳洞・温泉(車での移動を想定)
①道の駅ピンネシリ(30分)
→ 朝に拠点を出発。隣町への移動前に腹ごしらえを。
②隣町・浜頓別町方面(午前)
→ 水鳥が集まるクッチャロ湖など、海に面した隣町の自然へ。中頓別とはまた違う宗谷の表情が見られます。
③中頓別町に戻って鍾乳洞・軍艦岩(午後)
→ 午後は再び中頓別へ。山と地形の町ならではの景観を堪能します。
④ピンネシリ温泉(夕方)
→ 一日の終わりは温泉で。広域を走った疲れもゆっくり癒せますよ。
中頓別町の年間イベント

中頓別町のお祭りは、どれも「自然とともに楽しむ」気持ちにあふれています。短い夏は暑さを、厳しい冬は寒さを逆手にとって。手作りで素朴な催しが多いのも、小さな町ならではの温かさです。季節ごとに見ていきましょう。
初夏:敏音知岳山開き・中頓別鍾乳洞芝桜まつり
6月になると登山シーズンの幕開けを告げる「敏音知岳山開き」が開かれ、町内外から多くの登山愛好家が集まります。例年、特産品の出店や登山マラソン大会も同時開催されます(出典:中頓別町公式サイト)。また6月上旬には「中頓別鍾乳洞芝桜まつり」が予定され、軍艦岩一帯のピンクの芝桜を舞台に歌謡ショーなどが行われます(※近年は工事・荒天により中止となる年もあります)。
夏:砂金まつり・北緯45度夏まつり
夏のハイライトは、毎年8月中旬にペーチャン川で開かれる「砂金まつり」。無料の砂金掘り体験や砂金掘り競争で、会場は一攫千金を夢見る歓声に包まれます(出典:ぐうたび北海道)。さらに8月上旬には「北緯45度夏まつり」が天北線メモリアルパークで開催され、ふるさと音頭踊りや花火大会、ユニークな国際むかで競争で町全体が熱気に包まれます。夏の夜空を彩る花火はなまら(とても)きれいなんですよ。
冬:北緯45度しばれまつり
一年で最も寒さが厳しい1月最終土曜日には「北緯45度しばれまつり」が開かれます(出典:中頓別町公式サイト)。大小の雪像が立ち並ぶ会場で、カンジキむかで競争などの催しが行われ、夜にはファンタジックな冬花火が雪原を染め上げます。氷点下の空気の中で見上げる花火は、しんと澄んだ寒さ(地元で言うしばれる=ひどく冷え込む)があるからこその美しさです。
中頓別町のエリア別の顔

中頓別町は、頓別川沿いに広がる中心市街、国道275号沿いの敏音知エリア、そして山あいの自然エリアという、おおまかに3つの顔を持っています。海はないけれど、川と山と森がそれぞれの表情をつくる町。旅の目的によって、立ち寄るエリアを選ぶといいですよ。
中頓別市街エリア──町の歴史が息づく中心地
頓別川沿いに開けた中心市街は、町役場や郷土資料館、商店が集まるエリア。かつてゴールドラッシュで8千人超が暮らした集落の名残が、今は静かな町並みに変わっています。歴史を学びたい人、町の暮らしの空気を感じたい人にぴったりです。銭湯「黄金湯」など、地元の人が通う場所も点在しています。
敏音知エリア──旅の拠点が集まる玄関口
国道275号沿いの敏音知エリアは、道の駅ピンネシリやピンネシリ温泉、オートキャンプ場が集まる旅の拠点。敏音知岳の登山口もここにあります。ドライブやツーリングの休憩、宿泊、登山の起点として使い勝手がよく、「まずここさ(ここに)寄ってから動こう」という旅の起点に向いたエリアです。
旭台・自然エリア──地形と砂金にふれる森の一帯
中頓別鍾乳洞や軍艦岩のある旭台、そして砂金掘りのペーチャン川を含む山あいの一帯は、町の自然を満喫できるエリアです。森に囲まれた静かな環境で、地学や地形に興味がある人、川遊びやアウトドアを楽しみたい人におすすめ。落ち葉が清流に流れる秋の静けさも、なかなか味わい深いんですよ。
中頓別町の気候・季節の暮らし

中頓別町は、北緯45度近くに位置する内陸の町。気候区分は亜寒帯湿潤気候で、寒暖の差が大きいのが特徴です。年平均気温は5.3℃、平年値で真冬日は81.9日、冬日は177.1日にのぼります(出典:中頓別町(気象庁平年値による))。一年の約半分が冬日という、なかなか厳しい土地なんですよ。
降雪量も多く、年平均降雪量は886cmに達し、特別豪雪地帯に指定されています。海はなくても、山あいゆえの冷え込みと雪が暮らしを形づくる町です。
夏──7月〜8月の暮らし
短い夏は、内陸らしくしっかり暑くなる日もあります。観測史上の最高気温は35.8℃を記録したこともあるほど。とはいえ夜は涼しく、エアコンなしで過ごせる日が多いのが道北の夏です。砂金掘りや登山が楽しめる、一年で最も外が賑わう季節ですよ。
秋──9月〜10月の暮らし
秋は駆け足でやってきます。9月には朝晩がぐっと冷え込み、紅葉とともに冬支度が始まります。ペーチャン川に落ち葉が流れる静かな風景は、夏の喧騒とはまた違った趣。10月下旬には初雪の便りが届くこともあり、暖房の準備は早めが安心です。
冬──11月〜3月の暮らし
冬の中頓別は本気です。氷点下30℃を下回る日も珍しくなく、過去には-35.9℃という記録もあります(出典:中頓別町(気象庁平年値による))。地元で言うしばれる(厳しく冷え込む)日が続き、朝は空気が痛いほど。雪かきと暖房は冬の暮らしの必需で、車は冬タイヤと暖機運転が欠かせません。その分、澄んだ夜空の星はため息が出るほどきれいなんですよ。
春──4月〜5月の暮らし
平野部から雪が消えるのは4月中旬ごろ。春の訪れはゆっくりです。雪解け水で頓別川が勢いを増し、5月になるとようやく木々が芽吹きます。6月には軍艦岩の芝桜が見頃を迎え、長い冬を越えた町が一気に色づきます。
中頓別町の移住・暮らし情報

人口1,414人の中頓別町は、自然の中で子育てをしたい家族や、いなか暮らしを体験したい人に向けた移住メニューを用意しています。家族体験留学や空き家バンク、転入時のお祝い支援など、小さな町ならではの手厚さがあるんですよ(出典:中頓別町くらしとしごとの相談窓口)。住む現実を順に見ていきましょう。
通勤・通学
町内には役場、国保病院、森永乳業の支所、JAなどの職場があり、町内勤務の人が中心です。鉄道が通っていないため、通勤・通学はもっぱら車。冬の通勤は除雪と路面凍結を計算に入れる必要があり、車は生活の生命線と言えます。
住宅環境
住まいは町有住宅(公営住宅)や民間賃貸、空き家バンクの物件が中心です。賃貸物件の流通量自体が少ないため、家賃相場の公開データは限られています。空き状況や家賃は、中頓別町くらしとしごとの相談窓口に問い合わせる形が現実的と考えられます(出典:中頓別町くらしとしごとの相談窓口)。
買い物環境
日用品は町内の商店や、道の駅ピンネシリで揃います。ただし大型のショッピング施設は町内にないため、まとまった買い物は隣町や名寄・旭川方面まで足を延ばす人が多いと考えられます。日常はこまめに、大物はドライブがてら、という暮らし方が現実的です。
子育て・教育
町内にはこども園、小学校、中学校があります。さらに令和8年(2026年)には、幼小中一貫の義務教育学校「中頓別学園」の開校が予定されています(出典:中頓別学園)。雪の結晶やペーチャン川、ピンネシリ山など、町の自然をモチーフにした新しい制服も子どもたちと一緒に考えられ、地域ぐるみで子どもを育てる土壌があります。
医療環境
町内には中頓別町国民健康保険病院(国保病院)があり、日常の医療をカバーしています。中頓別町では中学生までの入院・通院にかかる保険適用医療費を全額助成しており、子育て世帯にとっては心強い制度です(出典:中頓別町公式サイト)。高度・専門的な医療は、名寄など近隣都市の病院と連携する形になります。
エリア別の暮らし視点
中盤では旅する視点で紹介したエリアを、住む視点で見るとこうなります。中頓別市街は役場・病院・商店・学校が集まり、生活導線が短く暮らしやすいエリア。敏音知エリアは道の駅や温泉が近く、自然のそばで暮らしたい人向き。旭台や山あいの一帯は、より静かな環境を求める人に向いていると考えられます。
中頓別町へのアクセス

中頓別町は鉄道が通っていない町のため、アクセスの基本は車か都市間バスです。札幌からは約5時間、旭川からは約3時間の道のり(出典:中頓別町公式サイト)。遠いぶん、たどり着いたときの旅情はひとしおですよ。
車でのアクセス
町の中央を国道275号が縦断しており、車移動が最もスムーズです。道央自動車道の士別剣淵ICからは国道40号で音威子府村へ、そこから国道275号を浜頓別方面へ進むルートが一般的。士別剣淵ICから道の駅ピンネシリまでは約103kmです(出典:まっぷるウェブ)。冬季は積雪・凍結があるため、時間に余裕を持った運転がおすすめです。
鉄道+バスでのアクセス
鉄道利用の場合、最寄りはJR宗谷本線の音威子府駅です。音威子府からは都市間バス「えさし号」または「天北号」を利用します。札幌方面からは、音威子府で天北号に乗り継ぐルートになります(出典:中頓別町公式サイト)。なお天北号・えさし号は事前電話予約が必要な区間があるため、宗谷バスへの事前確認が安心です(出典:宗谷バス株式会社)。
飛行機でのアクセス
遠方からは空路が便利です。新千歳空港や旭川空港、稚内空港を起点に、レンタカーでの移動が現実的と考えられます。特に稚内空港からは比較的距離が近く、宗谷地方の観光と組み合わせやすいルートです。空港でレンタカーを借りて南下するのが、町内観光も含めて動きやすい方法です。
町内移動の現実的アドバイス
町内に鉄道はなく、路線バスも限られるため、観光でも移住でも車があると安心です。中頓別町と浜頓別町の間では、前日予約制のデマンドバス(中頓別浜頓別線)も運行しています(出典:中頓別町公式サイト)。レンタカーを早めに手配しておくと、砂金掘りや鍾乳洞、温泉をスムーズにつなげられますよ。
【地元住民に直撃!】中頓別町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
夏の間、ペーチャン川の砂金掘体験場で指導員をしております。道具の使い方を教えたり、洗い方のコツを伝えたりするのが仕事ですね。
砂金が一粒でも見つかると、お客さんの顔がぱあっと明るくなるの。「あった!」っていう声を聞くのが、なんぼ働いても飽きない理由かもしれませんね。
Q2.中頓別町に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
やっぱり中頓別鍾乳洞と軍艦岩は外せません。観光の顔ですし、貝殻からできた鍾乳洞なんて、ここにしかないものですから。今は大雨の被害で休んでるのが�, しょうしいんですけどね。
あとは地元の者として、敏音知岳に登ってほしい。町の水源にもなってる山で、頂上からオホーツク海まで見えるの。澄んだ空気の中、誰もいない山道を歩くと心がしんと整いますよ。
Q3.中頓別町でお土産を買うとしたらなんですか?
道の駅ピンネシリで買える「なかとん牛乳」とはちみつですね。牛乳は数が少なくて幻なんて言われてますけど、町の有名なもので間違いないです。
地元の者がこっそり好きなのは、チシマアザミのはちみつ。道北の花からしか採れない味でね。あと砂金ラーメンは、人にあげると話の種になるから面白いですよ。
Q4.外から人が来たときに、中頓別町でまず連れていく店はどこですか?
うちは食事のお店が多い町でないもんですから、まず道の駅ピンネシリに連れていきます。牛乳のプリンやスイーツを食べてもらうと、みんな喜んでくれてね。
それから町なかの黄金湯。古い銭湯ですけど、地元の人がのんびり通う場所でね。観光客が少ない夕方に行くと、町の素の暮らしが見えるんですよ。
Q5.中頓別町はどんな気質だと思いますか?
派手なことは好まないけど、芯はあったかい人が多いですね。困ってる人がいたら「なんも、なんも」って自然に手を貸す。小さい町だから、顔が見える付き合いが残ってます。
厳しい冬を毎年越してきた土地ですから、辛抱強くて、お互いさまの気持ちが根っこにあるの。観光で来た方にも、わりとすっと打ち解けますよ。
Q6.昔に比べて、中頓別町の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言えば、人はずいぶん減りました。鉄道がなくなって、汽車の窓口も閉まって、町から賑わいが一つ消えたのは寂しいですね。学校も統合されてね。
ただね、砂金まつりやしばれまつりは今も町民総出で盛り上がるの。歴代の町長さんや町民センターに集まる人らが、知恵を出し合って灯を絶やさんようにしてますよ。
Q7.中頓別町のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
一番楽しみなのは、令和8年に開校する義務教育学校「中頓別学園」ですね。こども園から中学まで一緒の、町ぐるみで子どもを育てる新しい拠点でね。
制服に町の自然をあしらったり、子どもらが自分で考えて作ったのが嬉しくて。運動公園や観光のにぎわいも合わせて、若い家族がまた増えてくれたら、と願ってますよ。

