浜中町(はまなかちょう)は、北海道東部・釧路総合振興局管内の厚岸郡にある、太平洋に面した人口5,146人の町です。釧路市と根室市のほぼ中間に位置し、町の中心は霧多布(きりたっぷ)地区にあります。
浜中町の見どころを5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 霧多布湿原──ラムサール条約に登録された「花の湿原」、面積約3,168ヘクタール
- ✅ 霧多布岬(湯沸岬)──野生のラッコが繁殖する、国内でも貴重な岬
- ✅ 『ルパン三世』モンキー・パンチの故郷──町じゅうにルパンがあふれる「聖地」
- ✅ 天然昆布──太平洋沿岸67kmで採れる、全国でも有数の昆布の産地
- ✅ ハーゲンダッツの原料牛乳──乳牛が人口の4倍以上いる「酪農のまち」
「自然や野生動物を間近で感じたい旅行者」「ルパン三世ファン」「海の幸・乳製品好き」に特におすすめの町です。本記事では、湿原と岬の絶景、昆布や酪農の産業、津波と復興の歴史、道東の暮らしの空気感まで、地元目線で順に紹介していきます。
| 人口 | 5,146 人 ※2026年4月30日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 423.12 km² |
| 人口密度 | 12.2 人/km² |
地理的には、西は厚岸町、北は別海町、東は根室市に接し、南東は太平洋に面して霧多布半島を形成しています(出典:浜中町公式サイト)。釧路市からは約80km、根室市からは約64kmの位置です。
町の中央を国道44号とJR根室本線が東西に走り、たんちょう釧路空港からは車で約2時間、根室中標津空港からは約70kmでアクセスできます(出典:浜中町公式サイト)。
湿原・岬・昆布・酪農・アニメと、小さな町に「世界に知られる顔」がいくつも詰まっています。ひとつずつ見ていきましょう。
浜中町の推しポイント

浜中町の魅力は、大きく「海と湿原の自然」「一次産業の豊かさ」「アニメ文化」の3本柱に整理できます。ラムサール条約湿地の霧多布湿原、ラッコが暮らす霧多布岬、日本有数の昆布、ハーゲンダッツの原料にもなる牛乳、そして『ルパン三世』の世界。ここからは、その一つひとつを少しだけ掘り下げていきます。
推しポイント1:霧多布湿原──ラムサール条約の「花の湿原」
浜中町の中央に広がる霧多布湿原は、面積約3,168ヘクタールの広大な湿原です。1993年6月10日にラムサール条約の登録湿地となり、2001年には北海道遺産にも選定されました(出典:環境省)。中央部の泥炭地は「霧多布泥炭形成植物群落」として国の天然記念物に指定されています。春から秋にかけて約300種ともいわれる花が咲き、「花の湿原」とも呼ばれているんですよ。
推しポイント2:霧多布岬とラッコ──野生のラッコに会える岬
霧多布半島の東端にある霧多布岬(正式名称は湯沸岬)は、切り立った断崖から太平洋を見渡せる絶景スポットです。近年この周辺に野生のラッコが住み着き、繁殖も確認されている、国内でも数少ない場所として知られています。双眼鏡を持っていけば、波間で背泳ぎする姿に出会えるかもしれません。霧の名所だけあって、運が良ければ霧が晴れた瞬間の絶景も楽しめます。
推しポイント3:『ルパン三世』モンキー・パンチの故郷
『ルパン三世』の原作者モンキー・パンチさんは、1937年に浜中町の漁師の家に生まれました。町には「ルパン三世通り」やキャラクターをあしらった街灯、ラッピング車両などがあふれ、ファンにはたまらない「聖地」になっています。2012年からは毎年秋に「ルパン三世フェスティバル in 浜中町」が開かれており、2025年は9月27・28日に開催されました(出典:浜中町・ルパン三世 宝島プラン)。
推しポイント4:天然昆布──太平洋沿岸67kmの恵み
海の浜中町を語るうえで欠かせないのが昆布です。太平洋沿岸67kmにおよぶ海域で天然昆布が採れ、全国の水揚量のおよそ1割を占める、日本有数の産地となっています(出典:浜中漁業協同組合)。長昆布・厚葉昆布・猫足昆布など、種類ごとに使い道が分かれているのも特徴です。
推しポイント5:ハーゲンダッツの原料牛乳を生む酪農のまち
北部の内陸部は、乳牛が人口をはるかに上回る「酪農王国」。地域の生乳生産量は年間10万トンを超え、その高品質な生乳は高級アイスクリーム「ハーゲンダッツ」の原料にも使われています(出典:JA浜中町)。町内にはタカナシ乳業の北海道工場もあり、酪農と乳業が町の暮らしを支えています。
浜中町の歴史

浜中町は「海から開かれたまち」です。江戸時代に交易の拠点として始まり、明治以降は漁業と酪農で発展しました。一方で太平洋に面した立地ゆえに幾度も津波に襲われ、そのたびに復興を遂げてきた歴史があります。大きく「場所の開設」「漁業と酪農の発展」「津波と復興」の3段階で見ていきます。
場所の開設から町の成り立ちへ
1701年(元禄14年)、厚岸場所を分割してキイタップ場所(後の霧多布場所)が開かれたのが町の始まりです(出典:浜中町公式サイト)。1869年(明治2年)には現在の榊町に漁民が定住し、漁業が本格的に始まりました。港に適さない地形だったため、町の中心はのちに霧多布へと移っていきました。
近代の開拓と発展
1906年(明治39年)に近隣の村々が合併して浜中村となり、二級町村制が施行されました。1919年(大正8年)には国鉄根室本線が開通し、一級町村制を施行。昭和に入ると茶内原野を中心に高度集約酪農経営地帯の指定を受け、現在につながる酪農経営が本格化しました(出典:浜中町公式サイト)。
津波と復興──町の今を作った出来事
1952年(昭和27年)の十勝沖地震津波、1960年(昭和35年)のチリ地震津波で、村は二度にわたり壊滅的な被害を受けました。この経験から海岸沿いに総延長17kmにおよぶ防潮堤が築かれ、全国初の津波防災ステーションも設けられています。1963年(昭和38年)に町制を施行して浜中町となり、2021年(令和3年)には津波浸水を避けて高台の湯沸に新庁舎が開庁しました。
浜中町の文化・風習

方言と話し方の特徴
浜中町をふくむ北海道の漁村では、漁師町らしい「浜言葉」と呼ばれる言葉づかいが聞かれます。日常会話では、北海道全域で使われる方言も耳にしますよ。たとえばなげる(捨てる)、うるかす(水に浸しておく)、こわい(疲れた・だるい)、したっけ(それじゃあ/そうしたら)、ちょす(触る・いじる)など。標準語と形が同じでも意味が違う言葉があるので、初めて聞くと戸惑うかもしれません。
霧とともにある暮らし
夏でも濃い霧が立ちこめ、気温があまり上がらないのがこの町の気候です。「霧多布」という地名そのものが、その風土をよく表していますよね。冬は氷点下20℃前後まで冷え込む日も珍しくない豪雪地帯。みなさんが訪れるなら、夏でも一枚多めに羽織るものを持っていくと安心です。霧が晴れた瞬間に広がる湿原や海の景色は、この地ならではのごほうびです。
人の気質と地域のつながり
漁業と酪農という一次産業に支えられてきた町だけあって、海と大地に根ざした堅実な暮らしが息づいています。津波からの復興を地域全体で成し遂げてきた歴史もあり、人と人とのつながりの強さが感じられます。ルパン三世フェスティバルのような町ぐるみの取り組みも、そうした地域の結びつきがあってこそ続いているのだと思います。
浜中町の特産品・食

特産品1:天然昆布
うまみの濃い出汁がとれる天然昆布は、浜中町を代表する味です。太平洋沿岸67kmの海域で採れ、全国の水揚量のおよそ1割を占める産地となっています(出典:浜中漁業協同組合)。漁は夏の限られた期間だけ。煮物に使う早煮昆布や、ご飯が進む昆布しょうゆなど加工品も豊富で、お土産にもぴったりですよ。
特産品2:浜中養殖うに
昆布の豊かな海は、それを餌にするウニにとっても最適な環境です。「浜中養殖うに」のブランド名で評価が高まり、令和5年(2023年)には地理的表示(GI)保護制度に登録されました(出典:北海道)。良質な昆布で育つだけあって、甘みと濃厚なうまみが楽しめます。旬に合わせて訪れたら、ぜひ味わってみてください。
特産品3:ハーゲンダッツを生む牛乳・乳製品
乳脂肪分の高い濃厚な牛乳は、浜中町の自慢のひとつ。地域の生乳はハーゲンダッツの原料に採用されているほどの品質です(出典:JA浜中町)。地元の「コープはまなか」では、その牛乳を使ったソフトクリームが人気。せっかくなら、産地でしか味わえない一杯をどうぞ。
特産品4:毛ガニ「霧幻」
霧多布で水揚げされる毛ガニのなかでも、900gを超える超特大級はめったに獲れないことから「霧幻(むげん)」と名づけられたブランド品です(出典:浜中漁業協同組合)。身がぎっしり詰まった毛ガニは、ゆでてそのまま食べるのが王道。冬の食卓を彩る、まさに「幻」のごちそうです。
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浜中町の観光スポット

浜中町の見どころは、太平洋に突き出た岬の絶景、花が咲き乱れる湿原、そして町じゅうに広がる『ルパン三世』の世界の3つに大きく分かれます。霧多布半島はコンパクトなので、車があれば岬から湿原までを一日で回りきれますよ。ここでは、序盤の推しポイントで触れたスポットを、もう少し近くから見ていきます。
海と岬の絶景スポット
- 霧多布岬(湯沸岬) – 太平洋に突き出た断崖の岬で、先端には湯沸岬灯台が立ちます。この灯台は2016年に「恋する灯台」に認定され、映画『ハナミズキ』やドラマ『Eye Love You』のロケ地にもなりました(出典:浜中町観光協会)。近年は周辺に野生のラッコが住み着いていて、波間で背泳ぎする姿を探すのが定番の楽しみ方です。風が強く冷えるので、夏でも一枚羽織るものを。
- アゼチ岬 – 霧多布半島の西の端にある岬。琵琶瀬湾に浮かぶ小島やゴメ島、嶮暮帰島(けんぼっきとう)を一望できます。昆布漁の最盛期には、早朝に昆布船が一斉に出ていく風景が見られることも。夕暮れどきの落日がとても美しいので、夕方に立ち寄るのもおすすめですよ。
- 琵琶瀬展望台 – 蛇行する川と霧多布湿原を見下ろし、振り返れば太平洋が広がる高台です。湿原の全体像を空から眺めるように見渡せるので、まずここで地形をつかんでから散策に向かうと、湿原の大きさが体で分かります。
湿原を体感するスポット
- 霧多布湿原 – 面積約3,168ヘクタールの広大な湿原で、5〜9月にかけてワタスゲやヒオウギアヤメ、ハマナスなど多彩な花が咲く「花の湿原」です。ラムサール条約登録湿地で、中央部は国の天然記念物に指定されています。木道を歩くと、足元の花と遠くの山並み、渡り鳥の声に包まれます。
- 霧多布湿原センター – 湿原の高台に建つ拠点施設。開館は9:00〜17:00で、5〜9月は無休、10〜4月は火曜休館、1/2〜1/31は冬季休館です(出典:霧多布湿原センター)。展示で湿原の仕組みを学べるほか、2階のカフェからは湿原を眺めながらひと息つけます。長靴を借りてのトレッキングや、季節ごとのエコツアーも楽しめますよ。
ルパン三世の世界に浸るスポット
- モンキー・パンチ・コレクション – 浜中町総合文化センター内にある、原作者モンキー・パンチさんの展示施設です。入場無料で、月曜休館。公開時間は季節によって変わります(出典:浜中町・ルパン三世 宝島プラン)。仕事部屋を再現した「AGIT」や複製原画、年表など、ファンならずとも見入ってしまう展示が並びます。
- ルパン三世通り – 霧多布市街にある通りで、街灯やバス、ハイヤーにまでルパン一味が登場します。歩いているだけでキャラクターに次々出会えるので、カメラを片手に散歩するのが楽しいんですよ。
- ルパン三世の湯 霧多布温泉ゆうゆ – 標高約42mの高台にある町営の日帰り温泉。2026年4月20日、施設まるごと『ルパン三世』をテーマにした「ルパン三世の湯 霧多布温泉ゆうゆ」へとリブランドされました(出典:ルパン三世の湯 霧多布温泉ゆうゆ)。入浴料は大人500円、小学生250円、未就学児無料、年中無休、入浴受付は午前10時〜午後9時です。露天風呂からは太平洋と湿原を見渡せ、湯あがりには名物の昆布ソフトや濃厚な牛乳をどうぞ。
浜中町の観光ルート

霧多布半島は岬から岬まで車で10〜20分ほどと近く、半日あれば主要スポットを回れます。ここでは、自然をたっぷり味わう一日コース、ルパン三世に浸る半日コース、そして釧路市や根室市まで足を延ばす広域コースの3つを紹介します。
【車・1日】岬と湿原をめぐる 浜中まるごとルート
9:00 霧多布湿原センター → 10:30 琵琶瀬展望台 → 11:30 霧多布岬 → 13:00 昼食 → 14:30 アゼチ岬 → 15:30 ルパン三世の湯 霧多布温泉ゆうゆ(各移動10〜20分)
①霧多布湿原センター(60分)→ まずここで湿原の全体像と見どころを予習。展望ホールからの眺めで気持ちが高まります。
②琵琶瀬展望台(30分)→ 蛇行する川と湿原を一望。午前の光で見るのがおすすめです。
③霧多布岬(60分)→ 断崖の遊歩道を灯台へ。双眼鏡を構えてラッコ探しを楽しみましょう。
④アゼチ岬(40分)→ 午後の光で島々と海岸線を眺めます。夕方まで粘れば落日も。
⑤ルパン三世の湯 霧多布温泉ゆうゆ(90分)→ 一日の締めは絶景温泉で。冷えた体を芯から温めて、昆布ソフトでひと休み。
【車・半日】ルパン三世 聖地めぐりルート
10:00 浜中町総合文化センター → 11:00 ルパン三世通り → 12:00 ルパン三世の湯 霧多布温泉ゆうゆ → 13:30 JR浜中駅(各移動5〜20分)
①モンキー・パンチ・コレクション(60分)→ 浜中町総合文化センター内の展示で、ルパン誕生の背景にじっくり浸ります。
②ルパン三世通り(40分)→ 街なかを歩いて、街灯や車に潜むキャラクターを探します。記念写真にぴったり。
③ルパン三世の湯 霧多布温泉ゆうゆ(90分)→ 浴室もBGMもルパン一色。昼食と入浴をまとめて楽しめます。
④JR浜中駅(20分)→ ルパンの装飾が施された無人駅。鉄道好きにもうれしい締めくくりです。
【車・1日】広域ルート:釧路〜浜中〜根室
8:00 釧路市 → 9:30 厚岸 → 10:30 霧多布湿原 → 12:00 霧多布岬・昼食 → 15:00 根室方面(各移動40〜90分)
①厚岸(60分)→ 浜中町の西隣、牡蠣で知られる港町。海の幸で旅のエンジンをかけます。
②霧多布湿原(60分)→ 道東らしい大湿原をひと歩き。木道で渡り鳥の声を聴きます。
③霧多布岬(90分)→ 昼食をはさみつつ、灯台とラッコの絶景をゆっくり堪能。
④根室方面(半日)→ 東隣の根室市へ。最東端の風景まで足を延ばすと、道東を横断した実感がわきます。
浜中町の年間イベント

浜中町のイベントは、春の桜と秋の祭りが二大シーズンです。海の幸が主役の祭りと、全国からファンが集まるルパンの祭典がどちらも秋に重なり、町がいちばん賑わいます。季節ごとに見ていきましょう。
春:はまなか桜まつり
ぜひ訪れてみてほしいのが、5月ごろに浜中町桜公園で開かれる「はまなか桜まつり」です(出典:浜中町観光協会)。全国でも遅い時期の開花で、約1,200本の桜が一斉に咲きます。夜桜のライトアップや地場の食の屋台もあり、地域のボランティアが運営する温かい雰囲気が魅力なんですよ。
秋:きりたっぷ岬まつり/ルパン三世フェスティバル
「きりたっぷ岬まつり」は10月ごろに開かれる、海産物が主役の祭りです(出典:浜中町観光協会)。ステージショーやキッチンカーで賑わい、普段は入れない湯沸岬灯台が特別開放されることも。岬ではラッコウォッチングも楽しめます。
同じ秋には「ルパン三世フェスティバル in 浜中町」も開かれます。2012年から続くイベントで、2025年は9月下旬に開催されました(出典:浜中町・ルパン三世 宝島プラン)。声優によるトークショーやアフレコ実演、限定グッズなど、ここでしか味わえない熱気に包まれます。
冬:静かな季節とラッコ観察
冬の浜中町は氷点下20℃前後まで冷え込む厳しい季節で、大きな祭りはありません。ただ、その分だけ岬や湿原は静けさに包まれ、雪化粧した景色が広がります。野生のラッコは秋から冬にかけてが観察の好機なので、防寒をしっかりして岬に立つと、冬ならではの出会いがあるかもしれませんよ。
浜中町のエリア別の顔

浜中町は、観光と役場の集まる「霧多布」、酪農がさかんな内陸の「茶内」、駅のある「浜中」、漁港の「散布」と、エリアごとに表情がはっきり分かれています。旅の目的に合わせて拠点を選ぶと動きやすいので、それぞれの顔を紹介しますね。
霧多布エリア──岬・湿原・ルパンが集まる旅の中心
町役場や総合文化センター、温泉が集まる中心地です。岬・湿原・ルパン展示・温泉が半島の中にぎゅっと収まっているので、観光の拠点にするならまずここ。海霧が晴れた瞬間の景色は格別で、写真を撮りたい人にも向いています。
茶内(ちゃない)エリア──酪農と乳製品を味わう内陸
北部の内陸に広がる酪農地帯で、JA浜中町の拠点もこのあたりです。濃厚な牛乳やソフトクリームを味わいたい人にぴったりのエリア。牧草地がどこまでも続く風景は、いかにも道東らしい雄大さがあります。ドライブの途中に立ち寄って、産地ならではの一杯を楽しんでみてください。
浜中エリア──鉄道で訪れる内陸の玄関口
JR花咲線の浜中駅があるエリアで、町名の発祥にもつながる場所です。鉄道で来る旅行者にとっての玄関口で、駅にはルパンの装飾も。のんびりとした内陸の集落の空気を感じながら、ここから岬や湿原へと向かう旅の起点になります。
散布(ちりっぷ)エリア──海の幸が水揚げされる漁港
太平洋に面した漁港のエリアで、昆布やウニ、カニなどが水揚げされます。海沿いを走ると、漁の風景や干場に並ぶ昆布が見られることも。新鮮な海の幸を求める人や、漁師町の暮らしの空気に触れたい人におすすめのエリアです。
浜中町の気候・季節の暮らし

浜中町の年平均気温は5.8℃です(出典:気象庁/榊町の1991〜2020年平年値)。夏は涼しく冬は厳しい、典型的な道東の太平洋側の気候です。海から流れ込む霧と、氷点下まで冷え込む冬が、この町の暮らしのリズムを決めています。季節ごとに見ていきましょう。
夏──霧に包まれる涼しい季節
夏でも8月の平均最高気温は21℃ほどで、蒸し暑さとは無縁です(出典:気象庁)。この時期は海霧(ガス)が発生しやすく、昼でもひんやりと感じる日が続きます。本州の猛暑を逃れて過ごすには心地よい一方、洗濯物が乾きにくかったり、霧で見通しがきかなかったりと、海辺ならではの不便もありますよ。
秋〜冬──寒さが深まり、ラッコが現れる季節
冬は1月の平均最低気温が-11℃ほどまで下がり、-20℃前後を記録することも珍しくありません。過去には-26℃の記録もあります(出典:気象庁)。豪雪地帯に指定されており、暖房と防寒は暮らしの必需品です。一方でこの季節は岬で野生のラッコを観察する好機でもあり、厳しい寒さの中に楽しみもあります。
春──遅い雪どけと桜
春の訪れはゆっくりで、桜が満開を迎えるのは5月ごろ。全国でもかなり遅い開花です。雪どけとともに霧多布湿原が緑づき、5月から花のシーズンが始まります。春先はまだ風が冷たく強い日が多いので、上着を一枚多めに持っておくと安心して過ごせます。
浜中町の移住・暮らし情報

人口5,146人の浜中町は、酪農と漁業に支えられた一次産業の町です。生活の拠点は霧多布・茶内・浜中の各市街に分かれ、車があれば日常の用事はおおむね町内で完結します。「ここで暮らすとどんな感じか」を、項目ごとに見ていきますね。
通勤・通学
働く人の多くは、酪農や漁業、水産加工、役場や農協などの地元の仕事に就いています。通勤は車が基本で、牧草地や海沿いの道を走る日常です。高校は町内にありますが、進学や専門的な通学では釧路市方面に出る人もいます。
住宅環境
戸建て住宅や町営住宅が中心で、賃貸アパートの数は多くありません。移住を考えるなら、早めに役場や地元の不動産情報を当たっておくのがおすすめです。なお浜中町は酪農の新規就農の受け入れに長く取り組んでおり、研修牧場を通じてこれまでに40組以上の新規就農者を迎えています(出典:JA浜中町)。
買い物環境
日常の買い物は、地元スーパー「コープはまなか」などが中心です。ここでは道内では珍しいタカナシ乳業の製品も手に入り、名物のソフトクリームも味わえます。大型店でのまとめ買いには釧路市方面へ出る人も多く、車での買い出しが生活の一部になります。
子育て・教育
町内には小学校・中学校が霧多布・茶内・浜中に、散布には小中学校があり、高校は町立の北海道霧多布高等学校があります(出典:浜中町公式サイト)。小さな町ならではの少人数で、地域に見守られながら学べる環境です。保育所も町立で運営されています。
医療環境
医療の中心は、内科・外科・小児科のある浜中町立浜中診療所です(出典:浜中町公式サイト)。歯科診療所や特別養護老人ホーム「野いちご」もあります。かつてドラマ『プロジェクトX』で「霧の岬 命の診療所」として描かれた、地域医療を大切にしてきた歴史を持つ町でもあります。高度な治療が必要なときは釧路方面の病院へ向かうことになります。
エリア別の暮らし視点
暮らしの拠点としては、役場・診療所・温泉が集まる霧多布が便利です。酪農地帯の茶内は牧場と農協が近く、就農を目指す人に向いています。浜中は鉄道駅のある内陸の集落、散布は漁業が中心のエリア。生活導線をどこに置くかで、町の表情がずいぶん変わりますよ。
浜中町へのアクセス

浜中町は釧路市と根室市のほぼ中間にあり、道外からは釧路空港を経由するのが一般的です。鉄道も通っていますが本数が限られるため、現実的には車での移動が中心になります。手段ごとに見ていきましょう。
車でのアクセス
釧路市から約80km・車で約90分、隣の厚岸町からは約35km・約40分です(出典:ルパン三世の湯 霧多布温泉ゆうゆ)。札幌市からは道東自動車道阿寒IC経由で約380km・約5時間30分と、かなりの長距離になります。町内は道が空いているので運転はしやすいですよ。
鉄道+バスでのアクセス
鉄道はJR花咲線(根室本線)の浜中駅・茶内駅が使えます(出典:JR北海道)。釧路市から普通列車でおよそ1時間40分以上かかり、1日の本数も限られます。バスは釧路市から厚岸町までくしろバス、厚岸から町内へは町営バスを乗り継ぎますが、町営の霧多布厚岸線は土日祝が運休なので注意してください(出典:浜中町公式サイト)。
飛行機でのアクセス
最寄りはたんちょう釧路空港で、町までは約100km・車で約2時間です。根室中標津空港からは約70kmです(出典:浜中町公式サイト)。東京方面からは羽田〜釧路の空路を使い、空港でレンタカーを借りて向かうのがスムーズです。
町内移動の現実的アドバイス
岬・湿原・市街が点在しているので、町内をしっかり楽しむなら車が前提と考えておきましょう。鉄道やバスで来る場合は、空港や釧路でレンタカーを借りておくと、岬めぐりも温泉もぐっと回りやすくなりますよ。
【地元住民に直撃!】浜中町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
昆布漁師をやっています。夏のほんの何日か、海の様子を見ながら船を出して、ナガコンブを採るんですよ。浜中の昆布は全国でも名の知れたもので、それを採って干す仕事に長く携わってきました。
朝早くから天気と波と相談しての仕事だから、楽ではないですよ。でも、自分の採った昆布が遠くの人の食卓に届くと思うと、やっぱり誇らしいものです。
Q2.浜中町に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
やっぱり霧多布岬ですね。断崖の先に灯台が立っていて、運がよければ野生のラッコが波間で浮いているんですよ。浜中町観光の目玉といえばここでしょう。
あとは地元の人間として勧めたいのが、湿原を見下ろす琵琶瀬の高台。朝、霧が晴れていく瞬間の湿原は本当に静かで、息をのみますよ。観光客の少ない早朝が一番です。
Q3.浜中町でお土産を買うとしたらなんですか?
無難なところでは、やっぱり昆布や昆布しょうゆですね。浜中の有名なものといえばこれですから、間違いがないです。濃厚な牛乳やソフトクリームも喜ばれますよ。
地元の人間が買うのは、養殖うにとか、めったに獲れない大きな毛ガニかな。お店に出回らないこともあるので、見かけたら迷わず買ってしまいます。
Q4.外から人が来たときに、浜中町でまず連れていく店はどこですか?
まずは温泉ですね。高台にあって、湯船から太平洋と湿原が一望できるんですよ。最近は施設まるごとルパン三世の世界になって、それ目当てに来る人も増えました。
湯上がりに昆布のソフトクリームを食べてもらうのが、私のお決まりの案内です。これが意外とみんな驚くんですよ。
Q5.浜中町はどんな気質だと思いますか?
海と牛で食べてきた町だから、地に足のついた、堅実な人が多いですね。口数は多くないけれど、いざというときには黙って手を貸してくれる、そういう温かさがあります。
何度も津波で町が流されても、そのたびに立て直してきた土地ですから。粘り強さは、みんな体にしみついているんだと思いますよ。
Q6.昔に比べて、浜中町の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言えば、人は減りましたね。学校もずいぶん統合されて、昔あった集落の小学校が次々となくなっていったのは寂しいです。漁師も酪農家も、跡を継ぐ若い人を探すのに苦労しています。
その一方で、ルパン三世を目当てに遠くから来てくれる人が増えて、町民センターのあたりや市街が祭りの時期は賑わうんですよ。外の風が入ってくる感じはします。
Q7.浜中町のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
この春に温泉がルパン三世の湯に生まれ変わったでしょう。ああいう新しい試みで、若い人や観光客がもっと来てくれたらと期待しています。秋の岬まつりも、また元気にやってほしいですね。
町長さんたちにも、昆布や牛乳といった本物の強みを、これからも大事にしてもらえたらと思っています。水源の豊かな自然あっての浜中町ですから、運動公園のような町の場所も含めて、暮らしの土台を守っていってほしいです。

