利尻富士町(りしりふじちょう)は、北海道最北の宗谷地方・利尻島の東側に位置する人口2,054人の町です。町の中心には、日本百名山にも選ばれた利尻山(利尻富士・標高1,721m)がそびえています。
利尻富士町の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 利尻山(利尻富士)──『日本百名山』の冒頭を飾る、標高1,721mの海に浮かぶ独立峰
- ✅ 白い恋人の丘(沼浦展望台)・オタトマリ沼──銘菓「白い恋人」の山が望める島最大の沼
- ✅ 利尻昆布──京都の料亭が珍重する、澄んだだしの最高級昆布の産地
- ✅ 甘露泉水──名水百選に選ばれた日本最北の名水が湧く島
- ✅ ラナルド・マクドナルド上陸の地──1848年、日本初のネイティブ英語教師が降り立った浜
「山に登りたい登山者」「離島の静けさを味わいたい旅行者」「だしや海の幸が好きな人」に特におすすめの町です。本記事では、自然・特産・歴史から、漁師町の暮らしや食卓の様子、アクセスまで地元目線で紹介します。
| 人口 | 2,054 人 ※2026年4月30日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 105.62 km² |
| 人口密度 | 19.4 人/km² |
利尻富士町は利尻島の東半分を占め、北部の鴛泊(おしどまり)と南部の鬼脇(おにわき)が主要な集落です。島内で隣接するのは、西半分を占める利尻町のみで、利尻山の山域は両町にまたがっています(出典:利尻町公式サイト)。鉄道はなく、海路で稚内市や礼文町と、空路で札幌(丘珠)・千歳とつながっています。
山・海・湧水・歴史と、この小さな島の町にはいくつもの「日本一」「日本初」が詰まっています。ひとつずつ見ていきましょう。
利尻富士町の推しポイント

町の名前のもとになった利尻山は、海から一気に1,721mまで立ち上がる独立峰で、登山者あこがれの一座です。その裾野には名水百選の湧水が流れ、海では京料理に欠かせない利尻昆布が育ちます。さらに、日本初の英語教師が上陸した浜や、銘菓のパッケージで知られる絶景まで。ここでは利尻富士町を象徴する5つの顔を紹介します。
推しポイント1:利尻山(利尻富士)──日本百名山の最初の一座
利尻山は標高1,721mの成層火山で、深田久弥の『日本百名山』では最北かつ巻頭に登場します。利尻町と利尻富士町にまたがり、海抜0mから高山植物帯まで一気に駆け上がる植生の変化が魅力です(出典:環境省 利尻礼文サロベツ国立公園)。リシリヒナゲシなど島固有の花も見られます。
推しポイント2:白い恋人の丘とオタトマリ沼──銘菓の山を望む絶景
オタトマリ沼は周囲約1kmの島最大の沼湖で、鬼脇地区にあります。すぐそばの沼浦展望台は「白い恋人の丘」とも呼ばれ、ここから望む利尻富士が銘菓「白い恋人」のパッケージの構図になったと言われています。風のない日には水面に映る逆さ富士も楽しめますよ。
推しポイント3:利尻昆布──京の料亭が頼る最北のだし
クセがなく澄んだだしがとれる利尻昆布は、関西の料亭で特に珍重される高級だし昆布です。利尻富士町を含む利尻島や礼文町でとれたものは「島モノ」と呼ばれ、別格の評価を受けています(出典:利尻町公式サイト)。
推しポイント4:甘露泉水──日本最北の名水百選
利尻山の鴛泊コース三合目付近に湧く甘露泉水は、名水百選に選ばれた日本最北の名水です。年間を通じて水温は5.5℃前後で、雪解け水が長い年月をかけて地中をくぐり湧き出しています(出典:環境省 利尻礼文サロベツ国立公園)。登山者の喉をうるおす一杯として親しまれています。
推しポイント5:ラナルド・マクドナルド上陸の地──日本英語教育のはじまり
1848年、アメリカの捕鯨船から小船で渡ってきた青年ラナルド・マクドナルドが、漂流者を装って利尻島に上陸しました。後に長崎で通詞たちに英語を教え、日本初のネイティブ英語教師となった人物です。町内には上陸を記念した史跡が整備されています。
利尻富士町の歴史

利尻富士町の歩みは、大きく三つの時代に分けられます。アイヌの人々が暮らした縄文以来の時代、松前藩の交易拠点として開かれた江戸期、そして二つの村が合併して現在の町へとまとまった近現代です。海と山にはさまれた厳しい地で、人々は漁を中心に暮らしを築いてきました。
縄文〜江戸期──リイシリ場所とアイヌの島
島は縄文時代から人々が暮らす地でした。江戸時代には松前藩によって「リイシリ場所」が開かれ、交易の拠点となりました。1669年に松前藩の交易船が寄港した際には、島内に300人ほどのアイヌが居住していたと記録されています。文化年間にはロシア軍艦による襲撃事件(文化露寇、フヴォストフ事件)も起こりました。
ラナルド・マクドナルド上陸(1848年)
1848年、ラナルド・マクドナルドが島に上陸しました。ペリー来航より5年前の出来事です。彼を助けたアイヌの人々との交流から、口を指して「クチ」「mouth」と教え合う、言葉のやり取りが始まったと伝えられています。その後、長崎で日本初のネイティブ英語教師となりました。
現代──東利尻町から利尻富士町へ
1880年に鴛泊村へ利尻郡の戸長役場が置かれ、これが町の開基とされます。1956年に鬼脇村と鴛泊村が合併して東利尻村となり、1959年に町制を施行して東利尻町となりました。そして1990年、町名を現在の利尻富士町に変更しています(出典:利尻富士町公式サイト)。
利尻富士町の文化・風習

浜言葉と北海道弁の話し方
島の人の会話には、北海道弁がやわらかく溶け込んでいます。夕方に港で会えばおばんです(こんばんは)、子どもを見ればめんこい(かわいい)なあ、と声がかかります。語尾に「〜っしょ」(〜でしょう)が付くのも特徴で、初めて聞くと不思議とあたたかい響きに感じられますよ。
昆布とウニの食卓、季節の暮らし
夏は朝早くから昆布漁の船が出て、浜には干した昆布がずらりと並びます。食卓には採れたてのウニやホタテが当たり前のように上がり、「近所のおばあちゃんからおすそ分け」も日常の風景です。冬は雪が深く、海も荒れる日が続くので、家でゆっくり過ごす時間が増えます。
漁師町の気質とご近所のつながり
海を相手にする町だけあって、人付き合いはさっぱりと、それでいて面倒見がよいのが島の気質です。みんなで港に集まってバーベキューをするような、人と人の距離が近い暮らしが残っています。したっけ(それじゃあ)、また明日ね──そんな声が自然に交わされる町なんですよ。
利尻富士町の特産品・食

特産品1:利尻昆布
かつてニシン漁で栄えた島の漁業は、いまや利尻昆布の養殖やウニ漁が中心です(出典:利尻町公式サイト)。収穫は夏が最盛期。固くしっかりした葉から、雑味のない澄んだだしがとれます。昆布巻きや千枚漬けにも使われ、京料理の料亭が手放さない理由がよく分かる、上品な味わいです。
特産品2:利尻のウニ
島のウニは、利尻昆布を食べて育つから旨みが濃いと言われます。旬は夏(おおむね6〜8月)。とれたてを生でほおばると、磯の香りととろける甘さが口いっぱいに広がって、なまら(とても)うまいんですわ。うに丼やうに鮨で味わうのが島の定番です。
特産品3:ホタテ・ホッケなど近海の魚介
ぷりぷりのホタテ、脂ののったホッケ、サケやイカ、アワビと、まさに「宝の島」と呼ばれる豊かさです。オタトマリ沼の売店では、その場で焼くホタテの香ばしさに行列ができるほど。素朴に焼いただけでわや(とんでもなく)うまい、それが島の海の幸です。
利尻富士町の観光スポット

利尻富士町の見どころは、海から一気にそびえ立つ利尻山と、その裾野に点在する沼や湧水、そして港町の歴史にぎゅっと詰まっています。まずは島の北側・鴛泊(おしどまり)の絶景から、南側・鬼脇(おにわき)の沼まで、順番に押さえていきましょう。どこに立っても利尻富士が見えるのが、この島のなまら(とても)ぜいたくなところなんですよ。
海と山の絶景スポット
- 利尻山(利尻富士) – 標高1,721mの独立峰で、『日本百名山』の冒頭を飾る一座です(出典:環境省 利尻礼文サロベツ国立公園)。鴛泊コースは海抜0mから登り始め、森林帯から高山植物のお花畑へと景色が移り変わります。山頂からの360度のパノラマは、登った人だけが味わえるごほうびです。
- 姫沼 – 利尻山の北側、標高約130mにある周囲約1kmの沼です。かつてヒメマスを放流したことが名前の由来とされています。風のない朝には水面に逆さ富士が映り込み、原生林の遊歩道は20分ほどで一周できます。早朝の静けさの中で歩くのがいちばん気持ちいい時間帯ですよ。
- オタトマリ沼 – 鬼脇地区にある島最大の沼湖で、周囲を約20分で散策できます。すぐそばの沼浦展望台は「白い恋人の丘」とも呼ばれ、ここから望む利尻富士が銘菓「白い恋人」のパッケージの構図になったと言われています。売店ではホタテ焼きやご当地ソフトも味わえます。
- 甘露泉水 – 利尻山の鴛泊コース三合目付近に湧く、名水百選に選ばれた日本最北の名水です(出典:環境省 利尻礼文サロベツ国立公園)。年間を通じて水温は5.5℃前後。登山の途中、冷たくまろやかな一杯で喉をうるおす時間は格別です。
- ペシ岬 – 鴛泊港のすぐ隣にそびえる標高約90mの岩山で、「灯台山」とも呼ばれます。フェリーターミナルから徒歩約10分、展望台までは往復1時間ほど。港に出入りするフェリーと利尻山を一度に見渡せ、初夏には足元に花も咲きます。
- 富士野園地 – 鴛泊近くのエゾカンゾウの群生地で、例年6月中旬から7月中旬にかけて一帯がオレンジ色の花で染まります。近くの夕日ヶ丘展望台とあわせて、夕暮れどきに訪れるのがおすすめです。
歴史と文化にふれるスポット
- ラナルド・マクドナルド上陸記念碑 – 鴛泊の野塚展望台にある記念碑です。1848年、日本初のネイティブ英語教師となったラナルド・マクドナルドが上陸した地を伝えています。海を見渡す丘の上に立つと、鎖国の時代に小船でこの島を目指した青年の物語が静かに迫ってきます。
- 利尻島郷土資料館 – 大正2年(1913年)築の旧鬼脇村役場庁舎を活用した資料館です。開館は5〜10月で、入館料は大人200円・中学生100円・小学生50円です(出典:きた・北海道 稚内・利尻・礼文の観光WEBサイト)。ニシン漁で栄えた島の歩みが、ジオラマや古い漁具とともによみがえります。
- 利尻山神社 – 鴛泊地区にある神社で、初夏には例大祭でにぎわいます。利尻山の北峰には奥宮の祠もあり、古くから島の人々の信仰を集めてきた山であることが伝わってきます。
利尻富士町の観光ルート

フェリーで着く鴛泊港を起点にすれば、半日でも島の北側をぐるりと楽しめますし、1日あれば利尻富士町から利尻町までまわって島を一周できます。体力に自信があるなら、利尻山の日帰り登山にも挑戦してみましょう。目的に合わせて3つのルートを用意しました。
【車・半日】鴛泊の絶景めぐりルート
9:00 鴛泊港 → 9:15 ペシ岬展望台 → 10:30 姫沼 → 11:30 富士野園地・夕日ヶ丘展望台(各移動は車5〜15分)
①ペシ岬展望台(60分)
→ 港に着いたらまずここへ。フェリーと利尻山を見下ろし、島の地形を頭に入れておくと、このあとの移動がぐっと楽しくなります。
②姫沼(40分)
→ 原生林に囲まれた沼を一周。午前の早い時間ほど風がなく、逆さ富士に出会える確率が上がります。
③富士野園地・夕日ヶ丘展望台(40分)
→ 初夏ならエゾカンゾウの花畑が見頃。夕方に時間を合わせれば、日本海に沈む夕日まで楽しめますよ。
【車・1日】利尻島ぐるり一周ルート
9:00 鴛泊港 → 9:30 野塚展望台 → 10:30 利尻島郷土資料館 → 11:30 オタトマリ沼(昼食)→ 13:30 沓形(利尻町)→ 15:00 鴛泊港(島一周 約60km)
①野塚展望台(ラナルド・マクドナルド上陸記念碑)(30分)
→ 島の歴史の入り口。海を見ながら、日本英語教育のはじまりに思いをはせます。
②利尻島郷土資料館(45分)
→ 鬼脇の洋風建築でニシン漁の時代を学びます。島の暮らしの背景が分かると、このあとの風景が立体的に見えてきます。
③オタトマリ沼(60分)
→ 「白い恋人の丘」で記念撮影をしたら、売店でホタテ焼きやうに丼を。ここで昼食をとるのがちょうどよい時間配分です。
④沓形(利尻町)(90分)
→ 利尻町側の港町をのんびり散策。利尻富士の見える角度が変わっていくのが、一周ルートの醍醐味です。
【車・フェリー・1日】利尻&礼文 2島めぐり広域ルート
8:00 鴛泊港 → 8:40 礼文島・香深港(フェリー約40分)→ 礼文島観光 → 16:00 香深港 → 16:40 鴛泊港
①鴛泊港(フェリー乗船)
→ 朝いちばんの便で対岸の礼文町へ。デッキから利尻富士がだんだん遠ざかる景色は、それだけで旅の名場面です。
②礼文島散策(半日)
→ 高山植物の島・礼文をめぐったあと、午後の便で利尻へ戻ります。同じ利尻昆布の産地でも、島ごとに表情が違うのが面白いところ。
③鴛泊港帰着
→ 戻ってきた利尻島で、最後にもう一度利尻富士を見上げて旅を締めくくりましょう。したっけ(それじゃあ)、また来てくださいね。
利尻富士町の年間イベント

雪深い冬が長い利尻富士町では、短い夏に一年分のにぎわいが凝縮されます。初夏の例大祭から、海の幸が主役の夏祭りまで、島が最も輝く季節のイベントを紹介します。ぜひ行ってみてほしいのが、屋台でほおばる焼きたてのウニなんですよ。
初夏:神社例大祭と利尻島一周サイクリング
島の初夏は、鴛泊の利尻山神社や鬼脇の北見神社の例大祭で幕を開けます。例年6月下旬から7月上旬にかけて行われ、宵宮や後祭には露店が並び、港町に祭りばやしが響きます。
同じころ、利尻島を55kmかけて一周するサイクリング大会も開かれます。制限時間は10時間で、全国からエントリーが集まる利尻の一大イベントとして定着しています(出典:利尻富士町公式サイト)。潮の香りを受けながら利尻富士を仰いで走る時間は、参加者だけの特権です。
真夏:北海島まつりとみなとビアガーデン
夏の主役は、なんといっても「北海島まつり」です。鬼脇会場は例年7月下旬、鴛泊会場は例年8月上旬に開催されます(出典:きた・北海道 稚内・利尻・礼文の観光WEBサイト)。
鴛泊会場ではメインストリートが歩行者天国になり、ウニ丼や魚介の焼き物の屋台がずらり。特産品が破格で並び、夜には花火が夏の夜空を彩ります。焼けた昆布とウニの匂いに包まれた通りは、わや(とんでもなく)にぎやかですよ。
7月中旬には、鴛泊港向かいの緑地公園で「みなとビアガーデン」も開かれます。焼きうに・焼きいか・焼きホタテを肴に、海風の中で一杯やる──島の夏らしいゆるやかな時間が流れます。
冬:雪と静けさの季節
利尻島は豪雪地帯に指定されるほど雪が深く、冬は観光のオフシーズンになります。フェリーや飛行機が欠航することもある厳しい季節ですが、その分、雪をかぶった利尻富士の凛とした姿や、澄みきった星空はこの時期ならではの景色です。人の少ない静かな島を味わいたい人には、むしろ冬がねらい目かもしれません。
利尻富士町のエリア別の顔

利尻富士町は、島の北側の鴛泊(おしどまり)と南東側の鬼脇(おにわき)という2つの地域からなり、その中央に利尻山がそびえています。海の玄関口としてにぎわう鴛泊、漁師町の風情が残る鬼脇、そして島全体を見守る利尻山と、エリアごとに違った顔を見せてくれます。旅の目的に合わせて、立ち寄り方を変えてみましょう。
鴛泊エリア──島の玄関口と登山の拠点
フェリーターミナルや利尻空港があり、利尻富士町の中心となるエリアです。宿や食堂、商店が集まり、ペシ岬や姫沼、利尻山の登山口へのアクセスも良好。島旅の起点として、まず宿をとるならこのあたりが便利です。港町らしいきびきびとした空気の中に、登山客と漁師が行き交う独特のにぎわいがあります。
鬼脇エリア──白い恋人の絶景と漁師町の風情
島の南東側に位置し、鴛泊に次ぐ港町として沿岸漁業の基地になっています。オタトマリ沼や白い恋人の丘、利尻島郷土資料館があり、観光の見どころが集まるエリアです。静かな漁港と、利尻富士をのぞむ沼の風景がそろう、写真好きにはめんこい(かわいらしい)景色の宝庫ですよ。
利尻山エリア──島を見守る百名山の世界
鴛泊と鬼脇の中央にそびえる利尻山は、利尻富士町と利尻町にまたがる島共通のシンボルです。中腹の甘露泉水や高山植物のお花畑など、登った人だけが出会える別世界が広がります。本格的な登山が目的なら早朝発で、麓の散策だけ楽しみたいなら午前のうちに訪れるのがおすすめです。
利尻富士町の気候・季節の暮らし

利尻富士町は、年平均気温7.1℃の冷涼な気候です。海に囲まれているため夏と冬の気温差は内陸ほど大きくなく、夏は涼しく、冬は雪が深いのが特徴です(出典:気象庁)。豪雪地帯に指定されており、冬はしばれる(厳しく冷え込む)日が続きます。年間を通して風が強いのも、この島の暮らしの前提になります。
夏──6月〜8月の暮らし
夏はとても過ごしやすく、真夏日は年に0.1日、猛暑日はほぼありません。8月でも平均最高気温は23.1℃ほどです(出典:気象庁)。本州の蒸し暑さとは無縁で、登山やサイクリングに最適な季節。観光のピークもこの時期に重なります。
冬──12月〜3月の暮らし
冬は真冬日が年に72.8日、冬日は142.1日にのぼり、1月の平均最低気温は-6.8℃です(出典:気象庁)。近年でも2019年2月に-16.6℃を記録しています。雪かきは日常で、強い風が雪を巻き上げる日も。暖房と防寒着は暮らしの必需品です。
春と秋──風の季節
春先と秋は風が強く、フェリーや飛行機が欠航することもあります。島で暮らすなら、天候による交通の乱れを織り込んで予定を組むのが現実的です。とはいえ、雪が解けた春の利尻山や、空気の澄む秋の夕暮れは、この島ならではのごほうびですよ。
利尻富士町の移住・暮らし情報

利尻富士町での暮らしは、漁業と観光を軸に回っています。コンビニ的な便利さはありませんが、海の幸が豊かで、人と人の距離が近い島の生活が待っています。移住を考えるなら、住宅・医療・教育の「現実」を先に知っておくと安心です。
通勤・通学
多くの人が島内で働いており、漁業や観光、役場・学校などが主な職場です。通勤は車が基本で、鴛泊と鬼脇の間も車で移動します。高校は島内では利尻町の利尻高校に通うことになり、町は通学費の支援として1人につき5万円の通学支援給付金を設けています(出典:利尻富士ぐらし(利尻富士町移住ポータルサイト))。
住宅環境
離島のため賃貸物件は限られており、移住希望者は町の移住ポータルで家賃の目安や物件情報を確認するのが現実的です(出典:利尻富士ぐらし(利尻富士町移住ポータルサイト))。住まいは鴛泊・鬼脇それぞれの集落に集まっており、海岸沿いの平地が生活圏になります。
買い物環境
商店やスーパー、漁協のストアーは鴛泊を中心にありますが、品ぞろえや営業時間は都市部とは異なります。日用品はまとめ買いが基本で、足りないものはフェリーや通販で取り寄せる暮らしになると考えられます。
子育て・教育
利尻富士町には鴛泊・利尻の2つの小学校と、鴛泊・鬼脇の2つの中学校があります(小中併置校を含む)。少人数できめ細かく、海や山が遊び場という環境です。漁業や商工業の後継者への報償制度など、定住を後押しする支援も用意されています(出典:利尻富士ぐらし(利尻富士町移住ポータルサイト))。
医療環境
町内には利尻富士町国民健康保険鴛泊診療所などがあり、島の中核病院としては利尻町に利尻島国保中央病院があります。内科・小児科・外科・整形外科などに対応していますが、専門医の診察は月数回というのが離島医療の実情です(出典:利尻島国保中央病院)。高度な治療が必要なときは、稚内や札幌の病院へ渡ることになると考えられます。
エリア別の暮らし視点
住むなら、役場・診療所・商店・フェリーターミナルが集まる鴛泊エリアが最も便利です。鬼脇エリアは静かな漁師町で、海と沼に囲まれたのんびりした暮らしが向いています。どちらも利尻富士を毎日見上げられるのは、この島ならではのなまら(とても)ぜいたくな日常です。
利尻富士町へのアクセス

利尻富士町へは、空路かフェリーで渡ります。最短は札幌から飛行機で島へ直行するルート、安く渡るなら稚内からフェリーを使うルートです。本州からはまず札幌または稚内を目指すのが基本になります。
飛行機でのアクセス
札幌の丘珠空港から利尻空港へは、北海道エアシステム(HAC)が1日1往復、所要約50分で運航しています。新千歳空港からは全日空(ANA)が例年6〜9月に季節運航しており、所要は約50分です(出典:利尻富士町公式サイト)。利尻空港は鴛泊地区にあり、町の中心まですぐです。
フェリーでのアクセス
稚内フェリーターミナルから鴛泊フェリーターミナルへは、ハートランドフェリーで所要約1時間40分です。2等の片道運賃は大人3,590円です(2026年)(出典:ハートランドフェリー)。車をそのまま積めるので、島内をマイカーで動きたい人にも便利です。
鉄道・バスでのアクセス
稚内まではJRで向かい、稚内駅からフェリーターミナルへは徒歩約15分です。稚内空港からターミナルへはバスで約35分・約700円が目安です(出典:ハートランドフェリー)。鉄道とフェリーを乗り継ぐなら、稚内での乗り継ぎ時間に余裕を持たせておくと安心です。
町内移動の現実的アドバイス
島内に鉄道はなく、路線バスの本数も限られます。観光でまわるならレンタカーが現実的で、鴛泊港や利尻空港で借りるのがおすすめです。冬は欠航や通行止めもあるので、移動日には予備日を1日とっておくと心に余裕が生まれますよ。
【地元住民に直撃!】利尻富士町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
昆布漁師だ。夏は利尻昆布、合間にウニ漁もやってる。朝はまだ暗いうちから浜さ出て、天気とにらめっこの毎日さ。
利尻昆布は京都の料亭が欲しがる上等な昆布でな。乾かして揃えるまで手間がかかるけど、これがうちらの誇りだもの。海あっての利尻富士町だべ。
Q2.利尻富士町に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
まずはオタトマリ沼だな。白い恋人の山が見える場所さ。観光客はみんな来るけど、風のない朝に逆さ富士が映ると、ありゃ何回見てもなまら(とても)きれいだ。
地元の人間が好きなのは姫沼の朝と、姫沼の町水源にもなってる甘露泉水だな。観光地から外れた早朝、鳥の声しか聞こえん静けさは島の宝だわ。
Q3.利尻富士町でお土産を買うとしたらなんですか?
利尻富士町の有名なものといえば、やっぱり利尻昆布だ。だしを取ってみれば、澄んだ味の違いがすぐわかるべ。あとは白い恋人も島の山が描かれてるから喜ばれるな。
地元の人間が買うのは、塩水ウニや昆布の入った佃煮みたいなもんだ。浜の店でしか手に入らんやつ。これが利尻富士町観光の土産じゃ出てこん本物さ。
Q4.外から人が来たときに、利尻富士町でまず連れていく店はどこですか?
そりゃ鴛泊の食事処さ連れてくな。とれたてのウニ丼を食わせる。昆布食って育ったウニだから、甘みが違うって客はみんなたまげるんだわ。
夏なら港の屋台でホタテ焼きもいい。海風にあたりながら焼きたてをほおばる、あれが島の食い方だ。町民センターで祭りがある日は、そっちも一緒に案内するな。
Q5.利尻富士町はどんな気質だと思いますか?
海相手の町だから、口は荒いけど情は深い。困ってる奴がいたら、近所のばあちゃんが魚やら昆布やらおすそ分けする、そういう町さ。
みんなで港さ集まってバーベキューやるのも当たり前でな。よそ者にも、一度懐に入れば市町村みんなで面倒みるような、あったかい気質だと思うわ。
Q6.昔に比べて、利尻富士町の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直、人は減ったな。昔はニシンで沸いた島だけど、今は2千人ちょっと。漁師の跡継ぎも少なくて、浜はさみしくなったのは隠せん。
ただ、登山客や移住してくる若い衆も増えてきた。町長もゼロカーボンだ何だと動いてるし、島のおすすめスポットを守りながら新しい風を入れようとしてる。悪いことばかりでないさ。
Q7.利尻富士町のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
派手な大型施設ってのは島にゃ合わん。それより、地域おこし協力隊の若い連中が島の食や自然で商売を始めてくれてるのが心強いわ。
登山道や運動公園みたいな場所を直しながら、利尻富士をちゃんと次の世代さ残していく。それが一番の願いだな。海と山がある限り、この島は大丈夫だべ。

