鶴居村(つるいむら)は、北海道東部・釧路総合振興局のほぼ中央に位置する村です。釧路総合振興局でただ一つの「村」で、人口は2,358人。釧路空港から車で約35分の、酪農と湿原の里です。
この村の見どころを5つに絞ると、こうなります。
- ✅ タンチョウの一大越冬地──給餌場に200羽以上が集まる「鶴見台」と「伊藤サンクチュアリ」
- ✅ 釧路湿原国立公園──日本最大の湿原を眼下に望み、温根内木道で湿原を歩ける
- ✅ 「日本で最も美しい村」連合加盟──景観を守る村づくり
- ✅ ナチュラルチーズ「鶴居」──農林水産大臣賞を受けた酪農の村
- ✅ 鶴居村営軌道──開拓を支えた簡易軌道が北海道遺産に
「冬にタンチョウを撮りたい写真家」「日本最大の湿原を歩いてみたい人」「静かな酪農の村でチーズや暮らしに触れたい人」に向いた村です。この記事では、タンチョウや湿原の見どころから、開拓の歴史、方言や食卓の風景、そして特産のチーズや肉まで、地元目線で紹介していきます。
| 人口 | 2,358 人 ※2026年4月30日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 571.80 km² |
| 人口密度 | 4.12 人/km² |
地理的には、鶴居村は東部で標茶町、南部で釧路湿原国立公園を挟んで釧路市、北西部でも釧路市(旧阿寒町)に接しています(出典:「日本で最も美しい村」連合)。村内に鉄道は通っておらず、最寄り駅はJR釧路駅。釧路駅からは阿寒バスや車で約50分、釧路空港からは車で約35分です。
阿寒カルデラ外輪山を源とする雪裡川・幌呂川・久著呂川の流域に、3つの広い原野が開け、南には日本最大の湿原が広がります。小さな村ですが、自然・酪農・開拓の歴史が幾重にも重なっています。ひとつずつ見ていきましょう。
鶴居村の推しポイント

鶴居村の主役は、なんといってもタンチョウ。村の名前そのものが、この特別天然記念物に由来します。冬になると給餌場に多くのタンチョウが集まり、世界中から写真家がやってきます。さらに眼下には日本最大の釧路湿原が広がり、村全体が「日本で最も美しい村」連合の一員。良質な生乳から生まれるチーズや、開拓を支えた簡易軌道の物語も見どころです。ここからは5つの顔を、もう少し掘り下げていきます。
推しポイント1:タンチョウの越冬地──鶴見台と伊藤サンクチュアリ
かつて絶滅したと思われていたタンチョウは、釧路湿原で再発見され、特別天然記念物として保護されてきました(出典:鶴居村公式サイト)。村内には「鶴見台」と「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」という二大給餌場があり、厳冬期には200羽以上が舞い降ります(出典:鶴居村公式サイト)。
サンクチュアリは日本野鳥の会が運営し、暖かい館内からレンジャーの解説つきでタンチョウを観察できます。2月ごろには、雪原で羽を広げて踊る「鶴の舞」(求愛ダンス)が見られることもあるんですよ。
推しポイント2:釧路湿原国立公園と温根内木道
村の南に広がるのは、日本最大の湿原・釧路湿原。国立公園に指定され、ラムサール条約の登録湿地でもあります。村側からは「温根内ビジターセンター」から湿原に入る木道が整備されていて、ヨシやスゲ、ミズゴケの湿原を間近に歩けます。
初夏にはワタスゲやミツガシワなどの湿原植物が咲き、運がよければエゾハルゼミの声も。広い空と地平線まで続く緑を歩くと、北海道の大きさを体で感じられます。
推しポイント3:ナチュラルチーズ「鶴居」の酪農王国
鶴居村は乳牛を主体とした酪農専業の村で、日本トップクラスの良質な生乳を生産しています。その生乳から生まれるナチュラルチーズ「鶴居」は、ALL JAPANナチュラルチーズコンテストで最高賞(農林水産大臣賞)を受けた逸品です(出典:鶴居村ふるさと納税特設サイト)。
つくっているのは2007年オープンの加工施設「酪楽館」。セミハードタイプで、噛むほどにコクがにじむチーズです。詳しくは後半の特産品コーナーで紹介します。
推しポイント4:「日本で最も美しい村」の景観づくり
鶴居村は、美しい景観や文化を守る自治体が集う「日本で最も美しい村」連合に加盟しています(出典:「日本で最も美しい村」連合)。市街地も田園も、どこか欧州の田舎を思わせる落ち着いた風景が広がります。
新興住宅地では一世帯あたりの敷地をゆったり取り、湿原と牧草地に囲まれた暮らしができる。子育て世代を中心に、全国から移住者がやってくる理由のひとつです。
推しポイント5:北海道遺産・鶴居村営軌道の記憶
開拓時代、村と釧路を結んでいたのが「鶴居村営軌道」という簡易軌道でした。この簡易軌道は2018年に「北海道の簡易軌道」として北海道遺産に選定されています(出典:北海道遺産協議会)。
「鶴居村ふるさと情報館」の前には当時のディーゼル機関車などが保存・展示され、冬でも見学できます。鉄道好きには、半世紀前に役目を終えたレールの物語がたまらないはずです。
鶴居村の歴史

鶴居村の歴史は、大正期の開拓に始まります。湿原と原野が広がるこの土地に移住者が入り、簡易軌道が物資と人を運び、酪農の村として発展しました。やがて隣村から独立して「鶴居村」が生まれ、現在は釧路総合振興局で唯一の村として、自然と景観を守りながら歩んでいます。ここでは、開拓・発展・現代の3つの時代をたどります。
開拓のはじまりと指定移民
この地への開拓団の移住は、1921年(大正10年)に始まりました。1923年の関東大震災のあとは、被災者の救済を目的とした指定移民が入植し、人口が増えていきます。湿原と原野を切り拓く厳しい開拓でしたが、これがのちの酪農王国の土台になりました。
簡易軌道が支えた村の発展
交通の整備が急務となり、北海道庁は殖民軌道の敷設を決定。1927年(昭和2年)に開業し、当初は馬がトロッコを引く荷物専用の軌道でした(出典:鶴居村営軌道)。
戦後は「鶴居村営軌道」と呼ばれ、牛乳の出荷や郵便の輸送にも使われました。しかし道路の整備と路線バスの登場により、1968年(昭和43年)に全線が廃止されています。約40年にわたり、村の暮らしを文字どおり支えた鉄路でした。
分村から「美しい村」へ──現代の鶴居村
1937年(昭和12年)4月1日、舌辛村(現在の釧路市阿寒町)から分村して鶴居村が誕生しました(出典:鶴居村公式サイト)。村名は、ここに生息する特別天然記念物タンチョウに由来します。
その後は酪農を基幹産業として歩み、現在は「日本で最も美しい村」連合に加盟。タンチョウ、湿原、開拓の記憶という資源を生かした村づくりが続いています。
鶴居村の文化・風習

方言と話し方の特徴
鶴居村で耳にするのは、内陸の北海道弁。標準語に近いと言われますが、寒さの厳しいこの土地ならではの言葉も残っています。冬の朝にはしばれる(厳しく冷え込む)という言葉がよく使われ、ときにはがまわれ(寒さで木が凍って割れること)という表現も登場します。
ほかにも、ゴミを捨てることをなげる(物を捨てる・処分する)、疲れたことをこわい(疲れた)と言います。雪が手に負えないほど降るとわや(めちゃくちゃ・ひどい)。とてもを表すなまら(とても・すごく)、別れぎわのしたっけ(それじゃあ・そうしたら)も定番です。
食卓と季節の暮らし
酪農の村だけあって、食卓には牛乳やチーズが当たり前のように並びます。搾りたての生乳のおいしさを知っている人が多く、村のチーズへの誇りもひとしお。冬は氷点下20℃を下回る日も珍しくなく、温かい鍋や乳製品が体にしみます。
夏は釧路沖からの海霧に包まれて涼しく、冬は雪と晴天の日が続く。四季のメリハリがはっきりしているぶん、季節ごとの暮らしの楽しみ方を村の人はよく知っているんですよね。
タンチョウと共に生きる村の気質
この村では、タンチョウは「観光資源」である前に「隣人」です。住民有志が越冬分布調査に協力し、給餌や生息環境の保全を長く続けてきました(出典:鶴居村公式サイト)。
給餌場の多くは私有地を開放してくれているもの。自然と人がほどよい距離で支え合う、その穏やかな空気感が、移住者を惹きつけているように感じます。みなさんも訪れたら、ぜひ地元のルールを守ってタンチョウに会ってみてください。
鶴居村の特産品・食

特産品1:ナチュラルチーズ「鶴居」
村を代表する特産品が、村名をそのまま冠したナチュラルチーズ「鶴居」。セミハードタイプで、噛むほどにコクと塩気がじんわり広がります。そのまま食べてもおいしいですし、熱を加えるととろけてパスタやグラタンにもよく合うんですよ。
つくっているのは2007年オープンの加工施設「酪楽館」。良質な生乳を職人が手仕事で仕上げ、ALL JAPANナチュラルチーズコンテストで最高賞(農林水産大臣賞)を受けています(出典:酪楽館)。お土産には「鶴居たんちょうプラザ つるぼーの家」が便利です。
特産品2:丹頂大根
鶴居村で栽培されるダイコンには「丹頂大根」というブランド名が与えられています(出典:鶴居村公式サイト)。タンチョウの里らしい、覚えやすい名前ですよね。
寒暖差の大きい内陸の気候で育つ大根は、みずみずしくて締まりがよいのが特徴。冬は鍋に、煮物に、おろしにと、シンプルな食べ方ほどその甘みが引き立ちます。
特産品3:三恵豚(さんけいとん)
もう一つの自慢が、村で育てられる銘柄豚「三恵豚」。出荷前の最後の2か月ほど、サツマイモを配合した飼料を与えて育てるのが特徴です(出典:推しまち!(鶴居村))。
そのおかげで脂身は甘くさっぱり、後味がしつこくなく、いくらでも食べられそうなとろけ具合。焼いてもしゃぶしゃぶにしても、脂のおいしさがよくわかります。湿原や牧草地に囲まれた、豊かな自然が育てた肉をぜひ味わってみてください。
現地に行くのはなかなか難しい方もいますよね。でもふるさと納税なら、実質2,000円の自己負担で全国の特産品が返礼品として届きます。
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鶴居村の観光スポット

鶴居村の旅は、大きく分けて「タンチョウに会う」「釧路湿原を歩く」「酪農と開拓の歴史に触れる」の3つが軸になります。冬はタンチョウ、夏は湿原の緑、そして一年を通して牧場や温泉、チーズ。季節ごとに違う顔を見せてくれるのが、この村の楽しいところなんですよね。まずは外せないスポットを、テーマごとに紹介していきます。
タンチョウに会えるスポット
- 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ – 日本野鳥の会が運営する保護・観察施設。ネイチャーセンターの開館期間は10月〜3月、開館時間は9時〜16時で、入館は無料です(出典:日本野鳥の会 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ)。冬の朝、給餌場に舞い降りるタンチョウを暖かい館内から眺められて、レンジャーの解説も聞けます。2月ごろの求愛ダンスは見もので、雪原に羽を広げる姿はため息が出るほどです。
- 鶴見台 – 渡部トメさんが1962年から給餌を続けてきた、もう一つの代表的な給餌場です。給餌はおおむね11月中旬から3月初旬にかけて行われます(出典:鶴居村公式サイト)。道路沿いから群れを間近に見られる手軽さが魅力。夕方、ねぐらへ帰っていくタンチョウのシルエットが、いちばん絵になる時間帯ですよ。
釧路湿原を歩く・学ぶスポット
- 温根内ビジターセンター・温根内木道 – 日本最大の湿原・釧路湿原の西側、鶴居村字温根内にある散策の起点です。入館は無料で、火曜と年末年始が休館。木道は約1時間で1周でき、バリアフリー区間なら約40分です(出典:釧路湿原国立公園連絡協議会)。初夏はワタスゲやミツガシワ、7〜8月の夜にはヘイケボタルの光も。車いすでも進める木道なので、誰とでも湿原のど真ん中を歩けます。
- キラコタン岬 – 釧路湿原の最深部、特別保護区域にある「湿原の聖域」。かつて絶滅したと思われたタンチョウが再発見された場所の一つです。天然記念物区域のため、立ち入りには文化庁の許可、または立入許可を持つガイドの同行が必要です(出典:鶴居村公式サイト)。蛇行する川と一面の湿原は、どの展望台からも見られない貴重な眺め。どさんこ牧場の探勝会やホテルのガイドツアーで訪ねるのがおすすめです。
酪農と開拓の歴史に触れるスポット
- 鶴居村ふるさと情報館「みなくる」 – 酪農の歴史やタンチョウ、釧路湿原を映像とジオラマで学べる施設。開館時間は10時〜18時15分、毎月最終火曜と年末年始が休館です(出典:鶴居村公式サイト)。建物の前には、北海道遺産「北海道の簡易軌道」に選ばれた鶴居村営軌道の保存車両が展示されていて、冬でも見学できます。雨や寒さの日の立ち寄り先にもぴったりです。
- 鶴居どさんこ牧場 – 1995年オープン、北海道の在来馬「どさんこ」に乗って釧路湿原国立公園を巡れる牧場です。ホーストレッキングは通年で楽しめます(出典:鶴居どさんこ牧場)。ずんぐりした体つきと穏やかな瞳のどさんこは、乗馬が初めてでも安心。馬の背に揺られながら見る原風景は、車では味わえない時間の流れ方なんですよ。
- 鶴居ノーザンビレッジ ホテルTAITO – 村の市街地にあるリゾート風ホテルで、琥珀色のアルカリ性天然温泉(モール泉)が自慢です(出典:鶴居ノーザンビレッジ ホテルTAITO)。日帰り入浴やレストランも利用でき、タンチョウや湿原を巡ったあとの冷えた体をじんわりほぐしてくれます。とろりとした湯ざわりは、ここでしか出会えないものです。
鶴居村の観光ルート

鶴居村は鉄道が通っていないぶん、車での周遊が基本になります。たんちょう釧路空港や釧路市街を起点に、冬はタンチョウ中心、夏は湿原中心でルートを組むのがおすすめ。ここでは村内で完結する1日・半日コースと、隣の釧路市まで足を延ばす広域コースを紹介します。
【車・1日】冬のタンチョウ満喫ルート
9:00 たんちょう釧路空港 → 9:40 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ → 11:00 鶴見台 → 12:00 村市街(昼食・チーズ購入)→ 13:30 ふるさと情報館みなくる → 15:00 ホテルTAITO(日帰り温泉)
①鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ(90分)
→ まずは午前の給餌時間に合わせて到着。羽を広げるタンチョウを暖かい館内から観察できます。
②鶴見台(30分)
→ 道路沿いから群れを間近に。光がやわらかい午前のうちが撮影向きです。
③ふるさと情報館みなくる(60分)
→ 午後は屋内でひと息。簡易軌道の保存車両と酪農のジオラマで村の成り立ちを学べます。
④ホテルTAITO(60分)
→ 締めはモール泉で温まって。一日タンチョウを追って冷えた体に、とろりとした湯がしみます。
【車・半日】夏の湿原さんぽルート
9:00 JR釧路駅 → 9:40 温根内ビジターセンター(木道1周)→ 11:30 鶴居どさんこ牧場(ホーストレッキング)→ 13:00 村市街(昼食)
①温根内ビジターセンター・温根内木道(90分)
→ 朝の涼しい時間に木道を1周。湿原の花や野鳥がいちばん生き生きして見える時間帯です。
②鶴居どさんこ牧場(90分)
→ どさんこに乗って湿原の中へ。馬のリズムに身をまかせると、景色の見え方が変わります。
③村市街(昼食)
→ 最後は村のレストランで、地元の生乳やチーズを使ったメニューやソフトクリームを。
【車・1日】広域ルート:鶴居村と釧路湿原ぐるり
9:00 たんちょう釧路空港 → 9:40 温根内ビジターセンター → 11:30 鶴居村市街(昼食)→ 13:00 鶴見台 → 14:30 釧路市湿原展望台(釧路市)→ 16:00 釧路市街
①温根内ビジターセンター(90分)
→ まずは湿原の西側を木道で歩き、釧路湿原の全体像をつかみます。
②鶴見台(30分)
→ 冬ならタンチョウ観察を挟んで、村らしい風景を楽しみます。
③釧路市湿原展望台(60分)
→ 鶴居村から釧路市側へ移動し、高台から湿原を一望。村で歩いた湿原を上から見渡せます。
④釧路市街
→ 夜は隣接する釧路市の市街地で食事と宿泊。釧路の海の幸まで楽しめる欲張りコースです。
鶴居村の年間イベント

鶴居村のお祭りは「鶴居4大イベント」として親しまれています。夏のビアガーデンから秋の村最大の祭り、そして冬はタンチョウにちなんだユニークな催しまで、酪農とタンチョウの村らしい色がしっかり出ているんですよ(出典:鶴居村公式サイト)。
夏:つるい納涼まつり・鶴居ふるさと盆踊り花火大会
夏の夜を彩るのが、7月に開かれる「つるい納涼まつり」。露店が並ぶビアガーデン形式のお祭りで、ステージイベントや抽選会で大人も子どもも盛り上がります。
続く8月には「鶴居ふるさと盆踊り花火大会」。音楽に合わせて間近で打ち上がる花火が目玉で、露店の灯りのなか、みんなで輪になって踊ります。夏の終わりの、ちょっと名残惜しい夜なんですよね。
初秋:鶴居村ふるさとまつり
9月に開かれる「鶴居村ふるさとまつり」は、村最大のお祭り。牛の鳴きまねを競う「モーモーコンテスト」や牛乳の早飲み競争など、酪農の村ならではの参加型ゲームが名物です。
小学生による「タンチョウソーラン」の演舞、牧草ロールのみこし、鶴居産野菜の即売会、バーベキューコーナーと盛りだくさん。村じゅうの人が集まる、いちばんにぎやかな一日です。
冬:タンチョウフェスティバル
タンチョウ観察のピークである2月には「タンチョウフェスティバル」が開かれます。2026年2月には第37回が開催されました。
裸足の片足立ちで何分耐えられるかを競う「耐寒競技」や、タンチョウの「鳴き声コンテスト」など、寒さも遊びにしてしまうユニークな催しが人気。氷点下の村だからこそ盛り上がる、冬の名物イベントです。
鶴居村のエリア別の顔

鶴居村は、阿寒カルデラ外輪山を源とする雪裡(セツリ)・幌呂(ホロロ)・久著呂(クチョロ)の3つの原野に広がっています(出典:鶴居村公式サイト)。村の中心市街地から、タンチョウの里、湿原の玄関口、田園地帯まで、エリアごとに表情が変わります。旅のスタイルに合わせて、訪ねる場所を選んでみてください。
鶴居市街エリア──旅の拠点
役場やふるさと情報館、ホテルTAITO、商店が集まる村の中心。チーズの購入や食事、温泉、宿泊もここでまかなえます。タンチョウや湿原を巡る前後に立ち寄る「拠点」として使うのがおすすめのエリアです。
雪裡(セツリ)エリア──タンチョウの里
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリや鶴見台があるのがこのエリア。冬になると、給餌場に集まるタンチョウを求めて、国内外の写真家が長く滞在します。早朝や夕方の光を狙うなら、ここで時間をたっぷり取りたいですね。
温根内・幌呂エリア──湿原散策の玄関口
釧路湿原の西側に面し、温根内ビジターセンターと木道があるエリア。日本最大の湿原を、誰でも歩いて体感できる入口です。花や野鳥、ホタルと、夏に訪れるなら外せないエリアと言えます。
下幌呂・久著呂エリア──田園と原野の風景
牧草地と原野が広がる、酪農の村らしい風景が見られるエリア。子育て世代の移住者向けに整えられた分譲住宅地もあり、ゆったりした敷地に家が点在します。車で走るだけでも、欧州の田舎のような景色に出会えますよ。
鶴居村の気候・季節の暮らし

鶴居村は寒暖の差が大きい内陸型の気候です。気象庁の平年値(1991〜2020年)によると、年平均気温は5.9℃、いちばん寒い1月の平均は−7.1℃、いちばん暖かい8月でも平均18.7℃です(出典:気象庁)。夏は涼しく冬は厳しい、北海道らしいメリハリのある土地なんですよ。
夏──6月〜8月の暮らし
夏でも8月の平均最高気温は23.7℃ほどで、本州のような蒸し暑さはありません(出典:気象庁)。釧路沖で発生する海霧に覆われると、ひんやりした日もあります。
湿原の緑がいちばん濃くなるのもこの時期。木道散歩やホーストレッキングが気持ちいい季節で、夜は窓を開けて寝られる日も多いんです。エアコンなしで過ごせる夏は、暑さが苦手な人にはありがたい環境ですよ。
秋──9月〜10月の暮らし
秋は空気が澄み、朝晩の冷え込みが一気に進みます。10月の平均最低気温は3.2℃まで下がります(出典:気象庁)。
このころからタンチョウが越冬の準備を始め、村に少しずつ姿を見せるようになります。短い秋を惜しむように、人も家の冬じたくを進める時期です。
冬──11月〜3月の暮らし
冬が長く、12月〜2月はほぼ氷点下の世界です。年間の降雪量の合計は約332cm、最深積雪は59cmが平年値で、冬は晴天の日が多いのが特徴です(出典:気象庁)。
朝は−20℃近くまで冷え込む日も珍しくなく、吐く息も川霧も白く凍りつきます。そのぶん、雪原に舞うタンチョウや霧氷の風景は息をのむ美しさ。暖房と除雪は生活の必需品で、車の冬タイヤやスタックへの備えは欠かせません。
春──4月〜5月の暮らし
4月の平均気温は4.0℃、雪が解けるのは本州よりずいぶん遅めです(出典:気象庁)。
長い冬が終わり、牧草地が一気に緑づく季節。タンチョウは子育てのため湿原へ移っていきます。遅い春の訪れを、村全体が待ちわびているような空気が流れます。
鶴居村の移住・暮らし情報

鶴居村は、釧路湿原と牧草地に囲まれた酪農の村でありながら、子育て世代の移住者が増えてきた村でもあります。「日本で最も美しい村 鶴居村暮らしガイド」も用意されていて、村ぐるみで移住を後押ししています(出典:鶴居村公式サイト)。ここでは「住む視点」で、暮らしの現実を見ていきましょう。
通勤・通学
村内には鉄道がないため、移動は車が基本です。隣接する釧路市へ通勤する人も多く、村中心部から釧路市街までは車でおよそ50分。冬の雪道運転を前提に考えておくと安心です。
住宅環境
釧路空港に近い下幌呂地区には、一世帯あたり200坪前後の分譲住宅地が整備され、全国から移住者を受け入れてきました。村では地域住宅振興の補助金など住まいの支援制度も設けています(出典:鶴居村公式サイト)。賃貸物件は数が限られるため、移住の際は早めの情報収集がおすすめです。
買い物環境
村内には日常の買い物ができる店があり、ふだんの食料品はここでそろいます。まとめ買いや専門店での買い物は、車で釧路市側へ出る人が多いです。距離はありますが、道は走りやすいので大きな負担にはなりにくいですよ。
子育て・教育
村内には小学校3校(鶴居・幌呂・下幌呂)、中学校2校(鶴居・幌呂)、保育園があります(出典:鶴居村公式サイト)。ふるさと給食や、小学生が自分の村をPRする観光パンフレット制作など、地域性を生かした教育が行われています。子どもの医療費助成など、子育て世帯への支援も手厚い村です。
医療環境
村には鶴居村立鶴居診療所と鶴居歯科診療所があり、日常の医療をカバーしています。より専門的な医療は、隣の釧路市の病院を利用する人が多いです(出典:鶴居村公式サイト)。釧路市との定住自立圏の協定により、生活機能や救急搬送体制が支えられています。
エリア別の暮らし視点
鶴居市街エリアは役場・学校・診療所・商店が集まり、いちばん暮らしやすい中心部。下幌呂エリアは分譲住宅地があり、移住者の受け皿になっています。幌呂や久著呂の田園エリアは、牧草地のなかでのびのび暮らしたい人向け。どのエリアも車があってこその生活導線です。
鶴居村へのアクセス

鶴居村への玄関口は、たんちょう釧路空港と釧路市。村内に鉄道は通っていないため、現地での移動は車が中心になります。本州からなら空路で釧路へ入るのがいちばんスムーズです。
車でのアクセス
たんちょう釧路空港から鶴居村までは車で約35分、釧路市街からは約50分です(出典:「日本で最も美しい村」連合)。道東自動車道を使う場合は、阿寒インターチェンジから約40分です(出典:鶴居村トラベルガイド)。レンタカーがあると、タンチョウ観察も湿原散策も一気に動きやすくなります。
鉄道+バスでのアクセス
鉄道利用の場合、最寄り駅はJR根室本線の釧路駅です。釧路駅前から阿寒バスの鶴居線に乗ると、鶴居村まで約60分でアクセスできます(出典:「日本で最も美しい村」連合)。本数は限られるので、事前に時刻を確認しておくと安心です。
飛行機でのアクセス
たんちょう釧路空港へは羽田空港から約1時間40分。空港からは、釧路駅前を結ぶ空港連絡バス(阿寒バス)が全便に接続して運行し、釧路駅前まで約45分です(出典:阿寒バス)。空港でレンタカーを借りれば、そのまま村へ約35分で向かえます。
村内移動の現実的アドバイス
サンクチュアリ、鶴見台、温根内ビジターセンターは離れているので、車での移動が前提と考えてください。冬は道路が圧雪・凍結するため、運転に慣れていない人はガイドツアーやタクシーの利用も検討すると安心ですよ。
【地元住民に直撃!】鶴居村の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
酪農の村で、牛乳からチーズを作る仕事をしています。鶴居村の生乳は本当に質がよくて、手をかけた分だけちゃんと応えてくれるんですよ。
毎日同じ作業の繰り返しに見えるかもしれませんが、季節や牛の調子で味は微妙に変わります。その違いと向き合うのが、地味だけど面白いところですね。
Q2.鶴居村に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
有名どころなら、やっぱり鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリと鶴見台。冬の朝、雪原に降りたタンチョウが鳴き交わす声は、観光というより自然の中にお邪魔している感覚になります。
地元の人間としては、温根内の木道も外せません。早朝に歩くと霧が湿原にたまっていて、人もまばらで、村が水源として大事にしてきた自然を独り占めできる時間なんです。
Q3.鶴居村でお土産を買うとしたらなんですか?
オーソドックスなのは、村の名前がついたナチュラルチーズですね。賞も取っていて、村の有名なものとして安心して渡せます。たんちょうプラザで手に入りますよ。
地元目線だと、丹頂大根や、生乳をそのまま味わえるソフトクリームもおすすめ。あと近年は村のクラフトビールもあって、お酒好きの人には密かに喜ばれます。
Q4.外から人が来たときに、鶴居村でまず連れていく店はどこですか?
まずは市街地のホテルのレストランに連れていくことが多いです。村の生乳やチーズを使った料理が食べられて、観光の合間にちょうどいいんですよ。
そのあと温泉に入ってもらうのが定番のコース。琥珀色のとろりとしたお湯で、湿原やタンチョウを巡って冷えた体がほどけていく感じを、みんな気に入ってくれます。
Q5.鶴居村はどんな気質だと思いますか?
派手さはないけれど、芯のある人が多いと思います。タンチョウの給餌も観察ルールも、村民が当たり前のように守ってきたもので、自然と人の距離の取り方が上手なんですよね。
移住者にも変に構えず、ほどよい距離で受け入れてくれる土地です。村長をはじめ、景観を守る取り組みにも村ぐるみで向き合っている印象があります。
Q6.昔に比べて、鶴居村の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
子育て世代の移住が増えて、村民センターや学校まわりに若い家族の姿が見えるようになりました。小さな村なので、その変化はけっこう肌で感じます。
一方で、酪農の担い手不足や冬の厳しさは正直そのまま。活気が戻った部分と、変わらない課題が同居しているというのが、生々しいところだと思います。
Q7.鶴居村のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
大きな箱物より、今あるものを生かす動きに期待しています。北海道遺産になった簡易軌道の跡や、運動公園のような場所を、もっと村の外の人と共有できたらいいなと。
観光と酪農、どちらも村の柱なので、タンチョウや湿原の自然を守りながら、チーズのような特産を丁寧に育てていく。その地道な積み重ねが続いてほしいですね。

