弟子屈町(てしかがちょう)は、北海道東部・釧路総合振興局管内にある人口6,260人の町です。摩周湖と屈斜路湖、2つのカルデラ湖を抱える阿寒摩周国立公園の中心地です。
弟子屈町の見どころを5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 摩周湖──1931年に透明度41.6mの世界一記録を観測した「神の湖」
- ✅ 屈斜路湖──周囲57kmの日本最大のカルデラ湖、冬は白鳥が飛来
- ✅ 硫黄山(アトサヌプリ)──今も噴気を上げる活火山と、麓に湧く川湯温泉
- ✅ 第48代横綱・大鵬が少年時代を過ごした郷里(大鵬相撲記念館)
- ✅ 冷涼な気候が育てる摩周そばと、盛んな酪農・乳製品
「火山や湖の地形に惹かれる人」「人混みを離れて温泉でゆっくりしたい人」「冬の厳しい寒さも含めて北海道の自然を味わいたい人」に向いた町です。序盤で観光と地形、中盤で歴史と暮らし、終盤で食を、地元目線で紹介していきます。
| 人口 | 6,260 人 ※2026年4月30日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 774.33 km² |
| 人口密度 | 8.08 人/km² |
弟子屈町はひがし北海道のほぼ中央に位置し、町域の約65%が国立公園に指定されています(出典:北海道釧路総合振興局)。北で小清水町、北東で清里町、東で中標津町、南で標茶町、南西で釧路市と鶴居村(一点で接する)、西で津別町、北西で美幌町と、1市6町1村に接しています。
鉄道はJR釧網本線が通り、摩周駅・川湯温泉駅が玄関口。女満別・たんちょう釧路・中標津の3空港がいずれも車で1時間半圏内にあります(出典:弟子屈町公式ホームページ)。火山・湖・温泉が狭い範囲に凝縮された町を、ひとつずつ見ていきましょう。
弟子屈町の推しポイント

この町の主役は、なんといっても摩周湖と屈斜路湖という2つのカルデラ湖。そこに活火山・硫黄山と川湯温泉が加わり、地形のダイナミックさは道内でも指折りです。さらに、相撲ファンなら見逃せない大鵬ゆかりの地でもあります。それぞれ深掘りしていきますね。
摩周湖──透明度の世界記録を持つ「神の湖」
アイヌの人々が「カムイトー(神の湖)」と呼んだ摩周湖は、流れ込む川も流れ出る川もない閉じた湖です。1931年には透明度41.6mという世界一の記録が観測され、これは今も破られていない数字とされています(出典:国立環境研究所 摩周湖データベース)。深い青は「摩周ブルー」と呼ばれ、霧に包まれる日も多く、晴れて湖面が見えると幸運だと言われています。
屈斜路湖──日本最大のカルデラ湖
屈斜路湖は周囲57km、面積79.7km²におよぶ日本最大のカルデラ湖です(出典:環境省)。湖底から温泉が湧く場所があり、冬でも一部が凍らないため、シベリアから渡ってきたオオハクチョウが羽を休めます。砂浜を掘ると温泉が湧く「砂湯」は、子どもも大人も思わず夢中になる場所なんですよ。
硫黄山(アトサヌプリ)と川湯温泉
硫黄山は今も噴気を上げる活火山で、アイヌ語で「裸の山(アトサヌプリ)」と呼ばれます。この地下のマグマで温められたお湯が、麓の川湯温泉街に湧き出しています。川湯温泉は強い酸性の硫黄泉で、肌にピリッとくる本格派。温泉街を流れる川がそのまま温かい、というのも珍しい光景です。
横綱・大鵬のふるさと
「巨人・大鵬・卵焼き」と謳われた第48代横綱・大鵬は、少年時代を川湯温泉で過ごしました。優勝32回という大記録を打ち立てた大横綱で、川湯温泉街には大鵬相撲記念館があり、全優勝額や化粧まわしなどが並んでいます(出典:摩周湖観光協会)。屋外の銅像の前で記念写真を撮る人も多いですよ。
阿寒摩周国立公園の中心地
町を含む一帯は、1934年に指定された北海道で最も歴史ある国立公園のひとつです。2017年に「阿寒国立公園」から「阿寒摩周国立公園」へ名称変更され、摩周湖・神の子池周辺まで区域が広がりました(出典:環境省)。屈斜路・摩周・阿寒という3つのカルデラが近接する地形は、全国的にも貴重です。
弟子屈町の歴史

弟子屈の歴史は、縄文の昔からこの地に人が暮らしてきたことに始まります。江戸時代にはアイヌの集落が湖畔に営まれ、明治に入ると硫黄の採掘と開拓が町を動かしました。やがて農業と酪農、そして観光が現代の弟子屈を形づくっていきます。
アイヌの暮らしと地名の由来
屈斜路古丹遺跡をはじめ、町内各所に縄文時代の遺跡が残り、古くから人が暮らしていたことがわかっています。江戸時代には、テㇱカカ(弟子屈)やクッチャロ(屈斜路)にアイヌの集落があったことが松浦武四郎らの記録に残されています。「弟子屈」の地名はアイヌ語の「テㇱカカ」に由来し、釧路川を横切る岩盤と、その岸を指したという解釈が知られています(出典:北海道 アイヌ語地名リスト)。
硫黄採掘と開拓の時代
1876年(明治9年)、硫黄山で硫黄の試掘が始まりました。その後、採掘は安田財閥の手に渡り、1887年(明治20年)から本格化。翌1888年には、輸送のため硫黄山と標茶を結ぶ「釧路鉄道」が敷かれました。これは北海道で2番目の鉄道でしたが、資源の枯渇により1896年に操業を停止しています。一方、1880年代からは入植者による農業も始まり、明治末にかけて多くの移民を受け入れました。
現代──観光と酪農の町へ
1954年(昭和29年)には昭和天皇が行幸し、弟子屈小学校に奉迎場が設けられました。長く町の象徴だった営林署は2004年に弟子屈事務所が廃止され、その建物も2023年に解体されています(出典:弟子屈町公式ホームページ)。現在の主要産業は観光と酪農で、摩周湖・屈斜路湖・川湯温泉を目当てに全国から多くの人が訪れます。
弟子屈町の文化・風習

内陸の盆地にある弟子屈の暮らしは、何といっても寒暖差の大きさが特徴です。夏は30℃を超える日もあれば、冬は氷点下30℃近くまで下がる。そんな土地ならではの言葉や暮らしの工夫を、のぞいてみましょう。
方言と話し方の特徴
弟子屈で使われるのは、北海道弁です。なかでもこの町の冬にぴったりなのがしばれる(凍えるほど寒い)。朝の冷え込みを「今朝はしばれたねえ」と言い合うのは、寒さの厳しい内陸ならではです。ほかにもなまら(とても・すごく)、わや(めちゃくちゃ・収拾がつかない様子)、したっけ(そうしたら/それじゃあね)、ゴミを投げる(捨てる)など。疲れたときのこわい(体がだるい・疲れた)も独特で、標準語の「怖い」と勘違いしやすい言葉ですよね。
食卓と季節の暮らし
食卓には、地元の牛乳で作ったアイスクリームやチーズ、新そばの季節には打ちたての摩周そばが並びます。冬は水道の凍結に気をつけながら、温泉で温まるのが日常。町内のあちこちに泉質の異なる温泉が湧き、気軽に立ち寄れる足湯も点在しているので、湯めぐりが暮らしに溶け込んでいるんです。
人の気質と地域のつながり
観光地でありながら人口6,000人規模の小さな町なので、顔の見える距離感が残っています。本州からの移住者も多く、新しく来た人を受け入れる空気があるのも、開拓で育ってきた町ならではかもしれません。屈斜路湖畔ではアイヌ文化を伝える活動も続けられていて、自然と人、文化が地続きで暮らしの中にあります。
弟子屈町の特産品・食

冷涼な気候と火山がもたらす豊かな水が、弟子屈の食を支えています。そばと乳製品を軸に、土地の個性が詰まった味を紹介していきますね。
摩周そば
昼夜の寒暖差が大きい弟子屈は、香り高いそばが育つ土地。地元では摩周湖周辺で生まれた「キタノマシュウ」という品種も栽培されています(出典:国土交通省 北海道開発局)。生産量は多くないぶん、新そばの時季のざるそばは香りが際立ちます。冷たいつゆでさっと手繰ると、のど越しの良さがよくわかりますよ。
牛乳・乳製品(酪農)
観光と並ぶ基幹産業が酪農です。広い牧草地でのびのび育った牛の搾りたて牛乳から、濃厚なソフトクリームやアイスが作られています。観光のあいまにジェラートを頬張る、というのが弟子屈の定番。そばの抜き実を使った「そばの実アイス」もあって、ここでしか出会えない味です。
摩周和牛・阿寒ポーク
摩周湖の麓で一貫生産される「摩周和牛」は、赤身とサシのバランスが良く、高い等級の評価を受けるブランド牛です。豚肉なら近隣産の阿寒ポークも人気。これらを使った豚丼や和牛料理は、町内の食事処でランチに味わえます。脂が軽やかで、ごはんが進む濃さなんですよね。
弟子屈ラーメン
町を代表するご当地グルメが弟子屈ラーメン。豚骨をじっくり煮込んだスープに、魚介の旨みを効かせた「魚介しぼり醤油」が看板です。温泉のあとに体を温める一杯としてもちょうどよく、観光客にも地元の人にも親しまれています。寒い季節こそ、湯気の立つ丼がしみますよ。
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弟子屈町の観光スポット

序盤で触れた摩周湖・屈斜路湖・硫黄山・大鵬は、いざ現地に立つと写真以上の迫力があります。弟子屈町の見どころは「湖と火山」「温泉と湯あそび」「歴史と文化」の3つの軸で押さえると回りやすいんですよ。それぞれの楽しみ方を、ひとつずつ深掘りしていきますね。
湖と火山をめぐる
- 摩周湖第一展望台(摩周湖カムイテラス) – 通称「表摩周」と呼ばれる、摩周湖観光の拠点。展望台は24時間開放、売店のあるカムイテラスは8:30〜17:00の営業です。駐車場は5月1日〜10月31日が有料(乗用車500円・この料金で硫黄山駐車場も1回利用可)、11月1日〜翌4月30日は無料開放されます(出典:楽しむ摩周湖&硫黄山 in 北海道)。屋上の3段デッキに立つと、摩周ブルーの湖面とカムイシュ島が眼下に広がります。風のない日は湖が鏡のように空を映し、夜は360度の星空。早朝の雲海狙いなら夏がおすすめです。
- 摩周湖第三展望台 – 第一展望台より高い位置にあり、摩周湖と一緒に屈斜路湖まで見渡せる展望台。雲海が出る日は、見渡す限りが雲の海に埋め尽くされる光景に出会えることもあります。人が少なめで、静かに眺めたい人に向いていますよ。
- 硫黄山(アトサヌプリ) – およそ1500の噴気孔から白い噴煙が音を立てて上がる活火山で、弟子屈町の「特定自然観光資源」に指定されています。麓のレストハウス「硫黄山MOKMOKベース」は2023年にリニューアルし、採掘の歴史展示や温泉卵が楽しめます(出典:弟子屈なび(摩周湖観光協会))。駐車場のすぐ先まで黄色い硫黄の結晶が広がり、地球の鼓動を間近に感じられます。
- 屈斜路湖・砂湯 – 湖畔の砂を掘ると、たちまち温泉が湧き出す不思議なスポット。24時間・無料で、駐車場も140台分が無料です(出典:弟子屈なび(摩周湖観光協会))。自分サイズの露天風呂を掘る人で夏はにぎやか。冬はここだけ凍らないため、オオハクチョウが羽を休める風物詩が見られます。
- 和琴半島 – 屈斜路湖に突き出した半島で、林の中に無料の露天風呂「コタンの湯」や野湯が点在し、先端のオヤコツ地獄では今も熱湯が湧いています。湖水浴やキャンプの拠点にもなり、半島を1周する遊歩道の散策も気持ちいいですよ。
温泉と湯あそび
- 川湯温泉 – 硫黄山の地下マグマで温められた強酸性の硫黄泉が湧く温泉街。なめると酸っぱいほど個性的な泉質です。温泉街を象徴する「川湯岩盤テラス」は2024年10月にオープンしました(出典:弟子屈なび(摩周湖観光協会))。温泉が流れる川沿いを歩く遊歩道もあり、湯けむりの中を散歩できます。
- 川湯ビジターセンター – 阿寒摩周国立公園の自然を学べる環境省の施設で、入館は無料。硫黄山やつつじヶ原の見どころ、野鳥や動植物の情報を予習してから歩くと、散策がぐっと面白くなります。冬はスノーシューの貸出拠点にもなっています。
歴史と文化に触れる
- 大鵬相撲記念館 – 川湯温泉で少年時代を過ごした第48代横綱・大鵬の記念館。優勝32回を誇る大横綱の優勝額や化粧まわし、写真など約400点が並びます。営業時間は6月〜10月中旬が5:30〜21:00、10月下旬〜5月が9:00〜17:00で、無休・入館有料です(出典:HOKKAIDO LOVE!(北海道観光公式サイト))。屋外の銅像と並んで写真を撮る人も多いですよ。
- つつじヶ原自然探勝路 – 川湯温泉街から硫黄山まで続く、片道およそ2.5km・徒歩約1時間の散策路。酸性土壌を好むエゾイソツツジの群落が広がり、毎年6月〜7月にかけて初夏の川湯を白く彩ります(出典:川湯温泉公式サイト)。森から火山の荒野へ、景色が移り変わる道のりが楽しいんです。
弟子屈町の観光ルート

スポットは点在していますが、車があれば1日でぐるりと回れます。摩周湖と屈斜路湖を結ぶ王道ルート、川湯温泉をのんびり歩く半日ルート、隣町まで足をのばす広域ルートの3つを用意しました。あなたの旅程に合わせて選んでみてください。
【車・1日】摩周湖と屈斜路湖の王道ルート
時系列:9:00 摩周駅 → 9:20 摩周湖第一展望台(車20分) → 10:30 硫黄山(車15分) → 11:30 砂湯(車20分) → 13:30 美幌峠 → 15:00 川湯温泉
①摩周湖第一展望台(60分)→ 朝のうちは霧が晴れていることが多く、澄んだ摩周ブルーに出会える確率が上がります。
②硫黄山(60分)→ 第一展望台と共通の駐車券で立ち寄れます。噴気孔の迫力と硫黄の匂いで、五感が一気に目覚めますよ。
③砂湯(60分)→ 屈斜路湖畔でお昼を取りつつ、砂を掘って足湯を満喫。童心に返れる時間です。
④美幌峠(30分)→ 屈斜路湖を一望する展望スポット。締めは川湯温泉で硫黄泉に浸かり、一日の疲れを流しましょう。
【車・半日】川湯温泉さんぽルート
時系列:13:00 川湯温泉駅 → 13:30 大鵬相撲記念館 → 14:15 川湯ビジターセンター → 15:00 つつじヶ原自然探勝路 → 16:00 硫黄山
①川湯温泉駅(20分)→ 駅舎の足湯で旅の足を温めてからスタート。木の温もりが残るレトロな駅です。
②大鵬相撲記念館(40分)→ 昭和の大横綱の足跡をたどります。相撲を知らなくても、町の誇りが伝わってきます。
③川湯ビジターセンター(40分)→ このあと歩くつつじヶ原の予習に最適。無料なので気軽に立ち寄れます。
④つつじヶ原自然探勝路(60分)→ 森を抜けて硫黄山へ。初夏ならエゾイソツツジの白い花のトンネルが待っています。
【車・1日】広域ルート:清里町まで足をのばす
時系列:9:00 摩周駅 → 9:40 摩周湖第三展望台(車40分) → 10:40 裏摩周展望台 → 11:40 神の子池 → 午後 清里・小清水方面
①摩周湖第三展望台(40分)→ 摩周湖と屈斜路湖を同時に望む贅沢な展望台。広域ドライブの起点にぴったりです。
②裏摩周展望台(30分)→ 反対側の清里町側から摩周湖を見下ろす展望台。霧が少なめで、晴れやすいと言われています。
③神の子池(40分)→ 清里町にある、吸い込まれそうなコバルトブルーの池。摩周湖の伏流水が湧くとも言われる神秘的な場所です。
④午後は清里町・小清水町方面へ。隣り合う町をつなげると、道東の自然の懐の深さを体感できますよ。
弟子屈町の年間イベント

弟子屈町のイベントは、季節そのものを楽しむものが中心です。初夏は花、夏から秋は雲海と紅葉、冬は雪と氷と花火。厳しい寒さも遊びに変えてしまう道東らしさが、年間を通じて感じられます。それぞれの楽しみ方を紹介していきますね。
春〜夏:エゾイソツツジと摩周湖の雲海
初夏に楽しみたいのが、つつじヶ原のエゾイソツツジ。毎年6月〜7月にかけて見頃を迎え、6月上旬〜7月上旬にはガイド付きの早朝散策会も行われています(出典:川湯温泉公式サイト)。同じころ、摩周湖では6月〜9月頃に「奇跡の雲海」と呼ばれる雲海が、早朝の展望台で見られることがあります(出典:弟子屈なび(摩周湖観光協会))。
秋:湖畔と外輪山の紅葉
秋になると、屈斜路湖畔の広葉樹や摩周湖の外輪山がカエデやナナカマドで色づきます。気温がぐっと下がる道東は紅葉の進みが早く、本州よりひと足先に秋を味わえるのが魅力。ドライブしながら、色づく木々のトンネルを抜けるのが気持ちいい季節なんですよ。
冬:摩周☆スノーランドとダイヤモンドダスト
冬の名物が「摩周☆スノーランド」。例年2月に湯の島公園で開かれ、長い雪の滑り台や寒中焼肉、雪合戦日本一決定戦、夜の打ち上げ花火でにぎわいます(出典:弟子屈なび(摩周湖観光協会))。厳冬期の川湯温泉では、空気中の水蒸気が凍ってきらめく「ダイヤモンドダスト」が観測されることもあります(出典:HOKKAIDO LOVE!(北海道観光公式サイト))。雪原を歩くスノーシューも、例年1月〜3月に各施設でギアを借りて楽しめます。
弟子屈町のエリア別の顔

弟子屈町は観光の面で、大きく「摩周エリア」「川湯エリア」「屈斜路エリア」の3つに分けて考えると分かりやすいです(出典:弟子屈なび(摩周湖観光協会))。それぞれ表情がまったく違うので、旅の目的に合わせて拠点を選ぶのがおすすめですよ。
摩周エリア──町の玄関口と神秘の湖
JR摩周駅を中心とした、町の中心市街地を含むエリアです。飲食店や宿、買い物の拠点が集まり、旅の起点にちょうどいい場所。ここから摩周湖の展望台へ車で上がっていきます。摩周そばのお店も点在していて、到着してまず腹ごしらえ、という人に向いています。
川湯エリア──硫黄の香り立つ温泉郷
硫黄山と川湯温泉を擁する、湯けむりのエリア。強酸性の硫黄泉と、温泉街に漂う独特の匂いが、ここに来たことを実感させてくれます。大鵬相撲記念館やつつじヶ原自然探勝路も徒歩圏。温泉にじっくり浸かって連泊したい人にぴったりです。
屈斜路エリア──湖あそびとアウトドアの拠点
日本最大のカルデラ湖・屈斜路湖を中心としたエリア。砂湯や和琴半島、湖畔のキャンプ場が点在し、夏は湖水浴やカヌー、冬は白鳥観察と、アウトドアの楽しみが詰まっています。美幌峠から見下ろす湖の眺めも格別。体を動かして自然を味わいたい人に向いていますよ。
弟子屈町の気候・季節の暮らし

弟子屈町は内陸性の冷涼な気候で、年平均気温は5℃前後。1月の日平均気温は氷点下7℃前後まで下がり、最高気温が0℃に届かない「真冬日」が年におよそ80日あります。川湯では2019年2月9日に−30.9℃を観測するなど、−30℃級の冷え込みも記録される土地です(出典:気象庁)。一方で夏は30℃を超える日もあり、寒暖差の大きさが特徴です。
夏(6月〜8月)──短くも力強い緑の季節
夏は日中こそ暑くなりますが、朝晩はぐっと涼しく、湿度も本州ほど高くありません。クーラーがなくても過ごせる日が多く、夜は窓を開けると涼しい風が入ってきます。摩周湖の雲海が出やすいのもこの時期。短い夏を惜しむように、湖や川でのアウトドアがいちばん輝く季節なんですよ。
秋(9月〜10月)──駆け足で深まる紅葉
9月に入ると朝の空気が一気にひんやりしてきます。屈斜路湖畔や摩周の外輪山が色づき始め、本州より早く秋が深まります。日が短くなるのも早く、夕方には薄手のダウンが欲しくなる日も。ストーブの準備を始めるのがこの頃で、冬支度が暮らしのリズムに組み込まれています。
冬(11月〜3月)──しみ込むような寒さと澄んだ空気
初雪は例年11月上旬。弟子屈町は豪雪地帯に指定されていますが、ドカ雪型というより、厳しい冷え込みが続くのが内陸らしさです。冬の朝は空気が痛いほど澄み、川湯では水蒸気が凍ってきらめくダイヤモンドダストに出会えることもあります。暖房と除雪は必須ですが、温泉が日常にあるのは大きな救いです。
春(4月〜5月)──遅い雪解けと一斉の芽吹き
春の訪れはゆっくりで、4月でも雪が残ることがあります。雪解けが進むと、エゾヤマザクラやフキノトウが一気に芽吹き、町に色が戻ってきます。寒暖差が大きく風の強い日もありますが、長い冬を越えたあとの芽吹きの勢いは格別。生命が動き出す瞬間を肌で感じられる季節です。
弟子屈町の移住・暮らし情報

人口6,260人の弟子屈町は、観光地でありながら病院やスーパー、コンビニ、ドラッグストアがそろい、生活に必要なものはひととおり手に入ります。観光と酪農の町ならではの暮らしぶりを、項目ごとに見ていきますね。
通勤・通学
町内の役場・病院・観光関連施設・農業に従事する人が多く、通勤はおおむね車。冬の通勤は除雪と暖機運転がセットになります。隣接する標茶町や中標津町方面へ車で通う人もいます。鉄道はJR釧網本線が通り、市街地の玄関口は摩周駅です。
住宅環境
賃貸物件の数は多くなく、移住では空き家の活用や戸建ての購入が選択肢になりやすいエリアです。弟子屈町は空き家・住み替え物件の情報や、移住体験ができる物件、各種補助金の案内を移住ポータルで公開しています(出典:北海道弟子屈町 移住・定住ポータルサイト)。市街地の摩周エリアは生活導線がコンパクト、川湯エリアは温泉付きの暮らし、屈斜路エリアは自然に近い住まいが見つかりやすい傾向です。
買い物環境
市街地の摩周エリアにスーパーやコンビニ、ドラッグストアが集まり、日常の買い物はここで完結します。大型のショッピングモールはないため、まとめ買いや専門店での買い物は釧路・北見方面へ車で出る人が多いです。とはいえ、毎日の食料品で困る場面は少ないですよ。
子育て・教育
町立小学校は4校で、美留和小学校は学校区に関係なく通える特認校制度を導入しています。中学校は弟子屈中学校と川湯中学校の2校、高校は北海道弟子屈高等学校があります(出典:北海道弟子屈町 移住・定住ポータルサイト)。子育て支援では、保育料の無料化、高校生世代までの入院・通院費助成、放課後児童クラブなどが整えられています(出典:北海道釧路総合振興局)。少人数ならではの手厚い教育を受けられるのが魅力です。
医療環境
町内には病院・クリニックが5軒あり、中核となるのが救急指定の摩周厚生病院です(出典:北海道弟子屈町 移住・定住ポータルサイト)。内科・外科・整形外科などに対応しており、人口規模に対して医療が比較的そろっているのは、暮らしの安心材料になります。高度・専門的な医療は釧路方面の病院が受け皿になります。
エリア別の暮らし視点
住む視点で見ると、買い物・通学・通院がまとまった摩周エリアが最も生活しやすく、子育て世帯にも向いています。川湯エリアは温泉が身近にある一方、市街地まで車での移動が前提。屈斜路エリアは自然との距離が近く、アウトドア好きやのんびり暮らしたい人に向いていますよ。
弟子屈町へのアクセス

弟子屈町はひがし北海道のほぼ中央にあり、車で1時間前後の距離に3つの空港があるのが強みです。鉄道はJR釧網本線が通り、市街地へは摩周駅が玄関口。主要な行き方を交通手段ごとに整理します。
車でのアクセス
町中心部までの所要時間は、たんちょう釧路空港からおよそ1時間10分(約69km)、女満別空港からおよそ1時間10分(約65km)、中標津空港からおよそ50分(約51km)です(出典:弟子屈町公式ホームページ)。各空港から町内を結ぶ公共交通は弱いため、レンタカーなど車での移動が現実的です。
鉄道+バスでのアクセス
町内にはJR釧網本線の摩周駅(市街地)、川湯温泉駅(川湯地区)、美留和駅、南弟子屈駅の4駅があります(出典:弟子屈町公式ホームページ)。特急が停まる釧路駅から釧網本線でおよそ1時間半前後、摩周駅・川湯温泉駅へ向かいます。最新の時刻・運賃はJR北海道のサイトで確認できます(出典:JR北海道)。
飛行機でのアクセス
首都圏からは、羽田から釧路・女満別への直行便を使い、空港からレンタカーで町へ入るのが分かりやすいルートです。札幌(新千歳・丘珠)からの便もあります。3空港のうち、町に最も近いのは中標津空港で、便数の多さなら釧路・女満別が便利。旅程に合わせて使い分けられます。
町内移動の現実的アドバイス
観光スポットは摩周・川湯・屈斜路の各エリアに点在し、路線バスの本数も限られるため、レンタカーがあると行動の自由度が一気に上がります。冬季は路面の凍結や降雪があるので、冬タイヤと時間に余裕を持った運転を心がけると安心ですよ。
【地元住民に直撃!】弟子屈町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
酪農をやっています。朝晩の搾乳に追われる毎日で、もう何十年もこの土地で牛と暮らしてきました。弟子屈の冷涼な気候は牛にとってはありがたくて、夏でも本州ほど蒸し暑くならないんです。
うちの牛乳がアイスクリームやチーズになって、観光に来た方の口に入るのは、やっぱり嬉しいものですよ。寒さは厳しいけれど、ここの水と草があってこその仕事だと思っています。
Q2.弟子屈町に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
有名どころなら、やっぱり摩周湖と屈斜路湖。摩周湖は霧が晴れた瞬間の青がもう別世界で、運よく見られたら一日得した気分になります。
地元の人間がよく行くのは、屈斜路湖の砂湯ですね。砂を掘ると足元から温泉が湧いて、湖の風と鳥の声しか聞こえない。早朝にひとりで行くと、湯気の向こうに白鳥がいて、町の宝だなと感じます。
Q3.弟子屈町でお土産を買うとしたらなんですか?
定番は地元の牛乳で作ったソフトクリームやチーズ、それから摩周そばですね。冷涼な土地で育ったそばは香りが立っていて、贈ると喜ばれます。
地元の人間がこっそり買うのは、そばの抜き実を使ったそばの実アイス。観光案内にはあまり大きく出ませんが、これがしみじみおいしいんですよ。摩周メロンも夏場の楽しみです。
Q4.外から人が来たときに、弟子屈町でまず連れていく店はどこですか?
まずは弟子屈ラーメンのお店に連れていきます。魚介をきかせた醤油のスープが体に染みて、初めての人はだいたい驚きますね。
あとは摩周そばの手打ちを出すお店。地場の摩周和牛や豚丼と一緒に食べられる店もあって、「これがこの町の味です」と胸を張って案内できます。寒い時期ほど、温かい一杯のありがたみが伝わると思います。
Q5.弟子屈町はどんな気質だと思いますか?
開拓と移住で育ってきた町なので、新しく来た人をすっと受け入れる空気があります。距離の取り方が上手で、世話を焼きすぎず、でも困っていたら必ず手を貸してくれる。
本州から移り住む人も多くて、観光や農業の現場で自然に混ざり合っています。厳しい冬を一緒に越す仲間意識のようなものが、根っこにあるのかもしれませんね。
Q6.昔に比べて、弟子屈町の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言えば、人は減りました。子どもの頃に比べると店も学校も少なくなって、静かになったなと感じる場面はあります。
その一方で、移住してきた若い人が温泉街やカフェで新しいことを始めたり、観光の見せ方も工夫されるようになりました。摩周湖の展望台もきれいに生まれ変わって、町の表情は確実に明るくなってきていると思いますよ。
Q7.弟子屈町のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
川湯温泉に岩盤テラスができて、温泉街にまた人が戻ってきている感じがします。町長をはじめ、中心市街地を作り直していこうという動きにも期待しています。
運動公園や住民センターのような町民が集まる場所が元気でいてくれること、そして摩周湖や水源の自然をきちんと守りながら観光を続けていくこと。それが結局、この町の暮らしを支えるんだと思っています。

