士幌町(しほろちょう)は、北海道十勝地方の北部にある人口5,595人の農村の町です。十勝の中心都市・帯広市から北へ約30km。
士幌町の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 「農村ユートピアの創造」を掲げたJA士幌町──原料生産だけでなく加工・販売まで農民が担う先進的な農協
- ✅ 東洋一と呼ばれたジャガイモコンビナート──馬鈴薯の集出荷とでん粉加工の一大拠点
- ✅ 道の駅ピア21しほろ──生産者還元用ポテトチップやしほろ牛グルメが味わえる
- ✅ ブランド牛「しほろ牛」──赤身のうまみが自慢の肉牛肥育の町
- ✅ 畑作と畜産が融合した純農村──ジャガイモ・小麦・てん菜・豆類と肉牛・酪農
「日本の食を支える農業の現場を見たい人」「ジャガイモやしほろ牛のグルメを味わいたい人」「のんびりした農村への移住を考えている人」に向いた町です。本記事では、推しポイント・歴史・文化・特産品まで、士幌町の素顔を地元目線で紹介します。
| 人口 | 5,595 人 ※2026年4月30日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 259.19 km² |
| 人口密度 | 21.6 人/km² |
士幌町は帯広市から北へ約30kmの十勝内陸にあり、東は本別町、西は鹿追町、南は音更町、北は上士幌町、南東で池田町と、5つの町に接しています(出典:士幌町公式サイト)。町内に鉄道は通っておらず、鉄道の最寄りはJR帯広駅です。
総面積の半分以上を農地が占める純農村地帯で、ここには「農村ユートピア」を掲げた農業の物語が詰まっています。順番に見ていきましょう。
士幌町の推しポイント

士幌町の顔は、なんといっても農業です。なかでもJA士幌町は「農村ユートピアの創造」を掲げ、ジャガイモを加工・販売まで自分たちの手で行う仕組みを早くから築いてきました。その象徴が町内のジャガイモコンビナート。そして道の駅ピア21しほろでは、ここでしか買えないポテトチップやしほろ牛グルメが楽しめます。北西部には大雪山系の山々と高原も広がります。それぞれ見ていきましょう。
推しポイント1:「農村ユートピアの創造」を掲げたJA士幌町
士幌町を語るうえで欠かせないのがJA士幌町です。「農畜産物の原料をつくるだけでなく、加工・流通・販売まで農民自身が担い、付加価値を得よう」という考えを礎に発展してきました(出典:JA士幌町)。「生産から加工・消流まで」を合言葉にした農業のかたちは、全国的にも知られています。
推しポイント2:東洋一と呼ばれたジャガイモコンビナート
町内には、ばれいしょの集出荷・貯蔵施設とでん粉工場が集まる大規模拠点があります。貯蔵庫は約13万トンの貯蔵能力をもち、生食用の選果場は1日あたり約300トンを処理する規模です(出典:農畜産業振興機構、2017年)。「東洋一」とも称された、ジャガイモの町ならではの光景なんですよ。
推しポイント3:道の駅ピア21しほろとしほろ牛
牛舎を思わせる屋根が目印の道の駅ピア21しほろは、士幌の食が集まる場所。町特産のジャガイモを使ったフライドポテトや、ブランド牛「しほろ牛」のメニューが味わえます(出典:道の駅ピア21しほろ)。一番人気は、生産者還元用としてつくられるポテトチップ。近隣の一部の店でしか手に入らない地域限定品で、箱買いする人も多いんですよ。
推しポイント4:士幌高原ヌプカの里と東ヌプカウシヌプリ
町の北西部は大雪山国立公園域にかかり、東ヌプカウシヌプリの山麓には士幌高原が広がります。高原にある「士幌高原ヌプカの里」からは、十勝平野を一望できます。畑とはまた違う、山あいの景色を楽しめるエリアです。
士幌町の歴史

士幌町の歩みは、明治期の入植から始まります。岐阜県からの開拓者が大地を切り開き、やがて音更村から分村して一つの村となりました。その後、農協を軸にした農業の近代化が進み、現在の「農と加工の町」が形づくられていきます。大きく3つの時代に分けて整理します。
開拓の始まり──岐阜からの入植
現在の士幌町への本格的な入植は1898年(明治31年)でした。岐阜県で設立された美濃開墾合資会社の一行(43戸)が中士幌へ入植し、開拓を始めました(出典:士幌町公式サイト)。岐阜とのつながりは深く、後に岐阜県美濃市と姉妹都市提携を結んでいます。
川上村から士幌村、そして町制施行へ
1921年(大正10年)、音更村から分村して川上村が誕生しました。1926年(大正15年)には川上村から士幌村へと改称されます。その後、1931年(昭和6年)に上士幌方面が分村して上士幌村となりました。そして1962年(昭和37年)、町制施行により士幌町が成立しました。なお町名は、アイヌ語に由来すると伝えられています。
現代──農協が築いた士幌の今
戦後の士幌を方向づけたのが、農協を軸とした農業の近代化でした。1955年(昭和30年)には大規模なでん粉工場が建設され、加工事業への進出が本格化します。この流れを率いたのが、元士幌農協組合長で、よつ葉乳業の創業にも関わった太田寛一でした。かつて町内を走った国鉄士幌線は1987年に廃止されましたが、農と加工を結ぶ町の姿は今も受け継がれています。
士幌町の文化・風習

方言と話し方の特徴
士幌町を含む十勝地方では、北海道弁が日常的に使われています。旅行で訪れたとき耳にしそうな言葉を、いくつか紹介しますね。標準語に置き換えると、こんな意味になります。
なまら(とても・すごく)、したっけ(そしたら/それじゃあ。接続詞にも別れのあいさつにも使う)、なんも(どういたしまして・気にしないで)、(手が)こわい(疲れた・だるい)、なげる(捨てる)、押ささる(意図せず押してしまう)など。お礼を言ったときに「なんも、なんも」と返されたら、それは「気にしないで」という温かい返事なんですよ。
農村の四季と食卓
士幌の暮らしは、畑の季節とともにあります。春は雪どけとともに種いもの植え付けが始まり、夏には一面の畑が緑に染まります。秋は収穫の季節。ジャガイモやてん菜、小麦が次々と運ばれていきます。食卓には、ゆでたてのジャガイモや、しほろ牛を使った料理が並ぶことも。冬はぐっと冷え込み、内陸性の気候で気温が氷点下20度を下回る日もあります。
祭りと人のつながり
町では季節ごとに祭りが開かれます。秋には収穫に感謝する「しほろ収穫祭」があり、しほろ牛のカットステーキやジャガイモ・玉ねぎの袋つめ放題などでにぎわいます(出典:士幌町公式サイト)。夏には花火大会も開かれ、農作業の合間に人が集まります。小さな町だからこそ、住民同士の距離が近く、顔の見えるつながりが残っているのが士幌らしさです。
士幌町の特産品・食

特産品1:馬鈴薯(ジャガイモ)
士幌町といえば、やっぱりジャガイモです。十勝は北海道を代表するばれいしょの産地で、士幌町内には集出荷・貯蔵・でん粉加工までを担う大規模施設が集まっています(出典:農畜産業振興機構、2017年)。植え付けは4月中旬〜5月中旬、収穫は秋。でん粉をたっぷり蓄えたホクホクの食感が持ち味で、ゆでても焼いても、コロッケにしてもおいしいんですよ。道の駅では、士幌産のじゃがいもを使った「じゃがいも大福」も人気です。
特産品2:しほろ牛
きれいな空気と水で育てられたブランド牛が「しほろ牛」です。赤身のうまみがしっかり感じられるのが特徴で、町内の道の駅ピア21しほろでは、ステーキやハンバーガー、肉まんなどさまざまなメニューで味わえます(出典:道の駅ピア21しほろ)。畑作と畜産が融合した士幌だからこそ、地元でつくられた肉をその場で食べられるのが贅沢ですよね。
特産品3:でん粉・ポテトチップなどの加工品
士幌町の強みは、原料を加工品にまで仕上げてしまうところ。ジャガイモから取れるでん粉や、生産者還元用としてつくられるポテトチップは、士幌ならではの一品です。このポテトチップは近隣の一部の店でしか買えない地域限定品で、油が軽くてついつい手がのびる味。お土産にも喜ばれます。畑からテーブルまでを一つの町でつなぐ、士幌らしい食の形がここにあります。
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士幌町の観光スポット

士幌町の観光は、「農と食」「高原の自然」「温泉」「開拓の歴史」の4つを押さえると、町の輪郭がぐっとはっきりします。序盤で触れた道の駅やジャガイモの町ならではの食、そして標高600mの高原まで、見どころは市街地から車で20〜40分の範囲にまとまっています。まずは個別のスポットを掘り下げていきますね。
しほろの「食」が集まる道の駅
- 道の駅ピア21しほろ – 牛舎を思わせるマンサード屋根が目印の道の駅。町特産のジャガイモを使った「しほろスタイルフライドポテト」や、ブランド牛「しほろ牛」のメニュー、じゃがいも大福などが揃います(出典:道の駅ピア21しほろ)。一番人気は、生産者還元用としてつくられる地域限定のポテトチップ。畑に囲まれたテラスで、揚げたてのポテトを頬張る時間は士幌ならではですよ。
高原と温泉でくつろぐ
- 士幌高原ヌプカの里 – 大雪山系・東ヌプカウシヌプリの山麓、標高600mの高原にある施設。コテージは1棟8,000円から(別途1人あたりの加算料金あり)、キャンプも楽しめます。営業は10:00〜16:00で火曜定休、冬期は休業します(出典:士幌高原ヌプカの里)。十勝平野を一望する展望台からの眺めは圧巻で、夜になると降るような星空が広がります。焼肉ハウスではジンギスカンやしほろ牛(要予約)も味わえるんですよ。
- しほろ温泉プラザ緑風(道の駅しほろ温泉) – 下居辺の森に囲まれた、植物性のモール温泉が楽しめる温泉宿。茶褐色のお湯は「美人の湯」と呼ばれ、全浴槽が源泉かけ流しです。2025年4月にリニューアルオープンしました(出典:しほろ温泉プラザ緑風)。とろりとした湯ざわりで、湯上がりの肌がしっとりするのが評判。日帰り入浴もでき、足湯やパークゴルフ場も併設されています。
開拓の歴史にふれる
- 美濃の家・伝統農業保存伝承館 – 町の発祥の地である中士幌地区にある施設。明治31年に岐阜県美濃から入植した開拓団の暮らしや農業の道具を展示し、開拓当時の生活を伝えています(出典:士幌町公式サイト)。士幌の物語がどこから始まったのかを知ってから町を回ると、畑の風景の見え方が変わってきます。
士幌町の観光ルート

士幌町は鉄道が通っていないので、旅の基本は車になります。十勝の玄関口・JR帯広駅を起点にすれば、町内をぐるりと回る1日コースも、高原に絞った半日コースも組めますよ。十勝北部をまたぐ広域ルートと合わせて、3つ紹介しますね。
【車・1日】士幌まるごと満喫ルート(町内完結)
9:00 JR帯広駅 → 9:40 道の駅ピア21しほろ(車40分)→ 11:00 美濃の家・伝統農業保存伝承館(車20分)→ 12:30 士幌高原ヌプカの里(車30分)→ 15:30 しほろ温泉プラザ緑風(車40分)
①道の駅ピア21しほろ(60分)
→ まずはここで腹ごしらえ。しほろ牛のメニューやフライドポテトで、士幌の食を体に入れてから出発するのがおすすめです。
②美濃の家・伝統農業保存伝承館(45分)
→ 開拓の原点を学べる中士幌へ。畑の広がる集落を抜けていく道のりも、士幌らしい時間です。
③士幌高原ヌプカの里(150分)
→ 午後は高原へ。展望台で十勝平野を見渡し、焼肉ハウスやロッジでゆっくりするのに昼過ぎの光がちょうどいいですよ。
④しほろ温泉プラザ緑風(90分)
→ 締めはモール温泉。一日歩いた体を、とろりとしたお湯でほぐして帰りましょう。
【車・半日】高原ドライブルート(町内完結)
13:00 道の駅ピア21しほろ → 13:30 士幌高原ヌプカの里(車20分)→ 16:00 下山
①道の駅ピア21しほろ(30分)
→ ソフトクリームや大福をテイクアウトして、高原へのドライブのお供にします。
②士幌高原ヌプカの里・展望台(60分)
→ ゆるやかな坂を登りきると、目の前に大パノラマ。晴れた午後は遠くまで見通せます。
③高山植物園(30分)
→ 大雪山系で見られる植物を間近に観察できます。散策しながら高原の風を感じてください。
④ロッジヌプカ(30分)
→ 喫茶メニューで一息。山を眺めながらのコーヒーは、半日コースのいい締めくくりになりますよ。
【車・1日】十勝北部 広域ルート
9:00 JR帯広駅 → 9:30 道の駅おとふけ(音更町・車30分)→ 11:00 道の駅ピア21しほろ(士幌町・車30分)→ 12:40 士幌高原ヌプカの里(車30分)→ 15:00 ぬかびら源泉郷・上士幌町鉄道資料館(上士幌町・車60分)
①道の駅おとふけ(60分)
→ 隣町・音更町から旅をスタート。十勝の農産物に触れてウォーミングアップです。
②道の駅ピア21しほろ(60分)
→ 士幌町へ移動して昼食。しほろ牛とポテトで、この旅のメインをしっかり味わいます。
③士幌高原ヌプカの里(90分)
→ 高原から十勝平野を見渡し、北へ向かう前に景色を目に焼き付けましょう。
④上士幌町鉄道資料館(60分)
→ さらに北の上士幌町へ。かつて士幌町も走っていた旧国鉄士幌線の歴史を学べます。アーチ橋めぐりの拠点にもなりますよ。
士幌町の年間イベント

士幌町のイベントは、農業の町らしく「収穫」と深く結びついています。夏の花火から秋のジャガイモ・収穫祭、冬の氷のイベントまで、季節ごとに町が動きます。それぞれの時期に訪れる楽しみを紹介しますね。
夏:しほろっち夏祭り花火大会
夏に訪れるなら押さえたいのが、商工会青年部が主催する「しほろっち夏祭り花火大会」。毎年7月に士幌町コミュニティ広場で開かれます(出典:士幌町商工会)。縁日やステージ、お菓子まき大会で日中からにぎわい、夜は花火で締めくくられます。十勝でも早い時期の花火大会で、夏の始まりを告げる行事として親しまれているんですよ。
秋:しほろじゃがいもまつり・しほろ収穫祭
秋は士幌が一番盛り上がる季節です。9月には道の駅ピア21しほろで「しほろじゃがいもまつり」が開かれ、農家さんが見つけた「ヘンテコじゃがいも」を競う選手権など、ジャガイモづくしの企画が並びます(出典:十勝士幌町観光協会)。
10月には「しほろ収穫祭」。実りの秋に感謝するお祭りで、しほろ牛のカットステーキやジャガイモ・玉ねぎの袋つめ放題などでにぎわいます(出典:士幌町公式サイト)。とれたての味覚を求めて、町民も観光客も集まる一日です。
冬:Shihoro on ICE
冬の士幌では、近年「Shihoro on ICE」という氷を楽しむイベントが開かれています(出典:十勝士幌町観光協会)。氷点下20度を下回る日もある内陸の寒さを、逆に楽しみに変える試みです。澄んだ冬の夜空のもとで過ごす時間は、寒さも忘れる特別な体験になりますよ。
士幌町のエリア別の顔

士幌町は、中心の市街地から南の発祥の地、東の温泉地、北西の高原まで、エリアごとに表情が違います。行政上の地区(字)にそって、旅する目線で4つのエリアを見ていきましょう(出典:士幌町公式サイト)。それぞれ「こんな時に訪れたい」という顔があるんですよ。
士幌(本町)エリア──町の玄関口
役場や道の駅ピア21しほろがある町の中心部です。買い物や食事、観光情報の収集はこのエリアで。旅の起点として、まず立ち寄りたい場所です。畑に囲まれた市街地で、農業の町らしい開放感が感じられます。
中士幌エリア──開拓が始まった土地
本町から南へ約10kmの、士幌町発祥の地。美濃の家・伝統農業保存伝承館があり、開拓の歴史をたどりたい人に向いています。今も開拓団の二世・三世が農業を続けており、静かな農村の風景が広がります。歴史に興味がある旅にぴったりのエリアです。
居辺(おりべ)エリア──森と湯のいやし
町の東側、丘陵と森に抱かれたエリア。しほろ温泉プラザ緑風があり、ドライブの締めにひと風呂浴びたいときにおすすめです。深い緑に囲まれた静けさの中で、モール温泉にゆっくり浸かれます。のんびり過ごしたい人向けの場所ですね。
士幌高原(上音更)エリア──空に近い絶景
町の北西部、大雪山系の山麓に広がる高原エリア。士幌高原ヌプカの里があり、絶景と星空を求める人に向いています。標高600mから十勝平野を見下ろす眺めは、町なかとはまるで別世界。アウトドアや写真を楽しみたい旅で訪れたいエリアです。
士幌町の気候・季節の暮らし

士幌町の気候は、内陸性で夏と冬の寒暖差が大きいのが特徴です。年平均気温は約6.5℃で、冬は氷点下20度を下回ることもあります(出典:士幌町公式サイト)。一方で十勝らしく晴天が多く、積雪は比較的少なめ。雪国というより「寒さと乾燥の町」と考えるとイメージしやすいですよ。
夏──6月〜8月の暮らし
夏は短いながらも、農作業が一年で最も忙しい季節です。日中は30度近くまで上がる日もありますが、湿度が低くカラッとしているので、本州の蒸し暑さとは別物。朝晩はぐっと涼しくなります。
畑が一面の緑に染まり、夕方には涼しい風が抜けていきます。クーラーがなくても過ごせる日が多く、北海道らしい爽やかな夏を体感できますよ。
秋──9月〜10月の暮らし
秋は収穫の季節。ジャガイモやてん菜、小麦が次々と運ばれ、町全体が活気づきます。10月の収穫祭やじゃがいもまつりは、まさにこの実りの時期に開かれます。
朝晩の冷え込みが日に日に増していき、10月後半には初雪の便りも。短い秋を惜しむように、紅葉と農作業が同時に進む独特の風景が広がります。
冬──11月〜3月の暮らし
冬は十勝らしい底冷えの季節です。隣接する上士幌の観測点では、平年で1月の平均気温が氷点下7.7℃まで下がります(出典:気象庁)。同観測点の年間降雪量合計は平年で約360cmと、日本海側に比べれば積雪は控えめです。
その代わり、晴れた朝の冷え込みは強烈で、空気が澄んで星空がよく見えます。住むなら、車の冬装備と住宅の暖房はしっかり備えておきたいところですね。
春──4月〜5月の暮らし
春の訪れは本州よりずっと遅め。土壌の凍結が深いため、春耕期も遅くなります(出典:士幌町公式サイト)。
雪どけとともに種いもの植え付けが始まり、町に再び農作業の音が戻ってきます。季節風が強く吹く日も多いですが、それも長い冬が明けた合図。畑が動き出す、希望の季節です。
士幌町の移住・暮らし情報

士幌町で暮らすということは、農業を中心に回る町のリズムの中で生活するということです。町面積の約6割が農用地で、買い物や病院は町内である程度そろい、足りない部分は車で帯広へ。コンパクトな町ならではの暮らしを、項目ごとに見ていきましょう。
通勤・通学
町内の農業・関連施設で働く人が多い一方、車で帯広市方面へ通勤する人もいます。士幌町から帯広までは車でおよそ35分なので、十勝の中心部も通勤圏です。生活の足は基本的に車になります。
住宅環境
小さな町なので賃貸物件は多くなく、戸建てや町営・公営住宅が暮らしの中心になります。具体的な家賃相場を示せる公開データは見当たらないため、住まい探しは町への相談から始めるのが確実です。畑に囲まれた、ゆとりある住環境が魅力ですよ。
買い物環境
日常の買い物は、JA士幌町のAコープ(ASPO)など町内の店舗で済ませられます。まとまった買い物や専門店は、車で35分の帯広へ出るのが一般的。日用品は町内、休日のまとめ買いは帯広、という使い分けになりそうです。
子育て・教育
町内には小学校・中学校に加え、農業を学べる北海道士幌高等学校があります(出典:士幌町公式サイト)。士幌高校は道の駅と連携した商品開発でも知られ、地域とのつながりが深い学校です。認定こども園もあり、子育て世代の受け皿が町内にそろっています。
医療環境
町には町立の士幌町国民健康保険病院があり、日常の医療を支えています(出典:士幌町公式サイト)。より高度な医療が必要なときは、車で帯広市の総合病院へ向かうことになります。いざというときの移動も、やはり車が前提になりますね。
エリア別の暮らし視点
暮らすなら、役場や店が近い士幌(本町)エリアが便利です。中士幌や居辺、上音更といった周辺エリアは、より農村らしい静かな環境。畑や森に近い暮らしを求める人に向いています。中心部か、自然の近くか。どちらを取るかで生活の色が変わります。
士幌町へのアクセス

士幌町へは、十勝の玄関口・帯広を経由するのが基本です。町内に鉄道はないため、最終的には車かバスでのアクセスになります。空港・鉄道・車、それぞれのルートを見ていきましょう。
車でのアクセス
帯広市内からは国道241号で約28km、車でおよそ35分です(出典:十勝士幌町観光協会)。札幌方面からは道東自動車道を使い、音更帯広ICで下りるルートが一般的。とかち帯広空港からは約90分が目安です。
鉄道+バスでのアクセス
鉄道利用の場合は、JR根室本線の帯広駅が起点です。帯広駅前バスターミナル⑥のりばから士幌方面のバスに乗り、士幌の待合所まで約55分でアクセスできます(出典:士幌町公式サイト)。本数は多くないので、事前に時刻を確認しておくと安心です。
飛行機でのアクセス
道外からは、とかち帯広空港の利用が便利です。空港から帯広駅へは連絡バスで約40分(出典:とかち帯広空港)。帯広駅からさらに車やバスで士幌へ向かう流れになります。新千歳空港からの場合は、帯広まで都市間バスや車で2時間以上を見ておきましょう。
町内移動の現実的アドバイス
観光でも暮らしでも、士幌は車があると一気に動きやすくなります。道の駅・高原・温泉はそれぞれ離れているので、レンタカーがおすすめです。冬季は路面が凍結するため、運転に慣れていない方は時間に余裕を持った計画を立ててくださいね。
【地元住民に直撃!】士幌町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
士幌のジャガイモを加工する仕事をしています。でん粉やポテトチップになっていく工程を見守る仕事ですね。畑から運ばれてきたいもが製品になるまで、ずっと携わっています。
士幌で採れたものを士幌で形にして送り出す、その流れの中にいられるのは誇りです。地味な現場ですけど、町の根っこを支えている実感がありますよ。
Q2.士幌町に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
有名どころなら、やっぱり士幌高原ヌプカの里です。標高600mから十勝平野を見下ろすと、畑が碁盤の目みたいに広がっていて、夜は降ってきそうな星空。観光で来たなら外せません。
地元の人間としては、町の水源にもなっている音更川沿いの何でもない農道が好きですね。夕方、トラクターの音だけが響く中を歩くと、士幌の素の空気に触れられる気がします。
Q3.士幌町でお土産を買うとしたらなんですか?
定番は道の駅ピア21しほろの、生産者還元用ポテトチップ。ここと近隣でしか買えないので、士幌観光のお土産にはぴったりです。じゃがいも大福も喜ばれますよ。
地元ならではだと、士幌の有名なものはやっぱりしほろ牛。冷凍ハンバーグを箱で買って帰る人が多いです。私はこっそり、加工用のフライドポテトを冷凍で持たせます。
Q4.外から人が来たときに、士幌町でまず連れていく店はどこですか?
まずは道の駅ピア21しほろの食堂ですね。しほろ牛のステーキやハンバーガーを食べてもらえば、この町が何でできているか一口で伝わります。畑に囲まれたテラスも気持ちいいんですよ。
時間があれば、しほろ温泉プラザ緑風まで足をのばします。茶色いモール温泉に浸かってもらうと、みんな「肌がすべすべになった」と驚きます。観光の締めにちょうどいい場所です。
Q5.士幌町はどんな気質だと思いますか?
派手さはないけれど、芯が強い人が多い土地です。農協を軸に「自分たちで作って自分たちで売る」という考えが根づいているからか、地に足のついた人が多い印象ですね。
よそ者を遠ざけることはないけれど、距離はゆっくり縮める。一度懐に入れば、町民センターの集まりなんかでもよく声をかけてくれる、温かさのある気質だと思います。
Q6.昔に比べて、士幌町の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言うと、人は確実に減りました。私が子どもの頃よりお店も学校行事も小さくなって、空き家も増えています。農業の機械化が進んで、働く人の姿も以前より少なく見えますね。
その一方で、道の駅がきれいになって観光で立ち寄る人は増えました。町長のもとで運動公園や施設の整備も続いていて、静かだけど前を向いている、そんな変わり方だと感じています。
Q7.士幌町のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
大きな目玉ができるという話より、今あるものを磨く動きに期待しています。去年リニューアルしたしほろ温泉のように、地道に手を入れていくやり方が士幌らしいと思うんです。
あとは士幌高校の生徒さんと農家、道の駅が一緒に商品を作る取り組み。ああいう若い力と町の観光がつながっていくと、加工の現場にいる身としても本当に頼もしいですね。

