山元町(やまもとちょう)は、宮城県の最南東端・太平洋沿岸に位置する人口11,191人の町です。亘理郡に属し、南は福島県と接します。仙台市から常磐線・常磐自動車道で結ばれています。
山元町の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ ミガキイチゴ──震災から復活した「食べる宝石」。亘理町と並ぶ東北最大級のいちご産地
- ✅ 山元トレーニングセンター──皐月賞馬ソールオリエンスらを育てた社台グループの東北拠点
- ✅ ホッキ貝──磯浜漁港は宮城県内一の水揚げ。郷土料理「ほっきめし」の本場
- ✅ 坂元城(蓑首城)跡──サンドウィッチマン伊達みきおの先祖・大條家が250年治めた地
- ✅ 八重垣神社の夏祭り──神輿を担いで海の中を進む、勇壮な「お天王さま」
「いちごや火山ではなく“競走馬と海の幸”という意外な顔を持つ町を知りたい人」「東日本大震災からの復興の今を見たい人」「仙台に近い静かな移住先を探している人」に向いた町です。本記事では、特産・歴史から食卓や方言、地域の暮らしまで、序盤・中盤・終盤に分けて紹介します。
| 人口 | 11,191 人 ※2026年5月1日時点(推計人口) |
|---|---|
| 面積 | 64.31 km² |
| 人口密度 | 174 人/km² |
地理的には、北は亘理町、西は角田市、南西は丸森町に接し、南は福島県の新地町と境を接します。東は太平洋(仙台湾)に面し、西には阿武隈山地の北端が連なります(出典:山元町公式サイト)。
町は西の山地、中部の台地(畑・果樹園)、東の低地(水田)と、西高東低の地形がきれいに連続しているのが特徴です。仙台市と常磐線・常磐自動車道(山元IC)で結ばれ、通勤・通学に使う人もいます。
いちご、競走馬、ホッキ貝、そして伊達ゆかりの城跡。小さな町にぎゅっと詰まった顔を、ひとつずつ見ていきましょう。
山元町の推しポイント

この町を語るうえで外せないのが、震災から立ち上がった「いちご」と、海沿いに似合わない「競走馬」という意外な組み合わせです。さらに冬の味覚ホッキ貝、伊達の名を受け継ぐ坂元城跡、神輿が海へ入る夏祭りまで。産業・スポーツ・歴史・文化が、それぞれまったく違う表情を見せてくれます。ここからは代表的な4つを少し深掘りしていきます。
推しポイント1:ミガキイチゴ──震災から生まれた「食べる宝石」
かつてのいちご産地は2011年の津波で壊滅的な被害を受けましたが、ヤシ殻を使う高設栽培やIT管理を取り入れて再生しました。その象徴が、樹上で完熟させてから出荷する高級ブランド「ミガキイチゴ」です(出典:ミガキファーム)。山元町は隣の亘理町と並んで、東北最大級のいちご産地として知られています(出典:みやぎ移住・交流ガイド(宮城県))。いちご狩りやカフェも町内に点在しています。
推しポイント2:山元トレーニングセンター──名馬を育てる社台の東北拠点
坂元地区の高台には、社台グループの競走馬育成施設「山元トレーニングセンター」があります(出典:社台レースホース)。1992年に開設され、約300頭を収容できる規模で、ウッドチップの周回コースと坂路を備えています。皐月賞を制したソールオリエンスや二冠牝馬スターズオンアースなど、近年のG1を沸かせた馬たちがここで調整されてきました。海沿いの小さな町が、日本競馬の一翼を支えているんですよ。
推しポイント3:坂元城跡と大條家──伊達の名を継ぐ町の歴史
町南部の坂元地区には、仙台藩の重臣・大條(おおえだ)家が居城とした坂元城(蓑首城)の跡が残ります。大條家は江戸期を通じて4,000石を領し、その子孫があのサンドウィッチマン・伊達みきおさんにつながります(出典:河北新報)。町内には文化財「大條家茶室」もあり、伊達の名残を今に伝えています。
推しポイント4:八重垣神社の夏祭り──神輿が海を渡る
夏に行われる八重垣神社の祭礼「お天王さま」は、町を代表する祭りです。日曜には神輿が神社を出発して町内を練り歩き、担ぎ手が神輿ごと海の中へと入っていきます(出典:山元町公式サイト(ヤマモトイロ))。土曜の夜には花火も上がります。波しぶきと掛け声が混ざり合う光景は、海とともに生きてきたこの町ならではです。
山元町の歴史

山元町の歩みは、大きく3つの時代に分けられます。平安期に史料へ登場した古代、仙台藩の重臣・大條家が長く治めた近世、そして二つの村が合併して町が生まれ、震災を経て今に至る近現代です。海と山に挟まれた地形が、その時々の暮らしと産業を形づくってきました。
古代〜中世──史料に現れた「坂本郷」
承和元年(931年)頃に著された『和名類聚抄』には、曰理(わたり)郡に置かれた四郷のひとつとして「坂本」の名が記されています。これが山元町域の史料上の初登場とされます。天喜4年(1056年)頃には亘理権大夫・藤原経清が亘理地方を治め、町内の中嶋館はその一族の居館と推定されています。
近世──大條家と坂元城の250年
元和2年(1616年)、大條宗綱が坂元城に入り、以降幕末まで大條家が坂元本郷ほか4,000石を領しました。正保年間には、外国船を監視する「唐船番所」が海沿いに設けられています。明治元年(1868年)の戊辰戦争では、坂元城に奥羽越列藩同盟の浜通り方面軍の本営が置かれました。
近代〜現代──二村合併と震災からの復興
1889年(明治22年)の町村制施行で山下村と坂元村が発足し、1955年(昭和30年)2月1日に両村が合併して山元町が誕生しました。2011年(平成23年)3月11日の東日本大震災では、津波により沿岸の集落が壊滅し、町内で4,000棟を超える家屋が全半壊する甚大な被害を受けました。常磐線は山側へ移設され、2016年(平成28年)に山下駅・坂元駅の新駅舎とともに町内区間の運転が再開しています。
山元町の文化・風習

方言と話し方の特徴
山元町で話されるのは、宮城県全域に広がる仙台弁(宮城弁)の中でも、県南=仙南方言にあたる言葉です。県南部はアクセントの区別がゆるやかで、やわらかく聞こえるのが特徴なんですよ。代表的な言葉をいくつか挙げてみますね。
まずは県外の人を一番悩ませるいずい(しっくりこない・違和感がある)。標準語にぴったり訳せない、宮城を代表する一語です。相手の話に深くうなずくときのだから/だからね(そうそう・本当にね)も独特で、初めて聞くと会話が続くのかと戸惑うかもしれません。
ほかにも、いぎなり(とても・ものすごく)、おしょすい(恥ずかしい)、けっぱれ(頑張れ)、めんこい(かわいい)、語尾につく〜だっちゃ(〜だよ)など。お年寄りと話すと、こうした言葉が今も自然に出てきます。
海と山に挟まれた食卓と季節
この町の食卓は、海と畑の距離が近いんです。冬になれば磯浜漁港の大ぶりなホッキ貝が並び、家庭でも飲食店でも「ほっきめし」が登場します。春先にはいちごが食卓を彩り、秋には丘通りのりんごが実る。直売所「やまもと夢いちごの郷」に行けば、その季節の恵みが一度に手に入ります。
四季の移ろいもはっきりしています。春から夏にかけては「やませ」と呼ばれる冷たい海風が吹き、これがいちご栽培にちょうどよい寒暖差を生むと言われています。海・山・畑がそろう町だからこその、メリハリのある暮らしが感じられます。
震災を越えてきた人の気質と地域のつながり
津波で大きな被害を受けながら、いちごや漁業を立て直してきた町です。全国から訪れたボランティアと交わった経験もあり、外から来た人を受け入れる空気があると考えられます。出身の伊達みきおさんが復興支援に関わってきたことも、町の人にとって誇りになっているようです。派手さよりも、こつこつと前へ進む粘り強さが、この町の気質と言えるでしょう。
山元町の特産品・食

特産品1:いちご(ミガキイチゴ)
まずは何といってもいちご。樹上で完熟させてから収穫するため、ヘタの近くまで甘く、口に入れた瞬間に香りが広がります。旬はおおむね冬から春。生で味わうのはもちろん、いちご狩りでもぎたてを頬張るのが格別です。津波で塩害を受けた土を使わず、ヤシ殻による高設栽培で復活させた背景を知ると、一粒の重みが変わります。山元町は亘理町と並ぶ東北最大級のいちご産地です(出典:みやぎ移住・交流ガイド(宮城県))。
特産品2:ホッキ貝・ほっきめし
冬の主役はホッキ貝(北寄貝)。肉厚で歯ごたえがあり、噛むほどに甘みが出ます。旬は12月〜春先で、生の寿司ネタとしても、煮汁で炊いたご飯にのせる郷土料理「ほっきめし」としても楽しめます。磯浜漁港は古くから宮城県内一の水揚げを誇り、漁協は捕獲サイズを9.5cm以上と定める資源管理を続けています(出典:農林水産省)。震災後は「噴流式マンガ」という新しい漁具で漁を本格再開させました(出典:山元町公式サイト)。
特産品3:りんご(アップルライン)
丘通りには「アップルライン」と呼ばれる道があり、秋になると沿道のりんごが一斉に実ります。いちごの「ストロベリーライン」と対になる、町を象徴する果樹の道です。収穫は9月から12月頃。そのまま食べてもよし、規格外品を活かした「ドライりんご」や「アップルティー」など、山元ブランドの加工品も生まれています(出典:山元町公式サイト)。いちごと違う、素朴であたたかい甘さが楽しめますよ。
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山元町の観光スポット

序盤で触れたいちご・ホッキ貝・坂元城を、ここからは実際に「歩いて・見て・味わえる」場所として紹介していきます。山元町の観光は、東日本大震災の教訓を学ぶスポットと、海と畑の恵みを楽しむスポットの二本柱。鉄道の坂元駅を起点にすると、ぐっと回りやすくなりますよ。
震災の記憶を学ぶスポット
- 山元町震災遺構 中浜小学校 – 海岸から約400メートルに建つ小学校で、2011年の津波の際、屋上に「垂直避難」した児童・教職員・保護者ら90人全員が助かった校舎です。開館時間は9:30〜16:30(最終入館16:00)、入館料は一般400円・高校生300円・小中学生200円・未就学児無料。休館日は月曜(祝日の場合は翌日)と年末年始です(出典:山元町公式サイト)。1階には津波が通り抜けた生々しい痕跡が残り、屋上や屋根裏倉庫まで上がれます。海との距離を体で感じると、「自分だったらどう動くか」を否応なく考えさせられます。
いちごとホッキ貝を味わうスポット
- やまもと夢いちごの郷 – 坂元駅のすぐ隣にある農水産物直売所です。営業時間は9:30〜17:00、レンタサイクルを無料で貸し出しています(出典:やまもと夢いちごの郷)。特産のいちご・りんご・ホッキ貝が一度にそろい、フードコートではほっきめしやお蕎麦も。いちごのソフトクリームやパフェも人気で、まずここに寄れば町の旬がまるごとつかめます。
- いちご狩り農園(ミガキファームなど) – 町内には完熟いちごを摘める農園が点在します。夢いちごの郷では、その日に案内できる農園のいちご狩り入場券を12月中旬〜6月中旬に販売しています(出典:やまもと夢いちごの郷)。樹上で完熟させた一粒は、練乳いらずの甘さ。寒い時季のハウスの中はほんのり暖かく、いちごの香りに包まれます。
- 磯浜漁港 – 宮城県内一の水揚げを誇るホッキ貝の本場です。冬の漁期には漁港近くで直接販売も行われます。砂浜はサーファーにも知られる静かな海。震災で一変した海辺ですが、波音とともに少しずつ日常が戻っています。
自然と歴史を歩くスポット
- 四方山(しほうざん) – 角田市・亘理町・山元町の境にある標高272メートルの山で、頂上の高さ8メートルの展望台から360度の眺めが広がります。東に太平洋、晴れた日には牡鹿半島や金華山、西に蔵王連峰まで見渡せ、「みやぎ蔵王三十六景」にも選ばれています(出典:山元町公式サイト)。頂上近くまで車で上がれるので気軽ですが、クマの出没情報が出ることもあるので、音の鳴るものを携えて行くと安心です。
- 大條家茶室 此君亭(しくんてい) – 坂元城(蓑首城)の三ノ丸跡に建つ町指定文化財です。仙台藩主・伊達斉邦が重臣の大條家に与えた茶室で、建築は江戸後期の天保年間と推定されています。1932年(昭和7年)に仙台から現在地へ移築されました(出典:山元町公式サイト)。一般開放日には10:00〜15:30に内部を見学でき、職員の解説も聞けます。序盤で触れたサンドウィッチマン・伊達みきおさんの先祖につながる、伊達の名残を感じられる場所なんですよ。
山元町の観光ルート

町は南北に細長く、海沿いと山沿いに見どころが分かれています。鉄道の坂元駅を拠点に自転車で回る半日コースから、車で一気に巡る1日コースまで、いくつか組んでみました。いちごの旬(冬〜春)に合わせると、満足度がぐっと上がりますよ。
【鉄道+自転車・半日】坂元駅まわり さんぽルート
車がなくても回れるのがこのルートの魅力です。坂元駅から徒歩1分の夢いちごの郷で電動自転車を借りれば、海沿いの震災遺構までスムーズに行けます。
9:30 坂元駅 → 徒歩1分 → やまもと夢いちごの郷(買い物・レンタサイクル)
10:30 → 自転車約10分 → 震災遺構 中浜小学校
12:00 → 自転車で坂元駅方面へ戻る → 大條家茶室 此君亭(一般開放日)
①やまもと夢いちごの郷(60分)→ いちごやスイーツで腹ごしらえしつつ、自転車を借りて出発。朝のうちに寄ると品ぞろえが豊富です。
②震災遺構 中浜小学校(90分)→ 海からの距離を自分の足で感じてから入館すると、展示の重みが変わります。午前の静かな時間帯がおすすめです。
③大條家茶室 此君亭(40分)→ 一般開放日に合わせれば内部見学も。坂元城跡の高台で、町の歴史に静かに浸れます。
【車・1日】山元まるごと巡りルート
海・畑・山・歴史を一日で味わう欲張りコースです。常磐自動車道の山元IC・山元南スマートICを起点にすると動きやすいです。
9:30 やまもと夢いちごの郷 → 車約10分 → 磯浜漁港
11:00 → 車で坂元方面へ → 震災遺構 中浜小学校
13:30 → 車約20分 → 四方山展望台
15:30 → 車で坂元へ戻る → 大條家茶室 此君亭
①磯浜漁港(40分)→ 冬ならホッキ貝の直売を狙って。海辺の空気を吸ってから一日を始めます。
②震災遺構 中浜小学校(90分)→ 昼前後はバス団体と重なることもあるので、時間に余裕を持って。
③四方山展望台(60分)→ 午後の光で太平洋から蔵王までの大パノラマを。山頂は風が強い日が多いので一枚羽織って。
④大條家茶室 此君亭(40分)→ 夕方前の坂元城跡でしっとり締めくくり。
【車・1日】広域ルート:いちご街道で隣町へ
山元町と北隣の亘理町は、ともに東北最大級のいちご産地。海沿いの国道6号・常磐線でつながっているので、二つの町をいちごでハシゴするのも楽しいです。
9:30 やまもと夢いちごの郷(いちご狩り) → 車約30分 → 亘理町方面(はらこめし・いちご)
①山元町のいちご狩り(90分)→ 樹上完熟のミガキイチゴを朝いちで。
②亘理町方面(午後)→ いちごやご当地のはらこめしを楽しみ、海沿いをのんびり北上。南の新地町(福島県)方面へ足を延ばすルートも組めます。
ここまで見てきたとおり、見どころが少し離れた場所に点在していることもあります。気になるスポットをまとめて回るなら、レンタカーがあると一気に動きやすくなりますよ。料金は会社や時期でけっこう変わるので、まとめて比較できるサイトでサッと見ておくのがおすすめです。
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そして遠方から訪れるなら、思いきって一泊するのもおすすめです。日帰りでは通り過ぎてしまう夜や朝の時間に、その町ならではの静けさや表情に出会えます。お祭りやイベントの時期は宿が一気に埋まるので、早めの確保が安心ですよ。
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山元町の年間イベント

小さな町ですが、季節ごとに表情の違う催しがあります。冬から春はいちご、夏は祭りとひまわり、秋は山歩き。特産と自然のリズムに沿って一年が回っていく感じなんですよ。代表的なものを季節ごとに紹介しますね。
冬〜春:いちごで賑わう直売所
冬から春は、いちごが主役の季節です。夢いちごの郷では、開業を記念した「周年記念感謝祭」が毎年2月に開かれ、完熟いちごが感謝価格で並びます(出典:やまもと夢いちごの郷)。同じ時期はホッキ貝も旬。直売所がいちごの甘い香りと人の活気でいっぱいになる、一番賑わう季節です。
夏:祭りとひまわりの季節
夏に行ってみてほしいのが、八重垣神社の夏祭り「お天王さま」です。神輿を担いだ男たちが海の中へと入っていく光景は、ほかではなかなか見られません(出典:山元町公式サイト)。土曜の夜には花火も上がり、潮の匂いと火薬の匂いが混ざり合います。
同じ夏には「やまもとひまわり祭り」も開かれています(出典:山元町公式サイト)。震災後に整備された農地一面が黄色に染まる光景は、復興の歩みそのもの。背丈を超えるひまわりの迷路に、子どもも大人も歓声をあげます。
秋:紅葉の四方山トレッキング
秋には、四方山を歩くトレッキングイベントが毎年開かれています(出典:山元町公式サイト)。紅葉のなかを登り、頂上で360度のパノラマを楽しむ内容で、山に詳しい講師も同行します。初めての人でも参加しやすいので、秋の体を動かしたい人にぴったりですよ。
山元町のエリア別の顔

山元町は大きく、北部の山下地区、南部の坂元地区、そして海沿いの海岸地区の三つに分けられます(出典:山元町公式サイト)。山・畑・海が西から東へ連続する地形なので、エリアごとに見える景色も楽しみ方もがらりと変わります。旅の視点でそれぞれの顔を見ていきましょう。
山下エリア(北部)──町の暮らしと新しい中心
役場や新しい市街地が集まる、町の行政の中心です。震災後に整備された「つばめの杜」地区には公園や子ども向け施設があり、家族連れの姿が目立ちます。観光地として尖った場所ではありませんが、復興でどう町が再編されたかを実感したい人には、歩いてみる価値のあるエリアです。
坂元エリア(南部)──いちごと歴史が交わる玄関口
旅の拠点にしたいのがこの坂元エリアです。坂元駅と夢いちごの郷が隣り合い、レンタサイクルでどこへでも動けます。背後の高台には坂元城跡と大條家茶室があり、いちごの甘さと伊達の歴史が同居しているのが面白いところ。グルメも歴史も欲張りたい人に向いています。
海岸エリア(東部)──海と復興に向き合う場所
太平洋に面した、震災で最も大きな被害を受けたエリアです。磯浜漁港ではホッキ漁が続き、近くには震災遺構の中浜小学校があります。観光というより、海と人の営み、そして災害の記憶に静かに向き合う場所。旅の終わりに、少し立ち止まって考える時間をくれます。
山元町の気候・季節の暮らし

山元町は太平洋側の気候で、夏は海風で比較的涼しく、冬は温暖で雪が少ないのが特徴です(出典:山元町公式サイト)。近くの県都・仙台の平年値では、年平均気温12.8℃、年間降水量およそ1,277mm、年間の降雪量は59cm程度です(出典:気象庁)。沿岸の山元町は、これよりさらに雪が少なめと考えられます。
夏──6月〜8月の暮らし
仙台の平年値では8月の平均気温は24.4℃ほど。内陸の盆地ほど蒸し暑くならず、海からの風で夜は過ごしやすい日も多いです。春から夏にかけては「やませ」と呼ばれる冷たい海風が吹くこともあり、これがいちご栽培に向いた気候を生んでいます。
秋──9月〜11月の暮らし
秋は稲刈りとりんごの収穫が重なる、町が一番いろどり豊かになる季節です。台風シーズンには太平洋側らしく雨や風が強まる日もあるので、海沿いでは備えが必要です。四方山の紅葉が見ごろを迎えるのもこの時期です。
冬──12月〜2月の暮らし
冬は東北のなかでは穏やかで、雪が積もる日は多くありません。とはいえ朝晩は冷え込むので、暖房と防寒は欠かせません。12月には小平農村公園で約20万球のイルミネーション「コダナリエ」が毎年開かれ、復興への思いを込めた手作りの光が町の冬を彩ります(出典:山元町公式サイト)。
春──3月〜5月の暮らし
春はいちごが最盛期を迎え、直売所やいちご狩り農園が一年で一番にぎわいます。坂元城跡や四方山では桜やツツジが咲き、海沿いの田園に淡い色が広がります。風がやや強い日もありますが、外を歩くのが気持ちいい季節ですよ。
山元町の移住・暮らし情報

人口およそ1万1千人の山元町は、「子育てするなら山元町」を掲げて支援に力を入れている町です(出典:みやぎ移住・交流ガイド)。仙台へ通える距離でありながら、いちごやホッキ貝のある暮らしが手に入る——そんなバランスの良さが魅力なんですよ。
通勤・通学
仙台方面へ通う人は、常磐線の山下駅・坂元駅を使います。仙台駅まで山下駅から約45分なので、通勤圏として現実的です(出典:山元町公式サイト)。岩沼市や亘理町へは車でより近く、日常の移動は車が中心になります。
住宅環境
賃貸アパートの選択肢は多くなく、戸建てや土地を取得して住むスタイルが中心と考えられます。一方で、町は移住・定住支援に手厚く、新婚・子育て世帯には住宅取得で最大300万円、リフォームで最大50万円の補助制度があります(出典:みやぎ移住・交流ガイド)。
買い物環境
国道6号沿いにロードサイドの店舗が並び、日用品はこのあたりでそろえられます。地場の野菜・果物・魚介は夢いちごの郷が頼りになる存在です。大型店でまとめ買いしたいときは、隣接する亘理町や岩沼市まで足を延ばす人も多いです。
子育て・教育
山下駅周辺の「つばめの杜」地区には、小学校・保育所・こどもセンターが集まり、広い芝生と大型遊具のある中央公園が隣接しています(出典:みやぎ移住・交流ガイド)。18歳までのこども医療費助成や病児・病後児保育、令和6年に開設されたこども家庭センターなど、支援の層が厚いのが心強いところです。
医療環境
町内の中核となるのが、国立病院機構の宮城病院です(出典:山元町公式サイト)。日常的な通院は町内や近隣の診療所で対応でき、専門的な医療が必要なときは仙台市や岩沼市の病院へ常磐線・車でアクセスする形になります。
エリア別の暮らし視点
中盤では旅の視点でエリアを見ましたが、住む視点で見るとそれぞれの性格がより際立ちます。北部の山下エリアは役場と新市街地があり、子育て世帯と仙台通勤層に向いています。南部の坂元エリアは田園といちご農園が広がり、農にかかわる暮らしや移住者に人気。東部の海岸エリアは復興で再整備が進み、海とともに暮らしたい人に向いています。
山元町へのアクセス

山元町は仙台市の南、福島県との県境近くにあります。常磐線と常磐自動車道、そして仙台空港が比較的近く、首都圏からも東北方面からもアクセスしやすい立地です。交通手段ごとに整理します。
車でのアクセス
仙台空港IC から常磐自動車道を利用し、山元IC まで約10分・山元南スマートIC まで約18分です。仙台東IC から仙台東部道路経由の場合は、山元IC まで約25分・山元南スマートIC まで約28分です(出典:山元町公式サイト)。日常の移動も観光も、車があると一番動きやすいエリアです。
鉄道でのアクセス
JR仙台駅から常磐線で、山下駅まで約45分・坂元駅まで約50分です(出典:山元町公式サイト)。坂元駅は夢いちごの郷と直結しているので、鉄道で来てレンタサイクルに乗り換えると、車がなくても観光しやすいですよ。
飛行機でのアクセス
最寄りは仙台空港です。空港から山元町までは車で30分前後と近く、常磐自動車道に乗ればさらにスムーズです。遠方から訪れる場合は、仙台空港でレンタカーを借りて南下するのが現実的なルートになります。
町内移動の現実的アドバイス
町は南北に細長く、見どころが海沿いと山沿いに分かれています。鉄道だけだと駅から各スポットが遠いので、車かレンタサイクルの併用が前提です。坂元駅の夢いちごの郷で自転車を借りれば、中浜小学校などの海側スポットは無理なく回れます。
交通手段ごとに見てきましたが、「結局いちばん安く行くにはどうすれば?」と迷う方も多いはず。飛行機で向かうなら、航空券は予約のタイミングや会社によって料金が大きく変わります。複数の航空会社・LCCをまとめて比較できるサイトで、いちど最安値をチェックしておくと安心ですよ。
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【地元住民に直撃!】山元町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
いちご農家をやっています。この町は震災で一度すべてが流されたんですが、土を使わない新しい栽培に切り替えて、なんとか産地として立て直してきました。
朝は暗いうちからハウスに入って、完熟したものを一粒ずつ摘んでいく毎日です。練乳をかけなくても甘いと言ってもらえると、やっぱり報われた気持ちになりますね。
Q2.山元町に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
まずは震災遺構の中浜小学校ですね。海からすぐの場所に建っていて、屋上に逃げた人たちが助かった校舎です。実際に立つと、海との距離が体でわかって言葉を失います。
あとは四方山の展望台。頂上から太平洋と蔵王連峰が一度に見渡せて、地元の人間でも晴れた日はつい登りたくなる場所なんですよ。空気が澄んだ朝が一番です。
Q3.山元町でお土産を買うとしたらなんですか?
定番はやっぱりいちごと、いちごを使った加工品ですね。ジャムやお菓子なら日持ちもするので、外の人に渡すと喜ばれます。
地元の人間としては、冬のホッキ貝を推したいです。あとは秋のりんごも忘れちゃいけない。海と山と畑、ぜんぶの恵みがそろうのがこの町の自慢なんです。
Q4.山元町に外から人が来たときに、まず連れていく店はどこですか?
駅のすぐ横にある農水産物の直売所に連れていきます。町の特産が一か所にそろっていて、ここに来れば今の旬がまるごとわかるので。
併設の食事処で、ホッキ貝の炊き込みご飯を食べてもらうのが定番の流れですね。地元の人も買い物ついでに寄る、暮らしの中心みたいな場所なんですよ。
Q5.山元町はどんな気質だと思いますか?
派手さはないけど、こつこつ粘る人が多い町だと思います。震災で農業をあきらめかけた人もいたけど、もう一度やろうと地域でまとまっていった。その粘り強さが気質ですね。
全国からボランティアが来てくれた経験もあって、外から来た人を構えずに受け入れる空気もあります。静かだけど、根っこは温かい人たちです。
Q6.昔に比べて、山元町の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言うと、人は減りました。海沿いの集落がそっくりなくなって、駅も山側に移って、町のかたちそのものが変わってしまった。これは隠しようのない現実です。
ただ、移転した駅のまわりに新しい住宅地や公園、子ども向けの施設が整って、若い家族の声が戻ってきた場所もあります。沈んだまま終わらせない空気は確かにありますね。
Q7.山元町のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
施設というより、いちごの担い手を育てる取り組みに期待しています。新しく就農したい人の研修の場として町が使われていて、外から農業をやりに来る人が少しずつ増えているんです。
冬の手作りイルミネーションみたいに、住民が自分たちで町を盛り上げる催しも続いています。役場任せじゃなく、町民が動いていく流れが根づいてくれたらと思いますね。

