南三陸町(みなみさんりくちょう)は、宮城県北東部・三陸海岸南部のリアス式海岸に面する人口10,782人の町です。仙台から車で約1時間40分、本吉郡で唯一の自治体です。
南三陸町の見どころを5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 銀鮭(ぎんざけ)養殖発祥の地──1975年に志津川地区で世界初の養殖が始まった
- ✅ 「西の明石、東の志津川」と称される志津川湾のマダコ
- ✅ 隈研吾デザインの南三陸さんさん商店街──南三陸杉の平屋に海鮮丼が集まる
- ✅ 太平洋の荒波が岩を割った景勝地神割崎(かみわりざき)
- ✅ 合格祈願キャラ「オクトパス君」──置くとパス(タコ)の縁起物
「海の幸を味わいたい旅行者」「火山や地学・化石に興味がある人」「震災伝承と復興のいまを知りたい人」に特におすすめの町です。本記事では、観光・特産・歴史から、暮らしや言葉の手ざわりまで、序盤・中盤・終盤に分けて地元目線で紹介します。
| 人口 | 10,782 人 ※2026年6月1日時点(推計人口) |
|---|---|
| 面積 | 163.46 km² |
| 人口密度 | 66 人/km² |
地理的には、北は気仙沼市、西は登米市、南は石巻市に接し、東は太平洋に面しています(出典:日本交通公社 全国観光資源台帳)。町土の70%以上が森林で、志津川湾・伊里前湾のリアス式海岸が町の表情を作っています。鉄道は2020年に気仙沼線が廃止され、現在は通っていません。三陸沿岸道路の志津川ICが町内にあり、車でのアクセスが基本です。
銀鮭、タコ、化石、震災伝承、そして復興のシンボルとなった商店街。海とともに生きてきた小さな町を、ひとつずつ見ていきましょう。
南三陸町の推しポイント

南三陸町の魅力は「海の恵み」と「復興のいま」に集約されます。志津川湾は世界三大漁場のひとつ三陸・金華山沖に近く、銀鮭・タコ・カキ・ホタテ・ワカメといった養殖と漁の宝庫です。一方で東日本大震災で甚大な被害を受けた町でもあり、隈研吾デザインの商店街や伝承施設が、訪れる人に「海とともに生き直す」姿を見せてくれます。ここでは性格の違う5つのポイントを紹介します。
銀鮭養殖発祥の地
養殖銀鮭は1975年(昭和50年)、志津川地区の一人の漁師が試験養殖を始めたのが世界初のスタートでした。その技術は宮城県沿岸に広がり、いまでは宮城県が養殖銀ざけの出荷量全国第1位、全国シェアは80%以上を占めています(出典:みやぎ銀ざけ振興協議会)。生で刺身にできる「みやぎサーモン」はGI(地理的表示)にも登録されています。
志津川湾のマダコ──西の明石、東の志津川
志津川湾のマダコは、兵庫・明石と並び称される名産です。餌に上質なアワビなどを食べて育つため身が締まり、旨みが濃いのが特徴で、「志津川タコ」のブランドとして高い評価を得ています(出典:南三陸町観光協会)。マダコとミズダコの両方が水揚げされるのは、東北沿岸ならではです。
南三陸さんさん商店街──隈研吾の杉づくり
志津川の中心部にある南三陸さんさん商店街は、建築家・隈研吾のデザインで、地元の南三陸杉を使った平屋造りが目を引きます。10mの盛土の上に、かつての商店街のにぎわいを「縁側」のある木造で再現したものです(出典:隈研吾建築都市設計事務所)。海鮮丼「南三陸キラキラ丼」が名物で、飲食店や鮮魚店が軒を連ねています。
神割崎──岩を割った荒波の景勝地
戸倉地区の神割崎は、太平洋の荒波がV字に岩を割ったような海食地形で、三陸復興国立公園を代表する景勝地のひとつです。割れ目に打ち寄せる波しぶきは迫力満点。隣接するキャンプ場もあり、朝日の名所としても知られています。
オクトパス君と化石の町
町名産のタコをモチーフにした「オクトパス君」は、「置くと(試験に)パス」の語呂合わせで合格祈願グッズとして全国にファンを持つキャラクターです。さらに歌津地区の館崎では世界最古級(約2億4200万年前)の魚竜化石が発見され、ウタツサウルスとして命名されました。海の恵みと太古の地層が同居する町なんですよ。
南三陸町の歴史

南三陸町の歴史は、霊峰・田束山への信仰に始まる古代、養蚕と漁業で栄えた近世・近代、そして2005年の合併と2011年の大震災を経て復興へ向かう現代という、大きく3つの流れで捉えられます。海と山に囲まれた地形が、信仰・産業・災害のすべてに深く関わってきました。
古代──田束山の信仰と奥州藤原氏
町を代表する山・田束山(たつがねさん)は、古くから仏教の修行の場とされた霊峰でした。平安時代末期には平泉の藤原秀衡が山頂や中腹に多くの伽藍・僧房を造営したと伝えられ、奥州藤原氏の栄華を支えた産金地帯でもありました。入谷地区の入谷八幡神社は、天武天皇朝(672〜685年)の創建と伝わる古社です。
近世・近代──仙台藩の養蚕と漁業のまち
江戸時代、この地は仙台藩の直轄地として番所が置かれました。入谷地区を中心に養蚕業が盛んになり、仙台藩における養蚕・生糸生産の中心地として発展します。1888年(明治21年)には志津川に旭館製絲が設立され、生糸はアメリカへ輸出されました。海では志津川湾を舞台にカキやワカメの養殖が根づき、1975年には銀鮭養殖が始まります。
現代──合併、大震災、そして復興
2005年(平成17年)10月1日、志津川町と歌津町が合併して南三陸町が誕生しました。町名は公募で最多得票を得た案です。2011年3月11日の東日本大震災では震度6弱を記録し、大津波で防災対策庁舎をはじめ町の中心部が壊滅的な被害を受けました。その後、2017年に南三陸さんさん商店街が本設移転、2020年に震災復興祈念公園、2022年に伝承施設「南三陸311メモリアル」が開館し、追悼と伝承を軸にまちづくりが進められています。
南三陸町の文化・風習

方言と話し方の特徴
南三陸の言葉は、いわゆる仙台弁とはひと味違い、気仙沼・本吉圏の三陸方言の色合いが濃いんですよ。語尾は仙台周辺の「だっちゃ」ではなく、だべ(〜だろう)やっけを使うのが地元流です。あいさつではおばんでがす(こんばんは)、別れぎわにはんでなー(それじゃあね・さようなら)。家を訪ねたらよってがい(寄っていって)と声をかけられることもあります(出典:南三陸町観光協会)。ひと休みを勧めるときのいっぷぐすらい(ひと休みしてください)も、土地の温かさが伝わる言い回しです。
食卓と季節の暮らし
南三陸の食卓は、なんといっても海とともにあります。秋から冬にはマダコを塩茹でして刺身で味わうのが定番で、タコと鮭・アナゴの出汁で炊く「さんこめし」やタコ飯も親しまれてきました。春から初夏は脂ののった銀鮭、冬はカキやホヤ。さんさん商店街の「南三陸キラキラ丼」は、季節ごとに主役の海鮮が替わるご当地丼として知られています。旬がそのまま暮らしのカレンダーになっている町です。
人の気質と海とのつながり
三陸の人は、あいさつより先に用件をズバッと切り出すような、率直で飾らないコミュニケーションが特徴とされます。度重なる津波を乗り越えてきた土地だけに、海への畏れと愛着が同居しているのもこの町らしさです。チリ地震津波の縁で交流が生まれたイースター島のモアイ像が町に立つのも、海でつながる南三陸ならではの風景なんですよね。
南三陸町の特産品・食

銀鮭(ぎんざけ)
南三陸を語るなら、まずは銀鮭から。脂のりがよく、身は鮮やかなオレンジ色で、とろけるような食感と濃い旨みが魅力です。旬は5月〜7月で、2キロ以上に育ったものが水揚げの最盛期を迎えます。発祥の地だからこそ、鮮度を保つ活け締めの技術が磨かれ、生でも食べられる品質が生まれました。宮城県は養殖銀ざけの全国シェア80%以上を占めています(出典:プライドフィッシュ(全国漁業協同組合連合会))。焼いてよし、煮てよし、刺身でも楽しめる万能選手です。
志津川タコ(マダコ)
「西の明石、東の志津川」と並び称されるマダコは、冬の代名詞。旬は11月〜2月ごろで、餌にアワビなどの上質な貝を食べて育つため、身が締まり、噛むほどに甘みと旨みが広がります。地元では塩茹でして刺身で食べるのが定番で、醤油をつけなくても旨いと言われるほど。タコ飯やタコカツバーガーなど、商店街には食べ歩きの楽しみも待っています。
カキ・ホタテ・ワカメ──志津川湾の養殖
志津川湾は山からのミネラル豊富な水が注ぐ閉鎖性の湾で、養殖にぴったりの環境です。濃厚な味のカキ、甘みの強いホタテ、潮通しのよい海で育つ柔らかいワカメと、四季を通じて海の幸が途切れません。震災後、戸倉地区のカキ養殖はいかだの数を減らして育てる持続可能な方法に転換し、国際的な養殖認証(ASC)を国内で初めて取得したことでも知られています。
南三陸キラキラ丼
地元の旬の海鮮をぜいたくに盛り込んだ「南三陸キラキラ丼」は、季節で中身が替わる名物丼です。春はサーモン、夏はうに、秋は紅葉に見立てた彩り、冬はタコやイクラと、訪れるたびに違う表情を見せてくれます。さんさん商店街の複数店で味わえるので、食べ比べてみるのも旅の楽しみですよ。何を食べても、この海で獲れたものだという実感が一皿に詰まっています。
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南三陸町の観光スポット

南三陸町の旅は、大きく「海と復興を学ぶ志津川エリア」と「自然と化石に出会う歌津・戸倉エリア」に分かれます。震災の記憶を伝える施設群と、リアス式海岸が生んだ絶景や海の幸が、車で30分圏内にぎゅっと詰まっているのが魅力です。まずは押さえておきたいスポットを、テーマごとに紹介していきますね。
震災を伝え、復興を感じるスポット
- 南三陸311メモリアル – 2022年10月に開館した東日本大震災伝承館です。開館時間は9:00〜17:00、休館日は毎週火曜と年末年始(12/29〜1/3)。展望デッキや写真展は無料で、住民の証言映像をもとに「自分ならどう動くか」を考えるラーニングプログラムは一般・大学生1,000円(60分)または600円(30分)です(出典:南三陸311メモリアル公式サイト)。建物は隈研吾の設計で、現代美術家クリスチャン・ボルタンスキーのインスタレーションも体験できます。展示を「見る」のではなく「考える」つくりが、ほかの伝承施設とはひと味違うんですよ。
- 南三陸町震災復興祈念公園 – 2020年に開園した、追悼と伝承の公園です。園内には震災遺構として保存された旧防災対策庁舎があり、隈研吾設計の「中橋」を渡ってアクセスします。高台の祈りの丘から町を見渡すと、復興した市街地と海の距離が体で分かります。静かに手を合わせたい場所です。
- 南三陸さんさん商店街 – 隈研吾デザイン、南三陸杉を使った平屋の商店街で、2017年に本設移転しました(出典:隈研吾建築都市設計事務所)。名物の「南三陸キラキラ丼」をはじめ、鮮魚店や土産店が軒を連ねます。木のいい香りに包まれながら海鮮丼をほおばる時間は、この町の旅のハイライトですよね。
リアスの絶景と自然を味わうスポット
- 神割崎(かみわりざき) – 戸倉地区にある、太平洋の荒波がV字に岩を割ったような海食地形です。三陸復興国立公園を代表する景勝地で、割れ目に打ち寄せる波しぶきは迫力満点。岩の間から朝日が差し込む光景は、早起きしてでも見る価値がありますよ。隣接するキャンプ場ではオートキャンプも楽しめます。
- 田束山(たつがねさん) – 標高512mの山で、山頂からは太平洋とリアス式海岸を一望できます。5月中旬ごろにはツツジが山頂を朱色に染め、海の青とのコントラストが見事です(出典:南三陸町公式サイト)。樹齢200年ともいわれる大きなツツジもあり、見頃の時期は朝8時で山頂駐車場が満車になるほどの人気です。
- サンオーレそではま海水浴場 – 志津川湾に面した人工海浜で、波が穏やかで家族連れに人気です。震災後に再整備され、夏には海水浴客でにぎわいます。湾を囲む山々の緑と遠浅の海が、のんびりした南三陸の夏を象徴しています。
町ならではのユニークなスポット
- 入谷Yes工房(オクトパス君) – 入谷地区の旧入谷中学校を活用した工房で、タコをモチーフにした合格祈願グッズ「オクトパス君」を生み出した場所です。「置くとパス」の語呂合わせと、南三陸杉を使ったかわいい出で立ちで全国にファンがいます。受験シーズンの縁起物として、旅の思い出にひとつ連れて帰りたくなりますよ。
- 荒島(あれしま) – 志津川湾に浮かぶ小さな島で、本土から桟橋を歩いて渡れます。タブノキが自生する島の頂には荒嶋神社が鎮座し、海と緑に包まれた静かな散策が楽しめます。隣接する臨海公園からの眺めもおすすめです。
- ひころの里 – 入谷地区にある観光施設で、かつて養蚕で栄えたこの地の暮らしを伝えます。古民家が移築され、繭細工(シルクフラワー)などの体験を通じて、仙台藩の養蚕の中心地だった歴史を感じられます。
南三陸町の観光ルート

南三陸町は鉄道が通っていないので、旅の基本は車です。志津川ICを起点にすれば、震災伝承の施設も海の絶景も半日〜1日で気持ちよく回れます。学びと食を組み合わせたルートから、自然を満喫する広域ルートまで、目的別に組んでみましたので参考にしてくださいね。
【車・1日】志津川・海と復興を学ぶルート
9:00 志津川IC → 9:10 南三陸311メモリアル → 11:00 震災復興祈念公園 → 12:00 さんさん商店街(昼食)→ 14:00 サンオーレそではま → 15:30 入谷Yes工房
①南三陸311メモリアル(90分)
→ 朝いちばんに証言映像のプログラムへ。頭がすっきりしている午前中だからこそ、自分ごととして向き合えます。
②震災復興祈念公園(60分)
→ メモリアルから中橋を渡ってすぐ。旧防災対策庁舎に手を合わせ、町と海の距離を体で感じる時間です。
③さんさん商店街(90分)
→ お昼はキラキラ丼で海の幸を満喫。木の香る商店街で土産選びも楽しめます。
④サンオーレそではま(60分)
→ 午後は穏やかな浜辺へ。湾を囲む緑を眺めて、ゆっくり潮風に当たりましょう。
⑤入谷Yes工房(45分)
→ 締めはオクトパス君の工房で。旅の縁起物を選んで一日を終えます。
【車・半日】歌津・戸倉の自然満喫ルート
13:00 志津川IC → 13:30 神割崎 → 14:30 田束山 → 16:00 荒島
①神割崎(60分)
→ 割れた岩に砕ける波の迫力をまず体感。遊歩道から海を見下ろすと、リアスの荒々しさが伝わります。
②田束山(90分)
→ 車で山頂近くまで上がれます。5月中旬ならツツジと海のパノラマが待っていますよ。
③荒島(45分)
→ 桟橋を歩いて島へ。夕方の柔らかい光のなか、静かな神社と海を独り占めできます。
自然中心の半日ルートなので、午前は志津川エリア、午後はこちらと組み合わせるのもおすすめです。
【車・1日】広域ルート:南三陸〜気仙沼
9:00 志津川IC → 9:40 さんさん商店街 → 11:00 神割崎 → 12:30 気仙沼方面(昼食・海産物)→ 14:30 田束山 → 16:00 志津川IC
①さんさん商店街(80分)
→ まずは朝の商店街で町の空気を味わい、買い物や朝食を。
②神割崎(60分)
→ 海岸線をドライブしながら景勝地へ。三陸復興国立公園の荒波を堪能します。
③気仙沼方面(120分)
→ 隣接する気仙沼市へ足を延ばし、港町の海産物ランチを。三陸沿岸道路でスムーズに移動できます。
④田束山(90分)
→ 戻りに山頂へ。夕方の光に染まる海とリアス海岸の眺めで一日を締めくくります。
ここまで見てきたとおり、見どころが少し離れた場所に点在していることもあります。気になるスポットをまとめて回るなら、レンタカーがあると一気に動きやすくなりますよ。料金は会社や時期でけっこう変わるので、まとめて比較できるサイトでサッと見ておくのがおすすめです。
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南三陸町の年間イベント

南三陸町のイベントは、なんといっても「海の幸」と「自然」が主役です。冬は牡蠣やあわび、夏は花火、春は山のツツジと、季節ごとにこの町ならではの楽しみが用意されています。地元の人たちが手づくりで盛り上げる温かさも、南三陸のお祭りの魅力なんですよ。
冬〜春:海の幸とツツジ
まず冬にぜひ味わってほしいのが、毎年1月から2月にかけて開かれる南三陸町天然活あわび即売会です(出典:南三陸町観光協会)。志津川湾で育った活あわびがその場で手に入る、産地ならではの催しです。
春になると、5月中旬ごろに田束山のツツジが見頃を迎えます。山頂が朱色に染まり、太平洋とリアスの海岸線を背景にした絶景が広がります。お祭りというより「自然のイベント」として、ドライブがてら訪れる人が多い時期ですね。
夏:花火とまつり
南三陸の夏の一大イベントが、毎年7月下旬に開かれる志津川湾夏まつりです(出典:南三陸町観光協会)。志津川仮設魚市場の特設会場に出店やキッチンカーが並び、ステージで盛り上がったあと、フィナーレには夜空を彩る花火が打ち上げられます。湾に映る光と潮の匂い、地元の人の歓声が混ざり合う夜は格別です。
8月には歌津地区で歌津夏まつりも開かれ、地元の実行委員会が主役の手づくりのにぎわいが楽しめます(出典:南三陸町観光協会)。
秋:実りと産業のまつり
秋に訪れるなら、毎年11月の文化の日に開かれる南三陸町産業フェアがおすすめです(出典:南三陸町観光協会)。観光・農業・林業・水産・商工の各部会が一堂に集まり、旬の味が特価で並びます。海も山も豊かなこの町の「実り」を、まるごと味わえる一日なんですよ。
南三陸町のエリア別の顔

南三陸町は2005年に志津川町と歌津町が合併して生まれた町で、町内は旧町村にあたる「志津川・歌津・入谷・戸倉」の4地区で語られることが多いです(出典:南三陸町公式サイト)。海沿いと内陸で表情がはっきり分かれているので、旅の目的に合わせてエリアを選ぶと回りやすいですよ。
志津川エリア──町の玄関口、海鮮と復興の中心
町役場やさんさん商店街、311メモリアルが集まる、旅の起点となるエリアです。震災から再生した市街地に新しい店や施設が並び、海鮮グルメも伝承施設もここに集中しています。初めて南三陸を訪れるなら、まずこのエリアから歩き始めるのがおすすめですよ。
歌津エリア──化石とリアスの自然
町の北部にあたる歌津地区は、世界最古級の魚竜化石ウタツサウルスが見つかった土地です。館崎の海岸線や入り組んだリアスの地形が魅力で、太古のロマンと自然を味わいたい人に向いています。夏まつりなど地元色の濃い催しもこのエリアの楽しみです。
入谷エリア──養蚕の歴史が息づく内陸
内陸の山あいに位置する入谷地区は、かつて仙台藩の養蚕の中心地として栄えました。ひころの里やYes工房など、暮らしと手仕事の文化に触れられるスポットが点在しています。静かな里の風景のなかをゆっくり巡りたい人にぴったりのエリアです。
戸倉エリア──絶景の海岸線
町の南部、石巻市との境に近い戸倉地区は、神割崎をはじめとする海の絶景が魅力です。荒々しいリアス海岸とキャンプ場があり、自然のなかでアクティブに過ごしたい旅行者に向いています。朝日や波の迫力を求めて訪れたいエリアですね。
南三陸町の気候・季節の暮らし

南三陸町は温暖湿潤気候に属し、年平均気温は11.4℃、年間降水量は1,302.3mm前後です(出典:気象庁)。海に面しているため真冬日(一日中0℃未満の日)は年に2日に満たない程度で、東北の中では雪が少なく過ごしやすい土地です。とはいえ冬の朝はぐっと冷え込み、海風が体感温度を下げるので油断は禁物なんですよ。
夏──海と祭りの季節
夏は内陸ほど暑くならず、海風が通るのが南三陸の夏の特徴です。7月下旬には志津川湾夏まつりの花火が湾を照らし、サンオーレそではまには海水浴客が集まります。涼を求めて田束山や神割崎へドライブする人も多い時期ですね。
秋──実りと穏やかな陽気
秋は気候が安定し、過ごしやすい日が続きます。山の幸も海の幸も充実する季節で、11月の産業フェアでは旬の味が並びます。リアスの海岸線を眺めながらのドライブが気持ちいい時期で、旅にも暮らしにも穏やかな表情を見せてくれます。
冬──雪は少なめ、海風は冷たい
冬は雪が少ない一方で、海から吹く風が冷たく、体感はそれなりに厳しく感じます。過去には2021年1月に-10℃以下を記録した日もありました(出典:気象庁)。ただ豪雪地帯のような雪かきの負担は小さく、車があれば生活はしやすいと考えられます。冬はマダコやカキが旬を迎える、食卓の豊かな季節でもあります。
春──ツツジと新緑
春は田束山のツツジが5月中旬ごろに見頃を迎え、町に彩りが戻ります。海も山も一斉に動き出す季節で、銀鮭の水揚げも本格化します。風はやや強い日がありますが、新緑と花を楽しめる気持ちのいい時期ですよ。
南三陸町の移住・暮らし情報

南三陸町での暮らしは、海の幸が身近にある豊かさと、車中心の生活が前提になる点がポイントです。震災後に高台移転と職住分離を軸にまちづくりが進められ、新しい住宅地や公共施設が整いました。ここでは「住む視点」で、暮らしの現実を見ていきますね。
通勤・通学
町内の役場・病院・水産関連で働く人が多く、車での移動が基本です。隣接する気仙沼市や登米市へ通勤する人もいて、三陸沿岸道路の整備で移動はしやすくなりました。鉄道がないため、通勤通学はマイカーか町内の交通サービスが中心になります。
住宅環境
志津川地区を中心に災害公営住宅や高台の宅地が整備され、暮らしの基盤は再構築されています。賃貸物件の数は都市部に比べて限られますが、家賃水準は仙台などの都市部よりも抑えめと考えられます。具体的な相場は流動的なので、移住を検討するなら町の窓口や不動産業者に直接確認するのが確実です。
買い物環境
日々の買い物は、さんさん商店街やロードサイドの店舗、スーパーが中心になります。新鮮な魚介が手に入りやすいのは港町ならではの魅力ですよね。大型のショッピングを楽しみたいときは、気仙沼市や登米市まで車を走らせる人が多いです。
子育て・教育
町内には保育所や認定こども園、小中学校があり、高校は南三陸町唯一の県立校「宮城県南三陸高等学校」があります。同校は2023年に旧・志津川高校から改称し、宮城県の公立高校で初めて全国募集を始めたユニークな学校です(出典:宮城県南三陸高等学校)。起業家教育やプログラミング教育に力を入れているのも特徴です。
医療環境
町の中核となるのは町立の南三陸病院です。東日本大震災で被災した公立志津川病院の機能を引き継ぎ、2015年に開業しました(出典:南三陸町公式サイト)。総工費の約4割を台湾からの支援が支えたことでも知られています。高度な医療が必要な場合は気仙沼市の病院などと連携する形になります。
エリア別の暮らし視点
暮らしの利便性で選ぶなら、役場・病院・商店街が集まる志津川エリアが中心です。歌津エリアは海沿いの落ち着いた住環境、入谷エリアは内陸の静かな里の暮らし、戸倉エリアは自然に近いのんびりした環境が魅力です。「便利さ重視か、自然重視か」で選ぶエリアが変わってきますよ。
南三陸町へのアクセス

南三陸町には鉄道が通っていないため、玄関口は仙台です。仙台からは高速バスが直通し、鉄道とBRTを乗り継ぐルートもあります。車なら三陸沿岸道路が便利で、首都圏からは新幹線で仙台へ出るのが基本の流れになります。
車でのアクセス
車の場合は三陸沿岸道路の志津川ICが最寄りで、町内の観光拠点まですぐです。仙台方面からも気仙沼方面からも高速道路でつながっているので、ドライブの自由度が高いのが魅力です。観光で複数のスポットを回るなら、車が最も快適だと考えられます。
高速バスでのアクセス
仙台駅から宮城交通(ミヤコーバス)の高速バス「仙台-気仙沼・南三陸」線が運行しています(出典:宮城交通)。仙台駅から「道の駅さんさん南三陸」まではおよそ1時間40分〜2時間で、乗り換えがないのが利点です(出典:南三陸観光ポータルサイト)。仙台駅西口の宮交仙台高速バスセンターから乗車できます。
鉄道+BRTでのアクセス
鉄道を使う場合は、仙台駅からJRで柳津駅まで行き、そこから気仙沼線BRTに乗り継いで志津川駅へ向かいます。所要時間は乗り継ぎを含めて2時間30分程度です(出典:南三陸町公式サイト)。本数は高速バスより多めなので、時間を選びやすいのが利点ですよ。
町内移動の現実的アドバイス
町内のスポットは離れているので、公共交通だけで回るのは少し大変です。レンタカーが最も自由度が高く、短距離ならタクシーも便利です。町内にはデマンド型の乗合交通もあり、予約に応じて運行してくれます。旅の効率を考えるなら、仙台か近隣でレンタカーを借りて入るのがおすすめです。
交通手段ごとに見てきましたが、「結局いちばん安く行くにはどうすれば?」と迷う方も多いはず。飛行機で向かうなら、航空券は予約のタイミングや会社によって料金が大きく変わります。複数の航空会社・LCCをまとめて比較できるサイトで、いちど最安値をチェックしておくと安心ですよ。
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【地元住民に直撃!】南三陸町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
志津川湾で銀鮭の養殖をやっています。この町は銀鮭養殖が始まった場所で、そこで仕事をしているのは誇りですね。秋に幼魚を生簀に入れて、毎日朝晩、餌をやりながら育てます。
春から初夏にかけて水揚げの最盛期を迎えると、本当に忙しい。山のミネラルが流れ込むこの湾だからこそ、脂の乗った魚になるんですよ。
Q2.南三陸町に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
まずは震災を伝える祈念公園と伝承施設ですね。海と町の距離を体で感じてほしい。南三陸町長をはじめ町全体で復興に向き合ってきた場所です。
地元の人間としては、田束山に登ってほしい。五月のツツジと、眼下に広がる志津川湾の景色は、何度見ても胸が静かになります。神割崎の波の音も格別ですよ。
Q3.南三陸町でお土産を買うとしたらなんですか?
やっぱり海のものですね。銀鮭やタコ、ワカメや牡蠣といった南三陸町の有名な海産物は外せません。加工品も日持ちするので喜ばれます。
地元目線でひとつ挙げるなら、タコをモチーフにした合格祈願のグッズ。「置くとパス」の縁起物で、受験生のいる家にはちょうどいい土産になりますよ。
Q4.外から人が来たときに、南三陸町でまず連れていく店はどこですか?
南三陸町観光の中心になっている、海沿いの商店街にまず連れていきます。木の香りがする平屋に、鮮魚店や食事処が並んでいて、町の今の空気が一番伝わる場所なんです。
そこで旬の海鮮をのせた丼を食べてもらう。季節ごとに中身が変わるので、何度来ても飽きないんですよ。
Q5.南三陸町はどんな気質だと思いますか?
飾らない、率直な人が多いですね。あいさつより先に用件をズバッと言うような気質で、最初は素っ気なく感じるかもしれません。
でも根は温かくて、海で生きてきた分、助け合いの感覚が体に染みついています。何度も津波を乗り越えてきた町だからこその、芯の強さがあると思います。
Q6.昔に比べて、南三陸町の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
震災のあと、町の景色はまるごと変わりました。高台に住宅が移って、市民が集える施設や運動公園も整い、新しい町ができたという感覚があります。
正直、人は減りました。それは隠せない現実です。それでも商店街に人が戻り、祭りに歓声が響くと、ああ町は生きていると感じますね。
Q7.南三陸町のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
施設というより、若い力に期待しています。地元の高校が全国から生徒を募るようになって、よその土地の子が南三陸町のまちづくりを一緒に考えてくれている。
水源になる山を育てて海を守る取り組みも続いています。山と海をつなぐこの循環を、次の世代に渡していけたらと思っています。

