花巻市(はなまきし)は、岩手県の中西部、北上平野の中央に位置する人口約8万6千人の市です。詩人・宮沢賢治が生まれ育った「イーハトーブ」の地であり、南には双子都市の北上市が広がります。
花巻市の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 宮沢賢治の生誕地──『銀河鉄道の夜』を生んだ「イーハトーブ」の世界が広がる町
- ✅ わんこそば発祥の地──約400年前、藩主をうならせた一口そばが原点
- ✅ 花巻温泉郷──2つの川沿いに12の温泉地が集まる東北有数の湯どころ
- ✅ 早池峰神楽──大迫町に500年以上続くユネスコ無形文化遺産
- ✅ 大谷翔平・菊池雄星を育てた花巻東高校と、県内唯一の花巻空港
「文学や歴史が好きな人」「温泉でゆったりしたい旅行者」「地方移住を考えている人」に向いた町です。序盤で観光と人物、中盤で歴史と暮らし、終盤で特産と食を、地元目線で紹介していきます。
| 人口 | 86,682 人 ※2026年5月1日時点(推計人口) |
|---|---|
| 面積 | 908.39 km² |
| 人口密度 | 95.4 人/km² |
(出典:花巻市公式サイト)
地理的には、北は紫波町・盛岡市・雫石町、北東は宮古市、東は遠野市、南は奥州市、南から西は北上市、西は西和賀町と接しています(出典:日本交通公社 全国観光資源台帳)。市の西に奥羽山脈、東に北上高地がそびえ、北東部には北上高地の最高峰・早池峰山(はやちね)が位置します。
市内には岩手県で唯一の花巻空港があり、東北新幹線の新花巻駅、東北自動車道も通る交通の要衝です。火山ではなく文学・温泉・酒・祭りといった「人の営み」が顔になっている町。ひとつずつ見ていきましょう。
花巻市の推しポイント

花巻の顔は、なんといっても宮沢賢治とわんこそば。でもそれだけじゃないんです。早池峰山のふもとに500年以上続く神楽、12の湯が集まる温泉郷、そしてメジャーリーガーを2人も育てた高校まで、小さな市にぎゅっと見どころが詰まっています。ここでは5つに絞って、それぞれの「らしさ」を紹介します。
宮沢賢治──イーハトーブのふるさと
『雨ニモマケズ』『銀河鉄道の夜』で知られる宮沢賢治は、この花巻で生まれ、農学校の教壇に立ち、自ら畑を耕した人でした。賢治が理想郷を呼んだ「イーハトーブ」は、まさに花巻の風景がモデルです。胡四王山(こしおうざん)には宮沢賢治記念館(1982年開館)、童話村、イーハトーブ館が点在し、作品世界に丸ごと浸れます(出典:花巻市公式サイト)。
わんこそば──藩主をうならせた一口そば
小さなお椀に一口分のそばを次々入れていく、あのわんこそば。花巻は発祥の地とされ、約400年前、南部利直公が花巻城に泊まった折、土地の名産そばを一口ずつ差し上げたところ何杯もお代わりしたのが始まりと伝わります(諸説あり/出典:花巻観光協会)。長野の戸隠そば、島根の出雲そばと並ぶ「日本三大そば」のひとつにも数えられます。
花巻温泉郷──12の湯が集まる温泉リゾート
市の西部、台川と豊沢川の渓谷沿いには、なんと12もの温泉地が点在しています。大規模リゾートホテルから、川のせせらぎが聞こえる秘湯、足元から湯が湧く立ち湯まで、泉質も雰囲気もばらばら。湯めぐりするだけで一日が終わってしまう、そんな贅沢ができる温泉郷なんですよ。
早池峰神楽──500年続くユネスコ無形文化遺産
大迫町(おおはさま)の大償(おおつぐない)・岳(たけ)の2地区に伝わる山伏神楽の総称が「早池峰神楽」です。1976年に国の重要無形民俗文化財(第1回指定)となり、2009年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました(出典:文化庁 文化遺産オンライン)。1488年の伝授書が残るほど古く、500年以上の歴史をもつといわれます。
花巻東高校──二人のメジャーリーガーを育てた野球の聖地
大谷翔平選手と菊池雄星選手。世界で活躍する二人のメジャーリーガーは、ともに花巻市の花巻東高校で汗を流しました(両選手の生まれは別の市ですが、母校はこの町です)。日居城野(ひいじょうの)運動公園には、二人の手形やサインを刻んだ記念モニュメントがあり、誰でも自由に見学できます(出典:花巻観光協会)。
花巻市の歴史

花巻の歴史は、大きく3つの流れで捉えられます。中世に「鳥谷ヶ崎(とやがさき)」と呼ばれた城下が、戦国末期に「花巻」へと姿を変えた時代。盛岡藩の南の守りとして栄えた近世。そして平成の合併で、温泉・文学・酒・神楽を抱えた現在の花巻市が形づくられた時代です。
中世から近世──「鳥谷ヶ崎」から「花巻」へ
この地はもともと稗貫氏(ひえぬき)の本拠地でした。1591年(天正19年)の奥州仕置で稗貫氏が没落すると、南部氏の家臣・北秀愛が「鳥谷ヶ崎」を「花巻」と改めます(出典:花巻市(Wikipedia))。以降、花巻城は盛岡藩南境を守る要塞となり、稗貫・和賀2郡の行政の中心地として都市が成立しました。奥州街道の宿場、北上川舟運の河港としても発展しています。
近代の開拓と発展
1890年(明治23年)には花巻駅が開業し、鉄道とともに町は近代化していきます。1896年(明治29年)には宮沢賢治がこの地に生まれました。商家に育ちながら農業を学んだ賢治は、農学校の教師や農業指導者として地域に尽くし、数々の童話と詩を残します。石鳥谷(いしどりや)では古くから酒造りが盛んで、後の南部杜氏文化の土台が築かれていきました。
現代──1市3町の合併でいまの花巻へ
2006年(平成18年)1月1日、旧花巻市と稗貫郡の石鳥谷町・大迫町、和賀郡の東和町が合併し、現在の花巻市が誕生しました。これにより、わんこそばと宮沢賢治の旧花巻、酒の石鳥谷、ワインと神楽の大迫、毘沙門天の東和と、性格の違う4つの地域がひとつになりました。市域は900km²を超え、岩手県内では5番目の人口規模を保っています。
花巻市の文化・風習

方言と話し方の特徴
花巻は旧南部藩(盛岡藩)の領域にあたり、ことばは岩手県中北部の南部弁系です。県南の仙台藩系の方言とは響きが少し違い、語尾や訛りに独特の柔らかさがあります。地元では「花巻弁」と呼ばれるものもあり、宮沢賢治は作品の中にこの土地のことばを取り入れたことでも知られています。
たとえば、めんこい(かわいい)、わんつか・ぺっこ(少し・ちょっと)、んだ/んだべ(そうだ/そうだよね)、あべ(行こう)、ねまれ(座って)といった言葉があります。「申し訳ない」「ありがとう」をまとめて表すおもさげながんす(申し訳ありません・恐れ入ります)も、丁寧でこの地らしい言い回しです。旅先で耳にしたら、その温度感をぜひ味わってみてください。
食卓と季節の暮らし
花巻の暮らしは、寒暖差の大きい気候と切っても切れません。夏はフェーン現象で35℃を超える猛暑日もある一方、冬は放射冷却で氷点下15℃を下回ることもある豪雪地帯。だからこそ、温かいそばつゆにくぐらせたわんこそばや、根菜たっぷりの汁物が食卓に並びます。秋には大迫のぶどう、市内各地のりんごが実り、「フルーツの里」の顔をのぞかせます。
祭りと人の気質
花巻は祭りと信仰が暮らしに根づいた町です。400年を超える歴史をもつ花巻まつりでは、勇壮な神輿や鹿踊(ししおどり)、花巻ばやしが街を彩ります。大迫では毎月「神楽の日」に早池峰神楽が公演され、地域ぐるみで伝統を受け継いでいます。冬が長く厳しいぶん、温泉に通い、人と人がゆるやかに支え合う──そんな空気感が、この町の人の気質をつくっているように感じます。
花巻市の特産品・食

わんこそば
花巻に来たらまず体験したいのが、やっぱりわんこそば。一口分のそばを給仕さんが次々お椀に入れ、ふたを閉めるまで続く独特のスタイルは、もてなしの心から生まれたものです。香り高いそばを温かいつゆでツルッと、何杯食べられるか挑戦するのも旅の思い出になります。約400年前、藩主への一口そばが原点という由来も知っておくと、一杯の重みが変わってきますよね。
エーデルワイン(大迫のぶどう・ワイン)
大迫町は、少雨で昼夜の寒暖差が大きく、石灰質の土壌をもつ「日本のボルドー」とも呼ばれるぶどう産地です。戦後の台風被害からの復興策としてぶどう栽培が奨励され、1962年に前身会社、1974年に株式会社エーデルワインが設立されました(出典:エーデルワイン)。原料はすべて岩手県産ぶどう。国内外のコンクールで受賞を重ねる赤・ロゼ・白は、肉料理にも地元のチーズにもよく合います。直売所のワインシャトー大迫では試飲もできますよ。
南部杜氏の日本酒(石鳥谷)
石鳥谷は「南部杜氏(なんぶとうじ)の里」。南部杜氏は、新潟の越後杜氏、兵庫の丹波杜氏と並ぶ日本三大杜氏のひとつで、全国最大規模の杜氏組合をもちます(出典:南部杜氏協会)。北上川の伏流水とうまい米に恵まれたこの地で磨かれた技は、いまも全国の酒蔵で生きています。すっきりした含み香とふくよかな旨味の地酒は、冬の鍋やわんこそばのお供にぴったり。道の駅石鳥谷には南部杜氏伝承館もあり、酒造りの歴史に触れられます。
果樹──りんご・ぶどうの「フルーツの里」
奥羽山脈と北上高地に挟まれた丘陵地は、果樹づくりにも向いています。秋になると、甘みと酸味のバランスがよいりんごや、ワインにもなるぶどうが市内のあちこちで実ります。もぎたてをその場でかじる果物狩りは、寒暖差で育った果実の濃い味をいちばん素直に楽しめる食べ方。お土産に少し多めに買って帰りたくなります。
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花巻市の観光スポット

序盤で触れた宮沢賢治・わんこそば・温泉・神楽・野球。花巻市の見どころは、この5つの軸に沿って広がっています。市の中心部に賢治ワールドが集まり、西の山あいに温泉郷、北の大迫に神楽とワイン、南の石鳥谷に酒蔵文化。まずはエリアごとの代表スポットを押さえていきましょう。
宮沢賢治の世界にひたるスポット
- 宮沢賢治記念館 – 胡四王山(こしおうざん)の中腹に建つ、賢治の生涯と多彩な活動を「科学」「芸術」「宇宙」「宗教」「農」の5分野で紹介する施設です。開館は8時30分から17時、休館は12月28日から1月1日、入館料は一般350円・高校生250円・小中学生150円です(出典:花巻市公式サイト)。直筆原稿や愛用のチェロを前にすると、教科書の中の人がぐっと近づいてきます。
- 宮沢賢治童話村 – 「銀河ステーション」のアーチをくぐると、童話の世界がそのまま広がる「楽習」施設。園内は無料で散策でき、メインの「賢治の学校」のみ有料です。夜のライトアップ期間には、森全体が幻想的な光に包まれます。家族連れでもファンでも、歩くだけで物語に迷い込んだ気分になれますよ。
- 宮沢賢治イーハトーブ館 – 賢治に関する研究論文や芸術作品を集めた、ファンと研究者のための交流施設です。開館は8時30分から17時、入館は無料です(出典:花巻市公式サイト)。記念館から「ポランの広場」を抜けて歩いて行けるので、賢治三昧の一日にぴったりです。
- イギリス海岸 – 北上川の西岸に泥岩層が露出する景勝地で、賢治がイギリスの海岸になぞらえて名付けました。国指定名勝「イーハトーブの風景地」の一つでもあります。水位が下がった時期にだけ姿を見せる、賢治が愛した静かな川辺です。
食と歴史を味わうスポット
- わんこそばの老舗そば店 – 花巻の中心部には、わんこそばを名物として代々続けてきたそば店が点在しています。給仕さんの掛け声に合わせて一口そばを重ねていく体験は、花巻ならでは。ふたを閉めた瞬間の達成感は、一度味わうとクセになるんですよ。
- 花巻城跡 – 中世に「鳥谷ヶ崎」と呼ばれ、1591年に「花巻」と改められた城の跡です。盛岡藩の南の守りとして整備された城下町は、いまの市街地の骨格になっています。春は桜の名所としても親しまれ、歴史散歩にちょうどいい場所です。
温泉・自然を楽しむスポット
- 花巻温泉郷 – 市の西部、台川と豊沢川の渓谷沿いに12の温泉地が集まる温泉リゾートです。大型リゾートホテルから秘湯の一軒宿まで、泉質も雰囲気もさまざま。日帰り入浴に対応する宿も多く、湯めぐりするだけで一日が過ぎていきます。
- 花巻温泉バラ園 – 花巻温泉の一角にあるバラ園で、例年初夏に見頃を迎えます。色とりどりのバラが咲きそろう園内は、温泉とセットで楽しむのがおすすめ。香りに包まれながらの散策は、湯上がりの体にちょうどいい時間です。
- 釜淵の滝 – 花巻温泉の奥にある、高さ8mほどの岩の上を清流が幾筋にも分かれて落ちる滝です。周辺は遊歩道が整い、木漏れ日のなかを30分ほどで一周できます。温泉街からすぐなので、朝の散歩や湯あがりの森林浴にぴったりですよ。
- 早池峰山 – 北上高地の最高峰で、標高1,917mの山頂は花巻市・宮古市・遠野市の境にあります。早池峰国定公園に指定され、固有の高山植物ハヤチネウスユキソウでも知られます。本格的な登山はもちろん、ふもとから仰ぐ姿だけでも神々しい山です。
酒・ワイン・神楽にふれるスポット
- ワインシャトー大迫 – 大迫町(おおはさま)にあるエーデルワインの直売所です。岩手県産ぶどうだけで造る赤・ロゼ・白がそろい、無料試飲やワイン工場の見学も楽しめます(出典:エーデルワイン)。ぶどう畑とその奥に連なる山並みを眺めながらのテイスティングは、ここでしか味わえません。
- 道の駅石鳥谷・南部杜氏伝承館 – 岩手県第1号の道の駅で、敷地内に南部杜氏の歴史を紹介する南部杜氏伝承館があります。2023年7月のリニューアルで展示を一新し、入館無料の施設として生まれ変わりました(出典:道の駅石鳥谷 酒匠館)。有料の試飲サーバーで、南部杜氏が醸した地酒も味わえます。
- 大迫交流活性化センター(早池峰ホール) – ユネスコ無形文化遺産・早池峰神楽を間近で観られる、神楽公演の拠点です。毎月第2日曜の「神楽の日」には、岳・大償・八木巻の神楽が月替わりで上演され、入場料は当日1,000円(小学生以下無料)です(出典:花巻観光協会)。獅子頭の歯打ちの音が、体の芯まで響いてきます。
スポーツ・文学・芸術にふれるスポット
- 花巻ゆかりのメジャーリーガー記念モニュメント – 花巻東高校に隣接する日居城野(ひいじょうの)運動公園にある、大谷翔平選手・菊池雄星選手の記念モニュメントです。手形やサインが刻まれ、誰でも自由に見学できます(出典:花巻観光協会)。自分の手を重ねて、世界に届いた手の大きさを実感してみてください。
- 高村光太郎記念館・高村山荘 – 詩人で彫刻家の高村光太郎が、戦後に7年間を過ごした山荘と記念館です。「乙女の像」の試作などを通じて、賢治とも縁の深かった芸術家の足跡をたどれます。市街地から少し離れた静かな里にあり、ゆっくり向き合える場所です。
- 成島毘沙門堂(東和) – 像高4mを超えるとされる毘沙門天立像で知られる、東和地域のお堂です。木造の堂内に立つ巨像は迫力満点で、土沢のまちと合わせて巡るとこの地域らしさが見えてきます。静かな山あいで、じっくり見上げたい一体です。
花巻市の観光ルート

花巻は東西に広く、中心部・温泉郷・大迫・石鳥谷とテーマがはっきり分かれています。だからこそ、ルートを決めて回るのがコツ。ここでは賢治を巡る1日、温泉郷の半日、そして酒と神楽の広域ルートの3本を紹介します。出発はいずれも新花巻駅を基点にしています。
【車・1日】賢治とわんこそば 花巻中心ルート
9:00 新花巻駅 → 9:05 宮沢賢治記念館(車3分)→ 童話村・イーハトーブ館 → 12:30 市街地でわんこそば → 14:30 イギリス海岸 → 15:30 花巻城跡 → 16:30 花巻温泉郷へ
①宮沢賢治記念館・童話村(午前〜昼前)
→ 胡四王山の賢治施設をまとめて巡ります。朝いちばんは人も少なく、展示にじっくり向き合えるのでおすすめです。
②わんこそば(昼)
→ 午前中に歩いてお腹を空かせてから挑むのが正解。給仕さんとの掛け合いも含めて、昼の名物体験になります。
③イギリス海岸・花巻城跡(午後)
→ 賢治が名付けた川辺と城下町の名残を歩きます。夕方の柔らかい光が、白い泥岩層と桜の木立を美しく照らします。
④花巻温泉郷(夕方〜泊)
→ 一日歩いた体を、渓谷沿いの湯でほぐして締めくくり。そのまま宿泊すれば、翌朝の湯めぐりまで楽しめます。
【車・半日】花巻温泉郷 湯めぐりルート
9:00 花巻温泉 → 9:20 花巻温泉バラ園 → 10:00 釜淵の滝 → 11:00 日帰り入浴 → 12:00 解散
①花巻温泉バラ園(午前)
→ 初夏なら満開のバラが出迎えてくれます。朝の澄んだ空気のなかで香りを楽しむのが、いちばん贅沢な時間帯です。
②釜淵の滝(午前)
→ 温泉街から歩いて行ける滝へ。遊歩道を一周しても30分ほどなので、軽い森林浴感覚で立ち寄れます。
③日帰り入浴(昼前)
→ 散策のあとは、好みの泉質の宿で一風呂。12ある温泉地のどれを選ぶか迷うのも、この温泉郷の楽しみです。
【車・1日】広域ルート:石鳥谷の酒と大迫の神楽
9:00 新花巻駅 → 9:30 道の駅石鳥谷(車)→ 11:00 ワインシャトー大迫 → 12:30 大迫で昼食 → 14:00 神楽の日(第2日曜のみ)→ 16:00 早池峰山麓をドライブ
①道の駅石鳥谷・南部杜氏伝承館(午前)
→ 酒蔵をかたどった道の駅で、南部杜氏の文化にふれます。地酒のおみやげ選びも、ここでまとめて済ませられます。
②ワインシャトー大迫(昼前)
→ ぶどう畑に囲まれたワイナリーでテイスティング。運転しない人は、岩手産ぶどうの味の違いをじっくり比べてみてください。
③神楽の日(午後・第2日曜のみ)
→ タイミングが合えば、早池峰神楽の定期公演へ。500年以上受け継がれてきた舞を、目の前で体感できる貴重な機会です。
④早池峰山麓ドライブ(夕方)
→ 締めは霊峰・早池峰山を望む山道へ。神楽が生まれた土地の空気を感じながら、ゆっくり帰路につきます。
ここまで見てきたとおり、見どころが少し離れた場所に点在していることもあります。気になるスポットをまとめて回るなら、レンタカーがあると一気に動きやすくなりますよ。料金は会社や時期でけっこう変わるので、まとめて比較できるサイトでサッと見ておくのがおすすめです。
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花巻市の年間イベント

花巻のイベントは、季節ごとに表情が変わります。初夏は花とバラ、秋は山車と神輿の祭り、冬はわんこそばの熱戦。そして毎月の神楽公演が、一年を通して町に流れています。ここでは季節別に、ぜひ行ってみてほしいものを紹介していきますね。
春〜夏:花と緑のまつり、南部杜氏の里まつり
初夏に行ってみてほしいのが「花と緑のまつり」。昭和47年から続く花巻の恒例行事で、令和8年度で第52回を迎えます(出典:花巻観光協会)。花苗の配布や展示でにぎわう、市の名にふさわしい3日間です。
同じころ、石鳥谷では「南部杜氏の里まつり」が例年6月上旬に開かれます。南部杜氏が全国の蔵で醸した日本酒を飲み比べられる、酒好きにはたまらない一日。造り手と直接話せる貴重な機会でもあります。
夏から秋にかけては、宮沢賢治童話村で「童話村の森ライトアップ」が行われます。森全体が幻想的な光に染まり、昼とはまったく違う賢治の世界が広がります。
秋:花巻まつり、土沢まつり、大迫ワインまつり
花巻の秋といえば、毎年9月中旬の「花巻まつり」。430年を超える歴史をもち、花巻市指定無形民俗文化財に指定されています(出典:花巻市公式サイト)。アセチレンガスの炎で輝く風流山車と、勇壮な神輿パレードが街を埋めつくします。
この神輿パレードは、2015年に「一か所で披露された神輿の数」でギネス世界記録を達成したことでも知られます(出典:花巻観光協会)。100基を超える神輿が連なる光景は、まさに圧巻ですよ。
同じ秋には、東和地域で約300年の歴史をもつ「土沢まつり」、大迫では地元ワインを楽しむ「大迫ワインまつり」も開かれます。山車の町、酒の町、それぞれの個性が祭りに表れます。
冬:元祖わんこそば全日本大会
冬の名物は、なんといっても「元祖わんこそば全日本大会」。毎年2月11日の「わんこそば記念日」に、花巻市文化会館で開かれます(出典:花巻観光協会)。入場無料で、出場しなくても見学だけで十分楽しめます。
制限時間内に何杯食べられるかを競うこの大会では、食べる人を「食士」、一番食べた人を「横綱」と呼びます。次々とお椀が積み上がる迫力と、会場の歓声。冬の花巻がいちばん熱くなる日です。
通年:神楽の日
季節を問わず楽しめるのが、大迫で毎月第2日曜に開かれる「神楽の日」。岳・大償・八木巻の神楽が月替わりで上演される、東日本でも数少ない神楽の定期公演です(出典:花巻観光協会)。旅の日程が第2日曜に重なったら、ぜひ立ち寄ってみてください。
花巻市のエリア別の顔

いまの花巻市は、2006年に旧花巻市と石鳥谷町・大迫町・東和町が合併して生まれた市です(出典:花巻市公式サイト)。そのため、地域ごとに性格がはっきり違います。旅する視点で、5つのエリアの顔を見ていきましょう。
花巻中心エリア──賢治とわんこそばの玄関口
新花巻駅と花巻駅を擁する、市の中心です。宮沢賢治の施設、わんこそばの老舗、花巻城跡が集まり、初めての花巻旅はここから始めるのが王道。コンパクトにまとまっているので、半日でも賢治の世界をひと通り味わえます。観光の起点にちょうどいいエリアです。
花巻温泉郷エリア──西部の湯けむりリゾート
市の西部、奥羽山脈の渓谷沿いに12の温泉地が点在する温泉地帯です。バラ園や釜淵の滝など、湯以外の見どころも徒歩圏内。一日の終わりにゆっくり泊まりたい人、温泉を旅の主役にしたい人に向いています。夕方からの滞在がいちばん似合うエリアです。
大迫エリア──ワインと神楽の山あいの里
北東部の山あいに広がる、ぶどうとワイン、そして早池峰神楽の里です。早池峰山のふもとという立地が、独特の風土と文化を育ててきました。ワイナリー巡りや神楽鑑賞など、ほかのエリアにはない深い体験を求める人にぴったり。少し足を延ばす価値があります。
石鳥谷エリア──南部杜氏の酒の里
市の北部、国道4号沿いに広がる「南部杜氏の里」です。酒蔵をかたどった道の駅を中心に、酒造文化にふれる施設が集まっています。地酒や酒蔵めぐりが好きな人、おみやげに日本酒を選びたい人には外せないエリア。ドライブの休憩にも便利な立地です。
東和エリア──毘沙門天と文学・芸術の里
市の東部、北上高地のふもとに位置する地域です。成島毘沙門堂の巨像や、近代洋画の先駆け萬鉄五郎ゆかりの美術館、約300年続く土沢まつりなど、信仰と芸術の香りが残ります。じっくり町歩きを楽しみたい人、人混みを避けて巡りたい人におすすめのエリアです。
花巻市の気候・季節の暮らし

花巻市の年平均気温は10.8℃、年降水量は1310.4mmです(出典:気象庁)。盆地特有の寒暖差が大きく、夏は猛暑日になる一方、冬は氷点下が続く内陸気候です。市の西部は多雪、東部の盆地は比較的雪が少なめと、エリアで雪の量も変わります。
つまり、四季の輪郭がはっきりした土地なんですよ。同じ市内でも、住む場所によって冬の備えがけっこう違ってきます。
夏──6月〜8月の暮らし
8月の平均気温は24.0℃ですが、フェーン現象で35℃を超える猛暑日になることもあります(出典:気象庁)。朝晩は気温が下がるので、日中との差に体がついていかない日もあります。
とはいえ、夜になると涼しさが戻ってくるのが内陸の救い。冷房に頼りきりにならず、窓を開けて過ごせる晩も多いんですよ。
秋──9月〜11月の暮らし
秋は寒暖差がぐっと大きくなり、その分だけ紅葉が鮮やかに色づきます。花巻まつりや各地の秋祭りが続き、ぶどうやりんごが実る、いちばん花巻らしい季節かもしれません。
朝の冷え込みが日に日に増していくので、11月には冬支度が始まります。薄手のコートだけでは心もとない朝も出てきます。
冬──12月〜2月の暮らし
1月の平均気温は-1.8℃で、最低気温が0℃を下回る「冬日」は年に120日以上にのぼります(出典:気象庁)。放射冷却で-15℃を下回る朝もある、本格的な寒さです。
雪かきや車の雪下ろしは冬の日課になります。西部の温泉地周辺は雪が深く、スタッドレスタイヤと暖房はこの地の必需品。寒さは厳しいぶん、雪見の温泉は格別ですよ。
春──3月〜5月の暮らし
春は雪解けとともに一気に動き出します。花巻城跡やイギリス海岸沿いの桜が咲くころには、長い冬を越えた解放感が町に広がります。
ただ、春先は風が強く、朝晩はまだ冷えます。日中との気温差が大きいので、脱ぎ着しやすい服装が安心な時期です。
花巻市の移住・暮らし情報

花巻市は、新幹線と空港を併せ持ちながら、家賃も生活コストも抑えやすい町です。市は「花巻」「大迫」「石鳥谷」「東和」の4エリアに分かれ、暮らしの表情もそれぞれ違います(出典:花巻市公式サイト)。住む視点で、現実的なところを見ていきましょう。
通勤・通学
市内の事業所に通う人が多い一方、双子都市の北上市や県都盛岡市へ通勤する人も少なくありません。盛岡へは新幹線や在来線、車で通える距離で、職場の選択肢を広く取れるのが強みです。
住宅環境
家賃相場は、アパートの2LDK・3DKクラスでおよそ5.5万円前後、単身向けの1K・1DKで4万円台が目安です(出典:SUUMO)。新幹線停車駅のある市としては、手の届きやすい水準だと考えられます。
市は空き家バンクも運営していて、移住者や39歳以下の若い世代向けに取得・リフォームの補助も用意されています(出典:花巻市公式サイト)。中古を直して住む選択肢も現実的です。
買い物環境
中心部にはショッピングモールやスーパー、コンビニがそろい、日常の買い物に困る場面は少ないと考えられます。郊外には産直施設も多く、地元のりんごや野菜、ぶどうが手に入るのも花巻ならでは。旬の味が食卓に近い暮らしです。
子育て・教育
市内には小学校16校、中学校11校、高校6校があり、保育所や認定こども園、学童クラブも整っています(出典:岩手県移住定住ポータルサイト)。大谷翔平選手・菊池雄星選手を育てた花巻東高校があるのも、この町です。
子ども医療費助成は、令和5年8月から所得制限なしで高校生世代までを対象に拡充されています(出典:花巻市公式サイト)。子育て世帯にとっては心強い支えです。
医療環境
市内には総合花巻病院をはじめとする病院や診療所があり、日常の医療を地域で受けられる体制が整っています。市は妊産婦や不妊治療への助成も行っており、ライフステージに応じた支援が用意されています(出典:花巻市公式サイト)。
エリア別の暮らし視点
中心部の花巻エリアは、買い物も交通も便利で、初めての移住でも暮らしやすいエリアです。北上・盛岡への通勤拠点にも向いています。
大迫・石鳥谷・東和エリアは、自然や伝統文化が身近な分、車が前提の暮らしになります。市はこれらの地域に住宅を取得する子育て世帯への奨励金を手厚くしており、のびのび暮らしたい人に向いています(出典:花巻市公式サイト)。
花巻市へのアクセス

花巻市は、岩手県で唯一の空港と東北新幹線の駅を併せ持つ、交通の要衝です。東京方面からは新幹線、遠方からは飛行機と、目的地や予算に応じて選べるのが大きな強み。主要ルートを整理していきます。
車でのアクセス
市内には東北自動車道の花巻IC・花巻南ICがあり、仙台・盛岡方面と高速道路で直結しています。さらに釜石自動車道の花巻空港IC・東和ICも通り、東西移動もスムーズ。沿岸の釜石・遠野方面へ抜けるにも便利な立地です。
鉄道+バスでのアクセス
東京から新花巻駅までは、東北新幹線「はやぶさ」でおよそ2時間40分前後です。新花巻駅はJR釜石線にも接続し、在来線で花巻駅や遠野方面へ乗り換えできます。乗り換えを含めても、首都圏から日帰りが視野に入る距離感です。
飛行機でのアクセス
いわて花巻空港からは、札幌・大阪・名古屋・福岡を結ぶ国内線と、台湾線などの国際線が就航しています(神戸線・上海線は運休中/出典:いわて花巻空港)。空港は市中心部に近く、車で15分前後でアクセスできるのも便利な点です。
町内移動の現実的アドバイス
気をつけたいのは、新幹線の新花巻駅と在来線中心の花巻駅が少し離れている点です。市域が広く見どころも各エリアに散らばっているので、町内をしっかり巡るならレンタカーが現実的。バスは岩手県交通やコミュニティバスが走っていますが、本数を事前に確認しておくと安心ですよ。
交通手段ごとに見てきましたが、「結局いちばん安く行くにはどうすれば?」と迷う方も多いはず。飛行機で向かうなら、航空券は予約のタイミングや会社によって料金が大きく変わります。複数の航空会社・LCCをまとめて比較できるサイトで、いちど最安値をチェックしておくと安心ですよ。
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【地元住民に直撃!】花巻市の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
大迫でワイン用のぶどうを育てています。ここは昼夜の寒暖差が大きくて、土も石灰質で、ぶどうにはちょうどいい土地なんですよ。親の代から続けていて、私で受け継いだ形ですね。
夏の手入れから秋の収穫まで、天気とにらめっこの毎日です。大変ですけど、自分の育てたぶどうがワインになって全国の人に届くと思うと、やっぱりやめられないんです。
Q2.花巻市に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
まずは宮沢賢治の記念館や童話村ですね。胡四王山の坂を上っていくと、賢治の言う「イーハトーブ」の空気がそのまま残っていて、観光の人にもおすすめです。
あとは地元目線だと、大迫の早池峰山のふもと。神楽が今も生きていて、毎月の公演で太鼓の音が体に響くんです。観光地化しすぎていない、静かな山あいの空気が好きなんですよ。
Q3.花巻市でお土産を買うとしたらなんですか?
オーソドックスなのは、やっぱり地元のワインですね。岩手県産のぶどうだけで造ったものが何種類もあって、贈り物にすると喜ばれます。石鳥谷の地酒も外せません。
地元の人間が買うのは、酒蔵の町で売っている酒粕を使った菓子や、秋のりんご・ぶどうですね。市民センターの催しで産直のものが並ぶこともあって、そういうのが一番うまいんです。
Q4.外から人が来たときに、花巻市でまず連れていく店はどこですか?
まずはわんこそばの店に連れて行きますね。藩主に出したのが始まりと言われる花巻の名物で、給仕さんの掛け声に乗せられて、気づいたらお椀が積み上がっているんです。
あとは温泉郷の昔ながらの宿の、出汁の匂いがする食事処。湯上がりに地のものを食べてもらうと、みんな花巻を気に入って帰っていきますよ。
Q5.花巻市はどんな気質だと思いますか?
派手さはないけど、芯が真面目で、もてなしの心がある土地だと思います。わんこそばにしても祭りにしても、人を喜ばせることに手を抜かないんですよ。
長い冬を越える土地だからか、口数は多くないけど、一度懐に入ると面倒見がいい。賢治の生まれた町らしい、どこか実直であたたかい気質だと感じています。
Q6.昔に比べて、花巻市の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言うと、人は減りました。合併で大きな市になりましたけど、山あいの集落だとぶどう農家も高齢化が進んで、担い手の問題はずっと感じています。
一方で、賢治目当てや野球選手の母校を訪ねて、外から来る人は増えた印象ですね。市長も移住に力を入れていて、若い世代が少しずつ戻ってきている手応えもあるんです。
Q7.花巻市のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
施設というより、移住や空き家を活かす取り組みに期待しています。市が住宅の補助や子育ての支援を厚くしていて、運動公園や市民センターも世代を超えて人が集まる場になっています。
私としては、ワインや地酒、果樹といった食をきっかけに、花巻を知ってもらえたらと思っています。空港も新幹線もある町なので、外とつながる強みを活かしていきたいですね。

