【岩手県大槌町】ってどんなとこ?ひょうたん島と新巻鮭発祥の町【地元民のリアルな声あり】

岩手県大槌町にあるひょうたん島:人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルとされる、大槌町のシンボル的な美しい島です。

大槌町(おおつちちょう)は、岩手県の三陸海岸沿いに位置する人口9,626人の港町です。東は太平洋に開き、町域の約9割を山林が占めます。

この町の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:

  • 蓬莱島(ほうらいじま)──人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルとされる、町のシンボル
  • 新巻鮭発祥の地──400年以上前に生まれた「南部鼻曲がり鮭」、文化庁100年フード認定
  • 風の電話──線のつながらない黒電話で亡き人へ想いを伝える、丘の上の電話ボックス
  • 吉里吉里(きりきり)──井上ひさしの小説「吉里吉里人」で全国に知られる鳴き砂の里
  • ✅ 三陸の海の幸──ウニ・ホヤ・ワカメに、新名物「岩手大槌サーモン」

「三陸の海と食を味わいたい旅行者」「震災からの歩みや祈りの場に触れたい人」「のんびりした港町で暮らしを考えている人」に向いた町です。本記事では、観光・歴史・文化から特産・食まで、序盤から終盤にかけて地元目線で紹介します。

人口9,626 人 ※2026年5月1日時点(推計人口)
面積200.42 km²
人口密度48 人/km²

※人口は大槌町公式サイト(統計)、面積は国土地理院による。

地理的には、北は山田町、南は釜石市、西は遠野市宮古市に接し、東は太平洋(大槌湾・船越湾)に臨みます(出典:日本交通公社 全国観光資源台帳)。北上山地に発した大槌川と小鎚川がほぼ並行して南東へ流れ、河口の沖積平野に町の中心部が広がります。

鉄道は三陸鉄道リアス線が町内を縦断し、大槌駅・吉里吉里駅・浪板海岸駅の3駅。沿岸を国道45号が走り、内陸の県都・盛岡市からは車で2時間以上の距離にあります。火山ならぬ海と川の恵み、そして物語に彩られた地名──この小さな町には人を惹きつける要素がいくつも詰まっています。ひとつずつ見ていきましょう。

目次

大槌町の推しポイント

大槌町の顔は、湾に浮かぶ「ひょうたん島」こと蓬莱島と、400年続く新巻鮭の食文化です。さらに、海を見下ろす丘に置かれた「風の電話」、小説で名を知られた吉里吉里地区、三陸の豊かな海産物が町の輪郭をつくっています。ここからは、それぞれをもう少し掘り下げてみましょう。

蓬莱島──ひょっこりひょうたん島のモデル

大槌湾の赤浜沖に浮かぶ蓬莱島は、大小ふたつの岩がつながったひょうたん型の小島で、NHKの人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルといわれています。島には海の守り神・弁財天が祀られ、地元では「弁天様」と呼ばれて親しまれてきました。お昼の町内放送ではこの番組のテーマソングが流れ、メロディが聞こえると町の人は思わずお弁当を開けてしまう、なんて声もあるんですよ。

新巻鮭発祥の地──南部鼻曲がり鮭

大槌は「新巻鮭発祥の地」を名乗る町です。安土桃山時代、当地を治めた城主・大槌孫八郎が、塩蔵して寒風で干した鮭を江戸へ送ったのが始まりと伝わります。この「南部鼻曲がり鮭の新巻鮭」は、文化庁の「100年フード」に認定されています(出典:大槌町公式サイト)。鮭は町の魚にも指定された、まさに町のアイデンティティです。

風の電話──想いを風に乗せる丘

町の北東、浪板の丘にある庭園「ベルガーディア鯨山」には、線のつながらない黒電話を置いた「風の電話」があります。庭師の佐々木格さんが亡き従兄を想って設けたもので、東日本大震災のあと、大切な人を亡くした多くの人が受話器を取り、声にならない想いを伝えてきました(出典:ベルガーディア鯨山)。映画の題材にもなり、国内外から訪れる人が絶えません。

吉里吉里──小説に名を残した鳴き砂の里

町の東部・吉里吉里地区は、井上ひさしの長編小説「吉里吉里人」で全国に知られました。地名はアイヌ語で「白い砂浜」を意味するともいわれ、砂浜を歩くと「キリキリ」と鳴く鳴き砂が由来とも伝えられています(出典:三陸鉄道)。独立独歩の気風が強く、独自の言葉や文化が今も息づく地区です。

三陸の海の幸──ウニ・ホヤ・養殖サーモン

寒流と暖流がぶつかる三陸沖は世界有数の漁場。大槌でも夏はウニやホヤ、春はワカメと、季節ごとの海の幸が水揚げされます。近年は記録的な秋サケ不漁を受けて養殖にも力を入れ、2020年には養殖ギンザケ「岩手大槌サーモン」が初出荷されました。海を背にした食卓の豊かさは、この町を語るうえで欠かせません。

大槌町の歴史

大槌の歴史は、縄文の遺跡が点在する古い暮らしの痕跡に始まり、戦国期に鮭の交易で栄えた大槌氏の時代、そして近世の代官所と廻船問屋の繁栄へと続きます。現代は、2011年の東日本大震災という大きな試練と、そこからの復興が町の歩みを形づくっています。時代ごとに見ていきます。

中世──鮭の交易で栄えた大槌氏

戦国時代、当地は有力武将・大槌氏の支配下にありました。大槌氏は特産の南部鮭の交易で財を成しましたが、中央集権化を進める南部利直によって謀反の嫌疑をかけられ、滅亡しました。その後は大槌城代が置かれ、盛岡藩の管理下に入りました。

近世──代官所と廻船問屋の町

大槌氏の滅亡後、現在の町役場のあたりに大槌代官所が設けられ、明治の制度廃止までおよそ240年にわたって周辺地域の行政を担いました。近世には盛岡藩最大の廻船問屋・前川善兵衛(吉里吉里善兵衛)が海産物や木材の江戸・大阪取引の拠点を築き、町は大いに賑わいました。善兵衛が江戸の浄瑠璃から伝えたとされる郷土芸能「虎舞」も、この時代に根づいたものです。

現代──震災と、続く復興の歩み

1889年(明治22年)、大槌・小鎚・吉里吉里の3村が合併して旧大槌町が成立しました。2011年(平成23年)3月11日、東北地方太平洋沖地震とそれに伴う津波・津波火災により、町は壊滅的な被害を受けました。町長を含む役場幹部の多くが犠牲となり、一時は行政機能が麻痺するほどでした。その後、仮庁舎の開庁から町の再建が進み、2019年にはJR山田線の宮古〜釜石間が三陸鉄道リアス線として復旧しています。2026年4月には町内で大規模な山林火災も発生しましたが、町は幾度の困難を越えて、海と暮らしを取り戻す歩みを続けています。

大槌町の文化・風習

方言と話し方の特徴

半農半漁で暮らしてきた大槌、とくに吉里吉里地区には、独特の漁師言葉が色濃く残っています。たとえば驚いたときに口をつく感嘆詞がばぁらぁ(おやまあ・びっくりした、という意味)。久慈地方の「じぇじぇじぇ」にあたる言葉ですね。地元では約7000語を収めた「吉里吉里語辞典」が編まれ、津波で失われたあとも復刻されました。言葉そのものが、この土地の誇りとして大切に守られているんです。

食卓と季節の暮らし

大槌の食卓は、海と山のリズムでめぐります。春は山菜とワカメ、夏は牛乳瓶に詰めた生うにやホヤ、秋は鮭。冬になると軒先に新巻鮭が吊るされ、寒風にさらされる光景が町の冬の風物詩です。夏には海から冷たい風「やませ」が吹き、霧に包まれる日もあります。みなさんが訪れるなら、その季節ごとの「いま一番おいしいもの」を聞いてみてください。

祭りと郷土芸能

秋には大槌稲荷神社と小鎚神社の例大祭が合同で行われる「大槌まつり」が町を彩ります。神輿が川を渡る勇壮な渡御や、漁船に神輿と芸能が乗る曳舟まつり、そして虎舞・鹿子踊などの郷土芸能が連なります(出典:いわての旅(岩手県観光協会))。例年9月に開かれ、2025年は9月19日から21日に行われました。津波で多くの虎頭が流されながらも、町の人々は虎舞を再開させ、世代を超えて受け継いでいます。

大槌町の特産品・食

新巻鮭(南部鼻曲がり鮭)

大槌といえば、やっぱり新巻鮭。秋から冬に大槌湾へ戻るシロザケ(アキザケ)は、産卵期に鼻先が曲がることから「南部鼻曲がり鮭」と呼ばれます。鮭を塩蔵し、寒風でじっくり干すことで旨味がぎゅっと凝縮され、しっかりした塩気と濃い身の味わいになります。焼いて白いご飯と合わせれば、それだけでごちそう。400年以上前にこの地で生まれ、文化庁の100年フードにも認定された、町の歴史そのものの味です(出典:大槌町公式サイト)。

生うに(キタムラサキウニ)

夏の主役は、地元で「くろかぜ」とも呼ばれるキタムラサキウニ。資源保護のため漁の期間や量が制限される、貴重な海の恵みです。漁師さんが箱めがねで海底をのぞき、タモ網で一つずつすくい上げます。牛乳瓶に詰めて売られる新鮮な生うには、上品な甘みと磯の香りが格別。旬は初夏。三陸まで来たなら、ぜひ味わってほしい一品です。

ホヤ・ワカメ・岩手大槌サーモン

大槌湾では、4年かけて育てるホヤの養殖が盛んです。とれたては臭みが少なく、刺身や燻製でその旨味を楽しめます。春は香り高いワカメやメカブ、マツモといった海藻も豊富。そして近年の新顔が、養殖ギンザケ「岩手大槌サーモン」。北リアスの海で育ち、身の締まりとほどよい脂が自慢で、町は新しい特産品として育てています。海藻ものせた磯ラーメンも、この町ならではの食べ方ですよ。


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大槌町の観光スポット

序盤で触れた蓬莱島や風の電話、吉里吉里。ここからは、その一つひとつを「実際に立ったときに何が見えるか」という目線で深掘りしていきます。大槌町の見どころは、海沿いに点在しているのが特徴。湾のシンボルから祈りの丘、鳴き砂の浜まで、車があれば1日で気持ちよく回れますよ。

海と物語のシンボル

  • 蓬莱島(ひょうたん島) – 大槌湾に浮かぶ、大小ふたつの岩がつながったひょうたん型の小島。新大槌八景に選ばれ、三陸ジオパークのジオサイトにもなっています(出典:いわての旅(岩手県観光協会))。赤浜地区とは防波堤でつながっていて、島へ向かって歩いていけます。震災で倒れた灯台は太陽と砂時計をイメージした姿で再建され、いまや復興のシンボル。四季を通じて釣り人が訪れる、のんびりした空気の場所なんですよ。
  • 大槌駅 – 三陸鉄道リアス線の駅。震災で流された駅舎が、蓬莱島をモチーフにしたデザインで2019年に再建されました。駅前には、宮沢賢治が大槌の情景を詠んだとされる歌碑も立っています。旅の起点にぴったりの、町の玄関口です。

祈りと癒やしの丘

  • 風の電話(ベルガーディア鯨山) – 海を見下ろす丘の庭園に置かれた、線のつながらない黒電話。庭師の佐々木格さんが手づくりした「ベルガーディア鯨山」の中にあり、森の図書館やガーデンも併設されています。開園は午前10時から、月曜定休で、庭の見学は原則事前予約制(風の電話のみ予約不要)です(出典:ベルガーディア鯨山)。受話器を取ると、聞こえるのは風と波の音だけ。声にならない想いをそっと託せる、静かな時間が流れています。なお周辺は2026年4月の山林火災で火の手が迫りましたが、風の電話に被害はなく、火災はすでに鎮火しています。訪問前に最新の開園状況を確認しておくと安心です。

鳴き砂と片寄せ波の浜

  • 吉里吉里海岸 – 歩くと「キュッキュッ」と鳴る鳴き砂で知られる浜。小説「吉里吉里人」で全国に名を知られた吉里吉里地区にあり、駅から歩いて10分ほどです。波打ち際で足元が鳴る感覚は、ちょっとクセになりますよ。
  • 浪板海岸 – 寄せる波はあっても返す波がほとんどない「片寄せ波」で知られ、サーフィンのメッカとして親しまれてきた海岸です。三陸復興国立公園の一部でもあります(出典:いわての旅(岩手県観光協会))。海を眺めながらぼんやり過ごすだけでも、旅の疲れがほどけていきます。

町を学ぶ・山から望む

  • 大槌町文化交流センター「おしゃっち」 – 町の中心部にある木造3階建ての複合施設。多目的ホールや図書館に加え、2階には東日本大震災を伝える震災伝承室があります。1〜2階は9時〜22時、3階の図書館は10時〜18時(金曜は19時まで)、火曜定休です(出典:大槌町文化交流センターおしゃっち)。震災前の町並みの模型もあり、まずここで町の歩みを知ってから歩き出すのがおすすめです。
  • 新山高原 – 町の西端、標高およそ1,000mに広がる高原で、内陸と沿岸を同時に見渡せる珍しい場所。風力発電の風車が立ち並び、初夏にはレンゲツツジが咲きそろいます(出典:大槌町観光交流協会)。冬期は道路が閉鎖されるため、初夏から秋に訪れるのが向いています。

大槌町の観光ルート

計算中…

スポットが海沿いに並んでいるので、ルートはとても組みやすい町です。ここでは、町内をぎゅっと回る1日コースと、浪板・吉里吉里にしぼった半日コース、さらに三陸沿岸まで足を延ばす広域コースの3つを紹介します。起点はどれも大槌駅です。

【車・1日】大槌まるごと海さんぽルート

9:00 大槌駅 → 9:10 おしゃっち(徒歩5分)→ 10:30 蓬莱島(車10分)→ 12:00 町中心部で昼食 → 13:30 浪板海岸(車15分)→ 14:30 風の電話・ベルガーディア鯨山 → 16:00 吉里吉里海岸

おしゃっち(60分)→ 震災伝承室と町の模型で、まず大槌の歩みを頭に入れます。朝いちばんは人も少なく、じっくり見られます。

蓬莱島(40分)→ 防波堤づたいに島の近くまで。午前の光で海がきらめく時間帯がきれいです。

浪板海岸(40分)→ 片寄せ波の浜でひと休み。サーファーの姿を眺めるのも楽しいですよ。

風の電話(40分)→ 夕方前の静かな時間に。海風の中で受話器を取ると、心がほどけます。締めは鳴き砂の吉里吉里海岸へ。

【車・半日】浪板・吉里吉里ぐるりルート

13:00 吉里吉里駅 → 13:15 吉里吉里海岸 → 14:00 浪板海岸(車5分)→ 14:45 風の電話・ベルガーディア鯨山

吉里吉里海岸(30分)→ 砂を踏んで鳴き砂を体験。小説の里の空気を感じます。

浪板海岸(40分)→ 海を眺めてのんびり。波の音だけの時間が贅沢です。

風の電話(40分)→ 半日でも、この丘に立てば旅の印象がぐっと深まります。午後の早い時間が落ち着いて過ごせます。

【車・1日】三陸沿岸を南北につなぐ広域ルート

9:00 大槌駅 → 9:30 釜石・鵜住居エリア(車20分)→ 11:30 大槌に戻り昼食 → 13:00 蓬莱島 → 14:30 新山高原(車40分)

① 南隣の釜石市・鵜住居エリアで震災伝承施設を見学。三陸の復興を広く知る時間にあてます。

② 大槌へ戻って海の幸の昼食。午後は蓬莱島で町のシンボルを押さえます。

③ 締めは西部の新山高原へ。沿岸と内陸を一望する高原で、旅の余韻にひたれます。北へ向かうなら宮古市方面、内陸へ抜けるなら遠野市方面とつなぐのもおすすめです。


ここまで見てきたとおり、見どころが少し離れた場所に点在していることもあります。気になるスポットをまとめて回るなら、レンタカーがあると一気に動きやすくなりますよ。料金は会社や時期でけっこう変わるので、まとめて比較できるサイトでサッと見ておくのがおすすめです。

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そして遠方から訪れるなら、思いきって一泊するのもおすすめです。日帰りでは通り過ぎてしまう夜や朝の時間に、その町ならではの静けさや表情に出会えます。お祭りやイベントの時期は宿が一気に埋まるので、早めの確保が安心ですよ。

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大槌町の年間イベント

大槌の年間行事は、夏の海と秋の祭り、冬の食が軸になります。なかでも秋の大槌まつりは、町じゅうが熱気に包まれる一年の山場。季節ごとに表情が変わるので、目的に合わせて訪れる時期を選んでみてください。

春〜夏:海と音楽のにぎわい

夏になると浪板海岸では海開きが行われ、サーファーや家族連れでにぎわいます。波の音に潮の匂い、子どもたちの歓声──三陸の短い夏を全身で感じられる季節です。

同じく夏には、浪板海岸を舞台にした音楽イベント「海音フェスタ」が開かれることもあり、2025年は8月に開催されました(出典:さんりく旅しるべ)。海をバックに音楽が流れる、ゆるやかなお祭りなんですよ。

秋:町が沸き立つ大槌まつり

大槌の一年で最も熱いのが、例年9月に開かれる「大槌まつり」。大槌稲荷神社と小鎚神社の例大祭が合同で行われる、町を挙げてのお祭りです(出典:いわての旅(岩手県観光協会))。

見どころは、神輿が川を渡る勇壮な渡御と、漁船に神輿と芸能をのせて海を行く曳舟まつり。虎舞や鹿子踊の囃子が響き、川しぶきが上がる瞬間には観客から大歓声がわきます。津波で多くの虎頭を失いながら復活させた虎舞は、ぜひ生で見てほしい郷土芸能です。

冬:軒先に並ぶ新巻鮭

冬の大槌は、なんといっても新巻鮭の季節。寒風が吹き始めると、水産加工場や軒先に塩引きの鮭がずらりと吊るされ、町の冬の風物詩になります。

400年以上前にこの地で生まれ、文化庁の「100年フード」にも認定された南部鼻曲がり鮭。寒さが増すほど旨味が乗る、というのも納得の光景です。澄んだ冬の空気の中で見ると、より絵になりますよ。

大槌町のエリア別の顔

大槌町は、もともと大槌・小鎚・吉里吉里の3つの村が合併してできた町で、いまも地区ごとに違った表情を持っています(出典:大槌町公式サイト)。旅する視点で、エリアごとの「顔」を見ていきましょう。どこを目当てに行くかで、回り方が変わってきますよ。

町方・中心部エリア──町の歩みと暮らしが交わる玄関口

大槌駅や役場、文化交流センター「おしゃっち」が集まる、町の中心。商業施設もこのあたりに揃い、旅の起点として動きやすいエリアです。震災伝承室で町の歩みを学んでから歩き出すのに向いています。秋の大槌まつりでは、この中心部が祭りの舞台になります。

赤浜エリア──ひょうたん島を望む海辺

大槌湾に面した赤浜は、蓬莱島(ひょうたん島)を間近に望むエリア。防波堤づたいに島へ近づけ、再建された灯台が海に映えます。東京大学の国際沿岸海洋研究センターもあり、海の研究の拠点でもあります。海と町のシンボルを一緒に味わいたい人におすすめです。

吉里吉里エリア──物語と独自文化の里

船越湾に面した東部の吉里吉里は、小説「吉里吉里人」で知られ、独立独歩の気風が今も息づく地区。鳴き砂の浜や江戸の豪商・吉里吉里善兵衛ゆかりの史跡が点在します。町の中心部とは少し離れた、独特の空気を感じたい人にぴったりです。

浪板エリア──祈りと癒やしの丘

吉里吉里の北側に広がる浪板は、片寄せ波の浪板海岸と、丘の上の「風の電話」があるエリア。海と森に包まれた静かな場所で、ゆっくり心を整えたい旅にふさわしい一帯です。サーフィンを楽しむ人と、祈りに訪れる人が同じ海を見つめています。

西部・山間エリア──高原と森の表情

金沢地区など内陸へ向かう西部は、町域の9割を占める山林が広がるエリア。標高約1,000mの新山高原からは沿岸と内陸を一望でき、初夏にはレンゲツツジが咲きます。海だけでなく、大槌の山の表情も味わいたいアウトドア派に向いています。

大槌町の気候・季節の暮らし

大槌町には気温の平年値を測る気象庁の観測地点がないため、隣接する釜石(最寄りの観測地点)の値が暮らしの目安になります。釜石の年平均気温は11.7℃、年間降水量は1693.2mm、1月の平均気温は1.3℃、8月は23.2℃です(出典:気象庁)。

三陸沿岸の海洋性気候で、夏も冬も極端になりにくいのが特徴。冬の積雪は内陸より少なめと考えられます(出典:岩手県移住定住ポータルサイト)。四季ごとの暮らしを見ていきましょう。

夏──涼しい潮風と「やませ」

8月でも平均23℃ほどと、夏は比較的しのぎやすい土地です。春から夏にかけては「やませ」と呼ばれる冷たい偏東風が吹き、海上に霧が立ちこめることもあります。涼しい朝の空気の中、港にウニやホヤが揚がる季節。エアコンなしでも過ごせる日が多いのは、移住者にとってうれしいポイントですよ。

冬──雪が少なく、晴れの日が多い

1月の平均気温は1.3℃ほどで、冷え込みはあるものの、太平洋側のため雪は少なめ。日最高気温も冬日(プラス)が中心で、真冬日はほとんどないと考えられます。雪かきに追われる日が少ないぶん、同じ東北でも内陸とはずいぶん暮らし方が違います。そのかわり海から吹く風は冷たいので、防風対策はしっかりと。

春・秋──海と山が色づく過ごしやすい季節

春は山菜、秋は鮭と、季節の恵みがはっきり食卓に表れます。新山高原のレンゲツツジが咲く初夏や、紅葉の山と青い海が同時に見られる秋は、町歩きが気持ちいい時期。寒暖差がやわらかいので、外で過ごす時間を楽しみやすい季節です。

大槌町の移住・暮らし情報

海と山が近く、町内ならどこへでも15分ほどで動ける大槌町。震災からの復興の先を見据えて、いまは「定住寄りの移住促進」に力を入れています。専任の移住定住事務局もあり、暮らしの相談がしやすい町なんですよ。住む視点で、生活の実際を見ていきましょう。

通勤・通学

町内は東西に細長いものの、移動は車で15分ほど。沿岸部に住み、隣の釜石市まで車で20〜30分かけて通う人も多いエリアです。「以前は1時間かかった通勤が10分になった」という移住者の声もあり、時間にゆとりが生まれやすい暮らしといえます。

住宅環境

賃貸物件の数は限られ、大槌駅周辺で数十件ほどの規模です(出典:SUUMO)。相場は都市部より抑えめと考えられます。町は新婚・若年世帯向けに民間賃貸住宅の家賃補助(月額最大2万円)や、空き地空き家バンクも用意しています(出典:岩手県移住定住ポータルサイト)。

買い物環境

町の中心には、ショッピングセンター「シーサイドタウンマスト」があります。スーパー「マイヤ」やDCM、書店・薬局・銀行などが集まり、専門店街は午前9時〜午後7時、マイヤは午前9時〜午後8時の営業です(出典:シーサイドタウンマスト)。日常の買い物はここでほぼ完結し、大型店が必要なときは釜石市まで足を延ばす、というのが地元の感覚です。

子育て・教育

教育面では、義務教育学校「大槌学園」と小中一貫の「吉里吉里学園」の2校があり、高校は岩手県立大槌高校が町内にあります(出典:岩手県移住定住ポータルサイト)。第2子以降の保育料無料や児童手当などの支援もあり、コンパクトな町ながら子育ての土台は整っています。

医療環境

町内には岩手県立大槌病院があり、内科・外科・整形外科・産婦人科・眼科などを備えた、町内で唯一入院できる病院です(出典:厚生労働省 医療情報ネット)。震災後の2016年に浸水域の外へ新築移転しました。より専門的な医療が必要なときは、隣の釜石市の病院も選択肢になります。

エリア別の暮らし視点

中心部の町方は役場や商業施設が近く、生活導線が短いのが利点。海沿いの赤浜・安渡は港の近さが魅力で、吉里吉里や浪板は静かな住環境です。西部の金沢など山間地区は自然に包まれた暮らしができます。町は区画整理地などへの移住者に移住定住促進補助金(最大200万円)も用意しています(出典:大槌町公式サイト)。

大槌町へのアクセス

大槌町への鉄道の玄関口は、三陸鉄道リアス線の大槌駅。首都圏からは新幹線と在来線、三陸鉄道を乗り継ぐルートが基本になります。車なら三陸自動車道の大槌ICが便利です。主要なルートを整理します。

鉄道でのアクセス

東京駅 → 東北新幹線(約3時間15分)→ 新花巻駅 → JR釜石線(約1時間30分)→ 釜石駅 → 三陸鉄道リアス線(約20分)→ 大槌駅(出典:大槌町公式サイト)。

かつてのJR山田線区間は、2019年に三陸鉄道リアス線へ移管されています。釜石で乗り換えてリアス線に揺られる時間は、海沿いの景色が広がるので、移動そのものが旅の一部になりますよ。

車・高速バスでのアクセス

車の場合、釜石自動車道から三陸自動車道に入り、釜石JCTから大槌ICまで約10分です(出典:大槌町観光情報サイト)。高速バスなら、池袋駅から「けせんライナー」(国際興業バス・週2便)でおよそ10時間。盛岡からは釜石盛岡線のバスで約2時間25分です。

飛行機でのアクセス

最寄り空港はいわて花巻空港。新千歳空港からJALで約55分、大阪(伊丹)から約1時間30分です(出典:大槌町公式サイト)。空港からは新花巻駅へ出て、JR釜石線と三陸鉄道を乗り継ぎます。

町内移動の現実的アドバイス

町内の観光や生活では、車があると断然動きやすいです。鉄道は本数が限られるので、レンタカーやタクシーを併用するのがおすすめ。蓬莱島・浪板海岸・風の電話を1日で回るなら、大槌駅で車を確保してから動くと無理なく回れますよ。


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【地元住民に直撃!】大槌町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。

水産加工の仕事をしています。この町で揚がる魚を、新巻鮭をはじめとした加工品にして全国へお届けする仕事です。震災ですべてを失った時期もありましたが、たくさんの方に支えられて、今もこうして続けられています。

大槌は新巻鮭発祥の地と言われていて、寒風に干した鮭の味は格別なんですよ。先人から受け継いだ技を絶やさないよう、日々向き合っています。

Q2.大槌町に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?

まずは蓬莱島ですね。ひょうたん島のモデルと言われる小さな島で、防波堤づたいに近くまで歩けます。お昼に町内放送であのメロディーが流れると、ふっと手が止まる。大槌の人の体に染み込んだ音なんです。

もう一つは浪板の丘にある風の電話。海風と波の音だけが聞こえる、静かに手を合わせたくなる場所です。

Q3.大槌町でお土産を買うとしたらなんですか?

やっぱり新巻鮭です。寒い時期に軒先で干される光景は町の冬の風物詩で、塩気と濃い旨味はご飯が止まりません。文化庁の100年フードにも選ばれた、自慢の味なんですよ。

地元の人間なら、夏のうにや養殖の鮭、いくらも勧めます。市町村のおすすめスポットの産直コーナーで、その日の海の幸を選ぶのも楽しいですよ。

Q4.外から人が来たときに、大槌町でまず連れていく店はどこですか?

町の中心にあるショッピングセンターへまず連れていきます。スーパーや専門店が集まっていて、海産物も日用品もここで揃う。地元の暮らしの中心みたいな場所なんです。

あとは海辺の食堂で、目の前の漁場で揚がった魚介と海藻がのった一杯をすすってもらう。出汁の香りと潮の匂いに、皆さん大槌を感じてくれます。

Q5.大槌町はどんな気質だと思いますか?

海と山の両方で生きてきた土地なので、働き者で、気のいい人が多いと思います。特に吉里吉里のあたりは独立独歩の気風が強くて、自分たちの言葉や文化を大事にする誇りがあるんですよ。

困った時にぱっと手を貸し合う距離の近さは、震災を一緒に越えてきたからこそ。市町村民センターに集まって芸能を伝える、そんな絆も残っています。

Q6.昔に比べて、大槌町の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?

正直に言うと、人は減りました。津波で町の形が大きく変わって、若い人が町を出ていくのも事実です。寂しさは、今もずっと胸の奥にあります。

でも、嵩上げした土地に新しい暮らしが戻り、虎舞や大槌まつりの囃子がまた響くようになった。市町村長をはじめ町ぐるみで前を向く空気は、確かに育っていますよ。

Q7.大槌町のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?

震災の記憶を伝える場や、町の人が集える交流の拠点が育ってきたのは心強いです。市町村運動公園のような体を動かせる場所も含めて、子どもたちが伸び伸び過ごせる町であってほしい。

市町村水源に育まれた湧水や鮭、市町村観光の魅力を、移住してくる若い人たちと一緒に磨いていけたら。それが何よりの希望なんです。

大槌町の関連リンク

本記事は、全国1741市町村を応援するために徹底調査して作成していますが、地元の方だからこそ知る最新情報や、記述の誤りなどがあれば、ぜひこちらのお問い合わせフォームよりお気軽にお知らせください。地域の皆様と一緒に、より素晴らしい紹介ページを作っていきたいと考えております。

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