釜石市(かまいしし)は、岩手県南東部・三陸海岸のほぼ中央に位置する、人口27,665人の港町です。新花巻駅からJR釜石線で約1時間30分。
釜石市の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 近代製鉄発祥の地──現存最古の洋式高炉「橋野高炉跡」が世界遺産に登録
- ✅ ラグビーのまち──「北の鉄人」新日鐵釜石が日本選手権7連覇を達成
- ✅ 釜石鵜住居復興スタジアム──ラグビーW杯2019で唯一の新設会場
- ✅ 親潮と黒潮が交わる三陸漁場──ワカメ・サケ・アワビ・ウニの宝庫
- ✅ 釜石ラーメン──製鉄マンが愛した極細縮れ麺と琥珀色スープ
「歴史や産業遺産に興味がある人」「ラグビーが好きな人」「三陸の海の幸を味わいたい人」に特におすすめの町。本記事では、世界遺産・スポーツ・特産・歴史から、釜石ならではの方言や暮らしまで、地元目線で紹介します。
| 人口 | 27,665 人 ※2026年5月1日時点(推計人口) |
|---|---|
| 面積 | 440.35 km²(境界未定部分あり) |
| 人口密度 | 62.8 人/km² |
地理的には、北は大槌町、北西は遠野市、南西は住田町、南は大船渡市に接し、東は太平洋に面しています(出典:住田町公式サイト)。西側は北上山地の山々に囲まれ、平地は少なく、典型的なリアス式海岸が続きます。
「鉄のまち」「ラグビーのまち」「魚のまち」と、いくつもの顔を持つのが釜石です。ひとつずつ見ていきましょう。
釜石市の推しポイント

釜石を語るとき、外せないのが「鉄」と「ラグビー」と「海」です。幕末に日本の近代製鉄が産声をあげ、その遺産は世界遺産になりました。製鉄所の実業団チームは「北の鉄人」として全国に名を轟かせ、その記憶はラグビーW杯の舞台へと受け継がれます。そして三陸の海が育てる海の幸と、鉄の男たちが愛した一杯のラーメン。順に見ていきましょう。
橋野鉄鉱山──現存最古の洋式高炉が世界遺産に
釜石市橋野町の山あいにある橋野高炉跡は、現存する日本最古の洋式高炉跡です。2015年7月5日、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産として世界遺産に登録されました(出典:林野庁東北森林管理局)。安政5年(1858年)、盛岡藩士・大島高任の指導で築かれた、木炭と水車だけで動く小さな高炉が出発点でした。
ラグビーのまち──「北の鉄人」V7の記憶
釜石が「ラグビーのまち」として知られるのは、新日本製鐵釜石製鉄所のラグビー部の存在によります。1970年代後半から1980年代半ばにかけて日本選手権を7連覇し、その強さから「北の鉄人」と呼ばれました(出典:日本製鉄釜石シーウェイブス)。国立競技場のスタンドにたなびいた大漁旗の応援は、今もこの町の名物です。
釜石鵜住居復興スタジアム──W杯で唯一の新設会場
2018年に完成した釜石鵜住居復興スタジアムは、ラグビーワールドカップ2019の会場の一つになりました。東日本大震災の津波で大きな被害を受けた鵜住居小学校・釜石東中学校の跡地に建てられ、W杯12会場のうち唯一の新設会場でした。収容約1万6千人と、12会場で最も小さなスタジアムです。震災の記憶と復興への願いが込められた場所なんですよ。
三陸の海の幸──親潮と黒潮が出会う漁場
釜石の沖は、親潮と黒潮が交わる世界屈指の漁場「三陸漁場」の一角です。サケやサバの定置網漁に加え、ワカメ・ホタテ・カキの養殖、アワビやウニの採取も盛ん(出典:釜石産業立地ポータル)。季節ごとに違う魚が水揚げされる、海の恵みが濃い町です。
釜石ラーメン──鉄の男たちのソウルフード
極細の縮れ麺と、琥珀色に透き通った醤油味のあっさりスープ。それが釜石ラーメンです。これは食の章でじっくり紹介しますが、製鉄所や漁港で働く人を待たせないために生まれた、釜石の歴史そのものみたいな一杯なんですよ。
釜石市の歴史

釜石の歩みは「鉄」とともにあります。三陸の小さな漁村が幕末に近代製鉄の地となり、明治以降は日本有数の製鉄都市へと発展しました。戦災と高炉休止、そして震災という幾度もの試練を乗り越え、今は世界遺産とラグビーを軸に再生を進めています。三段階で見ていきます。
幕末──近代製鉄のはじまり
古くは三陸の漁村だった釜石が大きく変わったのは幕末でした。盛岡藩士・大島高任が安政4年(1857年)に大橋で日本初の洋式高炉による出銑に成功し、翌年には橋野で高炉の建設に着手しました(出典:岩手県世界文化遺産関連ポータルサイト)。釜石は「近代製鉄発祥の地」となったのです。
近代──鉄都・釜石の発展
明治政府はこの地に日本初の官営製鉄所を設けました。製鉄業の発展とともに人口が増え、1937年(昭和12年)には釜石町が単独で市制を施行して釜石市となります。太平洋戦争末期の1945年には、米軍による2度の艦砲射撃で市街地と製鐵所が壊滅的な被害を受けました。
現代──震災を越えて世界遺産とラグビーへ
戦後の復興と高度経済成長期には、人口が9万人を超える東北有数の重工業都市へと成長しました。一方で「鉄冷え」と1989年の高炉休止で人口流出が進みます。2011年の東日本大震災では津波で甚大な被害を受けましたが、2015年に橋野鉄鉱山が世界遺産に登録され、2019年にはラグビーW杯を開催。鉄とラグビーの記憶が、復興の象徴になりました。
釜石市の文化・風習

方言と話し方の特徴
釜石の言葉は、東北方言らしく「か行」が濁って聞こえるのが特徴です。文化庁も釜石方言の音声の特徴を記録していて、たとえば語中の「カ・キ・ク」が「ガ・ギ・グ」のように発音される傾向があります(出典:文化庁)。
みなさんが現地で耳にしそうな言葉を、いくつか紹介します。したっけ(そうしたら・それじゃあ)、しゃっけー(冷たい)、しょす(恥ずかしい)、ちょす(触る・さわる)といった具合です。方向を表すときには「山さ行く」(山へ行く)のように「さ」を使います。
漁師町らしい、威勢のよさと温かさが同居した話し方。初めは聞き取りづらくても、慣れると人懐っこさが伝わってきますよ。
食卓と季節の暮らし
釜石の食卓は、なんといっても海の幸が主役です。朝の市場には三陸の魚が並び、ワカメの味噌汁や焼き魚、旬のウニやアワビが食卓にのぼります。海が時化(しけ)れば漁は休み、凪(なぎ)の日に一斉に動く──そんな海のリズムに暮らしが寄り添っています。
気候は意外と独特で、夏は冷たい北東風「やませ」の影響を受ける一方、山から吹き下ろすフェーン現象で県内一の高温を記録することもあります。冬は雪も降りますが、沿岸部は内陸ほどの厳しさはなく、住みやすいと言う人も多いんですよ。
虎舞と釜石まつり
釜石の秋を彩るのが、海の守護神・尾崎神社と製鉄所の守護神・山神社の合同祭「釜石まつり」です。例年10月に開催され、神輿を乗せた船が大漁旗をなびかせて港を巡る「曳き船まつり」が最大の見どころ(出典:いわての旅(岩手県観光協会))。船上で勇壮に舞う「虎舞」は、市の無形文化財「釜石虎舞」として受け継がれています。
釜石市の特産品・食

ワカメ──三陸が誇る肉厚の養殖わかめ
三陸はワカメの一大産地で、釜石でも養殖が盛んです。肉厚でシャキシャキとした食感が持ち味で、特に市南部の唐丹(とうに)でつくられる「唐丹ワカメ」は知る人ぞ知る名品なんですよ。旬は春先で、3〜4月に収穫されます。湯通し塩蔵わかめなら、さっと水洗いするだけで味噌汁にもサラダにも使えます。雪解け水が栄養を運ぶ三陸の海が、この品質を育てています。
サケ──定置網が支える釜石の主役
釜石の魚市場で大きな比重を占めるのがサケです。沖合に仕掛けた定置網で水揚げされ、秋から冬にかけてが最盛期。脂ののった身は焼いても鍋にしても美味しく、新巻きや塩引きといった保存食の文化も根づいています。地元の漁師町では、サケは暮らしに欠かせない冬の恵みです。
アワビ・ウニ──「開口日」に獲る磯の宝
釜石の磯では、エゾアワビとウニが獲れます。三陸のアワビは小ぶりですが身が締まって旨味が濃く、旬は意外にも冬。漁は資源を守るため「開口日(かいこうび)」と呼ばれる解禁日が決められていて、11〜12月に数回だけ行われます(出典:釜石産業立地ポータル)。ウニは5〜8月が旬。獲れたてを生でいただくと、海の甘みがそのまま口に広がります。
釜石ラーメン──製鉄マンと漁師が愛した一杯
釜石ラーメンは、極細の縮れ麺と琥珀色に透き通った醤油味の淡麗スープが特徴のご当地ラーメンです(出典:釜石観光物産協会)。1950年代半ば、製鉄所で3交代制で働く人や、せっかちな漁師を待たせないよう、数十秒でゆで上がる極細麺が定着したと言われています。
あっさりした昔ながらの中華そばのような味わいで、最後の一滴まで飲み干せる優しさ。市内には「釜石ラーメン」ののぼりを掲げる店が点在し、店ごとに少しずつ個性が違います。ぜひハシゴして、自分好みの一杯を探してみてください。
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釜石市の観光スポット

釜石市の観光は、大きく「鉄と世界遺産を学ぶ」「海と祈りに触れる」「ラグビーと海辺を歩く」の3つの軸で楽しめます。山あいの世界遺産から、津波を越えて再生した港のまちまで、テーマがはっきりしているのが釜石の面白さ。まずはエリアごとに、押さえておきたいスポットを紹介していきますね。
鉄と世界遺産を学べるスポット
- 橋野鉄鉱山(橋野高炉跡) – 現存する国内最古の洋式高炉跡で、2015年に世界遺産「明治日本の産業革命遺産」に登録されました(出典:釜石観光物産協会)。山あいに残る三基の高炉跡を、鳥の声を聞きながらガイドと歩くと、幕末の技術者たちの執念がじわりと伝わってきます。冬は積雪で見学が難しくなるので、緑の季節がおすすめです。
- 橋野鉄鉱山インフォメーションセンター – 高炉跡の手前にあるガイダンス施設。開館は9:30〜16:30、入場無料で、12月9日〜3月31日は冬期休館です(出典:釜石市公式サイト)。映像やパネルで予習してから高炉跡へ向かうと、石積みの見え方が変わりますよ。
- 釜石市立鉄の歴史館 – 橋野の三番高炉を原寸大で再現したシアターが見どころの資料館です。9:00〜17:00(入館は16:00まで)、火曜と年末年始が休館、入館料は一般500円です(出典:釜石市公式サイト)。高台にあるので、展望テラスから釜石湾と大観音を一望できます。
海と祈り、震災伝承のスポット
- 釜石大観音 – 釜石湾を見守るように立つ、高さ48.5mの魚籃(ぎょらん)観音像。1970年に建立され、胸元の海抜120mの展望台からは三陸のリアス海岸が見渡せます(出典:釜石大観音)。拝観料は大人500円・中高生300円・小学生100円、拝観時間は9:00〜17:00(12〜2月は16:00まで)です。海に向かって立つ観音様の表情は、どこか優しくて心が静まります。
- いのちをつなぐ未来館(うのすまい・トモス) – 鵜住居駅前にある震災伝承・防災学習施設。入場無料で、受付は9:30〜17:30(11〜2月は17:00まで)、水曜と年末年始が休館です(出典:うのすまい・トモス)。隣には犠牲者を悼む「釜石祈りのパーク」もあり、震災と向き合いながら静かに過ごせる場所です。
- 根浜海岸 – 砂浜が広がる釜石きっての海水浴スポット。震災で流失しましたが、レストハウスやキャンプ場が再整備され、例年7月に海開きを迎えます(出典:いわての旅(岩手県観光協会))。夏の朝、波打ち際を歩くだけで気持ちがほどけていきますよ。
ラグビーの記憶に触れるスポット
- 釜石鵜住居復興スタジアム – 津波被害を受けた鵜住居小学校・釜石東中学校の跡地に建てられ、ラグビーW杯2019の会場となったスタジアムです。今も釜石シーウェイブスの試合などで使われています。山と海に囲まれたスタンドに立つと、復興への願いが込められた場所だと実感できます。うのすまい・トモスから歩いてすぐなので、セットで訪れるのがおすすめです。
釜石市の観光ルート

釜石は見どころが山と海に分かれているので、車で動くと効率よく回れます。鉄の歴史をたどる山ルート、震災と復興を学ぶ海ルート、そして隣町まで足を延ばす広域ルート。それぞれ性格が違うので、旅の目的に合わせて選んでみてくださいね。
【車・1日】鉄の世界遺産ルート
9:00 釜石駅 → 9:10 鉄の歴史館 → 10:00 橋野鉄鉱山(車で約50分)→ 12:30 市街地で昼食
①鉄の歴史館(60分)→ 原寸大の高炉シアターで予習。橋野へ行く前にここを押さえると理解が深まります。
②橋野鉄鉱山(90分)→ ガイドと三つの高炉跡を歩く約1kmのコース。午前中は光が斜めに入り、石積みがくっきり見えます。
③市街地に戻って釜石ラーメン(60分)→ 山歩きのあとの、あっさり醤油の一杯が体に染みます。
山道は野生動物も出るので、歩きやすい靴で向かうのが安心です。
【車・半日】鵜住居・震災と復興を歩くルート
13:00 釜石駅 → 13:15 うのすまい・トモス → 14:30 釜石鵜住居復興スタジアム → 15:00 根浜海岸(車で約10分)
①いのちをつなぐ未来館(60分)→ 展示と「釜石祈りのパーク」で、震災の記憶に静かに向き合います。
②釜石鵜住居復興スタジアム(30分)→ W杯の舞台に立ち、復興のシンボルとしての重みを感じます。
③根浜海岸(自由)→ 夕方の海辺で深呼吸。一日の締めくくりにぴったりの場所です。
移動はどれも車で10分前後とコンパクトなので、半日でも充実します。
【車・1日】広域ルート:釜石〜遠野
9:00 釜石駅 → 10:00 橋野鉄鉱山 → 11:30 遠野方面へ(車で約35分)→ 12:30 遠野市で昼食・散策
①橋野鉄鉱山(90分)→ まずは世界遺産でじっくり鉄の歴史を。
②峠を越えて隣の遠野市へ → 民話のふるさととして知られる町。山あいの風景を眺めながらの移動も旅の一部です。
③遠野の郷土料理や散策(午後)→ 釜石の「鉄と海」とはまた違う、内陸の暮らしと伝承の世界が広がります。
橋野は遠野側からのアクセスも良いので、内陸と沿岸をつなぐルートとして組みやすいですよ。
ここまで見てきたとおり、見どころが少し離れた場所に点在していることもあります。気になるスポットをまとめて回るなら、レンタカーがあると一気に動きやすくなりますよ。料金は会社や時期でけっこう変わるので、まとめて比較できるサイトでサッと見ておくのがおすすめです。
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そして遠方から訪れるなら、思いきって一泊するのもおすすめです。日帰りでは通り過ぎてしまう夜や朝の時間に、その町ならではの静けさや表情に出会えます。お祭りやイベントの時期は宿が一気に埋まるので、早めの確保が安心ですよ。
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釜石市の年間イベント

釜石のイベントは、海と祭りと鉄が主役です。春の桜から夏の花火、秋の勇壮な祭り、冬の虎舞まで、季節ごとに港町の熱気が立ち上ります。どれも「変わりうる事実」なので、最新の開催月を公式情報で確認しながら紹介していきますね。
春〜夏:桜と花火で港がにぎわう
春は市民が集う「かまいし春まつり」が例年5月に開かれます(出典:釜石観光物産協会)。海開きを迎える根浜海岸は、夏の家族連れでにぎわう定番スポットです。
夏のハイライトは「釜石納涼花火」。例年8月に釜石港で開かれ、スターマインや水中花火など約3,000発が夜の海を彩ります(出典:釜石観光物産協会)。震災犠牲者を慰霊する想いが込められた花火で、海面に映る光がとても幻想的なんですよ。
秋:虎が舞う「釜石まつり」
釜石の秋といえば「釜石まつり」。海の守護神・尾崎神社と製鉄所の守護神・山神社の合同祭で、例年10月に3日間にわたって開かれます(出典:いわての旅(岩手県観光協会))。大漁旗をなびかせた船の上で虎舞が勇壮に舞う「曳き船まつり」は、笛と太鼓の音が港じゅうに響いて、ぜひ一度は見てほしい光景です。
冬:虎舞と冬花火
冬には「かまいし冬まつり」や「釜石冬花火」など、寒さの中で港を盛り上げる行事が続きます(出典:釜石観光物産協会)。市内の虎舞団体が一堂に会する「全国虎舞フェスティバル」も冬の名物。澄んだ空気の中で響く太鼓の音と、雄々しい虎の舞は迫力満点です。
釜石市のエリア別の顔

今の釜石市は、1955年に旧釜石市と甲子・鵜住居・栗橋・唐丹の4村が合併して生まれました(出典:釜石市公式サイト)。その名残で、市内はそれぞれ表情の違うエリアに分かれています。旅する視点で、各エリアの顔を見ていきましょう。
中心部エリア──鉄のまちの玄関口
釜石駅から続く市街地は、商店街や市民ホールTETTO、飲食店が集まる旅の拠点です。釜石ラーメンの店が点在し、夜には三陸の地酒と海の幸を楽しめます。観光の起点にしたり、グルメを巡ったりするのに向いたエリアですよ。
鵜住居・根浜エリア──復興とラグビーの北部
市北部の鵜住居は、復興スタジアムやうのすまい・トモスがある、震災と再生の象徴的なエリアです。少し足を延ばせば砂浜の根浜海岸も。震災を学びたい人、海辺でゆっくりしたい人に向いています。
唐丹・平田エリア──静かな漁港の南部
市南部の唐丹(とうに)や平田は、リアス海岸沿いに小さな漁港が連なるエリアです。名品「唐丹ワカメ」の産地でもあり、春先には養殖の作業風景が見られます。観光地化されていない、素朴な漁村の空気を味わいたい人におすすめです。
甲子エリア──川と柿の西部内陸
西部の甲子(かっし)は、甲子川沿いに広がる内陸のエリア。秋には燻して渋抜きする名産「甲子柿」が実り、道の駅釜石仙人峠もこの方面にあります。仙人峠を越えれば内陸へとつながる、山の表情を持った地域です。
橋野エリア──世界遺産が眠る北西の山里
北西の山あいにある橋野は、世界遺産・橋野鉄鉱山を擁する静かな山里です。鉄の歴史をたどる旅の目的地であり、自然豊かな環境そのものが見どころ。じっくり歴史と向き合いたい人にこそ訪れてほしいエリアです。
釜石市の気候・季節の暮らし

釜石市の年平均気温は11.7℃、年間降水量は約1,693mmです(出典:気象庁)。三陸沿岸の海に面した町なので、内陸の岩手に比べると冬の冷え込みはやわらかめ。海のおかげで寒暖がならされる、暮らしやすい気候なんですよ。季節ごとに見ていきましょう。
夏──やませと猛暑が同居する季節
釜石の夏は、冷たい北東風「やませ」が吹くと気温が上がりきらず、過ごしやすい日が続きます。年間の真夏日は20.6日ほどです(出典:気象庁)。
一方で、山から吹き下ろすフェーン現象が起きると一転して猛烈な暑さになり、過去には38℃を超える県内有数の高温を記録したこともあります。涼しい夏を覚悟していると、急な暑さに驚く年もあるんですよね。
冬──朝は冷えても日中は穏やか
冬は、最低気温が0℃を下回る「冬日」が年90日ほどある一方、最高気温も0℃未満の「真冬日」は1.8日とごくわずかです(出典:気象庁)。
つまり朝はぐっと冷え込んでも、日中は0℃以上に上がる日がほとんど。沿岸部は雪も比較的少なく、内陸の豪雪地帯のような暮らしにはなりません。とはいえ朝晩の冷えは本物なので、しっかりした防寒は必要です。
春・秋──短くも気持ちのいい季節
春は薬師公園や本郷の桜並木が咲きそろい、町が一気に華やぎます。秋は空気が澄んで、海沿いをドライブするのが気持ちのいい季節。三陸の海の幸も秋に旬を迎えるものが多く、食卓が豊かになる時期ですよ。
釜石市の移住・暮らし情報

釜石市は「オープンシティ(開かれたまち)」を掲げ、震災後はUターン・Iターンの移住者を積極的に受け入れてきました(出典:岩手県移住定住ポータルサイト)。海と山に囲まれながら、市街地には商業施設も揃う。そんな「ほどよい暮らしやすさ」が釜石の持ち味です。
通勤・通学
釜石は市内に仕事の場が比較的多い町です。日本製鉄の釜石地区をはじめ、市役所、病院、商業施設など、市内に通勤する人が中心。車があれば、市街地から漁村部・山間部まで30分前後で動けます。
住宅環境
家賃はリーズナブルで、アパートの1LDK〜2LDKでおよそ6万円前後が目安です(出典:SUUMO)。マンションタイプならもう少し抑えられる物件もあります。松倉駅や甲子町の周辺には築浅の賃貸が多く、ファミリー層に人気ですよ。
買い物環境
市街地にはイオンタウン釜石をはじめ、スーパーやコンビニ、ドラッグストアが揃っています(出典:岩手県移住定住ポータルサイト)。日用品の買い物で困る場面は少なく、漁村部や山間部でも個人商店が暮らしを支えています。
子育て・教育
市立の小学校が9校、中学校が5校あります(出典:釜石市公式サイト)。認定こども園や保育園・幼稚園は合わせて15か所あり、病後児保育や発達支援の相談窓口など、子育て世帯への支援も整っています(出典:フレフレ釜石Try人(釜石市移住定住ポータルサイト))。郷土芸能の虎舞に取り組む園もあり、地域ぐるみで子どもを育てる空気があります。
医療環境
医療の中核は岩手県立釜石病院です。内科・外科・小児科・産婦人科・脳神経外科など多くの診療科を備え、二次救急にも対応する災害拠点病院です(出典:岩手県立釜石病院)。市内にはせいてつ記念病院などもあり、沿岸部としては医療が比較的整っているエリアといえます。
エリア別の暮らし視点
中心部の只越・大渡周辺は、駅・病院・買い物先が近く、生活導線がコンパクトにまとまります。県立病院のある甲子町は、松倉駅前後に築浅の賃貸が多くファミリー向け。南部の平田・唐丹は静かな漁村で家賃も控えめ、北部の鵜住居は復興で街並みが新しく整ったエリアです。暮らし方の好みで選べる幅があるんですよ。
釜石市へのアクセス

釜石市へは、新幹線+在来線、車、飛行機のいずれでも行けます。内陸の花巻を経由するのが基本ルート。近年は三陸沿岸道路と釜石自動車道がつながり、車でのアクセスがぐっと便利になりました(出典:釜石市公式サイト)。
鉄道でのアクセス
東京方面からは、東北新幹線で新花巻駅まで向かい、JR釜石線に乗り換えて釜石駅へ。新花巻から釜石までは快速はまゆりで約1時間30分です(出典:釜石市公式サイト)。釜石線は本数が限られるので、乗り換え時刻を事前に調べておくのが安心ですよ。
車でのアクセス
車では、東北自動車道から釜石自動車道(東北横断自動車道釜石秋田線)を経由して釜石へ。三陸沿岸道路とも接続し、釜石中央IC・釜石北ICが市内の玄関口になります(出典:岩手県移住定住ポータルサイト)。沿岸の町どうしが高速道路でつながり、宮古や大船渡方面へも動きやすくなりました。
飛行機でのアクセス
遠方からは、いわて花巻空港の利用が便利です。空港から釜石までは車でおよそ1時間30分前後。レンタカーを借りて、そのまま観光に出るのがスムーズです。空港最寄りの新花巻駅から鉄道に乗り継ぐルートも選べます。
町内移動の現実的アドバイス
釜石は見どころが山と海に分かれているので、車があると移動が一段とラクになります。鉄道で訪れる場合は、釜石駅や新花巻駅でレンタカーを借りておくのがおすすめ。三陸鉄道リアス線を使えば、沿岸の景色を楽しみながら隣町へ足を延ばすこともできますよ。
交通手段ごとに見てきましたが、「結局いちばん安く行くにはどうすれば?」と迷う方も多いはず。飛行機で向かうなら、航空券は予約のタイミングや会社によって料金が大きく変わります。複数の航空会社・LCCをまとめて比較できるサイトで、いちど最安値をチェックしておくと安心ですよ。
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【地元住民に直撃!】釜石市の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
釜石で漁師をやっています。親潮と黒潮がぶつかる三陸の海は、世界でも指折りの漁場でね。サケの定置網に、ワカメやホタテの養殖、磯のアワビやウニと、季節ごとに獲るものが変わるんです。
海が時化れば休み、凪げば一斉に動く。自然のリズムに合わせて暮らす仕事です。震災で一度すべて流されましたが、また海に出られている。それだけでありがたいと思っていますよ。
Q2.釜石市に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
まずは世界遺産の橋野鉄鉱山ですね。山あいに高炉跡が残っていて、鳥の声を聞きながら歩くと、幕末の人たちの執念が伝わってくる。鉄のまちの原点です。
地元の人間としては、釜石大観音にも上ってほしい。観音様が海に向かって立っていて、展望台から釜石湾とリアスの海岸線が一望できる。あの静かな空気は、住んでいても背筋が伸びますよ。
Q3.釜石市でお土産を買うとしたらなんですか?
オーソドックスなところだと、やっぱり海の幸ですね。湯通し塩蔵のワカメは三陸の定番で、味噌汁に入れるだけで全然違う。地酒の日本酒も喜ばれます。
地元の人間が推すなら、ご当地の釜石ラーメン。極細の縮れ麺と琥珀色の醤油スープが家でも味わえる持ち帰り用があって、これが意外と評判いいんです。秋なら甲子柿も忘れがたい味ですよ。
Q4.外から人が来たときに、釜石市でまず連れていく店はどこですか?
決まって連れて行くのは、釜石ラーメンを出す店です。製鉄所や漁港で働く人を待たせないために生まれた、あっさり醤油の一杯でね。観光地っぽくない、昔ながらの食堂の出汁の匂いがいいんです。
あとは港のそばで三陸の旬の魚を出す店。水揚げされたばかりの刺身を地酒で流し込む、あの贅沢は釜石ならではですよ。
Q5.釜石市はどんな気質だと思いますか?
漁師町だから、威勢がよくて口は少し荒い。でも根っこは情に厚くて温かい人が多いです。海の仕事は一人じゃできないから、助け合いが体に染みついているんでしょうね。
鉄とラグビーで外の人とずっと付き合ってきた土地なので、よそから来た人にも壁を作らない。「開かれたまち」と言われるのは、本当にその通りだと思いますよ。
Q6.昔に比べて、釜石市の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言えば、人は減りました。製鉄の高炉が止まって、その後に震災が来て、町の景色も人の数もずいぶん変わった。寂しさがないと言えば嘘になります。
ただ、震災のあとに外から移り住んだ若い人が増えてね。ラグビーのワールドカップを機に、世界中とつながった。沈むだけじゃなく、新しい風が確かに入ってきていると感じます。
Q7.釜石市のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
鵜住居の復興スタジアムや、震災を伝える施設のあるエリアには期待しています。あの場所に人が集まって、若い世代が町の歴史を受け継いでくれたらと思うんです。
市民が集える文化拠点もできて、虎舞のような郷土芸能を披露する場も続いている。海の仕事を継ぐ若い者が増えてくれるのが、漁師としては一番の願いですけどね。

