陸前高田市(りくぜんたかたし)は、岩手県の東南端・太平洋に面する人口16,153人の市です。三陸海岸南部、広田湾の北奥に開けた平野に中心市街地があります。
この町の見どころを5つに絞ると、こうなります:
- ✅ 奇跡の一本松──約7万本の松林でただ1本、津波に耐えて残った復興のシンボル
- ✅ 北限のゆず──200年以上前から自生する、日本「北限」の柚子産地
- ✅ 広田湾産イシカゲ貝──国内で唯一、産業として養殖する「幻の貝」(GI登録)
- ✅ 気仙大工──小友町発祥、歌舞伎座や大阪城天守閣の復元も手がけた職人集団
- ✅ 東日本大震災津波伝承館──震災の事実と教訓を未来へ伝える施設
「震災と復興の歩みに触れたい人」「火山や地学ではなく“海と人の再生”に関心がある人」「果樹や海の幸を味わいたい旅行者」に向いた町です。本記事では、観光・特産・歴史から文化・暮らしまで、地元目線で紹介します。
| 人口 | 16,153 人 ※2026年5月1日時点(推計人口) |
|---|---|
| 面積 | 231.94 km² |
| 人口密度 | 69.6 人/km² |
地理的には、北は気仙郡住田町、北東は大船渡市、西は一関市、南は宮城県気仙沼市と県境を接しています(出典:陸前高田市公式サイト)。市域の約7割を森林が占め、広田湾には気仙川が注ぎます。
鉄道はJR大船渡線がBRT(バス高速輸送システム)に切り替わり、市内に在来線は通っていません。三陸沿岸道路の各インターからアクセスでき、一関までは車でおよそ75分です。海の幸、果樹、職人文化、そして震災からの復興と、見どころを順に見ていきましょう。
陸前高田市の推しポイント

陸前高田市を語るうえで外せないのが、東日本大震災からの復興と、それ以前から続く海と山の恵みです。津波に耐えた1本の松、震災の教訓を伝える施設、日本最北の柚子、幻の貝、そして全国に名を馳せた職人集団。性格の異なる5つの顔を、それぞれ見ていきます。
奇跡の一本松──津波に耐えた1本の松
かつて高田松原には約7万本の松が並んでいましたが、2011年の津波でそのほとんどが流出しました。そんな中、ただ1本だけ耐え抜いた松が「奇跡の一本松」です。樹齢173年、高さ約27.5mのその姿は、復興への希望の象徴として全国に知られました(出典:高田旅ナビ(陸前高田市観光物産協会))。残念ながら翌2012年に枯死が確認されましたが、保存整備のうえモニュメントとして当時と同じ場所に立っています。
東日本大震災津波伝承館──教訓を未来へ
高田松原津波復興祈念公園の中心にあるのが、東日本大震災津波伝承館(いわてTSUNAMIメモリアル)です。被災した実物や当時の映像・写真を通して、津波の脅威と「命を守る教訓」を伝えています。公園は国・岩手県・市が連携して整備し、2021年12月に全面供用となりました(出典:高田松原津波復興祈念公園)。隣には道の駅高田松原もあり、震災学習と地域の味の両方を楽しめます。
北限のゆず──日本最北の柚子産地
温暖な気候のこの町には、200年以上前からゆずが自生していました。震災後、地域外との交流の中で「北限」の産地であることが見直され、特産品として、また復興のシンボルとしてブランド化が進みました。ゆず塩、ゆず味噌、ゆずティーなど加工品も豊富で、お土産にぴったりなんですよ。
気仙大工──歌舞伎座も手がけた職人集団
市内の小友町は、東北を代表する職人集団「気仙大工」の発祥の地といわれます。江戸時代に農民の出稼ぎから生まれ、民家だけでなく神社仏閣、建具、彫刻までこなす多能ぶりで全国に知られました。東京・銀座の歌舞伎座の建築や大阪城天守閣の復元にも携わったと記録されています(出典:いわての文化情報大事典(岩手県))。
広田湾の海の幸とイシカゲ貝
リアス式海岸の広田湾は、ワカメ・カキ・ホタテ・ホヤなどの養殖が盛んな豊かな漁場です。なかでも「イシカゲ貝」は、広田湾が国内で唯一、産業として養殖を行う産地。希少さから「幻の貝」と呼ばれ、2022年2月3日には地理的表示(GI)保護制度に登録されました(出典:陸前高田市公式サイト)。
陸前高田市の歴史

陸前高田の歴史は、縄文時代の貝塚から始まります。古代には金と塩、海産物で栄え、中世から近世には気仙郡の政治・経済の中心地として発展しました。そして昭和30年に8つの町村が合併して市となり、2011年の大震災を経て、いま新しいまちづくりが進んでいます。3つの時代の流れで見ていきます。
古代──金と塩で栄えた気仙
市内の中沢浜貝塚が示すように、縄文時代からこの地には豊かな生活圏が形成されていました。平安時代初期には、金・塩・海産物が経済の根幹をなし、特に金は奥州藤原氏の黄金文化に大きな役割を果たしたと伝えられています(出典:陸前高田市公式サイト)。
中世〜近世──気仙郡の中心地として
鎌倉から室町期には葛西氏が統治し、藩政時代には仙台藩・伊達政宗の直轄領となりました。気仙郡今泉村には大肝入会所や代官所が置かれ、気仙地方の政治経済の中心として栄えました。この今泉地区を拠点に、前述の気仙大工も腕を磨いていきました。
近代〜現代──合併と震災、そして復興
明治22年の町村制で1町8カ村となり、昭和30年(1955年)に高田・気仙・広田の3町と、小友・米崎・矢作・竹駒・横田の5村が合併して陸前高田市が誕生しました。市制施行以来の読みは「りくぜんたかた」です。
2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震による大津波で市役所庁舎を含む中心市街地が壊滅し、全世帯の7割以上が被害を受けました。その後の復興で、市は氷上山の山麓高台に病院や住宅を移転し、土地のかさ上げと県内最大規模の二重構造の防潮堤を整備しました。新庁舎は2021年に完成しています。
陸前高田市の文化・風習

方言と話し方の特徴
この地域で話される言葉は「ケセン語(気仙語)」と呼ばれます。大船渡・陸前高田・住田の2市1町を含む気仙地方の方言で、地元出身の医師・山浦玄嗣さんが一つの独立した言語ととらえ、文法書や辞書、新約聖書の翻訳まで手がけたことで知られています(出典:ウィキペディア「ケセン語」)。
音の特徴がはっきりしていて、市名の「たかた」も土地の言葉ではたがだ(高田)のように濁って発音されます。ほかにも、めんこい(かわいい)、あべ(おいで・行こう)、おがる(育つ)など、東北らしい温かい言い回しがたくさん。なかでも面白いのがめぐさめんこ(よそ目には可愛くないが、身内には可愛くて愛しい子)という、相反する意味をつないだ言葉なんですよ。
食卓と季節の暮らし
三陸沿岸らしく、食卓には海の幸が並びます。春はワカメやメカブ、秋から冬はカキやホタテ、ホヤ。市のブランド米「たかたのゆめ」を炊いて、広田湾の魚と一緒にいただく――そんな当たり前の食卓が、この町のごちそうです。冬でも比較的雪が少なく穏やかな気候なので、海沿いの暮らしは思ったよりも過ごしやすいんですよ。
祭りと人の気質
毎年8月7日には、高田町で「うごく七夕まつり」、気仙町で「けんか七夕まつり」が開かれます。けんか七夕は、数百人がロープを引いて山車同士を正面衝突させる勇壮な祭り。震災で山車の多くを失いながらも、地元の有志が再建して受け継いでいます。
気仙の人々は「豪放で誇り高い」と言われる気質。震災後、5月の大規模花火大会が中止になった際も、市民有志が立ち上がり、地元主体の新しい「高田松原花火」を2026年10月11日に開催します(出典:高田松原花火 実行委員会)。自分たちの手で町を立て直す――その気質が、祭りにもよく表れていますよね。
陸前高田市の特産品・食

特産品1:北限のゆず
香りが高く、果汁は甘酸っぱくて爽やか。庭先に当たり前のようにあったゆずが、実は日本「北限」の産地のものだった、というのが面白いところです。旬は晩秋から初冬。果汁を絞って鍋や焼き魚にかけたり、皮を味噌に練り込んだ「ゆず味噌」にしたりと、寒い季節の食卓を彩ります。温暖とはいえ北国の地で200年以上育まれてきた、復興の象徴でもある柚子なんですよ。
特産品2:広田湾産イシカゲ貝
身は厚くコリッとした歯ごたえで、甘みが濃いのが特徴。寿司や刺身にすると、その旨みがよく分かります。広田湾は国内で唯一、イシカゲ貝を産業として養殖する産地で、苗が天然頼みのため収穫量が安定せず「幻の貝」と呼ばれます。築地などを通じて高級料亭にも卸される一品です(出典:陸前高田市公式サイト)。
特産品3:米崎りんご
海が近い陸前高田は、実は知る人ぞ知るりんごの里。米崎町を中心に栽培され、サンふじや王林のほか、地元生まれの希少品種「もりのかがやき」もあります。酸味と甘みのバランスが良く、ジュースやクラフトビール「りんごエール」に加工されることも。海の幸のイメージが強い町で、山の恵みにも出会えるのが楽しいところです。
特産品4:たかたのゆめ
陸前高田のブランド米が「たかたのゆめ」。粒がしっかりして冷めてもおいしいと評判で、市が普及に力を入れているお米です。広田湾のワカメやメカブと合わせた団子汁にしたり、地元の魚介と一緒に味わったり。道の駅高田松原などで購入でき、旅の締めくくりのお土産にもぴったりですよ。
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陸前高田市の観光スポット

陸前高田市の旅は、まず高田松原津波復興祈念公園から始めるのがおすすめです。奇跡の一本松や津波伝承館で震災と復興の歩みに触れ、そのあと発酵の町・今泉や、気仙大工の里・小友へ。海あり、山あり、職人文化ありと、半日では足りないくらい見どころが点在しています。テーマ別に見ていきましょう。
震災と復興を学ぶスポット
- 奇跡の一本松 – かつて約7万本あった高田松原で、津波に耐えてただ1本残った松です。樹齢173年、高さ約27.5mで、2012年に枯死後もモニュメントとして同じ場所に保存されています(出典:高田旅ナビ(陸前高田市観光物産協会))。広い空と海を背に立つ姿は、写真で見るより静かで、ずっしりと胸に残るんですよ。
- 東日本大震災津波伝承館(いわてTSUNAMIメモリアル) – 開館は9:00〜17:00(最終入館16:30)、休館は12月29日〜1月3日、入館料は無料です(出典:東日本大震災津波伝承館)。被災した実物や映像が並び、津波の力と「逃げる」ことの大切さが体感として伝わってきます。
- 道の駅高田松原 – 津波伝承館と一体で整備された道の駅で、三陸のゲートウェイです。広田湾の牡蠣やブランド米「たかたのゆめ」など、地元の海と山の幸が一度に手に入ります。旅の最初の情報集めにも、最後のお土産選びにもちょうどいい場所なんですよね。
発酵と職人文化に出会うスポット
- 陸前高田市立博物館 – 2022年に中心市街地へ再建・開館しました。開館は9:00〜17:00(最終入館16:30)、月曜(祝日の場合は翌日)と年末年始が休館、観覧料は無料です(出典:陸前高田市公式サイト)。津波で被災した資料を修復しながら展示する様子は、ここでしか見られません。
- 陸前高田 発酵パーク CAMOCY(カモシー) – 古くから醸造が盛んだった気仙町今泉地区に、2020年12月にオープンした商業施設です(出典:高田旅ナビ)。発酵定食、ベーカリー、チョコレート、クラフトビールが揃い、木の香りの空間でゆっくり過ごせますよ。
- 気仙大工左官伝承館 – 気仙大工発祥の地・小友町にあり、明治初期の民家を気仙杉で再現した茅葺の建物です。開館は9:00〜16:00、水曜と年末年始が休館、入館無料です(出典:高田旅ナビ)。囲炉裏端で職人の技や昔の暮らしの話を聞けるのが、ここの楽しみなんです。
海と自然を感じるスポット
- 高田松原海水浴場 – 2024年5月、岩手県で初めて国際環境認証「ブルーフラッグ」を取得した、美しさと安全性が認められたビーチです(出典:高田旅ナビ)。夏は海上アスレチックや手ぶらでできるビーチBBQも楽しめます。再生が進む松原を背に泳げるのは、この町ならではですよね。
- 広田半島(黒崎・椿島方面) – 市の南へ突き出す半島で、リアス式海岸の断崖と漁村風景が続きます。沖のウミネコ繁殖地・椿島は国の天然記念物に指定されています。海風と潮の匂いの中をのんびりドライブするだけでも、気持ちがほどけていきます。
- 箱根山展望台(市民の森) – 小友町の箱根山にある展望スポットで、広田湾や太平洋を見渡せます。気仙大工左官伝承館からも近く、山と海をセットで味わいたい人にぴったり。晴れた日の見晴らしは、寄り道する価値がありますよ。
陸前高田市の観光ルート

陸前高田市は車での移動が基本です。中心部の復興祈念公園まわりは半日でも回れますが、発酵の町や職人の里まで足を延ばすなら1日見ておくと安心。海沿いの広域ルートも組めます。代表的な3つを紹介しますね。
【車・1日】復興と発酵をめぐる中心部ルート
9:00 道の駅高田松原 → 9:10 津波伝承館・奇跡の一本松(徒歩)→ 11:00 陸前高田市立博物館(車10分)→ 12:30 アバッセたかた周辺で昼食 → 14:00 発酵パークCAMOCY(車10分)
①津波伝承館・奇跡の一本松(90分)
→ 朝いちばんの静かな時間に、震災と復興の歩みをじっくり見るのがおすすめです。混む前に一本松まで歩けます。
②陸前高田市立博物館(90分)
→ 修復中の資料も見られる、この町ならではの博物館。昼前のゆったりした時間帯が落ち着いて回れます。
③アバッセたかた周辺(90分)
→ かさ上げされた新しい中心市街地で昼食。買い物がてら、復興後の町の今を歩いて感じられます。
④発酵パークCAMOCY(90分)
→ 締めくくりは発酵グルメとクラフトビール。午後のやわらかい光が差すテラスで、旅の余韻に浸れますよ。
【車・半日】海と職人の小友・広田ルート
13:00 気仙大工左官伝承館 → 13:50 箱根山展望台(車5分)→ 14:40 広田半島ドライブ(車20分)→ 15:30 黒崎・椿島方面の海岸
①気仙大工左官伝承館(50分)
→ 囲炉裏端で職人文化の話を聞いてから出発。旅のはじめに知識を入れておくと、町の見え方が変わります。
②箱根山展望台(40分)
→ 広田湾を一望できる高台。午後の光で海がきらめく時間帯が気持ちいいんです。
③広田半島ドライブ(移動)
→ 漁村と断崖の風景を抜けていく道のり。窓を開けて潮の匂いを感じながら走ってみてください。
④黒崎・椿島方面の海岸(50分)
→ ウミネコの島を遠くに望む景勝地。夕方前の柔らかな海の色がとくにきれいです。
【車・1日】広域ルート:気仙地方を周遊
9:00 陸前高田(中心部)→ 9:30 大船渡・碁石海岸(車30分)→ 12:00 住田町方面 → 14:30 陸前高田へ戻る
①陸前高田 中心部(60分)
→ まず復興祈念公園で気仙地方の旅をスタート。半島の付け根から内陸へ抜けるイメージで動きます。
②大船渡・碁石海岸(120分)
→ 隣の大船渡市へ。奇岩が連なる海岸線は、陸前高田とはまた違う三陸の表情を見せてくれます。
③住田町方面(90分)
→ 山あいの住田町へ足を延ばし、気仙地方の「山の顔」も体感。気仙大工を生んだ森の文化圏がつながっています。
④陸前高田へ戻る(移動)
→ 夕方は再び海side へ。1日で「海と山が近い気仙」を丸ごと味わえるルートです。
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陸前高田市の年間イベント

陸前高田市の1年は、夏の七夕まつりと海開き、秋の花火が大きな見どころです。震災で一度途絶えながらも、地元の人たちが手で復活させてきた行事ばかり。季節ごとに紹介していきますね。
夏:二大七夕まつりと海開き
夏の主役は、高田町の「うごく七夕まつり」と気仙町の「気仙町けんか七夕まつり」。どちらも毎年8月7日に開かれる、数百年続くとされる伝統行事です(出典:高田旅ナビ)。
うごく七夕は、豪華絢爛な山車が町を練り歩き、夜には灯りがともって幻想的。一方のけんか七夕は約900年の歴史を持ち、岩手県の無形民俗文化財に指定されています。山車同士を「ドン」とぶつけ合う迫力に、沿道から歓声が上がるんですよ。
海好きなら、毎年7月中旬ごろの高田松原海水浴場の海開きもおすすめ。ブルーフラッグ認証ビーチで、海上アスレチックやビーチBBQも楽しめます(出典:高田旅ナビ)。
秋:高田松原花火
秋にぜひ訪れてほしいのが「高田松原花火」。2026年は10月11日に高田松原運動公園で開催されます(出典:高田松原花火 実行委員会)。
これは、以前の大規模花火大会が中止になったのを受け、市民有志が地元主体で立ち上げた新しい花火大会です。防潮堤側から打ち上がる花火を、海風を感じながら眺める――復興を歩んできた町ならではの、特別な秋の夜になりますよね。
冬〜春:特産を味わうイベント
冬から春にかけては、特産品をテーマにした催しが楽しみどころ。例年2月ごろには、復興のシンボルでもある柚子を味わう「北限のゆずを楽しむ会」などが開かれています(出典:高田旅ナビ)。
雪の少ない穏やかな気候なので、冬でも町歩きがしやすいのがこの町のいいところ。発酵パークでクラフトビールを片手に、ゆったり過ごす冬旅もおすすめなんです。
陸前高田市のエリア別の顔

陸前高田市は、昭和30年に高田・気仙・広田の3町と、小友・米崎・矢作・竹駒・横田の5村が合併してできた市です(出典:陸前高田市公式サイト)。今もそれぞれの旧町村が個性を残しています。旅する視点で、主なエリアの顔を見ていきましょう。
高田町──復興の中心、新しい町の顔
市の中心市街地で、かさ上げ地に建つアバッセたかたや市立博物館が集まるエリアです。海側には復興祈念公園が広がり、震災学習と買い物・食事を1か所で楽しめます。「町の今」を歩いて感じたい人に、まず訪れてほしいエリアなんですよ。
気仙町・今泉──発酵と七夕の町
古くから醸造が盛んだった今泉地区を抱えるエリアです。発酵パークCAMOCYがあり、夏には約900年続くけんか七夕まつりの舞台にもなります。歴史の匂いと新しい発酵カルチャーが同居する、散策が楽しいエリアです。
広田町──海と漁村の半島エリア
広田湾に突き出す広田半島の町で、漁業が暮らしの中心です。断崖や椿島など三陸らしい景観が続き、新鮮な海の幸も魅力。海沿いをのんびりドライブしたい人や、漁村の空気に触れたい人に向いています。
小友町──気仙大工の里と山の眺め
気仙大工発祥の地とされるエリアで、気仙大工左官伝承館や箱根山展望台があります。海にも山にも近く、職人文化と高台からの眺望をセットで味わえます。ものづくりや建築に興味がある人には、特に響くエリアですよ。
米崎・矢作・横田──果樹と内陸の里
米崎町はりんご、内陸の矢作町・横田町は山あいの田園と果樹が広がるエリアです。北限のゆずや米崎りんごの産地で、季節の果物を求めて訪ねるのにぴったり。海の町という印象とは違う、陸前高田の「山の顔」に出会えます。
陸前高田市の気候・季節の暮らし

陸前高田市は、三陸沿岸の中では比較的おだやかな気候です。市に隣接する大船渡(最寄りの気象官署)の平年値を見ると、年平均気温は11.7℃、最も寒い1月でも平均1.1℃、最も暑い8月で平均23.2℃です(出典:気象庁)。海沿いらしく、夏も冬も極端になりにくいのが特徴なんですよ。
冬──雪が少なく過ごしやすい
東北の太平洋側らしく、冬の降雪は多くありません。大船渡の年間降雪量は合計でおよそ45cm、最深積雪も年間で10cm前後にとどまります(出典:気象庁)。
とはいえ、朝の冷え込みは1月で氷点下になる日もあります。雪かきに追われる地域ではないぶん、防寒着とすべりにくい靴があれば、冬の町歩きはぐっと楽になりますよ。
夏──蒸し暑くなりにくい海の町
夏は最暖月の8月でも平均23℃台と、内陸の盆地ほど蒸し暑くなりにくいのが魅力です。海から吹く風が、夕方になると体感をやわらげてくれます。
7月中旬には高田松原海水浴場が海開きを迎え、町全体が夏モードに。浜辺で涼みながら過ごす夏は、この町ならではの贅沢な時間なんですよね。
春・秋──過ごしやすい行楽シーズン
春は果樹の花が咲き、秋は気温が穏やかで観光にもってこいの季節。10月には高田松原花火もあり、海風の中で夜空を見上げる時間が待っています。
「岩手の湘南」と呼ばれるほど温暖とされる土地柄で、移住希望者にも過ごしやすさが評価されています(出典:岩手県移住定住ポータルサイト)。四季の変化を楽しみながら、無理なく暮らせる気候だと考えられます。
陸前高田市の移住・暮らし情報

陸前高田市での暮らしは、車があれば日常の買い物も通院もそろう、コンパクトで動きやすい生活圏です。震災後に新しく整備された中心市街地を軸に、海・山・果樹の里が車で20〜30分圏内に収まっています。住む視点で、具体的に見ていきましょう。
通勤・通学
市内勤務のほか、隣の大船渡市や気仙沼市へ車で通う人も多いエリアです。中心部から大船渡までは車でおよそ20分。鉄道はBRT(バス高速輸送システム)が運行していますが、生活の足は基本的にマイカーになります。
住宅環境
家賃は手ごろで、2LDKでおよそ5〜6万円前後が目安です(出典:SUUMO)。震災後に建てられた築浅物件も多く、敷金・礼金ゼロの物件が見つかりやすいのも特徴です。
住宅取得には市独自の支援があり、59歳以下の移住者には上限100万円(子育て世帯はさらに加算)を補助する制度があります(出典:岩手県移住定住ポータルサイト)。家を建てて根を下ろしたい人には心強い後押しですよね。
買い物環境
中心市街地の複合商業施設「アバッセたかた」を核に、マイヤやイオンスーパーセンターなどが市内にそろっています。日用品の買い物で困ることは少ないと考えられます。週末には中心部で「ほんまる茜市」が開かれ、地元の旬が並びます。
子育て・教育
市内には保育所や小中学校があり、地域ぐるみで子どもを見守る雰囲気が残っています。アバッセたかたのすぐ近くには「まちなか広場」や交流施設「ほんまるの家」があり、買い物のついでに子どもを遊ばせられるのが便利なんですよ。
医療環境
地域の中核を担うのが、高田町にある岩手県立高田病院です(出典:岩手県立高田病院)。専門的な診療では大船渡や気仙沼の病院を利用することもあるため、近隣市の医療機関も合わせて把握しておくと安心です。
エリア別の暮らし視点
住む場所としては、買い物・通院に便利な高田町が人気で、賃貸物件も集まっています。米崎町や矢作町は落ち着いた住環境で、果樹の里らしいのどかさが魅力。海の近くで暮らしたいなら広田町、職人文化に惹かれるなら小友町と、旧町村ごとに性格がはっきり分かれています。
陸前高田市へのアクセス

陸前高田市へは、車なら三陸沿岸道路、公共交通なら新幹線の一ノ関駅を起点にするのが基本です。市内に在来線の駅はなく、BRTとマイカーが移動の中心になります。主要ルートを見ていきましょう。
車でのアクセス
仙台からは三陸沿岸道路経由でおよそ130分、盛岡からは東北道・釜石道経由でおよそ120分です(出典:岩手県移住定住ポータルサイト)。市内には陸前高田IC・通岡IC・陸前高田長部ICがあり、高速道路から各スポットへスムーズに入れます。
鉄道+BRTでのアクセス
新幹線で来る場合は、一ノ関駅が玄関口です。一ノ関駅からJR大船渡線で気仙沼駅まで約1時間20分、そこからBRTに乗り換えて奇跡の一本松駅まで約30分です(出典:旅東北(東北観光推進機構))。乗り換えがあるので、時刻はあらかじめ確認しておくと安心ですよ。
飛行機でのアクセス
最寄りはいわて花巻空港で、車でおよそ110分です(出典:岩手県移住定住ポータルサイト)。仙台空港からも高速道路でアクセスでき、関西や中部方面から来る場合は仙台空港経由が便利な場合もあります。
町内移動の現実的アドバイス
観光でも暮らしでも、町内はレンタカーかマイカーが現実的です。復興祈念公園・CAMOCY・気仙大工左官伝承館は車で点在しているため、1日かけて回るならカーナビで経路を確認しながら動くのがおすすめ。BRTは本数が限られる時間帯もあるので、公共交通だけで巡る場合は往復の計画を先に立てておくと失敗がありません。
交通手段ごとに見てきましたが、「結局いちばん安く行くにはどうすれば?」と迷う方も多いはず。飛行機で向かうなら、航空券は予約のタイミングや会社によって料金が大きく変わります。複数の航空会社・LCCをまとめて比較できるサイトで、いちど最安値をチェックしておくと安心ですよ。
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【地元住民に直撃!】陸前高田市の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
広田湾で牡蠣とわかめの養殖をやっています。朝はまだ暗いうちに船を出して、湾の中で網や筏の世話をする毎日です。
震災で一度すべて流されましたが、海がまた育ててくれるのを信じて続けてきました。この湾は穏やかで栄養も豊かなので、貝も海藻もよく太るんですよ。
Q2.陸前高田市に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
やっぱり高田松原津波復興祈念公園と奇跡の一本松ですね。観光で来た人にはまずここを歩いてほしい。海と空が広くて、静かで、いろんなことを考えさせられる場所です。
地元の人間としては、氷上山に登った時の眺めが好きですね。広田湾も町も一望できて、ここで生きてきたんだなと実感できる。朝の澄んだ空気は格別ですよ。
Q3.陸前高田市でお土産を買うとしたらなんですか?
無難なところだと、やっぱり海産物。わかめやめかぶ、牡蠣あたりは間違いないです。広田湾の海藻は肉厚で、味が濃いんですよ。
地元の人間がこっそり勧めるなら、北限のゆずを使った加工品ですね。味噌や調味料にすると、香りが料理を一段引き上げてくれる。米崎のりんごも、秋なら外せません。
Q4.外から人が来たときに、陸前高田市でまず連れていく店はどこですか?
発酵をテーマにした施設に連れていくことが多いですね。地元の食材を使った定食やクラフトビールがそろっていて、木の香りのする空間でゆっくりできるんです。
あとは道の駅の食事処。広田湾の牡蠣やブランド米を出してくれるので、「これがこの町の海と田んぼの味だよ」と説明しながら食べてもらうのが好きなんですよ。
Q5.陸前高田市はどんな気質だと思いますか?
豪放で、誇り高い人が多いと思います。気仙大工を生んだ土地柄もあってか、ものづくりや仕事に真っすぐな人が多いですね。
距離が近くて、困っている人がいると放っておけない。すれ違えば声をかけるし、子どもはみんなで気にかける。人の少ない町だからこそ、つながりが濃いんです。
Q6.昔に比べて、陸前高田市の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言えば、震災前のにぎわいとはまだ違います。人も減りましたし、かさ上げされた町は、昔の景色とはすっかり別物になりました。
ただ、中心市街地に新しい店や交流の場が増えて、子どもが遊ぶ姿も戻ってきました。市民会館や復興祈念公園に人が集まる様子を見ると、町は確かに前を向いていると感じます。
Q7.陸前高田市のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
市民有志が立ち上げた花火大会に期待しています。一度途絶えかけた灯を、地元の手でもう一度ともそうとしている。海風の中で見る花火は、この町ならではですよ。
あとは高田松原の松の再生ですね。何万本もの植樹が進んでいて、また松原が戻るには時間がかかる。でも子や孫の代に残したい、町ぐるみの大きな活動なんです。

