更別村(さらべつむら)は、北海道・十勝地方の南部に位置する人口3,039人の小さな村です。とかち帯広空港から車で約15分、帯広市の南およそ35kmにあり、村域の約7割が畑という純農村地帯です。
更別村の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 農家1戸あたり約50ヘクタール──東京ドーム約10個分という国内最大級の大規模農業
- ✅ スーパービレッジ構想──無人ロボットトラクターやドローンが動くスマート農業の村
- ✅ いんげん豆の里──金時豆や大手亡など、豆づくりが盛んな十勝の畑作地帯
- ✅ すももの里──どんぐり公園のすもも畑と、5月下旬の「すももの里まつり」
- ✅ 十勝スピードウェイ──北海道唯一のFIA公認レースコース
「広い大地でのびのび暮らしたい人」「最先端のスマート農業に興味がある人」「災害が少なく安心して移住先を探している人」に特におすすめの村です。本記事では、産業・特産・歴史から、村に根づく暮らしの文化まで、地元目線で紹介します。
| 人口 | 3,039 人 ※2026年4月30日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 176.90 km² |
| 人口密度 | 17.2 人/km² |
地理的には、東は幕別町、西は中札内村、南は大樹町、北は帯広市に接しています(出典:全国観光資源台帳(公益財団法人日本交通公社))。日高山脈の東に広がる扇状地に位置し、村域の大半は火山灰でおおわれたなだらかな台地です。中央をサッチャルベツ川、北部をサラベツ川が流れ、その流域が肥沃な農地になっています。
とかち帯広空港まで車で約15分、東京へは空路約1時間半。「十勝でもっとも東京に近い村」とも言われます。畑作と最先端技術が同居する、ちょっと不思議な村の中身を見ていきましょう。
更別村の推しポイント

更別村のいちばんの顔は、なんといっても「日本有数の大規模農業」と「それを支える先端技術」です。だだっ広い畑をロボットトラクターやドローンが動き、村全体が次世代農業の実験場のようになっています。そこに、すももの里や北海道唯一のレースコースといった意外な楽しみも加わります。ひとつずつ見ていきましょう。
推しポイント1:国内最大級の大規模農業
更別村は、農家1戸あたりの耕地面積が平均でおよそ50ヘクタール(東京ドーム約10個分)にのぼり、全国でも有数の規模を誇ります(出典:更別村公式サイト)。1戸あたりのトラクター保有台数も4台を超え、日本トップクラス。じゃがいも・小麦・ビート・豆類を中心に、首都圏へ大量に出荷する一大食料生産基地です。カロリーベースの食料自給率は6800%にのぼると村は説明しています(出典:同上)。
推しポイント2:スーパービレッジ構想──ロボット農機と自動運転
この村が全国から注目されるのが「スーパービレッジ構想」です。広い農地のスケールメリットを生かし、無人ロボットトラクターやドローンによる作業、AI・IoTを使ったデータ農業が進められています。さらに自動運転車両やデマンド交通など、暮らしのデジタル化にも取り組んでいます(出典:更別村公式サイト)。きっかけは2016年の台風被害だったというのも、この村らしい背景なんですよ。
推しポイント3:すももの里とどんぐり公園
国道236号沿いの「どんぐり公園」には、すももの木が植えられた「すももの里」があります。開拓時代に各農家の庭先で親しまれていたすももを村ぐるみで復活させたもので、5月下旬には白い花が見頃を迎え、「すももの里まつり」が開かれます(出典:更別村公式サイト)。夏に実った果実は、道の駅さらべつのすももジャムなどに姿を変えます。
推しポイント4:十勝スピードウェイ
村内には北海道唯一のFIA公認レースコース「十勝スピードウェイ」があります。本格的なモータースポーツの舞台であると同時に、毎年8月には全国からチームが集まる「全日本ママチャリ耐久レース」も開かれ、夜通しの自転車耐久レースが村の名物になっています(出典:更別村公式サイト)。レースに縁がなくても楽しめる、ゆるくて熱いイベントですよ。
推しポイント5:日高山脈と十勝晴れの大平野
更別村のもうひとつの財産が、景色そのものです。西にどっしり構える日高山脈、地平線まで続く麦畑、澄んだ「十勝晴れ」の青空。冬には霧氷やけあらしといった北海道らしい現象も見られます。勢雄地区の猿別川付近はカメラマンが集まる隠れた絶景スポットとして知られています。何もないようでいて、季節ごとに表情を変える大地が広がっているんです。
更別村の歴史

更別村の歴史は、大きく3段階に分けられます。アイヌの人々が暮らし地名の由来を残した時代、明治中期からの開拓で湿原を農地に変えていった時代、そして昭和の大規模機械化を経て現在のスマート農業へとたどり着いた時代です。湿地帯から国内最大級の農業地帯へ──その歩みそのものが、この村の個性になっています。
地名の由来とアイヌの時代
「更別」の名は、アイヌ語の「サラペッ(sar-pet)」、すなわち「ヨシ原・川」に由来すると考えられています(出典:Wikipedia「更別村」記載のアイヌ語地名研究)。開拓以前、サラベツ川などの流域は一面の湿地帯で、高台は柏(かしわ)の大木におおわれていました。今も上更別地区の更別湿原は、希少なヤチカンバの生育地として環境省の「重要湿地」に選ばれています(出典:環境省)。
開拓と分村──村の誕生
本格的な開拓は明治中期から進められました。そして1947年(昭和22年)9月、隣接する大正村(現在の帯広市大正町)から分かれて、更別村が誕生しました。翌1948年(昭和23年)には幕別町から勢雄・弘和の一部を編入し、現在の村域の骨格が整いました。地名のもとになった湿原を、入植者たちが少しずつ耕地に変えていった歴史が、この村の土台になっています。
現代──大規模機械化からスマート農業へ
経営規模の拡大は昭和40年代から加速しました。1966年(昭和41年)に1戸あたりの耕地面積が14.5ヘクタールとなり十勝管内1位を記録、1990年(平成2年)には32.3ヘクタール、2015年(平成27年)には49.0ヘクタールに達しています(出典:更別村公式サイト)。この圧倒的な農地規模が、のちのロボット農機やドローンを使うスーパービレッジ構想へとつながっていきました。湿原から始まった村が、いま日本の農業の未来を試す場所になっています。
更別村の文化・風習

方言と話し方の特徴
更別村を含む北海道・十勝地方では、いわゆる北海道弁が日常的に使われています。標準語に近いと言われますが、独特の言い回しが暮らしの中に残っているんですよ。たとえばなまら(とても・すごく)、めんこい(かわいい)、したっけ(そうしたら/それじゃあね)、こわい(疲れた・だるい)、ばくる(交換する)、あずましい(落ち着く・居心地がよい)などです。夕方の挨拶もおばんです(こんばんは)が自然に出てきます。意味を知っておくと、地元の人との会話がぐっと近くなりますよね。
食卓と季節の暮らし
食卓には、やはり自分たちの畑の恵みが並びます。とれたてのじゃがいもや豆、スイートコーン、アスパラなど、首都圏へ出荷されるのと同じ作物が、ここでは「ふつうの晩ごはん」になります。秋の収穫期には村中が忙しくなり、「さらべつ大収穫祭」で更別和牛やクラフトビールを囲んで一年の実りを祝います(出典:更別村公式サイト)。冬は氷点下25度前後まで冷え込む日も珍しくなく、雪と寒さと上手につきあう暮らしが根づいています。
人の気質と地域のつながり
広い農地で大型機械を操りながら働く土地柄もあってか、おおらかで実直な気質の人が多いと言われています。村は「住みたい 住み続けたいまち」を掲げ、医療や子育てのしやすさ、自然災害の少なさを大切にしてきました。家庭医療センターと連携した医療体制や、出生率の高さもこの村の特徴として知られています。小さな村だからこそ、人と人の距離が近く、暮らしの安心感があります。移住先を探している人にとっては、その空気感そのものが魅力に映るはずです。
更別村の特産品・食

特産品1:いんげん豆(金時豆・大手亡)
更別村を語るうえで外せないのが豆です。じゃがいも・小麦・ビートと並ぶ主要作物で、村は金時豆や大手亡(おおてぼう/白いんげん)の生産高を「日本一」としています(出典:更別村公式サイト)。金時豆は煮豆にすると皮までやわらかく、ほっくり甘い。大手亡は白あんの原料になり、和菓子のやさしい甘さを支えています。広い畑で大型機械を使って育てられる、この村ならではの味です。旬は秋の収穫期。煮豆や甘納豆で、ぜひ味わってみてください。
特産品2:すもも
「すももの里」で育つすももも、村の顔のひとつです。甘酸っぱくてジューシーな実は、そのまま食べてもおいしいですが、おすすめは道の駅さらべつの自家製すももジャム。すももの酸味とやさしい甘さが効いていて、パンやヨーグルトにのせると朝食が一気に華やぎます(出典:更別村公式サイト)。開拓時代に庭先で親しまれた味を村ぐるみで復活させた、というストーリーも込みで楽しみたい一品です。旬は夏。
特産品3:じゃがいも・小麦・ビートの畑作四品
主要作物のじゃがいも・小麦・ビート(てんさい)も、更別村の食を語るうえで欠かせません。火山灰土と昼夜の寒暖差が、でんぷん質ののったじゃがいもや、香り高い小麦を育てます。ビートは国産砂糖の原料となり、家庭の甘みを足元から支えています。蒸かしいもにバターをのせるだけ、という素朴な食べ方が、この大地ではいちばんのごちそう。地平線まで続く畑を眺めながら味わえば、その一皿の意味がもっと深く感じられるはずです。
特産品4:更別和牛
近年知られるようになってきたのが「更別和牛」です。秋の「さらべつ大収穫祭」では、ステーキの実演販売やキノコ汁などで提供され、毎年人気を集めています(出典:更別村公式サイト)。豊かな大地で育つ畑作と畜産、その両輪がそろっているのが更別村の強みです。祭りの会場で、地元の人たちと一緒に焼きたてを頬張る──そんな体験ができたら、この村の豊かさが舌でわかると思いますよ。
更別村の観光スポット

更別村の観光は、大きく「大地と農業を感じる場所」「子どもと一日中遊べる場所」「ひと息つく場所」の3方向で考えると分かりやすいです。地平線まで畑が続く中に、レースサーキットやオートキャンプ場、釣り堀がぽつぽつと点在しているイメージ。まずは押さえておきたいスポットを、タイプ別に紹介していきますね。
大地と先端農業を感じるスポット
- 道の駅さらべつ 観光と物産の館ピポパ – 十勝スピードウェイの入口にある旅の拠点です。営業時間は9:00〜18:00(レストランは9:30〜17:00)、休みは年末年始(出典:更別村公式サイト)。村の特産品が並ぶ売店には、生産高日本一とされる金時豆や大手亡、すもものジャムやのむヨーグルト、人気の「どんぐりのむらポテトチップス」がずらり。すももジャムをのせたソフトクリームを片手に、日高山脈を眺めるのが気持ちいいんですよ。
- 十勝スピードウェイ – 豊かな農村風景の中に広がる、北海道唯一のFIA公認サーキットです(出典:更別村公式サイト)。広大でフラットなコースを、レーシングカーやバイクが甲高い音を立てて駆け抜けます。観戦日には、エンジン音が大地に響きわたる独特の高揚感を味わえます。レースのない日も、村のあちこちにかすかに届くサーキットの音が、ここが「走る村」であることを思い出させてくれます。
- 更別湿原のヤチカンバ群生地 – 氷河期の生き残りとも言われる希少な低木ヤチカンバの生育地で、北海道の天然記念物に指定されています(出典:文化遺産オンライン(文化庁))。環境省の「重要湿地」にも選ばれている、知る人ぞ知る場所です(出典:環境省)。派手さはありませんが、開拓前の更別が一面の湿原だった頃の面影を、静かに感じられる場所です。
家族で一日中遊べるスポット
- どんぐり公園 – 更別市街から国道236号を広尾方面へ約2km。園内には国際公認のパークゴルフ場「プラムカントリー」(3万坪・54ホール)、木製アスレチック、休憩施設のプラムハウス、そして「すももの里」が広がるレジャーゾーンです(出典:更別村公式サイト)。プラムハウスの受付は8:00〜17:00。5月下旬にはすももの花が満開になり、白い花の甘い香りに包まれます。子どもがアスレチックで遊び、大人はパークゴルフ、という王道の過ごし方がよく似合います。
- 農村公園大型遊具広場(さらべつプレイランド) – 更別ICから車で約3分、役場のすぐ隣にある子ども向けの遊具広場です。ローラースライダーなど5種類の滑り台を含む30種類以上の遊具が点在し、十勝管内でも屈指の規模を誇ります(出典:更別村公式サイト)。大人向けの健康遊具も併設。アクセスが良いので、長距離ドライブの途中で子どもを思いきり走らせたいときにぴったりですよ。
- ファミリーパークさらべつ – 日高山脈の伏流水を使った、一年中楽しめる釣り堀です(出典:更別村公式サイト)。オショロコマ、ヤマベ、ニジマス、銀ザケなどが泳ぎ、釣った魚は無料で持ち帰れます。釣り堀は4時間釣り放題で大人2,000円ほど(貸竿・エサあり)。焼肉ハウスも併設しているので、釣り上げた魚をその場で味わう、という流れも楽しめます。初心者や小さな子どもでも釣れるので、家族連れに人気なんですよ。
遊んだあとにひと息つくスポット
- さらべつカントリーパーク – 30haの広大な敷地に、緑の芝生・トレーラーハウス・ヨーロッパ風コテージ・テントサイトがそろうオートキャンプ場です。テントサイトは4月下旬〜10月下旬、コテージなどの宿泊棟は通年営業で、予約は6か月前から受け付けています(出典:更別村公式サイト)。水遊びできる水路やパークゴルフ場も完備。なお2026年4月から宿泊税が導入されています(出典:さらべつ観光情報公式サイト)。隣からはサーキットの音がかすかに届き、この村らしいキャンプ体験になります。
- 福祉の里温泉 – ナトリウム・塩化物泉の日帰り温泉です。入浴時間は13:00〜22:00(最終受付21:00)、入浴料は大人450円・中学生200円・小学生100円(小学生未満無料)とお手頃(出典:とかち晴れ(十勝観光連盟))。寝湯・バイブラ・露天風呂・サウナを備え、保温効果が高く湯冷めしにくいのが特徴です。キャンプや釣りで冷えた体を温めて、広いロビーでのんびり過ごす締めくくりにぴったりです。
- アクティビティセンター・アンドア – レンタサイクルの拠点で、ロードバイクやクロスバイク、E-Bikeを借りられます。料金はロードバイクで4時間まで2,000円ほど、E-Bikeも同程度。ロッカーやシャワーも備えています(出典:更別村公式サイト)。信号が少なく見通しのいい更別の直線道路は、自転車で走ると本当に気持ちいい。電動自転車なら、畑の中の一本道をどこまでも進んでいけますよ。
更別村の観光ルート

更別村は信号が少なく、スポット同士の移動が短いのが旅のしやすいところ。とかち帯広空港から車で約15分という近さも魅力です。ここでは、村内でゆったり遊ぶ1日コースと、子ども連れの半日コース、さらに南十勝を巡る広域コースの3つを紹介しますね。
【車・1日】更別まるごと満喫ルート
時系列:10:00 道の駅さらべつ → 10:40 どんぐり公園 → 12:30 ファミリーパークさらべつ → 14:30 十勝スピードウェイ周辺 → 16:00 福祉の里温泉
①道の駅さらべつ(40分)
→ まずは特産品をチェックして、旅の計画を立て直すのにぴったり。すももソフトで軽くエネルギー補給を。
車で数分移動します。
②どんぐり公園(1時間半)
→ アスレチックで体を動かしたり、パークゴルフを楽しんだり。すももの里の散策もここで。午前の光が芝生に映えます。
③ファミリーパークさらべつ(2時間/昼食込み)
→ お昼どきは釣り堀へ。釣った魚を焼肉ハウスで味わえば、それがそのまま昼ごはんになります。
④十勝スピードウェイ周辺(1時間)
→ レース開催日なら観戦を、そうでなければ広大なコースの空気感を味わいに。夕方の斜光がコースを照らす時間帯がきれいです。
⑤福祉の里温泉(1時間)
→ 一日の締めは温泉で。露天風呂で体を温めれば、十勝の一日がじんわり染みてきますよ。
【車・半日】子ども大満足ルート
時系列:13:00 農村公園大型遊具広場 → 14:30 どんぐり公園 → 16:30 道の駅さらべつ
①農村公園大型遊具広場(1時間半)
→ 更別ICから3分という近さ。30種類以上の遊具で、子どもが飽きるまで思いきり遊べます。
②どんぐり公園(2時間)
→ 木製アスレチックでさらに体力を発散。大人はプラムハウスでソフトクリームを片手にひと休み。
③道の駅さらべつ(30分)
→ 帰り際にお土産を。どんぐりのむらポテトチップスは、家でも喜ばれる定番です。
【車・1日】南十勝ぐるり広域ルート
時系列:9:30 とかち帯広空港 → 10:00 更別村(道の駅さらべつ)→ 12:00 中札内村方面 → 15:00 大樹町方面 → 17:00 更別村(福祉の里温泉)
①道の駅さらべつ(1時間)
→ 空港から近い更別を旅の起点に。広域ドライブの腹ごしらえと情報収集をここで。
②中札内村方面(2時間)
→ 西隣の村へ。美術村や名物の鶏文化など、更別とはまた違う十勝の表情に出会えます。
③大樹町方面(2時間)
→ 南隣の町へ。海と宇宙のまちとして知られ、更別の内陸風景との対比が楽しい。
④福祉の里温泉(1時間)
→ ぐるりと巡って更別に戻り、温泉で締め。広い十勝を実感できる一日になります。
更別村の年間イベント

更別村のイベントは、農業の村らしく「花・スポーツ・収穫・光」と季節がはっきり分かれているのが特徴です。春のすもも、夏の自転車レース、秋の収穫祭、冬のイルミネーション。どれも村ぐるみの手づくり感があって、規模は大きくなくても温かいんですよ。
春〜初夏:すももの里まつり
毎年5月下旬、どんぐり公園内の「すももの里」ですももの花が見頃を迎える頃に開かれます(出典:更別村公式サイト)。白い花が一面に咲き、甘い香りが会場を包みます。すももを使った加工品や村の特産品の販売、飲食コーナー、ステージショーなどでにぎわう、春の訪れを告げるお祭りです。花の下をのんびり歩くだけでも気持ちのいい時季ですよ。
夏:全日本ママチャリ耐久レース
毎年夏(8月頃)、十勝スピードウェイで開かれる名物イベントです(出典:更別村公式サイト)。全国から集まったチームが、ふつうのママチャリで夜を徹してコースを走り続けます。仮装あり、笑いありで、夜明けのゴールを目指す会場は終始あたたかい熱気に包まれます。本格サーキットをママチャリで走る、というギャップがたまらないんです。
秋:さらべつ大収穫祭
毎年秋(10月頃)、ふるさと館を会場に開かれる、村の「うまい!」が集結するグルメイベントです(出典:更別村公式サイト)。新鮮な農産物の販売や、希少な更別和牛のステーキ実演、クラフトビール「さらべつふるえーる」、更別農業高校の生徒が手がけたスイーツなどが並びます。大地の恵みに感謝する、一年でいちばんお腹も心も満たされる日です。
冬:イルミネーション
毎年冬(12月上旬〜2月中旬頃)、農村公園などを舞台に灯されます(出典:更別村公式サイト)。氷点下20度を下回ることもある澄んだ夜空の下、雪と光が静かに輝きます。この時季は霧氷(むひょう)が見られる地域としても知られ、朝には木々が真っ白に縁取られる幻想的な風景に出会えることも。寒さは厳しいですが、その分だけ空気が研ぎ澄まされていますよ。
更別村のエリア別の顔

更別村は東西に約25km、南北に約15kmと横長で、村の中心市街地のまわりに広大な農地が広がる構造です。観光の目線で見ると、「役場まわりの市街エリア」「どんぐり公園・すももの里エリア」「弘和のレジャーエリア」「上更別の自然エリア」の4つに分けると分かりやすいです。それぞれ訪れるのに向いたタイミングが違うので、順番に見ていきましょう。
市街・役場エリア──旅の起点と村の暮らしが見える場所
役場や商工会、飲食店が集まる村の中心部です。すぐ隣に農村公園の大型遊具広場があり、更別ICからも近いので、旅の起点にしやすいエリアです。コンパクトにまとまっていて、村の日常の空気をいちばん感じられる場所。長距離移動の合間に立ち寄って、子どもを遊ばせたり食事をとったりするのに向いていますよ。
どんぐり公園・すももの里エリア──花と遊びが詰まった一帯
市街から国道236号を広尾方面へ少し進んだあたり。パークゴルフ場やアスレチック、すももの里が集まる、村いちばんのレジャーゾーンです。5月下旬のすももの花の季節は、このエリアが主役になります。家族でのんびり一日を過ごしたいとき、花の時季に散策したいときに訪れるのがおすすめです。
弘和(こうわ)レジャーエリア──走る・泊まる・癒すが揃う一角
十勝スピードウェイやさらべつカントリーパークが集まる、村の南西側のエリアです。モータースポーツの轟音と、キャンプ場の静けさが同居する不思議な場所。レースを観たい人、キャンプで連泊したい人、アクティブに過ごしたい人に向いています。福祉の里温泉も近いので、遊んだあとの締めまで完結できますよ。
上更別・勢雄(せお)自然エリア──静けさと原風景に出会う場所
村の周縁部にあたる、農地と自然が色濃く残るエリアです。希少なヤチカンバが育つ更別湿原や、カメラマンが集まる猿別川付近のビュースポットがこのあたり。観光地らしい賑わいはありませんが、開拓前の更別の姿や、十勝の大地のスケールを静かに味わいたい人にこそ訪れてほしい場所です。
更別村の気候・季節の暮らし

更別村は、寒暖の差が大きい大陸性の気候です。年平均気温は5.8℃、もっとも寒い1月は平均最低気温が−15.4℃まで下がり、過去には−29.0℃を記録したこともあります。一方、夏の8月は平均最高気温が24.0℃と過ごしやすい水準です(出典:気象庁)。夏は爽やか、冬は厳しい——その振れ幅の大きさが、この村の暮らしのリズムを作っています。
夏──6月〜8月の暮らし
十勝の夏は、からっとした空気が気持ちいい季節です。日中は気温が上がっても、東京のような蒸し暑さは少なく、朝晩はひんやりすることもあります。地平線まで続く麦畑が黄金色に色づき、夕方には燃えるような夕焼けが大地を染めます。一日の寒暖差が大きいので、夏でも薄手の上着が一枚あると安心ですよ。
秋──9月〜10月の暮らし
秋は収穫の季節です。じゃがいもや豆、ビートの収穫で畑が一気に活気づき、10月には「さらべつ大収穫祭」で一年の実りを祝います。空気が澄んで日高山脈がくっきり見える日が増え、朝晩の冷え込みが日に日に強まっていきます。短い秋が駆け足で過ぎ、村はやがて長い冬の準備に入ります。
冬──11月〜3月の暮らし
冬は更別の本気の季節です。氷点下20度を下回る日も珍しくなく、底冷えする寒さが続きます。住まいの暖房や車の冬装備は欠かせず、雪かきも日常の一部になります。一方で、氷点下の朝には木々が真っ白に凍りつく霧氷(むひょう)が見られ、全国からカメラマンが訪れるほどの絶景に出会えることも。寒さと引き換えに、澄みきった静けさを味わえる季節です。
春──4月〜5月の暮らし
長い冬が明けると、村は一気に色づきます。5月下旬にはどんぐり公園のすももの里で白い花が満開になり、「すももの里まつり」でにぎわいます。雪解けの大地から農作業が本格的に始まり、トラクターやロボット農機が畑を走り回る、更別らしい一年のスタートです。風の強い日もありますが、光の量がぐんと増えて気分も上向く季節ですよ。
更別村の移住・暮らし情報

更別村は、自然災害が少なく、一人当たりの医療費の低さや出生率の高さから「健康と豊かさを実感できる村」を掲げています(出典:更別村公式サイト)。人口3,039人とコンパクトな村ながら、暮らしに必要なものはひと通りそろっています。ここでは「住む現実」を、通勤から医療まで具体的に見ていきましょう。
通勤・通学
多くの住民が車で生活し、帯広市へ通勤・通学する人も少なくありません。村の中心部から帯広市までは車でおよそ30〜40分。村内には鉄道が通っていないため(国鉄広尾線は1987年に廃止)、移動の主役は自家用車です。信号が少なく道が広いので、運転のストレスは大きくないのが十勝らしいところです。
住宅環境
戸建てが中心の農村ですが、十勝バスの更別高校前などの沿線には木造アパートなどの賃貸物件も流通しています(出典:SUUMO)。駐車場無料が当たり前なのは、車社会ならではですね。村は中心市街地近くに「コムニ団地」などの分譲地も整備しており、診療所や福祉施設が近いモデルタウンとして暮らしやすさを打ち出しています(出典:更別村公式サイト)。
買い物環境
村の中心部にはコンビニや飲食店、商店が集まっています。日常の食料品は村内でそろえられますが、まとめ買いや専門店での買い物は、車で30〜40分の帯広市まで出る人が多いと考えられます。大きな畑の中の一本道を走って買い物に行く——そんな十勝らしい生活リズムになります。
子育て・教育
村内には更別小学校・上更別小学校、更別中央中学校、そして道立の北海道更別農業高等学校に加え、幼稚園もあります。子育て支援では、こども医療費助成(保険適用分の自己負担を全額助成)や、ベビーベッド・ベビーカーなどの子育て支援用具の無償貸与といった制度が用意されています(出典:更別村公式サイト)。農業高校が地元にあるのも、農の村らしい特色です。
医療環境
村の医療の中心は、更別村国民健康保険診療所です。内科・小児科を診療し、日常の健康をしっかり支えています(出典:更別村公式サイト)。村は北海道家庭医療学センターと連携した医療体制も整えていると説明しています。専門的・高度な医療が必要なときは、車で30〜40分の帯広市の病院が受け皿になります。
エリア別の暮らし視点
住む目線で見ると、役場まわりの市街エリアは診療所・買い物・学校が近く、暮らしの利便性がいちばん高いエリアです。どんぐり公園やすももの里に近い一帯は、子育て世帯がのびのび過ごすのに向いています。弘和や上更別など周縁部は、農地に囲まれた静かな環境で、広い土地と自然を求める人に合いますよ。
更別村へのアクセス

更別村は「十勝でもっとも東京に近い村」と言われるほど、空路のアクセスが良いのが特徴です。とかち帯広空港からは約35kmと近く、車でおよそ15分。鉄道は通っていないため、基本は車か、空港・帯広駅からの移動になります。主要ルートを整理しておきましょう。
車でのアクセス
帯広市の中心部からは国道236号などを南下して、車でおよそ30〜40分です。帯広広尾自動車道(高速道路)の更別ICもあり、長距離移動にも便利。札幌方面からは高規格道路を使っておよそ3時間半が目安です(出典:更別村公式サイト)。冬は路面状況で所要時間が変わるので、余裕を持った運転がおすすめです。
飛行機でのアクセス
東京(羽田)からは、とかち帯広空港まで空路でおよそ1時間40分です(出典:北海道・十勝(十勝定住自立圏)移住ガイド)。空港から更別村まではレンタカーで約15分なので、首都圏から日帰りも視野に入る近さです。空の便を使うのが、村へのいちばんスムーズなルートと考えられます。
鉄道+バスでのアクセス
村内に鉄道駅はありません。鉄道を使う場合は、JR帯広駅を起点にするのが基本です。とかち帯広空港と帯広市内・帯広駅の間は連絡バスでおよそ40分(出典:とかち晴れ(十勝観光連盟))。村内には十勝バスの路線もありますが、観光で巡るならレンタカーの利用が現実的です。
村内移動の現実的アドバイス
更別村は東西に約25kmと横長で、スポットが点在しています。村内をしっかり楽しむなら、車かレンタカーがほぼ必須と考えてください。信号が少なく道も広いので運転はしやすいですが、冬季は降雪・凍結があるため、スタッドレスタイヤと時間の余裕を忘れずに。電動自転車をアクティビティセンターで借りて、夏の一本道を走るのも気持ちいい選択肢ですよ。
【地元住民に直撃!】更別村の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
畑作農家です。じゃがいもや小麦、豆を作っています。この村ではうちくらいの規模はめずらしくなくて、一戸あたりの畑の広さは十勝でも国内でも有数だと言われてきました。
今は無人のトラクターやドローンも使うようになって、私が嫁いできた頃とは農業のやり方がずいぶん変わりました。村ぐるみで新しい技術を試している、ちょっと変わった農村だと思います。
Q2.更別村に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
有名どころなら十勝スピードウェイですね。エンジン音が大地に響いて、村全体が「走る村」だと感じられます。家族連れにはどんぐり公園のすももの里もおすすめです。
地元の人間が好きなのは、勢雄の猿別川あたり。観光案内には大きく載っていませんが、朝もやの中に日高山脈が浮かぶ景色は、何度見ても胸がすっとしますよ。
Q3.更別村でお土産を買うとしたらなんですか?
道の駅さらべつに行けばだいたいそろいます。定番はどんぐりのむらポテトチップスと、すもものジャムやのむヨーグルト。村の有名なものを手軽に持って帰れます。
地元の人間が本当に勧めたいのは、金時豆や大手亡といった豆ですね。生産量では日本一とされる村の自慢です。煮豆にすると味の違いが分かりますよ。
Q4.外から人が来たときに、更別村でまず連れていく店はどこですか?
やっぱり道の駅さらべつのレストランです。更別産の小麦を使ったうどんや、十勝らしい豚丼、すももをのせたソフトクリーム。村の味がひと通り分かるので、最初の一軒にちょうどいいんです。
食事のあとは福祉の里温泉へ。村民センターのような気軽さで、地元の人もよく顔を合わせる場所。観光と暮らしの境目が薄い、いい湯ですよ。
Q5.更別村はどんな気質だと思いますか?
広い畑で大きな機械を相手にしてきた土地柄か、おおらかで実直な人が多いです。困っているときはさりげなく手を貸す、そういう距離感が残っています。
新しいものへの抵抗が少ないのも特徴かもしれません。観光客の前に出てくる村長をはじめ、村ぐるみで新しい取り組みを面白がる空気があるんですよ。
Q6.昔に比べて、更別村の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言えば、人は減りました。農家の戸数も昔よりずっと少なくなって、一戸が背負う畑はどんどん広くなっています。担い手の問題は、どこの農村とも同じで他人事ではありません。
ただ、スマート農業や観光の取り組みで外から人が来るようになり、暗いばかりではないんです。静かだけれど前を向いている、そんな村だと感じています。
Q7.更別村のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
施設というより、村が進めているスーパービレッジの取り組みに期待しています。無人の農機や自動運転、遠隔の医療まで、暮らしごと新しくしようとしているんです。
「百歳まで元気に」を掲げているので、年をとっても農業や村の運動公園で体を動かして暮らせたらと思います。観光と農業がうまく回っていけば、それがいちばんですね。

