安平町(あびらちょう)は、北海道胆振管内・勇払郡に位置する人口7,205人の町です。新千歳空港から車で約30分、札幌からは約1時間で行ける、空港にもっとも近い「絶景と名馬の里」として知られています。
安平町の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ ディープインパクトのふるさと──ノーザンファーム早来で生まれた7冠馬。アーモンドアイ、ジェンティルドンナもこの町で生産
- ✅ 道の駅あびらD51ステーション──全国屈指の保存状態を誇る蒸気機関車「D51 320」を静態展示
- ✅ 日本のチーズ専門工場発祥の地──昭和8年、遠浅地区で日本初の大規模チーズ生産が始まった
- ✅ 高級ブランド「アサヒメロン」──芳醇な香りと高い糖度で知られる夏のブランドメロン
- ✅ 初夏の菜の花畑──5月中旬〜6月上旬、丘陵地帯に約100haの黄色いじゅうたんが広がる
「競馬・鉄道が好きな人」「のどかな丘陵風景の中で食を楽しみたい旅行者」「新千歳空港の近くで移住先を探している人」に特におすすめの町。本記事では、観光・特産・歴史から、地元目線で安平町の魅力を紹介します。
| 人口 | 7,205 人 ※2026年3月31日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 237.16 km²(境界未定部分あり) |
| 人口密度 | 30.4 人/km² |
地理的には、北西は千歳市、南西は遠浅川を挟んで苫小牧市、北から東は由仁町、南東は厚真町に接しています。勇払平野から夕張山地・馬追丘陵へと続く丘陵地で、町の中心を安平川が流れています。
新千歳空港から車で約30分、道央自動車道・道東自動車道の両方からアクセス可能。鉄道はJR室蘭本線が町内を縦断し、追分駅では石勝線も分岐します。2006年に旧早来町と旧追分町が合併して誕生した、まだ20年の若い町です。
競走馬・鉄道・チーズ・菜の花──全国に誇れる「顔」がいくつも詰まった町を、ひとつずつ見ていきましょう。
安平町の推しポイント

安平町の魅力は、ひとつの分野に偏らずに広がっているところにあります。世界の競馬史を塗り替えた名馬たちが生まれた牧場、国鉄SL最終運行の地として鉄道遺産が眠る道の駅、日本のチーズ文化の原点となった工場跡、初夏に町全体を黄色く染める菜の花畑、そして冬季オリンピックのメダリストを輩出したスケートの町としての顔。それぞれを順に紹介していきます。
推しポイント1:ディープインパクトのふるさと「ノーザンファーム早来」
町の早来源武地区にあるノーザンファームは、日本屈指の競走馬生産牧場です。2002年にここで生まれたディープインパクトは、無敗の三冠を達成して引退後も種牡馬として歴代最多勝の記録を残しました。ジェンティルドンナ、アーモンドアイなど三冠牝馬もこの牧場で誕生しています。安平町は名実ともに「競走馬のふるさと」と呼ばれる町です。
推しポイント2:D51 320が眠る「道の駅あびらD51ステーション」
追分地区はかつて室蘭本線と夕張線(現・石勝線)の分岐点として、北海道の石炭輸送を支えた鉄道の要衝でした。2019年4月に開業した道の駅には、国内でも屈指の保存状態を誇る蒸気機関車「D51 320」が静態展示されています。元機関士たちが今も整備を続けているのが、なまら自慢のポイントなんですよ。
推しポイント3:日本のチーズ専門工場発祥の地
昭和8年(1933年)、遠浅地区で「北海道製酪販売組合連合会」が日本初の大規模なチーズ製造を始めました。当時はまだ高級嗜好品だったチーズが、ここから国内で本格生産されるようになります。町内には現在も「チーズ発祥の地」記念碑が建ち、夢民舎などのチーズ工房がカマンベールを中心にチーズを生産しています。
推しポイント4:高級ブランド「アサヒメロン」
遠浅地区から生まれたアサヒメロンは、芳醇な香りと高い糖度で知られる赤肉メロン。寒暖差の大きい気候と有機質肥料を基本とした土づくりで、果汁たっぷり・肉厚な仕上がりになります。夏の道の駅ではアサヒメロンソフトクリームも人気で、観光客が長蛇の列を作ります。
推しポイント5:初夏を染める100haの菜の花畑
毎年5月中旬から6月上旬、丘陵地帯に約100ヘクタールの菜の花畑が広がります。2026年は5月16日〜6月1日に「菜の花さんぽ2026」が開催され、トラクターが引く幌馬車での畑ドライブや、通常は入れない菜の花散歩道、約10kmの菜の花フットパスなどが楽しめます。新千歳空港から最も近い「黄色いじゅうたん」の絶景です。
安平町の歴史

安平町の歴史は、鉄道と農業という2つの軸で動いてきました。明治25年の鉄道開通で追分が機関区の町として発展し、ほぼ同時期に早来地区では水田と酪農の入植が始まります。早来と追分という性格の異なる2つの町が長い対立と分村を経て、平成18年に再び一つの町となり、平成30年には震災を乗り越えて復興に取り組んできました。
明治──鉄道開通と入植の始まり
1892年(明治25年)、北海道炭礦鉄道の岩見沢駅〜室蘭駅間が開業し、追分駅の構内に「追分機関庫」が設置されました。室蘭本線と夕張線(現・石勝線)の合流点として、空知や夕張の石炭を室蘭港へ運ぶ拠点となります。多い時期は60台以上の機関車が配置され、道内屈指の機関区へと成長しました。一方、1894年には早来駅が開業し、鳥取県人をはじめとする入植者が支安平川流域に移住して水田と酪農を始めています。
昭和──チーズ発祥と分村、そして再合併
1933年(昭和8年)、遠浅地区で日本初の大規模なチーズ生産が始まり、安平町は「チーズ専門工場発祥の地」となりました。1952年には追分高校設置案を巡って早来と追分の対立が決定的となり、追分村が分村します。1975年12月14日には室蘭〜岩見沢間で日本最後のSL定期旅客列車が運行され、同月24日には追分〜夕張間でさよなら貨物列車が走り、国鉄本線からSLが姿を消しました。
平成・令和──合併、震災、そして復興
2006年(平成18年)3月27日、半世紀あまりの分立を経て早来町と追分町が新設合併し、安平町が誕生しました。2018年9月6日には北海道胆振東部地震が発生し、町内では最大震度6強を観測。大きな被害を受けましたが、2019年4月に道の駅あびらD51ステーションが復興のシンボルとしてオープンし、町は新たな歩みを進めています。
安平町の文化・風習

方言と話し方の特徴
安平町は北海道方言(道央内陸部の方言)が話される地域です。日常会話では「したっけ」(じゃあ・そしたら)や「なまら」(とても)、「〜だべさ」「なして?」(どうして?)といった表現がよく使われます。語尾に「〜かい?」が付くとやわらかい印象になるので、町の人と話していると思わずほっとするんですよね。
食卓と季節の暮らし
町には酪農家が多いので、食卓には必ずといっていいほど地元のチーズや牛乳が並びます。夏になればアサヒメロンが食後のデザートに登場し、初夏にはハスカップ、秋には町内産のじゃがいもや長いも。冬は厳しい寒さに備えてジンギスカンや鍋でからだを温める、北海道らしい暮らしぶりです。「しばれる(とても寒い)日はやっぱり鍋に限るっしょ」というのが地元の感覚なんですよ。
人の気質と地域のつながり
農業・酪農・競走馬生産・鉄道という、いずれも「土地と長く付き合う」産業で生きてきた町なので、人柄はおっとりしていて落ち着いた印象。震災後の復興でも、地域住民と道の駅運営、農家、観光協会が連携して町を作り直してきた経緯があり、横のつながりは強いです。新しい移住者にも比較的オープンな町だと考えられます。
馬と暮らす日常
競走馬のふるさとと呼ばれるだけあって、町中のあちこちでサラブレッドの放牧風景が見られます。朝、霧がかかった牧場で母馬と仔馬が寄り添っている姿は、なまら(とても)心が落ち着く眺めなんですわ。毎年7月上旬には「あびら夏!うまかまつり」が開かれ、アサヒメロンの早食い競争や「ポニーサイクルGP」など、馬産地ならではのイベントで町中が賑わいます。
安平町の特産品・食

アサヒメロン──芳醇な香りの赤肉ブランド
遠浅地区で生まれた高級ブランドメロン。芳醇な香りと高い糖度、果汁たっぷりの肉厚な果肉が特徴で、最適な土壌づくりと有機質肥料、寒暖差の大きい気候と適切な温度管理で育てられています。旬は6月下旬〜8月。冷やしてそのまま食べるのが王道ですが、道の駅の「アサヒメロンソフト」も濃厚で、口の中でなまら(すごく)幸せな気分になります。
カマンベールチーズ──日本のチーズ専門工場発祥の味
町内のチーズ工房「夢民舎」などが、東胆振地域の新鮮な牛乳を使った手作りチーズを生産しています。ピュアでまろやかな味わいが特徴で、通年で楽しめます。そのまま食べるのはもちろん、道の駅の「カマンベールコロッケ」やチーズケーキも人気。昭和8年から続くチーズ文化の歴史を、舌で感じられる逸品です。
ハスカップ──皮が薄くて流通しにくい幻の果実
胆振地方の在来種であるハスカップは、皮が極端に薄く、収穫も手摘みで大変なため、生での流通はほぼありません。だからこそ加工品が発達しました。町内の「早来かりんず」では、ハスカップゼリーやハスカップソース、チーズ羊羹などが製造販売されています。甘さの中にきゅっとくる酸味があって、ヨーグルトやアイスにかけるとわや(とても)美味しいんですよ。
はやきた和牛・ホエー豚──酪農の町ならではの肉
酪農基盤の上に育つ「はやきた和牛」は、肉質のきめ細かさが評判。また、チーズ製造の副産物である乳清(ホエー)を飼料に活用した「ホエー豚」は、あっさりとした脂と甘みが特徴です。道の駅では「あびら肉コロッケ」が年間1万個以上売れる看板商品。したっけ(それじゃあ)、安平に来たら一度は食べていってください。
追分カンロ──町内産のスイートコーン
追分地区で栽培されている甘味の強いトウモロコシ「追分カンロ」も町の名物。旬は8月。生でも食べられるほど甘みが強く、道の駅では季節限定の「あびらカンロソフト」として登場することもあります。とうきびとソフトクリームの組み合わせが、これがまた合うんですよね。
安平町の観光スポット

安平町の観光は、「鉄道遺産・名馬・自然・温浴」の4本柱で構成されています。新千歳空港から車で約30分という距離にありながら、町の中はゆったりと時間が流れているのが特徴。蒸気機関車を間近で見て、サラブレッドが草を食む牧場を眺め、湯に浸かって、夜は静かな丘陵に星を眺める──そんな旅ができる町なんですよ。
鉄道遺産を感じるスポット
- 道の駅あびらD51ステーション – 2019年4月に開業した、町の観光拠点。屋内にはSL「D51 320」が静態保存されていて、保存状態は全国でも屈指です。元機関士の手で今も整備が続いているからこそ、現役時代さながらの黒光りした車体が見られるんですよね。屋外には特急「おおぞら」で活躍したキハ183-214系も展示されていて、鉄道ファンにはなまら(とても)たまらないスポットです。営業は4〜10月が9:00〜18:00、11〜3月が9:00〜17:00。
- 追分駅 – 室蘭本線と石勝線の分岐駅。日本の国鉄本線でSLが最後に走った地として知られ、ホームに立つと当時の機関区の規模を想像できます。今もJRの結節点として機能しており、駅舎を出てすぐの位置に温浴施設「ぬくもりの湯」があるのも便利です。
名馬のふるさとを巡るスポット
- ノーザンファーム早来 – ディープインパクト、ジェンティルドンナ、アーモンドアイなどを送り出した、日本屈指の競走馬生産牧場です。早来源武地区にあり、外から放牧地のサラブレッドを眺められます。見学にはマナーが厳しく定められているので、「競走馬のふるさと案内所」サイトのルールを必ず確認してから訪れてください。
- ノーザンホースパーク – 隣の苫小牧市美沢にある社台グループのテーマパーク。引退競走馬を含む約80頭の馬と触れ合えて、ディープインパクトメモリアルコーナーやブロンズ像、ディープインパクトゲートが設置されています。新千歳空港から車で約15分、安平町からも至近で、馬の旅とセットで訪れる定番ルートになっています。
- 名馬テンポイントの墓 – 1978年のレース中の事故が原因で亡くなった名馬テンポイントの慰霊碑が町内に建てられています。競馬ファンが今も静かに訪れる場所で、馬産地としての安平町の歴史を感じるスポットです。
自然と公園
- 鹿公園 – 1902年(明治35年)に日本初の保健保安林として指定された林の中にある公園。エゾシカの放牧場やホタル池、約500本の赤いひまわり畑(7月下旬満開)があります。春は桜と水芭蕉、夏はスイレン、秋は紅葉と、四季を通じて景色が変わるのもあずましい(落ち着く・心地良い)ところなんですよ。住所は追分白樺2丁目1番地。
- 鹿公園キャンプ場 – 鹿公園の敷地内にあるキャンプ場。営業期間は2026年で4月29日〜10月31日。フリーサイト、50区画限定の区画サイト、テント設営不要の「手ぶらキャンプ」も用意されています。アスレチック、ドッグラン、無料パークゴルフ場(18ホール)も併設で、家族連れに人気です。
- 安平町の菜の花畑 – 5月中旬〜6月上旬、町内の丘陵地帯に約100ヘクタールの菜の花畑が広がります。連作障害を避けるために畑の位置が毎年変わるので、最新の「菜の花マップ」を道の駅で入手してから巡るのがコツ。新千歳空港から最も近い「黄色いじゅうたん」の絶景なんです。
温浴と憩いの場
- ぬくもりの湯(ぬくもりセンター) – 追分駅すぐ横、ぬくもりセンター内の温浴施設。9種類の天然鉱石で活性化されたミネラルウォーターを使用しており、和風と洋風の浴室が一定期間ごとに入れ替わります。露天風呂や低温ミストサウナもあり、入浴料は大人500円・子供250円。営業は11:00〜22:00、定休日は第2・第4火曜日。スキーやキャンプ帰りに温まる地元の定番です。
安平町の観光ルート

新千歳空港から車で約30分という近さを活かして、半日でも1日でも気持ちよく巡れる町です。鉄道ファンには追分中心の半日ルート、家族連れには道の駅と菜の花畑を組み合わせた1日ルート、競馬ファンには苫小牧のノーザンホースパークまで足を伸ばす広域ルートがおすすめ。したっけ(それじゃあ)、3つのモデルルートを紹介しますね。
【車・1日】鉄道と菜の花を満喫するファミリールート
9:30 新千歳空港 → 10:00 道の駅あびらD51ステーション → 12:00 鹿公園(昼食・散策) → 14:00 菜の花畑(5〜6月のみ) → 16:00 ぬくもりの湯 → 18:00 新千歳空港帰着
①道の駅あびらD51ステーション(120分)
→ まずはD51 320と対面。鉄道資料館でジオラマや動画を見たあと、ベーカリーで焼きたてパンを買って館内でひと休み。地場産品コーナーでアサヒメロンやチーズの試食も楽しめます。
②鹿公園(90分)
→ エゾシカの牧場で鹿を眺めつつ、アスレチックや遊歩道で森林浴。お弁当は管理棟近くのベンチで広げると、林に囲まれてあずましい(心地よい)時間を過ごせます。
③菜の花畑(90分・5〜6月限定)
→ 5月中旬〜6月上旬の旅行ならここを外せません。町内10か所以上の畑をマップ片手に巡り、トラクターが引く幌馬車に乗れば、丘陵の上から黄色いじゅうたんを見渡せます。
④ぬくもりの湯(60分)
→ 締めは追分駅横の温浴施設。露天風呂から汽車が見えるという珍しい立地で、500円で旅の疲れを流せるのがありがたいんですよ。
【車・半日】鉄道ファンの追分集中ルート
13:00 新千歳空港 → 13:30 道の駅あびらD51ステーション → 15:30 追分駅 → 16:00 ぬくもりの湯 → 17:30 新千歳空港帰着
①道の駅あびらD51ステーション(120分)
→ D51 320本体、屋外のキハ183-214、追分機関庫のジオラマ、鉄道年表まで腰を据えて見学。鉄道愛好家のクラウドファンディングで保存された経緯の動画もぜひチェックを。
②追分駅(30分)
→ 室蘭本線と石勝線の分岐駅で、SL最後の定期旅客列車が走ったホームに立てます。駅舎は素朴ですが、機関区跡地の名残が残る周辺の道を歩くと、町の鉄道遺産がじわじわ効いてきます。
③ぬくもりの湯(90分)
→ 追分駅から徒歩すぐ。露天風呂で電車を眺めながら一杯やる、というのが鉄道好きにはなまら(とても)贅沢な時間なんですよね。
【車・1日】広域ルート:名馬のふるさとを巡る競馬ファン旅
9:00 新千歳空港 → 9:30 ノーザンホースパーク(苫小牧市・隣接) → 12:30 道の駅あびらD51ステーション(昼食) → 14:30 ノーザンファーム早来周辺(外観見学) → 16:30 ぬくもりの湯 → 18:00 新千歳空港帰着
①ノーザンホースパーク(180分)
→ 苫小牧市美沢、空港から車約15分。引退競走馬や約80頭の馬と触れ合えるテーマパーク。ディープインパクトメモリアルコーナーやブロンズ像は競馬ファンの巡礼地です。新千歳空港から無料シャトルバスも運行。
②道の駅あびらD51ステーション(90分)
→ 昼食はテイクアウトの「あびら肉コロッケ」と「もくもくD51ソフト」。物産館に併設された「はやきたStation Race Horses Gallery」では、町ゆかりの名馬たちの軌跡を見られます。
③ノーザンファーム早来周辺(90分)
→ 早来源武地区。ディープインパクトが生まれた本場で、外周道路からサラブレッドの放牧風景を眺められます。牧場内への立ち入りは厳格なルールがあるため、見学マナーを事前確認のうえ訪れてください。
④ぬくもりの湯(90分)
→ 馬を見て、走って、最後は温まる。空港帰着前に汗を流して、追分駅前の食堂でジンギスカンを軽くつまむのも定番です。
安平町の年間イベント

安平町のイベントは「花・馬・鉄道」を軸に、季節ごとに表情を変えます。春の菜の花畑から、夏の馬産地まつり、秋の鉄道模型フェス、冬のスキー場まで、訪れる季節を変えるだけで町の景色がまったく違って見えるんですよ。
春〜初夏:菜の花さんぽ(5月中旬〜6月上旬)
町内の丘陵地帯約100ヘクタールが黄色く染まる、初夏の風物詩。トラクターが引く幌馬車で畑をドライブしたり、通常は入れない畑を散歩できる「菜の花散歩道」、約10kmの「菜の花フットパス」、Instagramフォトコンテストなど、企画は盛りだくさん。メイン会場の道の駅あびらD51ステーションでは「菜の花かふぇ」がオープンし、土日は周辺畑を巡る無料巡回バスも運行されます。風に乗って届くほのかな菜の花の香りと、新緑の麦畑とのコントラスト──これは現地で味わうしかない景色なんですよね。
夏:あびら夏!うまかまつり(7月上旬)
毎年7月第1週の土日に、ときわ公園特設会場で開催される町最大の夏祭り。「美味(うま)い食べ物」「上手(うま)い芸」「馬(うま)産地」の3つの「うまか」を融合させたイベントで、アサヒメロンの早食い競争、ポニーサイクルグランプリ、よさこいステージなど、馬産地らしい企画が並びます。初日の前夜祭では約1,200発の打ち上げ花火が間近で上がり、地面を伝わる音の振動まで体で感じられる迫力。ビールとジンギスカンを片手にどうぞ。
夏:鹿公園の赤いひまわり(7月下旬)
鹿公園内には約500本の苗が植えられた赤いひまわり畑があり、7月下旬に満開を迎えます。一般的な黄色いひまわりとは違う、深いワインレッドの花が日本最古の保健保安林の緑をバックに浮かび上がる風景は、写真好きの間でじわじわ人気が広がっているスポットです。
秋:鉄道模型フェスinあびらD51ステーション(11月頃)
道の駅あびらD51ステーションで毎年秋〜初冬に開催される鉄道イベント。2025年は11月8日〜9日に開催されました。鉄道模型の運転会や鉄道グッズ販売など、鉄道の町・追分らしい催しで、家族連れの鉄道ファンが集まります。
冬:安平山(アンペイザン)スキー場オープン(12月下旬〜3月中旬)
町営の小規模ながら、初級者から上級者まで楽しめるバリエーション豊かなコースを持つスキー場。無料のソリコースもあり、家族連れに人気です。新千歳空港から車で約25分、札幌から約1時間とアクセスが良いのも特徴。ぬくもりの湯とのセット券もあるので、滑った後はしばれる(とても寒い)体を温めて帰れるのが最高なんですよ。営業期間は積雪状況により変動します。
安平町のエリア別の顔

安平町は、2006年の合併で誕生した経緯から、町内が「早来地区」「追分地区」「遠浅地区」「安平地区」の4つに大きく分かれます。それぞれが旧町・旧字の歴史を色濃く残していて、地区を移動するだけで町の表情が変わるのがこの町の面白さ。旅する目線で、それぞれのエリアの「顔」を紹介します。
早来エリア──町の中心と橋本聖子のふるさと
町役場や安平町ぬくもりセンター(早来地区側)が置かれた、行政の中心エリア。JR早来駅周辺には商店や食堂、せいこドーム(安平町スポーツセンター)があり、町のメインストリート的な役割を担っています。第55代スピードスケート五輪メダリスト・橋本聖子の出身地でもあり、せいこドームでスケートの英才教育を受けた子どもたちが今も育っているんです。新千歳空港から近く、初めて町を訪れる人はまずこのエリアから入るのが分かりやすいです。
追分エリア──鉄道遺産と温泉が集まる町の北部
かつての追分機関区を中心に発展した、鉄道の町の名残が濃く残るエリア。道の駅あびらD51ステーション、追分駅、ぬくもりの湯、鹿公園、安平山スキー場と、町の観光資源が密集しています。道東自動車道・追分町ICからも約3分とアクセスがよく、観光客が一番時間を使うエリアと言えるでしょう。レトロな駅前商店街の雰囲気が残るので、写真好きにもなまら(とても)撮りごたえがある場所ですよ。
遠浅エリア──酪農とチーズの発祥地
町の南西、苫小牧市と接する遠浅川流域の農業地帯。乳牛の改良で全国的に知られ、昭和8年には日本初の大規模チーズ工場が稼働した「チーズ専門工場発祥の地」です。今もアサヒメロンの主要産地として、夏には農協直売所や観光メロン狩りで賑わいます。JR室蘭本線・遠浅駅周辺はのどかな農村風景で、車で走るだけでも気持ちのいいエリア。グルメ目当ての旅にぴったりです。
安平・源武エリア──名馬のふるさとの牧場地帯
早来と追分の間に位置する丘陵地帯。早来源武地区にはノーザンファームがあり、ディープインパクトをはじめ世界の名馬を送り出した本場として知られています。観光施設は少ないですが、車を走らせると道の両側にサラブレッドの放牧地が広がり、特に朝霧の中で母仔馬が寄り添う風景は息をのむほど美しい。馬好き・写真好きの人がドライブで巡るのに向いたエリアです。
安平町の気候・季節の暮らし

安平町は、太平洋に近い南部が海洋性気候、北部が内陸性気候という二面性を持つ地域です。年間平均気温は約6.8℃、年間降水量は約844mmで、北海道内ではかなり気候条件に恵まれたエリア。最大の特徴は「冬の積雪量が少ない」ことで、新千歳空港周辺と同じく、北海道の中では雪に苦しまずに暮らせる町なんですよ。
夏──6月〜8月の暮らし
夏は内陸性気候の北部で気温が上がりやすく、最高気温が30℃近くまで届く日もありますが、湿度は本州ほど高くないため過ごしやすいのが北海道の夏の特徴です。エアコンがない家庭も少なくなく、窓を開けて扇風機で十分しのげる日が多いと考えられます。夜は涼しくなるので、布団は薄手と少し厚めの2枚をスタンバイしておくのが安心です。
初夏(5月中旬〜6月上旬)は菜の花の季節で、町中が黄色く染まります。夏の楽しみは何といっても7月上旬の「あびら夏!うまかまつり」と、鹿公園で7月下旬に満開を迎える赤いひまわり畑。日が長く、夕方7時を過ぎても外で遊べるので、子どもと公園で過ごす時間が増えるんですよね。
秋──9月〜11月の暮らし
秋は短く、9月の残暑から一気に紅葉、そして初雪へと進みます。鹿公園や馬追丘陵の麓の林が色づくのは10月中旬から下旬。朝晩の冷え込みが急に強くなるため、10月中旬には灯油ストーブを稼働させる家庭が多くなると考えられます。11月になると初雪が降り、タイヤ交換のシーズンに入ります。
冬──12月〜3月の暮らし
冬は内陸性の冷え込みで朝方は氷点下二桁になる日も珍しくありませんが、積雪量は北海道全体で見ると比較的少ないエリアです。降雪量は少ないものの、放射冷却でしばれる(厳しく冷え込む)朝が続くので、灯油・電気・薪などの暖房は不可欠。窓は二重サッシ、玄関フードがある家が標準仕様です。
除雪は早朝の習慣になりますが、隣接の千歳市や夕張市と比べれば負担はかなり軽いほう。週末は安平山スキー場で滑り、夜はぬくもりの湯で温まる──そんな冬の過ごし方が町に根づいています。
春──4月〜5月の暮らし
4月上旬まで残雪が残ることもあり、本州より春は1ヶ月ほど遅め。雪解けが進む4月中旬から、鹿公園の水芭蕉、エゾヤマザクラ、ツツジが順に咲き始めます。5月のゴールデンウィーク明けには菜の花畑の準備が始まり、町全体が一気に色づいていく季節。気温の寒暖差が激しいので、防寒着と薄手の上着を両方持ち歩くのが暮らしの知恵です。
安平町の移住・暮らし情報

安平町は近年、「日本一の公教育」を掲げる町として子育て世代の移住注目度が急上昇している町です。新千歳空港から車で約30分、札幌から1時間圏内という距離感、震災復興のシンボル「早来学園」、手厚い移住支援制度──これらが揃った町は北海道でもそう多くありません。「なまら(とても)暮らしやすい町」と地元の人が言う理由を見ていきましょう。
通勤・通学
町内勤務(農業・酪農・JR・道の駅・学校・役場など)の人が多い一方、新千歳空港や苫小牧東部工業地域、千歳市、苫小牧市への通勤者も少なくないと考えられます。早来駅・追分駅からJR室蘭本線・石勝線で通勤・通学が可能で、苫小牧駅まで約38分、新千歳空港まで約18分(石勝線・千歳線特急利用)。鉄道で札幌都心まで約43分(特急利用時)でアクセスできます。
住宅環境
賃貸の家賃相場は2025年9月時点で平均約7.12万円、2LDK以上で約8.97万円(ニフティ不動産)。札幌や千歳と比べると物件数は限られますが、町営住宅(公営住宅・特定公共賃貸住宅・単身者向け住宅)が追分・安平・早来・遠浅の4地区に整備されています。空き家活用への家賃助成・購入助成、新築や転入には最大20万円分の町内ポイントが付与される制度もあり、住宅取得のハードルは下げる方向に支援が手厚いです。
買い物環境
町内には「ホーマックニコット早来店」など複数のスーパー・ホームセンターがあり、日常の買い物は町内で完結できます。道の駅あびらD51ステーション併設の農産物直売所「ベジステ」では、地元産野菜・卵・チーズ・アサヒメロンなどが手に入るので、移住者にとって季節の食材を手軽に楽しめるのが魅力。大型商業施設に行きたい場合は、苫小牧や千歳まで車で30〜40分です。
子育て・教育
2023年4月に開校した義務教育学校「安平町立早来学園」は、1年生から9年生までが一つの校舎で学ぶ施設一体型の学校です。チームラボが空間デザインを手がけ、図書館は地域開放、ICT活用とワークショップ型授業を取り入れた先進事例として全国の自治体から視察が殺到しています。町は「日本ユニセフから日本初の『子どもにやさしいまちづくり』承認自治体」として認定されており、移住相談の半数以上が子育て世代と報じられています。
子育て支援としては、18歳までの医療費無料、出生祝金、妊婦健診交通費助成、特定不妊治療費助成、子育て助成金(15歳以下の子がいる世帯に10万円分の町内ポイント)などが整備されています。
医療環境
町内には診療所・歯科クリニックがあり、日常的な医療は町内で完結します。総合病院クラスを受診する場合は、苫小牧市内の総合病院まで車で約40分、千歳市内まで約30分。緊急時は隣接市の救急医療体制を活用する形になります。子育て世代にとっては、新千歳空港周辺の医療圏にアクセスしやすい立地が安心材料と考えられます。
エリア別の暮らし視点
早来エリアは町役場本庁舎・早来学園・はやきた子ども園・せいこドームが集中する子育てのコア地区。スーパーや病院も揃い、移住者には最も暮らしやすいエリアと考えられます。追分エリアは鉄道遺産と温浴施設が近く、独身者やリモートワーカー向き。遠浅エリアは酪農・農業を志す移住者向けで、土地の余裕が大きく自然との距離が近い暮らしになります。安平・源武エリアは静かな丘陵地帯で、馬や畑とともに暮らしたい人に向いています。
移住前に町の生活を確かめたい人向けに、町運営の「おためし暮らし住宅」も用意されています(1週間7,500円〜、利用条件あり)。役場から徒歩2分、駅から車で5分の住宅街で、家具家電完備の一戸建てに滞在できます。
安平町へのアクセス

安平町のアクセスは「新千歳空港から車で約30分」「札幌から車で約1時間」がキーフレーズです。空港・札幌都心の両方に近く、しかも高速道路と鉄道の両方が町を通っているという、北海道の町としてはかなり恵まれた交通環境を持っています。
車でのアクセス
町内には「道央自動車道」と「道東自動車道」の両方が接続しており、追分町ICからは道の駅あびらD51ステーションまで車で約3分。新千歳空港から早来エリアまでは約23km(約23分)、追分エリアまで約30分。札幌都心からは高速道路利用で札幌IC〜安平町ぬくもりセンターまで約46km・約36分。苫小牧市街地からは約33.2km・約40分です。
鉄道+バスでのアクセス
町内にはJRの駅が4つ(早来駅・安平駅・遠浅駅・追分駅)あり、室蘭本線(苫小牧駅〜岩見沢駅間)と石勝線(南千歳駅〜新得駅間)が運行されています。札幌駅からはJR千歳線・室蘭本線で早来駅まで、千歳線特急+石勝線で追分駅までアクセス可能。札幌から早来駅までは特急利用で約43分、新千歳空港から早来駅までは約38分(千歳線・室蘭本線)。
路線バスは「あつまバス」が苫小牧線・沼ノ端線・千歳線を運行しており、安平町と苫小牧駅・千歳駅を結びます。町内の4地区(追分・安平・早来・遠浅)を移動する「安平町循環バス」もあるので、車を持たない場合でも基本的な移動はまかなえる構造になっています。
飛行機でのアクセス
最寄りの新千歳空港は、町から車で約23km・約23分。空港から早来駅へはJR千歳線・室蘭本線で約18分(特急利用)、約38分(普通列車)。本州から訪れる場合は「東京(羽田)→新千歳空港」が約1時間30分、空港から町まで車で約30分という、本州主要都市から半日で着くアクセスの良さです。空港から直接ノーザンホースパークへ向かう無料シャトルバスもあるので、競馬ファンには特に便利です。
町内移動の現実的アドバイス
町は東西に約20km、面積237.16km²と広いため、観光でも移住でも車があるのが現実的です。早来〜追分間は車で約15分、追分〜遠浅は約20分。冬季はJRがダイヤ通り運行されることが多いものの、車利用ならスタッドレスタイヤと早めの除雪準備が必須。レンタカーは新千歳空港で借りるのが最も便利で、空港〜町内〜苫小牧〜千歳と自由に動ける旅程が組めます。
JR列車の最新時刻・運賃はJR北海道公式サイトで確認できます。あつまバスの運行情報はあつまバス(TEL:0145-27-2311)まで。
【地元住民に直撃!】安平町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
競走馬の生産牧場で働いてます。早来源武のあたりで、サラブレッドの世話してる感じですわ。朝早いし冬はしばれるけど、自分が見てきた仔馬が中央で走るの見ると、なまら誇らしいんですよね。
父親も牧場関係の仕事してて、子どもの頃から馬が当たり前にいる景色で育ったんで、もう天職っていうか、これ以外考えられないっす。安平町の馬産地としての顔を、現場から支えてる一人だと思ってます。
Q2.この街に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
有名どころで言ったら道の駅あびらD51ステーション。D51 320の保存状態がなまら良くて、地元のOBが手入れし続けてるんですわ。ここは安平町の観光の顔ですね。
あと地元民しか言わないとこだと、早朝のノーザンファーム周辺のドライブね。霧がかかった放牧地で仔馬が走ってる景色、これマジで言葉にならないっす。安平川沿いの安平町の水源に近い丘陵地、朝5時頃の空気感は地元民の特権だべさ。
Q3.この市町村でお土産を買うとしたらなんですか?
定番で外さないのはアサヒメロンとカマンベールチーズ。安平町の有名なものって言ったらまずこの2つ。夏場のメロンは贈り物にしたらまず喜ばれるんで、お中元シーズン重宝してます。
地元民の裏推しは、早来かりんずのチーズ羊羹とハスカップゼリーですね。給食でも出てた懐かしい味で、町外の知り合いに渡すと「これなに!?」って必ず聞かれる。あと町内産米使った純米大吟醸『あびら川』もなまらうまいっす。
Q4.外から人が来たときにまず連れていく店はどこですか?
道の駅のテイクアウトコーナーは外せないっす。あびら肉コロッケともくもくD51ソフト、これ食べさせれば安平町のおすすめスポットとして大体満足してもらえます。
夜なら追分駅前の焼鳥屋さんとか、東早来のそば哲ね。自家製粉のそばが本物で、観光客より地元民で混んでる。あとぬくもりの湯の軽食コーナーも、湯上がりにビールやれてしぶいんですよ。
Q5.この市町村はどんな気質だと思いますか?
のんびりしてるって言うか、馬と農業相手にしてきた町なんで、長い目で物事見る人が多いです。せかせかしてないっていうか、よその人にも構えないで接してくれる雰囲気はありますね。
あと早来と追分でちょっと気質違うって地元民は感じてます。早来は酪農系のおおらかさ、追分は鉄道の町としての職人気質。安平町民センターでのイベントとか行くと、両方の人が混ざってて面白いっすよ。
Q6.昔に比べて、街の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
2018年の胆振東部地震の前と後でだいぶ違います。被害も大きかったし、しばらくは町全体が沈んでた時期がありました。地震後の安平町長を中心に復興進めて、道の駅と早来学園が復興のシンボルになった感じです。
子育て世代の移住で人が増えてきて、空き家もポツポツ埋まってきた。安平町運動公園系の施設で子どもの声が増えたのは、なまら嬉しいことっす。
Q7.これから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
早来学園がもう全国から視察来るレベルになってて、これに続く形で追分の学校をどうするかって議論が今進んでます。「追分の学校を考える会」っての何回も開かれてるんで、追分にも新しい学びの場ができるんじゃないかと期待してます。
あと馬の里として、引退競走馬のセカンドキャリア支援がもっと広がってほしいっすね。安平町がディープインパクトの故郷ってだけじゃなく、馬と一緒に生きる町として全国に知られたら最高だべさ。

