網走市(あばしりし)は、北海道東部・オホーツク海に面した人口31,048人のまちです。オホーツク総合振興局の所在地で、流氷の南端が接岸する「最も身近に流氷を見られる都市」として知られています。
網走市の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 流氷と砕氷船「おーろら」──例年1月中旬〜3月下旬、海を埋め尽くす流氷を間近で体感できる
- ✅ 博物館網走監獄──国の重要文化財8棟、世界最古の木造放射状舎房が残る野外博物館
- ✅ モヨロ貝塚──オホーツク文化最大の遺跡で国の史跡に指定
- ✅ 冷凍すり身発祥の地──1960年にこの地で生まれ「SURIMI」は世界共通語に
- ✅ 卯原内のサンゴ草──秋に能取湖畔を真っ赤に染める日本最大級の群落
「流氷や絶景を見たい旅行者」「歴史や考古学に興味がある人」「海の幸を味わいたい人」に特におすすめのまちです。序盤では観光と歴史、中盤では暮らしや文化、終盤では特産品・食を、地元目線で紹介していきます。
| 人口 | 31,048 人 ※2026年4月30日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 470.84 km² |
| 人口密度 | 65.9 人/km² |
地理的には、東は小清水町、南は大空町、西は北見市に接し、北はオホーツク海に面しています(出典:公益財団法人日本交通公社 全国観光資源台帳)。市内には網走湖・能取湖・濤沸湖などの湖が点在し、市域の多くが網走国定公園に含まれます。
JRは石北本線と釧網本線が接続し、空の玄関口は隣の大空町にある女満別空港です。冬の流氷、夏のアウトドア、山海の幸と、季節ごとに表情を変えるまち。ひとつずつ見ていきましょう。
網走市の推しポイント

流氷、監獄、考古学、すり身、紅葉。網走市の見どころは「ここでしか出会えないもの」ばかりです。冬は海を埋める流氷、敷地に世界最古級の木造監獄、そして食卓を支えてきた練り物の発祥地。それぞれを少し掘り下げていきます。
推しポイント1:流氷と砕氷船「おーろら」
網走市の冬といえば、やはり流氷です。例年1月中旬から3月下旬にかけて、はるかアムール川由来の海氷がオホーツク海を埋め尽くします。砕氷船「おーろら」に乗れば、船体の重みで氷を割りながら進む迫力を間近で味わえます。運がよければアザラシやオオワシに出会えることもあります。
推しポイント2:博物館網走監獄──世界最古の木造放射状舎房
旧網走刑務所の建物を移築・保存した野外博物館です。2016年(平成28年)には敷地内の8棟が国の重要文化財に、6棟が登録有形文化財に指定されました(出典:網走市観光公式サイト「おいしいまち網走」)。中央見張所から五方向に廊下が延びる「舎房及び中央見張所」は、現存する木造放射状舎房として世界最古とされています。
推しポイント3:モヨロ貝塚とオホーツク文化
網走川の河口近くにあるモヨロ貝塚(最寄貝塚)は、5世紀から13世紀ごろにオホーツク海沿岸で栄えた「オホーツク文化」最大の遺跡です。その重要性から国の史跡に指定されています(出典:文化遺産オンライン(文化庁))。アイヌとも異なる北方民族の暮らしを今に伝える、考古学好きにはたまらない場所です。
推しポイント4:冷凍すり身発祥の地
かまぼこやちくわの原料となる「冷凍すり身」は、1960年(昭和35年)に網走市で生まれました(出典:北海道立総合研究機構)。即席めんに匹敵する大発明といわれ、今では「SURIMI」が世界共通語になっています。海の資源を無駄にしない知恵が、このまちから世界へ広がりました。
推しポイント5:卯原内のサンゴ草と能取岬
秋になると、能取湖畔の卯原内ではサンゴ草(アッケシソウ)が湖岸を真っ赤に染めます。日本最大級の群落で、「日本紅葉の名所100選」にも選ばれています(出典:網走市観光公式サイト「おいしいまち網走」)。オホーツク海に突き出す能取岬の灯台や草原の眺めも、合わせて訪れたい絶景です。
網走市の歴史

網走市の歴史は、大きく三つの段階で捉えられます。古代の北方民族が築いたオホーツク文化の時代、囚人の労働によって道が拓かれた明治の開拓期、そして流氷と海産物で知られる観光・水産のまちとなった現代です。地名の由来はアイヌ語にさかのぼり、河口の岩を指す「チパ・シリ」などの説があります。
古代〜中世──オホーツク文化の中心地
網走地方に人の暮らしが始まったのは約2万年前とされます。5世紀ごろからはオホーツク海沿岸で「オホーツク文化」が起こり、13世紀ごろまで約800年続きました。その最大の遺跡がモヨロ貝塚で、樺太や千島とつながる北方の交易や信仰の様子が出土品から読み取れます。
近代の開拓と網走監獄
1872年(明治5年)に北見国網走郡が定まり、アバシリ村が置かれました。1890年(明治23年)には網走刑務所の前身となる網走囚徒外役所が開設されます。収容者の過酷な強制労働によって北見方面へ通じる中央道路が開かれ、その後の開拓を大きく後押ししました。1912年(大正元年)には鉄道が通じ、網走駅が開業しました。
現代──流氷観光と水産のまちへ
1947年(昭和22年)に市制が施行され、網走市が誕生しました。1958年に網走国定公園が指定され、1983年に博物館網走監獄、1985年にオホーツク流氷館が開館。流氷と監獄、海の幸を柱とする観光都市へと姿を変えていきました。2025年2月には市役所の新庁舎が南5条東1丁目に開庁しています。
網走市の文化・風習

方言と話し方の特徴
網走を含む北海道の言葉は、標準語に近いと言われますが、冬になると独特の表現が増えます。とくに有名なのがしばれる(凍りつくほど厳しく冷え込む)。氷点下が続く朝、地元の人は「今朝はしばれるね」と挨拶代わりに使います。
ほかにもなまら(とても・すごく)や、語尾の〜っしょ(〜でしょう)はみなさんもよく耳にするはず。ゴミを「捨てる」ことを投げる(捨てる)と言うのも道民らしい言い回しなんですよ。
食卓と季節の暮らし
オホーツクの暮らしは、流氷とともにあります。冬は窓の外まで氷が押し寄せ、家の中ではストーブを囲んで鍋を つつく。網走では練り物を天ぷら(揚げかまぼこ)と呼ぶのが特徴で、西日本からの移住の名残とも言われています。
夏は晴天が多く、日照時間が長いのも網走らしさ。海の幸と畑作の野菜が食卓に並び、短い夏を惜しむように人々はアウトドアを楽しみます。したっけ(それじゃあ)、暮らしぶりが少し見えてきましたか。
人の気質とスポーツ合宿のまち
網走は、夏の涼しさと充実した施設からスポーツ合宿地として知られています。1988年のソウル五輪事前合宿をきっかけに、ラグビーや陸上の選手が毎年訪れるようになりました。寒さの厳しい土地で培われた、粘り強くも温かい人柄が、訪れる人を迎えてくれます。
網走市の特産品・食

特産品1:オホーツクのホタテと海の幸
網走沿岸では、ホタテ、毛がに、きちじ(キンキ)、サケ、オホーツクサーモン(カラフトマス)など多彩な魚介が水揚げされます。湖ではワカサギやシジミ、シラウオも獲れ、まさに海と湖の恵みの宝庫です。旬のホタテは甘みが濃く、刺身でも焼きでもなまら(すごく)うまいんですわ。
特産品2:冷凍すり身と練り物「長天」
すり身発祥の地らしく、網走には地元のかまぼこ店が根づいています。スケトウダラのすり身を使った「長天」は1枚から気軽に買えるソウルフード。揚げたてはふんわり香ばしく、おやつにもおかずにもなる一品です。練り物が苦手な人でも、ここのは一度食べたら考えが変わるべさ。
特産品3:オホーツク網走ザンギ丼・モヨロ鍋
ご当地グルメも見逃せません。オホーツクサーモンを天然調味料「白魚醤油」に漬け込んだ唐揚げをのせる「オホーツク網走ザンギ丼」、オホーツク土器を模した鍋で魚介とすり身を味わう「モヨロ鍋」、ホタテの干貝柱だしを効かせた「オホーツク干貝柱塩ラーメン」など、土地の物語を映した一皿が並びます。
特産品4:網走ビールとオホーツクあばしり和牛
流氷をイメージした青いビールで知られる「網走ビール」や、ブランド和牛「オホーツクあばしり和牛」も網走自慢の味です。澄んだ空気と豊かな水で育まれた地のものを、旅の締めにゆっくり味わってみてください。冷えた体に、温かい一皿がしみますよ。
網走市の観光スポット

序盤で触れた流氷・監獄・北方文化・サンゴ草。網走市の見どころは、その多くが天都山と網走湖、そしてオホーツク海沿岸に集まっています。まずは外せない定番から、季節ごとに表情を変える自然のスポットまで、順に深掘りしていきましょう。どれも「行ってよかった」と思える場所ばかりなんですよ。
流氷と冬の絶景を体感するスポット
- オホーツク流氷館・天都山展望台 – 標高207mの天都山山頂に建つ網走市立の科学館。営業時間は夏季(5〜10月)8:30〜18:00、冬季(11〜4月)9:00〜16:30です(出典:オホーツク流氷館公式サイト)。マイナス15℃の流氷体験室では本物の流氷に触れられ、濡れタオルを振り回して凍らせる「シバレ体験」もできます。流氷の天使クリオネはめんこい(かわいい)と評判で、子どもも大人も見入ってしまいます。屋上テラスからは知床連山まで一望できますよ。
- 道の駅 流氷街道網走 – 網走川河口に建つ道の駅で、住所は網走市南3条東4丁目5-1。営業時間は4〜9月が9:00〜18:30、10〜3月が9:00〜18:00です(出典:北の道の駅)。冬は流氷観光砕氷船「おーろら」の発着場になり、観光の起点にぴったり。網走ザンギ丼や流氷ソフトを味わいながら、出航までのひとときを過ごせます。
歴史と北方文化を学ぶスポット
- 博物館網走監獄 – 旧網走刑務所の建物を移築・保存した野外博物館(住所:網走市呼人1-1)。開館時間は9:00〜17:00(最終入館16:00)、敷地内の8棟が国の重要文化財に指定されています(出典:博物館網走監獄公式サイト)。世界最古とされる木造放射状の「舎房及び中央見張所」に立つと、明治の囚人たちの息づかいが伝わってきます。米7割・麦3割の「監獄食」も体験できますよ。
- 北海道立北方民族博物館 – 1991年に開館した、北方民族の文化を専門に扱う国内唯一の博物館。開館時間は9:30〜16:30(7〜9月は9:00〜17:00)、観覧料は一般550円です(出典:北海道デジタルミュージアム)。アザラシの腸で作った衣服や白樺樹皮の船など、約900点の実物資料が並び、オホーツク文化の世界にぐっと引き込まれます。
- モヨロ貝塚館 – 網走川河口近くにある、オホーツク文化最大の遺跡・モヨロ貝塚を紹介する施設。竪穴住居跡や墓の様子が間近で見られ、序盤で触れた北方民族の暮らしを実感できます。考古学が好きな方はなまら(とても)夢中になれる場所です。
自然と季節の彩りを楽しむスポット
- 卯原内のサンゴ草群落(能取湖) – 能取湖の南岸・卯原内に広がる日本最大級のサンゴ草(アッケシソウ)群落で、「日本紅葉の名所100選」に選ばれています(出典:網走市観光公式サイト「おいしいまち網走」)。例年9月中旬、湖畔が一面真っ赤に染まる光景は、ここでしか見られません。木道を歩けば、赤い絨毯の中に立つような不思議な感覚を味わえます。
- 能取岬 – オホーツク海に突き出す岬で、白黒の灯台と広い草原が印象的。冬は流氷が水平線まで埋め尽くし、夏は青い海と空のコントラストが鮮やかです。風が強い日も多いですが、その分、空気が澄んで遠くまで見渡せます。
- 大曲湖畔園地 – 網走湖近くにある園地で、夏から秋にかけてひまわり畑やダリア園が楽しめます。広々とした花畑をのんびり散策でき、写真好きにもおすすめ。秋のマラソンではゴール地点にもなる、地元に親しまれた場所です。
網走市の観光ルート

網走市の見どころは点在しているので、車があると一気に効率が上がります。流氷と監獄を巡る王道コース、能取湖の絶景を狙う半日コース、そして鉄道でのんびり流氷の駅を訪ねる広域コース。目的に合わせて3つ用意しました。
【車・1日】流氷と監獄の王道ルート
9:00 道の駅 流氷街道網走 → 9:30 博物館網走監獄(車10分)→ 11:30 オホーツク流氷館(車5分)→ 13:00 市街地で昼食 → 14:30 モヨロ貝塚館(車10分)
①道の駅 流氷街道網走(30分)
→ まず観光案内所で情報を集め、冬なら砕氷船「おーろら」の出航時間を確認しておきましょう。
②博物館網走監獄(2時間)
→ 広い敷地をじっくり歩くなら午前のうちに。重要文化財の舎房は朝の光が差し込む時間帯が美しいんですよ。
③オホーツク流氷館(1時間)
→ 天都山の山頂で流氷体験とクリオネ観賞。展望テラスからの眺めはお昼前後がよく晴れます。
④モヨロ貝塚館(1時間)
→ 締めくくりは北方民族の歴史へ。網走川河口の静かな空気の中で、オホーツク文化に思いをはせましょう。
【車・半日】能取湖・能取岬の絶景ルート
13:00 市街地 → 13:20 卯原内サンゴ草群落(車20分)→ 14:30 能取岬(車25分)→ 15:30 能取漁港(車15分)
①卯原内サンゴ草群落(1時間)
→ 9月中旬なら真っ赤なサンゴ草が見頃。木道を歩いて、赤い湖畔の景色を写真に収めましょう。
②能取岬(1時間)
→ 灯台と草原、そしてオホーツク海。夕方近くは光がやわらぎ、岬全体が金色に染まります。
③能取漁港(30分)
→ 水揚げされたホタテや魚介の活気を感じられる場所。海風がしばれる(凍えるほど寒い)冬は、防寒をしっかりして訪れてください。
【鉄道・1日】釧網本線で巡る流氷の駅・広域ルート
9:00 網走駅 → 9:15 北浜駅(釧網本線15分)→ 濤沸湖周辺散策 → 午後 知床斜里方面へ足を延ばす
①網走駅(出発)
→ 釧網本線はオホーツク海沿いを走る絶景路線。窓側の席を確保しておきたいところです。
②北浜駅(1〜2時間)
→ 「最も流氷に近い駅」として知られ、展望台から海と線路を見渡せます。冬は流氷が間近に迫る、写真好きにはたまらない駅です。
③濤沸湖周辺(散策)
→ ラムサール条約湿地に登録された濤沸湖では、白鳥やオオワシなど多くの渡り鳥に出会えます。したっけ(それじゃあ)、午後は知床斜里方面へ列車を乗り継いでみましょう。
網走市の年間イベント

網走市のイベントは、流氷の冬を中心に四季それぞれの顔があります。夏は花火と踊りで熱く盛り上がり、秋はサンゴ草の紅葉、そして冬は流氷まつりが街を彩ります。季節ごとの楽しみ方を見ていきましょう。
春〜夏:あばしりオホーツク夏まつり
夏の主役は「あばしりオホーツク夏まつり」です。例年7月下旬に開催され、市内の学生による音楽行進や「流氷おどり」、そして花火大会で盛り上がります(出典:網走市観光公式サイト「おいしいまち網走」)。
ぜひ見てほしいのが、ハイライトの花火大会。2尺玉やワイドスターマインがオホーツクの夜空に打ち上がり、間近で見る迫力に思わず声が出ます。海風に乗って届く音の振動まで、体で感じられるんですよ。
秋:能取湖さんご草まつり・オホーツク網走マラソン
秋は能取湖のサンゴ草が見頃を迎え、例年9月中旬に「能取湖さんご草まつり」が開かれます(出典:網走市観光公式サイト「おいしいまち網走」)。真っ赤な湖畔を眺めながら、地元の海の幸を味わえる秋の風物詩です。
同じ秋には「オホーツク網走マラソン」も開催されます。網走刑務所前をスタートし、二ツ岩の坂を越えて能取岬・能取湖を巡り、大曲湖畔園地を目指すコース。沿道の応援とオホーツクの景色が、ランナーの背中を押してくれます。
冬:あばしりオホーツク流氷まつり
冬最大の祭典が「あばしりオホーツク流氷まつり」です。例年2月上旬、網走商港埠頭会場で大小の氷雪像が並び、夜にはライトアップされます(出典:網走市観光公式サイト「おいしいまち網走」)。
会場では氷の滑り台や流氷輪投げ、網走湖産のシジミ汁やカニ汁など、温まるグルメも楽しめます。流氷砕氷船「おーろら」は例年1月下旬から3月末まで運航しているので、まつりと合わせて流氷観光を組み込むのがおすすめです。手がかじかむほどの寒さも、まつりの熱気が吹き飛ばしてくれます。
網走市のエリア別の顔

網走市は、網走川河口の中心市街地、観光施設が集まる天都山、自然が広がる能取・卯原内、温泉のある呼人、流氷の駅で知られる北浜・藻琴と、エリアごとに性格が大きく異なります。旅の目的に合わせて、訪れるエリアを選んでみてください。
中心市街地・港エリア──旅の起点になる賑わいの顔
網走駅と網走川河口を中心としたエリアで、道の駅や商店街、飲食店が集まっています。砕氷船「おーろら」の発着場もここ。旅のスタート地点として情報を集めたり、海の幸を味わったりするのに便利な、活気のある一帯です。
天都山エリア──網走観光の中心となる顔
標高207mの天都山と網走湖側に、オホーツク流氷館、博物館網走監獄、北海道立北方民族博物館が集まる観光の核です。施設間の移動が短く、半日〜1日でじっくり巡れます。観光をメインにするなら、まずここを押さえておくのがおすすめですよ。
能取・卯原内エリア──季節の絶景を楽しむ顔
能取湖と能取岬を擁する、自然景観のエリアです。秋はサンゴ草の紅葉、冬は流氷、夏は青い海と、季節ごとに違う表情を見せてくれます。ドライブや写真撮影が好きな人にぴったり。広い空の下で、心まであずましく(落ち着いて居心地よく)なれる場所です。
呼人エリア──湖畔でくつろぐ静かな顔
網走湖南岸の呼人地区には網走湖畔温泉があり、東京農業大学のオホーツクキャンパスも立地しています。観光の喧騒から離れ、湖を眺めながら温泉でゆっくりしたい人に向いたエリア。夕暮れの網走湖は、思わず足を止めたくなる静けさです。
北浜・藻琴エリア──流氷と渡り鳥に出会う顔
釧網本線沿いの北浜・藻琴地区は、「最も流氷に近い駅」北浜駅で知られています。近くの濤沸湖はラムサール条約湿地に登録され、白鳥やオオワシが集う野鳥の宝庫です(出典:環境省)。鉄道旅や野鳥観察を楽しみたい人に訪れてほしいエリアです。
網走市の気候・季節の暮らし

網走市はオホーツク海に面し、年平均気温は約6.9℃。最も寒い2月の平均が約-5.4℃、最も暖かい8月でも平均約19.6℃と、夏は涼しく冬は厳しい気候です(出典:気象庁)。海沿いのため内陸より寒暖差は穏やかで、晴天が多いのも特徴。流氷が接岸する冬の冷え込みは、住んでみると体に刻まれる感覚なんですよ。
冬──12月〜3月の暮らし
冬の網走は、1月下旬から流氷が接岸し、最低気温が-15℃を下回る日も出てきます。とくに夜間はしばれる(厳しく冷え込む)ので、防寒は欠かせません。
地元では冬の前に「水を落とす」習慣があります。これは水道管の凍結・破裂を防ぐため、就寝前に配管内の水を抜く作業のこと。初めて住む人は、まず大家さんに水抜き栓の操作を教わるのが定番です。
一方で、網走は道内では降雪量が比較的少なめと言われています。とはいえ3月までは雪が降りやすく、根雪が消えるのは流氷が離れたあとになります。
春──4月〜5月の暮らし
網走の春は、流氷が沖へ離れる「離岸」から始まります。平均すると4月上旬ごろまで流氷が接岸しているため、春の訪れは本州よりずっと遅め。エゾヤマザクラが咲くのも5月に入ってからです。
4月以降も雪が降ることは珍しくなく、年によっては5月に積雪を記録する年もあります。春先は風が強い日も多く、上着が手放せません。
夏──6月〜8月の暮らし
夏は晴天が多く、日照時間が長いのが網走の自慢です。8月の平均気温は約19.6℃と過ごしやすく、本州の蒸し暑さとは無縁。ただし日中は30℃を超える真夏日になる日もあります。
夜になると20℃以下まで下がることが多く、寝苦しさはほとんどありません。短い夏を惜しむように、人々はキャンプやサイクリングへ繰り出します。
秋──9月〜11月の暮らし
秋は能取湖のサンゴ草が真っ赤に色づき、9月中旬に見頃を迎えます。空気が澄んで、オホーツク海の青さがいっそう際立つ季節です。
初雪は11月半ばごろが多く、街は一気に冬支度へ。タイヤ交換や暖房の準備に追われるうちに、また流氷の季節がやってきます。
網走市の移住・暮らし情報

オホーツク圏の中核都市である網走市は、買い物・医療・教育がひと通りそろい、暮らしの土台が整ったまちです。海と湖に囲まれ、自然のすぐそばで生活できるのも魅力。ここでは「住む視点」で、暮らしの現実を見ていきましょう。
通勤・通学
市内の勤め先に通う人が多く、隣接する北見市方面へ車で通勤する人もいます。鉄道は本数が限られるため、日常の移動は車が中心。冬の通勤は除雪と路面凍結を見越して、時間に余裕を持つのが基本です。
住宅環境
家賃相場は、単身向けの1K・1DKでおよそ4万円前後。ファミリー向けはアパートの2LDK・3K・3DKで約6.4万円、マンションでは約5.1万円が目安です(出典:SUUMO)。台町・潮見・新町・駒場周辺に賃貸物件が多く、大半が駐車場付きなのも車社会らしい特徴です。
買い物環境
買い物の中心は駒場エリアで、ショッピングタウンや大型スーパーが集まっています。アークス系のスーパーやコープさっぽろ、北雄ラッキーなどがそろい、日常の食料品で困ることはまずありません。郊外型の店舗が多いので、まとめ買いには車が便利です。
子育て・教育
網走市には認可保育所・認定こども園や幼稚園が地域ごとに分散し、子育て支援センターやこども医療助成などの制度も整っています(出典:網走市公式サイト)。市内には小・中・高校に加え、東京農業大学のオホーツクキャンパスもあり、学びの選択肢が身近にあるのは心強いですよ。
医療環境
地域の中核を担うのが網走厚生病院で、ほかに網走中央病院や北海道立向陽ケ丘病院などがあります(出典:網走市公式サイト)。市は救急医療体制の維持や開業医の誘致にも取り組んでおり、オホーツク圏の医療拠点としての役割を担っています。
エリア別の暮らし視点
中心市街地(南○条・台町・潮見・新町)は賃貸が多く、生活の利便性が高いエリア。駒場周辺は買い物施設が集まり、ファミリーに向いています。呼人や北浜などの郊外は自然が近く静かで、車があればあずましく(落ち着いて居心地よく)暮らせます。
網走市へのアクセス

網走市へは、空の玄関口・女満別空港の利用が最も早く、札幌からは鉄道・高速バス・飛行機の3通りがあります。それぞれ所要時間と運賃が大きく異なるので、目的に合わせて選びましょう。
車でのアクセス
札幌中心部からは道央自動車道・旭川紋別自動車道を経由し、遠軽ICから国道333号で網走方面へ。距離は約340km、所要時間はおよそ5時間です。広い北海道らしく、長距離ドライブになる点は覚悟しておきましょう。
鉄道+バスでのアクセス
鉄道は、札幌駅から特急「オホーツク」で網走駅まで約5時間20分。JR釧網本線・石北本線が接続しています。長時間の乗車になるため、指定席を早めに確保しておくと安心です。
高速バスは、北海道中央バス・北海道北見バス・網走バスが運行する「ドリーミントオホーツク号」が便利で、札幌〜網走間は約5時間50分です(出典:網走バス株式会社)。
飛行機でのアクセス
最短は飛行機です。新千歳空港から女満別空港までは約45分。女満別空港から網走市内へは網走バスの「女満別空港線」が飛行機のダイヤに合わせて運行し、網走駅まで約25分・運賃940円です(出典:網走バス株式会社)。羽田から女満別への直行便もあります。
町内移動の現実的アドバイス
市内の観光施設や住宅地は点在しているため、移動は車が前提と考えておくと動きやすいです。鉄道やバスは本数が限られるので、レンタカーがあると一気に行動範囲が広がります。冬は路面が凍結するため、運転に慣れていない方はスタッドレス装着のレンタカーを選ぶのが安心ですよ。
【地元住民に直撃!】網走市の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
うちは主人が鮭の定置網をやってましてね、わたしは水揚げされたもんの選別から加工まで手伝ってます。朝はまだ暗いうちから浜に出るもんだから、冬の網走の海はしばれて手がかじかむのなんのって。
でもね、ピンッと張った銀色の鮭が網にびっしり入ってるのを見ると、やっぱりこの仕事してよかったなぁって思うんですわ。オホーツクの恵みで食べさせてもらってる、そんな暮らしです。
Q2.網走市に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
そりゃまず博物館網走監獄とオホーツク流氷館だわね。観光で来たらここ外しちゃ網走を見たことにならないっしょ。流氷館の屋上から知床連山まで見える日は、ほんとに気持ちいいですよ。
あとは地元の者として能取岬。観光バスもあんまり来なくて、岬の草原と灯台、その向こうにただ海が広がってるだけ。風の音しか聞こえないあの静けさは、網走市民の隠れた誇りなんですわ。
Q3.網走市でお土産を買うとしたらなんですか?
オーソドックスなとこなら網走ビールと、塩ラーメンのオホーツク干貝柱のやつね。道の駅にいけば網走の有名なものがひと通りそろうから、迷ったらあそこで間違いないです。
でもわたしらが買うのはね、地元のかまぼこ屋さんの「長天」。揚げたてはふわっとして、おやつにも酒のつまみにもなるんですわ。観光客はあんまり知らないけど、これが網走のソウルフードなのよ。
Q4.外から人が来たときに、網走市でまず連れていく店はどこですか?
やっぱり海のもんを食べさせてあげたいから、地元の食堂で網走ザンギ丼かね。オホーツクサーモンを白魚醤油に漬けた唐揚げ丼で、これは網走でしか食べられない味なんですよ。
あとは旬の時期なら、ホタテやカジカの汁ものを出してくれる店。観光地のきれいな店もいいけど、地元の人がふつうに通う食堂のほうが、網走の本当の味が分かってもらえると思うんですわ。
Q5.網走市はどんな気質だと思いますか?
網走の人はね、見た目はぶっきらぼうで口数も少ないんだけど、根は情に厚いんですわ。浜の漁師なんか特にそうで、最初はとっつきにくくても、一度懐に入れたらとことん面倒みてくれる。
厳しい冬を毎年みんなで越えてきた土地だから、困ってる人をほっとけないんでしょうね。観光協会の人も市役所の人も、よそから来た人には案外あったかいですよ。
Q6.昔に比べて、網走市の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言うと、人は減りましたね。わたしが嫁に来た頃は四万人くらいいたのが、今は三万人ちょっと。商店街もシャッターが増えて、寂しくなったなぁと思うことはあります。
それと流氷ね。昔は二月になれば海がびっしり白く埋まったもんだけど、近頃は来るのが遅かったり少なかったり。海で食べてる身としては、この変化はほんとに気がかりなんですわ。
Q7.網走市のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
去年、市役所が南五条の新しい庁舎に移ったでしょ。市民センターや市民会館のあたりも含めて、街の真ん中がもうちょっと人の集まる場所になってくれたらねぇと、市長さんにも期待してます。
あとは網走運動公園で夏に合宿に来る選手さんたち。流氷だけじゃなく夏も網走に人が来てくれる流れが続いて、藻琴山の水で育ったこの土地の良さが、もっと外に広がってほしいんですわ。

