【山形県南陽市】ってどんなとこ?赤湯温泉と鶴の恩返しの里【地元民のリアルな声あり】

山形県南陽市にある赤湯温泉の足湯:山形県の赤湯温泉には、観光案内所に隣接する「さきわいの湯」など、無料で気軽に潤える足湯があります。

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南陽市(なんようし)は、山形県南東部・置賜(おきたま)盆地の北部にある人口27,665人の市です。山形新幹線が停まる赤湯駅が玄関口で、市の南端を最上川が流れています。

南陽市の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:

  • 赤湯温泉──寛治7年(1093年)開湯と伝わる湯の町。徒歩圏にワイナリーが集まる
  • 鶴の恩返しの里──漆山地区の鶴布山珍蔵寺と資料館「夕鶴の里」
  • 熊野大社──日本三熊野の一つ。本殿裏に隠し彫りされた「三羽のうさぎ」
  • 南陽の菊まつり──菊人形を飾る祭りとしては全国一の歴史。2026年で第114回
  • シェルターなんようホール──ギネス世界記録「最大の木造コンサートホール」

「温泉とワインをセットで楽しみたい人」「民話や古い神社に惹かれる人」「ラーメンのために旅ができる人」に向いた町です。本記事では、序盤で観光の見どころ、中盤で歴史と暮らし、終盤で特産品と食を紹介します。

人口27,665 人 ※2026年6月1日時点(推計人口)
面積160.52 km²
人口密度172 人/km²

地理的には、北は山辺町、東は上山市、南は高畠町川西町、西は白鷹町長井市に接し、北端の白鷹山(994メートル)付近では山形市とも境界を接しています(出典:全国観光資源台帳(公益財団法人日本交通公社))。

赤湯駅はJR奥羽本線(山形新幹線)と山形鉄道フラワー長井線の分岐点で、国道13号と113号もここで分かれます。2019年には東北中央自動車道の南陽高畠ICが開通しました。置賜の交通の要衝、というのがこの町の立ち位置です。

湯、民話、菊、ラーメン。要素の並びだけ見ると散らかって見えますが、実はどれも同じ土地の事情から生まれています。順に見ていきましょう。

目次

南陽市の推しポイント

南陽市の見どころは、大きく「赤湯」と「宮内」と「漆山」の3地区に分かれています。赤湯は温泉とワイナリーとラーメン、宮内は熊野大社と菊まつり、漆山は鶴の恩返しの舞台です。

そこに、市役所の隣に建つギネス認定の木造ホールが加わります。人口3万人弱の町にしては、行き先の毛色が違いすぎるんですよね。ひとつずつ見ていきます。

推しポイント1:赤湯温泉──1093年開湯と伝わる、湯とワインの町

赤湯温泉の由来には諸説あり、平安時代後期の寛治7年(1093年)に八幡太郎義家の弟・義綱が傷を負った兵士を湯に入れて治したという説が知られています(出典:南陽市)。傷から出た血で湯が赤く染まった、というのが地名の由来だと伝えられます。

米沢藩時代には藩主が入る御殿湯として保護されました。今は温泉街のなかに旅館と公衆浴場、そしてワイナリーが徒歩圏内で同居しています。湯上がりに歩いて試飲へ、という動線が成立する温泉地は、なかなかありません。

推しポイント2:鶴の恩返しのふるさと──珍蔵寺と夕鶴の里

市西部の漆山地区には、民話「鶴の恩返し」を開山縁起として伝える鶴布山珍蔵寺があります。この伝説は江戸時代の古文書に書き記されており、記述としては日本で最も古いものとされています(出典:夕鶴の里)。

周辺には鶴巻田、羽付、織機(おりはた)川といった、物語をなぞるような地名が今も残っています。すぐ近くの資料館「夕鶴の里」では、語り部さんが地元の言葉で民話を聞かせてくれます。地名を確かめながら歩くと、話の輪郭が急に立ち上がってきますよ。

推しポイント3:熊野大社──日本三熊野と「三羽のうさぎ」

宮内地区の熊野大社は、和歌山県の熊野三山、長野県の熊野皇大神社とともに「日本三熊野」の一つに数えられます(出典:やまがたへの旅(山形県公式観光サイト))。「東北の伊勢」とも呼ばれてきた神社です。

名物は、本殿の裏側に隠し彫りされた三羽のうさぎ。すべて見つけると願いが叶うと言われていますが、三羽目を人に教えたり聞いたりするとご利益がなくなるのだとか。二羽目までは授与所で教えてもらえるので、実質の勝負は最後の一羽です。

推しポイント4:南陽の菊まつり──菊人形を飾る祭りとして全国一の歴史

南陽の菊づくりは上杉藩時代(17世紀初期)に始まり、大正元年(1912年)に宮内の料亭へ初めて菊人形が飾られ、翌大正2年に第1回の菊花品評会が開かれました。菊人形を飾る「菊まつり」としては全国一の歴史を誇り、菊は市の花に制定されています(出典:南陽市)。

2026年は第114回。宮内会場(熊野大社周辺)が10月9日〜10月19日、花公園会場(南陽市中央花公園)が10月20日〜11月8日の開催と告知されています(出典:南陽の菊まつり)。菊人形の技は菊地家に代々受け継がれ、現在は3代目が手掛けています。

推しポイント5:シェルターなんようホール──ギネス認定の木造コンサートホール

市役所の隣に建つ南陽市文化会館は、地元の山から切り出したスギ材を使った木造耐火建築です。1,403席の大ホールは2015年12月21日、「最大の木造コンサートホール」としてギネス世界記録に認定されました(出典:南陽市)。

2017年4月からは株式会社シェルターがネーミングライツを取得し、「シェルターなんようホール」の愛称で呼ばれています。中に入ると、まず木の匂いがします。コンサートホールで匂いの話をすることになるとは、思わないですよね。

南陽市の歴史

南陽市の歴史は、大きく三段階で捉えられます。まず古墳時代、置賜を治めた王がこの地に大型の前方後円墳を築きました。次に近世、伊達氏の領有を経て上杉氏の米沢藩領となり、赤湯は御殿湯と宿場、宮内は熊野大社の門前町として栄えます。

そして近代、宮内・漆山地区は県下有数の製糸業地帯となりました。1967年に2町1村が合併して市が誕生し、現在に至ります。それぞれの時代の痕跡が、古墳・温泉・地名・工業団地として今も残っています。

古代──稲荷森古墳が語る置賜の王

長岡地区にある稲荷森古墳は、古墳時代前期(4世紀)に築かれた全長約96メートルの前方後円墳です。山形県内では最大で、東北地方でも有数の規模を持ちます(出典:やまがたへの旅(山形県公式観光サイト))。

1980年(昭和55年)に国の史跡に指定されました。埴輪も葺石も周濠もない、木の棺を直接埋めたと考えられる古いタイプの古墳です。1600年以上前、この盆地を束ねる力がすでにここにあったことを示しています。

近世〜近代──米沢藩の御殿湯と、製糸で栄えた宮内

戦国期の伊達氏の領有を経て、1598年(慶長3年)以降、明治まで上杉氏の米沢藩領でした。赤湯は米沢と山形を結ぶ米沢街道(最上街道)の宿場でもあり、温泉場と宿場が重なる町として発展します(出典:全国観光資源台帳(公益財団法人日本交通公社))。

一方の宮内地区は、吉野川の谷口に開けた熊野神社の門前町でした。明治初期から第二次世界大戦前までは、養蚕地を背景に県下有数の製糸業で知られます。戦後はその施設を転用して電気機器や木工の工業が興りました。

「鶴の恩返し」が漆山に根づいたのも、この土地が織物と製糸の土地だったことと無関係ではありません。機を織る音が、生活音だった時代の話です。

現代──2町1村の合併と「南陽」という名

1967年(昭和42年)4月1日、東置賜郡の赤湯町・宮内町・和郷村が合併して南陽市が発足しました。山形県内では13番目の市です。市名は、宮内と赤湯の双方が譲らなかったため、当時の山形県知事が中国の故事「南陽の菊水」から引いて命名した瑞祥地名でした。

市役所が両地区の中間地点に建てられたのは、その経緯の名残です。同じ由来から、中国・河南省の南陽市とは1988年に友好都市提携を結んでいます。2019年には東北中央自動車道が開通し、市内に初めて高速道路が通りました。

南陽市の文化・風習

南陽市は置賜地方の北端にあり、村山地方との境目にあたります。言葉も暮らし方も、どちらの色も混ざっているのが特徴です。米沢より山形市のほうが近い地区もあるので、無理もありません。

一年の輪郭は花と祭りで決まります。4月の桜、6月のバラ、10月の菊。そのあいだをぶどうの収穫が埋めていきます。住むと、季節が花の名前で数えられるようになる町なんですよ。

方言と話し方の特徴

山形弁は地域ごとに4つに分かれ、南陽市を含む置賜地方で話されるのが置賜弁です。語尾に「〜ごで」がつくのがいちばん分かりやすい特徴で、これが村山弁の「〜ず」「〜べした」と対になっています。

山形県が紹介している例を挙げます。んだごで(そうです)、え〜ごで〜(大丈夫だよ)、やがましぇ(うるさい)、〜ごんば(〜しないと)。「勉強しねごんば偉ぐならんねぞ」で「勉強しないと偉くなれないよ」になります(出典:やまがた子育て応援サイト(山形県))。

「夕鶴の里」では、語り部さんがこの置賜弁で鶴の恩返しを語ってくれます。標準語で読む昔話とは、まったく別の温度になります。意味が半分しか分からなくても、聞く価値がありますよ。

花と祭りが回る一年

春の主役は赤湯温泉街の高台にある烏帽子山公園です。エドヒガンやシダレザクラなど約1,000本が咲き、「烏帽子山千本桜」と呼ばれます。1990年に選定された「さくら名所100選の地」の一つで、山形県からはここが選ばれています(出典:公益財団法人日本さくらの会)。

初夏は宮内の双松バラ園へ。およそ340種、約6千本のバラが咲く高台の園で、盆地から吹き上がる気流に香りが乗るため「香りのバラ園」と呼ばれています(出典:南陽市)。

そして秋が菊まつり。桜、バラ、菊と、市民の一年は花の当番で回っていきます。菊人形の題材が毎年変わるので、地元では「今年は何をやるんだ」が秋の挨拶みたいなものです。

温泉とラーメンが日常にある暮らし

赤湯の公衆浴場は、缶ジュース並みの料金で入れる庶民の湯として親しまれてきました。観光客のための温泉ではなく、仕事帰りに寄る温泉です。この距離感が、赤湯という町の性格をよく表しています。

もう一つの日常がラーメン。2014年に市内の中高生へ「市外の人に伝えたい南陽市の食べ物は」と聞いたところ、ラーメンという答えが数多く寄せられました。それを受けて2016年7月、市は官民協働の「南陽市役所ラーメン課R&Rプロジェクト」を立ち上げています(出典:南陽市)。

中高生が真っ先にラーメンと答える町、というのがすべてを物語っていますよね。市はラーメンカードラリーなども続けています。

南陽市の特産品・食

南陽市の食を貫いているのは、ぶどうです。生で食べればデラウェア、醸せばワイン。そして意外なところで、ラーメンの辛味噌に使う唐辛子も赤湯の特産でした。

置賜盆地は夏の昼夜の気温差が10度以上になることもあり、この寒暖差が果物の甘みを押し上げます。斜面が多く水はけが良いという地形も味方しました。順に紹介します。

特産品1:デラウェアとぶどう狩り

南陽市は山形県におけるぶどうの発祥の地と言われ、市内の観光ぶどう園では8月上旬から10月中旬頃までぶどう狩りが楽しめます(出典:南陽市)。デラウェアは8月上旬〜9月上旬、マスカット・ベーリーAは9月中旬〜10月中旬が目安です。

置賜はデラウェアの生産量日本一の産地で、寒暖差の大きい気候と排水・保水のよい大地が味を支えています(出典:JA山形おきたま)。

粒は小さいのに、口に入れると甘みが濃い。皮ごと押し出して食べるあの動作を、房が空になるまで繰り返してしまいます。冷やしすぎず、常温に近い状態で食べるのがおすすめですよ。

特産品2:赤湯ワイン

赤湯には複数のワイナリーが集まっています。なかでも酒井ワイナリーは創業明治25年(1892年)、東北最古のワイナリーです。化学肥料・農薬を使わず、生き物の豊かに育つ畑を目指しています(出典:山形県ワイン酒造組合)。

ぶどう栽培が先にあり、その延長で醸造が始まった。だから飲食店で「地のワイン」と言われて出てくるものが、本当に数百メートル先の斜面の味だったりします。

デラウェアやマスカット・ベーリーAを使った軽やかな辛口が多く、置賜の料理に合わせやすい。温泉街から歩いて回れる距離にあるので、車を置いて一日かけて巡るのが正解です。

特産品3:赤湯からみそラーメン

赤湯といえば、味噌スープの真ん中に真っ赤な辛味噌が乗る一杯です。1958年(昭和33年)創業の龍上海で、売れ残ったスープに味噌を入れて食べていたことから始まり、1960年頃に現在のスタイルが完成したと伝えられています。

辛味噌は赤湯特産の唐辛子と山形の赤味噌にニンニクなどを合わせたもの。最初から溶かさず、少しずつ崩しながら食べると、一杯のなかで味が二度も三度も変わります。麺は出前でも伸びにくい太めの平打ち縮れ麺です。

ちなみに南陽市は、ラーメン課を持つ全国でも数少ない自治体として、福島県喜多方市と連携協定を結んでいます。町ぐるみで一杯を推している、ということです。

特産品4:さくらんぼ・桃などの果樹

北に丘陵、南に沃野という地形のおかげで、南陽市ではぶどうのほかにさくらんぼや桃などの果樹栽培も盛んです(出典:やまがた暮らし情報館(山形県))。

さくらんぼは6月から7月上旬、桃は8月前後が目安と考えられます。ぶどう狩りが10月まで続くので、初夏から秋までほぼ切れ目なく何かが穫れている町なんですよ。


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南陽市の観光スポット

南陽市の観光は、駅を中心に半径10キロで完結します。赤湯駅の周りに温泉とワイナリーとラーメン、車で10分の宮内に熊野大社と花の公園、西の漆山に鶴の恩返しの舞台。北の山あいまで足を伸ばせば滝とブナ林です。

ひとつのジャンルで押し切らないのが、この町の面白いところなんですよ。湯に浸かって、古墳に登って、空を飛んで、最後にラーメン。そんな一日が普通に組めてしまいます。

湯と酒を味わうスポット

  • 赤湯温泉 湯こっと – 「とわの湯」「あずま湯」などを統合し、令和4年6月にオープンした公衆浴場です。営業時間は6:00〜22:00、定休日は火曜日(火曜が祝日の場合は木曜)、入湯料は大人1回300円、小学生以下100円(出典:南陽市)。源泉かけ流しの大浴場と、赤湯の公衆浴場では唯一の露天風呂があります。朝6時から開いているので、宿の朝食前にひと風呂という贅沢ができますよ。
  • 赤湯元湯 – 「大湯」と「丹波湯」を一つにして平成20年10月にオープンした浴場。8:00〜14:00と15:00〜21:30の営業、水曜定休、大人1回240円です(同上)。赤湯温泉観光センター「ゆーなびからころ館」に隣接しており、観光案内と湯がセットで済みます。
  • 烏帽子の湯 – 烏帽子の形をした湯舟が特徴の浴場で、6:00〜11:30と14:00〜21:30の営業、金曜定休、大人1回120円(同上)。3つの浴場のなかでも料金が最も手ごろで、地元の人が下駄で歩いて来ます。観光客だと気づかれると、たいてい話しかけられます。
  • あっこぽっぽ湯・さきわいの湯 – 森の山源泉の脇と、ゆーなびからころ館の脇にある無料の足湯。どちらも24時間利用でき、あっこぽっぽ湯には飲泉所も併設されています(同上)。冬期は雪で閉鎖される場合があります。散策の合間に靴を脱いで座ると、置賜の空気の乾き具合が足からわかります。
  • 酒井ワイナリー – 創業明治25年、東北最古のワイナリーです。化学肥料・農薬を使わず、地元赤湯の畑を蘇らせるべく圃場の拡大にも取り組んでいます(出典:山形県ワイン酒造組合)。売店は小さく、家族経営の空気そのまま。並んでいる瓶の背後にある斜面が、窓の外に見えているという距離感です。

民話と信仰をたどるスポット

  • 熊野大社 – 和歌山県の熊野三山、長野県の熊野皇大神社とともに「日本三熊野」の一つに数えられる神社。JR赤湯駅から車で約10分、東北中央自動車道の南陽高畠ICからは車で約15分です(出典:やまがたへの旅(山形県公式観光サイト))。46段の石段を上がると、茅葺きの拝殿が現れます。目当ては本殿裏の三羽のうさぎ探しですが、まず参道の大イチョウの太さで足が止まりますよ。
  • 夕鶴の里 – 民話「鶴の恩返し」を伝える資料館。開館時間は9:00〜16:30、毎週月曜と年末年始が休館、入館料はおとな330円・小中学生110円です(出典:夕鶴の里)。建物はかつての製糸工場の3階建て「まゆ蔵」を転用したもので、語り部さんが地元の言葉で民話を語ってくれます。機織り体験もあり、糸の張りの強さに驚きます。
  • 鶴布山珍蔵寺 – 鶴女房の夫だった金蔵が仏門に入ったのが開基という伝承を持つ古刹で、伊達政宗の時代にはすでに名刹として知られていました。所在地は南陽市漆山1747-1(出典:夕鶴の里)。梵鐘の表面には鶴の恩返しの場面が浮き彫りにされています。秋、境内のイチョウが散った日の午前中がいちばん静かです。

花と古墳をめぐるスポット

  • 烏帽子山公園 – 1990年に選定された「さくら名所100選の地」の一つで、山形県からはここが選ばれています(出典:公益財団法人日本さくらの会)。エドヒガンやシダレザクラなど約1,000本が咲き、「烏帽子山千本桜」と呼ばれます。JR赤湯駅から車で約5分、徒歩でも約20分(出典:やまがたへの旅(山形県公式観光サイト))。桜の時期以外もいい場所で、烏帽子山八幡宮の大鳥居越しに温泉街を見下ろせます。
  • 双松公園・双松バラ園 – 双松バラ園はおよそ340種、約6千本のバラが咲く高台の園。盆地から吹き上がる気流で香りが立ちのぼるため「香りのバラ園」と親しまれています(出典:南陽市)。オールドローズが多いのが特徴です。熊野大社のすぐ隣なので、参拝とセットにするのが効率的ですよ。
  • 稲荷森古墳 – 古墳時代前期(4世紀)に築かれた全長約96メートルの前方後円墳で、山形県内では最大、東北地方でも有数の規模です(出典:やまがたへの旅(山形県公式観光サイト))。1980年に国の史跡に指定されました。柵越しに眺めるタイプではなく、後円部の上まで歩いて登れます。てっぺんに立つと、1600年前の王が見ていた盆地の形がそのまま見えます。
  • 南陽市中央花公園 – 秋の「南陽の菊まつり」花公園会場になる公園で、住所は南陽市三間通1096。東北中央自動車道の南陽高畠ICから車で約11分、赤湯温泉からは約6分です(出典:南陽の菊まつり)。まつり以外の季節は広い多目的広場で、地元の子どもがボールを蹴っています。

自然と空を楽しむスポット

  • 白竜湖 – 赤湯の北東にある、古代の置賜盆地に広がっていた湖の名残です。「白龍湖泥炭形成植物群落」として山形県の天然記念物に指定され(昭和30年10月25日指定)、農林水産省の「美しい日本の村景観100選」にも選ばれています(出典:やまがたへの旅(山形県公式観光サイト))。水田のただ中に唐突に水面がある景色で、夕方、田んぼが鏡になる時間帯がいちばん奇妙で美しいです。
  • 南陽スカイパーク – 標高500mの十分一山と標高700mの高ツムジ山にテイクオフを持つ、南陽市立のスカイスポーツ施設。指定管理者の南陽市スカイレジャー振興協議会が管理・運営しています(出典:南陽市)。白竜湖周辺から立ち上る熱上昇気流が使えるため、高く長く飛べるエリアとして知られます。インストラクター同乗のタンデム体験は要予約で、風次第で飛べない日もあります。秋から冬は雲海の確率が上がりますよ。
  • くぐり滝 – 市北部の小滝地区にある落差14メートルの滝。高さ5メートル・幅4.6メートルの岩の穴から水が落ちる形からこの名がつきました。周囲は天然ブナ林で、春の終わりから初夏は水芭蕉、秋は紅葉が楽しめます(出典:やまがたへの旅(山形県公式観光サイト))。駐車場から数分で滝つぼまで行けますが、道幅の狭い山道を4キロほど上がるので運転は慎重に。夏でも空気がひんやりしています。

建築と人物にふれるスポット

  • シェルターなんようホール(南陽市文化会館) – 地元産スギを使った木造耐火建築で、1,403席の大ホールは2015年12月21日に「最大の木造コンサートホール」としてギネス世界記録に認定されました。2017年4月から株式会社シェルターがネーミングライツを取得しています(出典:南陽市)。公演のない日でもロビーまでは入れることが多く、木の匂いだけでも体験する価値があります。公演日は市役所前が急に賑わうので、町の顔が変わる瞬間が見られますよ。
  • 南陽市立結城豊太郎記念館 – 赤湯出身で、大蔵大臣や第15代日本銀行総裁を務めた結城豊太郎の遺品や文化財を展示する記念館。開館時間は9:00〜16:30(入館受付は16:00まで)、毎週月曜と年末年始が休館で、入館は無料です(出典:南陽市立結城豊太郎記念館)。表門は元薩摩藩主・島津公の江戸屋敷を移築したものです。展示室は静かで、勝海舟や山岡鉄舟の書と向き合う時間が取れます。

南陽市の観光ルート

計算中…

赤湯駅を起点にすると、南陽市はほぼ何でも組めます。車があれば北の滝まで含めて1日、鉄道と徒歩なら宮内と漆山を半日。時間が余ったら、置賜の他の町へ足を伸ばす手もあります。3パターン紹介しますね。

【車・1日】湯と民話をたどる南陽ぐるり1日ルート

9:00 赤湯駅 → 9:10 烏帽子山公園(車5分)→ 10:00 熊野大社(車15分)→ 11:30 双松バラ園(徒歩・車すぐ)→ 12:30 赤湯温泉街で昼食(車15分)→ 14:00 稲荷森古墳 → 15:30 夕鶴の里(車15分)→ 17:00 赤湯温泉 湯こっと

烏帽子山公園(40分)
→ 朝いちばんに高台へ。温泉街と置賜盆地を一望できるので、この日の地理感覚がここで頭に入ります。桜の季節でなくても、大鳥居の前に立つ価値がありますよ。

坂を下りて国道を北上、山の中腹へ上がります。

熊野大社(1時間)
→ 午前中は参拝客が少なく、うさぎ探しに集中できます。三羽目は自力で見つけないとご利益がないので、時間に余裕を持って。

双松バラ園(1時間)
→ 熊野大社の隣です。6月なら香りの壁に突っ込む感覚を味わえます。それ以外の季節も、盆地を見下ろす芝地でひと息つけますよ。

赤湯温泉街で昼食(1時間)
→ からみそラーメンの町なので、正午前後は行列覚悟。並ぶ気力がない日は、温泉街の食堂に切り替えるのが賢い判断です。

稲荷森古墳(40分)
→ 午後の光が斜めに入ると、前方後円墳の輪郭がくっきり出ます。登れる古墳なので、ぜひ後円部の頂上まで。

夕鶴の里(1時間)
→ 語り部さんの話は16時前に。まゆ蔵の3階建てを見上げてから入ると、製糸の町だった漆山の背景が腑に落ちます。

赤湯温泉 湯こっと(1時間)
→ 22時まで開いているので、締めは露天風呂で。歩き回った日の夕方に、300円でこれが成立するのが赤湯の反則的なところなんですよ。

【鉄道+徒歩・半日】フラワー長井線でめぐる宮内・漆山ルート

10:00 赤湯駅 → 10:20 宮内駅(フラワー長井線)→ 11:30 双松公園 → 13:00 おりはた駅(フラワー長井線)→ 13:10 夕鶴の里(徒歩10分)→ 14:30 鶴布山珍蔵寺(徒歩8分)→ 15:30 おりはた駅

宮内駅(20分)
→ 山形鉄道フラワー長井線は1両編成のローカル線。整理券を取って乗り込む時点で、もう旅が始まっています。

双松公園(1時間30分)
→ 宮内駅から徒歩15分ほど。熊野大社と隣接しているので、時間があれば両方まとめて。門前町の商店街を抜けていく道のりも含めて楽しんでください。

ひと駅だけ電車に揺られて、漆山地区へ移動します。

夕鶴の里(1時間)
→ おりはた駅から看板を頼りに歩いて10分ほど。徒歩でしか気づけない「鶴巻田」「羽付」といった地名の看板が、道すがら現れますよ。

鶴布山珍蔵寺(1時間)
→ 資料館で話を聞いた直後に寺へ行くのが正解です。梵鐘の浮き彫りを見た瞬間、さっきの物語が立体になります。

【車・1日】広域ルート:置賜の花と城下町をつなぐ

9:00 赤湯駅 → 9:30 くぐり滝(車40分)→ 11:00 白竜湖(車40分)→ 12:00 赤湯温泉街で昼食(車10分)→ 13:30 高畠町方面へ(車20分)→ 15:30 米沢市中心部(車30分)→ 18:00 赤湯温泉泊

くぐり滝(1時間)
→ 国道348号から山道を4キロ。午前の光がブナ林に差す時間帯がきれいです。ただし午後は谷が暗くなるので、順番はここが先。

山を下りて、盆地の底へ戻ります。

白竜湖(40分)
→ 水田の中の残存湖。パラグライダーが飛んでいれば、この湖が生む上昇気流を使っているところです。

赤湯温泉街で昼食(1時間30分)
→ ワイナリーを1軒挟むなら、運転者は試飲を我慢するか、宿泊前提で組んでください。

高畠町・米沢市方面(4時間)
南陽市の南隣にはデラウェアの産地・高畠町、その先には上杉の城下町・米沢市があります。置賜盆地はどこも近いので、拠点を赤湯温泉に置けば毎晩湯に戻れますよ。


ここまで見てきたとおり、見どころが少し離れた場所に点在していることもあります。気になるスポットをまとめて回るなら、レンタカーがあると一気に動きやすくなりますよ。料金は会社や時期でけっこう変わるので、まとめて比較できるサイトでサッと見ておくのがおすすめです。

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そして遠方から訪れるなら、思いきって一泊するのもおすすめです。日帰りでは通り過ぎてしまう夜や朝の時間に、その町ならではの静けさや表情に出会えます。お祭りやイベントの時期は宿が一気に埋まるので、早めの確保が安心ですよ。

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南陽市の年間イベント

南陽市の一年は、花と酒と神事で回ります。4月に桜、5月にワイン、6月にバラ、夏は熊野大社、秋は菊。どの月に来ても何かしら開いているのが、この町のありがたいところです。とくに濃いのは、初夏と秋なんですよ。

春:赤湯温泉桜まつり

烏帽子山公園を舞台に、毎年4月に「赤湯温泉桜まつり」が開催されます。2026年は4月上旬から下旬にかけて行われ、期間中はライトアップのほか物産展やまち歩き企画も実施されました(出典:VISIT YAMAGATA(山形まるごと観光情報サイト))。

見どころは、烏帽子山八幡宮の石造り大鳥居のしめ縄掛け替え神事。300キロもある縄を人の手で架け替える光景に、地元の小学生が総出で見学に来ます。桜の花びらが縄の上に落ちていく絵は、この日にしか成立しません。

夜は温泉街から山を見上げる形になります。浴衣で坂を上って、ライトアップされた大回廊を歩く。屋台の匂いと湯の匂いが混ざるのが、赤湯の春の空気です。

初夏:南陽ワインフェスと南陽のバラまつり

5月下旬には「南陽ワインフェス」が開催されます。主催は市内6つのワイナリーや観光協会などで構成する南陽市ワインの里づくり委員会で、2026年は5月23日に赤湯温泉街の県道を交通規制した特設会場で行われました(出典:南陽市)。かつては「ワインフェスティバル in 南陽」の名で親しまれてきたイベントで、2026年で53回目です。

温泉街の道路がそのまま会場になるストリート型で、夕暮れから夜へと空気が変わっていきます。DJの音が鳴り、20店舗ほどのフードブースから煙が上がり、造り手本人がグラスを持って立っている。ぶどう畑の話を本人から聞ける機会は、なかなかありません。

同じ時期、双松バラ園では「南陽のバラまつり」が始まります。2026年は5月26日から7月5日まで、9:00〜17:00(入園は16:30まで)、入園料はおとな310円・こども100円で開催されました(出典:南陽市)。ワインの翌週にバラ、という置賜の初夏の連打は、なかなか贅沢ですよね。

夏:熊野大社の例大祭と縁結び祈願祭「かなで」

熊野大社では毎年7月下旬に例大祭が執り行われます。「祭初め」から「総社祭」まで4日間にわたる大祭で、行衣を着た担ぎ手による神輿渡御、延年稚児舞、子どもたちのボンテンバヨイが奉納されます(出典:東北の伊勢|熊野大社)。御獅子様がこの日だけ姿を見せるので、宮内の町は一年でいちばん熱くなります。

神輿が石段を上がってくるときの声と、太鼓と、蝉。音の層が厚くて、しばらく耳が痺れます。夜祭りの提灯が参道に並ぶ光景は、写真より実物のほうが確実に迫力があります。

また、6月から9月にかけては縁結び祈願祭「かなで」が行われ、境内に風鈴が飾られます(同上)。参拝者が短冊に願いを書いて風鈴に結び、風が吹くたびに音が境内を渡っていきます。真夏の昼、日差しが強いほど音が涼しく感じられるのが不思議なんですよ。

秋:南陽の菊まつり

秋の主役は「南陽の菊まつり」。2026年は第114回で、宮内会場(熊野大社周辺)が10月9日から10月19日、花公園会場(南陽市中央花公園)が10月20日から11月8日、いずれも9:00〜16:00の開催です(出典:南陽の菊まつり)。

菊人形を飾る菊まつりとしては全国一の歴史を持ち、その技は菊地家に代々受け継がれています。近くで見ると、着物に見えていた部分が全部、生きた菊の花。花が咲き進むにつれて衣装の色が変わっていくので、会期の頭と終わりでは別の作品のように見えます。

会場に入った瞬間の匂いも独特です。菊の香りは甘くなく、少しだけ苦い。その匂いを嗅ぐと秋が来たと感じる、という地元の人は多いですよ。宮内会場は熊野大社の参道がフラワーアートで彩られるので、両会場をハシゴするのがおすすめです。

冬:熊野大社の新春「さくら参宮」

熊野大社では、新春の1月1日から、白銀の境内で桜と御神楽の音色に想いを託す「さくら参宮」が執り行われます(出典:東北の伊勢|熊野大社)。雪のなかで山形特産の啓翁桜が咲いている、という季節感の裏切りが見どころです。

また、縁結び祈願祭「月結び」は月に一度、満月の夜に執り行われており、冬も休みません(出典:東北の伊勢|熊野大社)。雪の積もった参道に満月の光が落ちて、自分の影が雪に映る。その足で赤湯の湯に戻る一連が、冬の南陽のいちばん贅沢な過ごし方だと思います。

南陽市のエリア別の顔

南陽市には、赤湯・漆山・沖郷・金山・中川・宮内・吉野・梨郷の8つの地区があります(出典:滞在して楽しむ南陽(南陽市雇用創造協議会))。1967年に赤湯町・宮内町・和郷村が合併してできた市なので、今も「赤湯」と「宮内」という2つの中心が並び立っています。

旅行者目線で言うと、赤湯は遊ぶ場所、宮内は詣でる場所、漆山から北は物語と自然の場所。同じ市内なのに空気がはっきり違うので、移動するたびに切り替わる感覚があるんですよ。

赤湯エリア──温泉・ワイン・ラーメンが半径1キロに

市の南部、山形新幹線が停まる赤湯駅の周辺です。温泉街、公衆浴場、ワイナリー、ラーメン店、そして烏帽子山公園までが徒歩圏に収まっています。車を置いて歩き回るのに、これ以上ないサイズ感です。

町並みは派手ではありません。細い坂道に古い旅館と新しいワイナリーが混在していて、下駄の音がしたと思ったら地元の人が浴場へ向かっている。観光地として磨き上げられていない分、生活の匂いが濃く残っています。

「1泊2日で飲んで浸かって食べたい人」に向いたエリアです。宿を取る前提なら、迷わずここに拠点を置いてください。

宮内エリア──熊野大社の門前町と花の高台

市の西部、フラワー長井線の宮内駅を中心とした一帯。かつて熊野神社の「宮の内」として栄えた門前町で、今も参道沿いに古い商店が並びます。高台に上がれば双松公園とバラ園、盆地の向こうに吾妻連峰まで見渡せます。

赤湯が「湯の町」なら、宮内は「祈りの町」。1200年続く神社を軸に、菊まつりも例大祭もここから始まります。歩いていると、電柱や店の看板にうさぎが混ざっていることに気づきますよ。

「神社仏閣や町並みをじっくり歩きたい人」「写真を撮りたい人」に向いています。滞在時間は半日みておくと安心です。

漆山・吉野・金山エリア──民話と山あいの果樹畑

市の西から北にかけての山寄りの一帯です。漆山は鶴の恩返しの舞台で、鶴巻田・羽付・織機川といった地名が今も残ります。吉野や金山は、江戸時代に金・銀・銅が採れた鉱山の地区でした。

今はりんごやラ・フランスの畑が斜面を覆っています。舗装路が細く、対向車が来たらどちらかが下がる。そういう道の先に、ぽつんと寺や滝がある。観光地というより、集落の生活道を通らせてもらっている感覚です。

「物語の現場に立ちたい人」「静かな場所が好きな人」に向いたエリアです。車がないと厳しいので、レンタカー前提で考えてください。

沖郷・梨郷・中川エリア──田園と、市の中枢が並ぶ場所

市の南部から東部にかけて広がる平地です。市役所とシェルターなんようホール、中央花公園、そして稲荷森古墳がこのあたりに集まっています。合併時に「どちらの町でもない中間地点」に市役所を置いた、その結果の風景です。

見渡す限りの水田のなかに、木造の大きなホールが建っている。この取り合わせは、他ではあまり見ません。公演がある日は田んぼ道が渋滞するので、地元の人はすぐ「今日は誰か来てるな」とわかります。

「古墳や建築に興味がある人」「コンサート目当てで来る人」に向いています。白竜湖も近いので、夕方の田園風景とセットでどうぞ。

南陽市の気候・季節の暮らし

南陽市の気候は、置賜盆地特有の内陸性です。夏は暑く、冬は寒い。そして雪が積もります。山形県は全県が豪雪地帯に指定されており、南陽市もその区域に含まれます(出典:国土交通省「豪雪地帯・特別豪雪地帯の指定」)。

置賜盆地は、夏の昼と夜の気温差が10度以上になることもあります(出典:JA山形おきたま)。この寒暖差がぶどうを甘くしているわけですが、住む側からすると「日中は汗だくなのに夜は窓を閉める」という一日になります。

春──3月〜5月の暮らし

雪が消えるのは3月から4月にかけて。烏帽子山公園の桜は、例年4月中旬から下旬が見頃です(出典:やまがたへの旅(山形県公式観光サイト))。町全体が一気に色づくので、この時期だけは市内の道路が混みます。

雪解け水で吉野川の水量が増え、山の斜面が湿ります。果樹農家はこの頃から一年で最も忙しい季節に入り、ぶどう畑に人の姿が戻ってきますよ。

ただ、春先は寒暖の振れ幅が大きい時期でもあります。桜が満開の翌日に霜が降りることもあり、農家にとっては神経を使う季節です。ストーブはゴールデンウィーク前まで手放せないと考えられます。

夏──6月〜8月の暮らし

盆地の夏は、しっかり暑いです。市内のぶどう狩りは8月上旬から10月中旬頃まで楽しめるので(出典:南陽市)、暑さのピークとぶどうの旬がちょうど重なります。

一方で豪雨には注意が必要な土地です。2014年7月の集中豪雨では市内2つの河川が氾濫し、赤湯地区などで多数の住宅が浸水して災害救助法の適用を受けました(出典:内閣府)。市はハザードマップを公開しているので、住む場所を選ぶ際は必ず確認してください。

暮らしの実感としては、夜が救いです。日が落ちると盆地に冷たい空気が下りてきて、窓を開けて寝られる日がそれなりにあります。熊野大社の風鈴の音が涼しく感じられるのも、この湿度と気温だからこそなんですよ。

秋──9月〜11月の暮らし

いちばん過ごしやすい季節です。烏帽子山公園の紅葉は例年10月下旬から11月上旬が見頃(同上)。同じ時期に菊まつりの花公園会場が開いているので、町の空気が一年で最も華やぎます。

果樹の収穫はぶどうからりんご、ラ・フランスへとリレーしていきます。この時期、ご近所からの果物のおすそ分けが冷蔵庫に入りきらなくなる、という話をよく聞きます。

そして11月に入ると、朝の空気が一段階変わります。吾妻連峰の上のほうが白くなり、車のタイヤ交換の話題が出始める。冬支度のカウントダウンが始まる季節です。

冬──12月〜2月の暮らし

豪雪地帯なので、雪はきちんと降ります。除雪と屋根の雪下ろしは生活の一部と考えたほうがいいでしょう。市の北部・山あいの小滝地区などは平野部より積雪が多く、くぐり滝は積雪期に車で近づけない場合があります。

ただ、赤湯の温泉街に住む前提なら話は少し変わります。公衆浴場「湯こっと」は6:00〜22:00の営業で、大人1回300円(出典:南陽市)。除雪を終えて凍えた体を、300円で戻せる町なんですよ。

雪かきのあとの温泉、というのがこの町の冬の標準装備です。そして雪の日の夜は、驚くほど静かになります。音が雪に吸われて、遠くの除雪車の音だけが聞こえる。慣れると悪くない静けさです。

南陽市の移住・暮らし情報

南陽市で暮らす最大の利点は、山形新幹線の駅がある3万人弱の町、という規模感です。新幹線で東京まで直通、車で高速道路にすぐ乗れる。それでいて家賃は都市部の水準ではありません。

市は「子育て支援宣言都市なんよう」を掲げていて、移住・定住の支援メニューも細かく用意されています。制度の数はかなり多いので、気になる人は窓口に一度ぶつけたほうが早いですよ。

通勤・通学

南陽市は置賜地方と村山地方の境にあり、通勤先は米沢方面と山形方面に分かれます。地区によっては県庁所在地の山形市のほうが近く、村山地方との結びつきも大きいのが特徴です。

赤湯駅からは山形新幹線で山形方面へ、逆方向は米沢方面へ。在来線の奥羽本線も走っています。新幹線通勤を選ぶ人がいるのは、この町ならではです。

ただ、現実的には車社会と考えたほうがいいでしょう。市内の移動も、隣町の職場も、車があれば話が早い。市は小滝・北部・西部・中川の各地区でコミュニティバスを運行していますが、本数は限られます。

住宅環境

賃貸の募集物件を見ると、2DKで4万円台後半、2LDKで5万円台の物件が中心と考えられます(出典:SUUMO)。首都圏から来た人にとっては、まず桁が違うと感じる水準です。

持ち家を考えるなら、支援制度が効いてきます。市には空き家バンク、子育て世代定住促進交付金、持家リフォーム支援事業があり、山形県外から移住して賃貸住宅に入居した場合は月額最大1万円の家賃補助を最大24か月受けられます(出典:南陽市)。

さらに、関東圏から移住・就職した方への移住支援金は最大100万円。若者世帯(40歳未満)と子育て世帯(15歳未満帯同)の転入には、それぞれ10万円が支給されます(同上)。県外から転入した世帯にお米・味噌・醤油1年分を提供する制度まであるのが、なかなか独特です。

買い物環境

日常の買い物は市内で完結すると考えられます。国道13号沿いにロードサイド型の店舗が並び、赤湯・宮内・沖郷の各地区にスーパーがあります。車で10分圏内に一通り揃う、という感覚です。

果物と野菜については、事情が違います。産地の中にいるので、直売所と農家からのおすそ分けが強い。夏から秋にかけては、スーパーでぶどうを買う機会が減るという話をよく聞きますよ。

赤湯駅の待合室は「赤湯駅交流ラウンジ」としてリニューアルされ、カフェ「EKI TERRACE NANYO」と特産品の物販スペースが入っています(出典:やまがたへの旅(山形県公式観光サイト))。地場産ワインや日本酒のサーバーもあり、駅がちょっとした拠点になっています。

子育て・教育

市内の小学校は沖郷・梨郷・赤湯・宮内・漆山の5校(中川小学校は休校)、中学校は沖郷・赤湯・宮内の3校です(出典:南陽市)。高校は山形県立南陽高等学校があり、地域探究学習や「南陽高校市役所部」など地元密着の活動が特色です(出典:山形県立高等学校ポータルサイト)。

支援制度は手厚めです。子育て支援医療制度で0歳から中学3年生までの医療費自己負担額が助成され、第3子以降は保育料等と学校給食費の無料化・軽減助成があります(出典:南陽市)。

地域子育て支援センター、ファミリーサポートセンター、一時保育、病後児保育、学童保育も揃っています。3世代同居の割合が高い土地柄なので、祖父母の手が届く前提で回っている家庭も多いと考えられます。

医療環境

市内の中核は、宮内にある公立置賜南陽病院です。内科・循環器内科・外科・脳神経外科・整形外科・形成外科・泌尿器科・眼科・耳鼻咽喉科・リハビリテーション科を標榜しています(出典:公立置賜総合病院)。

より重い症状や救急は、隣の川西町にある公立置賜総合病院が受け皿になります。市はこの2つの病院を結ぶ西部地区バスも運行しており、通院の足が制度として用意されているのは安心材料です。

赤湯地区にはクリニックも点在しています。ただ、専門的な診療は米沢市や山形市まで出ることになる場面もあると考えられます。持病がある方は、通院先を先に決めてから住む場所を選ぶのが現実的です。

エリア別の暮らし視点

赤湯エリアは、駅・温泉・商店・病院が徒歩圏にまとまっています。車を持たない期間があっても何とかなる、市内では珍しいエリアです。その分、温泉街の細い坂道は冬の除雪が大変だと考えられます。

宮内エリアは、病院と学校と商店が揃った生活の中心地。門前町の落ち着いた町並みで、双松公園も近い。子育て世帯には現実的な選択肢だと思います。

沖郷・梨郷エリアは、市役所と文化会館があり、平地で道が広い。新しい住宅が建てやすいエリアです。一方、漆山・吉野・金山エリアは山寄りで雪が多く、車が前提。果樹をやりたい人や、静かさを最優先する人向けと考えられます。

南陽市へのアクセス

東京から南陽市へは、山形新幹線で乗り換えなしの一本です。JR東京駅から山形新幹線でおよそ2時間30分、JR赤湯駅に着きます(出典:やまがたへの旅(山形県公式観光サイト))。車なら東北自動車道と東北中央自動車道を乗り継ぎます。

車でのアクセス

東京から東北自動車道でおよそ2時間30分、福島JCTから東北中央自動車道に入っておよそ40分で南陽高畠IC。ICから国道13号を5分ほど走ると赤湯温泉に着きます(出典:赤湯温泉旅館協同組合)。

仙台からは、東北自動車道でおよそ45分の山形JCTを経由し、東北中央自動車道でおよそ45分。同じく南陽高畠ICから国道13号を5分です(同上)。

市内観光をするなら、車がいちばん融通が利きます。熊野大社も夕鶴の里もくぐり滝も、駅から離れているので。ただしワイナリー巡りをするなら、運転者は試飲を諦めるか、宿泊を前提に組んでくださいね。

鉄道+バスでのアクセス

JR東京駅から山形新幹線「つばさ」でJR赤湯駅までおよそ2時間30分、乗り換えなしです(出典:やまがたへの旅(山形県公式観光サイト))。赤湯駅は市の玄関口で、東口がJR、西口が山形鉄道の駅舎になっています。

赤湯駅からは山形鉄道フラワー長井線が分岐し、南陽市役所駅・宮内駅・おりはた駅・梨郷駅と市内を横断していきます。熊野大社なら宮内駅、夕鶴の里ならおりはた駅が最寄りです。

市内には小滝地区・北部地区・西部地区・中川地区のコミュニティバスも走っていますが、観光目的で使うには本数が心もとない。駅からのタクシー利用か、レンタカーを併用するのが現実的ですよ。

飛行機でのアクセス

東京(羽田)から山形空港までおよそ1時間、山形空港から国道13号を経由しておよそ1時間10分で赤湯温泉に着きます(出典:赤湯温泉旅館協同組合)。

大阪(伊丹)からは山形空港までおよそ1時間20分、そこから同じく国道13号でおよそ1時間10分です(同上)。関西方面からは、この空路が現実的な選択肢になります。

ただし羽田発の場合、新幹線と所要時間がほとんど変わりません。荷物が多い、あるいはマイルを使いたいといった事情がなければ、東京からは新幹線一択でいいと思いますよ。

町内移動の現実的アドバイス

赤湯温泉街の中だけなら、徒歩で足ります。公衆浴場もワイナリーもラーメン店も烏帽子山公園も、駅から半径1キロほどに収まっているためです。

宮内・漆山まで足を伸ばすなら、フラワー長井線が使えます。1両編成の車内で整理券を取って、6分から20分ほど揺られる。移動そのものが観光になるタイプの路線です。

くぐり滝や南陽スカイパークまで行くなら、車が必要です。特にくぐり滝は国道348号から4キロほど細い山道を上がるので、運転に自信がない場合は無理をしないでください。


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【地元住民に直撃!】南陽市の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。

ワインの醸造の仕事をしています。畑にも入りますし、仕込みの時期は朝から晩まで蔵にこもりきりです。

南陽市は山形のぶどう発祥の地と言われていて、赤湯だけで六つのワイナリーがある。人口三万人弱の市でこれは、かなり異常な密度だと思います。

Q2.南陽市に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?

熊野大社ですね。本殿裏の三羽のうさぎ探しは南陽市観光の定番ですが、私が好きなのは誰もいない早朝の参道です。

地元目線の南陽市のおすすめスポットなら向山公園。市の運動公園として使われていて、夕方は野球の声と山の匂いが混ざります。あとはくぐり滝。吉野川の源流で、南陽市の水源の空気を吸いに行く感じです。

Q3.南陽市でお土産を買うとしたらなんですか?

定番はワインとぶどう。南陽市の有名なものと言えば、まずそれです。辛味噌ラーメンの持ち帰り用も鉄板ですね。

地元の人間が買うのは、直売所のぶどうジュースです。搾っただけで砂糖を足していないやつ。あれを飲むと、市外の人はだいたい黙ります。

Q4.外から人が来たときに、南陽市でまず連れていく店はどこですか?

辛味噌ラーメンの元祖の店です。行列は覚悟してもらいます。真ん中の赤い味噌を、少しずつ崩しながら食べてほしい。

待つのが嫌だと言われたら、公衆浴場に連れて行きます。百円台で入れる湯があって、下駄の音がして、常連さんに話しかけられる。あれが一番早い入口です。

Q5.南陽市はどんな気質だと思いますか?

派手さはないけど、面倒見はいいです。公民館や市民センターのような場所に人が集まって、菊やバラの世話を何十年も続けている土地ですから。

置賜と村山の境なので両方の空気が混ざっていて、よそから来た人に身構えない。帰り際にぶどうを一房持たされる、みたいなことが普通に起きます。

Q6.昔に比べて、南陽市の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?

人は減りました。統合で休校になった学校もありますし、果樹農家の高齢化は正直きついです。担い手の話は毎年出ます。

ただ、木造のホールができてから市外の人が来る日が明らかに増えました。市長も含めてラーメンやワインを前に出す動きが続いていて、若い造り手も少しずつ戻ってきています。

Q7.南陽市のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?

ワインのイベントが、温泉街の道路を止めて音楽と一緒に楽しむ形になってから、来る人の年齢層がはっきり変わりました。あれはもっと伸びると思います。

菊まつりも百回を超えて続いている。南陽市の有名なものを次の世代にちゃんと渡す動きが、今いろんな場所で同時に起きている感じがします。

南陽市の関連リンク

本記事は、全国1741市町村を応援するために徹底調査して作成していますが、地元の方だからこそ知る最新情報や、記述の誤りなどがあれば、ぜひこちらのお問い合わせフォームよりお気軽にお知らせください。地域の皆様と一緒に、より素晴らしい紹介ページを作っていきたいと考えております。

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