【山形県小国町】ってどんなとこ?マタギの熊まつりと白い森【地元民のリアルな声あり】

山形県小国町の朝日岳:山形県小国町と新潟県にまたがる磐梯朝日国立公園の主峰で、美しい高山植物と原生林が広がる日本百名山です。

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小国町(おぐにまち)は、山形県の南西端・新潟県境にある人口約6千人の町です。面積737.56km²は東京23区より広く、その9割以上を森林が占めています。

小国町の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:

  • 温身平(ぬくみだいら)──全国初の「森林セラピー基地」に認定されたブナ原生林
  • 小玉川熊まつり──300年余り続くマタギの神事。毎年5月4日開催
  • 黒沢峠敷石道──越後米沢街道・十三峠に残る、ブナ林の中の石畳
  • 横根スキー場──平野歩夢選手が幼少期にハーフパイプを磨いた道の駅隣のゲレンデ
  • ✅ わらび生産量日本一の山形県を代表する山菜の里。観光わらび園が町内に点在

「山を歩きたい人」「狩猟や山村文化に興味がある人」「雪の多い土地で静かに暮らしてみたい人」に向いた町です。本記事では、序盤で観光・歴史・文化・食を地元目線で掘り下げ、中盤以降でさらに詳しく紹介します。

人口5,993 人 ※2026年6月1日時点(推計人口)
面積737.56 km²(境界未定部分あり)
人口密度8.13 人/km²

地理的には、東に長井市西置賜郡飯豊町、北東に西村山郡朝日町西川町、西から南西にかけて新潟県村上市岩船郡関川村胎内市新発田市、南に福島県喜多方市と接しています(出典:全国観光資源台帳(公益財団法人日本交通公社))。山形市・新潟市のどちらからもおよそ80kmの中間地点にあたります。

町域は磐梯朝日国立公園に含まれ、北に朝日連峰、南に飯豊連峰。森林が96.1%を占め、農用地はわずか1.9%です(出典:小国町公式サイト)。町を貫く国道113号が生命線で、JR米坂線は今泉〜坂町間が現在も運転見合わせ中です。

山に囲まれた「小さな国」で、人はどう暮らしてきたのか。順に見ていきましょう。

目次

小国町の推しポイント

小国町の見どころは、ほぼすべてが「森」につながっています。全国で最初に森林セラピー基地に選ばれたブナ林、その森で300年続いてきたマタギの熊まつり、森を越えるために江戸時代の人が敷いた石畳。そして冬は雪、春は山菜。ここからは、その5つを順に紹介していきます。

推しポイント1:温身平──全国に先駆けて選ばれたブナの癒しの森

飯豊連峰のふもと、標高450m付近に広がるブナとミズナラの原生的な森が温身平(ぬくみだいら)です。癒し効果の科学的検証を経て、平成18年に全国初の森林セラピー基地に認定されました(出典:林野庁)。

遊歩道は総延長約5.5kmで、高低差が小さく歩きやすいのが特長です。予約すれば森林セラピスト、さらには地元の元マタギに案内してもらえます(出典:やまがたへの旅(山形県公式観光サイト))。遊歩道が開いているのはおおむね6月から10月まで。冬は雪の下です。

推しポイント2:小玉川熊まつり──300年余り続くマタギの神事

飯豊連峰の麓・小玉川地区では、仕留めた熊の冥福を祈り、猟の恵みを山の神に感謝する熊まつりの儀式が300年余りにわたって受け継がれてきました。神事のほか、マタギが熊狩りを再現する「熊狩模擬実演」や、熊を追う勢子の声の大きさを競う「勢子大会」が行われます(出典:白い森まるごとブランドポータルサイト)。

2026年は5月4日、飯豊温泉梅花皮荘付近で開催されました(出典:小国町観光協会)。会場では熊汁が振る舞われます。観光用に作られた祭りではなく、いまも狩りをしている人たちの祭りだというところが、この日の空気を決定的に違うものにしているんですよ。

推しポイント3:黒沢峠敷石道──ブナ林に続く江戸時代の石畳

越後と米沢を結んだ越後米沢街道・十三峠は、大永元年(1521年)に伊達稙宗が大里峠を開いたことに始まります。その6番目にあたるのが黒沢峠で、荷物の停滞を解消するため、江戸時代後期に敷石を敷き詰める道普請が行われました(出典:未来に伝える山形の宝)。

市野々までの2.7kmの間に3,600枚ほどの敷石がほぼ完全な状態で残り、町の文化財に指定されています(出典:やまがたへの旅(山形県公式観光サイト))。一度は土に埋もれたものを、昭和55年に結成された保存会が掘り起こしました。苔むした石を踏むと、足の裏に180年前の労働が返ってきます。

推しポイント4:横根スキー場──平野歩夢がハーフパイプを磨いた場所

国道113号沿い、道の駅白い森おぐにに隣接する小さなゲレンデが横根スキー場です。リフトは実質1本ですが、スノーボード用のハーフパイプコースを備えた本格的な設備があります(出典:やまがたへの旅(山形県公式観光サイト))。

このハーフパイプは、新潟県村上市出身の平野歩夢選手が中学時代まで練習拠点にしていた場所として知られています。村上市は小国町の隣。県境をまたいで通える距離に、こんな設備があったわけです。ナイター営業もあり、地元の子どもが平日の夜に滑っています。

推しポイント5:観光わらび園──山の斜面が丸ごと山菜畑

町では昭和50年代から、地域資源を活かす取り組みとして観光わらび園を開設してきました。現在は9か所が認定を受けて運営されており、総面積は292ヘクタールにのぼります(出典:山形県山菜・きのこ振興会)。

小国町観光協会は白子沢・豊里・新股・河原角・樽口・小玉川・片貝・若山・金目の9園を紹介しています(出典:小国町観光協会)。園によって開園曜日も入園料も違い、予約が要るところと不要なところがあります。行く前に必ず問い合わせてください。

小国町の歴史

小国町の歴史は、大きく3つの層でできています。第一に、越後と米沢を結ぶ街道の要衝として米沢藩が押さえた近世。第二に、鉄道と水力発電が来たことで山村が工場町へ変わった近代。第三に、二度の豪雨が町を孤立させ、いまも交通の課題を残している現代です。山に閉ざされた谷底盆地であることが、そのすべての前提になっています。

近世──米沢藩の西の関所だった小国

江戸時代、この地は米沢藩領でした。中心地の小国には藩の小国御役屋が置かれ、越後と米沢を結ぶ越後街道の宿駅として、藩の西の要地の役割を担いました(出典:全国観光資源台帳(公益財団法人日本交通公社))。

街道は約360年にわたり物流と交易の幹線として機能しました。イギリスの旅行家イザベラ・バード、良寛、十返舎一九らも、この十三峠を越えています。明治18年に初代山形県令・三島通庸による「小国新道」が開通すると、峠道は急速に衰退しました(出典:未来に伝える山形の宝)。

近代──鉄道と電力が山村を工場町に変えた

1889年(明治22年)の町村制施行で小国本村・南小国村・北小国村・津川村が誕生しました。1936年(昭和11年)に国鉄小国駅が開業し、その2年後に日本電興が操業を開始します。

1942年(昭和17年)11月3日、小国本村が町制施行・改称して小国町となりました。1954年(昭和29年)には民有の水力発電ダムである赤芝ダムが完成し、その電力が工場へ引き込まれます。同年、小国町・南小国村・北小国村が合併して現在の町の骨格ができ、1960年(昭和35年)に津川村を編入しました。

豊富な水力発電と結びついた石英製品などの製造業が根づき、山村は工場町へと姿を変えました。小国駅前のセラミックス事業所は、いまも町の産業の中核です。

現代──二度の豪雨と、止まったままの鉄路

1967年(昭和42年)8月28日、羽越豪雨により土砂災害が多発しました。国道113号と国鉄米坂線が両方向で不通となり、電話も通じず、町は孤立状態に陥りました。

2022年(令和4年)8月、集中豪雨で再び国道113号が寸断され、米坂線も不通となって一時孤立しました。この被災の影響で、米坂線は今泉駅〜坂町駅間の運転を見合わせたままで、同区間では代行バスが運行されています(出典:のってグッド山形(山形県))。JR東日本は2026年3月14日以降の代行バスダイヤを発表しており、復旧に向けた協議が続いている段階です(出典:東日本旅客鉄道)。

55年を隔てて、ほぼ同じ場所で同じことが起きた。この町の歴史は、山に守られてきた歴史であると同時に、山に閉じ込められてきた歴史でもあります。

小国町の文化・風習

雪が2m積もる土地で、人はどう1年を回すのか。小国町の暮らしを見ていると、答えはわりとはっきりしています。春に山から採り、夏に川で遊び、秋にきのこを採り、冬は家の中で手を動かす。そして山に入る人たちには、山でだけ使う特別な言葉がある。ここからは、言葉・季節・人という3つの角度から覗いてみましょう。

方言と話し方の特徴

小国町は置賜地方に属しますが、言葉は少し事情が複雑です。置賜地方や村山地方はアクセントの区別がない「無アクセント」なのに対し、小国町だけは東京式に近いアクセントを持ち、方言区画上も「小国方言」として別扱いされます。新潟と背中合わせの土地であることが、言葉にそのまま出ているんですね。国土交通省の羽越河川国道事務所も、「山形県小国町の方言」として独自の方言集を公開しています。

置賜地方で広く使われる言葉としては、こんなものがあります(出典:やまがた子育て応援サイト(山形県))。

  • ごしゃぐ(怒る)──「言うごど聞がねどごしゃぐぞ」=言うことを聞かないと怒るぞ
  • おまま(ご飯)/かしぇる(食べさせる)──「おままかしぇでけろ」=ご飯を食べさせて
  • けろ(〜してください)──依頼の語尾。頼みごとはたいていこれで終わります
  • わがんね(わからない)
  • たねる(さがす)──「ちゃんとたねで」=きちんとさがして
  • んだたて(でも、そうは言っても)

置賜弁は東北方言のなかでは語調が丁寧とされます。初めて聞くと「怒られているのか?」と思う響きでも、たいてい普通の世間話です。

マタギの山言葉──森の中だけで使われる語彙

小国町には、いまもマタギと呼ばれる人たちの狩猟の習俗が残っています。熊狩りは一人でやるものではなくチーム戦で、向立(むかいたち)・鉄砲・勢子(せこ)・踏切・受・嵓破りという6つの役割があります。全体の指揮官が向立で、その「ナレー」という掛け声で勢子が動き出します(出典:白い森まるごとブランドポータルサイト)。

山では里の言葉と違う「山言葉」が使われ、その習わしが今も守られています。小玉川地区には拠点となるマタギの郷交流館があり、温身平の森林セラピーでは現役・元マタギがガイドを務めることもあります。森を歩きながら、彼らの語彙の一端に触れられるわけです。

雪とともにある一年の暮らし

冬、町の中心部でも積雪は2mを超えることがあります。とくに沼沢地区は国内屈指の豪雪地帯として知られ、町全体が特別豪雪地帯に指定されています。年平均気温は10.9℃、冬日は年に121日。1月と2月は日平均気温が氷点下です。

だから冬は、外の仕事が止まる代わりに家の中の手仕事が動き出します。おぐにつる細工がその代表で、野山で採ったアケビのつるや山ブドウの樹皮でザルやカゴを編む技は、生活に欠かせない冬の仕事として受け継がれてきました(出典:山形県ふるさと工芸品)。3代にわたって使えると言われるほど丈夫なものです。

雪が消えると一気に山です。5〜6月はわらび、6月には山菜の学校、秋はきのこ。3月には五味沢で「雪の学校」が開かれ、マタギと雪山を歩くプログラムが行われます。みなさんが想像する「冬は何もできない町」ではなく、季節ごとにやることが決まっている町だと思ってください。

人の気質と地域のつながり

面積737.56km²に約6千人。人口密度は8.13人/km²で、集落と集落の間には森があります。だからこそ、集落単位のまとまりが強い。熊まつりは小玉川地区の集落が中心となって続けてきましたし、黒沢峠の敷石道は保存会が5年かけて掘り起こしました。誰かが決めたから残っているのではなく、住んでいる人が手を動かしているから残っています。

わらび園にしても、問い合わせ先が個人の携帯電話番号だったりします。町の観光は、そのくらいの距離感で運営されているんですよ。買い物はコンビニ・ドラッグストア・ミニスーパーが町内にあり、日常はひととおり揃います(出典:やまがた移住・交流フェア2026)。

小国町の特産品・食

町土の95%が森という土地では、畑より森が食料庫です。小国町の食は、山菜・きのこ・川魚・そして狩りの獲物。「農産物」という言葉より「山の恵み」という言い方のほうがしっくりきます。ここでは、実際に食べられるものを4つ紹介します。

特産品1:わらび──日本一のわらび県を代表する山菜

山形県はわらびの生産量が日本一です(出典:山形県)。県産のわらびはぬめりが強くて柔らかく、「上物わらび」として首都圏でも評価されています(出典:農林水産省)。小国町は、その山形県のなかでも観光わらび園を9か所も抱える産地です。

旬は5月中旬から7月上旬あたり。地形と雪解け水がわらびの生育に適しており、太くて上質なものが採れます。食べ方はアク抜きしてからのおひたし、醤油漬け、味噌汁。県の郷土料理「わらびたたき」は、まな板の上で包丁を叩きつけて繊維を断ち切り、ぬめりを引き出す料理です。とろりとした喉ごしと、山の青い香りが同時に来ます。

近年は、わらびの根から採ったでんぷんを使う本わらび餅も注目されています。町内産わらび粉100%のわらび餅は、水源の郷交流館「ほたる」で食べられます(出典:山形県山菜・きのこ振興会)。スーパーのわらび餅とは、別の食べ物だと思ったほうがいいですよ。

特産品2:山菜ときのこ──森が食料庫という発想

小国町は町土の95%が森林で、全国有数の山菜の宝庫です(出典:同上)。わらびだけでなく、5月にはたらの芽や山うど、6月にはしどけ・みず・あまどころ。秋にはきのこ園が開く園もあります。

たらの芽は天ぷらにすると、衣の中で青みとほろ苦さが弾けます。みずは湯がいて叩けばシャキシャキとぬめりが同居する不思議な食感。うどは皮をきんぴらにするのが土地のやり方です。どれも「買ってくるもの」ではなく「採りに行くもの」で、6月には採り方と調理法を学ぶ「山菜の学校」が町内各地で開かれます。

背景はシンプルで、平地が約4%しかないから畑をたくさん作れなかったんですね。その代わり、雪解け水が育てる広葉樹林が毎年勝手に食べ物を出してくれる。この土地の食文化は、その事実の上に立っています。

特産品3:熊汁──マタギの町でしか出会えない一杯

毎年5月4日の熊まつりでは、熊汁が販売されます。2026年は受付テントで熊汁引換券が1枚1,000円で扱われました(出典:小国町観光協会)。

熊肉は脂に独特の甘みがあり、味噌仕立ての汁で山菜と一緒に煮込むと、旨みが濃く、後を引く味になります。臭みを抑える下処理は、獲った人がいちばんよく知っている。だから狩りをしている当人たちが作る熊汁は、飲食店で出るジビエとは別物です。会場は飯豊温泉梅花皮荘付近で、5月でも雪が残っています。雪を見ながら熱い熊汁をすする体験は、この日にしかできません。

会場では、小国町農業振興公社のもち・ぼたもち・笹巻き、観光協会のイワナの塩焼きや玉こんにゃくなども並びます(出典:同上)。

特産品4:岩魚──飯豊の渓流が育てる川魚

町域は全域が日本海に注ぐ荒川水系で、飯豊・朝日連峰から流れ出す清流に恵まれています。その渓流の主が岩魚です。

食べ方は、まず塩焼き。串を打って炭でじっくり炙ると、皮はぱりっと、身はほろりとほどけます。淡白でクセがなく、川魚が苦手な人でも食べやすいのが特長です。飯豊温泉を代表する宿・梅花皮荘では、山菜と岩魚の料理が名物になっています(出典:小国町観光協会)。熊まつりの会場でも塩焼きが売られます。

登山口の宿で、飯豊連峰を背にして岩魚をかじる。小国町の食を1食で説明するなら、たぶんこれがいちばん早いです。


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小国町の観光スポット

小国町の観光は、国道113号という1本の背骨から枝分かれしていきます。西の県境側には渓谷、南の奥へ入れば飯豊連峰とマタギの集落、北へ折れれば朝日連峰の麓。どれも駅から車で10分〜40分の圏内です。ここでは、その枝ごとに押さえておきたい場所を整理していきますね。

ブナの森と渓谷を歩くスポット

  • 森林セラピー基地 ブナの森 温身平(ぬくみだいら) – 磐梯朝日国立公園内、飯豊連峰のふもと標高450m付近に広がるブナ原生林。平成18年に全国初の森林セラピー基地に認定されました(出典:林野庁)。遊歩道は総延長約5.5kmで高低差が小さく、8月から10月の日曜・祝日にはミニツアーも実施されます(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。歩き出すと音が減ります。沢の水と葉ずれだけになる瞬間があって、あれを体験しにくる場所なんですよ。遊歩道が開くのはおおむね6月から10月です。
  • 赤芝峡(あかしばきょう) – 荒川が刻んだ渓谷で、磐梯朝日国立公園に属します。紅葉の見頃は例年10月下旬から11月上旬、新緑は5月中旬頃からです(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。2022年の大雨で歩けなくなっていた遊歩道は、2024年10月に復旧して散策できるようになりました(出典:小国町観光協会)。片道約1.2km、30分ほどの道です。白い岩肌と赤い葉と青い水が同じ画面に入る、色数の多い渓谷です。
  • 樽口峠(たるぐちとうげ) – 小玉川地区から樽口へ抜ける峠の頂上近くに、オオヤマザクラの一本桜が立っています。開花は4月下旬から5月上旬、展望台からは飯豊連峰を一望できます(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。まわりに雪がたっぷり残る中で咲くので、写真を撮る人には春のいちばんの目当てになります。夕方より午前中のほうが山が抜けやすいです。

街道と信仰の歴史をたどるスポット

  • 黒沢峠敷石道 – 越後米沢街道・十三峠の6番目の峠。市野々までの2.7kmに3,600枚ほどの敷石が残り、町の文化財に指定されています(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。街道は1521年に伊達稙宗が大里峠を開いたことに始まり、敷石は江戸時代後期の道普請によるものです(出典:未来に伝える山形の宝)。ブナ林の中を苔むした石が延々と続く光景は、雨上がりがいちばん美しいです。ただし滑ります。靴は選んでください。
  • 大宮子易両神社(おおみやこやすりょうじんじゃ) – 和銅5年(712年)に遠江の国から勧請された古社で、大宮神社は大己貴命、子易神社は木花開耶姫命ほかを祀ります。置賜地方だけでなく新潟県の中越・下越地方からも、子授かり・安産・子育ての神として信仰を集めてきました(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。受付時間は9:00〜16:00です(出典:大宮子易両神社)。国道113号が通る前は、この神社の前の道が新潟と山形をつなぐ道でした。参道の杉の太さに、その時間が出ています。

マタギ文化と温泉に触れるスポット

  • マタギの郷 交流館 – 小玉川535-1。2階の展示室ではマタギが使っていた狩猟具や民具、昭和初期の映像資料が見られ、1階では地元食材の日替定食やひっぱりうどんが食べられます。展示室10時〜16時、食事11時〜16時、月曜・火曜休業、冬期間休業です(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。展示ケースの中の道具に、使い込まれた手の跡が残っています。熊まつりを見る前に寄っておくと、あの神事の意味が変わりますよ。
  • 飯豊温泉 梅花皮荘(かいらぎそう) – 熊が傷を癒していたところをマタギが見つけて開湯したと伝わる飯豊温泉の宿。日帰り入浴は10:00〜17:00(最終受付16:30)、大人500円・小学生300円。宿泊は1泊2食付で大人11,400円〜です(出典:おぐに白い森株式会社)。鉄分が豊富で、湯上がりがなかなか冷めません。窓の外は飯豊連峰。山菜と岩魚の料理が名物で、熊肉料理も予約制で用意されています。
  • 飯豊温泉 川入荘(露天風呂) – 梅花皮荘に隣接するログハウス造りの展望露天風呂。玉川渓谷と飯豊連峰を眺めながら入れます。営業は日帰り入浴のみで10:00〜18:00(受付17:30まで)、火曜定休、11月上旬から4月下旬は冬期閉鎖。入浴料は大人500円・小学生300円で、梅花皮荘の大浴場と両方に入れます(出典:同上)。沢音を聞きながら湯に浸かる時間は、ここに来た理由の答え合わせみたいなものです。

雪と水辺で遊ぶスポット

  • 道の駅 白い森おぐに – 小国小坂町616-1、新潟県境から東へ5kmの国道113号沿い。直売所は9:00〜18:00、レストランは11:00〜15:00、休館は1月1日ほか年3〜5日程度です(出典:道の駅 白い森おぐに)。並ぶのは山菜、きのこ、漬物、そして町内唯一の酒蔵の地酒。冬は隣のスキー場のレストハウスを兼ねるので、雪具を持った人でごった返します。
  • 横根スキー場 – 道の駅に隣接するリフト1本の小さなゲレンデ。初心者から上級者まで滑れるコースとナイター設備、そしてスノーボード用のハーフパイプコースを備えています(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。このハーフパイプは平野歩夢選手が中学まで練習拠点にしていた場所です。国道沿いなので、雪道を延々走らずにたどり着けるのがありがたいところですよ。
  • 白い森オートキャンプ場 – 五味沢、荒川源流域の約4haのキャンプ場。オートキャンプ100台(80区画、うちAC電源付き27区画)で、宿泊のチェックインは13:00〜17:00、チェックアウトは11:00、日帰り利用は9:00〜16:00です(出典:おぐに白い森株式会社)。対岸に白い森交流センターりふれと白い森木工館があるので、風呂も木工体験も歩いて行けます。川の水は夏でも冷たいです。
  • 白い森おぐに湖(横川ダム) – 荒川水系横川にある横川ダムの人造湖。冬にはわかさぎ釣りが行われ、レンタル小屋があり竿も借りられます(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。真っ白な雪の平面に小屋が点々と並ぶ景色は、それ自体が絵になります。手ぶらで行けるので、雪国の遊びの入門として向いていますね。

小国町の観光ルート

計算中…

小国町は面積737.56km²。端から端まで動くと、それだけで1日が終わります。だから欲張らず、「県境側」「飯豊の奥」「街道」の3方向のどれかに絞るのがコツです。米坂線の今泉〜坂町間は運転見合わせ中なので、移動は車前提で組んでいきますね。

【車・半日】町の玄関口をひとまわり:小国駅起点・県境側ルート

9:00 小国駅 → 9:15 道の駅白い森おぐに(車15分)

道の駅 白い森おぐに(40分)
→ まず直売所で山菜と地酒を見て、この町が何でできているかを目で把握します。朝いちばんは地元の生産者が野菜を並べ終えた直後で、いちばん品数が多い時間帯です。

9:55 → 10:10 赤芝峡(車15分)

赤芝峡(60分)
→ 片道1.2kmの遊歩道を往復します。10月下旬なら紅葉、5月中旬なら新緑。日が高いほうが谷底まで光が届くので、この時間がちょうどいいんですよ。

11:10 → 11:40 白い森おぐに湖(車30分)

白い森おぐに湖(横川ダム)(30分)
→ 渓谷の次に、山が水を溜めている顔を見ます。冬ならわかさぎ釣りの小屋が並び、同じ場所とは思えない景色に変わります。

12:10 → 12:30 大宮子易両神社(車20分)

大宮子易両神社(30分)
→ 締めは712年創建の古社へ。新潟からの参拝者が今も通う道の名残を、境内の空気で感じてから帰路につきます。受付は16:00までなので、午後まわしにしても間に合います。

【車・1日】飯豊の懐へ:小玉川・温身平ルート

9:00 小国駅 → 9:40 マタギの郷交流館(車40分)

マタギの郷 交流館(60分)
→ 展示室で狩猟具と昭和初期の映像を見て、この谷の人がどう生きてきたかを頭に入れます。冬期は休業なので、訪問は雪のない季節に。

10:40 → 11:00 樽口峠(車20分)

樽口峠(40分)
→ 展望台から飯豊連峰の壁を正面に見ます。4月下旬〜5月上旬なら、残雪と一本桜が同時に見られる数週間に当たります。

11:40 → 12:00 飯豊温泉 梅花皮荘(車20分)

飯豊温泉 梅花皮荘(昼食60分)
→ 山菜と岩魚で昼を取ります。ここから先は店がないので、燃料補給はここで済ませておくのが正解です。

13:00 → 13:15 温身平(車15分+徒歩)

ブナの森 温身平(150分)
→ 本日の主役。高低差の小さい遊歩道を、時間を気にせず歩きます。午後の斜めの光がブナの幹に当たる時間帯がいちばんきれいなんですよ。遊歩道が開くのは6月〜10月です。

16:00 → 16:15 川入荘(車15分)

飯豊温泉 川入荘(露天風呂)(45分)
→ 歩いた足を渓谷の露天風呂で流して終了。受付は17:30まで、火曜は休みなので曜日だけ気をつけてください。

【車・1日】広域ルート:越後米沢街道・十三峠を歩きつなぐ(小国町〜新潟県境)

9:00 小国駅 → 9:20 黒沢峠敷石道 祭り広場(車20分)

黒沢峠敷石道(120分)
→ ブナ林の石畳を登って下ります。1521年に開かれた街道の空気を、足の裏で確かめる時間です。朝のうちは光が斜めに入って、苔の緑がよく出ます。

11:30 → 12:00 道の駅白い森おぐに(車30分)

道の駅 白い森おぐに(60分)
→ レストランで昼食。11:00〜15:00の営業なので、この時間帯なら確実です。

13:00 → 13:30 大里峠登り口(車30分)

大里峠(おおりとうげ)(150分)
→ 十三峠の起点にして、現在の山形・新潟県境にあたる峠。標高478mで、展望地からは日本海に浮かぶ粟島まで見えます(出典:日本山岳会「日本の山岳古道120選」)。峠を越えれば新潟。この町が「越後と米沢の間」だったことが、体でわかります。

16:30 → 17:00 赤芝峡(車30分)

赤芝峡(30分)
→ 帰り道に、荒川の渓谷を国道沿いから眺めて締めます。街道の時代も、この川に沿って人と荷が動いていました。


ここまで見てきたとおり、見どころが少し離れた場所に点在していることもあります。気になるスポットをまとめて回るなら、レンタカーがあると一気に動きやすくなりますよ。料金は会社や時期でけっこう変わるので、まとめて比較できるサイトでサッと見ておくのがおすすめです。

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そして遠方から訪れるなら、思いきって一泊するのもおすすめです。日帰りでは通り過ぎてしまう夜や朝の時間に、その町ならではの静けさや表情に出会えます。お祭りやイベントの時期は宿が一気に埋まるので、早めの確保が安心ですよ。

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小国町の年間イベント

小国町の1年は、雪が主語です。冬から早春は雪をどう遊ぶか、春は山の恵みをどう迎えるか、夏は短い夏をどう使い切るか。派手さで勝負するイベントは少ないかわりに、300年続いているものが平然と残っています。季節ごとに見ていきましょう。

春:小玉川熊まつりと、道の駅の春まつり

まず外せないのが小玉川熊まつりです。2026年は5月4日、飯豊温泉梅花皮荘付近で開催されました。10時開会、10時20分から熊狩模擬実演と勢子大会、11時から神事という流れです(出典:小国町観光協会)。

模擬実演では、熊の毛皮をかぶった人が熊役になり、向立の合図で勢子が追い込みます。300年余り受け継がれてきた神事です(出典:白い森まるごとブランドポータルサイト)。5月なのに雪が残る山を背に、味噌の匂いと薪の煙と、勢子の怒鳴り声。あの音量は動画では伝わりません。会場では熊汁が振る舞われます。

もうひとつ、5月には道の駅白い森おぐにを会場に白い森イベント「春まつり」が開かれています。2026年は5月24日、10時から16時までの開催でした(出典:小国町観光協会)。連休の熊まつりを逃した人には、こちらが次の機会になりますね。

夏:おぐに夏まつり「町民花火大会」

夏のいちばんの行事がおぐに夏まつり「町民花火大会」です。2026年は8月9日に開催され、花火のほか売店やこども縁日の出店も予定されています(出典:小国町観光協会)。

「町民」と名がつくとおり、観光客を集めるための花火ではありません。協力金と出店者を町の中から募って成立させる花火です。だからこそ、山に囲まれた盆地に音が反響する感じや、打ち上がるたびに知り合い同士で声をかけ合う空気が、そのまま残っています。人口6千人の町の花火は、こういう温度なんですよ。

同じ時期、5月下旬から7月上旬にかけては町内の観光わらび園が開園します。園ごとに開園曜日も予約の要不要も違うので、行く前に必ず確認してください(出典:小国町観光協会)。

秋:赤芝峡の紅葉と温身平の森

秋は「イベント」より「森そのもの」が主役になります。赤芝峡の紅葉は例年10月下旬から11月上旬が見頃です(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。復旧した遊歩道を歩けば、頭上と足元の両方が赤くなります。

温身平のブナの森も、10月が紅葉の見頃です(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。8月から10月の日曜・祝日にはミニツアーもあるので、ガイド付きで歩きたい人はこの時期を狙うといいですね。

ブナの黄葉はモミジのような派手さがありません。かわりに森全体が均一に黄色くなって、曇りの日でも明るく見えます。渓谷の赤と森の黄色、両方を1日で回れるのがこの町の秋です。

冬〜早春:つる細工講習会と、雪を遊ぶ二つの学校

雪が積もると、町の行事は屋内と雪上に分かれます。屋内の代表がつる細工講習会。2026年は1月23〜25日と2月21〜23日の2泊3日で、初心者向け・経験者向けの講習コースと交流コースが設定されました(出典:小国町観光協会)。アケビやマタタビのつるを編む冬の手仕事を、講師について習えます。

雪上の行事では、マタギの里小玉川雪まつり「雪の中の大冒険」が2026年3月7日・8日に第12回として開かれました。前夜祭では迷路のライトアップと打ち上げ花火、翌日は巨大迷路や滑り台、宝探し、スノーモービルなど(出典:VISIT YAMAGATA(山形県観光物産協会))。豪雪地帯の雪を、そのまま遊具にしてしまう発想が痛快です。

もうひとつが五味沢地区の「雪の学校」。地元マタギとカンジキで早春のブナ林を歩き、夜は小正月行事のさいず焼きを体験する1泊2日のプログラムで、直近で開催が確認できるのは2025年3月の第27回です(出典:小国町観光協会)。参加を検討するなら、年明けに募集が出るかどうかを確認してみてください。

小国町のエリア別の顔

737.56km²のうち、平地は約4%しかありません(出典:小国町公式サイト)。つまり小国町のエリア分けは、そのまま「谷の分け方」です。国道113号が通る中心の谷、そこから南へ入る玉川の谷、北へ入る荒川源流の谷、そして西の県境の渓谷。旅の目的によって、行くべき谷が変わります。

小国駅・小坂町エリア──町の玄関口で、唯一まとまって店がある場所

町役場、ショッピングセンターのアスモ、道の駅白い森おぐに、横根スキー場が集まるのがこのエリアです。町内でコンビニやドラッグストアが揃うのもここ。旅の起点であり、補給地でもあります。

駅前は、いわゆる観光地の顔をしていません。かつてセラミックス工場が町の産業を支えてきた歴史がそのまま建物に残っていて、山村というより小さな工場町の空気があります。この落差が、実は小国町らしさなんですよ。まず車と胃袋を満たしてから、どこかの谷へ入る。そういう使い方をするエリアです。

小玉川・飯豊温泉エリア──マタギと山の湯が待つ、いちばん奥

小国駅から車で40分ほど南へ。玉川に沿って遡ると、飯豊連峰の懐に入ります。マタギの郷交流館、飯豊温泉の梅花皮荘と川入荘、樽口峠、そして温身平。熊まつりの会場もここです。

集落は小さく、店はほとんどありません。そのかわり、5月でも雪が残り、目の前に2,000m級の壁が立っています。小国町で「山に来た」と実感したい人は、迷わずこの谷へ入ってください。ただし冬期休業の施設が多いので、訪れるなら雪のない季節がおすすめですよ。

五味沢エリア──朝日連峰の麓で、川と森に張り付いて遊ぶ

荒川の源流域にあたる北のエリア。白い森オートキャンプ場、白い森交流センターりふれ、白い森木工館が川を挟んで向かい合っています。雪の学校が開かれるのもこの地区です。

ここの魅力は、遊びが全部歩いて完結すること。川で遊んで、対岸で風呂に入って、木工館でコースターを作って、テントに戻る。移動距離がほぼゼロなんですよね。ファミリーや、車の運転に疲れたくない人に向いたエリアです。

赤芝・沼沢エリア──新潟県境の渓谷と、日本有数の豪雪

国道113号を西へ、新潟県境に向かって下っていくエリア。赤芝峡の渓谷があり、大里峠が県境をまたぎます。荒川の水は、ここから新潟へ抜けて日本海に注ぎます。

沼沢地区は日本有数の豪雪地帯として知られています。冬に来ると、道路の両側が壁になった世界を走ることになります。渓谷の紅葉を見たい人は10月下旬、雪そのものを見たい人は1月から2月。同じ道が、季節で完全に別物になるエリアなんですよ。

黒沢・大宮エリア──街道と信仰が残る、旅人が通った道筋

小国駅から東へ。黒沢峠敷石道の登り口があり、712年創建の大宮子易両神社が構えます。国道113号ができる前、新潟と山形をつないでいたのはこの一帯の道でした。

今は静かな集落と山道ですが、イザベラ・バードも良寛も十返舎一九も、ここを歩いています。歴史を目的に来る人には、町内でいちばん密度の高いエリアです。石畳を2時間歩いて、神社で手を合わせて帰る。それだけで半日が満ちます。

小国町の気候・季節の暮らし

小国町の年平均気温は10.9℃です。平年値では夏日が90.2日、真夏日が29.0日ある一方、冬日は121.0日、真冬日は8.3日。1月と2月は日平均気温が氷点下になります(出典:気象庁)。

つまり、夏はしっかり暑くて冬はしっかり寒い。盆地で寒暖差が大きく、しかも日本海側の豪雪地帯という、なかなか欲張りな気候です。1年をどう過ごすのか、季節ごとに見ていきましょう。

夏──6月〜8月の暮らし

8月の平均最高気温は29.5℃、観測史上の最高は38.0℃です(出典:同上)。山の中だから涼しいだろう、という予想は外れます。盆地なので、日中はしっかり暑くなります。

ただし救いは水です。荒川も玉川も飯豊・朝日連峰からの雪解け水で、真夏でも足を入れると数秒で痛くなる冷たさ。子どもは川、大人は日陰。エアコンが要らない土地ではありませんが、夕方になると山から冷気が下りてきて、夜は寝やすくなります。

6月は山菜の学校、7月上旬まではわらび園。夏の入口は、山に用事がある季節でもあります。

秋──9月〜11月の暮らし

9月の日平均気温は19.5℃、10月は13.1℃、11月は6.9℃と、2か月で一気に12℃下がります(出典:同上)。この落差が紅葉を作ります。

10月下旬から11月上旬は赤芝峡が見頃。同時に、住んでいる人にとっては冬支度の季節です。タイヤを替え、除雪機を点検し、漬物を仕込む。11月に入ると、いつ最初の雪が来てもおかしくない空気になります。

秋のいちばんの楽しみはきのこですよ。山に入れる人は入り、入れない人は直売所で買う。どちらにしても、食卓がきのこ一色になる時期です。

冬──12月〜3月の暮らし

冬日は年に121.0日、最低気温の記録は−17.9℃です(出典:同上)。そして小国町は特別豪雪地帯。町の中心部でも積雪が2mを超えることがあります(出典:やまがたごこち(山形県移住交流ポータルサイト))。

この「2m」は、暮らしの前提が変わる数字です。1階の窓が塞がる。屋根の雪下ろしが必要になる。除雪車が来る時間に合わせて車を動かす。冬の朝は、まず外に出るための作業から始まると考えてください。

そのかわり、遊び方も充実しています。国道沿いの横根スキー場まで車で数分、白い森おぐに湖ではわかさぎ釣り、3月には小玉川雪まつり。雪を敵にしない工夫が、この町には積み上がっているんですよ。

町は町内各地区の降雪・積雪量を公開しています(出典:小国町ホームページ)。移住を考えるなら、まずこの数字を見てから判断するのが現実的です。

春──4月〜5月の暮らし

4月の日平均気温は7.7℃、5月は14.4℃です(出典:気象庁)。数字だけ見れば春ですが、山にはまだ雪が残っています。

4月下旬から5月上旬、樽口峠の一本桜が残雪の中で咲きます。5月4日には熊まつり。5月下旬からわらび園が開き、山菜が食卓に上がり始めます。

長い冬が終わって、町全体がいっせいに外へ出る感じ。小国町の1年でいちばん密度が高いのは、たぶんこの1か月半です。

小国町の移住・暮らし情報

人口5,993人、面積737.56km²。小国町で暮らすということは、生活のほとんどが小国駅周辺の中心部で完結し、そこから先は森、という構造の中に入るということです。町内の就業者は二次産業がいちばん多く、農山村でありながら工場町でもあります。ここからは、通勤・住まい・買い物・子育て・医療の5点を、暮らす側の目線で見ていきますね。

通勤・通学

就業者の内訳は、一次産業406人、二次産業2,570人、三次産業2,147人。工場や事業所で働く人が最も多い構成です。町内で働き、町内に住むのが基本形と考えられます。

米坂線の今泉〜坂町間は運転見合わせが続いており、同区間は代行バス輸送です(出典:東日本旅客鉄道)。つまり、鉄道通勤という選択肢は現状ありません。町外に通うなら車一択です。

町内の移動は町営バスが北部線・南部線・循環線でカバーしています(出典:小国町ホームページ)。ただし本数は限られます。世帯に1台ではなく、大人1人に1台という前提で家計を組むのが現実的ですよ。

住宅環境

賃貸物件は、大手ポータルサイトに載っている数がそもそもわずかです。相場と呼べるほどのサンプルがないので、「◯万円くらい」と言い切れる数字は出せません。物件は不動産サイトより、地元の伝手や町の窓口から出てくると考えられます。

町は空き家バンクを運営しており、あわせて移住者向けリフォーム支援事業費補助金などの制度を用意しています(出典:小国町ホームページ)。移住者が賃貸している住宅のリフォーム費用については、工事費の30%・1件あたり上限30万円の助成があります(出典:やまがたごこち(山形県移住交流ポータルサイト))。

住宅を選ぶうえで、この町では間取りより先に見るべき項目があります。除雪です。屋根の形、駐車場の広さ、雪捨て場の有無。これを確認せずに決めると、最初の冬で後悔します。

買い物環境

町内にはコンビニが3件、ドラッグストアが2件、ミニスーパーがあり、生活に必要なものはほぼ町内で揃います(出典:同上)。中心エリアにはショッピングセンターのアスモがあり、道の駅白い森おぐにの直売所では山菜やきのこ、地酒が手に入ります。

ただし「選択肢が多い」わけではありません。大型店やまとめ買いは、国道113号で新潟県側の新発田・胎内方面か、山形県側の長井・南陽方面へ出ることになると考えられます。月に1〜2回のまとめ買い、というリズムになるはずです。

そのかわり、旬の山菜ときのこは、都市部では手に入らない鮮度と値段で並びます。ここは差し引きゼロではなく、明確にプラス側なんですよ。

子育て・教育

現在の町立学校は、小国小学校、小国中学校、叶水小中学校です(出典:小国町ホームページ)。かつての北部小中、沖庭小、伊佐領小、白沼小中、玉川小中、小玉川小中はすでに統合されており、学校の集約はかなり進んでいます。

高校は町内に山形県立小国高等学校があり、小国中学校・叶水中学校とは連携型中高一貫教育が組まれています。もう1校、叶水地区には全寮制・普通科の基督教独立学園高等学校があり、3学年で約70名という規模です(出典:基督教独立学園高等学校)。人口6千人の町に高校が2つあるのは、かなり珍しい構成です。

支援面では、0歳児から高校生世代(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の医療費が助成されます(出典:やまがたごこち(山形県移住交流ポータルサイト))。母子健康手帳の交付を受けた妊婦への祝金と白い森共通商品券の支給もあります(出典:同上)。

医療環境

町の医療の中心は小国町立病院です。所在地は小国町大字あけぼの一丁目1番地、診療科は内科・外科・整形外科・小児科・婦人科・眼科・耳鼻いんこう科・歯科の8科で、療養病床26床。ただし外科と婦人科は休診中です(令和7年4月1日現在/出典:小国町立病院)。

同じ法人内に、おぐに訪問看護ステーション、通所リハビリテーション、介護医療院が併設されています(出典:同上)。日常の診療と在宅・介護の受け皿が1か所にまとまっている形です。

正直に書くと、専門的な治療や出産は町外へ出ることになります。県境の町なので、山形県側と新潟県側のどちらの医療圏も使えるという見方もできますが、いずれにせよ移動時間は前提として計算しておくべきです。

エリア別の暮らし視点

旅で回るのと住むのとでは、エリアの評価が変わります。中心の小国駅・小坂町エリアは、役場・病院・アスモ・道の駅が徒歩か車数分の圏内にあり、生活導線がいちばん短い場所です。移住の初手としては、まずここが現実的だと考えられます。

五味沢や小玉川といった谷の奥は、川も森もすぐそこという環境と引き換えに、中心部まで車で30〜40分かかります。買い物も通院も、毎回それが乗ってくる。「自然が近い」の代金は、移動時間で支払う形です。

赤芝・沼沢方面は新潟県側へ出やすい反面、冬の積雪は町内でも最上位。ここに住むなら、除雪の体力と道具は必須です。どのエリアも、冬をどう乗り切るかで住み心地が決まります。

小国町へのアクセス

小国町は山形市と新潟市のほぼ中間、それぞれ約80kmの位置にあります。つまり、どちらからでも来られます。ただし米坂線が今泉〜坂町間で運転見合わせ中のため、現状の現実的な手段は車か高速バスです。順に整理します。

車でのアクセス

最寄りインターチェンジからの所要時間は、日本海東北自動車道の荒川胎内ICから約40分、東北中央自動車道の南陽高畠ICから約1時間、同じく米沢北ICから約1時間、山形自動車道の山形蔵王ICから約2時間です(出典:小国町ホームページ)。

いちばん近いのは新潟県側の荒川胎内ICで、国道113号を東へ走るだけ。首都圏から向かうなら、関越道・北陸道・日本海東北道でつなぐルートが素直です。

注意点は冬です。国道113号は過去2度、豪雨で寸断されて町が孤立しています。積雪期や大雨のときは、出発前に国道113号のライブカメラと町内の通行規制を確認してから走り出してください(出典:小国町ホームページ)。

鉄道+バスでのアクセス

米坂線は2022年8月の大雨被災の影響で、今泉駅〜坂町駅間の運転を見合わせており、同区間では代行バスが運行されています(出典:東日本旅客鉄道)。小国駅はこの区間の中にあるため、駅まで列車では行けません。

鉄道で向かう場合は、東京駅から山形新幹線で米沢駅(約2時間)、米沢駅から今泉駅まで米坂線、今泉駅から小国駅まで代行バスという乗り継ぎになります。新潟側から入るなら、上越新幹線で新潟駅、羽越線で坂町駅、そこから代行バスです。

正直、乗り継ぎは楽ではありません。時刻は運行のたびに見直されているので、出発前にJR東日本の最新の代行バスダイヤを確認してください(出典:のってグッド山形(山形県))。

高速バスでのアクセス

実は、いま最も使いやすい公共交通が高速バスです。新潟〜山形を結ぶ「Zao号」が国道113号を経由し、小国町役場前に停車します。所要時間は山形市(山交ビル)から約1時間50分、新潟市(万代シテイ)からも約1時間50分です(出典:小国町ホームページ)。

時刻は、新潟駅前8:05発→小国町役場前9:54着、山形駅前8:04発→小国町役場前9:47着(いずれも朝便)。夕方にもう1本ずつあり、1日2往復の運行です(出典:新潟交通)。運行は新潟交通と山形交通の共同で、座席指定の予約制です(出典:山交バス株式会社)。

1日2往復なので、乗り遅れは即その日の予定崩壊につながります。予約はお早めに、そして時間には余裕を持って動いてくださいね。

飛行機でのアクセス

使える空港は2つです。山形空港からは連絡バス約42分で山交ビルへ出て、そこから高速バスに乗り継ぎます。新潟空港からはバス約30分で万代シテイへ出て、同じく高速バスです(出典:小国町ホームページ)。

山形空港へは新千歳空港から1時間10分、羽田空港から55分、名古屋空港から1時間、大阪国際空港から1時間15分。新潟空港へは新千歳空港から1時間10分、名古屋空港から50分、中部国際空港から55分、大阪国際空港から1時間5分、福岡空港から1時間30分です(出典:同上)。

どちらの空港からも小国町への直行の公共交通機関はありません。高速バスの本数を考えると、空港でレンタカーを借りてしまうほうが確実だと考えられます。

町内移動の現実的アドバイス

町営バスは北部線が五味沢のりふれ・徳網方面、南部線が飯豊梅花皮荘・飯豊山荘方面、そして中心部の循環線という構成です(出典:小国町ホームページ)。温身平方面へは7・8月のみ運行の便もあります。

ただ、737.56km²を路線バスで回ろうとするのは無理があります。旅行でも移住の下見でも、レンタカーか自家用車を前提に組んでください。

そしてもう一点。谷の奥は携帯電話がつながらない場所があります。温身平や小玉川方面へ入るなら、目的地の情報と帰りの時間は、電波のあるうちに確認しておくのが賢明ですよ。


交通手段ごとに見てきましたが、「結局いちばん安く行くにはどうすれば?」と迷う方も多いはず。飛行機で向かうなら、航空券は予約のタイミングや会社によって料金が大きく変わります。複数の航空会社・LCCをまとめて比較できるサイトで、いちど最安値をチェックしておくと安心ですよ。

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【地元住民に直撃!】小国町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。

観光わらび園で受付と販売をしています。実家が代々わらび園をやっていて、その後を継ぐ形です。五月下旬から七月の頭までがとにかく忙しくて、朝は暗いうちから山に上がって、お客さんを迎える準備をします。

オフの時期は山菜やきのこの仕事もありますし、加工や販売の手伝いもします。要するに、一年中この町の山と付き合っているという感じですね。

Q2.小国町に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?

まずは温身平です。ここは小国町観光の看板で、ブナの森に入って十分も歩くと音が消えるんですよ。沢の水と葉の擦れる音しかしなくなる。あれは写真では絶対に伝わりません。

地元の人間としておすすめしたいのは黒沢峠の敷石道と、樽口峠の展望です。峠から飯豊の壁を正面に見ると、自分がどれだけ小さいか分かります。あと赤芝峡の紅葉も外せません。

Q3.小国町でお土産を買うとしたらなんですか?

やっぱり山菜です。わらびの漬物や醤油漬け、山菜の水煮あたりは小国町の有名なものですし、無難に喜ばれます。きのこも季節が合えばいいですね。

地元の人間が推すなら、わらびの根から取った粉で作るわらび餅です。町の中の水源の郷にある交流館で食べられます。あれは町外の人が想像するわらび餅とは、まったく別の食べ物ですよ。あとはつる細工の籠も長く使えます。

Q4.外から人が来たときに、小国町でまず連れていく店はどこですか?

国道沿いの道の駅にまず寄ります。直売所に並ぶ山菜ときのこの量を見てもらうと、この町がどういう場所なのか一言も説明しなくても伝わるんです。

時間があれば、飯豊の谷の奥にある温泉の宿へ連れて行きます。山菜と岩魚を出してくれる、昔ながらの湯治宿の空気があって、窓の外はもう山しかない。あそこで一泊してもらうのが一番早いです。

Q5.小国町はどんな気質だと思いますか?

とっつきは良くないと思います。愛想笑いをしない人が多いので、最初は怒ってるのかと勘違いされることもあります。ただ、一度受け入れると距離がすごく近い。

あとは、自分たちで手を動かす気質ですね。峠の石畳も熊まつりも、誰かに言われて残っているんじゃなくて、地区の人が毎年やるから残っている。雪の多い土地だからかもしれません。

Q6.昔に比べて、小国町の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?

正直に言うと、人は減りました。私が子どもの頃にあった学校がいくつも統合されて、集落から子どもの声が消えた場所もあります。

鉄道が止まったままなのも大きいです。駅に列車が来ないというのは、思っていた以上に町の空気を変えました。ただ、総合スポーツ公園に行けば子どもたちが走っていますし、公民館の集まりは今も普通に賑やかです。細く続いている感じですね。

Q7.小国町のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?

新しい大きな建物ができるという話は、私のところまでは聞こえてきていません。町長も町も、あるものをどう使うかという方向だと感じます。

私が期待しているのは、わらび園や山菜の体験に来てくれる人が、もう一泊してくれることです。日帰りだとこの町の朝を知らないまま帰ってしまう。あの静かさが本当のおすすめスポットなので、そこまで届けたいですね。

小国町の関連リンク

本記事は、全国1741市町村を応援するために徹底調査して作成していますが、地元の方だからこそ知る最新情報や、記述の誤りなどがあれば、ぜひこちらのお問い合わせフォームよりお気軽にお知らせください。地域の皆様と一緒に、より素晴らしい紹介ページを作っていきたいと考えております。

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