【山形県高畠町】ってどんなとこ?デラウェア日本一と犬の宮【地元民のリアルな声あり】

山形県高畠町の安久津八幡神社:山形県高畠町にある安久津八幡神社は、三重塔がそびえ立つ、歴史と風格が漂う置賜地方を代表する古社です。

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高畠町(たかはたまち)は、山形県南東部・米沢盆地の東側に位置する人口約2万人の町です。山形新幹線が停まる高畠駅があり、東京から乗り換えなしで来られます。

高畠町の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:

  • デラウェア出荷量日本一──種なしぶどうの産地として市町村別トップに立つ「ぶどうの里」
  • 犬の宮・猫の宮──犬と猫を祀る全国的にも珍しいお宮。毎年ペット供養祭が開かれる
  • 日向洞窟──縄文草創期の土器が出た国指定史跡。町内に国史跡の洞窟が4か所
  • 有機農業の先駆けの町──1973年の有機農業研究会発足から半世紀の歴史
  • 「泣いた赤おに」の浜田広介のふるさと──日本のアンデルセンを生んだ町

「ぶどうとワインが好きな人」「縄文や古代史に興味がある人」「有機農業や田舎暮らしに関心がある人」に特におすすめの町です。本記事では、推しポイント・歴史・文化・特産品まで、地元目線で紹介します。

人口20,116 人 ※2026年6月1日時点(推計人口)
面積180.26 km²
人口密度112 人/km²

地理的には、北は上山市、西は南陽市川西町、南は米沢市、東は宮城県七ヶ宿町、南東は福島県福島市に接しています。奥羽山脈に源流をもつ屋代川・和田川がつくった扇状地に町が広がり、面積の半分以上は林野です(出典:高畠町公式ホームページ)。県内の町村では一番人口が多い町です。ちなみに2位は庄内町です。

鉄道は山形新幹線・奥羽本線の高畠駅、高速道路は東北中央自動車道の南陽高畠ICが町の玄関口です。国道13号と113号も通り、宮城県側へは二井宿峠、福島県側へは鳩峰峠で山を越えます。

ぶどう、洞窟、犬と猫のお宮、童話。人口2万人の町に、これだけ違う顔が同居しています。ひとつずつ見ていきましょう。

目次

高畠町の推しポイント

高畠町の推しポイントは、大きく4つに分けられます。まず、種なしぶどう「デラウェア」の出荷量が市町村別で日本一という農業の顔。次に、縄文時代の始まりを解き明かした洞窟遺跡が集まる古代史の顔。そして、犬と猫を祀る珍しいお宮という信仰の顔。最後に、童話作家・浜田広介を生んだ文学の顔です。順番に見ていきますね。

推しポイント1:デラウェア出荷量日本一の「ぶどうの里」

高畠町では、ワインに使われるシャルドネと、種なしぶどうのデラウェアの出荷量がいずれも日本一とされています(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。町内には1990年創業の高畠ワイナリーがあり、東北でも最大級の規模です。

ぶどう畑は町の南東側、山際の斜面に段々と広がっています。7月に入ると早朝4時台からデラウェアの収穫が始まり、8月いっぱい続きます。町の小中学校では出荷が始まる時期に「デラウェア給食」が出るほど、ぶどうが日常に溶け込んだ町なんですよ。

推しポイント2:日向洞窟──縄文の始まりを書き換えた国史跡

町内の「立石」と呼ばれる凝灰岩の露頭のふもとに、日向洞窟があります。ここから出た隆起線文土器などの土器群と石器群が、旧石器文化から縄文文化への移り変わりを解明する重要な資料となり、1977年に国の史跡に指定されました(出典:文化遺産オンライン(文化庁))。

すごいのは、密集ぶりです。周辺には尼子洞窟群、観音岩洞窟群など14地点もの洞窟遺跡が集まっていて、これほど洞窟遺跡が密集する地域は他に類を見ないとされています。町内には日向洞窟のほかにも一ノ沢洞窟、火箱岩洞窟、大立洞窟という国指定史跡の洞窟があり、出土品は県立うきたむ風土記の丘考古資料館で見られます。「東北の高天原」と呼ばれるのも大げさではありません。

推しポイント3:犬の宮・猫の宮──犬と猫を祀るお宮

高安地区の山あいに、犬の宮と猫の宮が向かい合うように鎮座しています。犬の宮は、和銅年間(708〜711年ごろ)に村人を苦しめた古狸を2匹の犬が退治し、その犬を村の鎮守として祀ったのが由来とされ、猫の宮は延暦年間(782〜806年ごろ)に大蛇を倒した猫を供養したという伝説に基づいています(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。

社殿は全国から寄せられた愛犬・愛猫の写真で埋め尽くされていて、はじめて訪れると少し息を呑みます。ペットの健康祈願に訪れる人も多く、毎年夏には「全国ペット供養祭」が行われています(出典:高畠町観光協会)。参道は杉の大木に覆われ、真夏でもひんやりしていますよ。

推しポイント4:浜田広介のふるさと──「泣いた赤おに」が生まれた町

「泣いた赤おに」「りゅうの目のなみだ」で知られる童話作家・浜田広介は、明治26年に現在の高畠町一本柳で農家の長男として生まれました。作家人生50余年で約1,000編の童話・童謡を残し、「日本のアンデルセン」と称されています(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。

町内の浜田広介記念館には、敷地内に移築復元された生家があります。土間と囲炉裏のある素朴な農家で、ここで育った少年があの優しい童話を書いたのかと思うと、じんわりきます。高畠駅の三角屋根も、広介童話の世界をイメージしてつくられたものなんですよ。

高畠町の歴史

高畠町の歴史は、1万年以上前の洞窟から始まります。縄文人が暮らした洞窟群、古墳時代の石室、平安期の屋代荘。中世には伊達氏が200年以上この地を支配し、江戸時代には上杉氏と幕府直轄領のあいだを行き来する複雑な統治を受けました。近代以降は米とぶどう、そして有機農業の町として歩んできました。

古代──洞窟と古墳、そして「屋代」の名

日向洞窟をはじめとする洞窟遺跡群からは、縄文時代草創期から晩期まで各時期の遺物が出土しています。人々が1万年以上前からこの地で生活していたことが確認されました(出典:文化遺産オンライン(文化庁))。

その後、7世紀後半から8世紀中頃にかけて、町内には古墳が築かれました。安久津古墳群の横穴式石室には、地元産の凝灰岩・高畠石が使われています。

927年(延喜5年)にまとめられた延喜式では、出羽国置賜郡をさらに七つに分けた一つとして「屋代」の名が記されています。この「屋代」は、現在も町内の屋代地区や屋代川の名として残っています。

中世〜近世──伊達氏の200年と、めまぐるしい統治交代

1192年(建久3年)に大江氏が置賜郡長井荘の地頭となり、約140年間この地を支配しました。1380年には伊達宗遠が長井氏を討ち、以後200年以上にわたって伊達氏の支配下に入ります。

町内の資福寺跡は、伊達政宗が幼少期に学んだ学問所として伝えられ、境内には父・伊達輝宗の墓があります。また、亀岡文殊(大聖寺)は伊達政宗の崇敬を受け、1591年に政宗が岩出山へ去るとき、資福寺の古鐘を納めたと伝えられています。

1600年の関ヶ原の戦い後、上杉景勝が減封されて米沢に入部。以後、「屋代郷」は幕府直轄領になったり、上杉家の管領地に戻ったり、織田氏が高畠に移封されたりと、統治者がめまぐるしく入れ替わりました。1866年(慶応2年)になってようやく、屋代郷は全域が上杉領となります。

近代〜現代──「高畑」から「高畠」へ、そして有機農業へ

1889年(明治22年)の町村制施行により、東置賜郡に高畠村・二井宿村・屋代村・亀岡村・和田村・糠野目村の6村が発足しました。1895年に高畠村が町制施行して「高畑町」となり、1905年に「高畠町」へ改称します。

1954年(昭和29年)、高畠町と二井宿村・屋代村・亀岡村・和田村が合併して社郷町(やしろごうまち)となり、翌1955年に糠野目村を編入して現在の高畠町が誕生しました。

戦後の高畠町を語るうえで外せないのが、有機農業です。昭和48年(1973年)、青年有志によって高畠町有機農業研究会が発足しました。農業の近代化がもたらした弊害に対し、農民の自主性を保ち自立した農業を確立するため、有機農業という道を選んだのが始まりです。1978年からは消費者との産直活動を展開し、「提携」によって発展しました。2023年には有機農業50周年シンポジウムが開かれ、オーガニックビレッジ宣言が行われています(出典:高畠町公式ホームページ)。

高畠町の文化・風習

高畠町は山形県置賜地方に属します。江戸時代に米沢藩の影響下にあった地域で、言葉も食卓も、同じ山形県内でも村山地方や庄内地方とは少し違います。ここでは、みなさんが実際に町を歩いたとき出会うであろう言葉と暮らしを紹介しますね。

方言と話し方の特徴

高畠町で使われるのは置賜弁(おきたまべん)です。同じ山形県内でも、村山弁に比べると濁点が少なく、やわらかい響きだと言われます。

代表的なのがおしょうしな(ありがとうございます)。置賜地方を歩けば、商店の看板やのれんにも書かれています。丁寧さの度合いで「おしょうし」「おしょうしなー」「おしょうしなっし」と使い分けられるのが面白いところです。

相づちにはんだごで(そうです)。強い気持ちを表すとき、語尾に「ごで」がつくのが置賜弁の特徴です。ほかにもなじょだ(どうですか)、ぶじょうほ(申し訳ない・失礼しました)、あざぐ(探す・たずねる)といった言葉がよく出てきます。

初めて聞くと戸惑うかもしれませんが、意味さえ分かれば、この土地の人の距離感がふっと近く感じられるはずです。

食卓と季節の暮らし

高畠町の食卓は、季節がはっきり出ます。春は山菜。山あいの二井宿や和田の集落では、雪が消えると同時にわらび、こごみ、たらの芽が食卓にのぼります。町の特産品リストに「山菜」がきちんと入っているのは伊達ではありません。

夏から秋は、とにかく果物です。7月のさくらんぼが終わるとデラウェア、9月中旬からは大粒ぶどうが最盛期を迎え、10月にはラ・フランスが並びます。ぶどう農家の家では、収穫期になると台所の隅に出荷しきれなかった房が山になっていて、それを勝手につまむのが子どもの特権なんですよ。

冬は雪です。町の年平均気温は11.2℃ですが、1月の平均最低気温は氷点下4.2℃まで下がり、雪の量も多い土地。地元の人が「大陸性気候」と呼ぶとおり、夏と冬の落差、昼と夜の落差が大きい。この寒暖差こそが、ぶどうの糖度を上げているわけです。

冬の食卓には、ハレの日の鯉のうま煮が出ます。海から遠い置賜地方では、鯉が貴重なごちそうでした。もちろん米沢牛のすき焼きも、この地方の特別な日の定番です。

人の気質と地域のつながり

高畠町の人の気質を一言でいえば、「自分で決める」でしょうか。1973年、平均年齢27歳の若手農家たちが、近代農業のやり方に疑問を持ち、農薬も化学肥料も除草剤も使わないと誓って有機農業研究会を立ち上げました。周囲から白い目で見られながら半世紀続けてきたわけです。

その延長線上に、消費者との「提携」があります。田植えや稲刈りの時期には、県内外の消費者が援農に訪れ、農家と一緒に田んぼに入る。作る人と食べる人が顔を突き合わせる関係を、この町は50年やってきました(出典:高畠町公式ホームページ)。

いきなり心を開くタイプではありませんが、二度、三度と通えば、玄関先でぶどうを持たされます。そういう距離感の町です。

祈りと祭り──神社と三重塔のある風景

安久津八幡神社は、貞観2年(860年)に慈覚大師が阿弥陀堂を建てたのが始まりと伝えられます。三重塔・本殿・舞楽殿の3つの建造物はいずれも山形県の指定文化財で、三重塔は寛政9年(1797年)に再建されたもの。置賜地方唯一の層塔です(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。

三重塔は「まほろば古の里歴史公園」のシンボルで、桜、菜の花、ひまわりと季節の花越しに眺められる場所として写真好きに知られています。毎年5月3日には倭舞、9月15日には延年の舞が奉納されます。

もうひとつ、亀岡地区の亀岡文殊(大聖寺)も外せません。京都の切戸の文殊、奈良の安倍の文殊とともに日本三文殊の一つに数えられ、大同2年(807年)に徳一上人が堂宇を建立したのが始まりとされています。「三人よれば文殊の知恵」の文殊菩薩を祀るため、受験シーズンには合格祈願の人が絶えません(出典:高畠町公式ホームページ)。老杉に囲まれた石段を上るあの空気は、一度体験する価値があります。

スポーツ──秋の町は競歩一色になる

毎年秋、高畠町は競歩の町になります。1991年に始まったこの大会は、現在「全日本競歩高畠大会」の名称で開催されており、2026年は10月25日に予定されています(出典:日本陸上競技連盟)。日本代表選考を兼ねる年もあり、世界で戦う選手が町の道路を歩きます。この大会がきっかけで、町内の中学校では授業に競歩が取り入れられるようになりました。

高畠町の特産品・食

高畠町の特産品は、米、ラ・フランス、さくらんぼ、りんご、ぶどう、まつたけ、牛肉、鯉、清酒、ワイン、ミルクケーキ、そば、納豆、乳製品と、ずらりと並びます(出典:高畠町公式ホームページ)。ここでは、この町でしか味わえない代表格を紹介しますね。

特産品1:デラウェア──小粒でぎゅっと濃い、日本一のぶどう

高畠町はデラウェアの出荷量が市町村別で日本一。ワイン用のシャルドネも日本一とされています(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。

旬は7月から8月いっぱい。大粒ぶどうが主流の時代に、あえて小粒のデラウェアを作り続けている理由は、食べれば分かります。指でつまんで、口の中でぷちんと弾かせる。甘みがきて、追いかけるように酸味が来る。この甘酸っぱさのバランスは、寒暖差が大きい大陸性気候だから出せる味です。

皮ごと絞れば、そのままジュース。冷蔵庫でよく冷やして、房ごと食卓に置いて、家族で無心につまむのが正解です。

特産品2:ラ・フランス──三条目地区は発祥の地

洋梨ラ・フランスの苗木が明治期に日本に輸入されたとき、江戸時代から和梨の産地だった高畠町三条目地区にも配られました。三条目地区はラ・フランスの発祥の地として知られており、当時植えられた樹が今も実をつけている農園があります。

旬は10月ですが、そこがラ・フランスの難しいところ。収穫してすぐは硬くて食べられません。追熟させて、軸の周りにしわが出て、指で押すとわずかに沈むくらいがちょうどいい。そこまで待つと、香りが部屋に立ちのぼって、果肉がとろけます。

他の果物と違って「いつ食べるか」を自分で見極める果物なので、届いてから毎日そっと触って確かめる時間まで含めて楽しみ、と考えるといいですよ。

特産品3:高畠ワイン──北緯38度、ぶどうの里が醸す

1990年創業の高畠ワイナリーは、東北でも最大級の規模を誇ります。地区ごとのぶどうの特徴を生かしたワイン造りをしており、ショップでは試飲もできます(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。

デラウェアで造る白は、食用ぶどうの甘酸っぱさをそのまま残したような親しみやすい味わい。シャルドネの樽熟成タイプは、香ばしさと果実味がしっかり出ます。

おすすめは、町内で買ったチーズやソーセージと合わせること。高畠町は乳製品の産地でもあるので、ワインもチーズもこの町の中で揃ってしまうんですよ。

特産品4:おしどりミルクケーキ──「食べる牛乳」

山形土産の定番「おしどりミルクケーキ」は、高畠町糠野目に本社を置く日本製乳の商品です(出典:高畠町観光協会)。

板状の細長いお菓子で、口に入れるとしゃりっと崩れ、あとから濃い牛乳の甘さが広がります。かじると硬く、なめると溶ける。この二段構えが癖になるんですよね。乳由来のたんぱく質やカルシウムが豊富なので、登山やハイキングの携帯食としても人気です。

ミルク味のほか、地元置賜産デラウェアの果汁を使ったぶどう味、ラ・フランス味などもあり、まさに高畠町の農産物がお菓子になった形です。町内の道の駅や高畠駅の売店で買えます。

特産品5:米沢牛──高畠町も正式な産地のひとつ

「米沢牛」は米沢市だけのものではありません。農林水産省の地理的表示(GI)登録における生産地は、米沢市、南陽市、長井市、高畠町、川西町、飯豊町、白鷹町、小国町からなる山形県置賜地域です(出典:農林水産省)。高畠町も、れっきとした米沢牛の産地です。

脂の融点が低く、口に入れた瞬間にすっと溶けるのが特徴。旬というものはありませんが、食べるなら断然、雪の降る冬のすき焼きです。割下で軽く煮た薄切りを溶き卵にくぐらせると、脂の甘さがまっすぐ来ます。

この味が生まれた背景には、置賜地方の寒暖差の大きい気候と、良質な水、そして米どころゆえの豊富な飼料があります。ぶどうと同じで、この土地の気候が味を作っているわけです。

特産品6:高畠石──食べられないけれど、町の名産

最後に、食べ物ではないものを一つ。高畠石は黄色みのある凝灰岩で、古くは古墳時代の石室に、江戸期からは民家の石塀に使われ、町の特産物として近年まで採石されていました。旧高畠駅舎はこの高畠石で造られ、国の登録有形文化財になっています(出典:やまがた景観物語(山形県))。

採石跡を整備した瓜割石庭公園に行くと、垂直に切り立った石壁が空へ伸びる光景に出会えます。石切り場の清水で瓜を冷やしたら割れるほど冷たかった、というのが名前の由来。音の響きがよく、ライブ会場に使われることもあります。冬は積雪でアクセスできないので、春から秋に訪ねてくださいね。


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高畠町の観光スポット

高畠町の見どころは、大きく4つの方向に分かれています。1万年前の洞窟と古墳が集まる「古代」、三重塔や文殊堂の「祈り」、高畠石と廃線跡の「昭和」、そしてぶどうと温泉の「今」。これが半径10kmほどの中にぎゅっと詰まっているので、1日あれば全部の顔に会えます。順番に見ていきましょう。

縄文と古代をたどるスポット

  • 日向洞窟 – 凝灰岩の露頭「立石」のふもとに南向きに開く洞窟遺跡。ここから出た隆起線文土器などが旧石器文化から縄文文化への発展過程を解明する資料となり、国の史跡に指定されています(出典:文化遺産オンライン(文化庁))。周辺には14地点もの洞窟遺跡が密集しています。実際に立つと、思ったより小さな穴です。でも、この前の斜面で1万年以上前の人が石器を割っていたのだと思うと、足元の砂利まで違って見えてきますよ。午前中の光が奥まで差し込む時間帯がおすすめです。
  • 山形県立うきたむ風土記の丘考古資料館 – 日向洞窟をはじめとする県内の出土品を展示する県立館。開館時間は午前9時30分〜午後4時30分(入館は午後4時まで)、休館日は毎週月曜日・国民の祝日・年末年始、入館料は大人200円・大学生100円・小中高生無料です(出典:山形県立うきたむ風土記の丘考古資料館)。押出遺跡の彩漆土器や、竪穴住居の暮らしを再現したジオラマが見られます。洞窟を見る前にここへ寄ると、現地での見え方がまるで変わります。勾玉づくりなどの体験も行われていますよ。
  • まほろば古の里歴史公園 – 考古資料館と安久津八幡神社を中心に、復元住居や古墳、田園が広がる公園。四季の花と三重塔を一緒に写せるので、カメラを持った人が一年中訪れます。春は桜と菜の花、夏はひまわり、秋は周囲の山の紅葉。芝生に座って三重塔をぼんやり眺めているだけで、時間が溶けていきます。
  • 高畠町郷土資料館 – 昭和54年に開館した町立の資料館で、建物には特産の高畠石が随所に使われています。古代から近代までの町の歩みを、農具や生活道具でたどれます。歴史公園から歩いて数分なので、考古資料館とセットでどうぞ。

祈りと歴史の建築

  • 安久津八幡神社 – 貞観2年(860年)に慈覚大師が阿弥陀堂を建てたのが始まりと伝わり、三重塔・本殿・舞楽殿の3棟が山形県指定文化財です。三重塔は寛政9年(1797年)の再建で、置賜地方唯一の層塔(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。参道は苔むした石畳で、杉に覆われて夏でもひんやりしています。塔は池のほとりに立っているので、水面に映る姿を狙うなら風のない朝が正解です。
  • 亀岡文殊(大聖寺) – 京都の切戸の文殊、奈良の安倍の文殊とともに日本三文殊の一つ。大同2年(807年)に徳一上人が堂宇を建立したのが始まりといわれ、参道には十六羅漢像や芭蕉句碑が並びます(出典:高畠町公式ホームページ)。知恵の文殊なので、受験シーズンには絵馬がびっしり。老杉に挟まれた石段を15分ほど上ると文殊堂に着きます。息が上がったところで振り返ると、置賜の山並みが見えますよ。
  • 犬の宮・猫の宮 – 村人を救った犬と猫を祀る、全国的にも珍しいお宮。和銅年間の犬、延暦年間の猫という古い言い伝えが残ります(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。社殿の壁は全国から届いた愛犬・愛猫の写真で埋め尽くされていて、初めて見ると言葉が出ません。参道の杉並木は真夏でも涼しく、蝉の声だけが響いています。犬の宮の参道には、戸川幸夫「高安犬物語」の文学碑も建っています。

高畠石と昭和をめぐるスポット

  • 瓜割石庭公園 – 高畠石の採石跡を整備した公園。高畠石は黄色みのある凝灰岩で、古墳時代の石室から江戸期の石塀まで使われてきました(出典:やまがた景観物語(山形県))。トンネルを抜けた先に、垂直に切り立った石壁が空へ伸びています。音の響きが異様によく、コンサート会場に使われることも。冬は積雪でアクセスできないので、春から秋に訪ねてくださいね。
  • 旧高畠駅舎 – 1974年に廃止された山形交通高畠線の駅舎。高畠石を主構造材とした1934年築の本屋とプラットホームが、2016年に国の登録有形文化財に登録されました(出典:文化遺産オンライン(文化庁))。黄色みを帯びた石の壁に西日が当たる夕方が一番きれいで、フォトウエディングにも使われています。構内には電気機関車や貨車が静態保存されていますよ。
  • 昭和縁結び通り – 町の中心商店街を、約1kmの通り全体で昭和30年代の資料館として公開している一角。当時の生活用品や電化製品、雑誌が店ごとに展示され、学校の教室や茶の間を再現したスペースもあります(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。手製の看板が目印。観光地というより、生活の場にそのまま昭和が残っている感じで、店の人と話し込んでしまうのが楽しいんですよ。
  • まほろばの緑道 – 高畠線の廃線跡を歩行者・自転車専用道として整備したルート。高畠駅からまほろば古の里歴史公園方面へ、線路だったまっすぐな道が続きます。沿道には桜が植えられ、開花期は花のトンネルの中を走れます。レンタサイクル向きのフラットな道で、ペダルを漕ぐと両側の田んぼが流れていきます。

ぶどう・温泉・買い物のスポット

  • 高畠ワイナリー – 1990年創業、東北最大級のワイナリー。営業時間は10:00〜17:00、土日祝は9:00〜17:00で、施設内には製造工程や地下セラーを見学できる通路と、テイスティングエリア「ゴッツォナーレ高畠」があります。「日本ワイナリーアワード2026」でも5つ星を受賞しています(出典:高畠ワイナリー)。目の前がぶどう畑なので、収穫期は畑を眺めながらグラスを傾けられます。ワインが飲めない人にもジュースの試飲があるので、ドライバーも退屈しません。
  • 高畠町太陽館 – JR高畠駅の駅舎に温泉が併設された、全国でも珍しい施設。営業時間は火〜日曜7:00〜22:00(最終受付21:30)、月曜は7:00〜21:00(最終受付20:30)、休館日は第2月曜日です(出典:ホテル フォルクローロ高畠)。改札を出て十歩で湯船、という距離感が最高で、新幹線待ちの30分で汗を流せます。泉質はアルカリ性単純温泉。売店・レストラン・観光案内所も同じ建物の中で、レンタサイクルもここで借りられます。
  • 道の駅たかはた(まほろばステーション) – 歴史公園の向かいに立つ道の駅。直売所には町内産にこだわった農産物が並び、食事処は2025年にリニューアルして「まほろば旬感 くっちぃな」になりました(出典:道の駅たかはた まほろばステーション)。7月に入ると縄文売店にデラウェアが山積みになります。夏は冷たい肉そばなど、山形の冷たい麺シリーズが登場しますよ。
  • よねおりかんこうセンター – 国道13号沿いの複合施設。営業時間は4/1〜11/30が9:00〜17:30、12/1〜3/31が9:30〜17:00で、いずれも年中無休です(出典:よねおりかんこうセンター)。米沢牛の専門店、十割そば、山形土産のフロア、そして地元農家から届く「たかはた地産館」が一か所に。土産をまとめて片づけたいときは、ここが最短です。

山と水の風景

  • 鳩峰高原 – 福島県境の鳩峰峠周辺に広がる高原。標高およそ800mの峠から置賜盆地を一望でき、86haの高原牧場では6月になると乳牛が放牧されます。峠には浜田広介の「むくどりの夢」の句碑が建っています(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。国道399号の山形県側は狭くて急なつづら折りなので、運転には気を遣います。それでも、峠に着いて振り返ったときの盆地の眺めは、その苦労に見合います。冬季は通行止めです。
  • ゲンジ蛍とカジカ蛙散策道 – 二井宿地区の大滝川沿いに整備された散策道。良好な水環境がある場所にしか棲まないゲンジ蛍とカジカ蛙が見られる場所で、地元の愛護会が草刈りや清掃を続けています(出典:高畠町観光協会)。初夏の夜、川面の上を光がゆっくり流れていく光景は、街の明かりが少ないこの町だから成立するものです。カジカ蛙の澄んだ鳴き声もセットで楽しんでください。

高畠町の観光ルート

計算中…

高畠町は山形新幹線が停まる高畠駅があり、東北中央自動車道の南陽高畠ICも町内。つまり、車でも鉄道でも入れます。見どころは駅の東側の山あいに集まっているので、車なら1日、駅レンタサイクルなら半日で回れます。3パターン組んでみました。

【車・1日】まほろば古代ルート:洞窟と三重塔をつなぐ

9:00 南陽高畠IC → 9:05 道の駅たかはた(車5分)

道の駅たかはた(30分)
→ まず直売所で今日の果物を確保しつつ、観光案内所で町内の地図をもらいます。朝一番は農産物の品揃えが一番いい時間帯です。

9:35 道の駅たかはた → 9:40 まほろば古の里歴史公園(徒歩5分)

山形県立うきたむ風土記の丘考古資料館(60分)
→ 日向洞窟の出土品を先に見ておくのが今日の肝です。土器と石器の実物を目に焼き付けてから、現地へ向かいます。

安久津八幡神社(40分)
→ 資料館から徒歩圏内。三重塔から本殿へ、苔の石畳を歩きます。午前の斜光が杉の間から差す時間が一番きれいですよ。

11:30 歴史公園 → 11:40 瓜割石庭公園(車10分)

瓜割石庭公園(30分)
→ 高さのある石壁に囲まれた空間で、声を出すと反響が返ってきます。真上から光が落ちる正午前後が、最も迫力が出ます。

12:30 昼食(道の駅またはよねおりかんこうセンター) → 14:00 日向洞窟(車15分)

日向洞窟(30分)
→ 朝見た土器がここから出た、という順番で立つと、洞窟の見え方が変わります。

15:00 → 15:15 亀岡文殊(車15分)

亀岡文殊(50分)
→ 石段を上って知恵を授かって締め。夕方は参拝者が減って、杉木立が静まり返ります。

16:30 → 17:00 高畠町太陽館(車20分・入浴して解散)

【鉄道+レンタサイクル・半日】高畠駅発 童話と昭和ルート

10:00 JR高畠駅(太陽館でレンタサイクルを借りる) → 10:10 浜田広介記念館(自転車10分)

浜田広介記念館(60分)
→ 「泣いた赤おに」のスライドを見て、移築された生家に上がります。土間と囲炉裏を見ると、あの童話の温度の出どころが腑に落ちますよ。

11:20 → 11:40 昭和縁結び通り(自転車20分)

昭和縁結び通り(60分)
→ 商店街を1kmぶらぶら歩くだけで昭和30年代の展示が次々出てきます。昼どきに合わせると、地元の食事処にも入れます。

13:00 → 13:05 旧高畠駅舎(自転車5分)

旧高畠駅舎(30分)
→ 高畠石の駅舎と保存車両。廃線跡がそのまま次の道になっているのが、この町の面白いところです。

13:40 旧高畠駅舎 → 14:20 高畠駅(まほろばの緑道経由・自転車40分)

まほろばの緑道(40分)
→ 線路跡のまっすぐな道を、桜並木の下で駅まで戻ります。春なら花のトンネル、夏は蝉の声のトンネルです。

14:30 高畠町太陽館で入浴 → 新幹線へ

【車・1日】広域ルート:高畠+米沢の「ワインと牛」

9:30 JR高畠駅 → 9:40 高畠ワイナリー(車10分)

高畠ワイナリー(60分)
→ ぶどう畑を眺めてから見学通路へ。運転する人がいるならジュースの試飲もあるので、誰も置いてけぼりになりません。

10:50 → 11:00 よねおりかんこうセンター(車10分)

よねおりかんこうセンター(60分)
→ 米沢牛でも十割そばでも、置賜の味をここで昼食に。土産の目星もつけておきます。

12:10 高畠町 → 12:40 米沢市街(車30分)

米沢市街の散策(120分)
→ 上杉家ゆかりの城下町へ。高畠町も1600年以降は上杉領だったので、この移動は歴史の流れをなぞる動線になっています。

15:00 米沢 → 15:40 鳩峰高原(車40分・6〜10月推奨)

鳩峰高原(60分)
→ 峠から置賜盆地を見下ろして締め。今日回った町がまるごと足元に広がります。夕方の光がぶどう畑を照らす時間がおすすめです。冬季は通行止めなので、その場合は太陽館の温泉に振り替えてくださいね。


ここまで見てきたとおり、見どころが少し離れた場所に点在していることもあります。気になるスポットをまとめて回るなら、レンタカーがあると一気に動きやすくなりますよ。料金は会社や時期でけっこう変わるので、まとめて比較できるサイトでサッと見ておくのがおすすめです。

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そして遠方から訪れるなら、思いきって一泊するのもおすすめです。日帰りでは通り過ぎてしまう夜や朝の時間に、その町ならではの静けさや表情に出会えます。お祭りやイベントの時期は宿が一気に埋まるので、早めの確保が安心ですよ。

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高畠町の年間イベント

高畠町の一年は、驚くほど季節がはっきりしています。春はワイナリー、夏は青竹の提灯とペット供養、秋は競歩とぶどう、冬は雪の中の牡丹。人口2万人の町にしては、全国区のイベントが多いのが特徴です。季節ごとに紹介しますね。

春〜夏:ワインで乾杯して、提灯の下で踊る

まず春。高畠ワイナリーの「Spring Festa」は毎年5月の連休に開かれます(出典:高畠ワイナリー)。芽吹いたばかりのぶどう畑を横目に、屋外でグラスを傾ける。この時期の置賜はまだ空気が冷たくて、日なたのありがたさが身に沁みます。

7月にぜひ行ってみてほしいのが、犬の宮・猫の宮の「全国ペット供養祭」です。2026年は第39回として7月に開催されました。会場は犬の宮・猫の宮に隣接する「犬猫やすらぎの郷公園」の納骨堂前で、両宮の別当の読経により、全国から寄せられたペットの追悼供養が行われます(出典:高畠町観光協会)。参加には事前申し込みが必要です。杉木立の下で読経が響くなか、参列者が手を合わせている。にぎやかな夏祭りとは正反対の、静かで濃い時間です。

そして夏の本命が、たかはた夏まつり「青竹ちょうちんまつり」。毎年8月に開かれ、2026年は第60回を迎えます(出典:高畠町公式ホームページ)。安久津八幡神社の神輿を、屋代川の青竹に提灯を提げて送迎したのが起源とされる祭りです。沿道に立ち並ぶ青竹の赤い提灯が一斉に灯り、初日は神輿パレード、翌日は花笠音頭の民踊パレード。踊り手の数と太鼓の音圧で、町の空気そのものが揺れます。60回の節目となる2026年は、夜空にドローンアートも予定されています。

秋:世界レベルの競歩と、ぶどうの収穫

秋の高畠町は、まず競歩です。「全日本競歩高畠大会」は毎年10月下旬ごろに開催され、2026年は第63回として10月25日に予定されています(出典:日本陸上競技連盟)。1991年から続く大会で、日本代表選考を兼ねる年もあり、世界で戦う選手が町の道路を歩きます。沿道で見ていると、その速さに声が出ますよ。この大会がきっかけで、町内の中学校では授業に競歩が取り入れられました。

同じ秋、高畠ワイナリーでは「ハーベストフェスティバル」が例年10月ごろに開かれます(出典:やまがたへの旅(山形県観光物産協会))。できたての新酒と、ワインに合わせた地元グルメのフードコート。青空の下、収穫を終えた畑を見ながら飲むワインは、同じ銘柄でも味が違って感じられます。

9月中旬から10月にかけては、町中がぶどうとラ・フランスの出荷でざわつく時期でもあります。道の駅や直売所は農家の軽トラで混み合い、店先に段ボールが積み上がる。祭りではないけれど、この町の一番の「本番」はここかもしれません。

冬:雪の中に咲く牡丹

冬の目玉が「まほろば冬咲きぼたんまつり」です。毎年2月に開催され、2026年2月には第25回が開かれました。メイン会場は高畠町太陽館(JR高畠駅)で、高畠ワイナリー、よねおりかんこうセンター、道の駅たかはたにも展示されます(出典:高畠町観光協会)。

わらで編んだ「こも」をかぶった牡丹が、真っ白な雪の上に点々と並ぶ。赤やピンクの花びらだけが浮かび上がって見えて、正直、写真で見るより現物のほうがずっと不思議です。夕方にはライトアップされ、雪面が花の色に染まります。太陽館会場では見学協力金(中学生以上100円)を募っています。

寒さは本物なので、温泉とセットで組むのが賢い回り方です。花を見て、そのまま駅舎の中の湯船に沈む。この町の冬の楽しみ方は、これに尽きますよ。

高畠町のエリア別の顔

高畠町は、糠野目・高畠・屋代・亀岡・和田・二井宿の6つの地区に分かれています。盆地の中に3つの谷間があるという複雑な地形で、地区ごとに気候も土壌も違うため、ワイナリーは地区別にぶどうを仕込み分けているほどです(出典:高畠ワイナリー)。旅する視点で言うと、この6つは「玄関」「商店街」「童話」「文殊」「有機」「峠」と言い換えられます。

糠野目エリア──新幹線とワイナリーの玄関口

JR高畠駅と高畠ワイナリーがあるのが糠野目地区です。町の西端、国道13号沿いの平坦地で、旅の出入口はほぼここになります。

駅を出ると、緑のとんがり屋根の太陽館がいきなり目に入ります。改札の先が温泉、というのは何度体験しても笑ってしまう構造なんですよね。駅前にはホテルも隣接していて、車がなくてもここを拠点にできます。ワイナリーまでは徒歩10分ほど。

「新幹線で来て、荷物を置いて、まず一杯」という人に向いたエリアです。到着日と最終日の時間調整にも一番使いやすい場所ですよ。

高畠エリア──昭和が現役の中心市街地

町役場、商店街、そして安久津の歴史公園を含むのが高畠地区です。町の心臓部でありながら、時間の流れがゆっくりしています。

昭和縁結び通りは、観光地化された「昭和レトロ」ではありません。今も営業している店の軒先に、当時の看板やポスターが並んでいる。だから店の人と自然に会話が始まって、気づけば30分立ち話していた、ということが起こります。少し東へ行けば安久津八幡神社の三重塔と道の駅、瓜割石庭公園まで一直線です。

散策向き、そして「人と話したい人」向きのエリアです。半日かけて歩くのがちょうどいいですよ。

屋代エリア──童話とラ・フランスが生まれた土地

浜田広介の生地・一本柳と、ラ・フランス発祥の地とされる三条目を抱えるのが屋代地区です。町の北西部、扇状地の緩やかな傾斜地に果樹園と田んぼが混ざり合っています。

浜田広介記念館は、開館時間が9:00〜17:00(12月1日〜3月31日は9:30〜17:00、受付は16:30まで)、休館日は毎週月曜日・祝日の翌日・年末年始、入館料は大人500円・学生300円・小中学生200円です(出典:まほろば・童話の里 浜田広介記念館)。庭園には童話の彫刻が置かれ、移築された生家まで歩けます。

子ども連れ、そして絵本が好きな人に向いたエリアです。まほろばの緑道が通っているので、自転車で回るのが気持ちいいですよ。

亀岡エリア──文殊堂と果樹畑の斜面

亀岡地区は町の北側、山が近づくあたり。亀岡文殊の門前として、古くから人が集まってきた場所です。

集落を抜けて仁王門に着くと、空気が一段変わります。杉の大木に囲まれた石段は、上るほど音が消えていく。参道を歩いていると、ここが1200年前から人の祈りを受け止めてきた場所なのだと、理屈抜きで伝わってきます。周囲の斜面はぶどう畑で、7月の早朝には収穫の軽トラが行き交います。

受験生とその家族、それから静かな場所を求めている人に向いています。人の少ない平日の午前がおすすめですよ。

和田・二井宿エリア──有機農業の里と、峠へ続く谷

町の南東から東にかけて、和田地区と二井宿地区が山あいに伸びています。ここが高畠町の「奥」です。

和田地区は、1973年に始まった有機農業運動の中心地。田植えや稲刈りの時期には県内外から援農の人が入り、田んぼの畦で農家と消費者が並んで弁当を食べています。二井宿地区は宮城県境の二井宿峠と、福島県境の鳩峰峠へ向かう入口。大滝川沿いには、初夏にゲンジ蛍が舞う散策道があります。

農業体験や田舎の夜に興味がある人、それから峠を越えるドライブが好きな人向きのエリアです。ただし冬は雪が深く、峠は通行止めになります。訪ねるなら、緑の濃い6月から10月にかけてが正解ですよ。

高畠町の気候・季節の暮らし

高畠町の気候を一言でいえば「振れ幅が大きい」です。気象庁の平年値(統計期間1991〜2020年、高畠観測所)では、年平均気温は11.2℃。ただし1月の平均最低気温は氷点下4.2℃、8月の平均最高気温は30.2℃で、その差は34℃以上あります。観測記録では最高38.1℃、最低は氷点下19.2℃まで振れています。

この寒暖差が、デラウェアの糖度をつくっているわけです。つまり住む側から見た「厳しさ」と、食べる側から見た「おいしさ」は、同じコインの裏表なんですよね。季節ごとに見ていきましょう。

夏──6月〜8月の暮らし

夏は、はっきり暑いです。気象庁の平年値では、日最高気温が35℃以上になる猛暑日が年3.6日、30℃以上の真夏日が年36.8日、25℃以上の夏日は年97.1日。盆地なので風が抜けにくく、8月の日中は建物の中に逃げ込みたくなります。

ただし、夜が違います。日平均気温は8月でも24.3℃で、日が沈むと空気が入れ替わる。この昼夜の落差が、ぶどうに糖を溜めさせています。だから7月のデラウェア農家は、午前4時半には畑に立って収穫を始めるんですよ。

暮らしの実感としては、エアコンは必須です。一方で、山あいの二井宿や和田まで上がると数℃違うので、避暑がてら川沿いを歩く人もいます。初夏の夜、大滝川でゲンジ蛍が飛ぶのを見るのは、この時期だけの贅沢ですね。

秋──9月〜11月の暮らし

9月に入ると急に涼しくなります。日平均気温は9月で19.9℃、10月で13.2℃、11月には6.8℃まで落ちます。3か月で13℃下がる計算で、体感としては「秋があっという間に終わる」感じです。

ただ、この3か月が町の一番忙しい時期です。9月中旬から大粒ぶどうが最盛期を迎え、10月にはラ・フランスと稲刈り。直売所も道の駅も軽トラで混み合い、家々の軒下に段ボールが積み上がります。

11月に入ると、家の周りに雪囲いが立ち始めます。庭木を縄で縛り、車のタイヤを替え、灯油を入れる。秋の終わりは、この町では「冬の準備期間」という名前で呼んだほうが正確かもしれません。

冬──12月〜2月の暮らし

冬は雪です。1月の日平均気温は氷点下0.9℃、2月は氷点下0.6℃。奥羽山脈のふもとに位置するため降雪量が多く、朝起きたら車が埋まっている日が何度もあります。

雪国の朝は、音がありません。除雪車が通った後の道路だけがざらざら鳴って、それ以外はしんとしている。この静けさに慣れると、都会の朝がうるさく感じられるようになりますよ。

生活面では、除雪が現実的な負担になります。町では高齢者世帯向けの除雪支援金や、住宅リフォーム助成の対象に「克雪化」の工事を含めるなど、雪と付き合う前提の制度が用意されています(出典:高畠町公式ホームページ)。移住を考えるなら、雪かきをする人手があるか、駐車スペースをどう確保するかは、家探しの段階で考えておきたいポイントです。

楽しみもあります。2月には駅前で雪の上に牡丹が並び、そのまま駅舎の温泉に入れる。冬をやり過ごすのではなく、冬に用事をつくるのがこの町のやり方です。

春──3月〜5月の暮らし

3月の日平均気温は2.6℃で、まだ雪が残ります。ところが4月には9.1℃、5月には15.3℃と一気に駆け上がる。雪が消えたと思ったら、もう桜が咲いています。

まほろばの緑道の桜並木がトンネルになるのは、この時期です。廃線跡のまっすぐな道に花が続くので、自転車で走ると景色が流れていきます。

山あいでは山菜のシーズンが始まります。わらび、こごみ、たらの芽。雪が消えた斜面に人が入っていく光景は、置賜の春の風物詩です。5月の連休には高畠ワイナリーのイベントもあり、町全体が一気に動き出す感じがありますよ。

高畠町の移住・暮らし情報

高畠町で暮らす、と考えたとき、この町の強みははっきりしています。山形新幹線が停まること、東北中央自動車道のICがあること、そして町内に病院と小中学校と高校が揃っていること。人口約2万人の町でこの3つが揃うのは、なかなかありません。

一方で、車は必要です。町の中心部から端まで車で20分ほどかかる広さがあり、公共交通は本数が限られています。そのあたりも含めて、順番に見ていきますね。

通勤・通学

高畠町から通う先として現実的なのは、米沢市と南陽市、そして山形市です。奥羽本線の高畠駅から山形駅までは在来線で40分程度(出典:高畠町公式ホームページ)。米沢市街へは車で20〜30分ほどと考えられます。

町内には、農業と並んで工業の職場があります。電子部品、食料品、機械、リサイクル、バイオマス。「農業と工業の調和がとれた町」と言われるのは、この就業構造があるからです。町内で働いて町内に住む、という選択肢が現実的に成立します。

通学面では、山形新幹線通勤・通学という手もあります。実際、町では県立高畠高校に通う生徒への支援として、朝の通学支援便の運行やJR定期券の一部補助を行っています(出典:高畠町公式ホームページ)。

住宅環境

家賃は、都市部と比べればかなり抑えられます。SUUMOの掲載物件を見ると、高畠駅から徒歩圏の2LDKでおよそ5万円台後半、2Kで4万円前後という水準です(出典:SUUMO)。ただし賃貸物件の数自体が多くないため、時期によって選択肢の幅は変わると考えられます。

むしろ現実的なのは、家を買う・空き家を借りるルートです。町では移住定住促進事業助成金として、転入者が新築・建売住宅を取得する場合に上限40万円、中古住宅で上限20万円を助成しています。世帯全員45歳以下、新婚世帯、子育て世帯、空き家バンク登録物件などの条件で加算もあります(出典:高畠町公式ホームページ)。

空き家バンクも運営されていて、登録物件の情報提供を受けられます(出典:高畠町公式ホームページ)。先着順・予算の範囲内という制度が多いので、動くなら年度の早い時期がいいですよ。

買い物環境

日常の買い物は、国道13号沿いのロードサイド店と、高畠駅周辺、そして町中心部でだいたい足ります。まとまった買い物や専門店が必要なときは、車で20〜30分の米沢市街か南陽・赤湯方面へ出るのが一般的なパターンだと考えられます。

この町ならではなのが、直売所の強さです。道の駅たかはたの直売所は町内産にこだわった品揃えで、よねおりかんこうセンター内の「たかはた地産館」には置賜地域を中心とした契約農家から野菜や果物が届きます(出典:よねおりかんこうセンター)。

実際に暮らすと、スーパーで野菜を買う機会がぐっと減ります。夏はぶどう、秋はラ・フランスときのこ、春は山菜。ご近所からもらう分だけで冷蔵庫が埋まる、という話も珍しくないんですよね。

子育て・教育

町立の小学校は、高畠・二井宿・屋代・亀岡・和田・糠野目の6校です(出典:高畠町公式ホームページ)。中学校は、町内4校を統合した町立高畠中学校の1校に集約されています。

高校は県立高畠高等学校(総合学科)が町内にあります(出典:山形県立高等学校ポータルサイト)。町内で高校まで通える、というのは人口2万人規模の町では大きな条件です。

施設面では、旧町立高畠第4中学校の体育館を改築した屋内遊戯場「もっくる」があります。町産木材をふんだんに使った木育施設で、天候を気にせず遊べるうえ、小学生までの子どもとその保護者は無料で利用できます。子育て支援センターも併設されています(出典:やまがたごこち(山形県移住交流ポータルサイト))。

雪の季節に、屋根のある場所で子どもを思い切り走らせられる。これがどれだけありがたいかは、冬をひとつ越すと分かりますよ。

医療環境

町の医療の中心は、公立高畠病院です。昭和23年に設立され、現在は130床。救急告示病院としての役割を担いながら、地域包括ケア病棟や療養病棟を備え、訪問看護・訪問リハビリも行っています(出典:公立高畠病院)。

診療科は内科・小児科・外科・整形外科・眼科・泌尿器科・リハビリテーション科などが揃っています(出典:医療情報ネット(厚生労働省))。町内に小児科があるのは、子育て世帯には安心材料ですよね。

より高度な医療が必要な場合は、川西町にある公立置賜総合病院や米沢市内の病院が受け皿になります。車で30分前後の距離感と考えられます。

エリア別の暮らし視点

住む場所を選ぶなら、まず糠野目エリアです。高畠駅と国道13号があり、新幹線通勤や県外との行き来を前提にするならここ一択に近い。生活導線が最も短いエリアです。

役場・病院・商店街・高畠中学校が集まるのが高畠エリア。子育て世帯にとっては、通学と通院の両方が近いのが強みです。屋代エリアは高畠高校と浜田広介記念館があり、駅にも中心部にも出やすい中間的な立地です。

亀岡エリア和田・二井宿エリアは、山が近づく分だけ土地に余裕があります。畑つきの家を探すならこのあたりですが、雪の量も増え、冬の除雪は覚悟がいります。和田地区には50年続く有機農業のコミュニティがあるので、就農を考えて移住する人には有力な選択肢になると考えられます。

高畠町へのアクセス

高畠町は、東京から山形新幹線1本で来られる町です。東京駅から高畠駅までは山形新幹線で2時間20分。車なら東北中央自動車道の南陽高畠ICが町の玄関口です(出典:高畠町公式ホームページ)。仙台・福島からも日帰り圏内で、交通の便は人口規模の割に良好です。

車でのアクセス

東京方面からは、東北中央自動車道の南陽高畠ICより約10分で町の中心部に着きます。仙台方面からは、山形自動車道の山形蔵王ICより約50分、または東北自動車道の白石ICから国道113号経由で約1時間です(出典:高畠町公式ホームページ)。

福島市方面からは、東北中央自動車道経由で南陽高畠ICまで約45分です(出典:まほろば・童話の里 浜田広介記念館)。新潟方面からは日本海東北自動車道と国道113号を経由して約3時間。

アドバイスをひとつ。冬季は国道399号の鳩峰峠が通行止めになります。福島方面から山越えで入ろうとすると詰むので、冬は素直に高速を使ってくださいね。

鉄道でのアクセス

東京駅から高畠駅までは、山形新幹線で2時間20分です(出典:高畠町公式ホームページ)。乗り換えなしの1本で、福島駅から先はミニ新幹線として在来線を走ります。

仙台方面からは、仙台駅から仙山線で1時間かけて山形駅へ、そこから奥羽本線で40分の乗り継ぎです(出典:同上)。仙台から高畠へは新幹線の直通がないので、この乗り換えルートか、車のどちらかになります。

高畠駅に降りたら、改札を出てすぐ左が温泉です。到着した瞬間から旅が始まるのは、ここくらいのものですよ。

飛行機でのアクセス

最寄りは山形空港です。羽田空港から1時間5分、新千歳空港から1時間15分、大阪空港から1時間10分、名古屋空港から1時間5分(出典:高畠町公式ホームページ)。

山形空港からは、シャトルバスで35分かけて山形駅へ出て、そこから奥羽本線で40分です(出典:同上)。関西・中部方面から来るなら、東京経由の新幹線より空路のほうが早いケースがあります。

ただ、乗り継ぎ回数は増えます。荷物が多い旅なら、山形空港でレンタカーを借りて南下するのが現実的だと考えられます。

町内移動の現実的アドバイス

正直に言うと、町内は車がないと不便です。見どころは駅の東側の山あいに散らばっていて、路線バスも本数が限られています。

頼りになるのが、町内なら玄関から玄関まで乗れるデマンド交通(乗合タクシー)です。午前8時から午後4時まで運行し、料金は一般(中学生以上)500円。事前の利用者登録と予約が必要ですが、町外在住者でも登録できます。

観光なら、高畠駅の太陽館か道の駅たかはたでレンタサイクルを借りるのが賢い手です。3時間500円で、道の駅での乗り捨ても可能です(出典:山形県立うきたむ風土記の丘考古資料館)。廃線跡のまほろばの緑道はほぼ平坦なので、電動でなくても走れます。

ただし冬は自転車が使えません。12月から3月に来るなら、レンタカーかデマンド交通を前提に計画を組んでくださいね。


交通手段ごとに見てきましたが、「結局いちばん安く行くにはどうすれば?」と迷う方も多いはず。飛行機で向かうなら、航空券は予約のタイミングや会社によって料金が大きく変わります。複数の航空会社・LCCをまとめて比較できるサイトで、いちど最安値をチェックしておくと安心ですよ。

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【地元住民に直撃!】高畠町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。

ぶどう農家です。デラウェアを中心に作っています。この町は出荷量が日本一なんですよ。七月に入ると朝の四時半には畑に出て、お盆前まで毎日収穫が続きます。

親の代から同じ畑でね。粒は小さいけれど、昼と夜の寒暖差がある土地だから味がぎゅっと詰まるんです。それが誇りです。

Q2.高畠町に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?

やっぱり安久津八幡神社の三重塔ですね。苔むした石畳を歩くと、真夏でもすっと涼しい。池に映る塔を朝の光の中で見てほしいです。

地元の者としては、犬の宮・猫の宮も。杉並木の下は音が消えて、社殿は全国から届いた犬猫の写真でいっぱい。あそこの空気は独特です。あとは高畠町運動公園のあたり、秋になると競歩の選手が走り込んでいて、それも町の風景ですよ。

Q3.高畠町でお土産を買うとしたらなんですか?

無難なところなら、この町の有名なものといえばやっぱりワインとぶどうです。町のワイナリーは町内のぶどうで仕込んでいますから、はずれがない。

地元の者が買うのは、ミルクケーキですね。硬いのにしゃりっと崩れて、牛乳の味が濃い。あとは秋のラ・フランス。この町の一地区が発祥だと言われているんですよ。届いてから毎日そっと触って、食べ頃を待つのも土産のうちです。

Q4.外から人が来たときに、高畠町でまず連れていく店はどこですか?

まずは駅ですね。改札を出て十歩で温泉なんです。長旅の後にあれをやられると、みんな笑いますよ。

その後は、地元の直売所。町内の農家が朝持ち込んだ果物と野菜が並んでいて、季節がそのまま見える。食事なら、置賜の牛を出す店か、十割のそば屋へ。冬なら鯉のうま煮を出すところに連れて行きたいですね。海のない土地のごちそうですから。

Q5.高畠町はどんな気質だと思いますか?

言葉数は多くないです。初対面でべらべら喋る人は少ない。でも二度、三度と顔を出すと、帰り際にぶどうを持たされます。そういう距離感ですね。

それと、頑固です。五十年以上前に、若い農家たちが農薬も化学肥料も使わないと決めて有機農業を始めた土地ですから。周りに何を言われても自分で決める、という芯が今も残っていると思います。

Q6.昔に比べて、高畠町の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?

正直、人は減りました。二万人を切るのも時間の問題だと言われています。うちの周りでも、後を継ぐ人がいなくて畑を畳んだ家が何軒もある。夏の暑さも昔とは違って、収穫量が落ちる年が増えました。

ただ、暗い話ばかりでもないんです。夏祭りは今も町中が出てきますし、若い夫婦が戻ってきて古民家で農業を始めたりもしている。町長も外への発信に力を入れていて、町民センターの集まりでは移住の話題も出るようになりました。

Q7.高畠町のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?

役場の庁舎が新しくなって、町の真ん中が少し変わりました。木を使った屋内の遊び場もできて、雪の日に子どもを走らせられるのは本当にありがたいです。

期待しているのは観光ですね。この町は縄文の洞窟から水源の山まで揃っているのに、まだ知られていない。おすすめスポットを回る道を、もっと歩きやすく整えてほしい。土地は昔からここにあるんです。あとは伝え方だけだと思っています。

高畠町の関連リンク

本記事は、全国1741市町村を応援するために徹底調査して作成していますが、地元の方だからこそ知る最新情報や、記述の誤りなどがあれば、ぜひこちらのお問い合わせフォームよりお気軽にお知らせください。地域の皆様と一緒に、より素晴らしい紹介ページを作っていきたいと考えております。

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