鮭川村(さけがわむら)は、山形県北部・最上地方にある人口3,342人の小さな村です。村の中央を清流「鮭川」が南北に貫き、山形新幹線・新庄駅から車で約20分の距離にあります。
鮭川村の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ きのこ王国──なめこなど7品目を生産し、山形県のきのこ生産量のおよそ半分を占める県内屈指の産地
- ✅ トトロの木──映画のトトロにそっくりな巨木「小杉の大杉」(村指定天然記念物)
- ✅ 美人の湯・羽根沢温泉──とろとろの肌ざわりで知られる、大正時代開湯の間欠泉
- ✅ 庭月観音──最上三十三観音めぐりの結願(打ち止め)の寺、8月18日の灯ろう供養で有名
- ✅ 村名の由来は清流「鮭川」──秋に鮭が遡上し、保存食「鮭の新切り」が伝わる
「自然や清流が好きな旅行者」「巨木やパワースポットめぐりが好きな人」「静かな山里でゆったり過ごしたい移住希望者」に向いた村です。この記事では、序盤で見どころと歴史を、中盤から終盤で文化・風習や特産の食を、地元目線で紹介していきます。
| 人口 | 3,342 人 ※2026年6月1日時点(推計人口) |
|---|---|
| 面積 | 122.14 km² |
| 人口密度 | 27.4 人/km² |
地理的には、東は新庄市、南は戸沢村、北は真室川町、西は酒田市に接しています(出典:鮭川村公式サイト)。村の西部は出羽山地の山あいで、中央を鮭川が南北に流れる農山村です。鉄道は村北部をJR奥羽本線が通り羽前豊里駅がありますが、日常の足は車が中心。新庄駅からは車で約20分です。
きのこ、温泉、巨木、清流の鮭と、この小さな村には「顔」になる要素がぎゅっと詰まっています。ひとつずつ見ていきましょう。
鮭川村の推しポイント

まず知ってほしいのが、村が自ら名乗る「きのこ王国」。そしてSNSでも人気の「トトロの木」。そこに、とろとろの湯が自慢の羽根沢温泉、観音めぐりの結願の寺・庭月観音、村名の由来になった清流・鮭が続きます。産業・自然・温泉・信仰・食と、方向性の違う5つの顔を持っているのが鮭川村の面白さです。順番に紹介します。
きのこ王国──なめこ生産の里
鮭川村は、なめこをはじめ、しいたけ・えのきたけ・ぶなしめじ・まいたけなど7品目を育てる全国でも珍しい多品種のきのこ産地です。その生産量は山形県全体のおよそ5割を占め、村では公認キャラクター「サッキー」が“きのこ王国の王様”としてPRを担っています(出典:山形県山菜・きのこ振興会)。山形県はなめこの生産量が全国上位で、その主産地のひとつが鮭川村です(出典:山形県)。雪深い冬の仕事として広まった、この土地ならではの産業なんですよ。
トトロの木「小杉の大杉」
曲川地区にそびえる杉の巨木「小杉の大杉」は、てっぺんの2本の枝と裾広がりのシルエットが映画『となりのトトロ』のトトロにそっくり。SNSで話題になり、村を代表するスポットになりました。根回り6.3m、樹高約20m、推定樹齢は700年以上ともいわれ、村の天然記念物に指定されています(出典:山形県公式観光サイト)。芯が2本あることから夫婦杉・縁結びの木とも呼ばれ、根元には山神様の祠が祀られています。冬期(おおむね11月下旬〜4月上旬)は積雪で道と駐車場が閉鎖されるので、訪ねるなら雪のない季節がおすすめです。
美人の湯・羽根沢温泉
村の奥、山あいの中渡地区にあるのが羽根沢温泉。大正時代の石油試掘中に湧き出たという珍しい成り立ちの温泉で、県内でも数少ない間欠泉です。pH8.4の弱アルカリ性で強いとろみがあり、湯上がりに肌がつるつるになることから「美人の湯」と呼ばれています(出典:山形県公式観光サイト)。旅館以外に大きな観光施設のない、湯だけをじっくり楽しむ静かな温泉街。ただし、3軒ある旅館のうち1軒は2024年7月の豪雨被害で休業しているため、訪ねる前に営業状況を確かめておくと安心です。
庭月観音と灯ろうの明かり
鮭川のほとりに建つ庭月観音(正しくは庭月山月蔵院)は、天台宗の寺院で、最上三十三観音めぐりの結願(打ち止め)の地として知られます。戦国時代、この地を治めた鮭延城主ゆかりの寺と伝わり、境内裏には縄文時代の遺跡も残ります。毎年8月18日には送り盆の灯ろう供養が行われ、数百の灯ろうの明かりに包まれる情景は幻想的です(出典:鮭川村公式サイト)。
村の名は「鮭川」から
村の中央を流れる鮭川は、秋になると鮭が産卵のため遡上してくる清流。村名そのものがこの川に由来しています。村内には「鮭石」などの史跡があり、鮭・鱒を「天の恵み」として感謝する古い習俗が伝わってきたといわれます。鮭を寒風で熟成させる保存食「鮭の新切り」が郷土料理として残るのも、この土地らしさ。名前のとおり、鮭は鮭川村のいちばんの原点なんですよ。
鮭川村の歴史

鮭川村の歩みは、清流・鮭川とともにあります。明治の町村制で村が生まれ、昭和の合併で現在のかたちになり、豪雪と川の恵み・脅威の両方と向き合いながら暮らしが築かれてきました。名前の由来から現代の産業まで、時代の流れを追ってみます。
「鮭川」に生まれた村
1889年(明治22年)の町村制施行により、川口村・向居村・佐渡村・中渡村が合併して村が発足しました。村名は中央を流れる鮭川に由来します。古くから鮭・鱒を「天の恵み」として敬う習俗が伝えられ、川と人の暮らしが深く結びついていたことがうかがえます。
昭和の合併と豪雪の村
1954年(昭和29年)12月1日、豊田村・豊里村と合併し、あらためて現在の鮭川村が発足しました。村域の多くを山林が占める山あいの村であり、豪雪地帯として国の特別豪雪地帯に指定されています(出典:鮭川村公式サイト)。雪深い冬の仕事としてきのこ栽培が広まったのも、この気候と無縁ではありません。羽根沢温泉が村の湯治場として親しまれるようになったのも、大正から昭和にかけてのことでした。
現代──清流と災害のあいだで
鮭川は恵みをもたらす一方、時に「暴れ川」となりました。1947年(昭和22年)8月には集中豪雨で河川が氾濫し、水田が広く冠水する被害が出ています。近年も2024年7月の豪雨で庭月観音や羽根沢温泉の旅館が浸水するなど、水害と向き合い続けてきました。それでも、なめこを中心とするきのこ産業や羽根沢温泉、鮭川歌舞伎といった資源を軸に、村は「きのこ王国」「清流の里」として今の姿を形づくっています。
鮭川村の文化・風習

方言と話し方の特徴
鮭川村を含む最上地方では、新庄市を中心とした「新庄弁(最上方言)」が話されています。イントネーションの上下が少なく、淡々と流れるような話し方が特徴です。地元のことばをいくつか紹介しますね。たとえば同意するときのんだ(そうだ)は県内共通ですが、最上では強めに言うときんだじゅ(そうですよ)と語尾が「じゅ」になります。方向を表すときは〜さ(〜へ)を使い、「新庄さ行ぐ」で「新庄へ行く」の意味。ほかにも、ひどく疲れたときのこわい(体がだるい・疲れた)、「食べて」を短く言うけ(食べなさい)、急ぐようすのわらわら(急いで)など、聞くとほっとする響きの言葉が今も使われています。旅行の地の文で無理に使う必要はありませんが、宿の方が話す“じゅ”の響きに耳をすませてみてください。
灯ろうと送り盆の風景
お盆の終わり、8月18日の庭月観音の灯ろう供養は、村の夏を締めくくる行事です。かつては目の前を流れる鮭川に数千の灯ろうを流す、仏式では東日本随一と称される灯ろう流しでした。近年は川の増水リスクや担い手の減少から、境内を灯ろうで照らす「万灯供養会」として営まれています(出典:山形県公式観光サイト)。かたちは変わっても、先祖を思って手を合わせる灯りの情景は今も静かに受け継がれています。
鮭川歌舞伎──農村に伝わる舞台
江戸時代、巡業してきた歌舞伎一座から村人へ伝えられたのが「鮭川歌舞伎」。一度は担い手が減り途絶えかけましたが、保存会によって再興され、現在は山形県の指定無形民俗文化財として受け継がれています。年に一度、村の中央公民館で公演が行われ、子どもたちが舞台に立つ姿も見られます。農村に根づいた素朴な芝居の熱気は、この村ならではの文化なんですよ。
雪とともにある暮らし
特別豪雪地帯に指定される鮭川村の冬は、あたりが一面の雪に覆われます。だからこそ、冬は屋内でのきのこ栽培が村の大事な仕事になり、軒下には鮭を寒風にさらす保存食が下がります。春の雪解け水が清流を潤し、秋には鮭が帰ってくる。四季のめりはりが、そのまま暮らしのリズムになっている村です。
鮭川村の特産品・食

なめこ(きのこ王国の主役)
まずは村の看板、なめこ。鮭川村のなめこは、おがくずを詰めたビンで一年を通して育てる菌床栽培が中心です。地元では、軸が短くつぶが充実していて、水分が少なく日持ちがすることから評価が高いと言われています。とろりとした食感を生かすなら、あたたかい味噌汁やお鍋、めんつゆで和えてご飯にのせるのが定番。旬をとくに感じたいなら、9月〜11月ごろに出回る「原木なめこ」もおすすめです。ぬめりが濃く、里芋と合わせた芋の子汁に入れると格別なんですよ。村ではなめこを含む7品目を生産し、その量は山形県全体のおよそ5割にのぼります(出典:山形県山菜・きのこ振興会)。秋には「鮭川きのこ王国まつり」が鮭まつりと合わせて開かれ、きのこ汁やなめこのつかみどりが楽しめます(出典:VISIT YAMAGATA(山形県観光物産協会))。
鮭と「鮭の新切り」
村名のとおり、鮭も欠かせない食。とくに知ってほしいのが郷土料理の「鮭の新切り(ようのじんぎり)」です。内臓を取り除いた身に塩をふって数日かけて水分を抜き、そのあと寒風にさらして熟成させる、冬の保存食。軒下に鮭がずらりと下がる光景は、村の冬の風物詩です(出典:鮭川村エコパーク)。塩気とうまみがぎゅっと凝縮された身は、鍋に入れたり、ほぐしてまぜご飯にしたり、日本酒のあてにしたり。塩鮭とはひと味違う、熟成ならではの濃い味わいを想像してみてください。
山菜と清流の恵み
春になれば、出羽山地のふもとで山菜がいっせいに芽吹きます。わらびやたらのめといった山の幸は、山形県内でも生産量が全国上位に入るほど(出典:山形県)。夏には清流・鮭川で育った鮎、秋にはきのこと、羽根沢温泉の旅館では四季の郷土料理が並びます。産直施設「さけまるくん」では、村でとれた米や野菜、きのこが手に入るので、旅の締めに立ち寄ってみてください。清流と山と雪がそろった鮭川村だからこそ生まれる、季節の食卓が待っています。
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鮭川村の観光スポット

序盤で紹介した「きのこ王国」「トトロの木」「美人の湯」「庭月観音」を、ここからは実際に歩く目線で深掘りしていきます。鮭川村の見どころは、巨木や湿原・滝といった自然と、観音や巨木にまつわる信仰、そして体験施設に大きく分かれます。清流・鮭川を軸に、点在するスポットをつないでいくのが村歩きの基本なんですよ。
村を代表する巨木と自然
- 小杉の大杉(トトロの木) – 曲川地区の田園にそびえる杉の巨木で、映画『となりのトトロ』のトトロにそっくりな樹形が人気。根回り6.3m、樹高約20m、村指定の天然記念物です(出典:山形県公式観光サイト)。少し離れて眺めると、耳のように立つ2本の枝とぽっこりしたお腹のシルエットが浮かび上がります。根元には山神様の祠が祀られ、緑の田んぼに囲まれる初夏は写真映えする季節。冬期(おおむね11月下旬〜4月上旬)は道と駐車場が閉鎖されるので、雪のない時期に訪ねてください。
- まぼろしの滝群 – 大芦沢川沿いに点在する滝の総称で、修験者が修行したという「大滝(不動明王の滝)」など見ごたえのある滝が続きます。遊歩道が整備され、登山口から滝群までは徒歩30分ほど(出典:山形県公式観光サイト)。ブナ林を抜けて水音に近づくと、ひんやりした空気に包まれます。冬期(おおむね11月下旬〜5月上旬)は仮設橋の撤去と林道通行止めで入れなくなるため、初夏〜秋がねらい目です。
- 与蔵沼 – 最上と庄内を結ぶ古道・与蔵峠の途中にある沼で、炭焼きの与蔵が大蛇になって住み着いたという伝説が残ります。まわりはブナの原生林で、羽根沢登山口や大芦沢登山口からのトレッキングで訪ねられます。天候や季節で表情を変える静かな水面は、歩いてきた人だけが出会える景色なんですよ。
- 米湿原(よねしつげん) – 米地区の住民と鮭川村自然保護委員会が復元・保全してきた湿原。雪解けとともにギフチョウが舞い、春はザゼンソウやミツガシワ、夏はキンコウカ、秋はエゾリンドウと、季節ごとに希少な花が咲きます(出典:山形県公式観光サイト)。展望台からは村の田園と鳥海山が望めます。冬期(おおむね11月下旬〜4月中旬)は駐車場までの村道が通行止めです。
観音と信仰のスポット
- 庭月観音(庭月山月蔵院) – 鮭川のほとりに建つ天台宗の寺院で、最上三十三観音めぐりの結願(打ち止め)の地。境内には巡礼者が納めた笈摺や金剛杖がびっしりと並びます(出典:鮭川村公式サイト)。赤い観音寺橋と清流、背後の山が一枚の絵のようで、静かに手を合わせたくなる場所です。8月18日の灯ろう供養の日は、境内が数百の灯りに包まれます。
体験できるスポット
- 鮭川村エコパーク – 「木の子の森」に広がるアウトドア拠点で、コテージやキャンプ場、体験メニューがそろいます。営業時間は8:30〜17:30、定休日は火曜(ゴールデンウィーク、7月第4月曜〜8月最終月曜は無休)です(出典:鮭川村エコパーク)。石窯ピザ焼き体験(一人650円〜)やバームクーヘン作りなどがあり、家族連れでにぎわいます。秋のきのこイベントの舞台にもなる、村の交流の中心なんですよ。
- 鮭の子公園(鮭の子館) – 泉田川の河畔にある公園で、川遊びや産地直売所の機能をもつ拠点。秋の鮭まつりの会場にもなり、鮭のつかみどりで子どもたちの歓声が上がります。清流のそばでのんびり過ごすのにちょうどいい場所です。
鮭川村の観光ルート

鮭川村は鉄道の便が限られるので、車での移動が基本になります。新庄駅を起点に、巨木・観音・温泉を半日〜1日でつなぐルートと、山あいの滝や沼を歩く自然派ルートが組めます。清流沿いに点在するスポットを、季節に合わせて回ってみてください。
【車・半日】トトロの木と観音めぐりルート
9:00 新庄駅 → 9:20 小杉の大杉(車20分)
①小杉の大杉(トトロの木)(40分)
→ 朝の柔らかい光の中、田んぼ越しに巨木を眺めるのがおすすめ。人が少ない午前中は写真もゆっくり撮れます。
9:40 小杉の大杉 → 10:00 庭月観音(車15分ほど)
②庭月観音(40分)
→ 巡礼の結願の寺で静かに手を合わせ、赤い橋と清流の景色を楽しみます。境内の落ち着いた空気にほっとしますよ。
10:50 庭月観音 → 11:10 産直さけまるくん(車10分ほど)
③鮭の子公園・産直(40分)
→ 村でとれた米やきのこ、野菜を見て回り、おみやげ選び。清流のそばで小休止するのにちょうどいい立ち寄り先です。
半日で村の「顔」をコンパクトに押さえられるルート。午後に新庄へ戻って昼食、という組み方もしやすいですよ。
【車・1日】きのこ王国と美人の湯ルート
10:00 新庄駅 → 10:15 鮭川村エコパーク(車15分)
①鮭川村エコパーク(2時間)
→ 石窯ピザやバームクーヘン作りに挑戦。木の子の森を散策しながら、きのこ王国らしい体験を楽しみます。
12:30 エコパーク → 12:45 小杉の大杉(車15分ほど)
②小杉の大杉(トトロの木)(30分)
→ 昼のあいだに巨木へ立ち寄り。縁結びの木の前で記念撮影を。
13:30 小杉の大杉 → 14:00 庭月観音(車20分ほど)
③庭月観音(40分)
→ 午後の斜めの光が境内を照らし、朝とは違う静けさが漂います。
15:00 庭月観音 → 15:30 羽根沢温泉(車30分ほど)
④羽根沢温泉(2時間)
→ 一日の締めは、とろとろの美人の湯でゆっくり。肌がつるつるになる湯ざわりを味わって、そのまま宿泊するのもおすすめです。
体験・巨木・信仰・温泉と、村の魅力を1日で味わえる王道ルートです。
【車・1日】山あいを歩く自然派ルート(初夏〜秋)
8:30 新庄駅 → 9:00 羽根沢温泉駐車場(車30分)
①与蔵沼・与蔵峠トレッキング(3〜4時間)
→ ブナの原生林を抜けて、大蛇伝説の残る与蔵沼へ。展望スポットからは鳥海山も望めます。歩きごたえのある一日です。
※ 羽根沢登山口〜与蔵沼〜まぼろしの滝群を歩く推奨ルートは、発着地が異なり送迎や車の回送が必要です。
②まぼろしの滝群(1時間)
→ 沢沿いの遊歩道で、水量豊かな大滝の迫力を間近に。木陰と水音が心地よい夏向きのスポットです。
下山後は③羽根沢温泉で汗を流すのが定番。歩いた後の美人の湯は格別ですよ。冬期は林道が通行止めになるので、雪のない季節に計画してください。
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鮭川村の年間イベント

鮭川村のイベントは、清流ときのこ、そして送り盆の信仰行事が軸です。初夏は山を歩くトレッキング、夏は灯ろうの明かり、秋はきのこと鮭の恵みを味わう祭りと、季節がそのままテーマになっています。それぞれ現場の空気がまるで違うので、行く時期で村の顔が変わりますよ。
初夏:山と湿原を歩くイベント
まず紹介したいのが、毎年6月ごろに開かれる「まぼろしの滝・与蔵の森トレッキング」。村の主催で、ブナの原生林や滝群、与蔵沼をガイドと歩くツアーです(出典:山形県(やまがた景観物語))。県外からの参加者も多く、快晴の下、班に分かれて山道を進む出発式のわくわく感が魅力。同じ6月ごろには米地区の「米湿原まつり」も開かれ、希少な花々の観察が楽しめます。新緑と沢の水音のなか、汗をかいて歩く初夏の一日はとても気持ちいいですよ。
夏:庭月観音の灯ろう供養
夏の主役は、8月18日の庭月観音の灯ろう供養です。送り盆の行事として長く受け継がれ、かつては目の前の鮭川に数千の灯ろうを流す、仏式では東日本随一と称された灯ろう流しでした(出典:山形県公式観光サイト)。近年は川の増水リスクや担い手の事情から、境内を灯ろうで照らす万灯供養会として営まれています。日が落ちると、数百の灯りが静かに境内を包み、読経の声が響く光景はしみじみと胸に残ります。夕暮れどきに合わせて訪ねてみてください。
秋:きのこと鮭の実りを味わう祭り
食欲の秋は、村がいちばんにぎわう季節。近年は「まるごとさけがわ鮭まつり」と「鮭川きのこ王国まつり」が合わせて開かれ、鮭のつかみどりやなめこのつかみどり、きのこ汁の販売でにぎわいます(出典:VISIT YAMAGATA(山形県観光物産協会))。大鍋から立ちのぼる湯気、炭火で焼くきのこの香り、川に入って鮭をつかまえる子どもたちの歓声。きのこ王国・鮭川ならではの実りを、五感で味わえる一日なんですよ。開催時期は年によって前後するので、最新の告知を確かめてから出かけてください。
鮭川村のエリア別の顔

鮭川村は、中央を流れる鮭川に沿って集落が点在する村です。旅の目線でざっくり分けると、役場や公民館のある中心部、観音と巨木が集まる川沿いエリア、そして温泉と山あいの西部エリアの3つ。どこも車での移動が前提になりますが、エリアごとに見える景色がかなり違います。目的に合わせて回るエリアを選ぶと、旅の密度がぐっと上がりますよ。
佐渡・京塚エリア──村の中心と巡礼の川辺
役場や中央公民館のある佐渡地区を中心とした、村の中心エリア。鮭川歌舞伎の公演が行われる中央公民館があり、文化の拠点になっています。川を挟んだ京塚側には庭月観音があり、巡礼者や灯ろう供養を訪ねる人が集まります。落ち着いた川辺の町並みを歩きたい人、信仰の場に静かに触れたい人に向いたエリアです。
曲川・川口エリア──巨木ときのこの里
トトロの木「小杉の大杉」がある曲川、エコパークや産直のある川口を含む、村のにぎわいエリア。巨木めぐりや体験施設、産地直売所と、旅行者が立ち寄りやすいスポットが集まっています。米湿原へ向かう入口もこのあたり。家族連れや、写真とおみやげを楽しみたい人におすすめの一帯なんですよ。
中渡・西部山あいエリア──温泉と原生林
羽根沢温泉のある中渡地区から、出羽山地に連なる西部の山あいエリア。とろとろの美人の湯にひたる温泉旅と、与蔵沼やまぼろしの滝を歩くトレッキングの拠点になります。観光地化されていない静かな温泉街と深いブナ林が魅力で、湯治気分でこもりたい人、山を歩きたい人にぴったり。日常から離れて、ゆっくり時間を過ごしたいときに訪れてほしいエリアです。
鮭川村の気候・季節の暮らし

鮭川村は、はっきりした四季と豊富な雪が特徴の内陸の村です。隣接する新庄の平年値では、年平均気温は11.0℃、8月の平均が24.2℃、1月の平均は-0.8℃。冬の降雪量は年間で6m以上に達し、特別豪雪地帯に指定されています(出典:気象庁)。夏は蒸し暑く、冬は雪深い。この寒暖のふり幅が、きのこや米、清流の鮭を育てているんですよ。
夏──6月〜8月の暮らし
夏は盆地特有の蒸し暑さがあり、8月は平均24.2℃、日中は30℃近くまで上がる日もあります(出典:気象庁)。とはいえ山あいの村なので、朝晩は川風がひんやり。日中は与蔵沼のブナ林やまぼろしの滝など、涼しい水辺を歩くのにいい季節です。清流での川遊びが似合う、みずみずしい夏なんですよ。
秋──9月〜11月の暮らし
秋はきのこと鮭の季節。10月下旬から11月下旬にかけては、鮭川に鮭が遡上してくる姿が見られます。朝晩の冷え込みが増し、11月には初雪が降り始めます。紅葉のブナ林や、与蔵高原から見る雲海と日の出が美しい時期。食も景色もいちばん豊かになる、村がにぎわう季節です。
冬──12月〜3月の暮らし
冬は雪との暮らしになります。1月の平均気温は-0.8℃、年間の降雪量の合計は6m以上、最深積雪は1m以上に達します(出典:気象庁)。雪かきは冬の日課で、車の運転にも冬タイヤと慣れが必要です。一方で、雪深い冬だからこそ室内でのきのこ栽培が村の仕事として根づきました。軒下に鮭を吊るす「鮭の新切り」も、この寒さがあってこそ。厳しさと恵みが背中合わせの季節です。
春──4月〜5月の暮らし
雪解けは4月ごろ。長い冬が終わると、米湿原ではギフチョウが舞い、ザゼンソウやミツガシワが咲き始めます。田んぼに水が入り、山菜がいっせいに芽吹く、生命感にあふれる季節です。雪の重さから解放されて、村全体がふっと明るくなる。春の訪れがことさら待ち遠しく感じられる土地なんですよ。
鮭川村の移住・暮らし情報

鮭川村での暮らしは、車が生活の前提です。村内に大型スーパーはなく、買い物や通院は隣の新庄市や真室川町を頼ることになります。その分、家賃や物価はおさえめで、自然のなかでのびのび暮らせる環境。移住支援も手厚く用意されています。「住む現実」を具体的に見ていきましょう。
通勤・通学
働く人の多くは、車で10分ほどの新庄市へ通勤しています。村内は稲作やきのこ生産などの農業も基幹産業です。通学は、村内の鮭川小学校・鮭川中学校が基本。高校は新庄市などへ通うことになります。学生や高齢者の足として、村営バス(路線・デマンド)が主要な駅や病院を結んでいます(出典:鮭川村公式サイト)。
住宅環境
住まい探しの中心は、村の空き家・空き地バンクです。たとえば木造2階建ての売却物件で60万円程度といった例もあり、都市部に比べて住居費はかなりおさえられます(出典:鮭川村公式サイト)。村内全域に独自の光ファイバー網が敷かれ、高速通信でリモートワークもしやすい環境です。集落は鮭川沿いに点在し、庭付きの一戸建てが中心になります。
買い物環境
村内には産直施設「さけまるくん」や小さな商店があり、米・野菜・きのこは地元で手に入ります。ただしスーパー、ドラッグストア、コンビニ、ホームセンターは、車で10分ほどの新庄市や真室川町を利用するのが日常です(出典:鮭川村公式サイト)。まとめ買いが基本のスタイルになりますが、慣れれば無理のないリズムで回せますよ。
子育て・教育
子育て支援は村の力の入れどころです。0歳から高校生まで医療費が無料の子育て支援医療助成があり、平成29年度からは鮭川小・鮭川中に通う児童・生徒の学校給食費を無償化しています(出典:山形県移住交流ポータルサイト やまがたごこち)。給食にはきのこを使った地産地消メニューも登場します。少人数で目が行き届く環境で、のびのび育てたい家庭に向いています。
医療環境
村内の診療所は1件で、日常の体調管理はここが窓口になります。大きな病院は新庄市や真室川町にあり、車で10〜20分ほどでアクセスできます(出典:山形県移住交流ポータルサイト やまがたごこち)。村営バスも病院と結ばれています。専門的な医療は近隣市に頼る形なので、車での移動を前提に考えておくと安心です。
移住支援と暮らしのエリア感
令和7年からは「やまがた暮らし移住登録」を条件に、住まいの家賃補助、若者・子育て世帯支援金、米・味噌・醤油の食の支援などが用意されています(出典:鮭川村公式サイト)。県外からの若者・子育て世帯には移住支援金(最大40万円)もあります。暮らす目線では、役場や学校のある佐渡地区周辺が生活の中心。曲川・川口エリアは産直や施設が近く子育て向き、羽根沢温泉のある西部は静かな山里暮らし向き、と地区で表情が分かれます。
鮭川村へのアクセス

鮭川村への玄関口は、山形新幹線の終点・JR新庄駅です。首都圏からは新幹線一本で新庄まで来られ、そこから車で村へ入るのが基本ルート。村内には新幹線駅がないため、新庄駅を起点に考えると分かりやすいですよ。
鉄道でのアクセス
東京駅からは山形新幹線つばさで新庄駅まで、乗り換えなしで約3時間30分前後です(出典:やまがた移住・交流フェア2026(鮭川村紹介))。新庄駅から村の中心部までは車で約20分(出典:鮭川村公式サイト)。村北部にはJR奥羽本線の羽前豊里駅もありますが、観光やビジネスなら新庄駅を拠点にするのが現実的です。
車でのアクセス
車の場合、新庄市から国道458号を経由して村へ入ります。山形空港からは約50km・車で約1時間20分です(出典:鮭川村公式サイト)。村内はスポットが点在し公共交通も限られるため、レンタカーなど車での移動がいちばん快適です。冬は雪道になるので、時間に余裕をもった運転を心がけてください。
飛行機でのアクセス
遠方からは、山形空港(東根市)が最寄りです。空港から村までは車で約1時間20分(出典:鮭川村公式サイト)。庄内空港(酒田市・鶴岡市)を利用する手もあります。いずれの空港からもレンタカーでの移動が前提になるので、到着後の足を確保しておくと安心です。
村内移動の現実的アドバイス
村内は自家用車が基本の生活圏です。観光で訪れる場合も、新庄駅でレンタカーを借りてスポットを回るのがいちばんスムーズ。学生や高齢者、車のない人向けには村営バス(路線・デマンド)が主要駅や病院を結んでいるので、事前に運行を確かめておくと動きやすいですよ。
交通手段ごとに見てきましたが、「結局いちばん安く行くにはどうすれば?」と迷う方も多いはず。飛行機で向かうなら、航空券は予約のタイミングや会社によって料金が大きく変わります。複数の航空会社・LCCをまとめて比較できるサイトで、いちど最安値をチェックしておくと安心ですよ。
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【地元住民に直撃!】鮭川村の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
きのこ農家をしています。この村はきのこ王国なんて呼ばれていて、なめこを中心に何種類も育てているんですよ。雪深い土地ですから、冬のあいだの仕事として代々受け継いできたものです。
手はかかりますが、つぶが締まって足の短い、うちのなめこは自慢です。県内でもたくさん出しているほうで、この仕事に誇りを持ってやっています。
Q2.鮭川村に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
まずは小杉の大杉、いわゆるトトロの木ですね。田んぼの中にぽつんと立っていて、少し離れて眺めると本当にトトロそっくり。朝の光の中で見ると、静かで神々しいんですよ。
あとは村の水源でもある鮭川沿い。庭月観音のあたりや、地元の者がふらりと歩く川辺は、水の音と風だけの時間が流れていて、それがなんとも贅沢です。
Q3.鮭川村でお土産を買うとしたらなんですか?
やっぱりきのこですね。なめこやしいたけは日持ちもするし、村のおすすめスポットである産直に行けば、朝採れのものが手に入ります。鍋や味噌汁に入れれば間違いないですよ。
それから地元の者しか知らないのは、鮭を寒風で干した「鮭の新切り」。冬の保存食で、ほぐしてご飯に混ぜたり、お酒の肴にしたり。素朴だけど、これがこの村の味なんです。
Q4.外から人が来たときに、鮭川村でまず連れていく店はどこですか?
お店らしいお店は多くありませんから、まずは産直に寄って、村でとれたきのこや野菜を見てもらいます。地元の食材が並ぶ様子を見るだけでも、この土地の豊かさが伝わりますからね。
そのあとは羽根沢温泉へ。とろとろの美人の湯で、旅館では山菜やきのこの郷土料理が出ます。湯と地のものでもてなすのが、この村らしいやり方なんですよ。
Q5.鮭川村はどんな気質だと思いますか?
雪と川とともに暮らしてきた土地ですから、辛抱強くて、地に足のついた人が多いですね。派手なことはしないけれど、困ったときには自然と手を貸し合う、そういう温かさがあります。
お観音さまの灯ろうを守ったり、湿原を地区総出で手入れしたり。みんなで支えて残していく、その気質が今も根っこにあると感じています。
Q6.昔に比べて、鮭川村の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直、人は減りました。若い人は新庄のほうへ働きに出て、子どもの声も昔より少なくなりましたね。学校も統合されて、寂しくなったのは確かです。
ただ、村を出た人だけじゃなく、外から移り住んでくる家族も少しずついて。きのこや自然を目当てに来てくれる人もいます。細くても、その灯が消えないのが救いです。
Q7.鮭川村のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
大きな箱物より、今あるものを守り育てる動きに期待しています。川遊びやきのこの体験ができる場所、市町村民センターでの催しなど、人が集まれる場が続いてほしいですね。
村長さんはじめ、移住してくる人を支える取り組みも進んでいます。運動公園や観光の場を生かして、若い世代がまた根を張れる村になってくれたら、それが一番の願いです。

