鹿角市(かづのし)は、秋田県の北東端に位置する人口25,110人の市です。北東北3県のほぼ中央にあり、北は青森県、東は岩手県と境を接します。盛岡・青森・八戸のいずれからも車でおよそ1時間圏内です。
鹿角市の見どころを5つに絞ると、こうなります:
- ✅ きりたんぽ発祥の地──米代川流域・花輪盆地で生まれた秋田を代表する郷土食
- ✅ 大湯環状列石──約4,000年前の縄文ストーンサークル(世界文化遺産・国の特別史跡)
- ✅ 3つのユネスコ無形文化遺産──花輪ばやし・大日堂舞楽・毛馬内の盆踊が同じ市内に揃う
- ✅ かづの北限の桃──市場に出回るのが全国で最も遅い、9月出荷の桃の産地
- ✅ 史跡尾去沢鉱山──南部藩直営で栄えた大鉱山の跡と、点在する温泉郷
「縄文や地学に興味がある人」「祭りや民俗芸能を旅の目的にできる人」「果物と温泉をゆっくり楽しみたい人」に特におすすめの市です。序盤で観光・歴史・食を紹介したうえで、後半では方言や冬の暮らしといった生活の空気感まで、地元目線でお伝えします。
| 人口 | 25,110 人 ※2026年6月1日時点(推計人口) |
|---|---|
| 面積 | 707.52 km² |
| 人口密度 | 35.5 人/km² |
地理的には、西に大館市と北秋田市、南に仙北市、北に小坂町が接し、県外では東に岩手県八幡平市、北東方向に青森県の十和田市・田子町・三戸町・新郷村と接しています(出典:鹿角市公式サイト)。市域は南北に長く、米代川に沿って国道282号・東北自動車道・JR花輪線が縦断します。
市の大部分を占める花輪盆地は稲作とりんご栽培の中心地で、そこを外れると八幡平をはじめとする山々と温泉地が広がります。江戸時代は秋田県内でありながら南部藩(盛岡藩)に属していた土地で、県内の他地域とは少し違う食や言葉が今も残っています。まずは、この市の「顔」から見ていきましょう。
鹿角市の推しポイント

秋田名物として全国区のきりたんぽは、実はこの鹿角市が発祥とされています。さらに約4,000年前の縄文遺跡「大湯環状列石」が世界文化遺産に登録され、花輪ばやし・大日堂舞楽・毛馬内の盆踊という3つのユネスコ無形文化遺産まで抱える、文化の密度がとても高い市なんです。ここでは食・歴史・文化・産業の各ジャンルから、順に深掘りしていきます。
推しポイント1:きりたんぽ発祥の地
すりつぶしたご飯を串に巻いて焼き、比内地鶏の出汁で煮込む「きりたんぽ鍋」。このきりたんぽが生まれたのが鹿角市とされています(出典:鹿角市公式サイト)。地元では、たんぽを鍋にせず味噌をつけて焼く「味噌付けたんぽ」も定番。発祥の地で食べる一杯は、やっぱり格別ですよ。
推しポイント2:大湯環状列石──縄文の世界遺産
市の北東部にある大湯環状列石は、縄文時代後期(約4,000年前)に川原石を円形に並べてつくられたストーンサークルです。1956年に国の特別史跡に指定され、2021年7月には「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産としてユネスコ世界文化遺産に登録されました(出典:世界遺産 北海道・北東北の縄文遺跡群)。最大径52メートルの万座環状列石は、日本最大級の規模とされています。石の並びが夏至の日没方向とほぼ一致するという説もあり、縄文人の世界観に思いを馳せられる場所です。
推しポイント3:3つのユネスコ無形文化遺産
鹿角市には、ユネスコ無形文化遺産に登録された民俗行事が3つもあります。夏に町を熱くする「花輪ばやし」、正月2日に奉納される「大日堂舞楽」、そしてお盆の「毛馬内の盆踊」です。ひとつの市に3件そろうのは全国的にも珍しく、市も「世界遺産のまち」を掲げています。祭り好きなら、季節を変えて何度も通いたくなるはずです。
推しポイント4:かづの北限の桃
りんごの産地として知られる鹿角市ですが、近年注目されているのが桃です。「かづの北限の桃」は、山梨・福島などの主産地より2週間ほど遅い9月頃に出荷される、市場に出回るのが全国で最も遅い桃として売り出されています(出典:鹿角市公式サイト)。昼夜の寒暖差が生む締まった果肉と甘み、ぜひ味わってみてください。
推しポイント5:尾去沢鉱山と温泉
江戸時代、鹿角市の尾去沢鉱山は南部藩直営の鉱山として栄えました。1978年の閉山後は坑道が観光施設「史跡尾去沢鉱山」として整備され、坑内をたどりながら採掘の歴史を体感できます。市内には八幡平温泉郷・大湯温泉・湯瀬温泉といった温泉地も点在し、鉱山と湯めぐりをセットで楽しめるのも、この市ならではです。
鹿角市の歴史

鹿角の歴史は、大きく3つの時代でとらえると分かりやすくなります。約4,000年前の縄文文化の拠点だった古代、南部藩の支配下で鉱山とともに歩んだ近世、そして4つの町村が合併して現在の市が生まれた現代です。県内でありながら「旧南部領」という出自が、今の食や言葉にまでつながっています。
古代──縄文文化の拠点
鹿角一帯には、少なくとも5,000年前から人が暮らしていたと推定されています。その象徴が、縄文時代後期につくられた大湯環状列石です。国の特別史跡であり、2021年に世界文化遺産に登録されました(出典:世界遺産 北海道・北東北の縄文遺跡群)。祭祀と墓の場であったと考えられ、この地が広い文化圏の中心だったことを物語ります。
近世──南部藩と尾去沢鉱山
戦国時代の鹿角は鹿角四頭と呼ばれる領主の支配下にあり、江戸時代には南部藩(盛岡藩)の領地となりました。花輪と毛馬内には代官所が置かれ、尾去沢鉱山は藩の直営鉱山として銅などを産出しました。秋田県内で唯一、旧南部領という歴史を持つことが、鹿角独自の文化の土台になっています。
現代──合併で生まれた鹿角市
明治4年(1871年)に秋田県へ編入され、1972年(昭和47年)、花輪町・十和田町・尾去沢町・八幡平村の4町村が合併して鹿角市が発足しました。発足当時は県内最大の面積を誇りました。尾去沢鉱山は1978年に閉山しましたが、跡地は観光施設として今も鹿角の産業史を伝えています。
鹿角市の文化・風習

方言と話し方の特徴
鹿角のことばは「鹿角弁(鹿角方言)」と呼ばれ、同じ秋田県でも他地域の秋田弁とはっきり区別されます。理由は歴史にあって、江戸時代に南部藩領だったため、岩手側の南部弁の影響を色濃く受けているんです。たとえば昔話の結びは、県南の「とっぴんぱらりのぷぅ」に対して、鹿角など県北ではどっとはれ(これでおしまい・めでたしめでたし)と言います。推量や意志を表す〜べ/〜べえ(〜だろう・〜しよう)も南部系の特徴です。命令の言い方も、他の秋田弁では「見れ」「起きれ」となるところ、鹿角では標準語と同じ「見ろ」「起きろ」に近い形が使われます。旅先で耳を澄ませると、県境の文化のグラデーションが感じられて面白いですよ。
食卓と季節の暮らし
南部藩の食文化を受け継ぐ鹿角では、県内では珍しい料理が食卓に並びます。くるみやごまの餡を汁に浮かべる「けいらん」、小麦を使う「南部煎餅」や「くるみ餅」などです。もちろん、発祥の地ならではのきりたんぽや、ご当地グルメの鹿角ホルモンも欠かせません。冬は雪深く、鍋を囲んで長い夜を過ごす──そんな暮らしが、今も自然に息づいています。
冬の気候と人の気質
鹿角は寒暖差の大きい大陸性気候で、豪雪地帯に指定されています。冬にはマイナス15度を下回る日も珍しくなく、雪と向き合う暮らしが根づいています。厳しい冬を越えるからこそ、地域のつながりや助け合いの意識が強いと考えられます。花輪ばやしのような祭りに町内総出で臨む熱量にも、その気質がにじんでいます。
鹿角市の特産品・食

特産品1:きりたんぽ
まずはやっぱりきりたんぽ。うるち米のご飯を潰して串に巻き、こんがり焼いてから鶏出汁で煮込みます。旬は新米と鍋が恋しくなる秋から冬。発祥の地とされる鹿角市(出典:鹿角市公式サイト)では、鍋にする前の焼きたてに味噌を塗った「味噌付けたんぽ」も名物。香ばしさともちもち感が同時に楽しめます。
特産品2:かづの北限の桃
甘さと程よい酸味のバランスが魅力のかづの北限の桃。旬は主に9月で、光センサーで糖度10.5度以上に選び抜かれたものだけが出荷されます(出典:鹿角市公式サイト)。冷涼な気候で熟し切る前にじっくり育つため、果肉が締まって食べ応えがあります。りんご産地が桃に挑戦して育て上げた、鹿角の努力の結晶です。冷やして丸かじりが最高ですよ。
特産品3:鹿角りんご
桃より歴史が古いのが「鹿角りんご」。明治期から続く産地で、昼夜の寒暖差が実を引き締め、色づきと味を良くします。旬は秋。そのまま食べても、アップルパイなどの加工品にしても楽しめます。桃とりんご、二つの果樹が同じ市で育つのは、寒暖差の大きい鹿角の気候ならではです。
特産品4:かづの牛
山あいの牧場で育てられる肉牛が「かづの牛」です。市内には県内でも比較的規模の大きな牧場があり、旧南部領の時代から馬産・畜産の伝統が根づいてきました。旬を問わず味わえるのも肉の魅力。焼いて脂の旨みをじっくり感じるのがおすすめです。温泉宿の夕食で出会えたら、ぜひ試してみてください。
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鹿角市の観光スポット

鹿角市の観光は、大きく「縄文・歴史」「山と湖の絶景」「温泉」「食と体験」の4つの軸で楽しめます。世界遺産の縄文遺跡から、十和田湖を見下ろす峠、標高1,000mの湯けむりまで、ジャンルの幅がとても広いんです。まずはジャンル別に、押さえておきたいスポットを見ていきましょう。
縄文と歴史を感じるスポット
- 大湯環状列石/大湯ストーンサークル館 – 約4,000年前の縄文ストーンサークルで、国の特別史跡・世界文化遺産です(出典:世界遺産 北海道・北東北の縄文遺跡群)。ガイダンス施設の大湯ストーンサークル館は入館無料、展示ホールのみ有料(大人320円)で、通常期(4〜10月)は9時〜18時・無休、降雪期(11〜3月)は9時〜16時・月曜休館です(出典:鹿角市公式サイト)。田畑に囲まれた台地に石の輪が静かに広がる光景は、まず館内で予習してから歩くと、意味が立ち上がってきて面白いですよ。
- 史跡尾去沢鉱山 – 南部藩直営として栄えた大鉱山の跡です。現在は完全予約制の「社会科見学施設」となっており、予約時以外は閉場しています(出典:史跡 尾去沢鉱山)。ふらりと立ち寄る形ではなくなっているので、坑道見学を目当てにする場合は、事前予約の可否を必ず確認してから計画を立ててくださいね。
山と湖の絶景スポット
- 発荷峠展望台 – 標高631mから十和田湖を一望でき、中山・御倉の両半島や八甲田連峰まで見渡せる展望台です(出典:旅するかづの(鹿角公式観光サイト))。峠道を登り切った瞬間に、眼下へカルデラ湖がドカンと現れる感覚が気持ちいいんです。秋の紅葉シーズンは特におすすめですが、日が短い時期は15時頃から暗くなるので、早めの時間帯に立ち寄るのが安心です。
- 八幡平山頂自然探勝路 – 鏡沼や八幡沼、湿原の花々をめぐるトレッキングコースです。雪解け直後の初夏、鏡沼の雪が輪状に解ける「ドラゴンアイ」で知られています。木道が整備され、初心者でも歩きやすいのが魅力です。
- 大沼自然探勝路 – 八幡平中腹、ブナ林と湿原を約1kmの木道でめぐる散策路です。入口付近には車イス対応の区間もあります。初夏のレンゲツツジ、秋の紅葉と、季節ごとに表情が変わるので、軽い散歩気分で自然に浸れますよ。
温泉スポット
- 後生掛温泉 – 標高約1,000m、八幡平国立公園の中にある開湯300年の一軒宿の温泉です(出典:後生掛温泉公式サイト)。泥火山や噴気地帯をめぐる「後生掛自然研究路」は、例年6月上旬頃から10月下旬頃まで歩けます。硫黄の匂いと蒸気に包まれる、地球の息づかいを感じる湯です。
- 大湯温泉郷 – 大湯川沿いに宿が並ぶ、湯治場として親しまれてきた温泉郷です。近くの大湯こけし館では東北各地の伝統こけしを無料で見られます。大湯環状列石とセットで訪ねやすい立地なのも嬉しいところです。
- 湯瀬温泉 – 「川の瀬からお湯が湧いた」ことが名の由来とされる、美人の湯として知られる温泉です。米代川沿いの湯瀬渓谷(全長約4.6km、一部通行止め区間あり)を散策したあとに浸かると、体の芯からほぐれます。
食と体験のスポット
- 道の駅かづの あんとらあ – 十和田湖と八幡平を結ぶ国道282号沿いにある、鹿角観光の拠点です。併設の祭り展示館では、ユネスコ無形文化遺産「花輪ばやし」の豪華絢爛な屋台を通年で見られ、太鼓体験や月1回の実演披露も行われます(出典:道の駅かづの あんとらあ公式サイト)。発祥の地ならではのきりたんぽ手作り体験もでき、旅の途中にふらっと寄って鹿角を丸ごと味わえます。
鹿角市の観光ルート

鹿角市は南北に長く、東北自動車道の鹿角八幡平ICと十和田ICを起点にすると効率よく回れます。縄文と温泉を組み合わせた1日コース、花輪の中心街をめぐる半日コース、山と湯を楽しむグリーンシーズン限定コースの3つをご紹介します。
【車・1日】縄文と十和田湖ルート
9:00 十和田IC → 9:15 大湯ストーンサークル館(車15分)
①大湯ストーンサークル館・大湯環状列石(90分)
→ まず館内で遺跡の背景を予習し、そのまま2つの環状列石を歩きます。午前の斜めの光が石組みの立体感を引き立てるので、朝いちばんがおすすめです。
11:00 大湯温泉郷(車10分)
②大湯温泉郷(120分・昼食含む)
→ 温泉街で昼食をとり、日帰り湯や大湯こけし館へ。午後の観光前にひと息つけます。
14:00 発荷峠展望台(車30分)
③発荷峠展望台(40分)
→ 十和田湖を一望する絶景ポイント。午後の光で湖面が輝く時間帯を狙うと、写真も映えます。
15:30 道の駅かづの あんとらあ(車40分)
④道の駅かづの あんとらあ(60分)
→ 祭り展示館で花輪ばやしの屋台を見て、特産品のお土産を選んで締めくくります。
【車・半日】花輪まちなかルート
13:00 鹿角花輪駅 → 13:10 道の駅かづの あんとらあ(車5分)
①道の駅かづの あんとらあ(60分)
→ 祭り展示館の屋台見学と、きりたんぽ手作り体験。発祥の地の味を自分の手で焼き上げる時間は、旅の思い出になりますよ。
14:15 花輪の中心市街地(車5分)
②花輪の商店街と町並み(60分)
→ 花輪ばやしの舞台となる通りを歩きます。明治期の商家など、祭りの町らしい風情が残っています。
15:30 きりたんぽ・鹿角ホルモンの昼食(まちなか)
③発祥の地の一杯や、地元グルメの鹿角ホルモンを味わって、半日でも満足度高くまとまります。
【車・1日】八幡平の山と湯ルート(グリーンシーズン限定)
この方面は八幡平アスピーテライン等が冬季通行止めになるため、例年おおむね春の遅い時期から秋にかけてのルートです。
9:00 鹿角八幡平IC → 9:45 後生掛温泉(車45分)
①後生掛温泉・後生掛自然研究路(90分)
→ 泥火山や噴気地帯をめぐる研究路を歩き、地熱地帯の迫力を体感。硫黄の匂いに包まれる非日常です。
11:30 八幡平山頂(車20分)
②八幡平山頂自然探勝路(90分・昼食含む)
→ 鏡沼や八幡沼、湿原の花をめぐる散策。標高が高く夏でも涼しいので、羽織ものがあると安心です。
14:00 大沼(車30分)
③大沼自然探勝路(60分)
→ ブナ林に囲まれた木道をゆっくり一周。1日の締めに、静かな湿原の風景で心を整えられます。
ここまで見てきたとおり、見どころが少し離れた場所に点在していることもあります。気になるスポットをまとめて回るなら、レンタカーがあると一気に動きやすくなりますよ。料金は会社や時期でけっこう変わるので、まとめて比較できるサイトでサッと見ておくのがおすすめです。
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鹿角市の年間イベント

鹿角市は、ユネスコ無形文化遺産の民俗行事が3つもある、祭りの密度が高い市です。正月の厳かな舞から、夏の熱狂、秋の食の祭典まで、季節ごとに顔ぶれが変わります。どの行事も地域が総出で守ってきたもので、現場の温度がとにかく違うんですよ。
冬(1月):大日堂舞楽
ぜひ知っておいてほしいのが、毎年1月に大日霊貴神社(大日堂)で奉納される大日堂舞楽です(出典:鹿角市公式サイト)。約1,300年の歴史を持つ秋田県内最古の舞楽で、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。大里・小豆沢・谷内・長嶺の4集落の能衆が、権現舞や五大尊舞などを厳かに舞います。雪深い正月の社殿に太鼓と笛が響く光景は、新年の空気を一段と引き締めてくれます。
夏(8月):花輪ばやしと毛馬内の盆踊
夏の主役は花輪ばやし。毎年8月、幸稲荷神社の祭礼として10町内の屋台がお囃子とともに夜通し町を練り歩きます(出典:花輪ばやし公式サイト)。日本三大ばやしの一つで、駅前に全町内の屋台が集結する場面は、まさに祭りの熱気が最高潮に達します。
同じ8月には、毛馬内の盆踊も開かれます(出典:鹿角市公式サイト)。こちらもユネスコ無形文化遺産で、秋田県三大盆踊りの一つ。路上に焚いたかがり火を細長く囲み、頬被りの踊り手が優雅に舞う姿は、花輪ばやしとは対照的に静かで幻想的です。同じ月に「動」と「静」の両方を味わえるのが鹿角の夏なんです。
秋(11月):きりたんぽ発祥まつり
食の祭典が、毎年11月頃に道の駅かづの あんとらあで開かれるきりたんぽ発祥まつりです(出典:鹿角市公式サイト)。市内各所の名店が集まり、正統派の鍋から創作鍋まで食べ比べができます。11月11日の「きりたんぽの日」にちなんだ催しで、炭火で焼くたんぽの香ばしい匂いが会場に満ちる、発祥の地ならではのお祭りですよ。
鹿角市のエリア別の顔

鹿角市は、1972年に花輪町・十和田町・尾去沢町・八幡平村の4町村が合併して生まれた市です(出典:鹿角市公式サイト)。その名残もあって、地域ごとに個性がはっきり分かれています。旅の目的に合わせてエリアを選ぶと、動きやすくなりますよ。
花輪エリア──祭りと食の中心街
鹿角花輪駅を中心とした、市の商業と交通の中心です。花輪ばやしの舞台であり、道の駅かづのやきりたんぽの名店もこのエリアに集まっています。明治期の商家が残る通りには、祭りの町らしい活気と風情が同居しています。まちなかグルメや祭り文化を楽しみたいときに訪れるのがおすすめです。
十和田エリア──縄文と十和田湖の玄関口
大湯環状列石や毛馬内こもせ通り、大湯温泉郷を抱える、歴史と温泉のエリアです。国道103号を北へ抜ければ発荷峠を経て十和田湖へ。世界遺産の縄文遺跡と湯治場、そして湖の絶景をひとつながりで味わえるので、じっくり滞在型の旅に向いています。
八幡平エリア──山と湯けむりの高原
標高1,000m級の八幡平温泉郷や後生掛温泉、トレッキングコースが広がる自然のエリアです。噴気地帯や湿原、初夏のドラゴンアイなど、地球のダイナミズムを間近に感じられます。ただし冬季は道路の通行止めがあるため、山と温泉を目当てにするなら春の遅い時期から秋に訪れるのが安心です。
尾去沢エリア──産業遺産の記憶
かつて南部藩直営の鉱山として栄えた尾去沢を含むエリアです。史跡尾去沢鉱山は現在、完全予約制の社会科見学施設となっています。鉱山とともに歩んだ鹿角の近代を学びたい人にとって、その歴史の厚みを感じられる場所です。訪れる際は事前予約の可否を確認しておきましょう。
鹿角市の気候・季節の暮らし

鹿角市は寒暖差の大きい内陸性の気候です。気象庁の平年値によると、年平均気温は9.5℃、年間の降雪量は合計579cm、最深積雪は71cmで、12月から2月は平均気温が氷点下になります(出典:気象庁)。夏は盆地らしく日中しっかり暑くなる一方、冬は雪深い──その落差が、この土地の暮らしのリズムを作っているんです。
夏(6〜8月)──盆地の暑さと祭りの熱気
いちばん暑い8月は平均気温22.8℃、日中の最高気温は平年で28℃ほどまで上がります(出典:気象庁)。花輪盆地は内陸なので日中は汗ばみますが、朝晩は涼しく過ごしやすいのが特徴です。花輪ばやしや毛馬内の盆踊など、夏は町がいちばん熱くなる季節でもあります。
秋(9〜11月)──実りと紅葉の季節
秋は、かづの北限の桃やりんごの収穫が最盛期を迎えます。八幡平や十和田湖畔の紅葉は例年10月中旬から11月上旬が見頃です。朝晩の冷え込みが一気に進み、11月には初雪の便りも届きます。実りと色づきを楽しみつつ、冬支度を始める時期ですね。
冬(12〜3月)──豪雪と向き合う暮らし
冬は本格的な雪国です。1月だけで平年182cmの雪が降り、市全域が豪雪地帯に含まれます(出典:気象庁)。除雪や雪下ろし、冬タイヤは生活に欠かせません。八幡平方面の山岳道路は冬季通行止めになるため、この時期の移動は米代川沿いの平地ルートが基本になります。
春(4〜5月)──遅い雪解けと芽吹き
春の訪れはゆっくりです。4月の平均気温は7.4℃まで上がり、雪が解けて田畑が動き出します(出典:気象庁)。八幡平の鏡沼で雪が輪状に解ける「ドラゴンアイ」が見られるのは、里の桜が終わった初夏のころ。里と山で季節が大きくずれるのも、標高差の大きい鹿角ならではです。
鹿角市の移住・暮らし情報

「観光で来るのは分かったけど、実際に住むとどうなの?」という疑問にお答えします。鹿角市は花輪盆地に生活機能がまとまっており、車があれば日常の買い物や通勤に大きな不便はないと考えられます。子育て世帯の移住も後押しされていて、移住定住支援サイト「鹿角暮らし」で空き家バンクや支援制度を確認できます(出典:鹿角市移住定住支援サイト 鹿角暮らし)。
通勤・通学
通勤先は市内が中心で、隣接する大館市や小坂町、岩手県八幡平市方面へ車で通う人もいます。市街地が平地に集まっているぶん、車での移動距離は比較的コンパクトです。ただし鉄道の本数は多くないため、通勤・通学は自家用車が前提になると考えておくと安心です。
住宅環境
家賃相場は落ち着いています。SUUMOの目安では、アパートの2LDK〜3DKでおよそ6万円前後、1K・1DKで4万円前後です(出典:SUUMO)。賃貸の物件数自体は多くないため、空き家バンクの一戸建てと合わせて探すのが現実的です。雪国仕様の住宅選びも大切なポイントになります。
買い物環境
花輪の中心部にはスーパーやロードサイド店が集まり、日常の買い物はこのエリアで完結しやすいです。道の駅かづの あんとらあでは、地元の農産物や総菜も手に入ります。まとめ買いをして、雪の日は無理に出かけない──そんな暮らしのリズムが自然と身についていきます。
子育て・教育
秋田県の移住ポータルによると、市内には保育園7園・幼稚園1園・認定こども園2園に加え、小学校6校・中学校4校・高等学校1校があります(出典:秋田暮らし はじめの一歩(秋田県移住・定住ポータル))。市独自の「すこやか子育て支援事業」など、子育て世帯向けの支援も用意されています。
医療環境
市の中核となる医療機関が、花輪にあるかづの厚生病院です。市内で唯一の救急対応の総合病院で、複数の診療科を備えています。同ポータルによると、市内には病院3施設・一般診療所14施設ほどがあります(出典:秋田暮らし はじめの一歩)。専門的な高度医療は大館市などの病院と連携する形になります。
エリア別の暮らし視点
暮らしの拠点として使いやすいのは、生活機能が集まる花輪エリアです。十和田エリアは温泉と自然が身近で、静かに暮らしたい人に向いています。八幡平エリアは山と湯が魅力ですが冬の交通に注意が必要で、尾去沢エリアは花輪に近く落ち着いた住環境です。旅で訪れる印象と、住む視点での使い勝手は少し違って見えてきますよ。
鹿角市へのアクセス

鹿角市は北東北3県のほぼ中央にあり、盛岡・青森・八戸のいずれからも車でおよそ1時間圏内です。市内に東北自動車道のインターチェンジが2つあり、鉄道はJR花輪線が通っています。首都圏からは新幹線と飛行機のどちらでも向かえます。
車でのアクセス
市内には東北自動車道の鹿角八幡平ICと十和田ICがあります。盛岡ICから十和田ICまではおよそ60分です(出典:鹿角市公式サイト)。市内の観光は南北に長いため、拠点間の移動は車がいちばんスムーズです。冬季は路面凍結に備えた装備を忘れずに。
鉄道でのアクセス
首都圏からは、東京駅から東北新幹線でおよそ130分、盛岡駅でJR花輪線に乗り換えて鹿角花輪駅まで向かいます(出典:鹿角市公式サイト)。秋田方面からは、大館駅で花輪線に乗り換えると鹿角花輪駅まで約53分です。乗り換えが1回入るので、時刻表は事前に確認しておくと安心です。
飛行機でのアクセス
空路は、大館能代空港(あきた北空港)が便利です。東京(羽田)から大館能代空港まではおよそ1時間10分です(出典:鹿角市公式サイト)。空港からはレンタカーやバスなどで市内へ向かう形になります。首都圏から時間を短くしたいときは、新幹線より空路が選択肢になります。
町内移動の現実的アドバイス
観光でも暮らしでも、鹿角では車があると行動範囲がぐっと広がります。鉄道やバスは本数が限られるため、複数のスポットを回るならレンタカーが現実的です。鹿角花輪駅前でレンタカーやタクシーを手配できるので、鉄道で来て現地で車を借りる組み合わせも便利ですよ。
交通手段ごとに見てきましたが、「結局いちばん安く行くにはどうすれば?」と迷う方も多いはず。飛行機で向かうなら、航空券は予約のタイミングや会社によって料金が大きく変わります。複数の航空会社・LCCをまとめて比較できるサイトで、いちど最安値をチェックしておくと安心ですよ。
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【地元住民に直撃!】鹿角市の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
桃を育てています。この鹿角では、全国でいちばん出荷が遅い桃を作っていて、山梨や福島が終わったころに、うちの桃がようやく色づいてくるんですよ。
寒暖差の大きい土地だから、実がしっかり締まって甘くなる。手間はかかりますが、この気候だからこそ育つ味だと思って続けています。
Q2.鹿角市に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
まずは大湯環状列石ですね。四千年前の縄文の石の輪が、田畑の中に静かに広がっていて、朝いちばんの澄んだ空気の中で立つと、時間の流れが違って感じられます。
あとは地元の人間として、発荷峠から見下ろす十和田湖。峠を登り切った瞬間に湖がぱっと開ける、あの景色は何度見ても胸がすきます。
Q3.鹿角市でお土産を買うとしたらなんですか?
定番なら、やっぱりきりたんぽ。発祥の地ですから、たんぽに味噌を塗って焼いたものなんかは喜ばれますよ。りんごや桃を使ったお菓子も間違いないです。
地元の人間が推すなら、秋の桃そのもの。旬の時期に生の桃を持たせると、遅い時期にこんな甘い桃があるのかと驚かれます。
Q4.外から人が来たときに、鹿角市でまず連れていく店はどこですか?
お店の名前を出すというより、まずはきりたんぽ鍋を出す地元の食事処へ連れていきます。比内地鶏の出汁の匂いが立ちのぼる、あの湯気の中で食べる一杯が鹿角の味ですから。
そのあとは温泉ですね。湯けむりの中でゆっくりしてもらうと、この土地の暮らしの温度が伝わる気がします。
Q5.鹿角市はどんな気質だと思いますか?
昔は南部の殿様の土地でしたから、同じ秋田でも少し独特で、言葉も食べ物もどこか違うんです。その分、自分たちの文化への誇りは強いと思います。
雪深い冬を毎年越えていくので、辛抱強くて、いざとなると近所同士で助け合う。祭りになると町ぐるみで一気に熱くなる、そういう気質です。
Q6.昔に比べて、鹿角市の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言えば、人は減りました。鉱山が動いていたころの賑わいを知る人からすると、静かになったと感じるでしょうね。空き家も目につくようになりました。
ただ、縄文の遺跡が世界遺産になってから外の人の目が戻ってきて、若い移住者もぽつぽつ増えている。悪い変化ばかりではないと思っています。
Q7.鹿角市のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
大きな箱物より、市民が集まる場や、移住してくる家族を支える取り組みに期待しています。市長さんにも、暮らしの足元を守る方に力を入れてほしいと思っています。
私としては、この北限の桃をもっと知ってもらいたい。運動公園や市民センターでの催し、観光と食をつなぐ活動が続けば、鹿角はまだ元気になれます。

