小坂町(こさかまち)は、秋田県の北東部・鹿角郡に位置する人口4,146人の町です。十和田湖の西湖畔を有し、かつては鉱産額日本一を誇った小坂鉱山のまちとして知られます。
小坂町の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 明治の芝居小屋「康楽館」──今も現役の木造劇場(国の重要文化財)
- ✅ 鉱山の精錬技術を受け継ぐ都市鉱山──廃家電・廃基板から金や銀を取り出すリサイクル拠点
- ✅ かつて鉱産額日本一・県下第二の都市だった小坂鉱山の歴史
- ✅ 十和田湖西湖畔──十和田八幡平国立公園の入口
- ✅ 山ぶどうワインと桃豚──小坂七滝ワイナリーのある食のまち
「近代化産業遺産や歴史的建築が好きな人」「鉄道や鉱山の歴史に興味がある人」「静かな湖畔でゆっくり過ごしたい旅行者」に向いた町です。この記事では、観光・特産・歴史から地元の暮らしまで、序盤で町の顔を紹介していきます。
| 人口 | 4,146 人 ※2026年6月1日時点(推計人口) |
|---|---|
| 面積 | 201.70 km² |
| 人口密度 | 20.6 人/km² |
地理的には、東南に鹿角市、西に大館市(ともに秋田県)、北に青森県の平川市、そして十和田湖を挟んで北東に青森県の十和田市と接しています(出典:日本で最も美しい村連合)。十和田湖の県境は長く未確定でしたが、2008年に十和田市との境界が確定し、湖の西側が正式に町域となりました(出典:十和田市)。
町内に鉄道は通っておらず、最寄りはJR花輪線・十和田南駅です。東北自動車道の小坂ICからは中心部まで約3分。面積の約8割を森林が占める、山と湖に抱かれた町です。
鉱山の遺産と最先端のリサイクル、そして十和田湖の自然。小さな町に「日本一」だった歴史がいくつも詰まっています。ひとつずつ見ていきましょう。
小坂町の推しポイント

小坂町の魅力は、明治の鉱山繁栄が残した「遺産」と、その技術が形を変えて生き続ける「今」が同居しているところにあります。芝居小屋・康楽館、洋館の鉱山事務所、そして廃電子機器から金属を取り出す都市鉱山。さらに十和田湖の自然と、そこから生まれた食も揃っています。ここからは、それぞれを少し掘り下げて紹介していきますね。
康楽館──今も幕が上がる明治の芝居小屋
康楽館は、1910年(明治43年)に小坂鉱山の厚生施設として建てられた木造の芝居小屋で、国の重要文化財に指定されています(出典:日本で最も美しい村連合)。外観は下見板張りの白い洋館なのに、中に入ると桟敷・花道・回り舞台を備えた純和風という和洋折衷の造りが見どころです。人力で動かす回り舞台やすっぽん(切穴)は、今も現役。2026年は5月2日から10月28日まで常打芝居が上演され、7月11日・12日には康楽館大歌舞伎も予定されています(出典:小坂まちづくり株式会社)。
都市鉱山──廃基板から金を生む町
小坂鉱山は閉山しましたが、長年培った精錬技術はそのまま残りました。今では精密機械や家電、廃棄された電子基板から金・銀・銅・レアメタルを取り出す「都市鉱山」のリサイクル拠点になっています(出典:秋田県移住・定住ポータルサイト)。鉱石を掘る町から、都市のゴミから金属を取り戻す町へ。産業の物語が今も続いているのが小坂町のおもしろいところなんですよ。
旧小坂鉱山事務所──ルネサンス風の洋館
康楽館のすぐ近くに建つ小坂鉱山事務所は、1905年(明治38年)に建てられた木造洋館で、こちらも国の重要文化財です(出典:日本で最も美しい村連合)。らせん階段やバルコニーを備えた華やかな造りは、明治期の小坂鉱山がいかに栄えていたかを物語ります。この建物や康楽館が並ぶ「明治百年通り」は、環境省の「かおり風景100選」にも選ばれています。
十和田湖と小坂鉄道レールパーク
町の北東部には十和田湖が広がり、その西湖畔が小坂町域です。十和田湖は十和田八幡平国立公園に含まれ、国の特別名勝・天然記念物にも指定されています(出典:日本で最も美しい村連合)。また、廃線となった小坂鉄道を活用した「小坂鉄道レールパーク」では、寝台特急「あけぼの」への宿泊やレールバイク体験もできます(出典:小坂鉄道レールパーク)。
小坂町の歴史

小坂町の歴史は、鉱山とともに歩んできました。江戸時代には盛岡藩(南部領)の鉱山の村として、明治から大正にかけては鉱産額日本一を誇る県内屈指の都市として栄え、戦後の閉山を経て、現在はリサイクル産業のまちへと姿を変えています。時代ごとに「掘る・精錬する・回収する」と役割を変えながら、金属とともに生きてきた町です。
近世──盛岡藩領の鉱山の村
1590年(天正18年)、豊臣秀吉の朱印状によって鹿角郡は盛岡藩(南部領)と確定しました。小坂は秋田・津軽との藩境に位置し、鉱山と豊かな森林に恵まれた村でした。小坂鉱山は1861年(万延2年・文久元年)に、地元の農民によって銀山として発見されたと伝えられています(出典:日本交通公社 全国観光資源台帳)。
近代──鉱産額日本一のまちへ
戊辰戦争後の変遷を経て、1871年(明治4年)に小坂は秋田県の管轄となりました。1884年(明治17年)には藤田組(後のDOWAホールディングス)が政府から小坂鉱山の払い下げを受けて創業し、銅を主力に採掘を拡大します。明治期には別子・足尾と並ぶ日本三大銅山の一つに数えられ、小坂町は秋田市に次ぐ県下第二の都市に発展しました(出典:日本で最も美しい村連合)。1902年に深刻化した煙害への対策として植えられたのが、のちに町の花となるアカシア(ニセアカシア)です。
現代──鉄道の廃止とリサイクルへの転換
1908年には鉱山の輸送のため小坂鉄道が敷設され、翌年には旅客営業も始まりました。1914年(大正3年)に町制が施行され、小坂村は小坂町となります。戦後は鉱量の枯渇で採掘が止まり、輸入鉱の精錬、そして金属リサイクルへと軸足を移しました。2009年には小坂線が全線廃止され町内から鉄道が姿を消しましたが、その線路と車両は2014年に「小坂鉄道レールパーク」として生まれ変わっています。
小坂町の文化・風習

方言と話し方の特徴
小坂町のある鹿角地方の言葉は、秋田弁のなかでも「鹿角方言」と呼ばれます。江戸時代にこの一帯が盛岡藩(南部領)だった名残で、岩手の南部弁の影響を受けているのが特徴です。みなさんが耳にすると、こんな言葉が飛び交っています。
たとえばんだ(そうだ)、け(食べて/おいで)、ける(あげる)、なんもなんも(どういたしまして・気にしないで)、しったげ(とても・すごく)、めんけ(かわいい)、こえ(疲れた)、へばな(それじゃあね)など。短い言葉に意味がぎゅっと詰まっているのは、寒さで口をあまり動かさずに話す土地柄が生んだ工夫とも言われています。
食卓と季節の暮らし
ご当地グルメとして親しまれているのが「かつらーめん」。カツをのせたラーメンで、文化庁の「100年フード」にも認定されています(出典:秋田犬ツーリズム)。6月のアカシアまつりでは、これを二人羽織で早食いする名物大会も開かれるんですよ。冬は雪深く、春から初夏にはアカシアの白い花と甘い香りが町を包む──そんな季節のメリハリがはっきりしている土地です。
アカシアと暮らす町
町内には約300万本ものアカシア(ニセアカシア)が群生し、6月上旬になると町じゅうが白い花と甘い香りに満たされます(出典:小坂町)。もともとは鉱山の煙害対策として植えられた木が、今では町のシンボルであり、蜂蜜やまつりの主役になっています。産業の傷跡が暮らしの彩りに変わっていく──そんな物語がここにはあります。
小坂町の特産品・食

小坂七滝ワイナリーの山ぶどうワイン
小坂町のぶどう栽培は1988年(昭和63年)、鴇(ときと)地区で始まりました。十和田湖の噴火で堆積した火山灰土壌は水はけがよく、ぶどう栽培に向いていたのです。2017年には日本の滝百選「小坂七滝」の向かいに小坂七滝ワイナリーが完成しました(出典:小坂まちづくり株式会社)。ここでは欧州系ではなく、寒さに強い日本の「山ぶどう」交配品種にこだわっているのが特徴。渋みが軽く、爽やかな酸味のある飲みやすい赤やロゼが揃っていて、普段ワインを飲まない人にもすっと入ってくる味わいです。
十和田湖高原ポーク「桃豚」
ブランド豚の「桃豚」は、十和田湖高原ポークとして知られる小坂町周辺の看板食材です。きめが細かくやわらかい肉質で、地元の飲食店ではワインと合わせて味わえます。ワイナリーが地元の店と連携して、桃豚や十和田湖ひめますと小坂ワインのマリアージュを提案しているのも、この町らしい取り組みですよね(出典:小坂七滝ワイナリー)。
十和田湖ひめますとアカシア蜂蜜
十和田湖のヒメマスは、和井内貞行が明治期に養殖を根づかせた魚で、今も湖畔の名物です。塩焼きや刺身で味わうと、上品な脂と締まった身が楽しめます。さらに、約300万本のアカシアから採れるアカシア蜂蜜は、クセが少なくすっきりとした甘さ。ワイン・豚・湖魚・蜂蜜と、小さな町の食卓は意外なほど多彩なんです。
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小坂町の観光スポット

序盤で触れた康楽館や十和田湖を、ここからは実際に歩くつもりで見ていきます。小坂町の見どころは、明治の鉱山が残した近代化産業遺産が固まっている「町の中心部」と、樹海ラインの先に広がる「十和田湖・七滝の自然」に大きく分かれます。どちらも半日ずつあれば回れる距離感なのが、この町のうれしいところなんですよ。
明治の鉱山遺産を歩くスポット
- 康楽館 – 1910年(明治43年)建築の木造芝居小屋で、国の重要文化財です。毎年4〜11月に常打芝居が上演され、2026年は5月2日から10月28日まで公演、施設見学は大人600円・子供330円です(出典:小坂まちづくり株式会社)。黒子姿のガイドが回り舞台やすっぽんの仕掛けを案内してくれて、床下の奈落まで降りられます。役者の落書きが残る楽屋も見どころで、明治の劇場に迷い込んだような時間が流れます。
- 小坂鉱山事務所 – 1905年(明治38年)に建てられた秋田杉造りの木造3階建て洋館で、こちらも国の重要文化財です(出典:日本で最も美しい村連合)。玄関ホールの3階まで吹き抜けたケヤキ造りのらせん階段は、思わず見上げてため息が出る美しさ。館内には売店やレストランを備えた明治百年堂もあり、レトロモダンな空気をまるごと味わえます。
- 小坂鉄道レールパーク – 2009年に廃止された小坂鉄道の小坂駅構内を活用した施設です。営業は4月1日〜11月23日、9時〜17時で毎週水曜休園、入園料は大人600円・小人300円、レールバイクや観光トロッコの乗車体験は別料金です(出典:小坂鉄道レールパーク)。硬券をダッチングマシンで打つ受付から気分が上がります。寝台特急「あけぼの」に泊まれるのもここだけの体験ですよ。
- 明治百年通り – 康楽館や鉱山事務所が並ぶ約300mの通りで、環境省の「かおり風景100選」に選ばれています(出典:日本で最も美しい村連合)。役者のぼりがはためき、初夏にはニセアカシアの白い花が甘く香ります。ヨーロッパの町並みのような一角で、写真を撮る手が止まりません。
十和田湖と滝の自然スポット
- 十和田湖西湖畔 – 小坂町が有するのは、観光客でにぎわう休屋とは対照的に静かな西側の湖畔です。標高698mの甲岳台からは御倉・中山の両半島が望め、大川岱地区には約5kmの西湖畔遊歩道が整備されています(出典:小坂町)。木々の間に湖が見え隠れする道は、水の音だけが響く贅沢な散歩コースです。
- 白地山 – 標高1034mの小坂町最高峰で、東北百名山の一座です(出典:小坂町)。山頂直下には湿原が広がり、春から夏には高山植物が咲きます。鉛山峠登山口からのルートは標高差が少なく、初心者でも十和田湖外輪山の稜線歩きを楽しめます。
- 七滝 – 高さ約60mを7段にわたって流れ落ちる名瀑で、日本の滝百選に選ばれています(出典:日本の森滝渚全国協議会)。滝つぼ近くまで遊歩道と橋がかかっていて、登山靴でなくても間近で水しぶきを浴びられます。ふもとの七滝神社と水車小屋が、滝の迫力に和みを添えてくれます。
- 道の駅こさか七滝 – 樹海ライン沿い、小坂ICと十和田湖の中間にある道の駅で、2010年に開駅しました(出典:旅するかづの(鹿角公式観光サイト))。滝の茶屋「孫左衞門」では桃豚料理やかつらーめん、山ぶどうソフトが味わえ、産直「ハートランドマーケット」には旬のぶどうや小坂ワインが並びます。七滝を眺めながらの休憩にちょうどいい場所です。
ワインと食に出会うスポット
- 小坂七滝ワイナリー – 2017年に開業したワイナリーで、火山灰土壌の鴇(ときと)地区で育てた山ぶどう系品種にこだわっています(出典:小坂まちづくり株式会社)。隣接する販売所「セラードア七滝」では試飲もでき、好みを伝えると1本ずつ選んでもらえます。渋みが軽く爽やかな赤やロゼは、ワインが得意でない人にもすっと入ってくる味わいですよ。
小坂町の観光ルート

スポットが町の中心部と十和田湖方面に分かれているので、車があると一気に楽しめます。東北自動車道の小坂ICを起点に、鉱山遺産をじっくり歩くルートと、湖と滝まで足をのばす1日ルートを組んでみました。どれも移動が短いので、のんびり回れますよ。
【車・1日】鉱山遺産と十和田湖 満喫ルート
9:00 小坂IC → 9:05 康楽館・明治百年通り(車3分)→ 12:00 昼食 → 12:40 七滝・道の駅こさか七滝(車20分)→ 13:40 十和田湖西湖畔(車30分)
①康楽館(90分)→ 朝いちばんの常打芝居を観て、黒子ガイドで舞台裏へ。人力の回り舞台に驚かされます。
②小坂鉱山事務所(40分)→ らせん階段を上って明治の空気を吸い込みます。午前の光が窓から差し込む時間帯がきれいです。
③七滝・道の駅こさか七滝(60分)→ 昼食後の休憩に。桃豚料理や山ぶどうソフトでひと息つきながら滝を眺めます。
④十和田湖西湖畔(90分)→ 甲岳台から湖を見下ろし、西湖畔遊歩道を歩いて1日を締めくくります。夕方の静けさが心に残ります。
【車・半日】明治百年通り まち歩きルート
13:00 小坂IC → 13:05 康楽館(車3分)→ 徒歩で明治百年通り一帯を周遊
①康楽館(60分)→ 施設見学から。役者のぼりが並ぶ通りの雰囲気も一緒に味わいます。
②小坂鉱山事務所(40分)→ 徒歩3分。明治百年堂で休憩とお土産探しもできます。
③小坂鉄道レールパーク(60分)→ 徒歩数分。土日祝ならレールバイクを漕いで線路の上を走れます。
④明治百年通り散策(30分)→ 三館共通券(施設見学・大人1,480円)を使うとお得に回れます(出典:小坂鉄道レールパーク)。半日でも明治の町並みを堪能できます。
【車・1日】広域ルート:十和田湖をぐるり
9:00 小坂IC → 9:20 道の駅こさか七滝(車20分)→ 10:30 十和田湖西湖畔(車40分)→ 午後は湖畔沿いに青森県側の休屋・奥入瀬方面へ
①道の駅こさか七滝(40分)→ ドライブのスタートに七滝を見て、地元の特産をチェックします。
②十和田湖西湖畔・大川岱(90分)→ 遊歩道でヒメマス養殖ゆかりの湖畔を歩きます。
③白地山(軽登山なら半日)→ 体力に余裕があれば、外輪山の稜線から十和田湖を見渡します。
④湖畔をたどって青森県側へ → 小坂町から休屋・奥入瀬渓流まで湖岸ドライブが続きます。県境をまたぐ十和田湖ならではの回り方です。
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小坂町の年間イベント

小坂町のイベントは、鉱山とアカシア、そして鉄道という町の個性がそのまま形になっているのが特徴です。初夏のまつりから冬のイルミネーションまで、季節ごとに町の主役が入れ替わります。行ってみてほしいのは、この町が「日本のどこかで最初だった」出来事とつながっているお祭りたちなんですよ。
春〜夏:アカシアと湖のにぎわい
まず外せないのが6月の小坂町アカシアまつりです。町の花アカシアが咲く時期に開かれる町民手作りのまつりで、名物「かつらーめん」の二人羽織早食い大会でも盛り上がります(出典:小坂町)。甘い花の香りに包まれた会場は、笑い声とキッチンカーの湯気でにぎやかです。
同じ6月には、十和田湖の休屋を会場に十和田湖湖水まつりも開かれます(出典:小坂町)。小坂町と十和田市の県境にある桂ヶ浜にスカイランタンが上がり、湖面に光が映る幻想的な夜になります。
7月には康楽館大歌舞伎があり、当代の人気役者が明治の芝居小屋の舞台に立ちます(出典:秋田犬ツーリズム)。8月の小坂七夕祭は、明治期に各地から集まった鉱夫が故郷を偲んで始めたと伝わり、青森ねぶたの流れをくむ武者人形の山車が町を練り歩きます(出典:小坂町)。
秋:鉄道の町の祭典
10月には、10月14日の「鉄道の日」に合わせて小坂鉄道まつりが小坂鉄道レールパークで開かれます(出典:小坂町)。普段は見られないレアな車両の展示や、ブルートレインあけぼのの特別運行など、鉄道好きにはたまらない一日です。機械油の匂いと汽笛の響きに、子どもも大人も夢中になりますよ。
冬:近代クリスマス発祥の地の光
12月にはクリスマスマーケットin小坂が明治百年通りの天使館周辺で開かれます(出典:小坂町)。1873年(明治6年)にドイツ人技師クルト・ネットーが小坂でクリスマスを祝った記録が残り、小坂町は「近代クリスマス発祥の地」とされています。数万球のイルミネーションに照らされた雪の町で、ホットワインを片手に過ごす夜は、この町ならではの物語を感じさせてくれます。
小坂町のエリア別の顔

小坂町は大きく分けて、鉱山遺産が集まる中心部、十和田湖の西湖畔、そして滝とワインの七滝・鴇(ときと)方面という3つの顔を持っています(エリア区分参考:旅するかづの(鹿角公式観光サイト))。旅の目的に合わせて、どこを軸に回るかを決めると動きやすいですよ。
明治百年通りエリア──近代化産業遺産が並ぶ町の中心
康楽館・小坂鉱山事務所・小坂鉄道レールパークが徒歩圏に固まった、観光の中心エリアです。役者のぼりがはためく通りは、歩くだけで明治にタイムスリップしたような気分になります。歴史や建築が好きな人、半日でぎゅっと見どころを回りたい人に向いています。
十和田湖西湖畔エリア──静けさを味わう湖の玄関
観光地化された休屋とは違い、小坂町側の西湖畔は落ち着いた自然が魅力です。甲岳台からの眺めや西湖畔遊歩道の散策、白地山の軽登山など、湖と山をゆっくり味わえます。人混みを避けて静かに過ごしたい人、写真や散策が目的の人におすすめのエリアですよ。
七滝・鴇(ときと)エリア──滝とワインの里
樹海ライン沿いの七滝と道の駅、その先の小坂七滝ワイナリーが点在する、食とドライブのエリアです。滝を眺めて桃豚や山ぶどうソフトを味わい、ワイナリーで試飲する──そんな寄り道がつながっていきます。十和田湖へ向かう道すがら、味覚も景色も欲張りたい人にぴったりです。
小坂町の気候・季節の暮らし

小坂町は秋田県北の内陸にあり、四季がはっきりした寒暖差の大きい気候です。町に隣接する大館市の気象庁観測点では、年平均気温は10.2℃、8月の平均気温は23.6℃、1月は-2.0℃で、年降水量は1741.0mmです(出典:気象庁)。標高170〜280mの小坂町は大館市街よりも高い位置にあり、冬の雪はさらに深くなります。暮らすなら、雪との付き合い方がいちばんの鍵になりますよ。
夏──6月〜8月の暮らし
夏は日中こそ気温が上がりますが、内陸の高原らしく朝晩は涼しく過ごせます。十和田湖畔まで上がれば、避暑地のような空気が待っています。窓を開けて眠れる夜も多く、都市部の熱帯夜とは違う夏なんですよ。
秋──9月〜11月の暮らし
秋は十和田湖や七滝、外輪山が赤や黄に染まり、町全体が紅葉に包まれます。朝晩の冷え込みが一気に進み、11月には初雪の便りも届きます。ストーブの準備やタイヤ交換を早めに済ませておくのが、この地域の秋の習わしです。
冬──12月〜3月の暮らし
冬は雪が深く積もり、生活の中心は雪と向き合うことになります。1月の平均気温は氷点下で、日中も気温が上がらない日が続きます(出典:気象庁)。除雪や雪下ろしは欠かせませんが、その分12月のクリスマスマーケットのイルミネーションが雪に映えて美しいんですよね。
春──4月〜5月の暮らし
雪解けは遅く、桜が咲くのは4月下旬から5月上旬。明治百年通りや桜の小道が一気に華やぎます。そして5月下旬になると、町のシンボルであるアカシアのつぼみがふくらみ、初夏の甘い香りへとバトンが渡っていきます。長い冬を越えた後の春は、ひときわうれしく感じられます。
小坂町の移住・暮らし情報

小坂町で暮らすなら、車があること前提の生活になります。町内で日常の用は足りますが、大きな買い物や高校進学、専門的な医療は大館市や鹿角市に頼る場面が出てきます。そのぶん自然が近く、支援制度も手厚い町なんですよ。
通勤・通学
町内にはリサイクル関連の工場群があり、そこで働く人も多くいます。通勤先としては大館市や鹿角市に車で通う人も目立ちます。町内に高校はなく、2024年に秋田県立小坂高校が鹿角市の鹿角高校へ統合されたため、高校生は鹿角市や大館市へ通学しています。
住宅環境
賃貸物件は数自体が限られ、家賃相場として集計されるほどの流通量はありません。町は民間賃貸住宅情報や「空き家・空き地バンク」を整備し、移住希望者に物件を紹介しています(出典:小坂町)。住宅取得への奨励事業や新築住宅の固定資産税減免など、家を持つ人への支援もあります。
買い物環境
日常の買い物は町内の商店やスーパーで足りますが、品ぞろえを求めるなら大館市へ出るのが一般的です。町を通る路線バスの大館線はイオン大館店や大館駅前を結んでいて、車がない人の足にもなっています。週末にまとめ買い、という暮らし方が根づいています。
子育て・教育
町内には小坂小学校と小坂中学校があり、子育て支援が充実しているのが特徴です。すこやか育児手当や在宅育児支援給付金、小中学校給食費の半額助成、病児保育などが用意されています(出典:小坂町)。小さな町だからこそ、子ども一人ひとりに目が届きやすい環境ですよ。
医療環境
町内には内科や外科など複数の診療科をもつ小坂町診療所(医療法人明生会)や小坂医院があり、日常の診療をカバーしています(出典:医療情報ネット(厚生労働省))。入院や専門的な治療が必要なときは、隣の鹿角市にある救急告示病院、JA秋田厚生連かづの厚生病院が受け皿になります(出典:JA秋田厚生連 かづの厚生病院)。
エリア別の暮らし視点
中盤では旅の視点でエリアを紹介しましたが、住む視点で見るとまた違って見えます。生活の中心は小坂・鉱山地区で、商店や役場、学校、診療所、町営住宅がまとまっています。七滝や上向など郊外は農村的でのどかな一方、車がより欠かせません。十和田湖畔は観光エリアで、定住する人はごく少数です。
小坂町へのアクセス

小坂町には鉄道が通っていないため、車か高速バスが基本の入口になります。東北自動車道が町を縦断し、小坂ICと小坂北ICの2つがあるので、車でのアクセスはむしろ良好です。盛岡・青森方面からの高速バスも走っています。
車でのアクセス
東北自動車道の小坂ICから町の中心部までは約3分です(出典:日本で最も美しい村連合)。ICのすぐそばに康楽館や明治百年通りがあるので、高速を降りてすぐ観光を始められます。十和田湖の西湖畔へは、中心部から樹海ライン経由で山道を上っていきます。
鉄道+バスでのアクセス
鉄道利用の場合、最寄りはJR花輪線の十和田南駅で、そこから路線バスで約20分です(出典:日本で最も美しい村連合)。奥羽本線の大館駅からは路線バスで約60分。東北新幹線の盛岡駅からは高速バスあすなろ号で約90分と、新幹線+バスの組み合わせが便利です。
飛行機でのアクセス
空路なら、青森空港から車で東北自動車道経由約60分、大館能代空港から秋田自動車道経由約50分でアクセスできます(出典:日本で最も美しい村連合)。どちらの空港からも高速道路がつながっているので、レンタカーを借りてしまうのがいちばんスムーズですよ。
町内移動の現実的アドバイス
町内や十和田湖方面をめぐるなら、車が前提と考えておくのが現実的です。鉄道がなく、路線バスも本数が限られるためです。観光で訪れるなら、空港や大館駅でレンタカーを借り、康楽館・七滝・十和田湖と山を上がっていく動線が回りやすいですよ。
交通手段ごとに見てきましたが、「結局いちばん安く行くにはどうすれば?」と迷う方も多いはず。飛行機で向かうなら、航空券は予約のタイミングや会社によって料金が大きく変わります。複数の航空会社・LCCをまとめて比較できるサイトで、いちど最安値をチェックしておくと安心ですよ。
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【地元住民に直撃!】小坂町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
この町でワインを造る仕事をしています。町の火山灰の土で育った山ぶどうを、毎年秋に仕込んでいます。
小さな町ですけど、ぶどう畑からワインまで自分の手で追える環境は、なかなかないと思っているんですよ。
Q2.小坂町に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
やっぱり明治の芝居小屋と、その並びの鉱山事務所ですね。通りを歩くだけで、鉱山で栄えた頃の空気が残っていて、白い建物が並ぶ景色は何度見ても背筋が伸びます。
あとは地元の人間として、十和田湖の西の湖畔。観光客でにぎわう対岸と違って、水の音と鳥の声しかしない静けさが、私は好きなんです。
Q3.小坂町でお土産を買うとしたらなんですか?
オーソドックスなところだと、町の花のアカシアから採れるはちみつですね。クセがなくて、贈って喜ばれます。
地元の人間としては、やっぱり山ぶどうのワインを推したい。渋みが軽くて飲みやすいので、普段ワインを飲まない人にも意外と合うんですよ。
Q4.外から人が来たときに、小坂町でまず連れていく店はどこですか?
滝のそばの休憩どころに連れていくことが多いですね。日本の滝百選に入る滝を眺めながら、地元の豚を使った料理や山ぶどうのソフトクリームを味わえるんです。
七段に落ちる滝の水音を聞きながら食べると、それだけで「来たな」という気分になりますよ。
Q5.小坂町はどんな気質だと思いますか?
物静かで、派手さはないけれど芯のある人が多い土地だと思います。鉱山で全国から人が集まった歴史があるからか、よそ者にも比較的おおらかなんですよ。
言葉は少なめでも、困っている人を放っておかない。そういう気質が根っこにある町ですね。
Q6.昔に比べて、小坂町の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言うと、人は減りました。鉱山で栄えた頃の勢いを知る人からすれば、寂しくなったというのが本音だと思います。
ただ、鉱山の技術がリサイクル産業に生まれ変わって町を支えていますし、明治の建物や催しを守ろうという動きは、むしろ昔より熱を帯びている気がします。
Q7.小坂町のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
私自身の願いでもありますが、山ぶどうのワイン造りをもっと町の柱に育てていきたいですね。畑を訪ねて、飲んで、泊まっていく人が増えたらと思っています。
近代化産業遺産や十和田湖の自然と、ワインや食がつながっていけば、この町はまだまだ面白くなると本気で思っているんですよ。

