東成瀬村(ひがしなるせむら)は、秋田県の南東端、岩手県と宮城県に接する奥羽山脈のふもとの村です。面積の約93%が山林で、人口は2,307人。栗駒国定公園を擁する、山あいの小さな村です。
この村の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 「学力日本一の村」──塾も書店もない村なのに全国学力テストで上位常連、教育視察が世界から集まる
- ✅ 「仙人の郷」──毎年夏に2泊3日の「仙人修行」(滝行・断食・写経)を開催
- ✅ 栗駒国定公園の栗駒山・焼石岳と、須川温泉・やまゆり温泉の名湯
- ✅ 建設中の成瀬ダム──完成すれば国内最大級の台形CSGダム(2027年度完成予定)
- ✅ 犬漫画『銀牙−流れ星 銀−』作者・高橋よしひろの故郷
「静かな山里で暮らしを想像したい人」「火山・温泉・巨大ダムなど地学や土木に惹かれる人」「教育や子育て環境に関心がある人」に特におすすめの村です。序盤では推しポイントと歴史を、中盤以降で文化・風習や特産品まで、地元目線で紹介していきます。
| 人口 | 2,307 人 ※2026年6月1日時点(推計人口) |
|---|---|
| 面積 | 203.69 km² |
| 人口密度 | 11.3 人/km² |
地理的には、村の東は奥羽山脈を境に岩手県の一関市・奥州市・西和賀町、南は宮城県栗原市、北から西は秋田県の横手市・湯沢市に接しています(出典:東成瀬村公式サイト)。成瀬川に沿って集落が点在する、東西17km・南北30kmの細長い村です。
鉄道は通っておらず、最寄りはJR奥羽本線・十文字駅(横手市)。冬は積雪2m、多い年は3〜4mに達する特別豪雪地帯でもあります。教育・温泉・自然・巨大ダムと、人口2,307人の村に見どころが凝縮されています。ひとつずつ見ていきましょう。
東成瀬村の推しポイント

この村を語るうえで外せないのが「学力日本一の村」という顔です。塾も書店もない山里の子どもたちが全国トップクラスの成績を収め、その学び方を見に世界中から視察が訪れます。加えて、夏の「仙人修行」で知られる仙人の郷、栗駒国定公園の名峰と温泉、国内最大級の巨大ダム、そして人気犬漫画を生んだ土地でもあります。教育・文化・自然・土木・人と、まったく毛色の違う5つの推しポイントを紹介します。
推しポイント1:「学力日本一の村」として知られる教育
東成瀬村は、全国学力テストで長年トップクラスの秋田県のなかでも上位とされ、「学力日本一の村」として広く知られています(出典:秋田県町村会)。村内にはコンビニが1軒あるだけで、書店も民間の学習塾もありません。それでも、家庭学習を習慣づける「自学ノート」や小中連携、村営の講習といった積み重ねで高い学力を保ち、国内外から教育関係者の視察が絶えないんですよ。
推しポイント2:夏の風物詩「仙人修行」
キャッチフレーズは「さわやかなるせ 仙人の郷」。毎年8月には2泊3日の仙人修行が行われ、滝行・断食・座禅・写経などに挑みます(出典:秋田県町村会)。すべてやり遂げると「仙人認定証」がもらえるのがユニークなところ。女性や海外からの参加者も増えていて、村ならではの体験として人気を集めています。
推しポイント3:栗駒国定公園の名峰と2つの名湯
村の南に栗駒山、北に焼石岳。どちらも栗駒国定公園に属し、日本二百名山にも選ばれています(出典:「日本で最も美しい村」連合)。栗駒山の登山口には標高約1,100mの露天風呂を持つ須川温泉「栗駒山荘」、村北部にはアルカリ性の硫黄泉「やまゆり温泉」があり、どちらも湯量が豊富な山の名湯。紅葉シーズンの山肌と湯けむりは格別ですよ。
推しポイント4:建設中の巨大ダム「成瀬ダム」
成瀬川では、堤高114.5mの成瀬ダムの建設が進んでいます。完成すれば堤高100mを超える国内初の台形CSGダムとなり、CSGダムとしては国内最大級。事業費は約2,600億円、2027年度の完成予定です(出典:国土交通省 成瀬ダム工事事務所)。今しか見られない建設現場の見学会も開かれていて、土木・重機好きにはたまらないスポットになっています。
推しポイント5:犬漫画『銀牙』を生んだ村
『銀牙−流れ星 銀−』『銀牙伝説WEED』で知られる犬漫画の第一人者、高橋よしひろさんはこの村の出身です。主人公・銀のモデルとなった虎毛の秋田犬は、作者が子ども時代を過ごした村の暮らしと重なります。全国区の人気作を生んだ土地だと知ると、山里の風景の見え方も少し変わってきますよね。
東成瀬村の歴史

東成瀬村の歴史は、大きく3つの流れで整理できます。日本海側と太平洋側を結んだ古道が通った古代・中世、複数の村が合併して村のかたちが定まった明治期、そして「合併しない」という決断で自らの道を選んだ現代です。山に囲まれた立地が、この村の歩みをそのまま形づくってきました。
古代〜中世──仙北街道が結んだ道
奥州市から東成瀬村へ至る全長約24kmの古道「仙北街道」は、平安時代の歴史に登場します。前九年の役(1062年)や後三年の役(1087年)の時代、仏教の伝道などさまざまな人や物が行き交い、ブナ原生林を貫くことから「古のブナ街道」とも呼ばれています(出典:「日本で最も美しい村」連合)。
近代の開拓と発展
1876年(明治9年)、手倉川原村・椿台村・桧山台村が合併して椿川村が成立しました。当時の記録では戸数528軒、人口3,001人。1889年(明治22年)の町村制を経て村の骨格が定まり、成瀬川沿いのわずかな平地を耕地として、農林業を軸に暮らしが営まれてきました。
現代──「合併しない村」という選択
平成の大合併では、2003年に行われた住民アンケートで合併反対が50.1%と賛成を上回り、東成瀬村はほかの市町村と合併しない道を選びました。この決断は、村独自の教育や施策を続ける土台にもなっています。2009年には「日本で最も美しい村」連合に加盟しました(出典:「日本で最も美しい村」連合)。
東成瀬村の文化・風習

方言と話し方の特徴
東成瀬村で話されるのは、県南(山形寄り)の秋田弁です。あいづちのんだ(そうだ・そうだね)、強く同意するんだんだ(そうそう)、別れぎわのへば(へばな)(それじゃあ・じゃあね)あたりは、耳にする機会が多いはず。ほかにもしったげ(とても・すごく)、なんも(どういたしまして・大丈夫)、けっぱれ(がんばれ)、おがる(育つ・大きくなる)、めんけ(かわいい)などがあります。漬物を指すがっこは、名物「いぶりがっこ」にもそのまま生きている言葉なんですよ。「い」と「え」の音があいまいになるやわらかな響きも、この地域の話し言葉の特徴です(地域や世代で使い方に幅があります)。
雪とともにある暮らし
冬になると積雪は2mを超え、多い年には3〜4mにも。1974年には田子内地区で4.2mという記録も残っています。雪下ろしや雪かきは冬の生活の一部で、みなさんで助け合うのが当たり前の光景です。移住してきた人が「雪かきをよく手伝ってもらえる」と話すように、雪が人と人との距離を近づけている面もあるんですよね。
人の気質と地域のつながり
共働きや三世代同居の家庭が多く、子育ても「村みんなで」という空気が根づいています。学校・家庭・地域が一体となって子どもを育てる姿勢は、教育の話だけでなく、日々の暮らしの温度感そのもの。「子どもは村の宝」という言葉が、そのまま生活に息づいている村です。
「仙人」が息づく村
村役場のあたりには「仙人下(せんにんした)」という地名があり、近くの裏山には「仙人様」を祀る小さなほこらがあります。これが「仙人の郷」の由来のひとつ。看板や銅像、「仙人米」「仙人水」など、村を歩けばあちこちで仙人に出会えるのも、この村ならではの楽しさです。
東成瀬村の特産品・食

栗駒山系の清らかな水と、昼夜の寒暖差。この2つが、東成瀬村の食のおいしさを支えています。米・野菜・漬物・肉と、山あいの村ならではの実りが揃います。実際に食べる場面を思い浮かべながら、代表的なものを紹介しますね。
特産品1:ブランド米「仙人米」
村を代表するのが、あきたこまちのブランド米仙人米。食味値75以上・粒の大きさ1.95mm以上という基準にこだわった大粒米です(出典:農事組合法人アグリード仙人)。粘りと甘みがしっかりあって、冷めても味が落ちにくいのが魅力。炊きたてはもちろん、おにぎりにしてこそ真価がわかるお米です。旬は新米の出る秋。
特産品2:なるせのトマトと加工品
夏から秋にかけては、桃太郎トマトなどのなるせトマトが旬を迎えます。寒暖差のおかげで味が濃く、そのままかじると甘みと酸味のバランスが心地よいトマト。村の加工グループがトマトケチャップやジュース、ソースなどに仕上げていて、直売所で手に入ります。畑の恵みを一年中楽しめるのがうれしいところですよね。
特産品3:いぶりがっこ
秋田の冬を代表する保存食がいぶりがっこ。大根を囲炉裏の煙でいぶし、米ぬかなどで漬け込んだ燻製のたくあんです。パリッとした歯ごたえと香ばしいスモークの香りが特徴で、ご飯のお供にも、クリームチーズを合わせてお酒のつまみにしても最高。豪雪地帯で大根を保存する知恵から生まれた、暮らしに根ざした一品です。旬は仕込みが進む冬。
特産品4:日本短角牛(赤べこ)
山あいの村では、日本短角牛(赤べこ)の飼育も行われています。夏は山で放牧され、赤身が多く、噛むほどにうまみが広がる肉質が持ち味。脂の甘さで食べさせる霜降りとはまた違う、肉本来の味を楽しめる牛肉です。焼いてシンプルに味わうのがおすすめ。山の草を食んで育つ、この土地らしい畜産です。
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東成瀬村の観光スポット

序盤で触れた栗駒山の名湯、建設中の巨大ダム、そして仙人修行の滝──東成瀬村の見どころは、そのほとんどが栗駒国定公園の自然と結びついています。温泉・山と滝・巨大ダムの3つのテーマに分けて、一つずつ深掘りしていきますね。標高差が大きい村なので、季節によって表情がガラッと変わるのも面白いところなんですよ。
栗駒山の名湯を楽しむ
- 須川温泉 栗駒山荘 – 栗駒山の登山口、標高約1,100mにある温泉宿で、日帰り入浴も楽しめます。泉質はpH2.2ほどの強酸性みょうばん緑ばん泉で、毎分6,000リットルという豊富な湯量が特徴。冬期は休業し、営業はおおむね4月下旬〜11月初旬です(出典:旅東北(東北観光推進機構))。展望露天風呂からは眼下に須川高原の湿原、遠くに鳥海山。湯けむりの向こうに沈む夕日と、夜の満天の星は、ここまで登ってきた人だけのごほうびですよ。
- やまゆり温泉 ホテルブラン – ジュネス栗駒スキー場のゲレンデに直結した温泉ホテルで、宿泊のほか日帰り入浴も可能です(出典:栗駒山麓 登山・観光情報サイト)。強アルカリ性の単純硫黄温泉を源泉かけ流しで楽しめて、滑ったあとに雪を眺めながら浸かる一湯は格別。すべすべの湯ざわりで、湯上がりのお肌がつるっとするのを実感できるはずです。
栗駒国定公園の山と滝
- 栗駒山 – 秋田・岩手・宮城の3県にまたがる標高1,626mの名峰で、村の南にそびえます。日本二百名山の一つ(出典:「日本で最も美しい村」連合)。秋には山肌が赤・黄・オレンジに染まり、「神の絨毯」と呼ばれる紅葉が広がります。火山のため登山ルートに季節的・火山防災上の規制がかかることがあるので、出かける前に最新情報の確認をおすすめします。
- 焼石岳 – 村の北にあり、山頂周辺は岩手県に属する日本二百名山。高山植物と紅葉の美しさで知られ、静かに山と向き合いたい人に向いています。栗駒山ほど混み合わないので、のんびり歩けるのが魅力なんですよ。
- 須川湖 – 栗駒山麓の高原にある湖で、周囲にはキャンプ場や湿原、野鳥の森が広がります。ボート遊びやバードウォッチングを楽しみながら、高原の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込めるスポット。新緑と紅葉、どちらの季節も静かで気持ちいいですよ。
- 不動滝 – 夏の「仙人修行」で滝行が行われる、村を代表する滝です。落差はおよそ20メートル。修行の時期以外はひっそりと水音だけが響いていて、マイナスイオンをたっぷり浴びながら深呼吸したくなる神秘的な場所なんです。
- 天正の滝・赤滝 – 天正の滝は「郷土の森」を含む自然公園の中にあり、遊歩道を歩きながら森林浴が楽しめます。赤滝は雨乞いの滝として能恵姫伝説が残る滝。どちらも人の手が入りすぎていない分、山の奥深さと静けさをそのまま感じられます。
巨大ダムと村の恵みにふれる
- 成瀬ダム – 堤高114.5mの台形CSGダムで、完成すればCSGダムとして国内最大級。2027年度の完成予定に向けて、今まさに工事の最盛期です(出典:国土交通省 成瀬ダム工事事務所)。工事事務所ではダム見学会やバスツアーも行われていて、動き回る巨大な重機や積み上がっていく堤体は、今しか見られない大迫力。土木好きはもちろん、お子さんも夢中になれるスポットです。
- 夢・なるせ直売所(なるせ加工研究会) – 村でとれた山菜や野菜、トマトの加工品などが並ぶ直売所です。旅の締めくくりに、仙人米やいぶりがっこ、桃太郎トマトのケチャップなどを買い込むのにぴったり。地元のお母さんたちとの何気ない会話も、いい旅のおみやげになりますよ。
東成瀬村の観光ルート

鉄道が通っていない東成瀬村は、車での移動が基本です。村は南北に細長いので、栗駒山の方へ登っていくルートと、村中心部の滝や温泉を巡るルートで組み立てると回りやすいですよ。序盤で紹介した高橋よしひろさんゆかりの広域ルートもあわせて、3つ提案しますね。
【車・1日】栗駒の山と湯めぐりルート(夏〜秋)
10:00 十文字IC → 10:20 村中心部(車20分)→ 不動滝 → 成瀬ダム → 須川温泉 栗駒山荘
①夢・なるせ直売所(30分)→ まずは村の恵みをチェック。旅の最後に立ち寄って買い込むのもアリです。
②不動滝(30分)→ 森の奥で水音に包まれてひと休み。午前の澄んだ光が差し込む時間帯が気持ちいいですよ。
③成瀬ダム(60分)→ 建設現場の迫力を体感。見学会の日程に合わせると、より間近で楽しめます。
④須川温泉 栗駒山荘(90分)→ R342を南へ登って栗駒山麓へ。夕方の光が湿原を照らす時間に露天風呂へ入るのが最高です。※この道は冬期通行止めのため夏〜秋向けのルートです。
【車・半日】村内の滝と癒しルート(新緑〜秋)
13:00 村中心部 → 天正の滝自然公園 → 赤滝 → やまゆり温泉 ホテルブラン
①仙人下(20分)→ 村名の由来にもなった「仙人様」のほこらへ。旅の入り口にこの村らしさを感じられます。
②天正の滝自然公園(郷土の森)(40分)→ 遊歩道を歩いて森林浴。木漏れ日の下をゆっくり歩くだけで気分が整います。
③赤滝(30分)→ 伝説の残る静かな滝で、ひんやりした空気を味わって。
④やまゆり温泉 ホテルブラン(60分)→ 締めはつるつるの硫黄泉で。歩いた後の温泉は格別なんですよね。
【車・1日】広域ルート:横手市増田で「銀牙」と蔵の町(通年)
9:30 東成瀬村中心部 → 10:00 横手市増田(車約30分)→ 増田まんが美術館 → 蔵の町並み散策
①東成瀬村中心部(30分)→ 村の空気を感じてから出発。
②増田まんが美術館(120分)→ 序盤で紹介した『銀牙−流れ星 銀−』の作者・高橋よしひろさんが名誉館長を務める、横手市のまんが美術館。原画の迫力にじっくり浸れます。
③増田の蔵の町並み(90分)→ 内蔵が残るレトロな町を散策しながら昼食。
④十文字周辺(60分)→ 帰りに道の駅などで買い物して締めくくり。
ここまで見てきたとおり、見どころが少し離れた場所に点在していることもあります。気になるスポットをまとめて回るなら、レンタカーがあると一気に動きやすくなりますよ。料金は会社や時期でけっこう変わるので、まとめて比較できるサイトでサッと見ておくのがおすすめです。
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東成瀬村の年間イベント

東成瀬村のイベントは、雪解けの山開きに始まり、短角牛を味わう初夏の祭り、そして夏の仙人修行と巨大ダムの祭りへと続きます。冬はスキー場が主役。季節ごとに村の楽しみ方が大きく変わるので、順番に紹介していきますね。
春〜初夏:栗駒山の山開きと赤べご祭
雪が解ける5月ごろには、栗駒山の山開き(安全祈願祭)が行われ、いよいよ登山・観光シーズンが始まります。
6月には、ぜひ味わってほしいのがなるせ赤べご祭。村産の短角牛「なるせ赤べご」やミズ汁、仙人米を堪能できるイベントで、毎年6月下旬の日曜に開かれてきました(出典:旅東北(東北観光推進機構))。脂が軽くさっぱりした赤身のうまみに、初めての人ほど驚くんですよ。前売り券が必要なので、早めの準備がおすすめです。
夏:仙人修行と成瀬ダムまつり
夏の主役は、なんといっても仙人修行。毎年8月上旬に2泊3日で行われ、断食・座禅・写経、そして不動滝での滝行に挑みます。やり遂げると「仙人認定証」が授与される、事前申込制の行事です(出典:東成瀬村役場)。滝に打たれて経を唱える参加者の姿には、見ているこちらまで背筋が伸びますよ。
同じく8月には成瀬ダムまつりも開催されます。かつての「赤滝祭り」を受け継いで近年始まったお祭りで、仙人太鼓のオープニングや餅まき、イワナのつかみ取り、そして完成間近のダム見学ツアーが人気です(出典:東成瀬テックソリューションズ(成瀬ダムまつり実行委員会事務局))。太鼓の重low音とダムの迫力、夏の熱気が一気に押し寄せる一日なんです。
秋〜冬:紅葉と雪の楽園
秋は栗駒山の「神の絨毯」と呼ばれる紅葉が村じゅうを彩ります。山肌が燃えるように染まる時期は、須川温泉の露天風呂から眺めるのが至福ですよ。
冬になると、ジュネス栗駒スキー場がシーズンイン。2025−2026シーズンは12月下旬にオープンしました(出典:ジュネス栗駒スキー場公式サイト)。滑降距離2.5kmのゲレンデは初・中級者にやさしく、上級者向けの深雪も楽しめます。滑ったあとにゲレンデ直結の温泉へ直行できるのが、この村ならではのぜいたくなんですよね。
東成瀬村のエリア別の顔

東成瀬村は成瀬川に沿って南北に細長く、上流へ向かうほど標高が上がって山深くなっていきます。役場のある中心部、スキー場やダムのある南部、そして栗駒山麓の高原と、エリアごとに旅の楽しみがはっきり分かれているんですよ(地区の区分は東成瀬村公式サイトを参照)。旅する視点で、それぞれの顔を紹介します。
田子内エリア──村の玄関口
役場や小中学校、直売所が集まる村の中心部です。「仙人下」の地名や「仙人様」のほこらがあり、村名の由来にふれられるエリア。まずここで村の空気をつかんでから山手へ向かうと、旅の流れがスムーズです。買い出しや情報収集の拠点にぴったりですよ。
椿川エリア──雪と湯と巨大ダム
村の南部・上流側にあたり、ジュネス栗駒スキー場ややまゆり温泉、そして建設中の成瀬ダムが集まるエリアです。冬はスキーと温泉、夏から秋はダム見学と、季節を問わず楽しめるのが強み。アクティブに動きたい人や、大きな構造物を間近で見たい人に向いています。
須川・栗駒山麓エリア──雲上の高原
村の最奥、標高1,000mを超える高原地帯です。須川温泉 栗駒山荘や須川湖があり、栗駒山への登山口にもなっています。紅葉と星空、雲海が魅力で、日常から離れてリセットしたい人にこそおすすめ。ただし冬期は道路が閉鎖されるので、訪れるなら夏〜秋がねらい目です。
岩井川エリア──田園と滝の里
成瀬川沿いの田園が広がり、仙人修行の舞台となる不動滝もこの方面にあります。派手さはないけれど、山あいの集落と水田、滝の音が織りなす原風景が残るエリア。のんびり車を走らせて、東北の山里らしい景色を味わいたい人にぴったりです。
東成瀬村の気候・季節の暮らし

東成瀬村は、奥羽山脈に囲まれた冷涼で雪の多い気候です。村の中心部でも積雪は1.5mほどに達し、山あいではさらに深く積もります(出典:「日本で最も美しい村」連合)。夏は標高と山あいの地形のおかげで朝晩がひんやり。四季のコントラストがはっきりしていて、暮らしのリズムも季節でガラッと変わるんですよ。
夏(6月〜8月)──涼しい朝晩とホタルの光
盆地の秋田県内でも、山あいの東成瀬村は比較的過ごしやすい夏です。日中は日差しが強くても、夜に窓を開けるとひんやりした風が入ってきます。成瀬川沿いではホタルが舞い、エアコンいらずで眠れる夜もあるほど。避暑地のような感覚で夏を過ごせるのが、この村の贅沢なんですよね。
秋(9月〜11月)──紅葉と澄んだ星空
秋は栗駒山の「神の絨毯」に代表される紅葉のシーズン。朝晩の冷え込みが進むと、山の色づきが一気に鮮やかになります。空気が澄んでくるこの時期は星空も格別で、村は1999年(平成11年)に「美しい星空日本一」に認定されています(出典:「日本で最も美しい村」連合)。晩秋には初雪の便りも届きます。
冬(12月〜3月)──雪とともにある暮らし
冬は本格的な雪国。真冬日が続き、雪かき・雪下ろしは生活の一部になります。車は冬タイヤが必須で、屋根の雪処理も欠かせません。ただ、雪があるからこそスキーや雪遊びが日常にあり、滑ったあとに温泉へ、という冬ならではの楽しみもあります。地域みんなで雪と向き合う空気が、この村にはあるんです。
春(4月〜5月)──遅い雪解けと山開き
平地より春の訪れはゆっくりで、雪解けは4月ごろまで続きます。雪がなくなると田んぼに水が入り、5月には栗駒山の山開きを迎えて、村全体が活動的になります。長い冬を越えたあとの新緑は、ひときわみずみずしく感じられますよ。
東成瀬村の移住・暮らし情報

東成瀬村は「子育て環境日本一」を掲げ、教育・子育て支援に力を入れている村です(出典:秋田暮らし はじめの一歩(秋田県移住・定住ポータル))。近年はダム関係者やIT企業への若い移住者も増えています。買い物や医療は村外と連携しながら、というのが暮らしの実際。順番に見ていきますね。
通勤・通学
役場や学校、診療所は村の中心・田子内地区にまとまっています。生活圏としては横手市(十文字・増田方面)との結びつきが強く、通勤・買い物でこの方面へ向かう人が多いです。村内に高校はないため、高校生は村外へ通学し、その通学費の8割を村が補助しています。
住宅環境
小さな村なので、民間の賃貸物件は多くありません。住まいは持ち家や空き家の活用が中心で、移住を考えるなら村の移住・定住窓口に相談するのが近道です(出典:東成瀬村役場)。相場だけで判断せず、まず現地で暮らしのイメージをつかむのがおすすめですよ。
買い物環境
村内の商業施設は限られ、日常の買い物は隣接する横手市の十文字・増田エリアへ車で向かうのが一般的です。片道20分ほどで、スーパーや道の駅、ホームセンターが揃うエリアに出られます。まとめ買いのスタイルに慣れると、不便さはだいぶ和らぐと考えられます。
子育て・教育
保育園・小学校・中学校が1校ずつあり、未就学児の待機児童はゼロ。保育料や給食費、教材費を村が助成し、「子育て世代包括支援センター」で妊娠・出産・子育ての相談にも対応しています(出典:東成瀬村役場)。序盤で紹介した「学力日本一の村」の教育環境が、そのまま子育ての安心につながっています。
医療環境
村の中心・田子内地区には診療所と薬局があり、日常的な受診はここで対応できます。入院や専門的な医療が必要なときは、横手市や湯沢市の総合病院を利用するのが基本です。介護面では村内に特別養護老人ホームもあり、高齢期の暮らしも支えられています。
エリア別の暮らし視点
中盤では旅の視点でエリアを紹介しましたが、住む視点で見ると顔がまた変わります。田子内エリアは学校・診療所・買い物導線が近く、いちばん生活しやすいエリア。椿川エリアはダムやIT企業の関係で若い移住者も増えています。岩井川エリアは田園の中の暮らし、須川・栗駒山麓は冬期に道路が閉鎖されるため定住より季節利用に向いた地域です。
東成瀬村へのアクセス

東成瀬村には鉄道が通っていないため、村へ入る現実的な手段は車と、鉄道+路線バスの組み合わせです。秋田県側の十文字方面が玄関口で、岩手・宮城側の峠道は冬期に通行止めになります。主要な行き方を整理しますね。
車でのアクセス
湯沢横手道路の十文字ICから、国道13号・342号を経由して村の中心部まで約20分(およそ14km)です(出典:旅東北(東北観光推進機構))。岩手県側の東北自動車道からも入れますが、須川・栗駒山方面の峠道は冬期通行止めとなるため、冬は十文字方面からのルートが基本になります。
鉄道+バスでのアクセス
最寄り駅はJR奥羽本線の十文字駅で、そこから羽後交通の路線バスに乗り換えて村まで約30分です(出典:「日本で最も美しい村」連合)。首都圏からなら、秋田新幹線こまちで大曲駅へ向かい、奥羽本線に乗り換えて十文字駅へ、という流れになります。バスは本数が限られるので、時刻の事前確認をおすすめします。
飛行機でのアクセス
最寄りの空港は秋田空港です。ただ、空港から村への直通の公共交通は限られるため、空港でレンタカーを借りて向かうのが現実的だと考えられます。夏〜秋なら、東北新幹線の一ノ関駅から須川高原方面を経由して入るルートもありますが、この峠道も冬期は閉鎖されます。
村内移動の現実的アドバイス
村は南北に細長く、路線バスの本数も多くないため、村内をしっかり回るなら車があると安心です。特に栗駒山麓の温泉や滝、成瀬ダム方面は車移動が前提。冬に訪れる場合は、スタッドレスタイヤと余裕を持ったスケジュールで動くのがおすすめですよ。
交通手段ごとに見てきましたが、「結局いちばん安く行くにはどうすれば?」と迷う方も多いはず。飛行機で向かうなら、航空券は予約のタイミングや会社によって料金が大きく変わります。複数の航空会社・LCCをまとめて比較できるサイトで、いちど最安値をチェックしておくと安心ですよ。
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【地元住民に直撃!】東成瀬村の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
今は成瀬ダムの現場で働いています。もともとこの村で育って、一度は外に出たんですが、戻ってきてダムの仕事に就きました。完成まで残りわずかで、日本でも珍しい形式の巨大なダムを、自分の手で造っている実感があります。
正直、豪雪地帯なので冬の現場は楽じゃないです。それでも、村の暮らしを支える水になると思えば力が入ります。生まれ育った土地に残せる仕事ができているのは、ありがたいことだと思っていますね。
Q2.東成瀬村に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
まずは栗駒山のふもとの温泉ですね。標高の高い露天風呂に浸かると、眼下に湿原が広がって、遠くに鳥海山まで見える。湯けむりの向こうに沈む夕日と、夜の星空は、ここまで登ってきた人だけのご褒美です。
あとは地元の人間としては、仙人修行の滝も見てほしい。ふだんは静かで、水の音だけが響く場所なんです。そして今なら建設中のダムの現場。あの大きさは、写真じゃ伝わらないですよ。
Q3.東成瀬村でお土産を買うとしたらなんですか?
王道はやっぱり村のお米ですね。栗駒の水と寒暖差で育った大粒のあきたこまちで、冷めてもうまい。おにぎりにすると違いが分かります。あとはいぶりがっこ。大根を煙でいぶした漬物で、香ばしくてご飯が進みます。
地元の人間がすすめるなら、村でとれる短角牛ですね。赤身の旨味がさっぱりしていて、脂で食べさせる肉とは別物。直売所ではトマトの加工品も並ぶので、そのあたりを選ぶと外れないと思います。
Q4.外から人が来たときに、東成瀬村でまず連れていく店はどこですか?
店らしい店が多い村じゃないので、まずは地元の食材が食べられるところへ連れていきます。山菜や短角牛を出してくれる、素朴だけど味のしっかりした食事処ですね。旬のものが出てくると、それだけで会話が弾みます。
そのあとは村の直売所に寄ります。地元のお母さんたちと自然に話が始まって、旬の野菜や漬物を手に取る。そういう何気ないやり取りが、この村らしいもてなしなんですよ。
Q5.東成瀬村はどんな気質だと思いますか?
山あいで雪深い土地なので、みんなで助け合う空気が根っこにあります。雪かきを手伝ったり手伝われたり、それが当たり前。移住してきた人にも、気づけば自然と声をかけているんですよね。
子どもは村みんなの宝、という感覚も強いです。学校も家庭も地域も一緒になって育てる。落ち着いていて口数は多くないけれど、一度懐に入れば長く付き合ってくれる、そういう人たちだと思います。
Q6.昔に比べて、東成瀬村の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言うと、人口減少と高齢化はずっと村の課題です。若い人が外に出ていく流れは、簡単には止まりません。それでも合併せず、自分たちの村を自分たちで守るという意地は、今も残っていると感じます。
一方で、ダムの工事やIT関係で若い移住者が増えて、村を歩く顔ぶれが少し変わりました。夏の祭りに二千人を超える人が集まる年もあって、静かな村に新しい活気が生まれてきているのは確かです。
Q7.東成瀬村のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
やっぱり成瀬ダムの完成が一番の楽しみです。あれが仕上がれば、洪水を防いだり水を確保したりと、村と下流の暮らしを長く支えてくれる。建設現場の見学も人を呼んでいて、新しい名所になりつつあります。
夏のダムの祭りみたいに、村の内と外の人が一緒に楽しめる場が増えていくといいですね。仙人の郷という個性を大事にしながら、子育てや教育に力を入れる村の姿勢が続いていくことを期待しています。

