岩泉町(いわいずみちょう)は、岩手県の中央部から東部、下閉伊郡に位置する人口7,319人の町です。本州で最も面積の広い町で、東端は太平洋に面しています。
岩泉町の魅力を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 龍泉洞──日本三大鍾乳洞のひとつ。「ドラゴンブルー」と呼ばれる地底湖が見どころ(国の天然記念物)
- ✅ 本州で最も面積の広い町──992.36km²、東京23区の1.5倍超。ただし可住地はわずか7.4%
- ✅ いわいずみ短角牛・岩泉ヨーグルト──「水と緑」が育てた赤身肉ともっちり乳製品
- ✅ 南部牛追唄 発祥の地──毎年9月に全国大会が開かれる岩手の代表的民謡
- ✅ モシリュウ──日本で初めて見つかった恐竜化石が出土した町
「自然や水が好きな旅行者」「鍾乳洞や地学に惹かれる人」「のんびり暮らせる移住先を探している人」に向いた町です。本記事では、観光・歴史・文化・特産を、地元目線で序盤から終盤まで紹介します。
| 人口 | 7,319 人 ※2026年5月1日時点(推計人口) |
|---|---|
| 面積 | 992.36 km²(境界未定部分あり) |
| 人口密度 | 7.38 人/km² |
地理的には、西は盛岡市、南は宮古市、北は久慈市、東は田野畑村、北東は普代村・野田村、北西は葛巻町と、7つの市町村に接しています(出典:日本観光鍾乳洞協会)。東端の小本(おもと)地区は太平洋に臨み、三陸地方の一部です。
鉄道は2014年の岩泉線廃止後、町の中心部には通っておらず、沿岸の岩泉小本駅(三陸鉄道リアス線)が最寄りです。盛岡からはJRバス東北の早坂高原線で約2時間。山・水・牛・洞窟と、この広い町には見どころが点在しています。ひとつずつ見ていきましょう。
岩泉町の推しポイント

岩泉町を一言でいえば「水と緑に恵まれた、本州一広い町」です。その象徴が日本三大鍾乳洞の龍泉洞。広大な森が育てた清水は、短角牛やヨーグルトといった食にもつながっています。さらに、民謡「南部牛追唄」発祥の地であり、日本初の恐竜化石が出た町でもあるんですよ。ここでは5つの顔を紹介します。
龍泉洞──ドラゴンブルーの地底湖
龍泉洞は、知られているだけで総延長4,088m以上、推定では5,000mを超えるとされる鍾乳洞です。洞内に棲むコウモリとともに、1938年に「岩泉湧窟及びコウモリ」として国の天然記念物に指定されています(出典:日本観光鍾乳洞協会)。見どころは、世界屈指の透明度をもつ地底湖。公開されている第三地底湖は水深98mに達し、青く澄んだ水の色は「ドラゴンブルー」と呼ばれています。のぞき込むと、吸い込まれそうな深さですよ。
本州でいちばん面積の広い町
岩泉町の面積は992.36km²。東京23区(約627km²)をはるかに上回り、本州の町としては最大です(出典:岩泉町・龍泉洞WEBサイト)。ただし山林が町域の9割以上を占め、人が住める可住地はわずか7.4%ほど。そのぶん、谷や川沿いに集落が点在する、自然の濃い土地になっています。
いわいずみ短角牛と岩泉ヨーグルト
岩泉町は、肉牛「日本短角種」の産地として知られています。赤身のうまみが濃い「いわいずみ短角牛」は、この町を代表する味です。乳製品も盛んで、低温長時間発酵のもっちりした「岩泉ヨーグルト」は、岩手県内のみならず首都圏の一部スーパーでも流通しています(出典:岩泉ホールディングス乳業事業部)。
南部牛追唄 発祥の地
全国で愛唱される民謡「南部牛追唄」は、岩泉町が発祥の地とされています。藩政時代、沿岸の塩や海産物を盛岡へ運んだ牛方たちが、道中で唄い継いだものです。町では毎年9月の最終週に「南部牛追唄全国大会」を開いています(出典:岩泉町公式サイト)。
日本初の恐竜化石「モシリュウ」
1978年、町内の茂師(もし)海岸で、日本で初めてとなる恐竜化石が発見されました。発見地にちなんで「モシリュウ」と名づけられた、竜脚類の上腕骨の化石です。海あり山ありのこの町は、はるか太古の記憶もとどめているんですね。
岩泉町の歴史

岩泉町の歩みは、大きく3つの流れで捉えられます。第一に、明治の町村制から昭和の合併を経て「広い町」が形づくられた時期。第二に、牛とともに生きてきた産業の歴史。そして第三に、たびたび自然災害に向き合いながら復興してきた近年です。山と海をあわせ持つ地形が、町の歴史を大きく方向づけてきました。
町村合併と「本州一の町」の成立
1889年の町村制施行で、岩泉村など5か村が合併し、北閉伊郡岩泉村が発足しました。1922年に町制を施行して岩泉町となります。1956年に安家村・有芸村・大川村・小本村と合併し、翌1957年には小川村を編入しました。この合併で、現在の広大な町域が成立しています。
牛とともに歩んだ産業の歴史
北上山地の太平洋側は、夏に吹く冷たい風「やませ」の影響で稲作に向きませんでした。そのため南部藩の時代から、農家は牛や馬を育てて売り、現金収入を得てきました。荷役を担った南部牛は、塩や鉄を内陸へ運ぶ動力でもあり、のちの短角牛のルーツにつながっています。1929年には県内初の乳製品工場が立地し、酪農の歴史も始まりました。
災害と復興──近年の出来事
2011年の東日本大震災では、太平洋に面した小本地区が大きな津波被害を受けました。2016年8月には、統計開始以来初めて東北の太平洋側へ直接上陸した台風10号により、小本川が氾濫。町中心部で甚大な被害が出ました。被災した「道の駅いわいずみ」などは、全国からの支援を受けて営業を再開しています。
岩泉町の文化・風習

方言と話し方の特徴
岩泉町で話されるのは、旧南部藩エリアの言葉、いわゆる南部弁(岩手弁)です。やわらかく、親しみやすい響きが特徴なんですよ。
たとえばめんこい(かわいい・愛らしい)、んだ(そうだ)、んだば(それでは・それなら)といった言葉が日常的に使われます。地元の言い回しではあいどかん(一緒に行きましょう)という表現もあるそうです。
また、南部牛追唄の歌詞には古い土地の言葉が残っていて、コデ(牡牛)、スンベ(藁で作った深い雪沓)などが登場します。言葉のなかに、牛と雪とともに暮らした歴史が透けて見えますね。
食卓と季節の暮らし
岩泉の食卓には、山と海の両方が並びます。山からは短角牛やまつたけ、川魚のヤマメやイワナ。東の小本からはサケやウニ、わかめといった三陸の幸が届きます。
冬は厳しく、氷点下15度近くまで下がる日もあります。豪雪地帯に指定されている町なので、雪と寒さに備える暮らしが今も根づいています。一方で、湧き水が凍らずに使える土地でもあり、水のありがたみが生活に染み込んでいるんですよ。
受け継がれる郷土芸能
小本地区には、勇壮な郷土芸能「中野七頭舞(なかのななずまい)」が伝わっています。天保のころの神楽舞が起源とされ、五穀豊穣や大漁を祈って踊られてきました(出典:JALふるさと納税)。全国各地に踊る会があるほど人気で、町の行事では今も披露されています。粘り強く一歩ずつ、という土地の気質は、牛追いの時代から受け継がれているのかもしれません。
岩泉町の特産品・食

いわいずみ短角牛
まず外せないのが「いわいずみ短角牛」。日本短角種という赤身主体の和牛で、脂よりも肉そのもののうまみで食べさせるタイプです。かみしめるほどに濃い味わいが広がるので、ステーキや焼肉でシンプルに楽しむのがおすすめですよ。南部藩時代の荷役牛・南部牛をルーツにもつ、この町ならではの肉です(出典:岩泉町公式サイト)。
岩泉ヨーグルト
もっちりとした独特の食感で知られるのが「岩泉ヨーグルト」。低温でじっくり長時間発酵させることで、スプーンですくうと固まりがついてくるほどの濃さに仕上がります。プレーンはそのままでも濃厚でまろやか。果物やジャムを添えれば、朝食が一気にごちそうになります(出典:岩泉ホールディングス乳業事業部)。
龍泉洞の水
龍泉洞の地底湖から汲み上げた「龍泉洞の水」は、石灰岩層を通ったミネラル豊富な水で、硬度は85.7mg/Lとされます。名水百選に選ばれた水で、口当たりはまろやか。この水を使ったコーヒーや炭酸水も作られていて、町を訪れたらまず一杯飲んでみてほしい味です(出典:岩泉ホールディングス乳業事業部)。
まつたけ
秋になると主役になるのが、まつたけです。岩泉町は全国有数の産地として知られ、東京や関西方面へも出荷されています。香りを楽しむなら土瓶蒸しや炭火焼き、ぜいたくにいくならまつたけご飯。広大な山林に恵まれた町だからこそ味わえる、秋の味覚なんですよ。
三陸・小本の海の幸
東の小本地区は太平洋に面した漁港の町。サケやウニ、アワビ、わかめなど、三陸の海の幸が水揚げされます。山のイメージが強い岩泉ですが、じつは海の恵みも豊かなんです。秋のサケは新巻鮭やフレークにも加工され、土産物としても親しまれています。
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岩泉町の観光スポット

岩泉町の観光は、大きく「地底」「水と森」「町の暮らし」の3つに分けると回りやすいです。序盤で紹介した龍泉洞を軸に、もうひとつの巨大鍾乳洞や高原、商店街までが点在しています。広い町なので、見たいものを絞って動くのがコツですよ。まずはスポットを順に見ていきましょう。
地底をめぐる──2つの鍾乳洞
- 龍泉洞 – 日本三大鍾乳洞のひとつで、国の天然記念物。営業時間は8:30〜17:00(5〜9月は18:00まで)、入洞料は大人(高校生以上)1,100円・小中学生550円で、年中無休です(出典:岩泉町・龍泉洞WEBサイト)。見どころは水深98mの第三地底湖。青く澄んだ「ドラゴンブルー」をのぞき込むと、足がすくむような深さですよ。洞内は年中10度前後なので、夏でも上着が一枚あると安心です。
- 龍泉新洞科学館 – 龍泉洞の向かいにある鍾乳洞で、1967年に発見されました。龍泉洞の入洞券でそのまま見学できます(出典:岩泉町観光協会)。かつてこの洞窟で暮らした人々の遺物も展示されていて、地底と人の関わりを感じられる場所です。
- 安家洞 – 総延長23.7kmと日本最長の鍾乳洞で、文化庁指定の天然記念物。公開区間は約500mです。営業は9:00〜16:00(8月は16:30まで)、4月中旬〜11月下旬の公開で、冬期は閉洞します(出典:岩泉町公式サイト)。整備された龍泉洞とは対照的に、こちらは自然のままの迷宮型。ヘルメットをかぶって進むと、本物の探検気分が味わえます。
水と森を感じる──高原・渓谷・湿原
- 早坂高原 – 盛岡市との境、標高916mの早坂峠を中心に広がる県立自然公園です。春のカタクリやレンゲツツジ、秋の紅葉と、季節ごとに表情が変わります。盛岡から岩泉へ向かう道中に立ち寄れるので、ドライブの休憩にぴったりですよ。
- 大川七滝 – 小本川上流の大川地区にある、大小7つの滝が階段状に連なる景勝地。渓流釣りのメッカとしても知られ、夏は涼を求める人でにぎわいます。山あいの清流が好きな人にはたまらない場所です。
- 櫃取湿原 – ブナやミズナラの林に囲まれた広大な湿地帯で、5月上旬〜中旬にミズバショウが咲き誇ります。「21世紀に残したい日本の自然100選」に選ばれた一帯です(出典:岩泉町観光協会)。静かな高層湿原を歩くと、町の自然の奥深さが伝わってきます。
- 宇霊羅山 – 龍泉洞の真上にそびえる標高600.5mの山で、町のシンボル。アイヌ語で「霧のかかる峰」が語源とされます(出典:岩泉町観光協会)。石灰岩がつくる絶壁は迫力があり、龍泉洞とセットで眺めると、地上と地下のつながりが見えてきますよ。
町の暮らしにふれる──商店街と道の駅
- うれいら通り商店街 – 龍泉洞のふもと、岩泉中心部に続くノスタルジックな商店街です。安政元年創業の造り酒屋では、龍泉洞の水で仕込んだ地酒「龍泉八重桜」がつくられています。白壁の蔵を眺めながらの散策は、町の時間の流れを感じさせてくれます。
- 道の駅いわいずみ – 国道455号沿いにあり、龍泉洞へ車で約10分。営業は9:00〜17:00で年中無休です(出典:道の駅いわいずみ公式サイト)。岩泉ヨーグルトやViTOのジェラート、短角牛肉がそろい、秋には岩泉産まつたけも並びます。お土産選びの拠点にどうぞ。
- 道の駅三田貝分校 – 旧門小学校の三田貝分校跡を生かした道の駅で、盛岡方面からの国道455号沿いにあります。「購買部」や「給食室」といった学校コンセプトがユニーク。砂糖をまぶした昔ながらの揚げパンが名物で、ドライブの途中に立ち寄ると懐かしい気分になりますよ。
岩泉町の観光ルート

岩泉町は本州一広い町なので、移動時間を意識してルートを組むのがポイントです。龍泉洞を中心にまとめる王道コースから、2つの鍾乳洞をはしごする探検コース、沿岸の三陸まで足をのばす広域コースまで。目的に合わせて選んでみてくださいね。
【車・1日】龍泉洞と中心部 満喫ルート
盛岡方面から入る人向けの、岩泉のいいとこ取りコースです。
9:30 道の駅三田貝分校 → 10:20 龍泉洞・龍泉新洞科学館(車30分)→ 13:00 うれいら通り商店街 → 14:30 道の駅いわいずみ(車10分)
①道の駅三田貝分校(30分)→ 揚げパンで小腹を満たして、旅のウォーミングアップ。朝の早い時間なら混雑を避けられます。
②龍泉洞・龍泉新洞科学館(120分)→ ドラゴンブルーの地底湖をじっくり。共通券で向かいの科学館もあわせて見られます。
③うれいら通り商店街(60分)→ 地酒の蔵を眺めながら昼食と散策。町の暮らしの空気を感じる時間です。
④道の駅いわいずみ(45分)→ 岩泉ヨーグルトや短角牛をお土産に。締めくくりにぴったりの立ち寄り先です。
【車・半日】2つの鍾乳洞 探検ルート
整備された龍泉洞と、野性的な安家洞を半日で比べる、洞窟好き向けのコースです。
9:00 龍泉洞 → 11:00 安家洞(車30分)→ 12:30 龍泉洞周辺で昼食
①龍泉洞(90分)→ まずは王道の地底湖から。歩きやすい通路で青の世界を堪能します。
②安家洞(70分)→ 北へ向かい、自然のままの迷宮へ。ヘルメット必須の探検気分が味わえます。冬期は閉洞なので、訪れるなら春〜秋がおすすめです。
③龍泉洞周辺(60分)→ 戻って遅めのランチ。対照的な2つの洞窟を振り返るのも楽しい時間です。
【車・1日】広域ルート:地底から三陸の海へ
山の地底と太平洋の両方を1日で味わう、欲ばりな広域コースです。
9:00 龍泉洞 → 11:30 小本(岩泉小本駅・海岸)(車30分)→ 14:00 鵜の巣断崖〈田野畑村〉(車40分)
①龍泉洞(120分)→ 朝のうちに地底湖を見学。光が少ない午前は、青がいっそう深く感じられます。
②小本エリア(90分)→ 三陸鉄道リアス線の岩泉小本駅周辺へ。太平洋を望み、海の幸の昼食を楽しめます。
③鵜の巣断崖(60分)→ 隣の田野畑村まで足をのばし、高さ200mの断崖へ。三陸のダイナミックな海岸線を締めに眺めます。
ここまで見てきたとおり、見どころが少し離れた場所に点在していることもあります。気になるスポットをまとめて回るなら、レンタカーがあると一気に動きやすくなりますよ。料金は会社や時期でけっこう変わるので、まとめて比較できるサイトでサッと見ておくのがおすすめです。
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岩泉町の年間イベント

岩泉町のイベントは、やはり龍泉洞を舞台にしたものが中心です。春のまつりから真冬の幻想的なライトイベントまで、地底湖がさまざまな表情を見せてくれます。加えて、町の歴史を伝える民謡大会や、秋の味覚を楽しむ祭りも。季節ごとに見ていきましょう。
春〜夏:龍泉洞まつりと渓流釣り
まず行ってみてほしいのが、ゴールデンウィークに龍泉洞園地で開かれる「龍泉洞まつり」です。毎年5月初旬の開催で、南部牛追唄や中野七頭舞などの郷土芸能、特産品の販売でにぎわいます(出典:岩泉町・龍泉洞WEBサイト)。
同じころから秋にかけては、清水川で「龍泉洞・清水川渓流釣りまつり」も開かれます。澄んだ川でのイワナ釣りやつかみどりは、家族連れにも人気なんですよ。
秋:民謡大会と味覚の祭り
秋の主役は、9月最終週の「南部牛追唄全国大会」。岩泉町発祥の民謡をめぐり、全国から愛好家が集まって自慢ののどを競います(出典:岩泉町公式サイト)。塩の道を歩いた牛方たちの唄が、今も町に響くんですね。
食の楽しみなら、10月ごろに開かれる「岩泉まつたけ祭り」へ。岩泉商工会が主催し、秋の王様まつたけを味わえます(出典:岩泉商工会)。香り高い土瓶蒸しやまつたけご飯は、この時期ならではのごちそうです。
冬:ナイトドラゴンブルーの幻想
冬におすすめなのが、1月下旬から2月初旬にかけて開かれる「龍泉洞冬まつり」です(出典:岩泉町・龍泉洞WEBサイト)。
期間中の夜には「ナイトドラゴンブルー」という催しがあり、足元の照明を消して水中照明だけで地底湖を眺めます。一瞬あたりが真っ暗になる演出もあって、青の輝きがいっそう神秘的に感じられますよ。雪化粧した宇霊羅山とあわせて、冬ならではの岩泉を楽しめます。
岩泉町のエリア別の顔

広い岩泉町は、かつての村が合併してできた町です。そのため地区ごとに表情がはっきり分かれていて、旅の目的に合わせて訪ねるエリアを選ぶと楽しめます。地底観光の中心部、太平洋に面した沿岸、山深い渓谷の里など、5つの顔を旅する視点で紹介します。
岩泉エリア──地底観光と暮らしの中心
龍泉洞や龍泉新洞科学館、うれいら通り商店街、町役場が集まる中心部です。観光の拠点になるエリアで、地底湖見学と町歩きをまとめて楽しみたい人に向いています。地酒の蔵が残る通りには、町の生活感がにじんでいますよ。
小本エリア──太平洋に開けた漁港の里
町の東端、太平洋に面した沿岸エリアです。三陸鉄道リアス線の岩泉小本駅があり、列車旅の入口になります。郷土芸能「中野七頭舞」が伝わる土地で、海の幸を味わいたい人や、海岸線の景色を楽しみたい人におすすめです。
安家エリア──日本最長の鍾乳洞がある山里
町北部の山あいに位置し、日本最長の安家洞があるエリアです。ダムのない清流・安家川は渓流釣りのメッカ。本格的な洞窟探検や、手つかずの自然を味わいたい人にぴったりの、静かな山里です。
大川エリア──滝と黄金伝説の渓谷
小本川上流の大川地区は、大川七滝が連なる渓谷の里です。かつて平泉藤原氏の金山があったと伝わり、砂金にまつわる黄金伝説が残っています。滝めぐりや渓流釣り、里山歩きなど、自然のなかでゆっくり過ごしたい人に向いています。
小川エリア──旧岩泉線と峠の玄関口
盛岡方面から国道455号で岩泉に入る際の玄関口にあたるエリアです。道の駅三田貝分校があり、かつての岩泉線の沿線でもありました。早坂高原のドライブとあわせて、町の西側からゆっくり入っていきたい人におすすめの地区です。
岩泉町の気候・季節の暮らし

岩泉町の気候は、寒暖差の大きい大陸性気候です。気象庁の平年値(1991〜2020年)によると、年平均気温は約10.3℃、年間降雪量はおよそ243cmです(出典:気象庁 過去の気象データ検索)。夏は涼しく、冬はしっかり冷え込みます。豪雪地帯に指定された山あいの町ならではの、四季のメリハリがある暮らしなんですよ。
夏──涼しく、熱帯夜が少ない
8月の平均気温は約22.3℃で、内陸でも標高が高いため過ごしやすい夏です(出典:気象庁 過去の気象データ検索)。夜は涼しく、熱帯夜がほとんどないのが特徴です(出典:岩手県移住定住ポータルサイト)。日中に30℃を超えても、龍泉洞のような地底や渓谷へ行けば、ひんやりした空気でクールダウンできますよ。
冬──冷え込みと雪への備え
冬は厳しく、最低気温が0℃を下回る冬日が年間およそ130日にのぼります(出典:気象庁 過去の気象データ検索)。2021年1月には-14.1℃を記録した日もありました。暖房や雪道の運転は欠かせませんが、雪化粧した宇霊羅山の静けさは、この季節だけのごほうびです。
春と秋──短くも鮮やかな移ろい
春は雪どけとともに、早坂高原のカタクリや櫃取湿原のミズバショウが咲き始めます。秋は山々が一気に色づき、まつたけの香りが食卓にのぼる季節です。春と秋はやや駆け足で過ぎていくぶん、自然の移ろいが濃く感じられる時期なんですよ。
岩泉町の移住・暮らし情報

本州一広い岩泉町での暮らしは、自然との距離が近いのが何よりの魅力です。一方で、買い物や通院では中心部に出る場面も多く、車があると安心です。移住支援や子育て支援が手厚い町なので、順に見ていきましょう。
住宅環境
町内には不動産業者がいないため、住まい探しは町の空き家・空き地バンクや町営住宅情報を使うのが基本です(出典:岩泉町公式サイト)。単身者向けのアパートは一定数ありますが、世帯向けの物件は数が限られます。気になる物件があれば、町の移住コーディネーターに相談すると話が進めやすいですよ。
移住支援
東京圏から岩泉町へ移住する人には、移住支援金として複数世帯100万円・単身世帯60万円が支給されます(出典:岩泉町公式サイト)。これまでに20人以上の地域おこし協力隊を受け入れてきた実績もあり、先輩移住者がいる安心感があります。新規就農やリフォームへの補助制度も用意されています。
買い物環境
日常の買い物は、岩泉中心部のスーパーや商店、道の駅いわいずみが中心になります。まとまった買い物や大型店を利用したいときは、宮古市や盛岡市まで足をのばす人も多いです。週末にまとめ買いをするなど、暮らしのリズムを工夫すると快適ですよ。
子育て・教育
子育て支援は手厚く、2024年8月から高校生以下の医療費が無償化されています(出典:岩手県移住定住ポータルサイト)。育児施設を使わず家庭で子育てする保護者には、児童一人あたり月額1万円の在宅子育て支援金もあります。町内には県立岩泉高等学校があり、高校までは町内で学べる環境です。
医療環境
医療は、病院1施設・一般診療所6施設・介護施設等8施設という構成です(出典:岩手県移住定住ポータルサイト)。中核となるのは岩泉病院です。小児科・産婦人科にオンラインで無料相談できるサービスもあり、専門的な受診で遠出が必要な場面を補っています。
エリア別の暮らし視点
暮らしやすさで見ると、役場・病院・高校・商店が集まる岩泉中心部が最も生活利便の高いエリアです。沿岸の小本エリアは三陸鉄道で通勤・通学ができます。安家・大川など山間部は自然が豊かなぶん、買い物や通院は中心部へ車で向かう前提になります。
岩泉町へのアクセス

岩泉町へは、盛岡市を起点にするのが基本です。2014年の岩泉線廃止で町中心部に鉄道は通っていないため、バスや車が主役になります。沿岸には三陸鉄道も走っていて、目的地に応じてルートを選べます。
車でのアクセス
盛岡方面からは、国道455号の早坂峠道路を経由して中心部までおよそ2時間です。山道ですが、早坂トンネルの開通で冬も走りやすくなりました。広い町内をめぐるなら、車が一番自由がきく移動手段です。
バス・鉄道でのアクセス
公共交通なら、盛岡駅東口からJRバス東北の早坂高原線が便利です。龍泉洞前まで約2時間10分、1日4往復が運行しています(出典:JRバス東北)。JRのフリーパスで乗車すると、龍泉洞の観覧料が割引になる特典もありますよ。
沿岸の小本エリアへは、三陸鉄道リアス線の岩泉小本駅が入口になります。宮古市方面から鉄道で向かうルートも選べるので、海側を旅したい人にはこちらがおすすめです。
飛行機でのアクセス
最寄りの空港はいわて花巻空港ですが、空港から岩泉までは距離があります。遠方からは、東北新幹線で盛岡駅まで来て、そこからバスか車に乗り換えるのが現実的なルートです。乗り換えの拠点は盛岡、と覚えておくと計画が立てやすいですよ。
交通手段ごとに見てきましたが、「結局いちばん安く行くにはどうすれば?」と迷う方も多いはず。飛行機で向かうなら、航空券は予約のタイミングや会社によって料金が大きく変わります。複数の航空会社・LCCをまとめて比較できるサイトで、いちど最安値をチェックしておくと安心ですよ。
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【地元住民に直撃!】岩泉町の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
短角牛の繁殖農家をやっています。この町は昔から南部牛の産地で、夏は山に放牧して、自然に近い形で育てる赤身の牛なんです。手間はかかりますけど、肉のうまみで勝負できる牛なので、誇りを持って続けています。
祖父の代から続く仕事で、餌になる牧草も水も、この土地の恵みありきです。本州一広いと言われる町の山と水があってこその商売だと思っています。
Q2.岩泉町に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
まずは龍泉洞ですね。日本三大鍾乳洞のひとつで、地底湖のドラゴンブルーは何度見ても息をのみます。観光の中心はやっぱりここです。
あとは地元の人間としては、宇霊羅山を見上げる中心部の空気が好きです。早朝、清水川沿いを歩くと水の匂いがして、町全体が湧き水で生きているのを肌で感じます。山に分け入った湿原や渓谷の静けさも格別ですよ。
Q3.岩泉町でお土産を買うとしたらなんですか?
定番はやっぱり岩泉ヨーグルトと龍泉洞の水でしょうね。ヨーグルトはもっちりして濃くて、町外の人にも喜ばれます。水も澄んでいて、贈ると間違いがないです。
地元の人間が推すなら、秋のまつたけと、うちらの短角牛の肉。それと畑わさびも忘れちゃいけません。市町村のおすすめスポットの売店や道の駅で、その時季の山の幸が手に入りますよ。
Q4.外から人が来たときに、岩泉町でまず連れていく店はどこですか?
うちはまず、短角牛を食べさせる店に連れていきます。赤身の濃さを知ってもらいたいので、焼いてシンプルに味わってほしいんです。
あとは中心部の昔ながらの商店街を歩いて、白壁の蔵が残る造り酒屋をのぞいたり、地酒を一本買ったり。観光客向けというより、町の暮らしの匂いが残る通りを案内することが多いですね。
Q5.岩泉町はどんな気質だと思いますか?
粘り強くて、地味でも一歩ずつやる気質だと思います。牛追いの時代から急な山を越えてきた土地なので、辛抱強さが染みついているんでしょうね。
派手さはないけれど、横のつながりが強くて、困ったときは自然と助け合う。よそから来た人もちゃんと受け入れる、あたたかさのある町です。
Q6.昔に比べて、岩泉町の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直、人は減りました。鉄道が無くなって、若い人が町外に出ていくのを止めるのは難しい。子どもの頃よりにぎわいは確実に薄くなっています。
ただ、災害で町が傷ついたあと、全国から支援をもらって立ち直った経験は大きかった。市町村民センターでの催しや祭りに人が集まると、まだこの町は元気だと感じますよ。
Q7.岩泉町のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
移住してくる人が少しずつ増えているのが、一番の希望ですね。協力隊の若い人や、子育て世代が入ってきて、新しい風を運んでくれています。
市町村長をはじめ町ぐるみで子育てや移住の支援に力を入れているので、空き家を生かした暮らしや、市町村運動公園、市町村水源を軸にした自然の体験が、もっと広がっていくといいなと思っています。

