大崎市(おおさきし)は、宮城県北西部に広がる人口約11万8千人のまちです。奥羽山脈から太平洋へ流れる江合川・鳴瀬川がうるおす肥沃な平野「大崎耕土」を抱え、新幹線古川駅から仙台まで約15分の距離にあります。
大崎市の見どころを5つに絞ると、こうなります:
- ✅ 鳴子温泉郷──5つの温泉地に、日本の10泉質のうち7種が湧く東北屈指の湯治場
- ✅ 世界農業遺産「大崎耕土」──ササニシキを生んだ米どころ(東北で初認定)
- ✅ 鳴子こけし発祥の地──首を回すと「キュッ」と鳴る伝統こけし
- ✅ 伊達政宗が築いた岩出山の城下町と、仙台藩の学問所・有備館
- ✅ 新幹線・高速道が交わる古川──宮城県北の商業中心地
「温泉でゆっくり湯治をしたい人」「お米や農村の景観が好きな人」「歴史と城下町歩きを楽しみたい人」に向いたまちです。本記事では、観光・歴史・文化・特産まで、温泉と米と城下町が一つになった大崎市の姿を順番に見ていきます。
| 人口 | 118,344 人 ※2026年5月1日時点(推計人口) |
|---|---|
| 面積 | 796.81 km² |
| 人口密度 | 149 人/km² |
大崎市は宮城県北西部にあり、北は栗原市、東は登米市・涌谷町・美里町、南東は松島町、南は大郷町・大衡村、西は加美町・色麻町と接します。さらに市の西端では県境を越えて、北西は秋田県湯沢市、西は山形県最上町とも隣り合います(出典:大崎市公式サイト)。
東西に約80キロメートルと長く、平野部の古川と山あいの鳴子では気候も暮らしも大きく変わります。2006年に1市6町が合併して生まれた市で、農業・温泉・歴史と、それぞれ顔の異なる地域が一つにまとまっているのが大崎市の特徴です。ひとつずつ見ていきましょう。
大崎市の推しポイント

大崎市の魅力は、大きく分けて「温泉」「米」「歴史」の3本柱です。山あいには東北を代表する鳴子温泉郷が湯けむりを上げ、平野には世界農業遺産に認められた田んぼが広がり、岩出山には伊達政宗ゆかりの城下町が残ります。そこに新幹線が停まる商業のまち・古川が加わって、一つの市の中にいくつもの表情が同居しています。ここからは、その代表格を4つ掘り下げます。
鳴子温泉郷──10泉質のうち7種が湧く湯の郷
鳴子温泉郷は、鳴子・東鳴子・川渡・中山平・鬼首という5つの温泉地の総称です。日本にある10種類の泉質のうち7種類がここで湧き、源泉数は約370本にのぼります(出典:大崎市公式サイト)。少し歩くだけで湯の色や香りがガラリと変わるので、宿をはしごする「湯めぐり」が楽しいんですよ。雑誌「旅の手帖」の温泉番付では、東の横綱に選ばれたこともある名湯です。
世界農業遺産「大崎耕土」──ササニシキのふるさと
市内を中心とする大崎地域の田んぼは、2017年12月、「持続可能な水田農業を支える『大崎耕土』の伝統的水管理システム」として国連食糧農業機関(FAO)から世界農業遺産に認定されました。東北では初めての認定です(出典:大崎市公式サイト)。江戸時代から受け継がれてきた取水堰やため池による巧みな水管理が評価されたもので、ササニシキやひとめぼれを生んだ米どころでもあります(出典:宮城県公式ウェブサイト)。
鳴子こけし──首が鳴る東北の伝統こけし
こけしには東北各地で11の系統があり、鳴子温泉はそのうち「鳴子系」の発祥地とされています(出典:大崎市公式サイト)。大きな頭と、少しくびれた安定感のある胴が特徴で、首を回すと「キュッキュッ」と音が鳴るのが鳴子こけしならでは。温泉街にはポストや電話ボックスまでこけしの形をした場所もあって、探して歩くだけでも楽しめます。
岩出山──伊達政宗の城下町と有備館
岩出山は、仙台へ移る前の伊達政宗が居城とした岩出山城の城下町です。城跡は城山公園として整備され、近くには仙台藩の学問所だった有備館(国の史跡)が残ります。政宗が整備したと伝わる用水路「内川」は疏水百選にも選ばれており、城下町らしい落ち着いた風情が今も漂っています。毎年9月には政宗公まつりでにぎわう、歴史好きにはたまらないエリアです。
大崎市の歴史

大崎市の歴史は、大きく三つの時代に分けて見ると分かりやすくなります。古代には朝廷の役所が置かれた東北統治の拠点であり、中世から戦国期には地名の由来となった大崎氏が治め、近世には伊達政宗の城下町として開けました。そして現代、2006年の合併で広大な「大崎市」が誕生します。地名にも遺跡にも、その積み重ねがはっきりと残っています。
古代──朝廷の拠点が置かれた地
奈良時代、現在の古川地域に朝廷の役所「名生館官衙遺跡」が築かれました。当時の古川は、多賀城とともに、朝廷側が東北を治めるための重要な拠点でした。この地が古くから米作りの中心であり、人と物が集まる場所だったことがうかがえます。
中世〜近世──大崎氏と伊達政宗
室町時代には、奥州探題をつとめた大崎氏が古川地区の名生城を居城とし、この一帯を治めました。「大崎」という市名は、この大崎氏に由来します。戦国時代末期に伊達政宗が大崎領へ侵攻し、豊臣秀吉の奥州仕置を経て、政宗は玉造郡の岩出山城を居城としました。1601年に政宗が仙台へ移ると、大崎一帯は仙台藩の一部となりました。
現代──平成の大合併と世界農業遺産
2006年3月31日、古川市と田尻町・三本木町・松山町・鹿島台町・岩出山町・鳴子町が合併し、大崎市が発足しました。市役所は古川に置かれています。2017年には大崎耕土が世界農業遺産に認定され、米どころとしての価値が国際的にも認められました。広い市域に農業・温泉・歴史の各地域が共存する、今の大崎市の姿ができあがっています。
大崎市の文化・風習

方言と話し方の特徴
大崎の言葉は、宮城県北の内陸部で話される方言で、いわゆる宮城弁(仙台弁)の仲間です。一番有名なのはいずい(しっくりこない・違和感がある)でしょう。靴に小石が入ったときや、散髪後に首元がチクチクするあの感覚を、ひと言で言い表せる便利な言葉なんですよ。
会話ではだから(そうだよね、と強く同意する相づち)もよく登場します。ほかにもなげる(捨てる)、しばれる(厳しく冷え込む)、けっぱれ(頑張れ)、語尾につく〜っちゃ(〜だよ)など。冬の寒さの厳しい土地らしい言葉が多く、聞いているだけで土地の空気が伝わってきます。
食卓と季節の暮らし
大崎の暮らしは、なんといってもお米が中心です。秋になれば新米の話題で持ちきりになり、炊きたてのごはんに地元の漬物や山の幸を合わせるのが定番。鳴子のほうへ行けば、春は山菜、秋はきのこと、季節の恵みが食卓に並びます。山菜やきのこをたっぷり入れた温かいそばは、湯めぐりの合間の一杯にもぴったりなんですよね。
人の気質と季節のリズム
冬は仙台市内より寒く、山あいでは雪も深くなります。鳴子地区は宮城県で唯一、特別豪雪地帯に指定されているほど。だからこそ、温泉で体を温め、ゆっくり養生する「湯治」の文化が根づいてきました。厳しい冬を越え、春の田植え、夏の祭り、秋の収穫と、季節の節目を大切にしながら暮らす——そんなリズムが今も息づいています。
大崎市の特産品・食

大崎耕土の米(ササニシキ・ひとめぼれ・ささ結)
大崎市の一番の自慢は、やっぱりお米です。あっさりとして粘りすぎない上品な味わいのササニシキ、バランスのよいひとめぼれ、ササニシキの系統を受け継ぐ「ささ結」など、品種ごとに表情が違います。これらは世界農業遺産「大崎耕土」が育んだ米として知られています(出典:宮城県公式ウェブサイト)。旬は秋。炊きたての新米を一口食べると、おかずがいらないくらいの満足感がありますよ。
松山の地酒「一ノ蔵」
米どころは、酒どころでもあります。松山地域には日本酒「一ノ蔵」の醸造蔵があり、敷地内の酒ミュージアムでは、酒造りの工程や道具を見学できます。豊かな水と良質な米に恵まれた土地ならではの一杯です。地元の米でつくられたお酒を、地元の料理と合わせて味わう——大崎の夜にぴったりの楽しみ方なんですよね。
岩出山の凍り豆腐
冬の寒さを生かした保存食も、大崎の食文化のひとつです。岩出山に伝わる凍り豆腐は、豆腐を寒風と低温でじっくり凍らせて乾燥させたもの。煮物にすると、だしをたっぷり含んでふっくらとした食感になります。厳しい冬があるからこそ生まれた知恵の味で、寒い季節の温かい煮物は体の芯までほっとさせてくれます。
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大崎市の観光スポット

大崎市の見どころは、大きく「鳴子温泉エリアの温泉と渓谷」「岩出山エリアの城下町とアート」「大崎耕土の平野と湿地」の3方向に分かれます。山の湯けむり、城下町の風情、田んぼと沼の風景と、まったく表情の違う場所が一つの市に同居しているのが面白いところなんですよ。まずはエリアごとに代表的なスポットを見ていきましょう。
鳴子温泉エリア──温泉と渓谷
- 鳴子温泉郷 – 鳴子・東鳴子・川渡・中山平・鬼首の5つの温泉地からなり、日本の10種類の泉質のうち7種類が湧き、源泉は約370本にのぼります(出典:大崎市公式サイト)。共同浴場「滝の湯」や「早稲田桟敷湯」では宿泊しなくても湯に浸かれます。少し歩くだけで湯の色も香りも変わるので、はしご湯の楽しさはここならではですよ。
- 鳴子峡 – 大谷川が刻んだ深さ100メートルの大峡谷。遊歩道は中山平側・鳴子側に分かれ、開放時間は9時から16時までです(出典:大崎市公式サイト)。レストハウスを起点にした大深沢遊歩道は一周約2.2km。例年10月中旬から11月中旬の紅葉は、切り立った崖と赤や黄色のコントラストが圧巻です。
- 日本こけし館 – 全国の伝統こけしや奉納こけしを集めた展示施設で、絵付け体験もできます。入館料は大人500円、開館は例年4月から12月で冬期は休館します(出典:鳴子温泉郷観光協会)。館の前で出迎えてくれる巨大なこけしは、記念写真の定番です。
- 鳴子ダム – 1957年に完成した、日本人技術者だけの手で造られた国内初のアーチ式コンクリートダム。2016年に土木学会選奨土木遺産に認定されています(出典:大崎市公式サイト)。春の雪解け時期に行われる「すだれ放流」は、幅95メートルの水のカーテンが流れ落ちる迫力です。
岩出山エリア──城下町とアート
- 旧有備館および庭園 – 岩出山伊達家の学問所だった建物と廻遊式庭園で、1933年に国の史跡・名勝に指定されています(出典:大崎市公式サイト)。開館時間は9時から17時、休館日は月曜です(出典:旧有備館および庭園)。縁側に座って庭を眺めていると、時間がゆっくり流れていくのを感じます。
- 感覚ミュージアム – 視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚という五感をテーマにした体験型ミュージアム。2000年に開館しました(出典:大崎市公式サイト)。浮遊感を味わう装置や、香りや音で感覚を呼び覚ます展示など、子どもから大人まで夢中になれる場所なんですよ。
- あ・ら・伊達な道の駅 – 国道47号沿いの岩出山・池月にある道の駅。地元野菜の直売所や特産品、ジェラートやパンなどがそろい、ドライブの休憩にぴったりです。週末は地域内外から多くの人が立ち寄る、にぎやかな憩いの場になっています。
大崎耕土の自然とミュージアム──平野部
- 蕪栗沼 – 田尻地域にある、ラムサール条約に登録された渡り鳥の飛来地。マガンの大群が夕暮れに一斉にねぐらへ帰る「ねぐら入り」は、秋から冬にかけての見ものです(出典:大崎市公式サイト)。空が鳥で埋まる光景は、一度見ると忘れられません。
- 化女沼 – 古川地域にあるラムサール条約登録湿地で、こちらもマガンやハクチョウが集まる水鳥の楽園です。周囲には遊歩道があり、静かに野鳥を観察したい人に向いています。朝もやの立つ時間帯がとくに幻想的ですよ。
- 三本木ひまわりの丘 – 三本木地域のなだらかな斜面に、40万本以上のひまわりが咲き誇る夏の名所。黄色い花の海に囲まれて歩くと、まるで別世界に迷い込んだような気分になります。会場ではひまわりを使った特産品も並びます。
大崎市の観光ルート

東西に約80キロメートルと広い大崎市は、エリアをまたぐと景色がガラッと変わります。山の温泉を満喫する1日、城下町をゆったり歩く半日、平野の沼と花を巡る1日——目的に合わせてルートを組むのがおすすめです。新幹線が停まる古川駅を起点に、3つのモデルコースを紹介しますね。
【車・1日】鳴子温泉まんきつルート
9:00 古川駅 → 9:40 鳴子峡(車40分)→ 11:00 日本こけし館 → 12:30 鳴子温泉街(昼食・散策)→ 15:00 鳴子ダム
①鳴子峡(60分)→ 朝のうちに渓谷へ。人が増える前の遊歩道は、川のせせらぎが気持ちいいんですよ。
②日本こけし館(60分)→ こけしの絵付け体験で、世界に一つのお土産づくり。雨でも楽しめます。
③鳴子温泉街(120分)→ 共同浴場でひと風呂浴びて、こけし通りを散歩。湯上がりの食べ歩きも楽しい時間帯です。
④鳴子ダム(40分)→ 春なら締めくくりにすだれ放流を。大きな水のカーテンに圧倒されます。
【車・半日】岩出山 城下町さんぽルート
13:00 古川駅 → 13:20 旧有備館および庭園(車20分)→ 14:10 城山公園 → 15:00 感覚ミュージアム → 16:00 あ・ら・伊達な道の駅
①旧有備館および庭園(50分)→ まずは藩校跡の庭園へ。縁側でひと息つくと、城下町の空気が伝わってきます。
②城山公園(40分)→ 岩出山城跡の高台から町を見下ろせます。政宗公の平和像が立つ、歴史好きには外せない場所です。
③感覚ミュージアム(60分)→ 五感を刺激する展示で頭をリフレッシュ。城下町歩きとは違う刺激が新鮮ですよ。
④あ・ら・伊達な道の駅(30分)→ 帰りに地場野菜やジェラートを。お土産選びにちょうどいい締めくくりです。
【車・1日】大崎耕土 平野めぐりルート
9:00 古川駅 → 9:20 化女沼(車20分)→ 11:00 蕪栗沼 → 12:30 昼食(古川方面)→ 14:00 三本木ひまわりの丘
①化女沼(60分)→ 朝もやの残る時間に水鳥観察。静かな湖面に映る空がきれいです。
②蕪栗沼(80分)→ 渡り鳥の楽園をのんびり散策。秋から冬はマガンの大群が見られます。
③古川エリア(昼食)→ 市の中心部でランチ休憩。地元の米どころらしい定食でお腹を満たしましょう。
④三本木ひまわりの丘(60分)→ 夏ならフィナーレに一面のひまわりを。黄色い花畑は写真映えも抜群です。
ここまで見てきたとおり、見どころが少し離れた場所に点在していることもあります。気になるスポットをまとめて回るなら、レンタカーがあると一気に動きやすくなりますよ。料金は会社や時期でけっこう変わるので、まとめて比較できるサイトでサッと見ておくのがおすすめです。
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大崎市の年間イベント

大崎市のイベントは、春のダム放流から夏の七夕とひまわり、秋のこけし祭りと武者行列、晩秋の熱気球まで、季節ごとに表情豊かです。温泉地・城下町・平野と、開催場所もさまざま。ここでは毎年恒例の催しを季節順に紹介していきますね。
春:鳴子ダムのすだれ放流
春に見てほしいのが、鳴子ダムの「すだれ放流」です。雪解け水を堤体から一気に流す、幅95メートルの水のカーテン。例年4月下旬から5月初めの連休にかけて行われます(出典:大崎市公式サイト)。新緑の渓谷に響く水音と、流れ落ちる迫力は、この時期だけの特別な眺めですよ。
夏:おおさき古川まつり・三本木ひまわりまつり
夏の主役は、古川の中心商店街を舞台にした「おおさき古川まつり」。昭和22年から続く夏祭りで、七夕飾り・古川おどり・創作みこしパレード・古川まつり太鼓でにぎわい、毎年8月上旬に開かれます(出典:日本商工会議所)。前夜には花火大会もあり、浴衣で繰り出したくなる2日間です。
同じころ、三本木では「三本木ひまわりまつり」が開かれ、丘一面のひまわりが見頃を迎えます(出典:大崎市公式サイト)。黄色い花の海の中を歩く体験は、夏休みの思い出にぴったりですよ。
秋:全国こけし祭り・政宗公まつり・鳴子峡の紅葉
秋はお祭りが続きます。鳴子では「全国こけし祭り」が毎年9月上旬に開催され、全国の伝統こけしが集まります(出典:大崎市公式サイト)。夜には張りぼてこけしや鳴子踊りのパレードが温泉街を彩り、町全体がこけし一色に染まります。
岩出山では「政宗公まつり」が毎年9月に開かれ、約420年前の上洛を再現した伊達武者行列が南町商店街を練り歩きます(出典:大崎市公式サイト)。きらびやかな鎧の騎馬武者隊は、まさに動く戦国絵巻です。そして10月中旬からは鳴子峡が紅葉で真っ赤に染まり、秋の大崎は見どころが目白押しなんですよ。
晩秋:大崎バルーンフェスティバル
秋の終わりを飾るのが、岩出山の江合川河川公園で開かれる「大崎バルーンフェスティバル」。全国から熱気球が集まる競技大会で、毎年11月に開催されます(出典:大崎市公式サイト)。澄んだ秋空に色とりどりのバルーンが次々と舞い上がる早朝の光景は格別。地上につないだ気球に乗れる体験試乗も人気で、早起きする価値がありますよ。
大崎市のエリア別の顔

大崎市は2006年に1市6町が合併して生まれたため、旧市町ごとに今も「地域」としての個性がはっきり残っています(出典:大崎市公式サイト)。商業の中心・古川、温泉の鳴子、城下町の岩出山、田園が広がる平野部と、訪れる目的によって行き先が変わります。旅の視点で、それぞれの顔を見ていきましょう。
古川エリア──新幹線が停まる玄関口
古川は市の中心市街地で、新幹線古川駅を中心に商店や飲食店が集まる宮城県北の商業拠点です。緒絶川沿いには酒蔵や歴史的な建物が残り、街歩きも楽しめます。旅の起点として宿や食事に便利なので、「まず拠点を決めたい」という人に向いていますよ。
鳴子温泉エリア──湯けむりと紅葉の山里
市の北西部、山あいに広がるのが鳴子温泉エリア。5つの温泉地と鳴子峡を抱え、湯治とこけしの文化が息づく観光の中心地です。秋の紅葉シーズンはとくに人気が高め。温泉でじっくり体を休めたい人、自然の中を歩きたい人にうってつけのエリアです。
岩出山エリア──伊達政宗の城下町
岩出山は、伊達政宗が12年間を過ごした城下町。有備館や城山公園など歴史を感じる場所が点在し、感覚ミュージアムのようなアート施設もあります。秋には武者行列や熱気球も加わり、歴史好き・体験好きの両方が楽しめる落ち着いたエリアですよ。
大崎耕土の平野エリア──田園と湿地の風景
田尻・三本木・松山・鹿島台といった平野部は、世界農業遺産「大崎耕土」の田んぼが広がる米どころ。蕪栗沼や化女沼には渡り鳥が集まり、夏には三本木のひまわりが咲きます。のどかな農村風景や野鳥観察を楽しみたい人、静かにドライブしたい人におすすめのエリアです。
大崎市の気候・季節の暮らし

大崎市の中心・古川の年平均気温は11.5℃。1月の平均気温は0.0℃、8月は23.7℃で、夏と冬の寒暖差がはっきりしています(出典:気象庁)。同じ市内でも、平野部の古川と山あいの鳴子では雪の量がまるで違うのが大崎の特徴なんですよ。季節ごとに暮らしの表情を見ていきましょう。
夏──6月〜8月の暮らし
夏は8月の平均最高気温が28.4℃と、東北らしく蒸し暑くなります(出典:気象庁)。盆地的な地形で日中は暑くなりますが、夕方になると田んぼを渡る風が涼しく、朝晩は過ごしやすい日もあります。お祭りや花火、ひまわり畑と、外に出かけたくなる季節です。
秋──9月〜11月の暮らし
秋は一年でいちばん気持ちのいい季節かもしれません。実りの時期を迎えた大崎耕土の田んぼが黄金色に染まり、10月中旬からは鳴子峡が紅葉で彩られます。朝晩は冷え込みが増していくので、上着が手放せなくなってきます。新米のおいしさを実感できるのもこの時期ですよ。
冬──12月〜2月の暮らし
冬は1月の平均最低気温が-3.8℃まで下がり、古川でも年間の降雪量は約200cmあります(出典:気象庁)。平野部はそれでも宮城県内では穏やかな方ですが、山あいの岩出山や鳴子は豪雪地帯で、鳴子は県内で唯一の特別豪雪地帯です。雪かきや冬タイヤは欠かせず、暖房費もかかる季節です。
春──3月〜5月の暮らし
春は雪解けとともに一気に動き出します。鳴子ダムのすだれ放流や桜が見頃を迎え、田んぼには水が張られて田植えの準備が始まります。日中は暖かくても朝晩は冷えるので、服装で調整したい時期。長い冬を越えた分、春の訪れがひときわうれしく感じられますよ。
大崎市の移住・暮らし情報

大崎市は、新幹線が停まる古川を中心に、商業も医療も教育もひととおりそろう「暮らしやすい地方都市」です。中心部のマンション暮らしから、平野部のゆったりした一戸建て、山あいの温泉地暮らしまで、選べる幅が広いのも魅力。住む視点で、暮らしの現実を見ていきましょう。
通勤・通学
市内に勤め先がある人が多い一方、新幹線で仙台へ通う人も少なくありません。仙台駅まで新幹線で約15分という近さは、大崎ならではの強みです(出典:大崎市公式サイト)。市の東南部の松山・鹿島台地区は東北本線で仙台への通勤圏になっています。
住宅環境
SUUMOによると、大崎市の賃貸マンションの家賃相場はワンルームで約5.4万円、ファミリー向けの4LDKで約12.9万円です(新築・駅徒歩5分以内の条件/出典:SUUMO)。一般的なアパートなら2LDKでおよそ6万円前後の物件も見られ、仙台市内に比べると住居費はぐっと抑えられます。空き家バンクを使って一戸建てを探す人もいます。
買い物環境
古川エリアには国道沿いにスーパーやドラッグストア、ホームセンターが集まり、日常の買い物に困ることはほとんどありません。新幹線古川駅周辺には商業施設も充実しています。一方で山あいや平野の集落部では車が前提になるので、暮らすなら一家に一台以上は欲しいところです。
子育て・教育
大崎市には子育て世代包括支援センターが置かれ、妊娠期から出産・育児までの相談に対応しています(出典:大崎市公式サイト)。室内で遊べる「子育てわくわくランド」や一時預かりなどの支援もそろい、子育て世代が頼れる環境が整っています。
医療環境
医療の中核を担うのが大崎市民病院です。本院が古川にあり、岩出山と鳴子温泉に分院を持つ、地域医療の拠点となっています(出典:大崎市民病院)。古川は古くから「病院の街」と呼ばれるほど医療機関が集まる地域で、いざという時の安心感があります。
エリア別の暮らし視点
住む場所選びは、暮らし方で変わります。利便性重視なら商業と交通がそろう古川エリア、家賃を抑えてゆったり暮らすなら田尻・三本木などの平野部、温泉のある静かな環境を求めるなら鳴子エリア。移住の相談は「おおさき移住支援センターCU:RUS」が空き家やオンライン相談まで対応してくれます(出典:おおさき移住支援センター)。
大崎市へのアクセス

大崎市の玄関口は、東北新幹線が停まる古川駅です。東京からも仙台からも新幹線一本でアクセスでき、車なら東北自動車道の古川ICが起点になります。首都圏から日帰りも可能な交通の便のよさが、大崎の大きな強みなんですよ。手段ごとに見ていきましょう。
車でのアクセス
東北自動車道を使う場合、仙台宮城ICから古川ICまでは約35分(43キロメートル)です(出典:大崎市公式サイト)。首都圏方面からは浦和料金所から古川ICまで約4時間45分(375キロメートル)。市内は広いので、観光も生活も車があると格段に動きやすくなります。
鉄道でのアクセス
仙台駅から古川駅までは東北新幹線で約15分、東京駅からは約2時間です(出典:大崎市公式サイト)。古川駅では在来線の陸羽東線に乗り換えれば、鳴子温泉や岩出山方面へ向かえます。鳴子へ行くなら、古川で新幹線から陸羽東線に乗り換えるのが基本ルートですよ。
飛行機でのアクセス
空路の玄関口は仙台空港です。仙台空港から仙台駅までは仙台空港アクセス鉄道で約25分、そこから新幹線で古川まで約15分です(出典:大崎市公式サイト)。遠方から訪れる場合も、仙台駅で新幹線に乗り継げば迷わずたどり着けます。
町内移動の現実的アドバイス
市内の移動は車が基本ですが、車がなくても市民バスが各地域を結んでいます。古川駅周辺から市役所方面へは「七日町」下車のバスが便利で、料金は100円です(出典:大崎市公式サイト)。鳴子方面の観光なら、渋滞や駐車場を考えると陸羽東線を使うのが賢い選択です。
交通手段ごとに見てきましたが、「結局いちばん安く行くにはどうすれば?」と迷う方も多いはず。飛行機で向かうなら、航空券は予約のタイミングや会社によって料金が大きく変わります。複数の航空会社・LCCをまとめて比較できるサイトで、いちど最安値をチェックしておくと安心ですよ。
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【地元住民に直撃!】大崎市の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
こけしの絵付けをして暮らしています。鳴子はこけしの古い産地のひとつで、私もこの土地でずっと筆を握ってきました。木地に顔を入れる瞬間はいまだに緊張します。
首を回すとキュッと鳴る、あの音が出せると今日もうまくいったなと思うんです。手仕事ですから、同じ顔は二つとできません。それがこの仕事の面白さですね。
Q2.大崎市に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
やっぱり鳴子温泉郷と鳴子峡ですね。秋の峡谷が赤や黄に染まる景色は、何度見ても胸が高鳴ります。湯けむりと硫黄の匂いが、ああ帰ってきたと思わせてくれるんです。
地元の人間としては、岩出山の有備館の庭も静かでいいですよ。縁側に座って池を眺めていると、時間がゆっくり流れていくのを感じます。観光地の喧騒とは別の顔ですね。
Q3.大崎市でお土産を買うとしたらなんですか?
定番はやっぱりこけしですね。手前味噌ですが、ひとつひとつ表情が違うので、気に入った顔を探す時間も楽しいんですよ。漆器も古くからのこの土地の手仕事です。
食べ物なら、大崎耕土で育ったお米。地元の人間は味の違いがわかります。それと岩出山の凍り豆腐。寒さが生んだ保存食で、煮物にすると本当においしいんです。
Q4.外から人が来たときに、大崎市でまず連れていく店はどこですか?
鳴子の共同浴場にまず連れていきます。地元の人が普通に通う湯で、知らない人同士が湯気の向こうで世間話をしている、あの距離感を味わってほしくて。
そのあとは温泉街の、山菜やきのこを使ったそばを出す古い食堂へ。出汁の香る一杯を湯上がりにすすると、ここがどういう土地かが体で伝わると思うんです。
Q5.大崎市はどんな気質だと思いますか?
派手さはないけれど、芯のある人が多い土地だと思います。厳しい冬を越えて田んぼを守ってきた土地柄か、地道にコツコツ続ける人を大事にする空気がありますね。
湯治の文化があるせいか、よそから来た人にも自然に声をかける温かさもあります。じっくり付き合えば、ちゃんと懐に入れてくれる。そういう人たちですよ。
Q6.昔に比べて、大崎市の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
古川の駅前は新幹線が通って便利になりましたし、文化施設も増えました。一方で、こけしの工人は年々減っていて、後を継ぐ若い人の少なさは正直心配しています。
合併でひとつの市になりましたが、地域ごとの色はまだ濃く残っています。それは良さでもあり、まとまりにくさでもある。そんな複雑さを抱えた町だと感じますね。
Q7.大崎市のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
大崎耕土が世界農業遺産に認められて、田んぼや水路の景観を守る動きが続いているのは嬉しいです。ここの米と水の文化が、次の世代に伝わってほしいと願っています。
こけしや漆器の手仕事も、若い人が少しずつ関心を持ってくれています。祭りや絵付け体験を通して、この土地の手の技が細く長く残っていけばいいなと思っています。

