大潟村(おおがたむら)は、秋田県の男鹿半島の付け根に位置する人口2,756人の村です。かつて日本で2番目に大きかった湖・八郎潟を干拓して生まれた、日本最大の干拓地です。
大潟村の特徴を5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 日本最大の干拓地──かつて日本第2の湖だった八郎潟を干拓して誕生した広大な米どころ
- ✅ あきたこまちの一大産地──農地は約1万ヘクタール、一戸あたり15haの大規模稲作
- ✅ 合併も分割もなく生まれた「日本最後の新設自治体」──1964年発足、当初は6世帯14人
- ✅ 北緯40度×東経140度の交会点と、頂上が海抜0mの築山「大潟富士」
- ✅ 男鹿半島・大潟ジオパークの構成地(2026年1月に日本ジオパーク再認定)
「地平線とまっすぐな道が好きな旅行者」「農業や食、地形の成り立ちに興味がある人」「静かな環境でゆったり暮らしたい移住希望者」に向いた村です。序盤で見どころと成り立ち、中盤で干拓と入植の歴史、終盤で暮らしと食を、地元目線で紹介します。
| 人口 | 2,756 人 ※2026年6月1日時点(推計人口) |
|---|---|
| 面積 | 170.11 km² |
| 人口密度 | 16.2 人/km² |
大潟村は、周囲の市町村と陸で直接つながっていません。村のまわりを八郎潟の残存湖(八郎潟調整池・東部承水路・西部承水路)がぐるりと囲み、出入りは橋を渡ります。
水域を挟んで隣り合うのは、北から東にかけての三種町、南東の八郎潟町と五城目町、南東から南の井川町・潟上市、南西から北西にかけて幅広く向かい合う男鹿市の6市町村です(出典:大潟村公式サイト)。
最寄り駅はJR奥羽本線の八郎潟駅・鹿渡駅などで、いずれも村域の外側にあります。米・干拓・地形と、この村には「日本最大」「日本唯一」の要素が詰まっています。ひとつずつ見ていきましょう。
大潟村の推しポイント

大潟村の魅力は、なんといっても「人の手で湖を大地に変えた」というスケールにあります。見渡すかぎりの水田、日本最大の干拓地という成り立ち、緯度と経度がぴったり重なる不思議な地点、そして地形の物語を学べるジオパーク。どれも他ではなかなか出会えないものばかりです。ここでは5つに絞ってご紹介します。
推しポイント1:日本最大の干拓地とあきたこまち
大潟村の農地は約1万ヘクタール。一戸あたり15haという、日本では破格の大規模稲作が行われています。水稲生産量はおよそ5万6000トン(2023年)で、秋田県全体の約1割を占める米どころです。主役はもちろんあきたこまち。地平線まで続く田んぼは、まさに「米のための大地」なんですよ。
推しポイント2:合併なしで生まれた「日本最後の新設村」
大潟村は1964年(昭和39年)10月1日に発足しました。既存の自治体の合併や分割を伴わずに新しく生まれた自治体としては、日本で最後の例です(出典:大潟村公式サイト)。発足時はわずか6世帯14人。そこから全国38の都道県より589名が入植し、ゼロから村がつくられました。
推しポイント3:北緯40度×東経140度の交会点と大潟富士
村の中央付近には、北緯40度と東経140度がちょうど交わる地点があります。10の倍数の緯線と経線が陸地で交わるのは、日本ではここだけ。近くには標高0m・比高3.776mの築山「大潟富士」もあります。頂上に立つと、目線がぴったり海抜0m。平らな村ならではの、ちょっと面白いスポットです。
推しポイント4:男鹿半島・大潟ジオパーク
大潟村は男鹿市とともに「男鹿半島・大潟ジオパーク」を構成しています。2011年に日本ジオパークに認定され、2026年1月30日に再認定されました(出典:日本ジオパークネットワーク、男鹿市)。7000万年前からの大地の歴史と、湖を干拓した人の営みを、あわせて学べるのが魅力です。
推しポイント5:桜と菜の花ロード
村の中央を東西に走る県道298号沿い、約11kmにわたって桜と菜の花が咲きそろう「桜・菜の花ロード」は、春の名物です。ピンクと黄色のコントラストがどこまでも続く景色は圧巻。毎年春には「桜と菜の花まつり」も開かれます(2026年は4月18日〜5月5日開催/出典:大潟村役場)。
大潟村の歴史

大潟村の歴史は、大きく3段階に分けられます。まず、村のあった場所はかつて八郎潟という湖でした。次に、戦後の食糧増産を目的とした国家事業として湖が干拓され、全国から人が入植して新しい村が生まれます。そして、発足直後に始まった減反政策により、村は米づくりをめぐる長い対立と模索の時代を経て、現在の米どころへと至りました。ここが他の町村と大きく違う点です。
湖だった時代と干拓の始まり
八郎潟は、かつて琵琶湖に次ぐ日本で2番目の面積を誇った湖でした。この湖を稲作用の農地に変える計画は古くからありましたが、実現したのは戦後です。1957年(昭和32年)に国の直轄事業として干拓工事が始まりました。オランダの技術も参考にしながら進められた大事業でした。
工事は20年に及び、総事業費は約852億円。1977年(昭和52年)に干拓事業が完了しました(出典:大潟村公式サイト)。こうして、湖の底が日本最大の干拓地へと生まれ変わりました。
全国から集まった入植者と「最後の新設村」
1964年(昭和39年)10月1日、大潟村が発足しました。合併も分割も伴わない新設自治体としては日本で最後の例です。発足時はわずか6世帯14人でした。
1966年からは入植が始まり、最終的に全国38の都道県から589名が移住しました。最も多かったのは秋田県からの323名、次いで北海道からの83名です。大型機械を使い、住宅を1か所にまとめて農場へ通うという、当時としては近代的な大規模農業のモデル村がつくられました。
減反政策との対立、そして今
ところが、入植が始まって間もなく、国は1970年(昭和45年)から米の生産を抑える減反政策を始めます。米づくりのために全財産を処分して入植した人々にとって、これは大きな衝撃でした。国の方針に従う「順守派」と、米づくりを続ける「ヤミ米派」に分かれ、村は長く対立しました。
1995年(平成7年)の食糧管理法の廃止によって、ようやく自由に米をつくれるようになりました。日本の農政に翻弄され続けた村ですが、その苦難の歴史こそが、今の大潟村を知るうえで欠かせない背景です。
大潟村の文化・風習

方言と話し方の特徴
大潟村は全国からの入植者が集まってできた村ですが、暮らしのなかで交わされる言葉には秋田弁が根づいています。秋田弁は濁音が多く、短い言葉でテンポよく話すのが特徴。冬の寒さで口をあまり開けずに話すうちにこうなった、という説もあるんですよ。
代表的な言葉を少しだけ紹介します。んだ/んだんだ(そうだ・そうそう)、け(食べて・こっちに来て、という一文字の言葉)、しったげ(とても・すごく)、しゃっけ(冷たい)、めんけ(かわいい)、なんも(どういたしまして・大丈夫)、へばな(それじゃあね)。初めて聞くと戸惑いますが、慣れるとやわらかくて温かい響きですよね。
食卓と季節の暮らし
米どころですから、やっぱり食卓の主役はごはんです。炊きたてのあきたこまちに、秋田の定番がっこ(漬物。たくあんを燻したいぶりがっこも有名)を添えるだけで、ごちそうになります。
冬になると、村を囲む八郎潟の残存湖ではワカサギ釣りを楽しむ人の姿が見られます。雪に閉ざされる季節は農作業も一段落し、春の種まきに向けた準備の時期。四季のメリハリがはっきりした暮らしです。
人の気質と広い空の下の暮らし
大潟村は、全国各地から夢を持って移り住んだ人たちがゼロからつくった村です。だからこそ、出身地の違いを超えて助け合う気風が育ってきました。
山も川もない平らな大地は、視界をさえぎるものがほとんどありません。地平線まで見渡せる空の広さは、住んでみると想像以上に開放感があります。静かで、時間がゆっくり流れる。そんな暮らしを求める人には、きっと心地よい場所ですよ。
大潟村の特産品・食

特産品1:あきたこまち
大潟村といえば、まずはこのお米。あきたこまちは、コシヒカリと奥羽292号を交配して1984年(昭和59年)に誕生し、小野小町の生誕伝説にちなんで名づけられました(出典:大潟村あきたこまち生産者協会)。
ツヤともちもちした食感が身上で、冷めても硬くなりにくいのが特徴。おにぎりやお弁当にすると、そのおいしさがよくわかります。旬は秋の新米の時期。湖の底だった土壌はミネラルが豊富で、この大地ならではの風味を育んでいます。
特産品2:大豆・小麦などの畑作物
減反政策をきっかけに、大潟村では米だけでなく大豆や小麦などの畑作も広がりました。もともと水はけの悪い土地で苦労もありましたが、排水対策を重ねて栽培を続けています。
収穫された大豆や小麦は、味噌や麺類などに姿を変えて食卓へ。米一辺倒ではない、多角的な農業へと歩んできた村の努力が、こうした作物にも表れているんですよ。
特産品3:米粉・米の加工品
近年は、育てた米を自分たちで加工して売る「6次産業化」にも力を入れています。米粉やあられ、米粉を使ったパンやお菓子など、米の新しい楽しみ方が生まれています。
農協に頼らず産地直販の道を切り開いてきた歴史もあり、村の道の駅「道の駅おおがた」などでは、こうした加工品を手に取ることができます。おみやげにもぴったりです。
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大潟村の観光スポット

大潟村の観光は、「人が湖を大地に変えた物語」を軸にすると、とても分かりやすくなります。干拓の歴史を学べる施設、平らな村ならではのユニークな地点、そして季節の花と温泉。派手な絶景というより、じわじわ効いてくる面白さがある村なんですよ。ここでは、まず押さえておきたいスポットをテーマ別に紹介します。
干拓の歴史と大地を学ぶスポット
- 大潟村干拓博物館 – 八郎潟の干拓と村づくりの歴史を、ジオラマや大型映像で紹介する施設です。開館時間は9:00〜16:30(入館は16:00まで)、入館料は一般・大学生300円、小中高生100円。休館は4〜9月が第2・第4火曜、10〜3月が毎週火曜と年末年始です(出典:男鹿半島・大潟ジオパーク公式サイト)。湖の底が広大な農地に変わっていく過程を追ううちに、この村の成り立ちが腹に落ちてきますよ。
- 大潟富士 – 標高0m、比高3.776mの築山です。頂上に立つと目線がちょうど海抜0m、という平らな村ならではのユニークなスポット。富士山のちょうど1000分の1の高さで造られていて、「登頂」記念にはもってこいです。まわりは地平線まで水田が続き、写真を撮ると空の広さに驚きますよ。
- 北緯40度・東経140度交会点 – 10の倍数の緯線と経線が陸地で交わる、日本で唯一の地点です。田んぼの中にモニュメントが立っているだけの、知る人ぞ知る場所。地図好き・地理好きなら、思わずニヤリとしてしまうスポットなんですよね。
花と自然を楽しむスポット
- 桜・菜の花ロード – 村の中央を東西に走る県道298号沿い、約11kmにわたって桜と菜の花が咲きそろう並木道です(出典:大潟村役場)。ピンクと黄色、そして黒松の緑のコントラストがどこまでも続く光景は、春だけのごちそう。車をゆっくり走らせながら眺めるのがおすすめです。
- 生態系公園(野外公園) – 秋田の自然をモデルに整備された、入園無料の野外公園です。開園は9:00〜17:00、月曜休園、野外公園は12月10日〜3月9日が冬季休園となります(出典:あきたマチムラ漫遊(秋田県町村会))。かつて人気だった熱帯の観賞温室は2024年に閉鎖されましたが、野鳥のさえずりを聞きながらの散策は今も気持ちいいですよ。
温泉とスポーツを楽しむスポット
- ポルダー潟の湯/ホテルサンルーラル大潟 – どちらも、約500万年前の地層水が湧く「モール温泉」を楽しめる施設です。植物由来の琥珀色のお湯で、美肌の湯として知られています(出典:ポルダー潟の湯公式サイト、ホテルサンルーラル大潟公式サイト)。ポルダー潟の湯は朝6時から入れるので、旅の締めにも朝風呂にもぴったり。とろりとした肌ざわりに、思わず長湯したくなります。
- 大潟村ソーラースポーツライン – 平らで広大な地形を活かした、一周約25kmのエコカー専用周回コースです。一般公道と交わらないため、ソーラーカーレースや自転車競技に使われています(出典:大潟村役場)。まっすぐな道が地平線に吸い込まれていく眺めは、ここでしか味わえません。
- 道の駅おおがた・産直センター潟の店 – 村の特産品が集まる、旅の補給基地です。あきたこまちはもちろん、野菜や加工品も並びます。干拓博物館に隣接しているので、学びと買い物をまとめて楽しめるのがうれしいところ。おみやげ選びに立ち寄ってみてください。
大潟村の観光ルート

大潟村は起伏がほとんどなく、道もまっすぐなので、車での移動がとても快適です。村内はコンパクトにまとまっているので、半日でも要所は回れます。時間があれば、隣の男鹿半島まで足をのばす広域ルートもおすすめですよ。ここでは3つのモデルコースを紹介します。
【車・1日】大潟村まるごとルート
9:00 八郎潟駅 → 9:20 大潟村干拓博物館(車20分)
①大潟村干拓博物館(90分)
→ まずは干拓の歴史を頭に入れておくと、このあと見る景色の意味が変わってきます。朝いちばんは人も少なく、ゆっくり見られますよ。
②大潟富士・北緯40度交会点(60分)
→ 車で数分の距離にある2つのユニークスポットをはしご。晴れた日の午前は光がやわらかく、写真がきれいに撮れます。
③桜・菜の花ロード(60分)
→ 春ならここで花のトンネルドライブ。花の時期以外も、地平線まで続く水田の一本道が爽快です。
④ポルダー潟の湯(60分)
→ 一日の締めはモール温泉でほっと一息。夕方の光を浴びながらのお風呂は格別なんですよね。
【車・半日】花と産直よくばりルート
13:00 道の駅おおがた → 産直・温泉をゆったり
①産直センター潟の店(40分)
→ 村の特産品をチェック。新米シーズンなら、炊きたてが恋しくなる香りに包まれます。
②生態系公園(野外公園)(40分)
→ 無料でふらっと散策。子ども連れでも歩きやすい平坦な園内で、野鳥の声に癒されます。
③桜・菜の花ロード(40分)
→ 午後の斜めの光が花と水田を照らす時間帯。のんびり車を流すのがおすすめです。
④ホテルサンルーラル大潟(60分)
→ 最上階の展望風呂から夕陽を眺めて解散。半日でも満足感たっぷりのコースです。
【車・1日】広域ルート:大潟村+男鹿半島
9:00 大潟村干拓博物館 → 10:30 男鹿半島方面(車で移動)
①大潟村干拓博物館(60分)
→ 「湖を干拓した大地」の物語を予習してから出発します。
②大潟富士(30分)
→ 村を出る前に、標高0mの頂上をさくっと制覇しておきましょう。
③男鹿半島(寒風山ほか)(150分)
→ 同じジオパークを構成する男鹿半島へ。7000万年の大地の歴史と、干拓地とのコントラストが面白いんですよ。
④モール温泉(60分)
→ 大潟村に戻ってモール温泉で締め。地形の違いを一日で味わえる、欲張りなコースです。
ここまで見てきたとおり、見どころが少し離れた場所に点在していることもあります。気になるスポットをまとめて回るなら、レンタカーがあると一気に動きやすくなりますよ。料金は会社や時期でけっこう変わるので、まとめて比較できるサイトでサッと見ておくのがおすすめです。
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そして遠方から訪れるなら、思いきって一泊するのもおすすめです。日帰りでは通り過ぎてしまう夜や朝の時間に、その町ならではの静けさや表情に出会えます。お祭りやイベントの時期は宿が一気に埋まるので、早めの確保が安心ですよ。
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大潟村の年間イベント

大潟村のイベントは、農業と自然、そして技術の村らしい個性があります。春は花、夏はソーラーカー、秋は新米と、季節ごとに主役がはっきりしているのが特徴です。それぞれ雰囲気がまったく違うので、目的に合わせて訪れる時期を選ぶといいですよ。
春〜初夏:桜と菜の花まつり
ぜひ味わってほしいのが、毎年4月から5月にかけて開かれる「桜と菜の花まつり」です(2026年は4月18日〜5月5日に開催/出典:大潟村役場)。
県道298号沿いの約11kmが、桜のピンクと菜の花の黄色で埋め尽くされます。ミニ電車の運行や菜の花摘み取り体験など、家族で楽しめる催しも盛りだくさん。花のトンネルの下を歩くと、春が来た実感がじんわり湧いてきますよ。
夏:ワールド・グリーン・チャレンジ
夏の名物は、毎年8月にソーラースポーツラインで開かれるソーラーカー・エコカーの耐久レース「ワールド・グリーン・チャレンジ」です(出典:ワールド・グリーン・チャレンジ公式サイト)。観戦は入場無料です。
1993年に始まった歴史あるレースで、国内外から個性的なマシンが集まります。合計25時間にも及ぶ長丁場を、太陽の光だけを頼りに走り抜ける姿は圧巻。早朝、パネルを太陽に向けて充電する光景も、この村ならではの夏の風物詩です。
秋〜冬:新米シーズンと産直の賑わい
秋は、米どころの本領が発揮される季節です。新米の時期には、産直センター潟の店で新米即売会や産直まつりといった催しが開かれます(出典:産直センター潟の店)。
炊きたてのあきたこまちの香りに包まれながら、その年の出来を確かめる。米農家の村ならではの、しみじみ幸せな時間です。冬になると村は雪に静まり、周囲の八郎湖ではワカサギ釣りを楽しむ人の姿も見られますよ。
大潟村のエリア別の顔

大潟村は、湖を干拓してゼロから計画的につくられた村です。だからこそ、暮らしの中心・観光の玄関口・広大な田園・水辺といった機能ごとに、はっきりした「顔」を持っています。旅する視点で、村をいくつかのゾーンに分けて見ていきましょう。どこを目当てにするかで、立ち寄る場所が変わってきますよ。
中心部ゾーン──村の暮らしが集まる核
村役場やこども園、小中学校、そして秋田県立大学の大潟キャンパスが集まる、暮らしの中心です。整然と区画された住宅地が広がり、計画的につくられた村らしい落ち着いた町並みが続きます。観光でにぎわうエリアではありませんが、「入植者たちがどんな村を目指したか」を肌で感じたい人には、ゆっくり歩いてみてほしいゾーンです。
道の駅・温泉ゾーン──旅の玄関口
村の北側にあたる、旅行者がいちばんお世話になるエリアです。道の駅おおがた、産直センター潟の店、干拓博物館、そしてモール温泉のホテルサンルーラル大潟とポルダー潟の湯が、コンパクトにまとまっています。買い物・学び・お風呂・食事をここだけで完結できるので、時間がない旅でもまず目指すべき玄関口ですよ。
田園・桜と菜の花ロードゾーン──地平線の絶景
村の大部分を占める、広大な水田のエリアです。桜・菜の花ロード、大潟富士、北緯40度の交会点といった「大潟村らしい」スポットが、この田園地帯に点在しています。さえぎるものが何もない一本道と、どこまでも続く空。ドライブや写真が好きな人には、たまらない解放感が待っています。
水辺・スポーツゾーン──村を囲む外縁
村の外周は、八郎潟の残存湖と堤防に囲まれた水辺のゾーンです。ソーラースポーツラインや、干拓の完工を記念して造られた南の池公園などがあります。村へ入るときに渡る橋の上からは、大地より低い場所に暮らしているという不思議な地形を実感できます。静かに水辺と向き合いたいときに訪れるのがおすすめですよ。
大潟村の気候・季節の暮らし

大潟村の年平均気温は11.4℃です。平年値では、真夏日が年16.0日、夏日が72.2日、真冬日が8.7日、冬日が102.1日となっています(出典:気象庁)。区分としては温暖湿潤気候ですが、日本海側の豪雪地帯に指定されており、冬の雪はしっかり積もります。
さえぎる山がない平らな土地なので、風がよく通るのも特徴です。夏は湿気を含んだ風、冬は日本海からの季節風と雪。空が広いぶん、季節の移ろいをまるごと体で感じられる村なんですよ。
夏──広い空と湿気のある暑さ
夏は真夏日が年に16日ほど。厳しい猛暑というより、水田からの湿気を含んだ蒸し暑さが続きます。地平線まで青々とした稲が広がり、朝夕には田んぼをわたる風が心地いい季節です。8月にはソーラーカーの耐久レースも開かれ、村がいちばん熱気を帯びる時期でもあります。
秋──実りと過ごしやすさの季節
秋は一年でいちばん気持ちのいい時期かもしれません。黄金色に染まった水田が村全体を覆い、新米の収穫でにぎわいます。空気が澄んで、朝晩はぐっと涼しくなります。稲刈りの済んだ田んぼに渡り鳥が舞い降りる光景も、この村ならではの秋の風物詩です。
冬──雪と底冷えの季節
冬は冬日が年に100日を超え、真冬日も8日ほどあります。近年でも氷点下10℃を下回ることがあり、2022年1月には-10.2℃を記録しました(出典:気象庁)。雪かきは冬の日課で、車の運転にも冬タイヤが欠かせません。一方で、村を囲む八郎湖では氷上のワカサギ釣りが楽しめる季節でもあります。
春──雪解けと花の一斉開花
春は雪解けとともに一気に活気づきます。4月から5月には桜と菜の花が同時に咲きそろい、村がピンクと黄色に染まります。田んぼには水が張られ、田植えの準備が始まる季節。長い冬を越えたぶん、春の訪れが待ち遠しく感じられる土地なんですよね。
大潟村の移住・暮らし情報

大潟村は、全国から集まった約500戸の専業農家を中心につくられた、農業の村です(出典:秋田暮らし はじめの一歩(秋田県移住・定住ポータル))。役場や学校、病院などの生活機能は「総合中心地」と呼ばれる一区画に集まっていて、暮らしの導線がコンパクトにまとまっているのが特徴です。ここでは「住む視点」で村の現実を見ていきましょう。
通勤・通学
村の主産業は農業なので、村内で働く人が中心です。勤め人の場合は、車で近隣の八郎潟町・五城目町・男鹿市や、秋田市方面へ通う人もいます。平らで信号の少ない道が多く、車での移動はスムーズですよ。
住宅環境
住まいは、入植した農家の持ち家が中心です。賃貸物件はあまり多くなく、まとまった家賃相場のデータは限られます。移住を考える場合は、村の移住相談窓口や空き家情報を早めに確認しておくと安心です。
買い物環境
日常の買い物は、道の駅おおがたの産直センター潟の店やJA大潟村、村内の商店などが中心になります。まとめ買いや専門店での買い物は、車で近隣の市町へ出るスタイル。車があれば不便は感じにくい環境と考えられます。
子育て・教育
村内には認定こども園・小学校・中学校がそれぞれ1つずつあり、子育て世代の生活が村内で完結しやすいのが強みです(出典:秋田暮らし はじめの一歩)。さらに秋田県立大学の大潟キャンパスもあります。ただし高校は村内になく、進学時は村外へ通うことになります。
医療環境
村内には大潟村診療所があり、日常的な診療に対応しています。入院や専門的な治療が必要な場合は、隣接する八郎潟町の湖東厚生病院などを利用するのが一般的です。いざというときの動線を頭に入れておくと安心ですよ。
エリア別の暮らし視点
旅の視点では田園や水辺が主役でしたが、住む視点では「総合中心地」が生活の要になります。役場・学校・診療所・商業施設が徒歩圏に集まっていて、日々の用事はこのエリアで完結しやすいんですよ。
一方、田園部は農家が点在するエリアで、静けさと引き換えに車移動が前提になります。水辺のゾーンは日常というより、散歩や釣りで訪れる場所。暮らしの中心は、あくまで中心地に集まっていると考えるとイメージしやすいです。
大潟村へのアクセス

大潟村の中には鉄道が通っていません。旅の玄関口になるのは、村の外にあるJR奥羽本線の八郎潟駅です。ここから村へはバスか車でアクセスします。村内は平坦で運転しやすいので、車での移動が基本になります。
車でのアクセス
秋田市中心部からは車でおよそ1時間です。高速道路を使う場合は、秋田自動車道の五城目八郎潟ICや琴丘森岳ICが最寄りで、そこから橋を渡って村に入ります(出典:大潟村役場)。村へは必ずどこかの橋を渡ることになるのも、干拓地ならではですね。
鉄道+バスでのアクセス
JR秋田駅から八郎潟駅までは、奥羽本線で約23分です(出典:大潟村役場)。八郎潟駅から村へは「南秋地域広域マイタウンバス」が便利で、八郎潟駅入口からJA大潟村前まで約25分。隣の町村までの普通運賃は片道200円です(出典:大潟村役場)。本数は多くないので、時刻表は事前に確認しておくと安心です。
飛行機でのアクセス
遠方からは秋田空港が便利で、空港から村までは車でおよそ1時間30分です(出典:秋田県立大学)。首都圏からなら、東京から秋田まで秋田新幹線こまちで最短3時間49分、そこから在来線とバスで村を目指すルートになります(出典:大潟村役場)。
村内移動の現実的アドバイス
正直なところ、村内をしっかり回るなら車がいちばん便利です。スポットが田園地帯に点在しているので、レンタカーがおすすめ。車がない場合は、道の駅おおがたでレンタサイクルを借りて、平らな道をのんびり走るのも気持ちいいですよ。
交通手段ごとに見てきましたが、「結局いちばん安く行くにはどうすれば?」と迷う方も多いはず。飛行機で向かうなら、航空券は予約のタイミングや会社によって料金が大きく変わります。複数の航空会社・LCCをまとめて比較できるサイトで、いちど最安値をチェックしておくと安心ですよ。
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【地元住民に直撃!】大潟村の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
米農家です。父の代からこの村で稲作をやっていて、私で二代目になります。ここは湖の底を干拓してできた土地なので、見渡すかぎり水田が広がっていて、一戸あたりの面積が本州では珍しいくらい大きいんですよ。
大型の機械を動かしながら、あきたこまちを中心に育てています。春の田植えから秋の稲刈りまで、地平線まで続く田んぼと向き合う毎日です。天気に一喜一憂する、正直きつくも面白い仕事ですね。
Q2.大潟村に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
まずは干拓の歴史を紹介している博物館ですね。湖の底がどうやって大地に変わったのか、ここを見てから村を回ると景色の意味が全然違ってきます。ジオパークの拠点にもなっている場所です。
それと地元目線で言うと、北緯40度と東経140度が交わる標示塔と、標高ゼロメートルの大潟富士。田んぼの真ん中に立って、さえぎるものが何もない空を眺めると、この村の広さが体でわかりますよ。
Q3.大潟村でお土産を買うとしたらなんですか?
やっぱり米です。あきたこまちを買って帰ってもらうのが一番間違いない。この村の有名なものといえば、なんといってもこれですから。冷めても美味しいので、おにぎりにすると違いがよくわかりますよ。
あとは地元の人間からすると、米粉を使ったお菓子や加工品もおすすめです。産直で並んでいる村の野菜や加工品は、観光地の土産物とは違う素朴さがあって、これが案外喜ばれるんですよね。
Q4.外から人が来たときに、大潟村でまず連れていく店はどこですか?
道の駅にある産直の店ですね。村でとれた米や野菜、加工品がずらっと並んでいて、ここに来れば村の食が一通りわかります。博物館もすぐ隣なので、観光の起点にちょうどいいんですよ。
それから、締めには村のモール温泉に連れていきます。琥珀色のお湯が肌にとろっとまとわりつく感じで、遠くから来た人はだいたい驚きます。広い空の下で入る温泉は、いい思い出になるはずです。
Q5.大潟村はどんな気質だと思いますか?
全国各地から入植した人たちがゼロからつくった村なので、出身地の違いを超えて助け合う気風があります。もともとよそ者同士だったから、新しく来た人にも比較的あっさり馴染みやすい土地だと思います。
農業を軸にみんなで村を育ててきたという意識が強くて、地域のつながりは今でも濃いですね。派手さはないけれど、地に足のついた真面目な人が多い。そういう気質の村だと感じています。
Q6.昔に比べて、大潟村の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言うと、入植した世代が歳を重ねて、担い手の高齢化や後継者の問題はどこの農家も抱えています。米づくりを取り巻く環境も年々厳しくなっていて、そこは楽観できない現実ですね。
ただ、二代目や三代目が加工や直売に力を入れたり、大学が村にあることで若い人の姿もあります。ジオパークの活動もあって、外から村を訪れる人は昔より増えてきた実感がありますよ。
Q7.大潟村のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
大きな箱物というより、今ある資源をどう活かすかに期待しています。ジオパークが改めて認定を受けて、干拓の歴史や広大な景観を学びに来てもらう流れが続いてほしいですね。
あとは、平らで広い地形を活かしたソーラーカーのレースのような催しが村の名物として根づいてきました。米だけでなく、こういう村ならではの取り組みが、次の世代につながっていけばと思っています。

