二戸市(にのへし)は、岩手県の内陸部北端、青森県との県境に位置する人口22,513人のまちです。市街地を馬淵川(まべちがわ)が流れ、東に折爪岳(おりつめだけ)、西に稲庭岳が座します。
二戸の魅力を5つに絞ると、こうなります:
- ✅ 国産漆の生産量が日本一──浄法寺(じょうぼうじ)漆が国産のおよそ7割。日光東照宮や金閣の修復にも使われています
- ✅ 九戸城跡(くのへじょうあと)──豊臣秀吉の天下統一を締めくくった「九戸政実(まさざね)の乱」の舞台
- ✅ 座敷わらしの里・金田一(きんたいち)温泉──2026年で開湯400年を迎える「侍の湯」
- ✅ 折爪岳のヒメボタル──東北有数の生息地で、初夏に無数の光が舞う
- ✅ 八葉山天台寺──行基が開いたと伝わる古刹で、瀬戸内寂聴の「青空説法」で知られます
「歴史や城が好きな人」「漆や民芸など手仕事に惹かれる人」「のんびりした温泉旅をしたい人」に特におすすめのまち。本記事では、推しポイントから歴史・文化・特産まで、二戸の素顔を地元目線で紹介します。
| 人口 | 22,513 人 ※2026年5月1日時点(推計人口) |
|---|---|
| 面積 | 420.42 km² |
| 人口密度 | 53.5 人/km² |
地理的には、南は一戸町、東は軽米町と九戸村、西は八幡平市に接し、北は青森県の田子町・三戸町と県境を接しています(出典:岩手県)。
このうち軽米町・九戸村・一戸町とは、通称「カシオペア連邦」と呼ばれる広域の結びつきを持っています。東北新幹線が停まる二戸駅があり、東京からは約2時間半。
漆・城跡・温泉・古刹と、人口2万人ほどの小さなまちに見どころがぎゅっと詰まっています。ひとつずつ見ていきましょう。
二戸市の推しポイント

二戸の顔は、なんといっても「漆」。国産漆の生産量で日本一を誇り、その漆は国宝級の文化財の修復を支えています。それに加えて、戦国時代の天下統一を締めくくった九戸城跡、座敷わらしで全国に知られる金田一温泉、初夏の山を照らすヒメボタル、行基ゆかりの天台寺と、歴史・自然・信仰がそろい踏み。ここからは5つに分けて深掘りしていきます。
国産漆の生産量日本一──浄法寺漆
二戸市浄法寺町を中心とした「浄法寺漆」は、国産漆のおよそ7割を生産する一大産地です(出典:農林水産省)。透明度や硬さで国内最高級とされ、日光東照宮・中尊寺金色堂・鹿苑寺金閣など、日本を代表する文化財の修理に使われてきました(出典:文化庁)。安比川流域に受け継がれる漆文化は「“奥南部”漆物語」として日本遺産にも認定されています。
九戸城跡──天下統一最後の戦いの舞台
九戸城は、南部氏一族の九戸政実が居城とした山城です。1591年(天正19年)、宗家との対立から政実が挙兵し、豊臣秀吉が派遣した蒲生氏郷・浅野長政らの大軍に包囲されました。この「九戸政実の乱」を最後に奥州が平定され、秀吉の天下統一が完了したとされます(出典:いわての文化情報大事典(岩手県))。国の史跡に指定され、2017年には続日本100名城にも選ばれました(出典:旅東北)。
座敷わらしの里・金田一温泉
市の北部にある金田一温泉郷は、座敷わらしが現れる宿として全国に知られています。なかでも老舗の緑風荘は、その姿を見た人に幸運が訪れると言い伝えられ、多くの著名人が訪れてきました。江戸時代には南部藩指定の湯治場「侍の湯」として親しまれ、2026年に開湯400年を迎えます(出典:岩手県)。トロリとした湯ざわりで、湯上がりにのんびりできる温泉ですよ。
折爪岳のヒメボタル──東北有数の生息地
東に構える折爪岳(標高852m)は、ブナやナラに覆われ、東北有数のヒメボタルの生息地として知られます(出典:岩手県)。初夏の夜、山がチカチカと光に包まれる光景はここでしか味わえません。観賞会の期間は山頂までの交通が規制されるので、訪れるなら事前確認を(出典:二戸市)。麓の馬仙峡には、男神岩・女神岩という巨大な夫婦岩もそびえます。
八葉山天台寺──行基ゆかりの古刹
浄法寺町の山中にある天台寺は、奈良時代の神亀5年(728年)、行基が開山したと伝わる東北屈指の古刹です。ご本尊の聖観音立像は国の重要文化財。昭和62年(1987年)に作家の瀬戸内寂聴が住職に就いてからは、その「青空説法」が評判を呼び、全国から人が集まりました(出典:二戸市観光協会)。地元では親しみを込めて「御山(おやま)」と呼ばれています。
二戸市の歴史

二戸の歴史は、大きく三段階に分けて見ると分かりやすくなります。エミシの暮らした古代、南部氏のもとで天下統一の舞台となった戦国〜近世、そして青森県から岩手県へ編入され新幹線のまちへと変わった近代以降です。地名の「二戸」そのものに、この土地の成り立ちが刻まれています。
古代〜中世──「四門九戸」と二戸の地名
このあたりには古代、爾薩体(にさったい)と呼ばれるエミシの集団が暮らしていました。811年(弘仁2年)には征夷将軍・文屋綿麻呂による征討が『日本後紀』に記されています。中世になると糠部(ぬかのぶ)郡に「四門九戸」の制が敷かれ、一戸から九戸に分けられました。二戸の名は、この「戸」に由来します。
戦国〜近世──九戸政実と福岡城
室町から江戸時代の終わりまで、この地は南部氏の支配下にありました。1591年の九戸政実の乱ののち、南部信直は九戸城を修築して三戸から移り、城は「福岡城」と改められます。以後、現在の市中心部は長く「福岡町」と呼ばれました。冷涼な気候のため、近世にはたびたび飢饉にも見舞われています。
近代〜現代──岩手編入から新幹線のまちへ
1871年の廃藩置県では当初青森県に属しましたが、1876年に岩手県へ編入され現在に至ります。1891年に鉄道(福岡駅)が開業し、駅名は北福岡駅を経て1987年に二戸駅へ。2002年には東北新幹線二戸駅が開業しました。2006年には旧・浄法寺町と合併して現在の二戸市となり、2026年で合併20周年を迎えます。
二戸市の文化・風習

方言と話し方の特徴
二戸で話されるのは、青森県南部から岩手県北部にかけて使われる「南部弁」です。津軽弁に比べてイントネーションがゆるやかで、やわらかい響きと言われます。みなさんも耳にしたら、きっと温かい気持ちになりますよ。
たとえば、語尾の〜だべ(〜でしょう)や〜すけ(〜だから・〜からね)は会話によく出てきます。けっぱれ(がんばれ)、あずましい(居心地がいい・気持ちいい)、わんつか(少し・ちょっぴり)あたりも定番です。
食事をすすめるときのか、け!(さあ、食べて!)や、二戸を含む県北で使われるどやす(どうする)も、知らないと戸惑う言い回し。夜に交わすおばんです(こんばんは)も、距離をぐっと縮めてくれる挨拶です。
漆と手仕事に寄り添う暮らし
漆のまちらしく、暮らしのなかに手仕事が息づいています。浄法寺塗のルーツは、天台寺の僧たちが使った「御山御器(おやまごき)」と伝わり、普段使いの丈夫な器として庶民に広まりました。飾り気のないマットな質感で、使うほどに艶が育つのが魅力なんですよ。
食卓では、エゴマ(地元では「じゅうね」)を甘く擂って餅に塗った「じゅうねもち」や、南部せんべい、南部かっけといった郷土の味が並びます。素朴だけれど、いちど食べると忘れられない味わいです。
雪国の四季と人の気質
二戸は豪雪地帯に指定され、冬の冷え込みはなかなかのもの。年平均気温は9.8℃、冬日(最低0℃未満)は年139日にのぼり、-15℃前後まで下がる日も珍しくありません。いっぽうで年間降水量は1033.9mmと県内で最も少なく、寒暖差の大きい大陸性の気候です。
厳しい冬を分け合って暮らしてきた土地だからこそ、人のつながりは温かいと言われます。雪が解ければ漆の森が芽吹き、初夏にはホタル、秋にはりんごと、季節の表情がはっきり移ろっていきます。住めば、四季の手ざわりを毎日感じられるまちですよ。
二戸市の特産品・食

浄法寺塗(漆器)
まず挙げたいのが、国産漆の一大産地だからこそ生まれた漆器「浄法寺塗」。木地固めから国産漆をふんだんに使い、何度も塗り重ねて仕上げます。華美な装飾のない刷毛目の残るマットな質感が、日々の食卓にすっとなじむんですよ。使い込むほど色も艶も変わり、「自分だけの器」に育っていくのが楽しいところ。浄法寺漆が国産のおよそ7割を占める産地ならではの一品です(出典:農林水産省)。
南部美人(地酒)
二戸市福岡にある南部美人は、明治35年(1902年)創業の蔵元です(出典:南部美人)。折爪馬仙峡の伏流水を仕込み水に、南部杜氏の手づくりで醸す吟醸蔵で、淡麗で綺麗な味わいが身上。日本酒で世界初のヴィーガン国際認証を取得したり、クラフトジンづくりに挑むなど、伝統と挑戦が同居しています。冷やでも燗でも料理に寄り添う一杯、旅の締めにぜひ。
いわて短角和牛・折爪三元豚
稲庭岳の高原では、夏の間、親子の短角牛が草を食む姿が見られます。赤身のうまみが濃く、噛むほどに味が広がるのが短角牛の持ち味。豚なら、地元名を冠した「折爪三元豚」も人気です。焼いてよし、鍋にしてよし。山あいで育つ肉のしっかりした味わいは、雑穀ごはんとの相性も抜群なんですよ。
雑穀・りんご
二戸地方は古くから雑穀の栽培が盛んな土地。ミネラルや食物繊維が豊富で、現代の食卓に取り入れたい健康食材として見直されています。また金田一温泉の高台には20ヘクタールにおよぶりんご団地が広がり、秋には観光りんご園で収穫体験も。春は花で真っ白、秋は紅い実の絨毯と、季節ごとに表情を変える果樹の里です。
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二戸市の観光スポット

二戸市の見どころは、市街地の歴史スポットから、東の折爪岳・馬仙峡の自然、北の金田一温泉、西の浄法寺の漆と古刹まで、ぐるりと四方に散らばっています。一日では回りきれないほど。まずはジャンルごとに、外せないスポットを押さえていきましょう。
歴史と信仰をたどるスポット
- 九戸城跡 – 九戸政実が豊臣の大軍を迎え撃った城跡で、国の史跡。2017年に続日本100名城へ選ばれました(出典:旅東北)。馬淵川・白鳥川・猫淵川に囲まれた断崖の上に立つと、要害ぶりが体で分かります。春から秋にはガイドハウスも開き、続100名城スタンプもここで押せますよ(出典:二戸市)。緑の曲輪を歩くだけでも気持ちのいい場所です。
- 八葉山天台寺 – 神亀5年(728年)に行基が開いたと伝わる古刹で、ご本尊の聖観音立像は国の重要文化財です(出典:二戸市観光協会)。樹齢1500年とされる桂の巨木が出迎える参道は、夏になると紫陽花が石段を彩ります。瀬戸内寂聴の「青空説法」が開かれた山で、静けさそのものがごちそうですね。
- 瀬戸内寂聴記念館 – 浄法寺総合支所内にあり、住職を務めた寂聴の直筆原稿や手紙、法話の映像、著書約300冊を見られます(出典:旅東北)。天台寺とあわせて訪ねると、ことばの人だった寂聴の足跡がぐっと立ち上がってきます。
自然と絶景を楽しむスポット
- 折爪岳 – 標高852mの山頂展望台からは、太平洋・岩手山・八戸の夜景まで望める360度のパノラマが広がります(出典:二戸市)。東北有数のヒメボタルの生息地でもあり、初夏の夜には森全体がチカチカとまたたきます。昼は爽快な眺め、夜は幻想的な光と、表情が二度おいしい山なんですよ。
- 馬仙峡(男神岩・女神岩) – 馬淵川沿いの景勝地で、そびえ立つ男神岩・女神岩は日本一の大きさの夫婦岩といわれます(出典:二戸市(二戸の暮らしポータル))。切り立った岩肌と川の流れが作る迫力ある眺めは、市街地のすぐそばとは思えないほど。新緑や紅葉の季節がとくにおすすめです。
- 稲庭岳 – 浄法寺側に座す山で、裾野の稲庭高原では夏のあいだ短角牛の親子が草を食む、のどかな風景に出会えます。標高1,000mを超えますが山頂までは歩きやすく、高原の風に吹かれながらのトレッキングが楽しめます。山の恵みの湧き水「岩誦坊」も中腹にありますよ。
温泉と漆を味わうスポット
- 金田一温泉郷 – 2026年に開湯400年を迎える「侍の湯」。座敷わらしの宿・緑風荘や、公民連携施設として整備されたカダルテラス金田一などが点在します(出典:岩手県)。トロリとした湯につかったあと、高台のりんご団地まで足をのばすと、季節ごとの景色が待っています。
- 南部美人 – 明治35年(1902年)創業の蔵元で、木造土壁の酒蔵を当時の蔵人の装いで見学できる蔵見学(通年・要予約)が人気です(出典:南部美人 本蔵 hongura)。試飲スペースもあり、折爪馬仙峡の伏流水で醸す一杯を、その場で味わえます。
- 二戸市シビックセンター – 二戸生まれの物理学者・田中舘愛橘の業績を紹介する田中舘愛橘記念科学館と、世界的グラフィックデザイナー・福田繁雄のトリックアートを常設展示する福田繁雄デザイン館を併設。各館9:00〜17:00(入館16:30まで)、月曜休館で、入館料は各館一般・高校生200円、小・中学生100円です(出典:二戸市シビックセンター/旅東北)。サイエンスショーや工作体験で、子どもも大人も夢中になれます。
- カシオペアメッセ・なにゃーと – 二戸駅に隣接する物産センターで、岩手・青森・秋田の特産品が並びます。短角牛や漆器、うるしはちみつなど、二戸みやげをまとめて探せるので、旅の締めにぴったりですよ。
二戸市の観光ルート

二戸市は、城跡や酒蔵が集まる中心市街と、漆と古刹の浄法寺、温泉の金田一が少し離れています。車があれば一日でぐるりと、半日なら浄法寺だけをじっくり、と組み立てやすいまち。世界遺産まで足をのばす広域ルートも合わせて紹介します。
【車・1日】二戸まるごと満喫ルート
9:00 二戸駅 → 9:15 九戸城跡(車10分)→ 11:00 南部美人・なにゃーと → 13:30 折爪岳 → 15:30 金田一温泉郷(車30分)
①九戸城跡(90分)
→ 朝のうちに広い曲輪を歩けば、空いていて静か。天下統一の最終章となった舞台を、自分の足で確かめられます。
②南部美人・なにゃーと(120分)
→ 蔵見学で酒造りに触れ、なにゃーとで昼食とおみやげ探し。中心街は徒歩でも回れる距離なので気軽です。
③折爪岳(90分)
→ 山頂展望台で360度の眺めを。7月の夜ならヒメボタルが目当てになり、滞在を夕方以降にずらすのもおすすめです。
④金田一温泉郷(宿泊または日帰り入浴)
→ 一日の締めは座敷わらしの里でゆっくり。湯につかれば、歩き疲れた体がほどけていきます。
【車・半日】浄法寺・漆と古刹ルート
9:00 浄法寺総合支所 → 9:10 瀬戸内寂聴記念館 → 10:00 八葉山天台寺 → 12:00 稲庭高原
①瀬戸内寂聴記念館(40分)
→ まずは寂聴の足跡をたどってから御山へ。これから登る天台寺の物語が立体的に見えてきます。
②八葉山天台寺(90分)
→ 桂の巨木の参道を登り、本堂で観音さまと向き合う時間。7月は紫陽花が石段を彩り、足取りも軽くなります。
③稲庭高原(60分)
→ 締めは高原の風景へ。短角牛がのんびり草を食む様子に、旅のスピードまでゆるみますよ。
【車・1日】広域ルート:縄文世界遺産・御所野遺跡へ
9:30 二戸駅 → 9:45 九戸城跡 → 11:30 御所野縄文公園(一戸町・車約15分)→ 14:00 馬仙峡
①九戸城跡(90分)
→ 中世の城をまず押さえてから、時代をぐっとさかのぼる流れにします。
②御所野縄文公園(一戸町・120分)
→ 隣の一戸町にある世界遺産。竪穴建物やストーンサークルが復元され、博物館では縄文のくらしを体感できます。開園9:00〜17:00(入園16:30まで)、観覧料は大人300円・高校生以下無料です(出典:御所野縄文公園/一戸町)。
③馬仙峡(60分)
→ 帰り道に夫婦岩の絶景を。中世・古代・自然と、北東北の時間の厚みを一日で味わえる欲ばりルートです。
ここまで見てきたとおり、見どころが少し離れた場所に点在していることもあります。気になるスポットをまとめて回るなら、レンタカーがあると一気に動きやすくなりますよ。料金は会社や時期でけっこう変わるので、まとめて比較できるサイトでサッと見ておくのがおすすめです。
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二戸市の年間イベント

二戸市の一年は、初夏の山開きとホタル、秋の山車まつり、冬の火まつりと、季節の節目ごとに表情が変わります。どれも地元の人にとって特別な日。旅の予定に合わせて、ひとつ狙ってみるのも楽しいですよ。
春〜夏:稲庭岳山開き・天台寺あじさい祭り・折爪岳ヒメボタル観賞
初夏のはじまりは、6月の稲庭岳山開きから。高原に夏が来たことを告げる行事です。
7月になると、天台寺では紫陽花が見頃を迎える「天台寺あじさい祭り」が開かれます(出典:いわての旅(岩手県観光協会))。雨に濡れた花と苔むした石段の取り合わせが、しっとりと美しいんですよ。
同じ7月頃、折爪岳ではヒメボタルの観賞会が行われます(出典:いわての旅)。期間中は山頂までの交通が規制されるので、訪れる前に最新情報を確認してくださいね。闇のなかで無数の光が点滅する光景は、ここでしか出会えません。
秋:二戸まつり
秋いちばんの盛り上がりは、毎年9月上旬(第1金〜日曜)に開かれる「二戸まつり」。呑香稲荷神社・愛宕神社・秋葉神社の三社大祭で、450年以上の歴史を持つ岩手県北最大級の山車まつりです(出典:二戸市)。
豪華絢爛な8台の風流山車が、威勢のいい掛け声とともに目抜き通りを練り歩きます。ちょんまげ姿で江戸〜明治の行列を再現する「陸奥の土風」や流し踊り、九戸城跡での花火もあり、まちじゅうが熱気に包まれます。初秋の夜風に太鼓が響く、二戸の一番熱い三日間ですね。
冬:サイトギ(呑香稲荷神社)
冬の二戸を代表するのが、呑香稲荷神社の火まつり「サイトギ」。毎年旧暦1月6日に行われ、2026年は2月22日(日)に開催されます(出典:いわての旅)。
高く積み上げた木に火を放ち、その燃え方でその年の天候や作柄を占う、雪国らしい小正月行事です。凍てつく夜空に立ちのぼる炎と火の粉は、見ているだけで身が引きしまります。寒さ対策をしっかりして出かけてみてください。
二戸市のエリア別の顔

二戸市は、2006年に旧・二戸市と旧・浄法寺町が合併して生まれたまちで、地域ごとに表情がはっきり分かれます(出典:岩手県)。中心市街、北の温泉、東の山々、西の漆の里。旅の目的に合わせてエリアを選ぶと、二戸がぐっと回りやすくなりますよ。
福岡・二戸駅エリア──城下町の歴史が息づく中心市街
新幹線二戸駅と市街地が広がる、まちの玄関口。九戸城跡や南部美人、シビックセンターが徒歩圏にまとまり、歴史と文化を半日で楽しめます。なにゃーとでおみやげも揃うので、列車旅の拠点にぴったりのエリアです。
金田一エリア──座敷わらしの里、北の温泉郷
市の北部、青森県境にほど近い温泉エリア。馬淵川のほとりに湯宿が点在し、座敷わらし伝説とりんご団地の風景が広がります。のんびり一泊して、湯と物語に浸りたい人におすすめ。静かな夜をゆっくり過ごせます。
折爪・馬仙峡エリア──自然と絶景に出会う東の山あい
東側に折爪岳と馬仙峡を抱える、自然好きのためのエリア。展望台からの大パノラマ、夏のヒメボタル、男神岩・女神岩の迫力ある景観と、見どころが詰まっています。アウトドアや写真を楽しみたい日に向いています。
浄法寺エリア──漆と古刹が伝わる西の里
西部の旧・浄法寺町域は、国産漆の一大産地。天台寺や瀬戸内寂聴記念館、漆器の工房が点在し、手仕事と信仰の歴史が静かに息づいています。ものづくりや古刹巡りにじっくり時間をかけたい人にぴったりのエリアですよ。
二戸市の気候・季節の暮らし

二戸市は、寒暖差の大きい大陸性の気候です。年平均気温は9.8℃、1月の平均最低気温は-6.6℃まで下がり、年間の降雪量合計はおよそ280cmにのぼります(出典:気象庁)。冬の底冷えはなかなかのものですが、夏は8月でも平均22.5℃と過ごしやすいんですよ。
夏──6月〜8月の暮らし
夏は朝晩がひんやりして、寝苦しい熱帯夜はそう多くありません。8月の平均気温は22.5℃ほどで、扇風機でしのげる日も珍しくないんです(出典:気象庁)。7月の夜には折爪岳でヒメボタルが舞い、避暑がてら山へ出かける人もいます。
秋──9月〜11月の暮らし
9月は二戸まつりで一気に活気づき、10月になると馬仙峡や折爪岳の紅葉が色づきます。日が落ちると急に冷えるので、薄手の上着が手放せなくなる季節。りんごの収穫も始まり、食卓が一年でいちばん賑わう頃ですね。
冬──12月〜3月の暮らし
冬は豪雪地帯らしく、まとまった雪が降ります。年間降雪量はおよそ280cmで、1月・2月は雪かきが日課になります(出典:気象庁)。車には冬タイヤが必須で、暖房もしっかり効かせる暮らしになります。雪明かりの静かな朝は、寒いけれど凛として気持ちのいいものですよ。
春──4月〜5月の暮らし
雪が解けるのは3月下旬から4月にかけて。遅い春が訪れると、漆の森が芽吹き、果樹の花が一斉にほころびます。金田一温泉郷の高台では、りんごの白い花が斜面を覆う光景に出会えます。長い冬を越えたぶん、春のうれしさもひとしおなんです。
二戸市の移住・暮らし情報

新幹線駅があって県北の拠点でもある二戸市は、田舎暮らしの静けさと、ほどよい生活の便利さが両立するまちです。漆掻きへの就業支援など、ここならではの移住制度があるのも特徴。住む視点で、暮らしの現実を見ていきましょう。
通勤・通学
市内や、隣接する一戸町・軽米町・九戸村へ車で通う人が多いエリアです。新幹線を使えば盛岡まではおよそ25分で、通勤・通学圏として利用する人もいます。日常の足はやはり車が中心になります。
住宅環境
家賃は都市部に比べてぐっと抑えめです。SUUMOの掲載物件では、ワンルーム・1Kがおよそ4万円台から、2LDK・3LDKでもおよそ6万円前後が目安と考えられます(出典:SUUMO)。二戸駅周辺はアパートが多く、郊外には庭付きの戸建ても見つかります。
買い物環境
市内にはスーパーやコンビニのほか、ドラッグストア・ホームセンター・書店などがそろい、日常の買い物に困る場面は少ないと考えられます(出典:岩手県移住定住ポータルサイト)。地元農家の産直も多く、旬の野菜や雑穀を手頃に買えるのもうれしいところです。
子育て・教育
市内には小学校・中学校が複数あり、高校は岩手県立福岡高校と北桜高校、看護を学べる二戸高等看護学院もあります。移住・定住に向けては、二戸市が住宅取得やリフォーム、移住体験などへの補助制度を設けています(出典:二戸市)。
医療環境
地域医療の中心となるのは県立二戸病院で、隣接する一戸町・軽米町の県立病院、九戸村の地域診療センターと連携して圏域の医療を担っています(出典:岩手県)。市内には小児科の医院もあり、子育て世帯にとって心強い環境です。
エリア別の暮らし視点
福岡・二戸駅エリアは商業施設や病院が集まり、車なしでも比較的暮らしやすい中心市街。金田一エリアは温泉とりんご団地に囲まれた静かな住環境です。浄法寺エリアは漆の里らしく、漆掻きの新規就業を支援する補助金も用意されています(出典:二戸市空き家バンク)。自然のなかで手仕事に携わりたい人に向いたエリアですよ。
二戸市へのアクセス

二戸市には東北新幹線の二戸駅があり、首都圏からのアクセスは良好です。東京からは新幹線「はやぶさ」で乗り換えなしの一本。車なら八戸自動車道と国道4号が使えます。交通手段ごとに見ていきましょう。
鉄道でのアクセス
東京駅から二戸駅までは、東北新幹線「はやぶさ」で乗り換えなし、所要時間はおよそ2時間40分です。運賃と特急料金を合わせた片道の正規料金は、時期によりおよそ16,000円台が目安になります。盛岡からはおよそ25分と近く、仙台からも1時間30分前後で到着します。
二戸駅は新幹線とIGRいわて銀河鉄道が乗り入れる駅です。金田一温泉方面へはIGRや路線バスでの移動になるので、本数を事前に確認しておくと安心ですよ。
車でのアクセス
車の場合、八戸自動車道が便利です。市中心部の最寄りインターチェンジは、隣接する一戸町内の一戸ICで、ここから国道4号で二戸方面へ向かいます。浄法寺エリアへは、八戸道の最初のインターチェンジである浄法寺ICが近くなります。市内は見どころが四方に散らばっているので、滞在中は車があると動きやすいです。
飛行機でのアクセス
遠方から空路で向かう場合は、いわて花巻空港、または青森県の三沢空港が選択肢になります。花巻空港からは盛岡経由で新幹線、三沢空港からは八戸経由でのアクセスが一般的です。北海道や西日本から向かうときに検討するとよいでしょう。
町内移動の現実的アドバイス
観光でも暮らしでも、二戸での移動は車が基本です。鉄道が通らない金田一温泉郷や浄法寺方面はとくに、レンタカーがあると行動の幅が広がります。市内にはデマンド型の乗合交通「チョイソコにのへ」もあるので、車を使わない場合は組み合わせて使うのがおすすめです。
交通手段ごとに見てきましたが、「結局いちばん安く行くにはどうすれば?」と迷う方も多いはず。飛行機で向かうなら、航空券は予約のタイミングや会社によって料金が大きく変わります。複数の航空会社・LCCをまとめて比較できるサイトで、いちど最安値をチェックしておくと安心ですよ。
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【地元住民に直撃!】二戸市の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
漆掻きの仕事をしています。浄法寺のあたりで、夏のあいだウルシの木に傷をつけて、にじみ出る樹液を一滴ずつ採っていく仕事です。
国産の漆は二戸が日本一の産地で、その器や文化財の修復を支えていると思うと、地味だけど誇りを感じます。木と天気を相手にする、根気のいる仕事ですね。
Q2.二戸市に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
まずは九戸城跡ですね。天下統一の最後の戦いがあった場所で、馬淵川の崖の上に立つと、風の音しかしない静けさに歴史の重みを感じます。
地元の人間としては、折爪岳もすすめたい。夏の夜にヒメボタルが森いっぱいに光る景色は、息をのみますよ。昼の展望台からの眺めもいいです。
Q3.二戸市でお土産を買うとしたらなんですか?
定番なら、やっぱり浄法寺塗の漆器ですね。派手さはないけど、使うほど艶が出て、自分だけの器に育っていく。一生ものになります。
地元の人間がよく買うのは、雑穀や南部せんべい。あと漆の蜜蜂が集めたはちみつもあって、これは知る人ぞ知る味なんですよ。地酒も外せません。
Q4.外から人が来たときに、二戸市でまず連れていく店はどこですか?
駅の隣にある物産センターにまず寄ります。地元の特産がひと通り並んでいて、二戸の食を一望できるので、案内の入り口にちょうどいいんです。
あとは昔ながらの定食屋へ。短角牛や折爪三元豚を出す店で、炭火や出汁の匂いに包まれながら食べると、ここの暮らしの味が伝わると思います。
Q5.二戸市はどんな気質だと思いますか?
冬の厳しい土地なので、辛抱強くて、口数は多くないけど芯の通った人が多いですね。困ったときは黙って手を貸してくれる、そういう温かさがあります。
漆の森を何十年もかけて育ててきた土地柄か、目先より長い時間で物事を考える人が多い気がします。派手じゃないけど、信頼できる気質だと思います。
Q6.昔に比べて、二戸市の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言うと、人は減っていますし、まちなかの賑わいも昔ほどではないです。漆掻きの職人も高齢化が進んで、担い手の確保はずっと課題ですね。
ただ、漆が日本遺産やユネスコの無形文化遺産に認められて、若い移住者が手仕事を志して入ってくるようになりました。静かに、でも確かに芽は出ています。
Q7.二戸市のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
金田一温泉が2026年で開湯400年を迎えるので、その節目をきっかけにまた人が訪れてくれたらと期待しています。湯と座敷わらしの里ですからね。
個人的には、漆掻きを志す人を育てる取り組みが続いていることが一番うれしいです。この森と技術を次の世代につなげていけたら、それが何よりの願いです。

