| 人口 | 2,272 人 ※2026年3月31日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 345.65 km² |
| 人口密度 | 6.57 人/km² |
みなさん、黒松内町(くろまつないちょう)って知ってますか?北海道の渡島半島の付け根にある、人口わずか2,272人の小さな町なんですけど、ここ、実はなまら(とても)すごい場所なんですよ。なんと「日本のブナ自生北限地」。つまり、ブナの森が育つ最北端のフロンティアが、この黒松内町なんです。
黒松内町は、北海道後志(しりべし)総合振興局管内の南端、札幌市と函館市のほぼ中間点に位置する町です。面積は345.65km²、人口は2,272人(2026年3月31日時点)、人口密度はわずか6.57人/km²。札幌から車で約2時間40分、函館からは約2時間10分という立地で、道央と道南をつなぐ交通の要衝でもあります。
町の地形がまた面白くて、海に面していない内陸の町なんですけど、太平洋側(長万部町方面)も日本海側(寿都町方面)も、町境から海岸線までわずか200m程度。海はないのに、両方の海の影響を受ける独特な気候を持っているんですよ。さらに同じ後志管内で隣接するのが島牧村、寿都町、蘭越町の3町村で、振興局をまたいで南は渡島総合振興局の長万部町、東は胆振総合振興局の豊浦町と接しています。
そして黒松内町は2012年、「日本で最も美しい村」連合に加盟。景観条例まで作って、町中の三角屋根を緑に統一するというこだわりっぷりなんです。したっけ(それで)、町の特産品手づくり加工センター「トワ・ヴェール」のチーズはJALファーストクラスにも選ばれた逸品。秘境の自然と、本物の食。そんな両輪を持つ黒松内町を、これからじっくり紹介していきますね。
黒松内町の推しポイント
まず最初に、黒松内町を語るうえで外せない「町の顔」を一気に紹介していきますね。ここを押さえれば、「ああ、こういう町なんだ」って一発で分かりますから。
日本のブナ自生北限「歌才ブナ林」
黒松内町といえば、まずこれ。市街地からわずか2kmの場所に、約92.43haのブナ原生林「歌才(うたさい)ブナ林」が広がっています。1928年(昭和3年)に「歌才ブナ自生北限地帯」として国の天然記念物に指定された、まさに日本のブナの最北フロンティア。樹高30m、幹の直径1mを超える巨木が約1万本も並んでいて、平均樹齢は150年。なまら(とても)荘厳な森なんですよ。
JAL機内食にも選ばれた「トワ・ヴェールのチーズ」
町営の特産物手づくり加工センター「トワ・ヴェール」(フランス語で「緑の屋根」)は、1993年から町産の生乳でチーズ・ハム・ソーセージを手作りしている工房。看板商品の「くろまつないブルーチーズ」は2011年に第8回ALL JAPANナチュラルチーズコンテスト青カビ部門で金賞を受賞、2013・2014年にはJAL国際線ファーストクラスの機内食にも採用されました。秘境の町から、世界の空へ飛んでったんですよ。
稚アユ放流ゼロの清流「朱太川」
町の中心を貫く朱太(しゅぶと)川は、本流に魚の遡上を妨げる堰堤がひとつもない希少な清流。全国的にも珍しく、2013年から稚アユの放流を停止し、天然遡上のみで漁場を維持しているんです。実質的なアユの北限河川とも言われていて、源流部の川幅2m地点までイワナと一緒に天然アユが上がってくる、わや(めちゃくちゃ)すごい川なんですよ。
「日本で最も美しい村」連合加盟の景観
2012年、黒松内町は「日本で最も美しい村」連合に加盟しました。1990年から家庭ごみ集積所「クリーンボックス」の規格を統一し、観光交流施設は緑の三角屋根で揃え、2008年には景観行政団体に。妥協しない景観づくりが、ここの一番の文化なんです。
歴史ある「黒松内温泉ぶなの森」と道の駅
1998年に開湯した黒松内温泉「ぶなの森」、1999年オープンの道の駅くろまつない。森歩きで疲れた体を温泉でほぐして、道の駅で焼きたてピザやパンを頬張る——これが黒松内町の鉄板コースなんですよ。
黒松内町の歴史
続いて、黒松内町がどうやってできた町なのか、その歴史を紐解いていきますね。意外とドラマチックなんですよ、この町の歩みは。
地名の由来はアイヌ語「クルマッナイ」
そもそも「黒松内」って、ちょっと不思議な響きの地名ですよね。これ、アイヌ語の「クルマッナイ(kurmat-nay)」に由来していて、「和人の女性の・沢」という意味なんです。かつて北海道に往来した和人は大半が男性だったため、アイヌの人々にとって和人の女性は珍しい存在だった、というのがその由来とされています。1815年(文化12年)には伊能忠敬・間宮林蔵の『蝦夷地沿海実測図』にも「クルマツナイ」の地名が記載されていて、開拓以前からこの地名は存在していたんですよ。
開基は1871年、伊達邦成の家臣たちから
町の開基は1871年(明治3年)。伊達邦成の家臣13戸が黒松内市街地に、斗南藩士24戸が作開(さっかい)地区に、山本玉吉ら数戸が白炭(しろずみ)地区に入植したのが始まりです。戊辰戦争に敗れた会津藩の流れを汲む斗南藩士が新天地を切り開いたわけですから、この町の土台には武士たちの再起の物語が眠っているんですよ。
三和村から黒松内町へ
1955年(昭和30年)1月15日、寿都郡黒松内村と樽岸村の一部(中ノ川地区)、歌棄郡熱郛(ねっぷ)村の3村が合併して「三和村」が誕生。1959年1月に町制施行で「三和町」となり、同年5月に「黒松内町」に改称しました。町章のデザインは、3本の松の葉で旧3村の合併を表現していて、これは1959年に公募で決まったもの。したっけ(それじゃあ)と言いたくなるくらい、由緒のある町紋なんです。
歌才ブナ林、2度の伐採危機を乗り越える
歌才ブナ林の歴史も、ぜひ知っておいてほしいエピソードがあります。1度目の危機は太平洋戦争末期の1944年頃。物資不足で、ブナは飛行機のプロペラ材として伐採されそうになりました。しかし北海道大学の館脇操教授が学術的価値を強硬に訴え、計画は中止に。2度目は1954年(昭和29年)、当時の村が財政赤字を埋めるため天然記念物指定の解除を働きかけたとき、地元住民が請願書を出して阻止したんです。なまら(とても)熱い住民パワーで守り抜かれた森、それが歌才ブナ林なんですよ。
長万部町との合併協議は2004年に解散
平成の大合併では、隣接する長万部町と合併協議会を設置していたんですけど、2004年(平成16年)12月に解散。新町庁舎の設置場所と新自治体名の決定で意見がまとまらなかったんです。結果的に、黒松内町は単独町制を貫く道を選びました。今の小さな町のかたちは、その選択の上に成り立っているんですよ。
黒松内町の文化・風習
では、実際に黒松内町で暮らすってどんな感じなんでしょうか。風景、食卓、人、四季——リアルな町の素顔を覗いていきますね。
道南有数の多雪地帯、それでも美しい四季
黒松内町は日本海と太平洋の双方から影響を受ける特殊な気候です。冬は日本海からの北北西の風が大量の雪を運んできて、道南における多雪地帯。1月の平均最低気温は−8.8℃で、冬の朝はなまら(とても)しばれます(厳しく冷え込みます)。一方、夏は南南東の風が噴火湾から濃霧を運んできて低温になることも。8月の平均最高気温は25.0℃と過ごしやすく、ブナ林を歩くには絶好の季節なんですよ。
ブナ林ガイドウォークが日常に溶け込む町
町民にとってブナ林は単なる観光地じゃなくて、暮らしの一部。春は雪解けとともにカタクリが咲き、夏はラン科の花がひっそり開花、9月から紅葉が始まり、10月後半にはブナの黄葉が見頃。冬はスノーシューを履いて雪のブナ林を散策できるんです。歌才ブナ林ガイドウォークは観光協会主催で通年開催されていて、海外ではシンガポール・台湾・フィリピンからの参加者が特に多いとか。地元の自然ガイドさんが、北のヤシの木と称されたブナの姿を案内してくれます。
道南ならではの方言・話し方
そして、ここでひとつ方言の話を。北海道方言は大きく内陸部方言と海岸部方言に分かれるんですけど、黒松内町は道南エリアに位置しているので、津軽方言の影響を受けた話し方が混ざることもあります。日常的には「なまら(とても)」「したっけ(そしたら/それじゃあ)」「しばれる(厳しく冷え込む)」「なげる(捨てる)」「うるかす(水につけてふやかす)」といった北海道弁が普通に飛び交いますよ。「ゴミなげといて!」と言われて投げないでくださいね、捨てるって意味ですから(笑)。
食卓に並ぶのは町産ミルクと天然アユ
食卓も、この町ならではの色が濃いんです。朝はトワ・ヴェールのクリームチーズに、サイコロ状に切ってネギとかつお節を乗せて醤油をかける——これ、工房の中原工場長おすすめの食べ方なんですけど、和の食材とわや(めちゃくちゃ)合うんですよ。夏になれば朱太川で釣ったアユを塩焼きに。地元産の生乳を使ったアイスクリームやカマンベールチーズも、町の食卓のレギュラーメンバーです。
2,272人が育む、距離の近いコミュニティ
人口2,272人ということは、町ですれ違う人はだいたい顔見知り。歌才ブナ林の保存運動が地元住民の請願で実現したり、朱太川の産卵場づくりに毎年50名以上の有志が参加したり——「自分たちの町の自然は、自分たちで守る」という空気が当たり前にあるんです。したっけ(それじゃあ)、なんで景観条例があんなに徹底されているのかも腑に落ちますよね。住民一人ひとりが、町のかたちを作っているんですよ。
黒松内町の特産品・食
さあ、最後はみなさんお待ちかね、黒松内町の食の話です。ここの特産品、本当に侮れないんですよ。
くろまつないブルーチーズ(トワ・ヴェール)
まずは町の代表選手、トワ・ヴェールの「くろまつないブルーチーズ」。黒松内町産の生乳を成分無調整のまま使用し、約2か月間じっくり熟成させたもの。塩分を控えめにしているので、青カビの風味が強すぎず、ミルクのほのかな甘みが前に出る繊細な味わいなんです。届いたばかりの頃はフレッシュで甘く、熟成が進むと青カビの風味が増してきて、ワインのお供に最適に変化していきます。2011年の第8回ALL JAPANナチュラルチーズコンテスト青カビ部門で金賞、2013・2014年にはJAL国際線ファーストクラスの機内食に2年連続選出、2020年にはJAPAN cheese awardで銀賞。なまら(とても)受賞歴の多い逸品なんですよ。背景には、ブナの森がもたらす清らかな水で育つ町産の高品質な生乳と、本格的な欧州風の味を追求し続ける工房スタッフの研鑽があります。
朱太川の天然アユ
続いて、夏の主役・朱太川の天然アユ。延長43.5kmの朱太川は、本流にアユの遡上を妨げる堰堤等の構造物が一切ない、全国的にも稀有な河川なんです。2013年から稚アユの放流を完全停止し、天然遡上のみで資源を維持。冷たい北海道の川に適応した遺伝子を持つ朱太川のアユは体高が高くて大きく、釣り人にも人気です。旬は7月1日の解禁から9月15日までで、食べ方は塩焼きが王道。皮はパリッと、身はほろほろ、川魚特有のスイカのような香りが立ちのぼって、わや(めちゃくちゃ)うまいんです。背景には、漁協と町、研究者が連携して天然資源を守り続ける、全国モデルケースとも言える取り組みがあるんですよ。
トワ・ヴェールのスモーク生ベーコン
チーズばかりじゃなくてハムも絶品。トワ・ヴェールのハム製品で一番人気の「スモーク生ベーコン」は、北海道産の良質な豚バラ肉に、昔ながらの塩と香辛料を手で擦り込む乾塩法で時間をかけて熟成させたもの。脂身に旨みがしっかり乗っていて、野菜炒めやパスタに入れるとひと味違うんです。旬は通年。食べ方はそのまま薄切りでも、軽く炙ってからパスタやサラダに加えても最高。背景には、町の基幹産業である酪農・畜産から生まれた食文化を「本物の味」で届けようという、1993年からのトワ・ヴェールの理念があります。
くろまつないカマンベール&ホワイトブルーチーズ
もう一品、トワ・ヴェールの「くろまつないカマンベール」も外せません。表皮の白カビのコクとミルクの風味のバランスがほどよく、しっとりクリーミーな食感。さらに「ホワイトブルーチーズ」は、内側を青カビ、外皮を白カビで熟成させた工房の原点的な一品で、青カビが苦手な人でも「これなら食べられる」と評判なんです。北海道産の白ワイン、特にミュラー・トゥルガウと合わせるとなまら(とても)相性が良いんですよ。旬は通年、食べ方は薄切りでそのまま、もしくはハード系のパンと一緒に。
スモークチキン
最後にもう一品、トワ・ヴェールのスモークチキンも紹介させてください。北海道産の良質な鶏肉を、ベーコンと同じく乾塩法でじっくり熟成・燻製したもので、2012年から商品化された比較的新しいラインナップ。電子レンジで少し温めてからオーブントースターで両面を焼くと皮がパリッと香ばしくなって、サラダやサンドイッチに入れるのも最高。年末・クリスマス時期に特に人気で、ふるさと納税の鶏肉部門では北海道1位を獲ったこともあるんですよ。したっけ(それじゃあ)、ホームパーティーの主役にもなりますよね。
黒松内町の観光スポット
序盤で黒松内町のあらましをざっと紹介してきましたけど、実際に訪れたら何を見て、何を食べたらいいんでしょうか?ここからは、町の観光スポットを一気に深掘りしていきますね。したっけ(それじゃあ)、まずは町の代名詞ともいえるブナ林から行きましょう。
町のシンボル「歌才ブナ林」
- 歌才ブナ林 – 序盤で触れた、日本のブナ自生北限を代表する原生林。市街地からわずか2kmの場所に約92.43haのブナ純林が広がっていて、駐車公園から人工林の遊歩道を800m(約15分)歩くと自生地帯の入口、そこから1,200mのブナ林散策路が続きます。樹高30m、最大幹直径136cmのブナが約1万本、平均樹齢150年の森を歩くと、足元はふかふかの腐葉土、頭上には木漏れ日が揺れて、深呼吸するだけで肺が満たされる感覚に。おすすめは10月後半のブナの黄葉シーズン。林全体が金色に染まって、本当になまら(とても)幻想的なんですよ。シマエナガや天然記念物のクマゲラに会えることもあり、生きた森の鼓動を感じられる場所です。
緑の三角屋根「道の駅くろまつない(トワ・ヴェールⅡ)」
- 道の駅くろまつない – 国道5号沿いにある、トワ・ヴェールの2号店として1999年にオープンした道の駅。住所は黒松内町字白井川8-10、電話は0136-71-2222。営業時間は4〜9月が9:00〜18:00、10〜3月が9:00〜17:00で、11〜3月は毎週火曜定休。常時50〜60種類が揃う焼きたてパンと、注文を受けてから天然酵母のもっちり生地で焼き上げる「ピザドゥ」の本格ピザ(営業10:00〜16:00、売切次第終了)が看板。トワ・ヴェールのチーズやハム、町産生乳のソフトクリームも買えるので、お土産探しもここで一気に完結します。北海道じゃらん道の駅満足度ランキングで2005年と2008年に総合1位を獲得したという実績付きで、休日は札幌や函館からわざわざパンを買いに来る人でわや(めちゃくちゃ)混みますよ。
美肌の湯「黒松内温泉ぶなの森」
- 黒松内温泉ぶなの森 – 1998年開湯、住所は黒松内町字黒松内545、電話0136-72-4566。営業時間は夏季(4〜10月)11:00〜21:30、冬季(11〜3月)11:00〜21:00で、定休日は夏季が第1水曜、冬季が第1・第3水曜(祝日の場合は翌日)。入浴料は大人600円、小学生300円、就学前幼児無料です。泉質はアルカリ性単純温泉で、肌がつるつるになる美肌の湯として知られています。ジェットバス付きのドーム型「洋風浴室」と檜風呂のある「和風浴室」の2タイプが日替わりで男女入れ替わる仕組みで、奇数日は男が和風・女が洋風、偶数日はその逆。ブナ林散策やフットパスのあとに汗を流すのにぴったりで、館内には黒松内産の奈川在来種そば粉を使った手打ち極太ちぢれ麺が食べられる「そば処ぶなの森」もあります。
森の入口「黒松内町ブナセンター」
- 黒松内町ブナセンター – 緑の三角屋根が目印の、ブナ林散策の前に必ず立ち寄りたい情報拠点。歌才ブナ林の解説や町の歴史資料、クジラや海牛の化石まで展示されていて、太古の昔この地が海だったことが分かるんですよ。木工房・陶工房・食工房といった体験コーナーもあって、子ども連れにも嬉しい施設。森の図書館や多目的ホールも併設され、雨の日でも一日楽しめます。双眼鏡やスノーシューのレンタルもあるので、季節を問わず自然散策の拠点として使えるんです。歌才ブナ林散策の前に旬の情報をここでGETすると、見える景色がグッと深くなりますよ。
もうひとつのブナ林「添別ブナ林」
- 添別ブナ林 – 歌才ブナ林の混雑を避けたい人にこそ訪れてほしい穴場。一周約40分〜1時間の周回コースで、樹齢90年くらいまでの木肌が美しい若いブナが多く、生まれたばかりの稚樹も観察できます。歌才ブナ林の重厚な空気とは対照的に、こちらは爽やかで明るい森。ミニビジターセンターから徒歩15分で入口に到着します。「添別」の地名はアイヌ語の「セイベツ(貝殻の多い川)」が語源で、地名にもこの土地の自然史が刻まれているんです。したっけ(それじゃあ)、若いブナと古いブナを両方歩き比べてみるのも面白いですよ。
清流「朱太川」と天然アユ釣り
- 朱太川 – 序盤で触れた、稚アユ放流ゼロの全国でも稀有な清流。延長43.5km、本流に堰堤等の工作物が一切なく、源流域までアユが遡上できる希少な河川です。アユの友釣り解禁は7月1日〜9月15日。観光協会では「手ぶらで釣り体験(朱太川)」プログラム(4月〜11月)も開催されていて、初心者でも自然ガイドが付いてアユ釣りに挑戦できるんですよ。川辺に立つと、聞こえるのはせせらぎと風の音だけ。早朝のひんやりとした空気のなか竿を出すと、北海道の遺伝子を持った大きなアユが掛かる手応えに、なまら(とても)テンションが上がります。釣れなくても川面を渡る風が心地よくて、それだけで満足できる場所なんです。
双方の海を望む「黒松内岳」
- 黒松内岳 – 標高740mの町のシンボル的な山。海に面していない黒松内町から、唯一日本海と太平洋の双方を一望できる絶景ポイントなんです。登山口から山頂までは登り約1時間20分ほど、急登→尾根歩き→山頂への一気登りという、登山の楽しさが凝縮されたコース。ロープ場が連続するパートもありますが、地元の方々の手で歩きやすく整備されています。山頂からは寿都湾と噴火湾、両方の青が同時に見える絶景。観光協会では黒松内岳登山ガイドも承っているので、初めての方はガイドさんと一緒が安心です。おすすめは新緑の6月か紅葉の10月。
本物の食「トワ・ヴェール(黒松内町特産物手づくり加工センター)」
- トワ・ヴェール – 住所は黒松内町字目名152-4、緑の屋根が目印のチーズ・ハム工房。1993年開業で、町産生乳100%のチーズや乾塩法で熟成させたハム、アイスクリームを手作り販売しています。製造工程の見学もできて、その場で買って帰れるのが嬉しいところ。JAL国際線ファーストクラスに採用された「くろまつないブルーチーズ」をはじめ、カマンベール、ゴーダ、ホワイトブルーと種類豊富。レストランも併設されていて、できたてのチーズやハムを使った料理を味わえます。したっけ(それじゃあ)、ここでお土産を爆買いしてから道の駅でピザを食べる、という鉄板コースもアリですよ。
黒松内町の観光ルート
スポット紹介を見て「行きたいけど、どう回ればいいの?」と思った方のために、ここからは具体的な観光ルートをいくつか紹介していきますね。黒松内町は札幌と函館のほぼ中間という立地なので、ドライブ旅にも組み込みやすいんです。
【車・半日】ブナと温泉と道の駅をめぐる王道ルート
初めて黒松内町を訪れる方におすすめの定番半日コースです。出発地点は黒松内ICまたはJR黒松内駅。所要時間は約4〜5時間です。
9:00 黒松内IC → 9:10 道の駅くろまつない(車10分)
10:30 道の駅 → 10:40 黒松内町ブナセンター(車5分)
11:30 ブナセンター → 11:40 歌才ブナ林駐車公園(車5分)
13:30 歌才ブナ林 → 13:50 黒松内温泉ぶなの森(車10分)
①道の駅くろまつない(80分)
→ 焼きたてパンとピザでブランチを取りましょう。朝のうちなら焼きたてのクロワッサンに出会えますよ。
②黒松内町ブナセンター(50分)
→ ブナ林に入る前に予習を。化石展示で太古の海を感じてから森に入ると、見え方がなまら(とても)変わるんです。
③歌才ブナ林(100分)
→ 駐車公園から往復約4km、所要約2時間のコース。日中の光が差し込む時間帯がベスト。
④黒松内温泉ぶなの森(90分)
→ 散策の汗を美肌の湯で流して、そば処ぶなの森で打ちたて蕎麦を。温泉とそばのコンビが最高にあずましい(落ち着く)んですよ。
【車・1日】食と自然を満喫する黒松内まるごと体験コース
1日かけてじっくり町を満喫したい方向けのフルコース。出発地点は黒松内IC、所要時間は約8時間です。
9:00 黒松内IC → 9:10 道の駅くろまつない(車10分)
10:00 道の駅 → 10:15 トワ・ヴェール本店(車15分)
11:30 トワ・ヴェール → 11:45 朱太川河畔(車15分)
13:30 朱太川 → 13:50 添別ブナ林(車20分)
15:00 添別ブナ林 → 15:30 歌才ブナ林(車30分)
17:00 歌才ブナ林 → 17:10 黒松内温泉ぶなの森(車10分)
①道の駅くろまつない(50分)
→ パンを朝食代わりに。お土産用のパンも先に押さえておくと安心です。
②トワ・ヴェール本店(75分)
→ 工房見学とチーズの試食、ランチはレストランで。なまら(とても)濃厚なクリームチーズに感動するはず。
③朱太川河畔(100分)
→ 7〜9月なら手ぶらで鮎釣り体験を。夏空の下、川の冷たさが気持ちいいんです。
④添別ブナ林(70分)
→ 軽めの散策で、歌才とは違う若いブナの森を体感。
⑤歌才ブナ林(90分)
→ 夕方の柔らかな光が森に差し込む時間帯。光線が一番きれいな時間です。
⑥黒松内温泉ぶなの森(90分)
→ 締めはやっぱり温泉。露天風呂から見える森の輪郭が、夜になるとわや(めちゃくちゃ)幻想的ですよ。
【鉄道・半日】JR黒松内駅起点のスローな町歩き
車を使わない旅人向けの半日コース。出発地点はJR函館本線「黒松内駅」、所要時間は約5時間です。
10:00 JR黒松内駅 → 10:25 黒松内町ブナセンター(徒歩・タクシー5分)
11:30 ブナセンター → 11:50 歌才ブナ林(徒歩・タクシー5分)
14:00 歌才ブナ林 → 14:25 黒松内温泉ぶなの森(徒歩・タクシー21分)
16:00 ぶなの森 → 16:30 JR黒松内駅(徒歩約25分)
①黒松内町ブナセンター(55分)
→ 木工体験ができる時間帯なら、旅の記念に小さな作品を作ってみては。
②歌才ブナ林(120分)
→ JR黒松内駅から徒歩約30分・タクシー約5分。森の音だけが響く時間がたっぷり取れます。
③黒松内温泉ぶなの森(95分)
→ 駅から徒歩約21分。歩いて来たぶん、湯がしみるしみるんですよ。そば処でランチも兼ねて。
④JR黒松内駅(電車待ち時間で町並み散策)
→ 駅周辺で町営商店をのぞきつつ、ローカル線の旅情を味わいましょう。
【車・1日】札幌〜黒松内〜函館の広域ドライブルート
黒松内町を経由地として、札幌から函館までを1日で抜けるドライブコース。出発地点は札幌市中心部、所要時間は約10時間です。
8:00 札幌市内 → 10:30 黒松内IC(道央道・約2時間30分)
10:40 道の駅くろまつない(車10分)
12:00 道の駅 → 12:15 トワ・ヴェール本店(車15分)
13:30 トワ・ヴェール → 13:40 歌才ブナ林(車10分)
15:30 歌才ブナ林 → 15:50 黒松内温泉ぶなの森(車10分)
17:00 ぶなの森 → 19:30 函館市内(車約2時間30分)
①道の駅くろまつない(80分)
→ ピザでランチ。札幌からの長距離運転を、本格ピザでリセットしましょう。
②トワ・ヴェール本店(75分)
→ 函館の夜の宿で食べる用のチーズとハムをここで仕入れておくと、宿でのワイン時間がなまら(とても)充実します。
③歌才ブナ林(110分)
→ 北海道らしい原生林を体験。札幌〜函館の長旅のハイライトになるはず。
④黒松内温泉ぶなの森(70分)
→ 函館までの残り2時間半に備えて、湯で体をほぐしておきましょう。
黒松内町の年間イベント
続いて、黒松内町の年間イベントを紹介していきますね。人口2,272人の町にしては、けっこう熱量のあるイベントが揃ってるんですよ。
夏の最大イベント「牛っと!!ビーフ天国くろまつないマルシェ」
ぜひ行ってみてほしいのがね、黒松内町の夏の風物詩、「牛っと!!ビーフ天国くろまつないマルシェ」。例年7月の下旬頃、町役場裏駐車場をメイン会場に開催される黒松内町最大のイベントです。なまら(とても)熱気のあるお祭りで、町内産黒毛和牛のステーキやバーベキュー、朱太川のアユ、地元産食材を扱うフリーマーケット約15店が一堂に並びます。会場に近づくと、もう炭火と肉の香ばしい煙の匂いがふわっと漂ってきて、それだけで腹が鳴るんですよ。アイスの早食い競争、町産牛肉を使った牛丼の早食い競争などのアトラクションもあって、子どもから大人まで参加可能。オープニングセレモニーでは黒松内吹奏楽団の演奏、自衛隊の和太鼓、保育園児のお遊戯と、町の世代がそろい踏み。夜には黒松内音頭パレードと歌謡ショーで盛り上がり、フィナーレは約1,000発の打ち上げ花火が夜空を彩ります。星のきれいな田舎の夜空に大輪の花火が連発する瞬間は、わや(めちゃくちゃ)忘れられない景色になりますよ。
歌才ブナ林の四季イベント「ブナ林ガイドウォーク」
続いて紹介したいのが、通年開催されている観光協会主催の「ブナ林ガイドウォーク」。これ、季節ごとに見せる顔が全く違うんですよ。春先(4〜5月)はカタクリやシラネアオイなどの春の妖精たちが森の床を彩り、夏(6〜8月)はランやイチヤクソウの仲間がひっそり咲く緑の森。秋は9月から紅葉が始まって、10月後半には黒松内町のブナが黄金色に染まる絶景に。そして冬(12〜3月)はスノーシューを履いて、葉を落としたブナの白い枝と雪原のコントラストを楽しめるんです。冬の朝、雪に覆われた森に入ると、聞こえるのは自分の足音だけ。しばれる(厳しく冷え込む)空気の中で、枝先から雪がさらさら落ちる音を聞くと、本当に時が止まったような感覚になります。ショートコース(約1時間30分)とロングコース(2時間30分〜3時間)から選べて、9:30か13:30スタート。ガイドさんが案内してくれるから、ただ歩くだけじゃ気づけない森の物語が見えてくるんですよ。
夏の収穫体験「赤井川体験農園」
もうひとつ、ぜひ体験してほしいのがね、農薬・化学肥料不使用で野菜を育てる「赤井川体験農園」での収穫体験。集合場所は道の駅くろまつないか赤井川体験農園で、収穫品目は5月末のアスパラ、6月のブロッコリー、8〜10月中旬のミニトマト、8月末〜9月中旬のトウキビ、9月のジャガイモ、10月のサツマイモなど季節ごとに違います。畑に入ると、土の匂いと太陽に温められた野菜の青臭い香りが立ち上って、ミニトマトをもぎってその場で頬張ると、皮が弾けて甘い果汁がじゅわっと広がるんです。お子さん連れには特におすすめで、「野菜ってこんな匂いするんだ」って気づきがあるんですよね。したっけ(それじゃあ)、収穫した野菜を道の駅で買ったハムと一緒にバーベキューにしてもいいし、家に持ち帰っても楽しめます。試食付きで小学生1,000円〜(幼児無料)と、お財布にも優しい価格設定です。
夏の朱太川「アユ友釣り解禁」
釣り好きにとっての一大イベントが、毎年7月1日のアユ友釣り解禁。シーズンは9月15日まで続きます。解禁日の朝の朱太川は、全国から集まった釣り人たちで川辺がにぎやかになるんですよ。早朝、川面にうっすら霞が立ちこめる中、ウェーダーを履いた釣り人がじっと竿を構える光景は、夏の黒松内町の風物詩。冷たい北海道の川に適応した遺伝子を持つ朱太川のアユは体高が高く大きいのが特徴で、塩焼きにすればスイカのような甘い香りが立ち上って、皮はパリッ、身はほろほろと崩れる絶品なんです。「手ぶらで釣り体験」プログラムなら初心者でも観光協会のガイドが付いて指導してくれるので、釣り経験ゼロでも楽しめますよ。川のせせらぎと、空を渡る風の音と、釣り糸が水を切る音だけがする2時間半は、都会の喧騒を忘れさせてくれる時間です。
黒松内町のエリア別の顔
では最後に、黒松内町の中をエリアごとに分けて、それぞれの「顔」を紹介していきますね。黒松内町は東西29.3km、南北19.7kmと、人口2,272人の町にしてはなまら(とても)広いんですよ。
黒松内市街地エリア(行政・温泉の中心)
町の中心部、JR黒松内駅周辺から町役場、黒松内温泉ぶなの森、観光協会、町営野球場までを含む生活と観光のハブとなるエリアです。木村屋菓子舗のどら焼きやマドレーヌといった、40年以上続くお菓子屋さんもこのエリア。ぶなの森の温泉に入ったあと、町をぶらぶらしながら駅に戻る——そんな歩き方ができる、コンパクトに楽しめるエリアなんです。したっけ(それじゃあ)、市街地エリアはこんな時に訪れるのがおすすめですよ。「車を使わずにJRで来た」「観光と温泉の両方を1日でこなしたい」「地元のお菓子屋さんで素朴なおやつを買って帰りたい」——そんな旅人向けのエリアです。夏の夕方、町営野球場のあたりから子どもたちの声が聞こえてきたりして、黒松内町の日常の温度感が肌で分かる場所でもあります。
歌才・白井川エリア(自然観光の核)
歌才ブナ林、黒松内町ブナセンター、歌才森林公園、そして道の駅くろまつないが集中する、観光のメインエリア。とくに白井川地区は道の駅と森林公園が両方あって、駐車公園からブナセンターまで歩いて、そのままブナ林散策路に入っていけるという、自然観光の動線がしっかり組まれているんです。緑の三角屋根の建物が点在する町並みは、「日本で最も美しい村」連合に加盟する町の景観条例の成果。歩いていると、車のエンジン音より鳥の声のほうが大きく聞こえる瞬間があって、わや(めちゃくちゃ)静かな時間が流れています。このエリアはこんな時に訪れるのがおすすめですよ。「自然散策をメインに半日〜1日たっぷり過ごしたい」「ブナ林の四季を体感したい」「カメラを持ってじっくり撮影旅行したい」——そんな旅人にぴったり。秋の早朝、霧がブナ林にかかるとそれはもう絵画のような景色になります。
目名・赤井川エリア(食と工房の里)
トワ・ヴェール本店(目名152-4)と赤井川体験農園を中心とした、食と農業のエリア。牧草地に囲まれた小高い丘の上に建つ緑の屋根のトワ・ヴェールは、まるでヨーロッパの片田舎にあるシャトーのような佇まい。製造工程の見学窓越しに、職人がチーズを成形する手つきを見ていると、ちょっとした旅情に浸れます。赤井川では化学肥料を使わない畑が広がっていて、季節ごとに違う野菜が次々と顔を出します。このエリアはこんな時に訪れるのがおすすめですよ。「グルメ目当てでお土産をたくさん仕入れたい」「子ども連れで食育体験をしたい」「酪農王国・北海道の原風景を見たい」——そんな旅人に最適。ふと立ち止まると、牛の鳴き声と風が草を揺らす音だけが聞こえてくる、北海道の田園風景そのものが広がっています。
熱郛・作開エリア(歴史と原野の風景)
1955年の合併前は独立した熱郛村だった熱郛地区と、1871年に斗南藩士24戸が入植した作開(さっかい)地区を含むエリア。今でも農業の風景が広がる原野で、観光地化されていないぶん、開拓期から続く黒松内町の素顔がそのまま残っているんです。熱郛郵便局や昔ながらの集落の佇まいに、町の歴史の層を感じる場所。このエリアはこんな時に訪れるのがおすすめですよ。「定番の観光地以外で、町の素顔を見たい」「車でのんびりドライブしながら原風景を楽しみたい」「歴史的な背景に興味がある」——そんな旅人向け。秋の収穫期、稲穂が黄金色に揺れる風景の中をドライブすると、なまら(とても)ノスタルジックな気分になりますよ。
黒松内岳エリア(山と源流の自然)
町の南西、標高740mの黒松内岳が鎮座する山岳エリア。朱太川の源流域もここから始まっていて、海のない黒松内町から日本海と太平洋の双方を一望できる唯一のスポット。登山口までは市街地から車で約20分、登山道は急登あり尾根あり、登山の基本要素がぎゅっと詰まった登り応えのあるコースです。山頂に立った瞬間に視界が開けて、寿都湾の青と噴火湾の青が同時に飛び込んでくるあの瞬間は、登った人だけが味わえるご褒美。このエリアはこんな時に訪れるのがおすすめですよ。「半日でしっかり登れる山を探している」「街の喧騒から完全に離れたい」「絶景写真を撮りたい」——そんなアクティブ派の旅人に。しばれる(厳しく冷え込む)冬期はクローズですが、夏〜秋の登山シーズンには地元の方や登山愛好家が訪れる、知る人ぞ知る名峰なんですよ。
黒松内町の気候・季節の暮らし
中盤で観光ルートやエリアの顔を紹介してきましたけど、ここからはぐっとリアルな話、「ここで暮らしたらどんな感じ?」ってところに踏み込んでいきますね。黒松内町で暮らすって、けっこうハードな冬と豊かな夏が同居している、なかなか個性的な日々なんですよ。
夏は霧、冬は豪雪——日本海と太平洋の両方から影響を受ける気候
まず気候の話から。黒松内町の年平均気温は7.5℃(1991〜2020年気象庁平年値)と、北海道の中でも穏やかな部類に入るんですけど、これは「日本海と太平洋の両方からの影響」が独特の表情を作っているからなんです。1月の日平均気温は−4.1℃、最低気温の平年値は−8.8℃。観測史上の最低気温は−27.8℃まで下がった記録があり、冬の朝はそりゃもうなまら(とても)しばれる(厳しく冷え込む)んですよ。一方で8月の平均最高気温は25.0℃、観測史上の最高は34.5℃まで上がる夏もある——「北海道だから涼しい」というイメージとは少し違うかもしれません。
面白いのが、夏の濃霧現象。黒松内町は内陸の町なんですけど、春から夏にかけて南南東の風が太平洋側の噴火湾で発生した濃霧を運んでくることがあるんです。したっけ(それで)、晴れ予報の日でも朝起きたら町全体が乳白色に包まれている、なんて朝もよくあるんですよ。霧が引いていくときに森から立ち上る湿った土の匂いは、この町の夏の風物詩のひとつです。
道南屈指の豪雪地帯、冬の暮らしのリアル
そして冬。黒松内町は道南における多雪地帯と言われていて、年間の降雪量合計は約330cm(1991〜2020年気象庁平年値)に達します。日本海からの北北西の風が大量の雪を運んでくるんです。とくに12月〜2月は1ヶ月の降雪量が80cm〜100cmに達する月もあって、雪かきは生活の必須スキル。朝起きて玄関を開けたらわや(めちゃくちゃ)雪が積もっていて、「したっけ、まずは除雪からだ」と1時間早く起きる——そんな朝が冬の日常です。
雪の音も独特なんですよ。風がない夜にしんしんと降る雪は本当に音がしなくて、屋根から雪が滑り落ちる「ドサッ」という音だけが時々響く。雪かきしてるときの「ザクッ」というスコップの音が、街じゅうあちこちから聞こえてきて、これがある意味黒松内町の冬のBGMになっています。家の暖房は灯油ストーブが主流で、冬場は灯油代がかかります。服装は厚手のダウンに防寒靴が必須、車はもちろんスタッドレスタイヤと、外出前のフロントガラスの霜取りが朝のルーティンになります。
春と秋の「ご褒美」のような穏やかさ
とはいえ、春と秋の黒松内町は、本当にご褒美みたいな季節なんです。4〜5月は雪解けとともに歌才ブナ林の床にカタクリやシラネアオイが咲き始め、新緑のブナの葉が太陽に透けてなまら(とても)まぶしい黄緑色に光る時期。家の庭でも蕗の薹が顔を出して、地元の人は山菜採りに出かける季節です。9〜10月は朝晩がひんやりしてきて、10月後半にはブナが黄金色に染まる紅葉のピーク。秋の早朝、霧のかかったブナ林を散歩するだけで、なにか身体の中の重たいものが洗い流されるような感覚があるんですよ。
【地元住民に直撃!】黒松内町の本当の魅力を電話で聞いてみた
※お話いただいた内容のニュアンスを大切にしながら、当編集部にて要点をまとめ、再構成しています。
※地元の人の選定はクラウドサービスで募集し、ご協力いただいているものです。あえて地元の言葉で話すようお願いしています。
60代男性
Q1.あなたのご職業と年齢を教えてください。
生まれも育ちも黒松内、ずっと酪農やってきましたわ。今は息子に牛任せて、ぼちぼち畑いじったり、夏になったら朱太川で鮎釣りしたりね。
うちの親父の代から牛飼ってきたけど、わしらの同級生でも農家続けてんの数えるほどよ。販売農家、わしが若い時分は60戸超えてたんだけど、今や38戸だかね。離農した連中の畑見ると、なんとも言えん気持ちになるわ。
Q2.この街に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
そりゃまず歌才ブナ林だべさ。国の天然記念物だしね、北限のブナってのはここしかないんだから。秋の黄葉の時期はなまら綺麗よ。ほんで観光客はあんま知らんけど、添別ブナ林の方が実は北にあって、こっちは静かでいいんだわ。
あとは黒松内銘水の取水場、看板もないようなとこで、地元の婆ちゃん連中がポリタンク持って水汲みに来てる。あの水でコーヒー淹れたら、もう街の水なんて飲めんくなるよ。
Q3.この市町村でお土産を買うとしたらなんですか?
まあ無難にいくならトワ・ヴェールのチーズだね。ブルーチーズなんかJALのファーストクラスにも乗ったやつだから、間違いない。あとはハム・ソーセージも本気で旨いから。
ほんでね、地元の人間しか知らんようなのだと、フジタファームのカシスジャム。手摘みでね、量がほんとに少ないから知らん人多いんだわ。
あとはやっぱり水彩の森よ。重いけど、ありゃ持って帰る価値ある。お米炊くだけで違うって、嫁さんもいつも言うもの。
Q4.外から人が来たときにまず連れていく店はどこですか?
昼ならそば屋この花だね。奈川在来っちゅう、北海道じゃここでしか作ってない蕎麦でさ、夫婦でやってる小さな店なんだけども、土日なんか30分待ちになる。あすこの蕎麦食わせとけば道産子も唸るわ。
ほんで夜は決まってとり吉。親鳥の歯ごたえはここの名物でさ、若い衆連れてくと「噛みきれん!」って驚くんだ。あれが黒松内のソウルフードよ。日曜以外なら18時から開けてるから、昔っから町内会の寄合もよく使ってんの。
Q5.この市町村はどんな気質だと思いますか?
よく言えば穏やか、悪く言えば変化嫌いって感じかね。でもね、外から来た人にはわりと優しい町だと思うよ。鎌倉から来た和菓子屋の兄ちゃんとか、移住して鶏飼ってる夫婦とか、ちゃんと根付いてやってる。
北大の先生も去年来て、うちの牛舎にも顔出してくれた。長万部との合併がポシャった時もそうだけど、うちらは群れずに自分とこの色守る町なんだわ。ブナ守った先人と一緒よ、頑固といえば頑固。
Q6.昔に比べて、街の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
そりゃ寂しくなったな、正直なとこ。わしが青年団やってた頃は3,500人くらいいたんでないか。今は2,500人切る切らんでね。同級生の家行っても表札だけ残って空き家ってのも増えた。
でもなんつーか、悲壮感はないんだわ。道の駅できてから観光客は来るようになったし、トワ・ヴェールのチーズが全国に出るようになった。最近はクマの出没がな、深刻でね。鮎釣りも気ぃつけんとならん時代になってもうたわ。
Q7.これから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
町民センターが今年から改修入るんだわ。予算も令和7年度は53億超えで、前年から15%以上増えとる。
ほんで一番期待してんのは北大さんとの連携でな、内田先生って研究者が耕作放棄地で新しい農業やろうとしてんの。タンパク質を町で自給するっちゅうテーマでね、わしら酪農やってきた人間からすると、ようやくそういう話が来たかって感じだわ。
あと朱太川の鮎を放流に頼らず守る取り組み、あれは全国の見本になると思うよ。
黒松内町の移住・暮らし情報
続いて、実際に黒松内町に住むとどういう暮らしになるのか、生活面の具体的なところを紹介していきますね。人口2,272人の小さな町ならではの、ちょっと独特な生活感があるんですよ。
通勤・仕事——町内雇用と近隣自治体への通勤
町の基幹産業は酪農・畜産・農業で、それを支える加工業(トワ・ヴェールなど)や、ふるさと納税・観光関連の仕事が雇用の中心になっています。町外への通勤先としては、車で30〜40分の蘭越町や、約45分の長万部町、約1時間のニセコ町・倶知安町・洞爺湖町といった隣接エリアが候補になると考えられます。とくに洞爺湖・ニセコエリアは観光関連の雇用が多く、黒松内町から通っている方もいますよ、と地元の方は言うんです。したっけ(それじゃあ)、車があるかないかで生活の選択肢が大きく変わる——これは小さな町に共通する現実ですね。黒松内町では「ほっかいどう地域おこし協力隊」の受け入れも行っており、移住を検討する人向けの窓口が用意されています。
住宅環境——賃貸物件の少なさと町営住宅の存在
正直に言うと、黒松内町の賃貸物件はなまら(とても)少ないです。SUUMOで黒松内駅周辺の賃貸マンション家賃相場が「算出できない」と表示されるくらい、市場に出る物件数が限られているんですよ。これは町の人口規模ゆえで、移住を検討するなら「賃貸を探すより町営住宅の空き状況を確認する」「中古物件を購入する」「空き家バンクを活用する」といったアプローチが現実的になると考えられます。黒松内町では公式の「ブナ北限のまち 黒松内移住相談窓口」を設けていて、田舎暮らしや二地域居住を希望する人向けの情報を集約しています。
住宅地の中心は黒松内市街地(町役場周辺)。商店や郵便局、ぶなの森診療所、認定こども園や小学校が徒歩圏内に揃うコンパクトな町並みです。一方で歌才・白井川・赤井川といった農村部のエリアは、土地に余裕があって広々した家を建てやすい代わりに、車がないと買い物も通院も難しい環境。したっけ(それじゃあ)、市街地は「子育て世帯・高齢者向け」、農村部は「ガレージ付き戸建てで田舎暮らしを満喫したい人向け」と棲み分けが見えてくるんです。
買い物環境——町内の商店と隣接町への買い出し
買い物環境はぶっちゃけ「最低限」。町内には個人商店、菓子店(40年以上続く木村屋菓子舗など)、道の駅くろまつないでの食材購入、ふるさと納税で人気のトワ・ヴェールがあって、日常品はある程度揃います。ただ、大型スーパーやドラッグストア、衣料品店、家電量販店といったところは町内にはなく、まとめ買いは車で30〜40分の長万部町や蘭越町へ出ることになると考えられます。1時間走ればニセコや倶知安、伊達まで行けるので、月1〜2回のまとめ買いが基本スタイル。わや(めちゃくちゃ)便利とは言えないですが、逆に「コンビニやスーパーがないからこそ、町産の食材を地元で買う暮らしが自然に成立する」という見方もできます。
子育て・教育——少人数で手厚い環境
子育て環境は、人口が少ないからこその「手厚さ」があるのが黒松内町の特徴。町内には認定こども園黒松内保育園、黒松内小学校、白井川小学校、黒松内中学校、白井川中学校があり、少人数制のきめ細かな教育が受けられます。教育委員会では中学生向けに大学生ボランティアによる学校外学習支援を実施しているほか、各学校に月1回スクールカウンセラーを派遣する制度も整備。乳幼児健診、発達健診、小児歯科健診(フッ素塗布)、ひとり親家庭等医療費助成といった支援制度も町公式サイトに整理されています。問い合わせ先は保健福祉課(0136-72-4285)と教育委員会(0136-72-3160)。したっけ(それじゃあ)、子どもの顔を町の人みんなが知っている、そんなサイズ感の地域です。
医療環境——町唯一の診療所と広域医療
町内の医療機関は、「黒松内町国保くろまつないブナの森診療所」が中心。日常的な診療や慢性疾患の管理はここで対応できますが、専門的な検査・手術・出産といった高度医療は隣接する長万部町(長万部町立病院)や倶知安町、さらには伊達市・函館市・札幌市の総合病院まで足を伸ばすことになります。これは小さな町の宿命とも言えるところで、夜間休日の救急対応については事前に体制を確認しておくのが安心です。
住む視点で見たエリア別の特徴
中盤では旅する視点でエリアを紹介しましたが、住む視点で見るとそれぞれに違った顔が見えてきます。黒松内市街地エリアは役場・診療所・温泉・小中学校・郵便局がコンパクトに揃う「生活の中心」で、移住初心者や高齢世帯に最も住みやすいエリア。歌才・白井川エリアは道の駅やブナセンターに近く、自然好きの移住者向け。目名・赤井川エリアは牧草地と農地が広がる酪農地帯で、農的暮らしを志向する人にフィット。熱郛・作開エリアはさらに静かな農村風景で、土地に余裕があり広い家屋と庭を構えやすい代わりに、買い物・通院は車での移動が前提になります。
黒松内町へのアクセス
では、黒松内町にどうやって行くか、を交通手段ごとに整理していきますね。札幌・函館の中間という立地ゆえ、どちらの方向からも行きやすいのが黒松内町の魅力なんです。
車でのアクセス(最もおすすめ)
黒松内町を訪れるなら、車が一番ストレスなく動けます。2009年に開通した道央道の延伸区間「黒松内新道(黒松内JCT〜黒松内IC)」のおかげで、高速で町の入口まで一気に行けるんですよ。
札幌方面から:札幌市中心部 → 道央自動車道で黒松内IC まで約2時間30分(約190km)。札幌からは小樽JCT経由で道央道に入り、長万部方面へ南下します。
函館方面から:函館市中心部 → 函館・江差自動車道→国道5号→道央道経由で黒松内IC まで約2時間10分(約145km)。
新千歳空港から:新千歳空港 → 道央自動車道で黒松内IC まで約2時間30分(約220km)。
ニセコ方面から:倶知安町中心部 → 国道5号で約1時間(約60km)。
黒松内ICで降りたら、町中心部までは車で約10分。観光スポット(道の駅、歌才ブナ林、トワ・ヴェール、温泉)はすべて町内に集中しているので、IC到着後の動きはコンパクトです。
JR鉄道でのアクセス(時間に余裕がある旅人向け)
JR黒松内駅は函館本線の駅(駅番号S30)で、長万部駅と小樽駅を結ぶ「山線」と呼ばれる区間にあります。ここで知っておきたいのが、黒松内駅は特急列車が通過するという点。札幌〜函館間を結ぶ特急「北斗」は東室蘭・苫小牧経由のルートを通るので、黒松内駅には停車しないんですよ。アクセスには長万部駅または倶知安駅・小樽駅で普通列車に乗り換える必要があります。
札幌方面から:JR札幌駅 → 特急北斗で長万部駅まで約2時間50分 → 普通列車に乗り換えて黒松内駅まで約20分。長万部〜小樽間の山線は1日4本程度の普通列車のみの運行なので、乗り換え時の待ち時間が長くなることも。事前にJR北海道公式サイトで時刻を確認するのが安心です。
函館方面から:JR函館駅 → 特急北斗で長万部駅まで約1時間40分 → 普通列車に乗り換えて黒松内駅まで約20分。
新函館北斗駅から:北海道新幹線でアクセスする場合、新函館北斗駅 → 特急北斗で長万部駅まで約1時間20分 → 普通列車に乗り換え。
運賃・時刻の最新情報はJR北海道公式サイトで確認できます。長万部での乗り換え時間が1時間以上空くこともあるので、駅前の「かなや」でかにめしを買って待つのがJRファンの間では定番のスタイルになっていますよ。
飛行機でのアクセス(道外からの旅人向け)
道外から黒松内町に来る場合、空港は2つの選択肢があります。新千歳空港(CTS)からはレンタカーで道央道経由で約2時間30分。函館空港(HKD)からは道央道経由で約2時間20分。羽田空港からの直行便は、新千歳空港行きが日中ほぼ1時間に1〜2本、函館空港行きが日中数本ずつ運航されています。最新の便と運賃はANA公式サイトやJAL公式サイトで確認できます。
おすすめは「新千歳空港着→レンタカー→黒松内町→函館空港発」または逆ルートの周遊スタイル。札幌〜函館の中間にある立地を活かして、北海道南部をぐるっと巡る旅程に組み込むとなまら(とても)効率的なんですよ。したっけ(それじゃあ)、ニセコや洞爺湖、長万部のかにめし、函館の朝市まで一気に味わえる贅沢ルートが組めますよ。
黒松内町の関連リンク
本記事で参考にした、黒松内町の公式情報源は以下の通りです。
① 黒松内町公式サイト:黒松内町(行政手続き、子育て・福祉、移住相談、町からのお知らせなど、暮らしに必要な情報の一次ソース)
② 観光情報:黒松内町観光協会(観光・体験プログラム、ガイドウォーク、イベント情報、グルメ情報など、訪れる際の一次ソース)

