根室市(ねむろし)は、北海道の最東端に位置する人口21,647人の港町です。日本の市でいちばん東にあり、「朝日にいちばん近い街」として知られています。
根室市の見どころを5つに凝縮すると、こうなります:
- ✅ 納沙布岬(のさっぷみさき)──本土最東端の岬。晴れた日は北方領土の島影が見える
- ✅ 花咲港のサンマ──水揚げ量16年連続で日本一の「サンマの町」
- ✅ 花咲がに──夏が旬の希少なカニ。濃厚な甘みと名物「鉄砲汁」
- ✅ エスカロップ──バターライスに豚カツとデミグラスをのせた根室発祥グルメ
- ✅ 春国岱(しゅんくにたい)・風蓮湖──ラムサール条約に登録された野鳥の楽園
「日本の端っこに立ってみたい旅行者」「海の幸を思いきり食べたい人」「野鳥や自然を静かに楽しみたい人」に特におすすめの町です。本記事では、納沙布岬や花咲港の魅力から、開拓と北方領土の歴史、地元の食卓や言葉づかいまで、序盤・中盤・終盤に分けて地元目線で紹介します。
| 人口 | 21,647 人 ※2026年4月30日時点(住民基本台帳) |
|---|---|
| 面積 | 502.65 km² |
| 人口密度 | 43.1 人/km² |
地理的には、東西に細長く太平洋へ突き出た根室半島の全域を市域とし、半島の付け根で西は別海町、南西は浜中町に接しています(出典:根室市公式サイト)。陸の隣はこの2町だけで、ほかの三方は海に開けています。
市内に空港や鉄道の長距離特急はなく、最寄りは中標津町の中標津空港。それでも、火山も大河もない平らな大地に酪農と漁業が広がり、海の向こうには北方領土が横たわる――そんな日本でここだけの風景が待っています。さっそく見ていきましょう。
根室市の推しポイント

根室市の魅力は「日本の最東端」という一点に集約されます。本土の東の果てに立つ納沙布岬、その沖で揚がるサンマ、夏に旬を迎える花咲がに、そして渡り鳥が集まる春国岱と風蓮湖。海と国境に育まれた町の顔を、4つに分けて紹介します。
納沙布岬──本土最東端、北方領土を望む岬
半島の先端にある納沙布岬は、一般に行ける日本の本土でいちばん東にある岬です。岬の先には灯台が立ち、晴れた日には目の前の歯舞群島や、貝殻島の灯台までくっきりと見えます。元日には日本一早い初日の出を拝もうと、全国から人が集まるんですよ。
花咲港のサンマ──16年連続で水揚げ日本一
根室市の花咲港は、全国でいちばん早くサンマが揚がる港として知られています。2025年も水揚げ量で16年連続の日本一を記録しました(出典:北海道新聞/全国さんま棒受網漁業協同組合)。漁場に一番近い港だからこその鮮度が自慢です。
春国岱・風蓮湖──ラムサール条約の野鳥の楽園
半島の付け根に広がる風蓮湖と砂州の春国岱は、2005年にラムサール条約の登録湿地になりました(出典:環境省)。冬はオオワシやオジロワシ、夏は数多くのシギ類が訪れ、木道を歩きながらじっくり観察できます。
エスカロップ──喫茶店から生まれたご当地グルメ
バターライスの上に豚カツをのせ、デミグラスソースをたっぷりかけたエスカロップは、根室発祥のご当地洋食です。漁師がさっと満腹になれるよう考案されたといわれ、地元では「エスカ」の愛称で親しまれています。詳しくは終盤の特産品・食でも紹介します。
根室市の歴史

根室の歴史は、江戸時代の交易拠点に始まります。やがて明治の開拓使がここを東北海道の行政の中心に据え、一時は県庁が置かれるほどの重要地となりました。その後、漁業の町として発展し、二度の合併を経て現在の根室市が形づくられました。順を追って見ていきます。
近世──松前藩の交易拠点として
寛政2年(1790年)、松前藩の運上所がノッカマップから根室へ移されたのが、町の起源とされています。地名はアイヌ語の「ニムオロ」(樹木の繁るところ)に由来すると伝えられています。安政2年(1855年)には天領となり、仙台藩が陣屋を築いて国後・択捉の警備にあたりました。
近代──開拓使と根室県、屯田兵
明治2年(1869年)に開拓使の出張所が置かれ、根室は東北海道の行政を束ねる拠点となりました。1882年から1886年までは根室県の県庁所在地でもありました(出典:根室市公式サイト)。和田地区には屯田兵村が開かれ、開拓の歩みが今に伝えられています。
現代──根室市の誕生と北方領土
昭和32年(1957年)に根室町と和田村が合併して根室市が発足し、昭和34年(1959年)には歯舞村を編入しました。歯舞群島を含む市域は、終戦後に北方領土が占拠されて以来、返還運動の最前線であり続けています。納沙布岬には返還を願う施設が建ち、市の暮らしと深く結びついています。
根室市の文化・風習

方言と話し方の特徴
根室は北海道弁が使われる土地ですが、釧路・根室の道東エリアは東北寄りのアクセントが混ざるのが特徴といわれています。たとえばなまら(とても・すごく)、したっけ(それじゃあ/そうしたら)、しばれる(厳しく冷え込む)、めんこい(かわいい)など。台所ではうるかす(水に浸しておく)もよく聞かれます。旅先で耳にしたら、ぜひ意味を思い出してみてください。
海とともにある食卓
港町だけあって、食卓には旬の魚介が当たり前のように並びます。秋はサンマを焼き、夏は花咲がにを鉄砲汁にして体を温める。冬の食卓に欠かせない昆布や鮭も、地元で揚がったものが手に入ります。「今日は何が揚がった?」が会話のきっかけになる、そんな暮らしなんですよ。
人の気質と季節の暮らし
夏でも海霧(じり)で気温が上がりにくく、真夏日がほとんどないのが根室の気候です。一方で冬は道東のなかでは比較的温暖で、雪も少なめ。厳しくも穏やかなこの土地で、漁や酪農とともに生きる人たちは、距離が近くおおらかだと感じる旅行者が多いようです。
根室市の特産品・食

特産品1:サンマ
根室といえば、まずサンマ。花咲港は全国でいちばん早くサンマが揚がり、水揚げ量も16年連続で日本一です(出典:根室市公式サイト/全国さんま棒受網漁業協同組合)。旬は秋。漁場に近いぶん脂のりがよく、塩焼きはもちろん、ピカピカの新物は刺身でも味わえます。皮の下に白い脂がのった一匹は、ここでしか出会えない鮮度です。
特産品2:花咲がに
夏が旬の花咲がには、根室の名にちなんで名づけられた希少なカニです。根室での漁期はおよそ7〜9月。トゲだらけの殻の中には、濃厚な甘みのぎっしり詰まった身が待っています。脚をぶつ切りにして味噌汁に仕立てた「鉄砲汁」は、出汁まで甘く、寒い朝にこたえられない一杯なんですよ。
特産品3:エスカロップ
市内の喫茶店で生まれたエスカロップは、たけのこ入りバターライスに豚カツをのせ、デミグラスソースをかけた一皿。サラダが添えられ、フォークでいただきます。ケチャップライスの「赤エスカ」、バターライスの「白エスカ」があり、いまは白エスカが主流。学校給食にも登場するほど根室に根づいた味です。
特産品4:棹前昆布と乳製品
根室では、夏に若どりする棹前昆布(さおまえこんぶ)も名産です。やわらかく煮上がるので、佃煮や昆布巻きにぴったり。内陸の厚床地区では酪農がさかんで、広い牧草地で育つ牛から濃厚な牛乳やチーズが生まれます。海の幸と大地の恵みが同じ町でそろうのが、根室の食卓の豊かさです。
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根室市の観光スポット

根室市の旅は「日本の東の果てに立つ」ことから始まります。序盤で触れた納沙布岬や花咲港の車石、春国岱の野鳥の楽園を、ここでは一つずつ深掘りしていきます。最東端ならではの国境の景色と、海と火山がつくった大地の造形。この2つの軸でスポットを紹介していきますね。
最東端と国境を体感するスポット
- 納沙布岬(のさっぷみさき) – 一般に行ける日本の本土でいちばん東にある岬です。岬の先には灯台が立ち、目の前の海の向こうに北方領土が横たわります。風が強く、夏でも海霧(じり)で視界がさえぎられる日もありますが、晴れた朝の澄んだ空気はここだけのもの。元日には日本一早い初日の出を拝む人で賑わいます。
- 北方館・望郷の家 – 納沙布岬の望郷の岬公園内にある、北方領土問題を学べる施設です。2階の展望室には望遠鏡があり、わずか3.7km先の貝殻島まで見渡せます。入場無料で、開館は午前9時〜午後5時(11月1日〜2月28日は午後4時30分閉館)、11月〜4月の月曜は休館です(出典:根室市公式サイト)。元島民の暮らしの資料が並び、静かに胸に迫る場所なんですよ。
- 根室駅・JR花咲線 – 2025年3月に隣の東根室駅が廃止され、根室駅が日本最東端の駅になりました(出典:根室市観光協会)。釧路から根室を結ぶ根室本線の愛称「花咲線」は、森林・湿原・海岸線をゆく車窓が見どころ。さいはての鉄路に揺られる時間そのものが旅の目的になります。
海と大地の絶景スポット
- 根室車石(花咲灯台車石) – 花咲港を見下ろす花咲岬にある奇岩で、国の天然記念物に指定されています(出典:文化遺産オンライン)。約6000万年前の海底火山の溶岩が急冷されてできた枕状溶岩で、放射状の割れ目をもつ直径約6mの黒い岩は、まるで大地に埋まった車輪のよう。木道を歩きながら間近で観察できます。
- 春国岱(しゅんくにたい)・風蓮湖 – 2005年にラムサール条約の登録湿地となった、根室半島の付け根に広がる砂州と汽水湖です(出典:環境省)。アカエゾマツの原生林やハマナスの群落が広がり、オオワシ・オジロワシ・タンチョウなど多くの野鳥が集まります。湖畔の道の駅スワン44ねむろや春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンターを拠点に、5本の木道をのんびり歩くのがおすすめです。
- 明治公園 – 市街地の高台に広がる公園で、大正末から昭和初期に建てられたレンガ造りのサイロが残ります。牧場として開かれた歴史を伝える風景で、写真映えするスポット。春の訪れが遅い根室では、5月ごろに遅咲きの千島桜が咲き、サイロと桜が同時に楽しめます。広々として、散歩や休憩にちょうどいい場所なんですよ。
根室市の観光ルート

根室は東西に細長い半島の町なので、行きたい方向を決めてから動くのがコツです。先端の納沙布岬を目指す東向きのルートと、野鳥の楽園が広がる西向きのルート。さらに鉄道で訪れるプランと、隣町まで足を延ばす広域プランを用意しました。どれも根室駅や道の駅を起点に組み立てています。
【車・1日】最東端をめぐるルート(根室駅発)
9:00 根室駅 → 9:40 納沙布岬(車40分)→ 11:30 花咲・根室車石(車40分)→ 12:30 市街で昼食 → 14:00 明治公園
①納沙布岬・北方館(90分)→ 朝いちばんに最東端へ。海霧が晴れやすい午前の空気のなかで、国境の海を眺めましょう。
②根室車石(40分)→ 灯台の下の木道を歩いて奇岩へ。潮の音を聞きながらの散策が気持ちいいですよ。
③エスカロップの昼食(60分)→ 市街の喫茶店で根室名物を。午後に向けてしっかり腹ごしらえを。
④明治公園(60分)→ 締めはサイロの風景でのんびり。夕方の斜光が当たる時間帯がおすすめです。
【車・半日】西部・野鳥ルート(道の駅スワン44ねむろ発)
9:00 道の駅スワン44ねむろ → 9:30 春国岱ネイチャーセンター(車10分)→ 10:00 春国岱の木道 → 11:30 風蓮湖展望
①道の駅スワン44ねむろ(30分)→ 全面ガラス張りの館内から風蓮湖を一望。望遠鏡で水鳥を探してみましょう。
②春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンター(30分)→ 木道コースの情報を集めてから歩き出すと安心です。
③春国岱の木道(60分)→ 原生林と塩湿地を抜ける道へ。鳥の声しか聞こえない静けさが魅力なんですよね。
④風蓮湖の展望(30分)→ 冬ならワシ類、春から秋はシギ類。季節ごとに違う顔を見せてくれます。
【鉄道+徒歩・1日】花咲線で行く最東端の旅(釧路発)
釧路 → JR花咲線で根室駅 → 徒歩で市街散策 → 路線バスで納沙布岬
①JR花咲線の車窓(乗車中)→ 湿原と海岸線が続く絶景区間。スマホを置いて、ただ景色に浸る時間にしたいところ。
②根室駅(30分)→ 日本最東端の駅に到着。記念スタンプや入場券で旅の証を残しましょう。
③市街散策とエスカロップ(90分)→ 駅周辺の喫茶店でご当地グルメを。歩いて回れるコンパクトな町です。
④路線バスで納沙布岬(往復)→ 駅横のバスターミナルから東へ約20km。車がなくても最東端へ行けます。
【車・1日】広域ルート:根室〜風蓮湖〜野付方面(別海町へ)
9:00 根室市街 → 9:40 風蓮湖・春国岱(車40分)→ 11:30 別海町・尾岱沼方面(車60分)→ 13:30 野付半島
①根室市街(出発)→ 海の幸を朝のうちに仕入れて、ドライブのお供にするのもいいですね。
②風蓮湖・春国岱(60分)→ 根室と別海町にまたがる湿地。広い空と水辺の景色が続きます。
③尾岱沼(おだいとう)方面(60分)→ 隣の別海町へ。酪農地帯のまっすぐな道を走り抜けます。
④野付半島(90分)→ 別海町に広がる日本最大の砂嘴。立ち枯れの木々が並ぶ独特の風景は必見です。
根室市の年間イベント

根室のイベントは、夏の祭りと秋の海の幸が二本柱です。漁業の町らしく、サンマや花咲がにを主役にしたグルメイベントが続き、夏には神輿が町を練り歩きます。そして元日の納沙布岬には、日本一早い初日の出を求めて人が集まります。季節ごとに見ていきましょう。
春〜夏:ねむろ港まつり
夏の到来を告げるのが、毎年7月に開かれるねむろ港まつりです(出典:根室市公式サイト)。市民が一体となって踊る「千人踊り」や、漁師たちが本気で競う「舟こぎレース」が見どころ。夜には花火が港の空を彩ります。短い夏を思いきり楽しもうという熱気が、会場いっぱいに広がるんですよ。
夏:根室金刀比羅神社例大祭・根室かに祭り
毎年8月には根室金刀比羅神社例大祭が開かれます。約1.5トンの神輿を人力で担ぎ、4つの祭典区の山車が太鼓や笛とともに市内を練り歩く伝統行事で、北海道の無形民俗文化財に指定されています(出典:文化遺産オンライン)。北海道三大祭りのひとつともいわれ、掛け声と地響きに町全体が沸きます。
同じころ、花咲がにを主役にした根室かに祭りも開かれます(出典:根室市観光協会)。ゆであげ実演や特価販売、名物の鉄砲汁が並び、ぜひ味わってほしいのが茹でたての花咲がに。真っ赤な殻をほおばると、つい顔がゆるんでしまいますよ。
秋:根室さんま祭り
秋は、水揚げ日本一のサンマを味わう根室さんま祭り。例年9月下旬から10月ごろ、根室港の特設会場で開かれます(出典:根室市公式サイト)。炭火で焼くサンマの香ばしい煙、氷水のなかでサンマをつかみ取る競争、さんまロール寿司。脂ののった旬の一匹を、漁港の風とともに頬張る贅沢が待っています。
冬・正月:納沙布岬初日詣
元日の納沙布岬初日詣では、本土でいちばん早い初日の出を拝もうと、夜明け前から人が集まります(出典:根室市観光協会)。氷点下の岬で、温かいてっぽう汁をすすりながら水平線を見つめる時間は格別。一年の始まりを日本の東の端で迎える、忘れられない体験になります。
根室市のエリア別の顔

東西に約70kmも細長い根室市は、エリアごとに表情がまるで違います。中心市街地、半島先端の国境エリア、太平洋岸の漁港、内陸の酪農地帯、そして西の玄関口の湿地。旅の目的に合わせてどこを軸にするか考えると、動きやすくなります(地区区分の参考:根室市公式サイト)。旅する視点で、5つの顔を見ていきましょう。
根室市街エリア──食と歴史の玄関口
根室駅を中心とした市街地は、旅の拠点になるエリアです。喫茶店でエスカロップを味わったり、海鮮を仕入れたり、市内を歩いて回れるコンパクトさが魅力。日本最東端の駅から旅を始めたい人や、グルメを楽しみたい人に向いています。夕方、坂の多い街並みを歩くと、港町らしい空気が感じられますよ。
納沙布・歯舞エリア──国境と最東端
半島の先端、納沙布岬と歯舞のあたりは、根室の旅のハイライト。北方領土を望む岬と、北方領土問題を学べる施設が集まります。歴史や国境に関心がある人、最果ての景色を体感したい人にぴったりのエリアです。風の強さと海霧の白さが、ここが東の果てであることを教えてくれます。
花咲・落石エリア──漁港と奇岩
太平洋に面した花咲・落石は、サンマや花咲がにが揚がる漁港のエリアです。花咲灯台の下には天然記念物の根室車石があり、海と火山がつくった造形を間近で見られます。自然の地形や漁港の活気を味わいたい人におすすめ。波の音と漁船の風景が、旅の記憶に残ります。
厚床・和田エリア──酪農の大地
内陸の厚床・和田は、広い牧草地が続く酪農地帯です。屯田兵村が開かれた開拓の歴史をもち、まっすぐな道とサイロの風景が北海道らしさそのもの。ドライブで通り抜けながら、大地のスケールを感じたい人に向いています。牛がのんびり草をはむ景色に、思わず車を停めたくなりますよ。
風蓮湖・春国岱エリア──野鳥の楽園
市の西の玄関口にあたる風蓮湖・春国岱は、ラムサール条約に登録された湿地のエリアです。道の駅スワン44ねむろやネイチャーセンターを起点に、木道で野鳥観察を楽しめます。静かに自然と向き合いたい人、バードウォッチングが好きな人にうってつけ。季節ごとに訪れる鳥が変わるので、何度でも通いたくなる場所なんです。
根室市の気候・季節の暮らし

根室市は、夏は涼しく冬は道内でも比較的暖かい、海洋性の気候です。半島で海に囲まれているため、気温が下がりにくいのが特徴。年間降雪量はおよそ159cm、最高気温が0℃未満の真冬日は年に約54.9日です(出典:気象庁 釧路地方気象台)。年平均気温はおよそ6.6℃で、夏でも真夏日はほとんどありません。
暮らしてみると、季節の感じ方が本州とはずいぶん違うんですよ。一年を通してどんな空気が流れるのか、季節ごとに見ていきましょう。
夏──6月〜8月の暮らし
根室の夏はとても涼しく、エアコンがなくても過ごせる日が多いです。一方で、春から夏にかけては海霧(じり)が出やすく、ひんやりと湿った日が続くこともあります。Tシャツ一枚では肌寒く、薄手の上着が手放せない夏なんですよね。
秋──9月〜11月の暮らし
秋は空気が澄み、晴れる日が増える気持ちのいい季節です。サンマや花咲がにが旬を迎え、食卓がいちばん賑わう時期でもあります。朝晩は冷え込みが進むので、10月ともなれば暖房の支度を始める家も多いです。
冬──12月〜2月の暮らし
冬は西高東低の気圧配置になると晴れて乾燥し、雪はあまり降りません。札幌のような豪雪はなく、北海道のなかでは雪かきの負担が軽い地域です。ただし風が強く体感温度は下がるので、しっかりした防寒が必要。2月から3月には根室海峡を流氷が南下し、海に氷が押し寄せる日もあります。
春──3月〜5月の暮らし
春の訪れはゆっくりで、雪解けのあとも風の冷たい日が続きます。桜が咲くのは5月ごろと遅め。短い春から夏へと一気に季節が動くので、咲きそろった花を見ると「やっと来たな」と実感できます。
根室市の移住・暮らし情報

日本の東の果てで暮らすと聞くと身構えるかもしれませんが、根室市は買い物も医療も市内でひと通りそろう、生活しやすい町です。漁業と酪農、水産加工が暮らしを支え、移住者向けの支援も用意されています。住む視点で、現実的なところを見ていきましょう。
通勤・通学
働く場所は、漁業や水産加工、酪農、医療、公務などが中心です。市街地はコンパクトで車で10分ほどあれば移動でき、通勤の渋滞とは無縁。鉄道やバスは本数が少ないため、暮らしの足は基本的に車になります。
住宅環境
家賃は手ごろです。新築で駅に近い条件でも、賃貸マンションはワンルームでおよそ5万円台から、広いファミリー向けで10万円台が目安です(出典:SUUMO)。築年数が経った物件なら、もっと抑えられます。中古の戸建ても選択肢に入る価格帯ですよ。
買い物環境
市街地にはスーパーやドラッグストア、ホームセンターなどのロードサイド店が集まり、日常の買い物は市内で完結します。新鮮な魚介が手ごろに手に入るのは港町ならでは。専門的な大型店に行きたいときは、隣の中標津町や釧路市まで足を延ばす人もいます。
子育て・教育
市内には小・中学校と道立高校があり、落石地区には小中一貫の義務教育学校もあります。子育て支援にも力を入れており、幼児教育・保育の無償化に加え、0〜2歳児の保育料減免や預かり保育の助成などが整えられています(出典:北海道根室市移住定住促進ポータルサイト)。ファミリーサポートの仕組みもあり、地域で子育てを支える空気があります。
医療環境
医療の中核を担うのが、有磯町にある市立根室病院です。地域センター病院・救急告示病院として、内科・外科・小児科・産婦人科など複数の診療科を備えています(出典:北海道根室市移住定住促進ポータルサイト)。市内には個人病院やクリニックもあり、日常の医療は市内で対応できます。高度な専門医療が必要なときは釧路市の病院が選択肢になります。
エリア別の暮らし視点
暮らしやすさで選ぶなら、スーパーや病院、学校が集まる根室駅周辺の市街地エリアが便利です。厚床・和田の内陸エリアは酪農地帯で、静かでのびのびした環境ですが車は必須。花咲・落石の漁港エリアは海がすぐそばで、納沙布・歯舞の先端エリアは最果ての静けさを味わいたい人向けです。
根室市へのアクセス

日本の東の端にある根室市は、東京や札幌からはどうしても距離があります。空路で近くまで飛ぶか、釧路から鉄道や車で東へ向かうのが基本ルート。交通手段ごとに、現実的な行き方を整理します。
車でのアクセス
釧路市内から根室までは国道44号で東へ、車でおよそ2時間です。道は比較的すいていて走りやすく、レンタカーなら市内観光から納沙布岬まで自由に回れます。市内の移動も車が前提になるので、旅でも車があると安心ですよ。
鉄道+バスでのアクセス
鉄道なら、釧路駅からJR花咲線(根室本線)で根室駅へ。普通列車のみの運行で、所要はおよそ2時間半です。札幌方面からは、特急「おおぞら」で札幌駅から釧路駅まで最速3時間54分、そこから花咲線に乗り継ぎます(出典:地球探索鉄道 花咲線)。本数が少ないので、時刻表は事前にしっかり確認しておきましょう。
飛行機でのアクセス
いちばん近い空港は、中標津町にある根室中標津空港です。東京(羽田)や新千歳と結ばれており、空港から根室駅前まではバスでおよそ2時間(約100分)かかります(出典:根室中標津空港/根室交通)。釧路の空港(たんちょう釧路空港)を使い、そこから鉄道や車で向かうルートもあります。
町内移動の現実的アドバイス
市街地から納沙布岬へは、根室駅前バスターミナルから納沙布線のバスでおよそ45分です(出典:地球探索鉄道 花咲線)。観光で複数のスポットを回るなら、本数の少ないバスより車のほうが効率的。鉄道で来た人は、根室駅周辺でレンタカーを借りると動きやすくなりますよ。
【地元住民に直撃!】根室市の本当の魅力を聞いてみた

Q1.あなたのご職業を教えてください。
水産加工の仕事をしています。サンマや花咲がに、昆布なんかを扱っていて、水揚げの時期になると工場は一気に忙しくなりますね。
朝早くから手が動きっぱなしの日もありますけど、自分の手で根室の味を全国に送り出しているという実感があって、わたしはこの仕事が好きです。季節の流れを魚で感じる、そんな毎日です。
Q2.根室市に来て絶対行くべき場所はどこだと思いますか?
やっぱり納沙布岬ですね。本土の東の果てで、晴れた日には北方領土の島影が見える。観光で来たならまずここに立ってほしいです。風が強くて、夏でも霧で真っ白になる日があって、その独特の空気が「ここが端っこなんだ」と教えてくれます。
地元の人間が落ち着けるのは明治公園です。古いサイロが残っていて、5月の遅い桜が咲くころは特にいい。普段は犬の散歩の人がぽつぽついるくらいで、根室観光の合間にほっとできる場所ですよ。
Q3.根室市でお土産を買うとしたらなんですか?
定番はやっぱり花咲がにです。鉄砲汁にすると出汁まで甘くて、根室の有名なものといえばこれ、という人が多いですね。さんまの加工品も外れがないです。
地元の人間がよく買うのは、道の駅にある花咲がにラーメンとか、市内の菓子店のお菓子です。観光地っぽくないけど、配ると喜ばれるんですよ。わたしはこっちをよく選びます。
Q4.外から人が来たときに、根室市でまず連れていく店はどこですか?
エスカロップを出す喫茶店ですね。バターライスに豚カツとデミグラスをのせた、根室生まれの料理です。「これが根室の味だよ」と言って必ず食べてもらいます。
あとは回転寿司や食堂で、その日揚がった地の魚を出してくれるところ。観光客向けというより、わたしたちが普段使う店に連れていくと、根室観光の印象がぐっと変わるみたいです。
Q5.根室市はどんな気質だと思いますか?
海の町なので、さっぱりして気のいい人が多いです。最初はそっけなく見えるかもしれませんが、一度打ち解けると面倒見がいい。距離の詰め方がうまい人たちだと思います。
天候も漁も自然相手なので、細かいことは気にしない、おおらかな気質ですね。市民センターのイベントなんかでも、知らない人同士でもすぐ話が始まる、そういう温かさがあります。
Q6.昔に比べて、根室市の雰囲気や活気はどう変わったと感じますか?
正直に言うと、人は減りました。サンマの水揚げも昔ほど安定しなくて、駅前の店も寂しくなったなと感じる日はあります。最東端の駅だった東根室駅もなくなりましたしね。
ただ、お祭りのときの活気は変わらないんです。さんま祭りやかに祭りには今も人が集まる。市町村としては小さくなっても、根室らしさそのものは消えていないと思っています。
Q7.根室市のこれから新しくできる施設や、期待している活動などはありますか?
最東端の駅になった根室駅を中心に、町を元気にしようという話が出ています。市長も駅前の活性化に力を入れたいと言っていて、どんな形になるのか楽しみにしているところです。
あとは風蓮湖や春国岱の自然、運動公園のような身近な場所をもっと使ってもらえたらと。水源も自然も豊かな町なので、観光とうまくつなげていけたらいいなと思っています。

